パロディウス ~タコは地球を救う~

【ぱろでぃうす たこはちきゅうをすくう】

ジャンル シューティング
対応機種 MSX
メディア 1Mbitロムカセット
発売元・開発元 コナミ
発売日 1988年4月28日
定価 5,800円
プレイ人数 1~2人
レーティング Wii/WiiU CERO:A(全年齢対象)*1
配信 WiiVC 2010年1月12日(配信終了)/800Wiiポイント
WiiUVC 2013年12月25日/762円(税別)
EGG 2014年4月11日/月額500円+コンテンツ購入550円(税込)
備考 ・移植版はいずれも他作品とまとめて収録
・WiiVC・WiiUVCは配信終了
判定 良作
バカゲー
ポイント 知る人ぞ知る……もとい本当に知ってる人が少ないパロディウスシリーズ初作品
シリーズお馴染みのギャグ要素・ゲームシステムはこの作品でほぼ確立
すべてのギャグ要素がコテコテの関西ノリ
グラディウスシリーズ


わては、バグだけは のこしたらあかんのや。

時としてバグは、どないなもんよりも
  つろう、悲しい。
せやかて、バグこそが
あたらしい プログラムを
食いつぶしてしまいよんねんから。

タコの日記より*2



概要

パロディウスシリーズ』の元祖であり『グラディウス』の自社パロディでもある、MSX版で発売された横スクロールシューティング。
MSX版『グラディウス2』をベースに当時のコナミ作品のキャラクターや『ツインビー』シリーズのベルシステム、さらには様々なパロディ要素を取り入れたギャグ満載のシューティングとなっている。
元々は「MSX版『沙羅曼蛇』開発の合間に冗談のつもりで製品に入れられないようなゲームを気分転換に作っていた作品」*3であり、それをそのまま1本のゲームとして販売したのが本作である。

ストーリー

わては タコだす。わてのしごとは『夢と希望プログラマー』だす。
宇宙を旅しながら いろんな星の人に『夢』ちゅーもんを あたえとりまんのだす。

わての宿敵は『バグ』いうねん。
一生けんめいプログラミングしてこさえた わての夢を 平気で食いつぶしよる。
ほんま 許されへんやっちゃ!

そのバグが どうやら小惑星帯に本拠地をかまえ、地球人の夢をうばっとるらしい。
そういうたら最近の地球人のプッツン!
あれはどない考えてもバグの仕業やで。

そないなわけで、わてをふくめた5人のスペースファイターが地球人の夢をとりもどすため
小惑星帯に向けて、飛び立ったんや。

このゲーム あんまし マジメに せんほうがええで。*4

(※ デモ画面より抜粋)

特徴

  • 基となるシステムはUIも含めてMSX版『グラディウス2』がベース。
    • 「カプセルを回収してパワーアップ」の部分も含めて操作性とパワーアップする武器はすべて同じ。
      • 『グラディウス2』ベースとは言え武器の追加システムは存在しない。代わりに一部武器の性能が後述するパワーアップ「特大」に割り当てられている。
    • 本作に登場するゲージとパワーアップは下記の通り。名称の関係でかなり分かりづらいが、「何~やそれ!」を除き基本は『グラディウス2』の初期ゲージとほぼ同一。
      パワーアップ名 『グラ2』での名称 パワーアップ効果
      速うなんで! SPEED 自機の移動スピードが速くなる。『グラディウス2』と違いスピードの数値は確認できない。
      ミサイルや! MISSILE 斜め下方向に地を這うミサイルが撃てるようになる。
      上付ダブル? DOUBLE 前方と斜め上のショットが同時発射されるようになる。「多い日も安心」と併用不可。
      多い日も安心 LASER ショットに代わりレーザーを撃てるようになる。「上付ダブル?」と併用不可。
      分身の術や! OPTION オプションをつけることができる。最大2個まで。
      何~やそれ! (なし) 取得したと同時に警告音が鳴り、取得していた武器がすべて没収される。
      バ~リアッ! FORCE FILED 自機前方にバリアを展開する。バリアのグラフィックは選んだキャラクターによって変化するが、効果はすべて同一。
  • ステージは全6面構成のループ方式。
    • エンディングを迎えるとそのまま2周目が始まる。なお、『グラディウス2』と違い、折り返しルートは存在しない。
    • 通常ステージを進行中に、ある場所に到達することで突入できる隠しステージ「エキストラステージ」も存在する。
      • 全3面で通常ステージのどこかに入り口が隠されている。
      • ステージは『グラディウス』のストーンヘンジがベースで、破壊可能な石の色がステージによって違う。
      • MSX版においては『グラディウス』『グラディウス2』でも似たようなエキストラステージが存在しており、突入方法も同じであるため、MSX版のグラディウスシリーズでは恒例となっている。*5
      • 過去作と違い、ステージ終盤に専用のボスが現れるようになった。

