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Grand Theft Auto III - (2021/08/19 (木) 15:09:13) の編集履歴(バックアップ)


Grand Theft Auto III

【ぐらんど せふと おーと すりー】

ジャンル アクション

対応機種 Windows 2000/XP
プレイステーション2
Xbox
発売元 カプコン*1
開発元 【Win/PS2】DMA Design
【Xb】Rockstar Vienna
発売日 【Win/PS2】2003年9月25日
【Xb】2004年7月29日
定価 6,800円
レーティング CERO:(18才以上のみ対象)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント シリーズ初の3D
まだまだ改良の余地は多い
世界初の「オープンワールド」
ゲーム業界前代未聞の有害図書指定
CERO改定の発端にもなった
Grand Theft Autoシリーズリンク



LIBERTY CITY アメリカ最悪の町。



概要

『Grand Theft Auto』シリーズ第3作。
全世界で1500万本の売上を達成し、『GTA』と「Rockstar(ロックスター)」の名を世界に轟かせ、世界中で大ヒットしたクライムアクションゲームの金字塔となった有名作。

シリーズ名でもある「Grand Theft Auto」とは「重自動車盗」*2を意味し、本作では街中に走っている車や停めてある車を自由に盗んで自分のものとすることができる。したがって車の絡むミッションが多い。

本項で「前2作」と記述する『初代』と『2』は見下ろし型の2D視点であったが、今作は三人称視点となった。
それまで概念として存在していた、開かれたマップを自由に歩き回って攻略するプレイに対して「オープンワールド」という言葉を初めて使用し、ゲーム業界に定着させた記念碑的な作品でもある。

ストーリー

2001年、リバティーシティで銀行強盗が発生。実行犯である主人公とその恋人・カタリーナは部下と共に銀行から脱出するが、逃走する際にカタリーナの裏切りに遭う。カタリーナの手によって部下は殺され、ピストルで撃たれた主人公もその場で倒れてしまう。
有罪判決を受けた主人公が警察の護送車で運ばれている最中に、護送車がギャングに襲撃される。その隙に主人公は他の囚人とともに事件現場から逃走する。自由を取り戻した主人公達は、カタリーナに復讐すべく様々な犯罪的仕事をこなしていく。


システム・特徴

  • ゲームオーバーやマップクリアの概念がなく、様々なところで”仕事”を”受注”していくことになる。
  • 今作は主人公が一言も喋らず、名前も不明。この点はまだ前2作を受け継いでいる。
    • ミッションとあらば、誰にでも従い、誰だろうと平気で裏切る。前2作と同様、機械的で主体性の無いキャラ。後作の『SA』で「クロード」という名前だと判明した。
    • そんな立ち位置もあってか、発売当初は彼のみ公式イラストといえるものが存在しなかったが、後述のiOS版・Android版の配信の際に新たに用意された。
  • 今作では新たにボート*3と小型機に乗れるようになった。ミッションでも何度か利用する場面がある。
  • 主人公のダメージや耐性。
    • 爆風や炎には耐えられるものの、決して少なくないダメージが入る。
    • カナヅチなのか、水に入ると炎より何倍も強力なスリップダメージを受ける*4。結果、1秒ほどで死亡する。『VC』もこの仕様が継続している。
    • 落下ダメージの場合、飛び降りた場所が高くなるほど受けるダメージも増える。普通にプレイする分には、これで即死することはまずない。

舞台

舞台はニューヨークをモデルとした大都市「リバティーシティ」。犯罪者の巣窟であり、警察も賄賂に浸かりきった「アメリカ最悪の街」と呼ばれるこの街で主人公は生きて行く。

  • 工業区のポートランド、商業区のストートン島、高級住宅区のショアサイドベイル、以上の3つの島からなる。
  • 島内のエリア毎にもまた特徴付けがされており、プレイしていくうちに自然と土地勘が鍛えられるようになる。
  • 最初はポートランドでしか行動できないが、ストーリーを進めていけばストートン島、次にショアサイドベイルへ行けるようになる。

