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アークザラッド 精霊の黄昏 - (2012/11/01 (木) 00:48:03) の編集履歴(バックアップ)


アークザラッド 精霊の黄昏

【あーくざらっど せいれいのたそがれ】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 キャトルコール
発売日 2003年3月20日
価格 6,090円(税込)
ポイント アークザラッドIII』から千年後
動きのパターンが少ないフルポリゴン
魔族シナリオは好評
シリーズファン以外には微妙ゲーから良ゲー
アークザラッドシリーズリンク


概要

光と音のRPGシリーズの通算5作目(カジノゲームを入れると6作目) 前作から千年後を舞台とし、登場人物は一新されている(隠しキャラとして登場するものも居る)。 魔法を失った人間と、モンスターから進化した魔族とが資源である「精霊石」を巡って争いを繰り返す時代。人間側の主人公カーグ(Kharg)、魔族側の主人公ダーク(Darc)それぞれのシナリオを交互に進めていくことで、物語の全容が明らかになっていく。 PS2になったことで、全編にわたりフルポリゴンとなった。


長所

  • 魔族側のキャラクターとシナリオ
    • 人でも魔族でもない醜い姿に生まれ、ずっと迫害されてきたにも関わらず、優しい心を失くすことができずにいるダーク。
    • 人間(ポーレットの父)に妻子を惨殺された復讐に燃える狼獣人ヴォルク。
    • 好意を抱きつつも、兄を殺したダークを赦すことができないでいる鬼娘デルマ。
    • 人間による生体実験で元の姿を失ったカトレア。
    • 人に作られた魔物ベベドア。
      • こういった個性的な面々を上手くシナリオに組みこみ、ダークがケジメとして魔王となる様は、無責任で身勝手なカーグとは好対照であり、熱血展開・鬱展開の演出も上手く、実に“アークザラッドらしい”ものである。
        大抵のRPGではまず描かれることない魔族側の様子が、人間側とほぼ同じ量のシナリオを以て描かれていることもポイントである。
        メインキャラ・モブキャラ含め、魔族側の個性は人間側よりも強く、細やかに作られている。魔族側にも家族や友人が居り、中々の悲喜劇を見せてくれる。故に某イベントによるショックは人間側よりも大きく、加えて人間側シナリオの爽快感の減退にも繋がってしまっている。
  • 最初は利用関係だったり、復讐相手だったりと、お世辞にも結束したパーティとは言えなかった面々が、次第に絆を深め、「仲間」として一つにまとまり、変わっていくシナリオは評価が高い。
  • シナリオ全体の流れとしては人間側が主役のようだが、これまでの勇者に共通する末尾の「C」をダークが受け継いでいる点からも、勇者の系譜は魔族側に流れているように見える。

短所

  • ポリゴン
    • PS2中期の作品にしてはポリゴンが荒く、動きのパターンも少ない。結果、どの場面でも似たような動きをしているために見ていて飽きる。
  • シリーズファンへのサービスの少なさ
    • 千年後が舞台となっているので、前作までの名残は、各地に残る伝承や遺跡、魔族の街並みぐらいからしか感じ取ることが出来ない。
    • ニヤリと出来る場面もなくはないが、総じて数は少なく、そのサービスも疑問に思う点が多い。また、やり込み要素も少ない。
  • 人間側のキャラクター
    • 長所で述べたように、魔族側は個性的且つ従来のアークザラッドを彷彿させるものとして高評価であるのに対し、人間側はあまり人気がない。
    • 本作は、どこかアンチRPG的な雰囲気があり、人間側は身勝手な侵略者として描かれているので仕方がないかもしれない。しかし、やっていることが千年前からまったく成長しておらず、命を賭して希望を託したアークやククルらがあまりにも報われない。
    • ダークに対して魔族側が「魔族だろうが人間だろうが関係ない。ダークだから一緒にいるんだ」という結論なのに、カーグに対する人間側は「カーグが人間である」ことに拘泥し、カーグ揃って登場人物らは物語中で全く成長しない(マルは元々あのスタンスだし)し、魔族側を理解しようとせずに屈服・殲滅させることだけを考えている。
    • 人間滅びちまえよ」と思うプレイヤーも出てくる始末。
    • また、シナリオでのカーグとマル以外のパーティメンバーの扱いが悪く、ステータスも冷遇されている。
  • 同じ斧キャラのヴォルグとガンツだが、ヴォルグは魔法も物理も高スペックで攻撃範囲も広いのに対し、ガンツは敵に耐性持ちが多い土属性で攻撃範囲は狭く、壁として役に立つかも怪しいような位置である。
  • 各陣営共通のヒロインであるリリアにも批判がある。
    • 人間も魔族も分け隔てなく接する稀有な人間であり、作中で聖女として扱われる彼女だが、行動と発言に矛盾が多い。また、彼女のせいで少なくない被害(とある人物の死亡等)を出しているため、聖女(笑)となっていることは否めない。
    • しかし、周囲が勝手に聖女扱いしている節があり(リリア自身嫌がっている)、彼女が極普通の少女であることを(プレイヤー含めて)忘れていることから起こる批判とも取れる。
      • 聖女としてしか見ないカーグよりも、あくまで人間の女として扱うダークの方に惹かれているような描写もある。
  • シナリオの描写不足
    • 最終的に人間パーティと魔族パーティは合流し、協力関係になるのだが、その和解の描写が不十分である。
    • 特に、妻子を殺されたヴォルクと、ヴォルグに父を殺されたポーレットは作中で最も重い物を背負ったキャラクターであり、この世界における人間と魔族の対立を端的に表した縮図である。
      • それなのに、彼らの和解は曖昧に、そして短く描かれているために少々肩すかしである。一応、ヴォルクの方は成長と取れなくはないが、ポーレットは……。
      • ただし、互いに大切な人を殺されているのにそんなに簡単に心から和解できるわけはなく、この程度の描写で十分と考えることもできる。
    • 他の人間側の面々も身勝手なままであり、人間側を良く見せるためにわざと魔族側を堕としているような演出もある。
  • ラスボス
    • 『II』や『III』と同じものが登場する。そのためファンから「またお前か」と言われた。

総評

このゲーム自体には大きな欠点がない分、丁寧な作品として仕上がっており、単体でみればそれなりに遊べる。
しかし「PS2のアークザラッド」としては幾分パンチに欠ける出来で、『III』から1000年もの時が経ちすぎているのでアークファンには賛否が分かれている。
魔族シナリオの良さやボリューム不足もあるので全体的にはシナリオを重視したゲームと言える。