追加パワーアップ

本作では『グラディウス』には無い独自のゲームシステムが採用されている。
原作のゲージシステムをパワーアップ「並」として扱い、その上で(本作においては)上位に値する「大」と「特大」*6が追加された。
また、これらの要素は後作でもある『パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~』(以下、『パロディウスだ!』)に一部変更を加えて採用されている。

  • パワーアップ「大」
    • 別名「ロシアン・ルーレット」。後作のルーレットカプセルにあたる。
    • 通常の赤カプセルと同じ外見のアイテムとしてステージ内に配置されており、取得するとゲージが高速回転する。
      • ゲージを止めるまでは通常のカプセルの取得は無効となる。
    • 本作は『パロディウスだ!』以降の仕様とは違い、空のゲージでも止められるようになっている*7
  • パワーアップ「特大」
    • ゲーム中に一定の確率でパワーアップカプセルの代わりに『ツインビー』シリーズのベルが登場する。
    • 『パロディウスだ!』以降の同名のシステムや原作のベルシステムと違い、ベルの効果や挙動が大きく違う。
      • 『パロディウスだ!』や『ツインビー』の「何度か当てる事で色が黄色以外の色になる」ではなく、ショットを当てるごとに色が変わる。
      • また、ベルを当てたあとの反動も『パロディウスだ!』以降と比べると大きい。
    • ベルの効果は下記の通り。いずれの効果も黄色を除き取得後即発動かつ一定時間のみ有効となる。
      ベルの色 効果名 ベルの効果
      黄色 (効果名なし) 画面内にいる敵が全滅する。(※ 一部敵・ボスは除く)
      『グラディウス』シリーズの青カプセルと同じ効果。
      白色 ヨコワープ 画面を横切ってワープすることができる。
      淡い緑 タテワープ 縦方向にワープできるようになる。
      水色 時間よ止まれ! 敵の動きが完全に止まる。
      紫色 菊一文字や! 画面内に1つ爆弾を設置できるようになる。その爆弾と同じ高さに到達した敵が消滅する。
      『パロディウスだ!』にも同一名称のベルパワーがあるが仕様が全く違う。
      水色 いたずらドリル 自機がドリルになり、敵・敵弾・一部の破壊可能な地形(つぶつぶ石)を破壊できる、言わば無敵状態となる。
      『パロディウスだ!』の巨大化に似た効果だが、ショットが撃てたり他のベルが取れたり破壊不可能な障害物に当たるとミス扱いになるなどの違いがある。
      緑色 上向レーザ 通常の武器と同時に上方に拡散するレーザーが発射される。
      『グラディウス2』のアップレーザー#2と同じ武装だが、こちらは上付きダブル(ダブル)と併用が可能。
      赤色 前向レーザ ショット攻撃が拡散レーザーになる。『グラディウス2』のベクトルレーザーと同じ。