警察と手配

当然のことだが、罪を犯せば警察に指名手配される。

  • 指名手配のレベルは1~6まであり、人を殺したりすれば手配レベルが上昇する。乗り物に乗っている状態だとパトカーがしつこく追跡してくる。そうでないなら警察が発砲してくる。
    • 手配レベルが上がるごとに警察側の攻撃も激しくなり、ヘリやバリケード、そしてFBI*5や軍まで出動してくる。こうなれば生き残るのが厳しくなる。
    • ミッションによっては強制的に手配が付いたり、その他の条件で手配レベルが上昇することがある。中にはいきなり6になることも。
  • 手配を消すには、マップ各所にある「ワイロ」というアイテムを取る*6か、ペイントショップ*7を利用する必要がある。
    • レベル1ならば、新たに犯罪を犯さず、警官に見つかっていない状態で、しばらく時間が経つと消える。身を隠してもいいが、車を乗り回すだけなのも有効。
    • ペイントショップは車の修理や車の色を変更する効果もある。ただし緊急車両(FBIが使う車両を除く)は利用できない。

やりこみ要素

前2作にあった殺戮ミッション(メッタ殺し)に加え、本作は乗り込んだ車に応じたミッションが用意されている。クリアすれば相応の見返りもある。

  • パトカー…悪党を追いかけて葬る「処刑ミッション」
  • タクシー…客を送り届ける「タクシーミッション」
  • 救急車…患者を病院に搬送する「救命ミッション」
  • 消防車…炎上中の車を消火する「消火ミッション」



評価点

  • オープンワールドを採用したこと。このゲーム一番の評価点かもしれない。
    • すでに概要で書いたが、ゲーム業界への影響や貢献度は非常に大きい。
    • 見下ろし型であった前2作と比べ、自由度・臨場感が大幅に高まった。シリーズファンならご存じの通り、次回作以降はこれがスタンダードになる。
    • 本作で最後となってしまったが、従来の見下ろし型視点も備わっており、2D時代の気分を味わえる。
  • とにかく自由。『GTA』を語るには欠かせない要素。
    • 街をうろついてブラブラするのも、人と喧嘩をするのも、人を殺すのも、車を奪うのも、全てはプレイヤーの自由。
    • シナリオの進行に直接関係ないミッションも数多く用意されており、それらは原則自由に進めることができる。
  • 車の表現が非常に凝っている。
    • 例えば、真正面から追突すればちゃんと前部分が破損し、ドアが接触すればドアが破損したりする。
    • 車ごとにエンジン音、挙動、重量、速度等がしっかりと作り込まれている。
    • 車種によってはミニゲームができたり、効果音が特殊だったりする。
  • ストーリー性の強化。
    • ミッションを淡々とクリアする形だった前2作と異なり、本作は「復讐」という明確なテーマと目的をもって描かれる。
    • ひょんなことから自由の身となった主人公。その新たな人生はストーリーを進めていく内に、様々な人物・勢力の争いに巻き込まれ、時には逆に巻き込みながら、自分を裏切ったかつての相棒への復讐に繋がっていく。
  • その他。
    • 前2作までのマップは複雑かつ単調な構造のため位置情報が分かりにくかったが、今作でその点が大幅に改善された。地図も同梱された事も大きい。
    • やりこみ要素が増えたこと。
      • ただし以降のシリーズに比べるとまだまだ少ない。次回作『VC』からはこれらを更に強化してより長く遊べるようになっていく。
    • カーラジオとして様々な楽曲が収録されている。ロック、レゲエ、ドラムンベース、オペラなどジャンルも多彩。
    • ただし、次回作以降に比べると曲数はかなり少ない。
    • 1作目のメインテーマ『Gangster Friday(Grand Theft Auto)』も収録されているが、かなり過激な歌詞である為か一部に修正が掛かっている。
    • 日本語版での大きな改変が無く、欠損描写が削除されたぐらい。チートを使ってその規制を解除することも可能。



賛否両論点

劇中の犯罪行為や残虐描写

本作に限らず『GTA』シリーズの暴力性の強さは、やはり槍玉に挙げられる。余談にもあるように本作も数々の問題を起こし、本国でも問題視され批判を浴びた。

  • 前作までは表現力が乏しい事もあってか拉致したバスの乗客達を精肉場でミンチにしてホットドッグの材料にすると言う制作者の正気を疑うようなミッションすらあった程である。本作はそこまでは行かないにしても3Dになって表現力が上がった事から、社会への影響も大きかった。

難易度の高さ

当時はまだ「洋ゲー=大雑把で敵の攻撃が激しい」という傾向の強い時代であり、本作も例外ではない。システムの不親切さも手伝って、ストレスの溜まりやすいタイプの高難易度となっている。

