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ギガンティックドライブ - (2013/04/30 (火) 00:33:41) のソース

*ギガンティックドライブ
【ぎがんてぃっくどらいぶ】
|ジャンル|アクション|&amazon(B0000691M0)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|エニックス|~|
|開発元|サンドロット|~|
|発売日|2002年8月29日|~|
|定価|7,140円|~|
|ポイント|90年代ロボットアニメ風アクション&br()ゲーム上の自由度が非常に高い&br()プレイスタイルによってはバカゲーとなる&br()[[あのシリーズ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1560.html]]とは意外な関わりが…|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
 「機人」という巨大ロボットをリモコンによる遠隔操作で操り、「ヴォルガーラ」と呼ばれる侵略者の巨大ロボットと戦う3Dアクション。~
 ロボットの四肢それぞれに対応したキーを操作する独特の操作性は、1999年にヒューマンから発売された『リモートコントロールダンディ』のものをそのまま受け継いでいる。ゲームの構成や展開にも似た点があり、実質的なリメイクとも言える作品である。((今作を開発したサンドロットは、リモダンの開発に携わったスタッフがヒューマンから独立して立ち上げた。))~

**特徴・評価点
-今作の最大の特徴は機人の操作性である。右腕・左腕・右足・左足がそれぞれ違うキーに対応しており、まさしく「一挙手一投足」まで操ることが可能。
--特に腕はスティックを動かした通りに動き、動かし方によって威力も違う。強い攻撃をあてられると中々爽快。
--ゲーム内に登場するコントローラーは、PS2のコントローラーのようなデザインになっている。((これは『リモートコントロールダンディ』も同様。))

-また、機人の操作はリモコン操作であり、主人公もマップ内にいて操作できる。機人操作時は主人公キャラの一人称視点となり、自身の操作は出来なくなる。
--遠すぎると戦いが見えにくくなり、近すぎると迫力はあるが戦闘に巻き込まれるリスクが出るため、自キャラの位置取りも中々重要((機人のHPがゼロになっても、主人公のHPがゼロになってもゲームオーバーとなる。))。
--ちなみに、自機の上はもちろん敵機の上にも乗ることができる。ただし、すごく上下に揺れて見にくい。

-プレイし始めはこの独特の操作や操作時のキャラ視点など癖まみれの為上手く立ちまわれないことも多いが、プレイしていく過程でどんどんと上達を実感することができる。

-戦闘で得た報酬を使って機人を強化することもできる。新技を使えるようになったり、消費武器の弾数を増やせたりする。
--機人は3体あり、それぞれ特性が違い覚えられる技も違う。
---''ヴァヴェル'':最もバランスが良い機人。唯一つ完全なる機人であり、ストーリーでも核となる重要な存在。
---''ライオール'':飛行要塞(ほぼただの飛行機)に変形できる。素早いが攻撃と耐久が低い。
---''グラング'':自走要塞(でかい戦車)に変形できる。実弾兵器多数搭載。攻撃と耐久が高いが動きが鈍い。

-戦闘の多くは住宅地やビル街であるが、マップ内にある建物は全て破壊可能。敵をビルが乱立している方へ吹っ飛ばすと爽快。
--『リモートコントロールダンディ』では、街が損壊した場合修繕費を払う必要があったが、今作では街の損壊度や一部建物が無事か否かで報酬の増減はあるが、マイナスのペナルティが発生することはない。''事故か故意かを問わず壊し放題''。
--ただし、話によっては防衛ミッションもあるので、時と場合によっては立ち周りに注意。
--友人のバイト先やライバルキャラの会社や工場など、破壊することでイベントが発生する建物もある。ただし、これらは壊さずにいることによって得られるメリットも存在する。
--ストーリーを進めると主人公がグレネードを使うことができるようになるのだが、そうなると主人公単独でも街の破壊が可能に。

