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RPGツクールDS - (2023/01/12 (木) 11:50:52) のソース

*RPGツクールDS
【あーるぴーじーつくーるでぃーえす】
|ジャンル|コンストラクション|CENTER:&amazon(B002SW3MZI,image)※重大なバグあり、購入時要注意!|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|メディア|256MbitDSカード|~|
|発売・開発元|エンターブレイン|~|
|発売日|2010年3月11日|~|
|価格|5,460円(税込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|&bold(){致命的な容量不足}&br;理不尽な機能や仕様&br;フリーズ含む大量のバグ&br;タッチパネルを使った操作性は好評&br;Wi-Fiを使ったコンテストは予想外の好評&br;最終的には使い方次第|~|
|>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
誰でも手軽に自分で考えたオリジナルRPGを作れるゲーム、『RPGツクール』シリーズのDS版。~
ゲーム制作における容量設定は通常の「FULLサイズ」と、DSのダウンロードプレイ機能を活かした「DPサイズ」の2種類があり、DPサイズで制作したゲームはDSさえあれば本作を持っていない人にも受け渡すことができる。~
さらにWi-Fi通信による公式コンテストの開催や各素材のダウンロード配信、『[[FFXI>ファイナルファンタジーXI]]』のイラストレーター・皆川史生氏の起用などで話題を呼んだが…。

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**特徴
発売前から、転職ができない、変数が使えない、属性そのものがない、耐性もないなどの仕様発覚で嘆くツクラーが続出した。~
だが実際はそれすらも小さな問題に過ぎず、&bold(){コンテストに必須のDPサイズの容量制限が異常に厳しい、DL素材にかかる容量消費も異常、バグの多さも異常}という、制作以前の根本的な部分で大問題を多く抱えていた。~
そんな散々な状態であるため、素材が良くても非実用的で意味がない、操作性が良くてもバグの多さゆえにプレイはストレス要素が多いなど、いい部分も見事に活きず発売当初はどうしようもない状態であった。

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**問題点
***容量不足
-前述したDPサイズの消費容量設定が余りにも厳しく、最大の問題点とも言われている。
--人もいない、イベントもない空っぽの城マップを1つ配置するだけで40万消費。街も同様に30万消費。
--更に、そのマップにパーツを''1個置くだけ''で30万消費。全容量は''116万''なので、この時点でほぼ使い切る。
--音楽1曲で10万~20万消費。つまり、戦闘曲と町の音楽とダンジョンの音楽を使うだけで軽く30~60万を消費する。
--加えて、魔法のエフェクト1つにつき最大で10万、宝箱1個で5万、モンスター1匹のグラフィックで最大3万消費という有様。
--このような容量消費になっているのは、プレイに必要な素材の分も合わせてダウンロードする必要があり素材ごとに容量設定されているためである。
--DSさえあれば誰でもゲームをプレイしてもらえるはずだったDPサイズだったが、容量消費があまりにも激しく使いにくいだけという結果となった。
---加えて、第1回コンテストは''DPサイズで作らなければならない''という制限付きだった。コンテストについては後述する。

-FULLサイズで作るにしても前述の仕様の上、[[GBA版>RPGツクールアドバンス]]と比べて容量は2倍、だが消費量は4倍なので、''実質の容量はGBA版の半分''。
--フィールドマップはサンプルのものを使うだけで全容量''12万5千''の内3万3千を消費するため、どのみちフルでも足らなくなる。
--本作の売りの一つでありpixivとキャンペーンを張ったDL素材も、容量消費が激しく使い勝手は微妙。なにせ、DP・FULLサイズ両方とも''公式のデモ画面1枚を再現しただけで容量が枯渇する''のである。
--サンプルゲームは容量を2万6千しか使っていない超手抜きで、クリアまでわずか10分。だがDPサイズではその程度でも余裕で容量オーバーする始末。
---内容自体はいたって普通でバランスも適切なのだが、城下町にたどり着いた途端、「この冒険の続きはキミが作る!」的な終わり方で、もはや単なる手抜きというよりは投げやりにも感じられる。
---発売日から宝物庫で配信されていた攻略本連動サンプルゲーム『サンプルクエスト~天空の谷の神隠し~』があるので、サンプルゲームとして収録するのならこちらの方が良かったのでは? という意見もあった。