  • 防御手段や回復手段が乏しいにもかかわらず容赦のない猛攻を受けるのは日常茶飯事で、敵の知覚がハッキリしないシステムなのに隠密性を求められる場面もある。
    • 中盤の「厳しい制限時間内に指定された公衆電話を次々と回るミッション」は全体マップが表示できない所為で無駄に難易度を吊り上げている。
    • 特に終盤の「町中のコーヒー店を破壊するミッション」では全体マップどころかミニマップにもコーヒー店が映っていない為、「いくつ」「どこに」あるのかが判らない状態からスタートする。*8
      • そしてどれか1つのコーヒー店を壊すと8分のカウントダウンが始まってしまい、探しながら壊すやり方だと時間が間に合わずミッション失敗になってしまう。その為、下見*9か攻略サイト等で事前に把握するしかない。
  • 失敗しただけならば、所持金が減るなどのデメリットはなく、依頼人の元へ行けばすぐに再挑戦が可能。だが、死亡したり逮捕されると手持ちの武器が全部なくなってしまう。
    • その度に店で買うか、各地で集めないといけない。かといってそのままではミッションはクリアできないのは言うまでもなく、ものによっては車も調達し直さなくてはならない。そのため再挑戦するまでの立て直しが面倒で、大抵はロードしてやり直した方が手っ取り早い。
  • 様々な勢力から仕事を引き受けるという設定上、ミッションを進めると敵対化する勢力が現れるのだが、その中でも「マフィア」は敵対化するとピストル以外に強力なショットガンを武装し始めるため、非常に危険な存在となる。
    • 敵対後のマフィアの縄張りをうろついていると、こちらを見つけ次第ショットガンを乱射してくる。車に乗っていた場合、炎上する間も無く爆殺されてしまう*10
      生身かつ地上でショットガンを喰らうと転倒してしまう。転倒中は攻撃を一時中断するが、起き上がるのが終わって動けるようになるとすぐに撃ち始めるので素早く対処しないとまたハメられてしまう。しかし『SA』や『IV』以降と違って、プレイヤーを視認できる範囲にプレイヤーのほうを向いて別のマフィアがスポーンしてすぐに殺しに向かってくることも珍しくないので、気がついたときには武器の連射速度を考慮すると実質的に死亡確定ということが平然と起きる*11。その上、マフィアの敵対化はストーリーの進行上必須で、回避する手段がない。
      ショットガンという凶悪な武器と、スポーンしてすぐに視界に入って襲いかかるのが当然のように起きる理不尽なスポーンのシステムと、炎上した車への銃弾に対する特別措置がないことの合わせ技で起きた悪夢と言えるだろう。
    • これによりミッション進行後は該当エリアでの特殊車両ミッション達成が非常に困難になるので、なるべく敵対化する前にミッションを終わらせておくのが無難。
    • 一応「車に装着された爆弾(時間制限以外にもダメージを受けすぎても爆発する)を解除するために敵対化した後のマフィアの縄張りの中にあるガレージに行く」ミッションでは一時的に敵対化が解除される。
    • 敵対後のマフィアの凶悪さがあまりにもひどすぎたからなのか、次回作の『VC』では一定確率でNPCがスポーン後にわざとプレイヤーから離れる方向に向くようになり、見つけた瞬間に襲ってくるギャングの武装もショットガンほど凶悪でないものになった。
      さらに『SA』や『IV』以降では、スポーンしてすぐ敵対するのが頻発しないように十分距離が取られるようになった。
  • 最終ミッションに至っては制限時間が本当にギリギリなので、車を衝突させずに最短ルートで目的地を目指し、カバーアクションなどのシステムが無い中で敵の猛攻をかいくぐらなくてはならない。しかもミッション開始時に全ての武器を失うオマケ付き
    • 次回作以降とは異なり、サイドミッションで条件を満たしてもライフや防弾チョッキの上限値を増やすことができない。そのため、体力の多さに頼ったプレイングがしにくく、難易度の高さに拍車をかけている。*12
      • 救命ミッションのレベル12をクリアすると長時間ダッシュしても息切れしなくなる。耐久力は変わらないが回避力が高まるので早めにクリアしたい。
    • 一応事前に戦車を用意するという手もある。使用した戦車はエンディング時に消滅してしまうが、クリア特典で戦車がこのミッションの場所に湧くようになるので取り返せる。後ろに向かって砲撃で加速すれば、道中での衝突や突入時の被弾を気にしないで良いというメリットも。

