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グラディウス ポータブル/パロディウス PORTABLE - (2022/08/18 (木) 12:29:06) の編集履歴(バックアップ)


あ*グラディウス ポータブル/パロディウス PORTABLE この項では『グラディウス ポータブル』と『パロディウス PORTABLE』の2作品をまとめて扱います(移植の方向性、評価点および問題点が似通っているため)。


GRADIUS PORTABLE

【ぐらでぃうす ぽーたぶる】

ジャンル シューティング(オムニバス)
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 コナミ
開発元 Konami Software Shanghai
発売日 2006年2月9日
定価 5,040円
廉価版 コナミ・ザ・ベスト:2007年1月25日/2,940円
判定 なし
ポイント 概ね良移植、一部残念な点が非常に目立つ
グラディウスシリーズ

概要(G)

  • コナミの名物シューティングシリーズ『グラディウス』シリーズの5作品を収録した作品。内訳は以下の通り。
  • 実際のところ、一部はセット移植の再移植となっているため、収録されているのはソフト3本分。
  • 環境設定のオプション関連が非常に充実しており、「処理落ちのかかりやすさ」「当たり判定」「セミオートパワーアップ」「画面サイズの変更」といった特殊なものも全作に搭載されている。
  • 後述する『実況パロ』からセーブ&ロード機能が逆輸入された。セーブ時点での装備・スコアや残機を保持したまま直近のチェックポイントから再開できる。
    • 誰でも1,000万点が達成できるようになるなどバランスを崩しかねないような強力機能なので、ご利用は自己責任で。
  • ギャラリーモード搭載。PS・PS2版のムービーの閲覧やサウンドテストが可能。

評価点(G)

  • 細かい部分を除けばほぼ完全移植。
  • セーブ&ロード機能を含めた環境設定がユーザーフレンドリーな仕様となっており好評。
    • セーブ&ロード機能は、単にいつでも中断できるというだけではなく、基本的にパターンゲーであるグラディウスシリーズにおいてパターン構築などの大きな助けになるという利点を持っている。初心者がグラディウスシリーズに触れるにはオススメである。
  • ほかのポータブルシリーズとは違い説明書にボリュームがあり、ストーリーや装備の解説も載っている。

問題点(G)

