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se・きらら - (2020/03/28 (土) 18:40:03) のソース

*se・きらら
【せきらら】
|ジャンル|純愛アドベンチャー|CENTER:&image(sekirara001.jpg,width=160)[[高解像度で見る>https://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=1005&file=sekirara001.jpg]]|CENTER:&amazon(B003EBQLGO)※figma版|
|対応機種|Windows 2000~7|~|~|
|メディア|DVD-ROM 1枚orダウンロードソフト|~|~|
|発売・開発元|native(マックスファクトリー)|~|~|
|配信日|2010年3月26日~2011年2月28日|~|~|
|定価|通常版:''無料''&br;figma同梱版:2,800円|~|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|
|備考|''現在は配信停止''|~|~|
|判定|なし|~|~|
|ポイント|''業界史上初の無料エロゲー''&br;シナリオが色々予想外すぎ&br;主人公にやや問題あり&br;最終シナリオは救いがないモノが多い|~|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
アニメ・漫画作品などの高品質なフィギュアの企画開発を行っている企業「マックスファクトリー」が、グッズメーカーである「native」を発売元としてエロゲーを開発、しかし''「社長の鶴の一声で無料配布することが決まった」''という非常に特殊な経緯を持つ作品。~
本作のウリは業界史上初の「完全無料エロゲー」((携帯電話ゲームによくある「序盤は無料だが続きを読むために課金が必要」という形式でもない。課金要素が一切ない、本当の完全無料である))((これまで、生産終了となった過去の作品や、小規模なファンディスク的な作品を、無料配布したり雑誌付録にする例は数多くあった。だが本作ほどの作り込み度と規模の新作ゲームを無料配布する例は前代未聞である。))であり、ニコニコ動画での協力もあってか10万DLを記録するに至った。~
肝心の出来はというと、グラフィックやシステム面では及第点。致命的なバグもない。しかしストーリーがそれはもう色々と予想外すぎる展開だらけであった。

**問題点
***シナリオ
キャラクター紹介と合わせて、各ルートの概要および問題点を説明。
#region(ネタバレを含むため閉じています。)

-上条咲
--本作の主人公。短気かつ場の空気に流されやすい性格であるためからかわれやすい。過去の記憶が曖昧。
--また、やや意固地なところがあり、変なところで頑固。

-河村優
--咲の幼馴染。甲斐性と社交性を併せ持つ魅力的な妹系キャラ。主人公を「咲ちゃん」と呼んでおり、(ありきたりな展開ではあるが)咲に想いを寄せている。
--優ルートは咲の言動のせいで評価は微妙。それでも他と比べるとまともなほうではある。
---優はルート突入前から咲にそれなりの好意を寄せていたが、咲のほうは頑としてその態度を受け入れない。しかも''優ルートに入ったら入ったで、一度優を力強くフッてしまう。''当然他のキャラからも強く糾弾され、紆余曲折あって一応二人は結ばれる。
--優ルートは全て咲がぶち壊してしまっているため、咲の性格をある程度許容できる人でないとやっててイライラするだろう。優には何の落ち度もない。
--また、優ルートのみルート突入後も選択肢が多く存在する。しっかり正しい選択肢を選んでいかないと、バッドEDになってしまう。

-神楽亜矢
--財閥の娘だが、それを鼻にかけず周囲の人に友好的に振舞う。どんちゃん騒ぎが好きで、本作のムードメーカーといえる存在。
--亜矢ルートでは早々に咲と肉体関係になるが、今度は亜矢が''「私達ってセ●レだよね」と決めつけてしまう。''これにより、お楽しみシーンは楽しめるが、イチャラブを期待したプレイヤーは微妙にがっかりした。
--しかし最終的にはしっかり恋人同士になり、咲の性格の悪い面も問題になっていないため、シナリオはそこそこ評価がいい。
--ちなみに亜矢は公式で行なわれた人気投票でも堂々の1位となっている、これにはシナリオ的にもキャラ的にも納得のいく結果と言えるだろう。

-深雪真奈
--同級生を冷めた目で見ている問題児。しかしてその正体はライブを愛する歌姫。
--真奈のシナリオは割と倫理的に危ないシーンが続くものの、NTRといった鬱要素はない。ただし、''「真奈の貞操観念の低さ」をどう受け止めるか''によって好き嫌いがはっきり分かれる。
--余談だが、真奈のステータスは声優とことごとく符合している。製作者が狙ってやったのかもしれない。