その他の独自システム

  • 難易度セレクト
    • MSX版の『グラディウス』シリーズでは初となる難易度セレクトが追加された。タイトル画面で選択することができる。
      • 難易度は「1人で らくしょうパターン!」「2人で らくしょうパターン!」と、「1人で じごくを見る」「2人で 思わず しんけんになる!」の2種類。
      • 「らくしょうパターン!」はノーマルな難易度。「楽勝」と書いているが、過去のMSX版『グラディウス』に匹敵するほどの難易度。つまり十分難しい。
      • 「じごくを見る」「思わず しんけんになる!」はハードモードで、敵の攻撃が「らくしょうパターン!」よりも激しくなる。
  • プレイヤーセレクト
    • 本作はプレイヤーセレクトが採用されており、ゲーム開始前に好きなキャラクターを選ぶことが可能。
    • どのキャラクターを選んでもパワーアップは同じで、性能差は存在しない。プレイヤー、カプセル、オプション、バリア、死亡時のグラフィックがキャラクターごとに違うのみ。
  • 特殊カプセル
    • パワーアップカプセルとルーレットカプセル以外にも特殊なカプセルが出現することがある。いずれもエキストラステージ限定で、通常ステージで出現することはない。
      カプセルの色 カプセルの効果
      黄色 スコアを獲得できる。初獲得時は100点だが、一定時間内にカプセルを取得し続けると獲得スコアが段階的にアップする。
      最大1個獲得ごとに10000点まで上がる。また、場所によっては画面内に存在する限り無限に獲得できるカプセルが存在する。
      緑色 1UP。獲得した時点で残機が1機増える。最大99機まで獲得が可能。
      青色 「下付ダブル」という特殊な武装が追加される。通常のダブルとは違いレーザーと併用が可能。
      『グラディウス』シリーズの青色カプセルは敵を全滅する効果だったが、本作において同じ効果はパワーアップ「特大」の黄色ベルに割り当てられている。
      白色 「いたずらドリル」に変化する。パワーアップ「特大」の水色ベルパワーと同じ効果。

評価点

  • 原作の『グラディウス』とは全く違った可能性を引き出した「ギャグシューティング」というジャンルの確立。
    • 本作はこれまでの『グラディウス』シリーズにあったようなSF重視の世界観とは全く違い、過去作になかったようなポップな世界観に振り切るという大胆な路線変更を行っている。
      • 「ポップな世界観のシューティング」自体はいくつか存在しており、それこそコナミ自身も『ツインビー』を制作していたのだが、本作はギャグとユーモア、さらにはパロディをふんだんに取り入れることで『ツインビー』との差別化に成功している。
    • 結果、他のシューティングとは一風変わった新たなジャンルの開拓に成功した。
      • この成功は『パロディウス』シリーズとして続いていくこととなる。
  • ギャグ要素に恥じないグラフィック
    • MSX版『グラディウス2』や『沙羅曼蛇』で高い評価を得ていたデザイナーによるグラフィックの作り込みは、ファミコンよりも制限の厳しいMSXとは思えない程美しいグラフィックが書き込まれている。
    • 本作はギャグやパロディなどといった要素をふんだんに取り込んでいる事もあり、グラフィック面でも力を入れておりプレイヤーに笑いを誘う。
      • その中でも本作の爆発アニメーションは文字が1文字ずつアニメーションするグラフィックとなっており、その文字は「ほ」「ん」「げ」「ー」「ど」「し」「ぇ」「ー」「ぼ」「ん」「ぶ」「!」などと敵や自機によって違う。
      • ちなみに雑魚敵の爆発アニメーションは「ひ」「で」「ぶ」「!」どこかで見たことあるような台詞ではあるが、本作はその辺りを気にし始めるとキリがない。
  • SCC音源を使用した良質なクラシックアレンジBGM
    • 本作のBGMはほぼすべてクラシック楽曲のアレンジを採用している。
      • コナミが独自に開発した波形メモリ音源「SCC」で奏でる本作のクラシック音楽をベースとしたBGMは、他のMSX作品にはない独自の雰囲気を出している。
      • ただのクラシック音楽の演奏に終わらずコナミのサウンドスタッフによるアレンジが加えられ、本作の独自の雰囲気に合わせた楽曲が制作された。
      • これらの音源がファンを魅了し、本作の評価を大きく上げることになった。
  • 全てにおいておふざけ全開にもかかわらず、シューティングゲームとしての完成度は高め。
    • 本作はただのギャグ要素満載のシューティングで終わらず、シューティングゲームとしてもしっかりと作りこまれている。
      • 攻略パターンの構築やスコア稼ぎなどの『グラディウス』おなじみのやりこみ要素も健在。
    • 『グラディウス』をベースにしつつ、パワーアップ「大」「特大」と言った独自要素を上手く取り入れ、ゲームの完成度を高めている。
    • また、ステージ中のギミックも『グラディウス』には無かったいかにも本作らしいギミックを取り入れており、高い評価に繋がっている。
      • ただし、これらのギミック要素が全て受け入れられたわけではない。これに関しては後述。