  • 基本的にPS・PS2版からの再移植という形になるため、PS・PS2版で抱えていた問題をそのまま受け継いでしまっている(とは言ってもこちらは大きな問題はない)。
  • また、PS・PS2版と比較しても移植度が劣っている部分が存在する
    + 移植度の問題
    • 『グラディウスII』
      • ゲーム開始時の「Destroy them all!」のボイス削除
      • オプションハンターの出現タイミングが違う。例えば2面(エイリアン)冒頭で4つめのオプションを装備した場合は本来なら4面冒頭にハンターが出現するが、PSP版では中盤の逆火山地帯まで遅れている。
      • 5面(モアイ)のBGMの変化がAC版より1ループ分早い。サウンドテストの同ステージBGMも仕様変更で通常版+怒り版と怒り版単独という、とても変な楽曲構成になっている。
        • 同時収録のx68k版FM音源はほぼ従来通りだが、こちらの通常版も怒り版が入った本作仕様の構成に。
      • ゲーム性に直結する劣化は存在しない。
    • 『グラディウスIII』
      • どの難易度でも当たり判定がAC版から修正されている(PS2版は難易度EASY以下のみ)*1
      • オプション画面の背景が削除されてしまい真っ暗に。これは『IV』でも同様だが、こちらでは何故かステージセレクトのみ背景が残存している。
      • スコアアタックモードとHIT DISP(当たり判定表示モード)の削除。
        • 当たり判定の修正により、攻略パターンが変化する箇所がある。おおむね難易度低下。
      • ビッグコアMrk.IIIの自爆までの時間が短い。原作だとうままうパターンで反射レーザーを避けた後に画面下部の安置でしばらく待つと自爆といった具合だったが、本作では、俗に言う「うままうパターン」が終わった辺りで自爆する。
      • ヴァイフの口が開いている時間が長い。原作だと口の開いている時間が短かった事から速攻破壊が基本だったが、本作では撃破まである程度の猶予が設けられている。
    • 『グラディウスIV』
      • これはハードの仕様上仕方が無いのだが、本作の元の解像度が512×384であるためにPSP(480×272)ではカバーしきれず、全体的に潰れた画面となっている。
      • 何故かすべてのボイスや効果音が少し低い音になっている。
      • 3面(泡)の背景の仕様がおかしい。同ステージへの突入時には何故かステージ道中の背景が空中戦と同じく宇宙で変わらず、ステージ内で復活するか途中セーブしたデータで再開しないと背景が変化しない。
      • 他ほどゲーム性や演出には直結していないのが救いか。
    • 『グラディウス外伝』
      • 画面のフラッシュ演出に移植ミスがある。本来フェードイン・アウトや特定ポイントを中心に光る、などの演出がなされるのだが、それらが全て画面全体が真っ白になるというものになっている
        • 国内版のみのミスであり、海外版では修正されている。
      • 頻繁に入手する青カプセルやボスの撃破演出など様々な場面で影響を見せるが、特に危険なのは3面道中の大型機の撃破時であり、地形や敵などがほとんど見えなくなってしまう。
      • PSPへの移植に伴い2P同時プレイが削除されてしまった。また、設定で処理落ちをオンにしていると元のPS版にはなかった処理落ちが発生するので、設定で処理落ちをオフにすることをおすすめする。
  • ギャラリーモードのグラディウスIII&IVのオープニングムービーのうち、片方が半分ほどカットされてしまっている。
  • サウンドテストモードのループの仕様が「一度フェードアウトしてから再度再生される」という謎の仕様となっている。
    • この仕様は本作のみの仕様となっており、以後のポータブルシリーズはちゃんとループするようになっている。
  • 中断データをロードすると、ランキングや隠し要素の開放といった情報までもが中断時の状態に戻る。
    • 古いデータや他の人の中断データでプレイする時は注意が必要。プレイ後に間違ってオプションデータを上書きしてしまうと悲惨なことに。
    • この仕様を逆手にとり、オプションデータ保存用の中断セーブを作ることで複数のオプションデータを共存させることは可能。
  • リセットコマンドでゲーム選択画面へ戻れるが、「プレイ中のゲームのタイトル画面に戻る」ということができない。
  • 各作品のエンディングのスタッフロールは、AC版のスタッフではなく、PSP移植版のスタッフに差し替えられている。
    • 新たなスタッフロールが用意されること自体は問題ないのだが、AC版のスタッフロールが削除された事が問題視された。
      ちなみに、後に発売された『沙羅曼蛇 PORTABLE』ではAC版のエンディングがそのまま流れ、それとは別に移植版のスタッフロールが用意されている。

余談(G)

  • 海外では『GRADIUS COLLECTION』として発売されたのだが、こちらでは上記の問題点の多くが解消されている。リージョンフリーなので日本の本体でも起動可能。海外のPS Storeではダウンロード版が販売されている。
    • 海外版ではあるものの収録されているタイトルは何故か日本版のままであり、普通に平仮名漢字交じりのタイトルロゴまでそのままである*2
    • ただし残っている不具合もいくつかある。また、多数の海外ゲーの例に漏れず決定とキャンセルの○と×が入れ替わっている点は要注意。
  • 2018年現在では、作品によっては以下のようなソフトも出ている。これらはオリジナル版の忠実移植である為、該当タイトルだけが目的ならばこちらを選んだ方が楽しめる。
    • DSの『コナミアーケードコレクション』に『グラディウス』が収録
    • PS4及びSwitchの『アーケードアーカイブスシリーズ』に『グラディウス』および『グラディウスII』が収録
    • 『プレイステーションクラシック』に『グラディウス外伝』が収録

パロディウス PORTABLE

【ぱろでぃうす ぽーたぶる】

ジャンル シューティング(オムニバス)
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 Konami Software Shanghai
発売日 2007年1月25日
定価 3,980円(税別)
廉価版 コナミ・ザ・ベスト:2008年3月13日/2,940円
判定 なし
ポイント 権利上の都合で多数のBGMが差し替えられた
移植度もところどころ不満が
グラディウスシリーズ