**理不尽な仕様・バグ及びその対応
-転職できないのに、キャラクター8人に対して作れる職業の枠が何故か16種ある。
--つまり絶対に8種余る。当然ゲーム中でそれらを活かすことは不可能。
---この謎の仕様は、通信機能による友達が作ったデータを保存するための枠である。もっとも今作は設定の幅が異様に狭く、データをもらわなくても口頭で伝えてもらうだけで自分で簡単に作成が可能。
--この仕様のせいでキャラクター作成の手間を増やすだけのシステムになっている。
---転職や職業システムがないRPGツクールではキャラクターを多めに登録して転職したら入れ替えるなどという設定をするのが一般的。今作では職業→キャラクターという風に設定が必要。しかし転職イベントを作り出せない以上、蛇足でしかない。

-ボスも含めて属性や敵の状態異常の耐性を設定できない。
--麻痺・沈黙・毒などがラスボスまで問答無用で効いてしまうので、バランス調整として「状態異常攻撃を使えるのは敵側だけ」「状態異常治療可能なボスを設定する」などの対策が必須となる。
--属性(例:火・水・土・風)の概念もなく、魔法ダメージが全て設定値で決まる。耐性もないので「弱点」という概念を作れず誰が使っても一緒の効果になる。
---だがアイコンやアニメーションだけ見ているとさもあるように思える。まさにプロモーション詐欺そのもの。

-転職・変数以外にも様々な機能が削られている。
--レベル、ステータス引き継ぎ不可。/ステータス増減アイテム&イベント不可。
--特技忘却イベント不可(特技習得は可)。
---これらにより、転職を擬似的に再現するのも困難になっている。
--特技効果のあるアイテム設定不可。
---「使用すると『ファイア』という魔法の効果が発動する」といったものは作れない。
--主人公に触れてくるイベント不可。
---つまり、シンボルエンカウントが作れないということ。
--ATOKを搭載したためか、容量節約可能なランダムメッセージやキーワード登録機能不可。
--レベル下げイベント不可(レベル上げは可)。/アイテム数指定イベント不可。
--テストプレイしながら作る機能不可。

-その他上記の属性・耐性設定がないことに加え、戦闘に関する細かな不満点も多い。
--戦闘のテンポがやや遅め。
--即死攻撃が作れない(大ダメージで無理やり演出するしかない)。
--戦闘中にメッセージを出せない。
--上記に挙げた仕様・機能には、前世代の携帯機作品である『RPGツクールGB』、『~GB2』、『~アドバンス』は勿論、PC版の初代の劣化移植とも言える『[[RPGツクール SUPER DANTE]]』ですら設定できた項目もある。ハード性能は上がっているのに、なぜこうも削除された機能が多いのか……。

-フリーズバグを含め、多数のバグが存在する(詳しくは[[こちら>https://web.archive.org/web/20191112052114/https://tkool.jp/support/faq/rpgds/rpgds_faq]])。
--一例として、「戦闘画面のコマンド対象選択時において、A・Bを同時押しするとフリーズ」という要注意のバグがあるのだが、これについてのメーカー側からの返事が以下の通り。
--->パーティ最後尾のメンバーの行動を選択する際、[A][B]ボタンを行なうと画面停止が発生いたしますのでご注意ください。
--->上記のタイミングにて、[A][B]ボタンを同時に押さないようにすることで回避できます。
--->(通常操作では[A][B]ボタンを同時に押す必要はございません)。
--このように役に立たない対処法というか、このバグに気付いた人なら誰でも分かる返事。&bold(){というか対処法ですらない。}&color(Silver){まあ、このフリーズは''全く同じフレーム''で同時押ししないと発生しないので、偶発的に遭遇することはほぼないのだが。}
--この他にもフリーズバグが存在するのだが、不具合と認めたものもあれば、仕様と押し切るものもあったりする。もっとも不具合と認められても&bold(){今のところ交換の予定はなし}。

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**評価点
-素材のクオリティはかなり高い。「2000やVX(どちらも好評のPC版)で使いたい」という声が2chの本スレで上がる程。
--「ちびツクDS」という、モンタージュ方式で歩行グラフィックを作れる機能が搭載され、使えるグラフィックが更に多彩になっている。  
--特にBGMは過去最高の出来栄えと評判。

