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バトルサーキット - (2018/09/22 (土) 18:34:44) のソース

*バトルサーキット
【ばとるさーきっと】

|ジャンル|ベルトアクション|~|
|対応機種|アーケード(CPシステムII)|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|稼動開始日|1997年|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|カプコン製ベルトスクロールアクション最終作&br()買い物システムによるパワーアップ|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
近未来を舞台に賞金稼ぎのサイボーグとしてお尋ね者を追うベルトスクロールアクション。~
それまでのベルトスクロールアクションに付きものであった、暴力表現を売りとした作風から一転、コミカルなアニメ風の明るい世界観とキャッチーな演出を押し出した一風変わった作品である。

筐体設定により最大4人協力プレイ可能。~

現時点でのカプコン製ベルトアクション最終作である。

**基本システム
''基本操作''
-「攻撃」と「ジャンプ」の2ボタンで、全方位に対しレバー2回入れの「ダッシュ」も使用可能。他にも「チャージショット」やパニッシャーでいう「手榴弾」に相当する「バトルダウンロード」、各キャラの固有コマンドが用意されている。
--更に2人密着して同時にメガクラッシュを発動すると「シンクロバースト」という画面全体攻撃を発動させる事が可能。

''買い物システム''
--ステージ開始時に稼いだゼニーで買い物をして自機のアップグレード(パワーアップ)が可能
---パワーアップの内訳は必殺技の強化((例えばブルーの場合、メガクラッシュが画面全体を攻撃する事が出来るギガクラッシュに変化したり、チャージショットを極太ビームに強化できるようになる等))やバイタルゲインユニットによるライフの増加と多種多様。~
ショップでは残機も購入可能な上、バトルダウンロードに必要なダウンロードユニットも買える。

**プレイヤーキャラクター
-サイバーブルー
--本作の主人公に相当する青い服を着た正統派サイボーグ。バトルダウンロードは攻撃力アップ。
--CVはリュウやダンテ等、カプコン主人公を演じることも多い森川智之氏。
//『[[北斗の拳>北斗の拳シリーズ]]』で有名な原哲夫氏のサイボーグ漫画『CYBERブルー』(1988年)を知ってか知らずか?

-キャプテンシルバー
--チームリーダー。『ターミネーター』シリーズに登場するT-1000みたいな銀色で変幻自在のナノマシン型であり、攻撃時に上半身が杭に変形したりする(腕も頭も一体化して1本の杭になる)。バトルダウンロードは防御力アップ。
--CVはブルースや、MVCでキャプテンコマンドーを担当した長嶝高士氏。
//同名のゲーム(1987年。データイースト)も存在するが、こちらは海賊物なので『CYBERブルー』ほどやばくはない。

-イエロービースト
--黄色い毛皮(髪は赤)のキャットウーマン型サイボーグ。バトルダウンロードはスピードアップ(ただし攻撃力が下がる)。
--この世界では獣人型サイボーグも一般的なのか、副業でファッションモデルをしている設定。そのためかバトルダウンロード発動時、他のキャラがポーズを取るだけなのに対し、彼女だけはドレス姿に変身すると言うネタも(あくまでも発動時の一瞬のみ)。
---ちなみに、同じ女性獣人キャラである同社『[[ヴァンパイア>ヴァンパイアハンター]]』シリーズのフェリシアと異なり、全身が獣毛で覆われており緑色のレオタードを着ている。((フェリシアの場合、獣毛が部分的にしか生えておらず素肌の面積が多い。しかも獣毛の生え方のせいで水着姿っぽく見えるが実質素っ裸である(その上に服を着ているシーンが描かれることもあるが、戦闘中は基本的に裸)。余談だが同作の狼男ガロンは変身後もズボンをはいている。))
--担当声優は山本美由紀女史。