概要(P)

  • グラディウスシリーズの派生作品に当たるパロディウスシリーズの5作品が収録された作品。内訳は以下の通り。
  • 本作も基本的にはPS版からの再移植である。ただし『だ!』『極パロ』はPS版そのままではなく、どちらかというとSS版の仕様も取り込んでいる(PS版・SS版双方とも異なる点もある)。
  • 基本的な特徴は『グラディウス ポータブル』(以下『グラP』)に準拠。違いとしては処理落ちの設定がより細かくなったこと、パロディウスシリーズの特徴であったランク上昇速度を半減させるオプションが追加されたこと。
  • 中断セーブの仕様が改善され、スコア・キャラ・ステージ・装備以外の情報は現在のオプションデータの状態を上書きしないようになった。

評価点(P)

  • 『グラP』同様、ユーザーフレンドリーな仕様は評価できる。
    • グラPの問題点のひとつであったサウンドテストのループについては改善されている。
    • 中断セーブのオプションデータ問題が改善されたのも嬉しい。
  • デラックスパックからの移植作は新たに処理落ちの設定が可能になっている。

問題点(P)

  • やはり移植度の問題。特にPS版収録作品に移植度の不満点が多い。
    + 移植度の問題
    • 『初代』
      • リファインモードが搭載されているのだが、『沙羅曼蛇 ポータブル』収録の『グラディウス2』はオリジナル/リファイン両方が収録されていたのに対してこちらはオリジナルが未収録となっている。
      • 敵を撃破した時などの演出がごく普通のものとなってしまった(MSX版では嘘のような話だが「あべし」「ひでぶ」などと表示されていた)。
      • なぜかゲームオーバーのBGMだけオリジナル版BGMがない。
    • 『だ!』
      • これはPS版から抱えている問題なのだが、AC版よりもランクが上がりにくく、ランク上昇半減設定が無意味。
      • 同じくPS版から抱えている問題として、黄色ベルを取得した時の得点が実際は表示よりもかなり高い。おかげでエクステンドが起こりやすく、難易度はACより抑えられている。
        • 黄色ベルに限らず1,000点以上のスコア獲得の際、百の位以降が16進数として計算されている模様。本来100,000点のラスボスはなんと409,600点も入る。
      • ルーレットカプセルを取得した時の効果音が削除された。これは『極パロ』も同様。
      • さらにPS版とは違い隠しステージが削除されてしまっている(隠しステージのないSS版をベースにしている為と思われ、コピーライトに1995年の表記も見られる)。
      • BGMは基本的にAC版準拠になっているものの、PS/SS版同様に1面ボス等の一部のBGMにおけるテンポアップ演出がカットされてしまった。これはアーケードを初出とする3作全てでの問題点でもある。
    • 『極パロ』
      • PS版から抱えている問題。『だ!』とは逆にランク上昇率がやや高くなっている。撃ち返しが発生するまでには上がらないので大きな問題はない。
      • このタイトルのみ、サイズをオリジナルにしてもドットバイドット表示にならずに微妙にボケてしまう。
      • 『グラP』同様にEDのスタッフロールがオリジナル版からPSP移植スタッフの物に差し替えられているが、スタッフロールの尺がEDと合わず、曲が終了する前にEDが終了してしまう。従ってEDの曲を最後まで聞くにはサウンドテストを使うしかない。これは『実パロ』も同様。
      • これは仕方ないが、SFC版限定だった追加キャラ(ゴエモン・ドラキュラくん・ウパ)はやはり使用できない。
  • BGMの大幅な変更。 著作権が切れていない曲がすべて変更されているのだが、よりによって人気のある曲ばかりなので一部のファンの怒りを買うこととなってしまった。例として『実況パロ』1面(「ザッツ・ザ・ウェイ」)、『セクパロ』竜宮ステージボス曲(一部で大人気の「マイムマイム」)。
    • 差し替え後の評価はさほど高くない。前者はDDRつながりで「Brilliant 2U」に差し替えられているが、やはりアレンジの評判がよろしくない。
    • 特に『だ!』4面の新曲は本作のBGMの特徴である「FM音源」「ドラム」を全く踏襲していない編曲となっており、明らかに他の曲と比較すると浮いてしまっている。
      • 原曲自体はSFC版の追加ステージと同じ「ハンガリー舞曲第5番」なので曲のチョイス自体が浮いているわけではないのだが、SFC版当時のアレンジはちゃんと他の曲と作風を合わせたアレンジだったためそれほど浮いてはいなかった。
    • ちなみに『セクパロ』倉庫ステージのBGMは海外AC版で使用された曲に差し替えられている。つまり本作で新規に書かれた曲ではなく、1996年当時に発売されたサウンドトラックCDに収録されていた。
    • 多少価格が高くなってもいいからBGMは変えないで欲しかった、という声はちらほら聞かれる。
      • ただし「マイムマイム」については、オリジナル発売当時は民謡(=パブリックドメイン)と考えられていたものが、後に作曲者が判明したという経緯がある。2015年にこの曲をカバーした柳生伸也氏によると「JASRACに問い合わせても著作者が分からず、許可を得るのに苦労した」という話もあり、本作の発売当時に著作者に許可を取ることはきわめて困難であったことが窺える。
  • サウンドテストに所々不満を感じる仕様がある。
    • カーソルのスクロールが妙に遅い。
    • 上記の通り、曲をループさせて連続で再生させることが出来るようになった*3…が、一部の曲の途中でループしてしまう曲が存在する。
      • 例えば本作で差し替えられた『極パロ』のステージ1BGMなど。
      • この症状はゲームプレイ中には起こらない為、サウンドテストを担当したスタッフの設定ミスと思われる。
  • 2人同時プレイの削除。
    • タイトル画面を放置すると2人プレイをしているデモが見られるのに、実際はプレイ出来ないので余計にタチが悪い。
    • 一応2プレイヤー側で1人プレイする事は出来る。『実況パロ』では実況も変わる。
  • エンディングのスタッフロールも『グラP』同様差し替えである。