-仕様の関係もあるが、初心者向けのツクールとしては悪くない。
--DSのタッチパネルを生かした操作は初心者にも優しく好評で、付属ツールも豊富でDSだけで作成できるので''とっつきやすさとハードルの低さだけは''優秀。
---GBA版と同じく「建物を作ると内部も自動で作成」や「広間と通路を組み合わせるダンジョン」等作りやすくする仕様もある程度は残されているので作成時間の短縮や見栄えを良くし易い。
--ネット認証やアップデート等の始めるまでの準備が不要でソフト内に素材作成ツール付属し、カメラで写真も取り込める。
--FULLサイズでも『RPGツクール SUPER DANTE』レベル([[ドラクエI>ドラゴンクエスト]]位)がせいぜいで他の制約もあって凝ったゲームは作れないが、かえってそれが気軽に作りやすいと言う見方もできる。
--DPサイズならDSだけ所持していてソフトを持っていないユーザーにも送れるので配布に関しても容易。
--制約の酷さや容量が少ないので「内輪ネタを題材にした1発ネタ」をRPG化して仲間内で楽しむ分には最適である…屁理屈もいいところだが。

-DPサイズでも1度呼び出した素材はFULLサイズと同じ消費になる。 
--1つのダンジョンをマップ上限30まで使いまわし、180階まで水増しするなども可能。

-すでに過去の事例であるが、自分で作った作品をWi-Fiを利用して簡単に受け渡したりコンテストに投稿することが可能であった。
--当時のPC版ツクールやコンシューマーツクールで自分の作った作品を他人にプレイさせるには外部媒体を使用したりちょっとした専門知識が必要だったりハードルが高かったが、本作はWi-Fiコネクションを使うことによって簡単に作品を配布できる仕組みを搭載していた。
--期間限定だったとはいえ事前チェックが通ればコンテスト会場を通じて多くの人にプレイしてもらうことも可能でさらにコンテスト入賞作品は、ツクール城の宝物庫からDLしてプレイすることもできた。
--現在はWi-Fiコネクションのサービス終了により作品の配布はできなくなっているが、後のツクールでも作った作品を簡単に投稿できる仕組みが実装されている点を踏まえると、「作品を手軽に公開・配布できる要素」の存在は大きかったとも言えるだろう。
//--コンテストがなかったら『RPGツクールDS』で製作することはなかった人もいたらしく、PC版ツクールに比べても作品を気軽に公開できる場所の存在は大きかったと言える。

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**総評
DPサイズ限定のコンテスト開催前は不具合や仕様の問題から「ツクール史上最大の黒歴史」「KOTY2010最終候補入り間違いなし」と思われる程の酷評であった。~
多くのツクラーが本作に見切りをつける中で、それでも何とか作品を作ろうと残ったツクラーもいた。~
この残ったツクラー達が厳しい仕様の中で試行錯誤を重ねていた結果、DPサイズ限定コンテストの作品公開開始を境に徐々にだが盛り返していく。~
他人の作った作品のやりとりがWi-Fiコネクションを通じて簡単にできた事も重なって当初は失敗間違いなしと思われたコンテスト自体も一応の成功を収めた。

一方でバグや理不尽な仕様で評価を大きく下げてしまったのも事実であり、ツクラーの間では境遇の似ている『4』と同じ轍を踏んでしまったという評価に落ち着く形となった。~
曲りなりとも前作よりも出来ることが増えた『4』と決定的に違い、本作はこれまでの携帯機シリーズと比べて進歩するどころか退化している点が多く、完全に同一視は出来ないが。

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**余談
-据え置き、携帯機のツクールは今までに修正版の出荷や交換対応は皆無なのでバグに関しては絶望的。もっとも、バグ修正したところで糞仕様は変わらないのでクソゲーのままなのだが…。
--ちなみに後日なんと''「猿楽庁」がデバッグを担当していたという事実が発覚。''『[[カルドセプト サーガ]]』の反省はどうした。(詳細はリンク先を参照)

-''容量が少なすぎる''、''フリーズバグが存在する''、''サンプルゲームの内容が手抜き''というのは同社の過去作品にも共通するものである。
--本作と同じく問題点が多いことで知られる『[[RPGツクール4]]』・『[[シミュレーションRPGツクール]]』・『[[RPGツクール2003]]』があるが、本作はそれを軽く凌駕するレベルである。
//本作の問題点は過去作品などとは比べ物にならない。
--''さらに、バグなのか不具合なのかそういったよろしくない点を「仕様です」の一言で片付けてしまう態勢をも受け継いでいる。''…どうやらメーカーの方は、''9年の時を経てなお反省していない''ようである。