-秋山望美
--同級生だが見た目は幼女キャラ。このゲームのキーマンと言える存在。実は後述する「藤巻安子」を消すためにやってきた存在。しかし、この時点では安子の正体は絶対にわからないため、プレイヤーは''1馬身ほど置いてけぼりを食うことになる。''
--ちなみに消すというのは比喩でもなんでもなく、「この世界から存在をなかったことにする」行為である。

-志津野泉
--主人公の姉のような存在、なのだが、彼女のシナリオに入ると、唐突に泉が巫女さん姿になり、和風ファンタジーばりのバトルを繰り広げる。''…あれ!? これなんてゲームだ…?''
---ただし神社の娘であり巫女をやっていると言うのは最初からある設定ではある。流石に魔法少女物な展開になるとは誰も思わなかったが。
---しかも、とどめの演出が胸を丸出しにして乳首からビームを放ち、「お還りなさーい!」と叫ぶもの。流石18禁作品…と言えば良いのだろうか?
--無論、この設定に関する伏線などは一切なし。破天荒すぎて「伏線など要らない」とも言えるが。

-藤巻安子
--教師。本名は「やすこ」だが音読みによる「あんこ」が呼びやすいためそう呼ばれる。
--その正体は別の世界から来た科学者で、咲の部下。実は本作の舞台は咲が作り出した「理想の世界」であり、本来の地球は滅びが間近に迫っている荒廃した世界。''…あれ!? これ(ry''
--その滅びが近い地球にて救世主として生み出された咲が現実逃避の為に逃げ込んだのがこの世界であり、安子はそれを追ってきた。ただし咲の幸せを優先している為、見守るだけで無理やり連れ戻す気は無い。
---ぶっ飛んだ内容の泉シナリオを含め、上記5人のシナリオはある意味「咲が望んだもの」。それなのに優ルートで意固地になって彼女をフッた理由は謎だが。
--望美が安子を消すのは、この世界に存在してはならないイレギュラーな存在であるため。本来なら咲もイレギュラーな存在なのだが、創造主だからかノーカウント。ただし既に独立した世界として機能している為、もう咲の思い通りにはならないし、咲が居ても居なくても問題ないそうだ。
---進め方によっては咲はこの世界で幸せに暮らし、安子は消されてしまう。本来の地球は見捨てられた事に。
---トゥルーエンドだと二人で元の世界に帰ることになる。その場合ヒロイン達の記憶から彼らの存在が消えてしまうが、本来の地球には希望が残ることになる。実際に地球が救われるかは「ご想像にお任せします」と言う洋画式エンドだが。
--ちなみに、安子とのお楽しみシーンはなんと&bold(){CGを分割したダイジェストでお送りされる}。なんという手抜k…もといエコロジック。

-水樹将太
--咲の悪友。よくいるエロ男。
--ちなみに、彼は最終シナリオ(安子シナリオ)では有無をいわさず死んでしまう。''救いがねえ。''

#endregion

-特に問題となったのが望美、安子ルートのシナリオ。彼女らのルートにおける、いわゆる「超展開」は賛否両論を招いた。~
とはいえ、このような二元構造・メタフィクション的構造を持った物語は昔から存在し、さほど珍しくはない。同ジャンルである成人向けPCゲームの範疇内でも、例えば『[[マブラヴ]]』や『[[AIR]]』などの前例が存在しており、人気を博していた((『マブラヴ』はむしろ第二部以降の方が人気が高く、多数の外伝作品が作られている。さらに第二部以降のみに登場する巨大戦闘ロボのアクションフィギュアやプラモデルまで発売されている。))。

-では、なにがいけなかったのかというと、意表を突いたシナリオ展開から来る驚きよりも、「このゲームに望んていたものはこれじゃない」という失望感の方が大きかった点である。大半のプレイヤーはこのゲームに「ほのぼの学園もの」を期待していたのである。奇をてらったシナリオ展開は話題を呼びやすいため、処女作をこのような内容にした判断は理解できなくもないのだが、本作ではそれが裏目に出てしまい、かなりの賛否両論、それも「否」の方に傾いた評価となってしまった。

-事前の宣伝と実際の内容を食い違うものにして話題性を煽る広告展開は一時期流行した物だが、本作配信の時点では既に使い古された感のある手法であった。それでも十分に優れたシナリオを備えているのならば、そのような広告手法も功を奏するのであろうが、王道展開(悪く言えば量産型、テンプレ)と違い、超展開を納得させるだけの力量をシナリオライターに問う手法でもある。
--とりわけ安子シナリオは、短い上に説明的過ぎるという意見も多い。