軍隊の強さ

悪事を重ね、指名手配レベルが最大の6になると軍隊が出動してくるようになるのだが、その軍隊が非常に強い。

  • 軍人はアサルトライフルのM16を装備しているのだが、本作のM16は何故か続編作のミニガン並の連射性能を持っており、更に軍人の射撃命中率が他のNPCと比べて非常に高く設定されている。
    • そのため、軍人へ近づこうものならライフ&防弾チョッキが満タンの状態でも1秒足らずで病院送りにされてしまう。ならば車で逃走しようにも、道路には接触した車を無敵判定の車両すら一撃で爆破してしまう戦車がうろついているため、戦車が通れない狭い裏路地等を駆使しない限り、基本的には自殺行為となる。
  • 「最早警察やFBIでは手に負えない凶悪犯罪者に対する最終手段」という点で考えると、この軍の強さもある程度納得はいくが、それでも「強すぎる」という意見が多かったためか、『VC』では手配度6でやってくる軍人の装備がサブマシンガンになり、若干弱体化された。軍事基地にいる軍人(のギャング)はM4を持っていることもあるが、さすがに1秒以内にライフ&防弾チョッキが満タンの状態でも病院送りにするほどの鬼畜性能ではない(それでも連射速度や人数の多さのおかげで無策だとあっさりとやられかねない程に強力だが)。
    『SA』では手配度6でやってくる軍人の装備はM4になったが、『VC』のものからさらに連射速度と威力が弱体化されている。
    • ちなみに本作のメインミッションの中に「指名手配レベル6の状態で一定時間耐える」というものがあるのだが、このミッションでは例外でレベル6でも軍隊が出てこないようになっている。*13
    • 逃走用に使う車両が図体が大きく、速度も遅い現金輸送車であり、そのような状況で軍隊が出てきてしまうと軍隊からの猛攻をほぼ回避できず、ミッション攻略が無理ゲーになってしまうので、それを回避するための処置と思われる。*14

その他

  • グラフィックは完全3D化したものの、ゲームデザイン面は若干ながら前2作の名残がある。見下ろし視点に切り替えないと把握しにくい地形、取りにくい隠しアイテムなど。
    • 見下ろし視点が空気になってないと見るか、単純にわずらわしいと見るかが分かれるところ。



問題点

システムの未熟さ

  • メニュー画面で全体マップが表示されない。
    • 現在地が判るのは画面下部のミニマップのみ。そのミニマップも『VC』以降とは異なり、場所や地形によって細かく色分けされていない。前2作に比べて改善されたことは評価すべきだが、使い勝手がよいとはいえない。
    • 「舞台」の項にて「自然と土地勘が鍛えられる」と書いたが、それはあくまでプレイを重ねた上での話である。最初のうちは自分がどこに居るのかすら判らないので、ゲーム本体に付属の地図が必須となる。いくら前2作から簡潔化、密度が上がったとは言え簡単に覚えられるほど単純な構造ではない。
    • 地図上にマーカーを設置する機能があればマシだったのだが、当然それもない。
  • 爆発を地上で喰らうと範囲ギリギリでもその場で転倒してしまう。
    • 転倒している状態では敵は攻撃を中断するが、車の爆発などで追い打ちをかけられる危険性がある。『VC』(とそれをベースにした『LCS』『VCS』)でもこの仕様は引き継がれているが『SA』では転倒せずに吹き飛ぶだけになった。
  • 武器の照準が狙いにくい。
    • 後述のようにグラフィックが中途半端な影響で、銃の照準などはかなり狙いづらい。
    • 武器の種類もあまり多くは無い。
      • その代わり『VC』以降とは異なり、武器を全種類持つことができる。
  • NPCの敵対する時間が短い。
    • 通行人を殴ったりして敵対しても約30秒という短さで攻撃をやめて、何事もなかったかのように歩きだしてしまう。ただし、敵対状態のギャング等の見つかると即攻撃してくる相手は半永久的に攻撃し続ける。
      • 『VC』でもこの問題はそのままだったが、『SA』で他のことで中断されない限り半永久的に敵対したあとの攻撃を続けるように改善された。
  • 警察やSWATが仕事しない。
    • 警察やSWATなどの法執行機関が他のNPCを攻撃するのは、NPCに直接攻撃されたときだけ。銃を装備中に通行人が撃ち合いしたとしても当たらなければ反応しないし、手配がないときのスポーン直後などで銃を装備していなければ当たると逃げてしまう。さらに、パトカーに銃弾が当たったときすら無視する。
    • その結果、プレイヤーにばかり反応し、NPCの犯罪はほぼ無視するという治安維持組織にあるまじき無能を晒している。
      • 『VC』以降はパトカーに銃弾が当たると殺害対象として追うようになり、銃を装備しているときに周りで銃声を聞いても反応するようになった。NPCの犯罪にもそれなりに反応し、不公平感が和らいだと言える。
  • 細かい不満点。
    • 車から飛び降りられなかったり、泳げないなど、他のシリーズでは標準な機能がなかったりする。
    • 一部地形に穴が開いており落下、地形上にリスポーンする際に数ポイントのダメージを受ける等も。
      • 地形の穴自体はずっと後の『V』等になっても存在するものの、ダメージは受けないなど改良されている*15

