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MOTHER1+2 - (2021/06/17 (木) 04:20:09) の編集履歴(バックアップ)


MOTHER 1+2

【まざー わんつー】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
発売日 2003年6月20日
定価 4,800円
プレイ人数 1人
廉価版 バリューセレクション:2006年2月2日/2,800円
判定 なし
ポイント 『1』は幻の海外版の移植
『1』の入手ハードルが下がった点、ゲームシステム等は好評
再現度の低いサウンド
MOTHERシリーズ
MOTHER / MOTHER2 / MOTHER1+2 / MOTHER3


概要

1989年発売のFC『MOTHER』と1994年発売のSFC『MOTHER2』をカップリングでGBAに移植したもの。
どちらも発売から年数がたち、特に1作目についてはソフトもプレミアが付き実機でのプレイは困難となっていた。
また、64版『3』の開発中止以降、MOTHERシリーズは沈黙していたため、『3』開発再開と同時に発表されファンからの期待は並々ならぬものがあった。
しかし、GBAのハード性能の制約上、完璧とは言えない出来が惜しまれる結果となった。

なお、厳密にいうと『1』は国内版『MOTHER』の移植ではなく、海外で未発売となったNES版『Earthbound』*1をベースとしている。(後述)


変更点

共通の変更点

  • バグに起因する裏技が修正により使えなくなった。

『MOTHER』の変更点

  • システム面で快適性を補うための追加・変更が施された
    • ボタンダッシュが可能になった。
    • アイテムの説明及びエンカウント率を下げるアイテムの追加。
    • マジカントでお金を引き出すことが可能になった。
    • 国内版にはなかったラスボス戦後のエピローグシーンが追加された。
    • おともだち(ロイド)の攻撃アイテムを購入できるポイントの追加。
    • ホーリーローリーマウンテンへテレポートできるアイテムが追加された。
    • フィールドの敵が出現するエリアでチェックすると「あやしげな けはいが…。」と表示され、敵が出現する場所とそうでない場所の区別がつくようになった。
    • 時事的なセリフの修正
    • CERO関連によるグラフィック・セリフの修正。

その他、細かい変更点が多数存在する。

MOTHER2の変更点

  • BGMや効果音の劣化、テキストの一部変更などの他は、システム面での大きな変更点はない。

評価点

  • 携帯機で手軽に遊ぶことができるようになった。
    • 『1』『2』を購入する際の入手のハードルが大幅に下がった。
  • 『1』のシステム周りが改善され、遊び易くなった。
  • 『1』の国内版では中途半端であったエンディングが、シーン追加によって補強されている。
  • 元から短かったロード時間が更に短くなりスムーズに移動しやすくなった。
    • 分かりやすい例としては、部屋から外に出る時にFC版では3秒後に切り替わっていたのが、たった1秒で切り替わるようになった。

問題点

『MOTHER』『MOTHER2』における問題点

  • サウンドの再現性に欠ける。
    • 「『1』のBGMのPCM音源によるパーカッションパートが再現されていない」「戦闘時における攻撃時の効果音が敵と味方で入れ替わっているミス」「2作ともメロディや効果音の音色・キーが違う」など。
    • 本作のストーリーには「メロディ集め」という要素があり、BGMそのものが2作共通で重要であるため、サウンド要素が低下している時点で「劣化移植」だという批判もある。
      • 対応ハードの性能や容量制限により、音質劣化は致し方ない側面もあるのは事実だが、GBAはSFC同様にPCM音源を扱えるため鳴らそうと思えば何でも鳴らせるように出来ている*2
        また他GBAタイトルではSFC音源以上のクオリティといっても差し支えない音を鳴らすものも存在する。容量に関してもこのゲームの場合は128Mbitのうち1/4近くが未使用領域となっていることが判明している。
      • なお続編の『MOTHER3』は、同じGBAで高クオリティなサウンドを実現している。
      • これらの点を踏まえると、やはりもう少しがんばって欲しかったと思わざるを得ないところ。