**評価点
-無料とは思えないクオリティの高さ。下記の背景盗作問題を除けば、主だったバグや不具合もない。シナリオは賛否両論の結果になってしまったが…。

-声優は大物が多く、ビジュアルも(エロゲーの)流行り((お楽しみシーンが肌色一色でのっぺりするのを避ける為か、陰影が濃いのが一般的。普段は薄いが、お楽しみシーンになると突然濃くなる作品もある。又はCG(一枚絵)だからとグラデーションを多用する作品も多い。))からは逸れたアニメ塗り((現代はTVアニメも基本的にCGだが、セル画時代と同じ手法を使い、グラデーションはほぼ使わない。逆にエロゲーでもムービーシーンではアニメ塗りだったりする。アニメ塗りで無いと動かすのが大変なのだろう。))なため、やや新鮮に感じることもできる。

-主題歌、EDテーマ(流れるのはトゥルーのみ)を歌うのは橋本みゆき氏。この他、挿入歌(作中で真奈が歌っている)が2曲ある。

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**総評
エロゲーとしては平均的レベル(まともな部類)の凡作。むしろ無料である点を考慮すれば十分過ぎるクオリティである。~
無料という事もあり、このゲームが初めてプレイしたエロゲーになった諸兄も多いのではないだろうか。~
だが無料である事が裏目に出て、普段エロゲをやらない層(超展開に慣れていない層)にまでプレイされ、多くの批判の声に晒される結果となってしまった。

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**余談
-マックスファクトリーの社長であるMAX渡辺氏は、[[こちらのブログのインタビュー>http://blog.livedoor.jp/geek/archives/50996100.html]]にて、この作品の辿った経緯について語っている。
//-後にパッケージ版が発売されたが、生産数が少ないためfigma同梱版ともどもプレミアがついている。もっとも無料配布の為、作るほど赤字になるから仕方が無い。
//--ちなみに説明書が非常に薄く、内容はキャラの紹介とfigmaの発売予定、ユーザーサポートに注意書きのみでストーリーや動作環境すら載っていない(表紙を入れても8ページという薄さ)。パッケージもただのCDケースである。
//--前述の盗作問題により一時配布を休止し再配布時は背景の差し替えが行われたため、(差し替え前しか存在しない)パッケージ版には更に希少価値が付いた。
//---尤も希望小売価格が0円の為、中古屋も扱い(値段付け)に困っているそうな。

-本作の2名のシナリオライターがテックジャイアン誌の取材(お姉さまの逆襲)に対し、MAX渡辺氏から「そんな普通でいいのか? もっと書きたいものを書くべきだ」と煽られたと答えている。ただし発売直後であり超展開な事は伏せられていた頃の記事のため、この発言のせいで超展開になったのか、元から超展開だったのを更に悪化させたのかは不明。

-figma同梱版は、付属した亜矢のfigmaが初の「裸ワイシャツ」(※パンツははいている)だった為、好きなキャラを裸ワイシャツにする(首を挿げ替える)目的で複数欲しがるfigmaファンもいた。なお、2,800円という値段は当時のfigmaの平均的価格とほぼ同じ((余談になるが、現在(2018年)のfigmaは6000円前後が標準、大柄な物や装備品が多い物は1万円を超える。フィギュアの全体的な値上がり傾向を実感させられる。))なため、ゲーム自体が無料なのは変わらない。
--こちらはfigma中古品(つまりゲームの方がオマケ)として普通に取引されているそうだ。
--亜矢も含めたヒロイン5人(制服姿)のfigmaも順次発売された。
--配信停止した現在では、figma同梱版もゲームをプレイするために買う価値がある。

//---亜矢も含めたヒロイン5人(制服姿)のfigmaも順次発売された。本作品自体、figmaの宣伝目的で無料配布したゲームとも言われている。
//この解釈は、MAX渡辺氏へのインタビュー記事の中で否定されています。氏いわく「当初は有料販売するつもりで作っていたが、ある日いきなり無料配布を決めた」「採算については全く考えていない」(大意)。
//-現在では無料配信は終了している。ただし、過去に漫画化に伴う配信再開が行われたため、今後も時々配信されていくものと思われる。 

**盗作問題
-無料配布からしばらく経った後、背景などをフリー素材から丸コピペしたことが発覚。
--そのため2010年4月頃に急遽配信を一時停止。問題となった個所を差し替えた上で再配信となった。