システム以外の問題点

  • グラフィックの出来は今一つ。
    • 見るに堪えないというほどでもないが、当時としてもあまり良い出来ではない。
  • バイクが無い。
    • 『初代』には存在したバイクが本作では実装はされなかった。3DのGTAで登場するのは次回作『VC』からである。
    • 本作の二年前を描いた『LCS』にはバイクが登場するのだが、その矛盾を解消する為に「A.R.S.E.(米交通安全推進法人)が原付二輪車の排除を訴えたため、『III』の時点でリバティーシティ内でのバイクの運行が全面的に禁止されていく」と言う流れが作られている。
  • 小型機の挙動。
    • ショアサイドベイルにある空港では小型機が配置されており、実際に乗って操縦する事が出来るのだが、本作の小型機の挙動は飛行機というよりはグライダーに近い。離陸前には十分な助走が必要な上に、高度の上昇・下降の制御にかなり癖があるので自在に飛ばすにはそれなりの練習が必須となる*16
      • 『VC』では挙動が改善され、本作よりも格段に扱いやすくなった。
  • ボートが空気気味
    • NPCの乗るボートは、ミッションの標的となる人物が乗るものと、指名手配レベルを上げると出現する警察艇に限られる。車が絶え間なく行き交う街中とは対照的に寂しい。
    • ショアサイドベイルが解禁される前に侵入してしまうのを防ぐためか、ストートン島の周辺にはボートでの移動を制限するバリケートが設置されており、ポートランドからショアサイドベイルへの移動は不可能。だが、このバリケートはショアサイドベイルが解禁された後でも撤去されないため、車で移動した方が手っ取り早く、ボートの空気化に拍車をかけている。
    • 当然波を受けてダメージを受けたり、乗り降りで失敗しての落下死の危険もある。
      • 『VC』では舞台が水辺の多い街になったことや、NPCのボートが追加された事により存在感が大幅に増した。なお、解禁前の島への移動対策は「全ての島が解禁されるまではボートが出現せず、船着き場への立ち入りもできない」という形にしている。



総評

ゲームシステムが一新され、これまでの『GTA』とは全くの別物となった他、他では味わえない自由度が、このゲームが大ヒットとなるきっかけとなった。
3D化第一弾ということもあってやりこみ要素はまだ少なく、システムも今見ると非常に不親切ではある。これらの点は次回作以降で改善していくことになる。