『MOTHER』における問題点

  • 上記の通り『1』は日本国内版の完全移植ではないため、国内版そのものをこのゲームでプレイすることはできない。
    • 具体的な変更点を上げると、セリフや敵グラフィック(喫煙している敵や刃物を持った敵などの差し替え)、フィールド上のオブジェのグラフィック、マップやシナリオの進め方の一部改変、ヒントの追加など。
  • エンカウントのバランスが原作より悪化している。
    • 元々、原作の時点でエンカウントのバランスはあまり良くなく、特にラストダンジョンのホーリーローリーマウンテンのエンカウント率の極悪さは語り草になっていたほどであった。
      • しかしこの移植版においては、ゲーム開始直後に歩くことになる町でさえ、戦闘後に一歩動いただけでエンカウントという事態が頻繁に起こるため*3、ストレスが溜まりやすい。
  • 前述の通り、一部BGMの音程が原曲と異なっていたり、PCM音源によるパーカッションが再現されていなかったりする。
  • 便利ボタンが追加された影響で、マジカントのドラゴンとの戦闘に突入できないプレイヤーが続出した。ドラゴンと戦うにはメニューから『チェック』する必要があるのだが、便利ボタンは「話す」コマンドになってしまう為であり、こちらに頼りっきりだとひっかかってしまう。

『MOTHER2』における問題点

  • シナリオ周りや大筋のテキスト・表現に大きな変更点はないが、一部のセリフやテキストに微細な変更がある。
  • BGMの音色違いやモノラル化。
    • GBA本体はモノラルスピーカーだが、仕様としてはステレオ出力にも対応しておりヘッドフォンなどでも聞くことができるため、何故モノラル化したのか不明。
    • ゲップーの秘密基地内BGMのみステレオ。ただしSFC版とは全く違う鳴り方である。

総評

『1』は国内版の純粋な移植ではなく、『1』『2』共に音質が劣化している点は残念だが、作品自体の面白さやクオリティそのものは決して変わっていない。当時では手に入れにくくなっていたソフトが手軽に遊べることも大いに喜ばれた。

ただ、現在ではWiiUのバーチャルコンソールで2作とも原作に忠実な移植が実現しているため、劣化点の存在する本作を今から選択する意義はやや薄くなってしまっているのは否めないところであるが*4、そちらの配信版では今現在の世情に合わせて新たに規制や変更が施された箇所*5が多い。
オリジナル版含めてどの機種を選択するかは、やはりプレイヤー次第だろう。


余談

  • NES版『Earthbound』をベースにしたことについて任天堂から公式のアナウンスはない。
    • 断定はできないが、上記の『1』追加要素やグラフィック等の変更点が、未発売であった海外版の内容と合致している。
  • カップリング移植であるにも拘らずキャッチコピーに『2』のものを流用している。
    • 公式サイトでも、広報面において『2』の方が優遇されている印象が目立つ。
    • 第1作が89年と古い作品であること、そして『2』において新規ファン層の開拓が一気に進んで人気シリーズになったので仕方ないことではあるが、シリーズの最初の作品にも拘らずあまり扱いが良いとは言えない対応であろう。
  • 『MOTHER』に関しては海外版の移植であると述べたが、『1』の海外版『Earthbound』はNES(海外向けファミコン)で開発が終わっていたものの未発売となっており、『MOTHER 2』が同名の『Earthbound』としてSNES(海外向けスーパーファミコン)でリリースされたという経緯がある。
    • 未発売なのでデータなどは一切公開されていないものの、後にNES『Earthbound』のROMデータがネット上に流出し、それを基に海外の有志がタイトルを変更して『Earthbound ZERO』としたものが広まっていた。その存在が海外のユーザーに公にされていたのである。(FC版の記事にその辺りの事情が掲載)
      海外版を移植した理由については、国内版ではヒントが極めて少なく難易度が高い点の改善や、容量の都合で説明不足だった点を補完したかったということが考えられる。
  • 『1』に関してはシステム周りの変更の他に一部マップの構造や各種パラメータの変更、わかりづらかったヒントが親切になっていたりと易化する方向での調整がみられる。
  • GBA版のみのバグとして、初期版のROMにおける『2』では、ラストダンジョンの最終フロアで「あなぬけネズミ」を使うことにより、通常では抜け出せないラストダンジョン*6から脱出することができる(ただし、一部のマップのBGMや構成などが変化する)。
    • と、長い間言われていたがSFC版にもラストダンジョンからの脱出を可能にする技が発見された。
  • 2作とも移植スタッフのクレジットは一切出ないため本作の開発元は判明していない。奇しくも同日発売の劣化移植ゲーと同じである。
  • 発売当時入手及びプレイ困難であった『1』『2』が(当時の)現行ハードで手軽にプレイできるのが魅力であったが、現在では本作そのものが入手困難なプレミアソフトとなってしまっている