賛否両論点

  • 人を選ぶギャグ要素
    • 本作のギャグ要素はデモ画面の語りやキャラクターのセリフ、そしてゲージまでありとあらゆるところに関西弁が使われており、雰囲気が完全に関西ノリになっている。
      • 『パロディウスだ!』以降の作品もギャグ要素が関西ノリに近いのだが、ここまで関西要素が強い作品はシリーズ中でも本作ぐらい。
    • また、グラフィック・テキスト面に関しても人を選ぶギャグ要素が存在する。
      • 「上付きダブル」や「多い日も安心」などと言ったテキストや、う○この形……もといそのままう○この敵キャラなど、下ネタ要素も普通に現れるため人を選ぶ。
    • その中でも6面の中ボスはかなり人を選ぶデザインとなっている。
      • 6面中ボスは「オーガンズ」と呼ばれており、『グラディウス』のラスボスである「ゼロス・ブレイン」のパロディ。
      • 「ゼロス・ブレイン」はいわば人体の脳をモチーフにしたデザインなのだが、「オーガンズ」はその逆側にある心臓から下の消化器をモチーフにしたデザインとなっている。
      • 元ネタが脳をそのまま露出したデザインになっているためこの時点で人を選ぶのだが、「オーガンズ」はそれに匹敵するレベルでのデザインとなっている。
    • しかもなぜかこの「オーガンズ」のデザインだけグラフィックの書き込みが細かい。そのため、他の敵キャラとは比べものにならない程のグロさが出ており、かなり人を選ぶ。
      • もっとも、配色の関係や主人公の姿、そして続編の『パロディウスだ!』以降のラスボスのイメージも相まって「タコに見えなくも無い」のがある意味救いではあるが。
  • 初見殺し多めのステージギミック
    • 本作はMSX版やAC版の『グラディウス』シリーズと比べると、「初見では攻略が難しい」要素が多く存在する。
    • 2面や3面の中ボス、エキストラステージのボスの攻撃*10、4面の迷宮ステージの構成といった「事前にわかっていないとあっさり死ぬ」箇所が多く、特に賛否両論が多いのが6面のボス前の地形。
    • 6面の終盤にプレイヤーが一切通れない柱が現れ、破壊箇所が一切無く何もしないとスクロールで死んでしまうというもの。
      • 回避方法はベルパワーの「ヨコワープ」を使うのみで、これ以外の手段はない。つまり障害物がプレイヤーに近づくまでに「ヨコワープ」を取得していないと死亡確定。
      • そのタイミングでベルが現れるのだが、このベルを逃すか「ヨコワープ」以外のパワー*11の取得を行った時点で死亡が確定するという理不尽極まりない構成となってしまっている。
      • ただ、MSXの『グラディウス』シリーズには、似たような巨大な壁を一発限りの超強力ミサイルで粉砕する(アイテム取得に失敗したり、先に撃ってしまうと通常武器で3連シャッターを速攻撃破する必要があるためほぼ死亡確定)とか、特定のアイテムを取っていないとバッドエンドとか、関連作品のカートリッジを同時に挿していないとバッドエンドと言った要素があるため、これも恒例のギミックと言えなくも無い。