現在はスマホ版が配信されて敷居は低くなっており、他のGTAから本作に興味が湧いたなら悪くないかもしれない。



余談

ゲーム本編

  • 本作では作中様々な勢力が登場するが、ストートン島を縄張りとする勢力の中に「ヤクザ」が存在する。
    • 本作の舞台設定に合わせて全員英語・・・ではなくなんと日本語を喋る。しかも洋ゲーにしては異様に流暢な日本語でドスが効いていると評判*17
      キ◯タマみてぇな臭いすんなこの野郎*18」「おいそこのガキお前喧嘩してえのかコラ」「クソみてぇな運転すんじゃねーぞコラ」等*19
    • そんな彼らが乗る車両はスポーツカー「Stinger」をベースにしたその名も「Yakuza Stinger」。
      笑ってしまうようなネーミング*20だが、高性能かつ挙動も扱いやすいチューニングになっているため、時間制限のあるミッションではお世話になった人は多いのでは。
  • 後に本作の三年前を描いた『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』が発売された。主人公は本作の依頼人の一人であるトニー・シプリアーニ。
  • PS2版発売から10周年を記念し、iOS・Android版が発売された。
    • グラフィックが綺麗になり、全体マップの実装、死亡・逮捕時に武器を没収されないなど、一部ゲームシステムも改善された。
    • 後に発売されたiOS・Android版『VC』『SA』『LCS』と異なり、日本から購入できるのはグローバル版とは別アプリ扱いの「日本語字幕版」のみ。発売当初は日本語字幕版のみ規制が施されており、流血表現や追い打ち、殺戮ミッションなどのWin/PS2/Xb版で規制されなかった表現が規制されてしまっていた*21。ローカライズの文章も翻訳し直されており、後述の独特な表現も一部失われている*22
  • 死亡時・逮捕時に武器消滅という仕様は『IV』まで続いた。ただし一部は救済措置が用意されている。
    • 『SA』では条件を満たすと武器消滅を回避できる。
    • 『VCS』では一旦押収されるが、高額のワイロを支払うことで取り戻せる。その料金も、新要素「エンパイアビルディング」が解禁された後なら小遣い同然になる。

企業

  • 本作以後、『IV』まではローカライズをカプコンが担当している*23
    そのなかでも今作のローカライズは特に強烈。「サツ」「死んじまった!」「バラせ!」などの独特の表現が大量に出てくる。
    実に雰囲気が出ている名訳といえたのだが、本作の暴力性が強く問題視されたこともあってか、以後のローカライズは比較的無難なものに落ち着いている。『IV』以降その傾向は強くなっている。
  • PC版とPS2版を開発したDMA Designは本作の発売後、Take2 Interactiveの子会社となったRockstar Gamesの買収を受け、同社の傘下会社となり「Rockstar North」へと社名を変更。同時に以降のシリーズ作の開発もそのまま引き継ぐ形となった。
  • 本作とコラボしたコカ・コーラのCMも制作された。
    • しかしその内容はと言うと、主人公クロードは出会い頭の人にコカ・コーラを渡して乾杯したり、通り掛かりにひったくりからバッグを取り返してあげたりと、本編とは打って変わって粋なナイスガイになっており、最後はリバティーシティ中が歌って踊り出すという、殺伐とした本編とは正反対のピースフルな内容であった。

その他

  • 他国でもさまざまな議論を引き起こしており、オーストリアでは規制版が発売されるまで販売禁止になっていた。アメリカでも民事訴訟を起こされた。
    • 日本でも青少年の犯罪を誘発するとして、2005年6月7日にて神奈川県から有害図書に指定された*24
      • 神奈川県での指定に続き、埼玉県や大阪府でも有害図書に指定。全国知事会でも採り上げられ、本作の全国的な有害図書指定、さらにはCERO改定のきっかけにもなった*25
    • ちなみに暴力ゲーム反対を訴えた弁護士であるジャック・トンプソンは、後に『IV』のミッションで殺害することになるゴールドバーグ弁護士のモデル(当然無許可)に。Rockstar側もご立腹だったようだ。
  • 2015年9月30日に英国のBBC Twoにてデビッド・カシュナー氏によるRockstar Gamesのサクセスストーリーを描いたノンフィクション小説、『Jacked:The Outlaw Story of Grand Theft Auto』を原作としたドキュメンタリードラマ,「The Gamechangers」が放映されている。ドラマではちょうど本作の発売前後の時系列を舞台としており、Rockstarの共同設立者兼代表であるサム・ハウザー役を「ハリー・ポッター」シリーズでお馴染みのダニエル・ラドクリフ氏が演じており、前述のジャック・トンプソン弁護士役をジェームズ・キャメロン監督作品に数多くの出演歴を持つ、ビル・パクストン氏が演じている。
  • 本作の小型機には"Dodo"と名付けられており、プレイヤーが操縦できる機体のみ主翼が不自然に切り取られている。発売直前にアメリカ同時多発テロが発生したこともあり*26、ファンの間では自主規制による意図的な挙動という推測もされていた。
    • しかし、Rockstarは後にこの推測を否定。元々小型機の飛行は想定されておらず、長時間の飛行は様々なバグの副産物であることが判明した。