-ストーリーによっては、他のキャラがプレイヤーの後ろに同行することもある。が、別に護衛義務もないため、気にせずプレイして問題ない。逆に、グレネードで攻撃したりと遊ぶこともできる。一定ダメージを受けると倒れたまま動かなくなりレーダーからも消えるが、ペナルティもなくイベント発生やミッションクリアの際に復活する。
--ただし、あまりにもただのおまけのため、何のために設置されたのかはよく分からない。もうちょっと何かあってもよかったのに。

-ストーリーはかなり王道的。シリアスな部分も多いが、主要キャラで死ぬ人はほぼいない。1人だけ死ぬことのあるキャラがいるが、これも余程狙わない限り死なない。
--主人公が機人と心を通わせて覚醒させるシーンや最終話の展開などは、ベタだが非常に熱い。
--設定もしっかりしていて、序盤から謎めいた部分もちらちら見せてくるため、ストーリーも先が気になる作りになっている。
--キャラクターはフルボイスかつ声優陣もかなり豪華。いずれも中々の個性持ち。
--ちなみに、登場キャラの内、友人2人(女)には恋愛値が設定されている。ただし、高かった方がエンディングに出てくる程度のものである。
---女主人公の場合のみ、中盤から出てくる助っ人キャラ(男)も加わる。ただし、女友達両者ともに値が低かった場合という消極的なルートの為、基本的には''百合展開がデフォルト''。

-基本真面目なストーリーと設定だが、ギャグ要素や恐らく意図したわけではないだろうがシュールで笑える要素などバカゲー的な部分も多い。
--舞台となる架空の街「千丈市」内は、AI操作による無人パトカーが巡回しているのだが、これがお構いなく人を撥ねまくる。主人公の場合は撥ねられるとダメージも食らう。また、ヴォルガーラに突っ込んで勝手に爆発炎上することも多々。なんなんですかコレ。
---会話イベントなどが発生するときキャラの立ち位置をうまく合わせるとイベント中に撥ねさせることも可能。イベント中はキャラが固定される仕様なのか、撥ねられても押されるだけで吹っ飛ばないためパトカーと接触し続け、断続的に悲鳴が響き続けるというかなりシュールな事態になる。
--友人の1人は貧乏の果てに、パンを水で煮たという「パンの水スープ」なる料理(?)で生活していたことが判明する。
--この友人のバイト先の八百屋がスーパーに客を取られていることを知り、スーパーを壊そうか悩む主人公。実際に壊してもOK。
--機人では、車はおろか人間すら掴むことが可能。しかも、遠くに投げ飛ばすこともできる。
--オペレーターの住んでいるマンションを破壊すると嫌味を言われるイベントが起こる。何回か繰り返すとイベントは起きなくなるが、壊す度に通信で愚痴を言われる。

**問題点
-演出が長く、カット不可。初回はともかく、負けてやり直す際などには非常に見るのが億劫。
--好きなステージだけやれるミッションチャレンジではストーリーパートはカットできるものの、デモはカットできない。というか戦闘もカットできる仕様であり、デモはこの戦闘部分に張り付いているため、デモを飛ばしたらミッション自体が終了する。
--また、操作中にも会話イベントが挟まると操作が中断される。敵の動きも止まるためその点で不利なことはないが、プレイのテンポは大きく損なわれる。

-序盤に特に多いが、機人をただ動かすだけの水増し的ミッションがある。チュートリアルではあるが、別に戦闘中に教えてくれたところで不都合点はない。第1話だって基本操作はいきなりの実戦であった。
--しかも、レクチャーが任意のものもあり、レクチャーを受けなかった場合それだけで終了する。

-主人公の扱いがぞんざい。シナリオ上の話ではなくゲーム上の話。
--主人公は熱血漢(男)、クール(男)、ロボオタク(女)の3人がいる。3人いるといってもこの中で選んだ1人が主人公になるだけで、3人全員が話に登場するわけではない。
--加えて、セリフの言い回しなどが違うだけでシナリオの展開には一切違いがないため(この点が、上記の女主人公の百合に繋がっている)、性格の設定の存在理由がない。
---性別で男か女かの2つならともかく、男が2人いる必要性が皆無。
--主人公達にはちゃんと名前の設定がされているが、本編では共通の名字である「月岡」以外では、「理事長」「あなた」「お前」などでしか呼ばれない。ただ、フルボイスの上主人公選択式のため仕方ない部分ではある。
---が、エンディングのキャスト欄では役名が「主人公1」「主人公2」「主人公3」。キャラ名を設定した理由とは一体何であったのか。