問題点

  • カクカクスクロール
    • スクロールの挙動がスムーズなスクロールではなく「一定時間ごとに8ドット一気に進む」というカクカクスクロールになっている。
      • MSXにはスクロール機能が無かったため、仕方ないとも言える。*12
  • 「原作を遊んでいる」前提のゲーム設計
    • 本作は原作である『グラディウス』を遊んでいる前提でゲームが設計されている。
    • 元々『グラディウス』シリーズの作品であり、本作はそのシリーズパロディなので遊ぶ上での事前知識が必要なのは当たり前ではあるのだが、ゲージのUIが『グラディウス2』の流用のためゲージシステムはかなりわかりづらい。
      • これは『グラディウス2』にも同じことが言える要素なのだが、本作はパワーアップ名がすべてふざけた名前となっている。初めてプレイするプレイヤーにとっては何を選べばいいか全くわからない。
      • その中でもハズレである「何~やそれ!」はルーレットの取得に関係なく選ぶ事ができるため、何も知らないまま選んでしまった時ほど理不尽さを感じやすい。
      • 一応パワーアップの説明は説明書に書いてあるが、そもそも選択しているゲージ以外は名前が表示されていないため、『グラディウス』シリーズを遊んでいない人ほどわかりづらい*13
  • 意味を成していないキャラクターセレクト要素
    • 前述した通りキャラクターセレクト機能が実装されているものの、見た目以外が変わらないため意味のない代物となっている。
    • またエンディングは固有のため、キャラクター別のエンディングも存在しない。
    • 後作の「選んだキャラクターによって性能差が激しい」という問題こそ発生しない仕様なのだが、これはこれで味気がない。
    • 本作の1ヶ月前に稼働したAC版『グラディウスII -GOFERの野望-』では、キャラクターセレクトではないものの、自機の武装を選択できる機能があったため尚更問題を感じやすい。
  • 効果の薄い、もしくはほぼ意味がない一部ベルパワー
    • 本作はまだ『パロディウスだ!』以降のようなベルパワーが確立する前のシステムだったため、荒削りな部分が多い。
      • 全ての効果で言える事だが、『パロディウスだ!』以降のベルパワーと比べるとあまり役立つことがない。
      • 例えば「上向きレーザー」は上に拡散していくレーザーなのだが、そのレーザーの横が障害物に当たると消滅する。これは『グラディウス2』の同一の武装でも同じ問題を抱えており、それをそのまま流用したためベルパワーとしてはあまり役立っていない。
    • その中でも役に立たないどころかほぼ使えないのが「タテワープ」と「ヨコワープ」の2種類。
      • 前述の通り画面端を移動できる代物なのだが、どちらも攻略上役に立つ事は一切無い。
      • クリアに必要な場面がある「ヨコワープ」はともかく、「タテワープ」はステージ全体で上下に障害物があるため役立つ場面が一切無い。
      • 4面の迷宮面で明らかにタテワープが必要な場所が存在するのだが、そこは「タテワープ」が無くても移動することができる。
  • 完全運ゲーの2面ボス
    • 初見殺し要素が多い本作だが、それとはまた違ったベクトルの要素が2面のボスに取り入れられており、それがいろんな意味で理不尽な要素となっている。
    • 2面のボスは「ジャンケンポン」。巨大な左手の形をした戦艦の姿をしている。
    • ボス戦の直前に「グー」「チョキ」「パー」が置かれた細い分かれ道があり、プレイヤーはこの3つのいずれか1つを必ず取ることになる。
      • ヨコワープで回避はできるが、その時点で負けが確定する。
    • そしてボスが現れると、名前の通りじゃんけんが行われる。「じゃんけんぽん!」というセリフとともに、ボスが「グー」「チョキ」「パー」のいずれかに変形する。
      • プレイヤーが勝てばボスがそのまま自爆しクリア。引き分けはそのままボス戦に入る。
      • なお、引き分けのボス戦は相手が出した手の形のまま攻撃を始める。
    • このボスでの大きな問題点になっているのは負けた際の演出。
      • じゃんけんイベントでプレイヤーが負けると、なんとステージの最初へ強制的に戻される
      • 負けが確定した時点で有無を言わさず2面の最初へ戻されることとなり、回避手段は一切存在しない。
    • 1/3でやり直しを強いられるイベントが発生するこのボス戦だがじゃんけんは完全にランダムとなっており、補正は一切存在しない。
      • つまりステージ中の実績で勝ち負けが確定するようなことは一切ない。
      • 当然負け続けることによる補正もなく、運が悪いと延々とやり直しを繰り返される。*14
    • 『グラディウス』シリーズには無かった奇抜なステージギミックが多く実装されている本作だが、このボスだけは圧倒的に不評。

総評

「開発陣のストレス解消」が目的として作られた作品を1本のゲームとしてリリースした時点でギャグでしかない本作ではあるが、その経緯からは想像できない程クオリティが高く面白いゲームとして仕上がっており、「ギャグシューティング」の名に恥じず、かつコナミ製のシューティングとしてもユーザーが満足できるクオリティとなっている。
パロディウスシリーズにおいて『パロディウスだ!』以降しか知らないユーザーも十分楽しめる逸品となっているので、機会があれば是非とも遊んで欲しい。