余談(P)

  • 著作権問題で差し替えられた曲が多い中、『実況パロ』1面ボスの「魅せられて(エーゲ海のテーマ)」だけはきっちり許可を取って収録しており、パッケージにJASRACのマークも書かれている。
    • 当時『pop'n music 14 FEVER!』で版権曲として収録される関係で、版権を再取得し幸運にも生き延びた可能性が大きい。
  • CEROのレーティングはC(15歳以上対象)。区分は当然(?)セクシャルである。
  • かつてニコニコ動画の音MADの素材として本作のBGM「藁の中の七面鳥」*4が流行した。
    本作発売当時は諸事情による差し替えが行われた背景もあり、この曲の評価も低かった。しかし音MADが流行しこの曲の知名度が上がり出すと、この曲自体にも「良曲」「中毒性が高い」等といった高評価がつくようになった。
  • パッケージイラストは『ツインビーPORTABLE』同様、キャラクターデザインを担当(『セクパロ』では企画も兼任)した、Shuzilow.HAこと濱川修二郎氏。こちらも当時とは画風が異なっている。

総評

それぞれ5本もの作品を現世代の携帯機向けに移植したという試み自体は評価されて然るべきものであるし、その移植度も十分及第点に到達している。
しかし、ところどころ粗が目立つのは事実であり「移植の再移植」という形となったために、今度こそAC版を忠実に移植して欲しいというファンの願いが叶えられることはなかった。
特に『だ!』に関してはAC版の難易度まで含めた完全移植が現在入手困難なX68000版のみであるという問題を抱えており、更に20年以上前のゲームである為に稼動しているゲーセンも少なく、現状では当時のままのものを遊ぶことが非常に困難になってしまっている。
M2に外注した結果、原典に非常に忠実な移植となった『沙羅曼蛇 PORTABLE』『ツインビー PORTABLE』の方が高い評価を受けているのは、内製であった『IV』とトレジャーに外注した『V』では後者の方が高い評価を受けたのを彷彿とさせるような皮肉な結果である。

とは言っても、そのユーザーフレンドリーな仕様は初心者にはうってつけ。
初めてグラディウス・パロディウスシリーズに触れる作品としては、価格がお手頃であるのもあって決して悪くない作品である。