-総評でも触れた通り携帯機版KOTY2010に本作の選評が持ち込まれたが、ツクラー達の涙ぐましい努力によって問題の多い本作でもそれなりの作品が作れるというのが実証された為か、最終的には選外となった。
--選評案の最後には「冒頭でツクラーたちをRPGの冒険者になぞらえて紹介したが、彼らこそがRPGツクールDSという悪夢を打ち砕くために戦う勇者たちなのかも知れない…。」と書かれていたが、まさしくその通りになった形である。%%しかしながら、果たして選外となったことを素直に喜んでいいものやら。%%

***ツクール城コンテスト
-恒例のコンテストは、Wi-Fi通信を使ってユーザーが実際に投稿された作品をプレイして評価するというユーザー参加型になった。
-ツール自体が上記のように数多くの問題点を抱えており、初期段階で多くのツクラーが本作に見切りをつけユーザー離れが進んでいたことから、第1回のDPサイズ限定コンテストに投稿する人もほとんどいないだろうという予想に反しコンテスト会場開設直後の公開作品数は200作品という当初の想定を大幅に上回る投稿数となった。
--これはWi-Fi通信によって今までのコンテストより投稿のハードルが大幅に下がった事に加え、本作に見切りをつけず残った一部のツクラー達の情報交換によって重箱の隅を突くような容量削減・節約といった''DPサイズ作品の作り方の研究が進捗''し、工夫すればそれなりの作品を作ることは可能という事がわかったのが大きかったと思われる。
--その後も1週間辺り約150作品が随時追加公開され、DPサイズ限定の第1回公式コンテストでは実に1000((その内訳は、開始数秒で終わる一発物やDPサイズにもかかわらず長時間遊べる本格的なRPG、育成シミュレーションなどピンキリであった。参考までに2001年頃行われた第5回Eコンのコンストラクションソフト部門の総投稿数は約500作品である。))作品以上が投稿され、予想を大幅に上回る投稿数の多さから公開期間が2ヶ月延長された。
--これらのコンテスト作品は無料でプレイでき、コンテスト作品をプレイするためにソフトを確保する人も存在し場所によっては新品・中古とも出回りにくいという現象も起きた。

-DPサイズのツールが優れているわけではないが、それを作者の力量により使いこなせれば、[[第1回のDPサイズ限定コンテストの入賞作品一覧>https://tkool.jp/products/rpgds/contest2010]]のような良作も作れるというのはこのコンテストの結果が証明した形となり、失敗間違いなしだと思われた第1回のDPサイズ限定コンテストも一応の成功を修めたと言っていいだろう。

-第1回コンテスト入賞作品発表後に第2回コンテストの開催が決定。変更点としてFULLサイズ限定となり、応募に関しては第1回と比べやや厳格化((第1回ではDS1台につき3作品まで応募可能だったが、第2回ではDS1台につき1作品、タイトルと作者の記入は必須項目となった。))している。
--1週間辺り約100作品が新規公開され、総投稿数は第1回並の約1000作品が投稿された。

-1週間に100作品以上公開されるが、その都度簡易審査((ユーザー評価やバグ報告等を元に、一定の基準を満たさなかった作品は公開終了となる。そのため作りかけのような作品はもちろん、評価の高い良作であっても進行不能バグ1つで公開終了という可能性もある。))が行われた。この簡易審査の基準にDL数も含まれていたために、場合によっては投稿された作品がほとんどプレイさせてもらえずに公開終了になるケース((RPGというジャンルは長時間のプレイが必要になりやすい性質上、きちんとプレイし評価できる作品の数には限界があり、全作品をプレイする事は事実上不可能。))があった。
//--投稿作品は原則事前チェックを経て合格した作品が公開されるが、中には著作権に抵触する作品や過去ツクール作品のサンプルゲームを丸ごと再現した作品が公開されてたりとチェック体制に問題がある部分もあった。

**その後の展開
-続編として『[[RPGツクールDS+]]』が登場した。本作よりはマシになっているが、ツールとしての優秀さをバグが台無しにしている点は変わっていない。
--また本作の悪評もたたって、売上は相当悲惨な事になってしまった。詳しくは当該項目にて。
//内容的に本作ではなく続編の話になっているためこちらに移動

-ツクール城コンテストは第2回のコンテスト終了後以降は、続編の『RPGツクールDS+』で開催されることになった。
//内容的に本作ではなく続編の話になっているためこちらに移動

-本作の素材の優秀さによる好評を受けてか、後に『[[RPGツクールVX Ace]]』用の素材集として本作の素材がSteam及びDEGICAツクールストアにて販売されている。
--『[[RPGツクールMV]]』発売後、そちらの規格に調整したバージョンも発売された。