-機人の性能差は決してバランスがとれているとは言えない。というかライオールが強すぎる。
--いくら耐久と攻撃が低いといっても、素早さと手数で補って余りある。
--また、必殺技やその他特殊な攻撃にはエネルギーを要するのだが、この回復方法が歩く(一歩ごと微量回復)か打撃攻撃(ヒットさせると結構回復)のため、ライオールの場合すぐ溜まる。
--エネルギー消費技なものの、攻撃力と攻撃範囲に優れた「雷撃砲」という武器が初期装備でついている。
--極めつけは最終奥義。ゲーム開始時に主人公機に選んだ機人のみ、ストーリー後半で1度の戦闘で1回だけ使える最終奥義を覚えられるのだが、ライオールのそれは、''ラスボスすら一撃で沈める''高火力。
--半面で鈍重なグラングは、敵の種類や状況によってはハメられることもある。

-また、ヴォルガーラは「ファントムシステム」という遠距離攻撃を回避する能力を持っていて、これを停止させた後でなければミサイルやビームは通用しないのだが、破壊する方法は直接殴ること。煙を吹き始めるくらいまではひたすら殴り合うしかないため、機人ごとの戦い方の差異があまりなく必殺技程度しかバリエーションを楽しめない。

-機人のギミックやモーションは非常に凝っているのだが、人間の方はというと着地モーションがない、ダメージモーションが1種類しかないなど少しお粗末。攻撃で吹き飛ばされた際の、表情を変えず固定のポーズで飛んで行く様は何ともシュール。 
--まぁ、このような部分は後のサンド作品にも見られるためある種の恒例ともいえる。

-対戦で使えるヴォルガ―ラは、本編通りの能力を使えないものがいる。本編内の演出などの都合によるもので仕方ない面も大きいのだが。
--一番格下のヴォルガ―ラ「レイバラー」の上位種「サイレン」は、本編では一定距離内に機人が近づくと機人の操作ができなくなるという仕様だったが、対戦では幾らでも近づける。レイバラーは光線が2種類あるのに対しサイレンは光線1種類しかないため、劣化レイバラーという有様に。
--軍将機と呼ばれる上位機体の一角「幻神」は、本編では無数のサテライトマシンによりただのパンチにすら反応するファントムシステムを誇っていたが、対戦でそんなものを持ちこめるはずもなく…((本編ではあちこちにいるサテライトマシンを全て倒した後直接倒すという展開。))。
--同じく軍将機の一角「風神」は、「レプトンガス」という毒ガスを放出して街に充満させていた。これによりビルの上など高所にいなければダメージを受けてしまうようになっていた。対戦では毒ガス放出のギミックは使えるものの使ったところで何も起こらない。直接プレイヤーに浴びせても無害。

**総評
 自分自身でロボットを操縦しているような独特の操作体験がすばらしい作品。敵をビルもろとも殴り飛ばすなどプレイで得られる爽快感も中々。~
 しかし、そういった長所を削いでしまうような演出も少なくないなど惜しい部分も多い作品。~
 海外においても、ロボットの操作などアクション部分は高い評価を受けつつ同様の点が問題点として挙げられていた。~
 とはいえ、他のロボット系ゲームにおいては見られない自分が操作しているかのような一体感を得られる独特の操作性は、一度体験してみても損はないだろう。

**余談
 サンドロットの代表作であるかの『[[THE 地球防衛軍>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/1241.html]]』がSIMPLEシリーズという低価格作品にして高い完成度を誇っているのは、今作のゲームエンジンを流用しているためであるというのはファンの間では有名な話である。~
 建物の造形やそれらを破壊できる要素などは地球防衛軍にも見受けられる他、レイバラーの鳴き声が蟻の鳴き声にそのまま流用されている。