移植版

知名度の関係もあり、販売から初移植までおおよそ10年近くかかるほど移植に恵まれなかった本作だが、2022年現在では移植は多数存在する。

  • PS版「コナミアンティークス MSXコレクション Vol.3」 / SS版「コナミアンティークス MSXコレクション ウルトラパック」
    • いずれもコナミMSX作品のオムニバス集の1本として収録。エミュレートであるためか移植度は高い。
    • SS版は生産数が少なくあまり出回らなかったのと、PS版はシリーズ中唯一ゲームアーカイブス化されていないので、中古価格はプレミア化している。
  • PSP版『パロディウスPORTABLE
    • 『パロディウスだ!』『極上パロディウス ~過去の栄光を求めて~』『実況おしゃべりパロディウス ~forever with me~』『セクシーパロディウス』に加えて本作も収録。
      • ただし本作のみ移植ではなくリファイン版が収録されている。
      • グラフィックを大幅に変更、アレンジ音楽の採用、フレームレートの向上などが行われている。
      • 本作の問題点であったカクカクスクロールが無くなってスムーズなスクロールとなり遊びやすくなっている。
      • 一方で、爆発が文字ではなく通常の爆発エフェクトになっていたり*15、ゲームオーバーBGMの未採用やアレンジ音楽の完成度が低いという点で賛否がある。
      • こちらも現在は通常版・廉価版共にプレミア化している。
  • Wii/WiiUバーチャルコンソール(VC)版
    • MSX版のVCコンテンツの1つとして登場。エミュレートのため再現度は完璧。
      • ただしエミュレートであるが故に、操作性がそのまま再現かつ中断機能以外のVCに合わせた調整がなく、コンティニューや裏技の入力はUSBキーボードが必須*16となる。
      • また、任天堂機器においては現行機種のSwitchに対応していない。現在はWii版VC、WiiU版VC共に配信終了となっている。
  • Project EGG版
    • VC版と同じくエミュレート版。月額制のコンテンツではあるものの、唯一WindowsPCで遊べる移植版となる。

余談

  • 本作は元々PC-88版『スナッチャー』の開発延期の間に制作されたもので、開発期間はおおよそ1ヶ月とされている。
    • そのため、制作時間の節約としてBGMがすべてクラシックアレンジになったとされる。
    • グラフィックでもペンギンが『グラディウス2』の隠し要素のデザインの使い回し*17だったり、ビッグバイパーがMSX版『沙羅曼蛇』と『グラディウス』2作のデザインの使い回しだったりと流用も目立つ。
    • プレイヤーセレクトやベルパワー部分の粗さはここに起因しているのかもしれない。
  • 本作は『コナミのゲームを10倍楽しむカートリッジ』に対応している。
    • このカートリッジはいわば公式のゲーム改造ツールで、対応しているゲームと共に使用すると改造や途中セーブを行う事ができる。
      • 本作では残機の設定やステージセレクト、途中セーブが可能となっている。これにより2面のジャンケンも直前でセーブしておけば何度でもクリアまで再チャレンジできる。
  • 本作が大ヒット……というより大ウケしたのか、続編となる『パロディウスだ!』が制作されることとなる。
    • 本作も含め、立ち位置的にはグラディウスシリーズの1つであったのだが、『パロディウスだ!』もまた大ヒットすることとなり、『パロディウス』シリーズとして展開されることとなる。
    • 移植の恵まれなさや『パロディウスだ!』があまりにも有名になりすぎたためか、「(『パロディウスPORTABLE』やWii/WiiUのVC等の)移植作品や動画サイトを見て初めて本作の存在を知った」という話は少なくはない。
  • 本作で出てきた要素は後作の『パロディウス』シリーズにアレンジされて引き継がれている。
    • 1面ボスの「ビッグペンギン」や4面中ボスの「クチビール」&「イレババ」。5面の墓場面、中ボスやボス戦の一部BGM等の要素は後の『パロディウスだ!』にアレンジされて再登場している。
      • よく勘違いされる話としては『パロディウスだ!』は本作のアレンジもしくはリメイクではないということ。
      • 実際に遊べばわかるのだが、『パロディウスだ!』は本作の要素が多く取り入れられているとは言え、ゲーム全体の構成や雰囲気が全く違う。
      • 家庭用版の『パロディウスだ!』のストーリーは本作のバグとの戦いの後の設定となっているため、話は繋がっており、続編扱いとなる。
    • 本作のゲージ名は『実況おしゃべりパロディウス』の実況音声の台詞として採用されている。
      • レーザーを取得すると「多い日も安心」、バリアを取得すると「バ~リアッ!」の台詞がランダムで発生する。
    • 6面終盤の通行不可ギミックは後作である『セクシーパロディウス』にも出現する。
      • こちらは本作と比べると回避手段が多数用意されているため、攻略自体は難しくない。ただし強制的なランク上げにはなっているが……。
    • 3面のBGMはGB版『パロディウスだ!』のオリジナルステージの氷面で「Frozen Symphony」という曲名でアレンジ収録されている。
  • 本作はやけに当時のテレビの番組やCMのネタが多い。
    • サブタイトルの「タコは地球を救う」は日本テレビ系の番組「24時間テレビ ~愛は地球を救う~」が元ネタとなっており、パワーダウンゲージの「何~やそれ!」はフジテレビ系のバラエティー番組「オレたちひょうきん族」のコントが元ネタ。
    • レーザーゲージの「多い日も安心」はエリエールの「ロリエ」、タコを選んだ際のカプセルの缶らしきアイテムは当時販売されていた「タコボーイ」というタコっぽい顔をしたキャラクターが目印の缶チューハイ「サントリータコハイ」、1面のボスのペンギンが投げていた缶ビールは当時「パピプペンギンズ」という青いペンギンが採用されていた「サントリーCANビール」*18がそれぞれ放送されていたCMが元ネタとなる。
  • 本作のサントラはオリジナル版の「ORIGINAL SOUND OF パロディウス(MSX VERSION)」、カップリング作品の「レジェンド オブ ゲームミュージック ~プレミアムBOX~」に収録されている。
    • また「ミュージック フロム コナミアーケードシューティング」に早期購入特典として同梱されていた。
    • いずれも現在は入手不可。中古価格はすべてプレミア化している。
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最終更新:2023年05月09日 16:06