-エイリアングリーン
--地球語を喋れない(翻訳機を使用している)植物型宇宙人。敵っぽいデザインだが仕草自体は愛嬌があるので、そういった点では主人公側らしくはある。バトルダウンロードは体力回復。
--見た目とは裏腹にハガー市長やフーバーの流れを継ぐパワーキャラの立ち位置だが、スピードやリーチは標準レベルで非常に高性能なキャラクター。
--翻訳機の性能が悪いという設定か、セリフ字幕の最初に意味不明な記号の羅列(おそらくノイズの再現)が付き、語尾に「おま」が付く…という個性的なしゃべり方。ある種「カプコン製[[シュマちゃん>MARVEL SUPER HEROES]]」ともいえる。

-ピンクオーストリッチ
--お金が大好きなピンクのオーストリッチ(ダチョウ)のサイボーグ。ジャンプボタン連打で飛行(移動は遅い)も可能。バトルダウンロードは一定確率でクリティカル。
--背中に相棒(交渉役)の女の子を乗せているが、彼女はサイボーグではない。

**評価点
-万人向けな難易度
--本作は稼いだ賞金によるパワーアップシステムがあったり、敵の攻撃の予備動作が基本的に大げさで見てから対処出来る場合が多いなど、同社ベルトスクロールアクションの中でも難易度が低い部類に入る。また、出血等の残虐表現も無い。
---と言っても従来通り難所も存在するので決して簡単すぎる訳ではないが、総合的にはかなり難易度を抑えられて作られている。
---所々にプレイヤー有利な仕様が存在するのも、難易度を低めに保つのに役立っている。残機0のときの根性補正((本作では残機が0の場合、「ライフゲージがゼロの状態で一撃を喰らわないと」ゲームオーバーにならない。逆に言えば体力が1ドットでも残っていれば、どんなに敵の攻撃が大ダメージのものであろうと1回は確実に耐えることができる。))((根性補正を利用し体力回復の取り方を工夫することで、土壇場でかなり粘ることができる。))や、簡単なイベントをこなせば無料で必ず手に入るバイタルユニット(体力上限の増量)など。
#region(さらに…ネタバレ注意)
---ラストに、すでに起動してしまった天帝プログラムをどうするか迫られるが、条件と選択によっては真のラスボスと戦うことになる。すると賞金稼ぎ達の依頼主であるハリーが「人類の危機だから」ということで、''無料で攻撃用データをフルアップグレードしてくれる''(ショップの技が全て入手できる)。
---大ピンチに何の援助もしてくれない依頼主はいろんなゲームにごまんといるが、本作ではとても太っ腹である。どんなキャラ・どんな状況でも腕次第で真のラスボスを倒せるように調整されており、プレイヤーを熱くさせてくれる名演出となっている。
#endregion
-過去作のネタの多さ
--本作では元ネタ探しが熱すぎる過去作の良点・特徴的攻撃の塊のようなトリビュート作品となっている。
--例えばプレイヤーキャラの「エイリアングリーン」が同社ベルトアクションのパワーキャラの位置づけとなっており、名前もハガーやフーバーのパーソナルカラーである「緑」から取られていると思われる。
--そもそも基本仕様の大半が『[[パニッシャー]]』準拠かつチャージショットが『[[エイリアンVSプレデター (AC)]]』のリン=クロサワのBタメ技「双頸波」からの引用、ブルーのダッシュキックが『キャプテンコマンドー』のそれと同じ、グリーンの通常投げが『[[パワード ギア]]』のフォースクローに近似、ピンクの基本思想が同じく『パワード ギア』のパワーバグに近似、単体最高ランクの回復アイテムが『キャプテンコマンドー』同様天丼である、などなど。
--その他、「天帝」という単語が『ロストワールド』からの引用である。他にも細かい点を探せば、様々な過去作オマージュが隠れている。

-コミカルで派手な展開
--本作ではコミカルな世界観での「賞金稼ぎVSお尋ね者VS悪の天才科学者」という古き良きアニメのような図式がテーマのため、『[[ファイナルファイト]]』などに比べてノリが明るい。
---さながらカートゥーンアニメやタイムボカンのようなノリ。
--敵を殴ると金が飛び散るなど画面効果も適度に派手で見た目にも楽しい。またステージボスを撃破するとド派手な爆発エフェクトが発生し、プレイヤーを驚かせる。
--更に1エリアの長さが短くテンポが良い上、中ボスの数も多い。
---エフェクトなどは使い回しが多いが、使い回しが異常に上手いのも密かな見所。

-相変わらずのコンボの楽しさ
--本作では過去の同社ベルトアクション同様コマンド技による「格ゲーのようなコンボ」や「空中コンボ」の概念がわかりやすく導入されており、実行も比較的しやすい。他のベルトゲームアクションにはない爽快感をお手軽に味わえる。
--簡単操作で爽快なコンボが決められるだけでなく、工夫次第では1人プレイの時点でも自由度や華麗さは『[[エイリアンVSプレデター (AC)]]』や『D&D シャドーオーバーミスタラ』などにも匹敵する。

-にぎやかな多人数プレイ。
--本作では多人数プレイ時、人数が多いほどプレイヤー側に爆発的に傾いていくというパワーバランスとなっている。
---つまり多人数であるほど有利になるという楽しい調整となっている。
--本作での多人数プレイ時の自由度は圧巻。4人がかわるがわるデスリフトハメ、1人1発ずつ殴ってパンチハメなどのテクニックを駆使し、息が合ったチームでプレイすればボスキャラは遊び道具と化す。
---もともと難度が控えめな作品であるため、気軽に楽しめるのは大きなプラス。経験者の先導があれば、残り3名が初心者でもスムーズに遊べるレベル。

**賛否両論点
-良くも悪くもライトなノリ
--上記通りカートゥーン風な世界観。本作ではナイフや銃などの拾って使う武器が登場せず、コミカルで残虐表現が無い作品でもある。この点は従来作のような暴力表現による爽快さを求めていたプレイヤーには不評だったようだ。

**問題点
-前半面の難度が高めで出鼻を挫かれやすい
--本作の1面はベルトアクション未経験の人でも非常に簡単にクリアできる難度だが、続く2面ボスのジョニーは体力が一定値になるとスピードアップして格段に強くなる初見殺し、3面ボスのバーバラはカプコン伝統の2面殺し(本作では3面だが)、と前半に難所が集中している。おまけに1面のクリア後には理論上バイタルユニットを買う事が出来ない。
--だが、同じカプコン製のベルトアクションで、クリアが楽だが操作方法が非常に複雑な『D&D SOM』とは異なり、レバー+2ボタンのシンプルな操作方法でハードルも低く、中~後半面にかけてキャラが強化されて強くなっているという実感が現れやすい為、同社のベルトアクションの中では初心者に勧めやすい部類の作品ではある。

-プレイヤーキャラ性能に結構差がある。
--同キャラは使えないため、4人同時プレイだと誰が何のキャラを担当するかで少し揉める可能性あり。お金を稼ぎやすいかどうかもだいぶ違う。
--プレイヤーの中で強キャラと言われているのは、投げが非常に強力でダウンロードで体力を回復出来るグリーン、お金・スコア共に稼ぎやすくハメ技も多いイエロー、浮遊時に出せる攻撃が強力かつ攻撃を受けにくいピンクの3名。
---3キャラのうちグリーンとピンクはイロモノに分類されるキャラ。一方でスタンダードなヒーロースタイルのブルー(とシルバー)はややテクニカルな立ち居地。
---特にグリーンは単体でも十分に強力だが、アップグレードでバトルダウンロードの回復量を増加させることが出来る「ヒーリングプラス」を購入する事ができるため、ただでさえ死ににくい本作において更に死ににくいキャラになっている。初プレイの人にも多人数プレイ時にも強い。
---イエローのバトルダウンロードで攻撃力が下がる副作用は点数やコイン稼ぎをし易いと言う利点にもなっている。逆に言うとブルーの攻撃力アップは稼ぐ前に敵を倒してしまうので微妙と言える(点数はまだしもコインを稼ぎ辛い=買い物をし辛いため)。

-グラフィック面での迫力
--恐らくは多人数プレイの都合上と思われるが、敵味方共にキャラクターのサイズが小さめに描かれているため画面全体がチマチマしている印象が否めず、ベルトスクロールアクション特有のサイズ大のキャラを操りサイズ大の敵と殴り合って戦う迫力は旧作と比べて薄めである。