*1 MSXリリース時はレーティング制度が存在していなかったため無し

*2 デモ画面より。この文章自体が『グラディウス2』の「惑星グラディウス史記XIII 序文」のパロディ

*3 週刊アスキー2014年11月13日掲載「MSX30周年記念記事『スロット&スプライト』」最終回より。

*4 デモ画面の最後に本当にそのまま表示される。

*5 他にはSFC版『グラディウスIII』、WiiWareの『グラディウスリバース』でも本作の仕様と同じエキストラステージが採用されている。

*6 それぞれ説明書より抜粋。ゲーム中には記載されていない。

*7 『パロディウスだ!』以降のルーレットシステムは空のゲージを当てた場合、選択した先にあるパワーアップ可能なゲージが適用される。

*8 後に「ペン太」と名付けられるが、当時は「ペンギン」のままだった。

*9 『グラディウス』シリーズで主に活躍する戦闘機の名前は「ビッ“ク”バイパー」である。誤字なのか意図的なのかは不明だが、次回作以降では「ビックバイパー」に修正されている。

*10 ザコと同じサイズのボスが現れるのだが、その攻撃がボスの倍以上のサイズのレーザーを撃ってくるというもの。そのデザインから予想できない攻撃のため初見殺しとなってしまっている。

*11 無敵になれる「いたずらドリル」が存在するが、これは障害物を貫通できないため意味が無い

*12 MSX2には縦方向のスクロール機能があり、MSX2+とMSXturboRには縦横両方向のスクロール機能があるのだが、『MSX用』として製作する以上、この問題は避けられない。

*13 『ライフフォース』や『ゴーファーの野望 エピソードII』などの一部のゲームを除き、『グラディウス』シリーズのパワーアップの並び順はSPEEDからOPTIONまですべて同じである。

*14 とあるレビュー記事で「3回連続で負けた」という報告もあるほど。

*15 一応自機側にはあるが、「ぼ」「ん」「ぶ」「!」に統一されてしまった。

*16 MSXも『パソコン』なのでキーボードは標準装備。コンティニューは「ゲームオーバー時にキーボードのF5キーを押す」、裏技は「キーボードのF1キーでポーズを行った上で文字を直接入力する」。

*17 カートリッジスロットが2つあるMSXでは、1つ目のスロットに『グラディウス2』を、2つ目のスロットに『夢大陸アドベンチャー』を挿して起動すると『グラディウス2』の自機がペンギンになる。

*18 このネタは『夢大陸アドベンチャー』の一部演出でも採用されている。