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**総評
ファイナルファイトのヒットにより金字塔を打ち立てたカプコン製ベルトスクロールアクションゲームの集大成にして終着点となった一作。~
コミカルなキャラクターや軽快なストーリー、簡単に繰り出せるアクション群といったにぎやかなビジュアルが特徴的。ゲーム自体の難易度もベルスク入門者から上級者まで幅広く対応している。~
稼働から長らく家庭用移植が行われなかった関係で幻の作品とも扱われていたが、現在は現行の家庭用ハードで配信中。値段もリーズナブルなので是非プレーしてみて欲しい。

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**余談
-元々ベルトアクションですらなかった。
--''当初は「8人同時プレイ可能なレースゲーム」の企画であり、開発もかなりの進捗まで進んでいた''事がシークレットファイルで語られている。
---「チキチキマシン猛レース」っぽい雰囲気のコミカルな世界観はこの時の名残であるとも語られている。
---「バトル''サーキット''」といういかにもレースゲームっぽいタイトル((サーキットには「集積回路」という意味もあるため、サイボーグ(機械人間)である主人公達とひっかけたダブルミーニングとして使われている。元々はもちろん「モータースポーツの周回道路」のことを指しているのだが、いずれにしろ上手い具合に名づけたものである。))や、Dr.サターンを含め何かに乗っている敵が多かったり、道中のボーナスステージがレースっぽいのもそのため。
--紆余曲折を経て、カプコン製ベルトアクションの有終の美を飾る作品となったわけである。
---ただし本作の制作プロデューサーにとっては相当苦い経験になったようで、先述のシークレットファイル内の開発秘話で「各方面に多大な迷惑をかけてしまった」「申し訳ない」などの言葉が散見されている。こうした経緯もあり、かなりヒットした作品にも関わらず商用的には惨敗だった(開発期間や費用をかけすぎたため、大して儲からなかった)らしい。
---ちなみにレースゲームバージョンもほぼ完成に近い処まで作られていたらしく、当時の開発スタッフの一人はそのROMを今でも所有しているとか。

-海外版との差異
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-イエロービーストの名前
--''海外版では「Yerrow Iris」(イエローアイリス)。''英語圏で女性に「ビースト((けだもの。アニマル(動物)より野蛮な意味合い。いやまあ女子レスラーとかなら名乗るかもしれないが、一応ファッションモデルだし。))」は良くなかったのだろう。
---ちなみに国内版でもハリーから名前を呼ばれる際、ブルー・グリーン・ピンクは色で呼ばれるのに対し、リーダーであるシルバーが「キャプテン」と呼ばれるのはともかく、イエローも「ビースト」と呼ばれている。統一されていない理由は不明。

-エイリアングリーンの口調
---なんと''普通に喋る''(日本語版字幕では意味不明な文字が並べられた後に日本語訳が付く)。

-ボイス
--国内版の声優が英語のセリフを併せて演じている。国内版にも音声データはあり、サウンドテストやサントラで海外用のボイスが確認可能(他のカプコン作品でも言える事だが)。

-敵の強さ性能
--体力が全体的に国内版よりも多め。
---また、爆撃を行ってくる敵の爆弾連射力が格段に上がっている。

-「天帝システム」の名称
--「天帝」ではなく「SHIVA」。
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-オールクリア時「スペシャルボーナス」のオーバーフロー
--真のラスボス撃破後、全ボス撃破合計時間(最高100万点)・所持金(1コインにつき5000点)・残機(1機につき200万点)でそれぞれ莫大なボーナス得点が得られるのだが…。
--''スペシャルボーナス合計点が6710万8863点(2の26乗-1)を越えると、スペシャルボーナスがオーバーフローを起こす。''その結果、0点からループしたわずかな得点しか得られないバグがある。
---何度も何度もコンティニューし、コンティニュー時に得られるわずかなコインをしつこく入手して所持金が13000コインほどあるとまず間違いなく遭遇する。
--しかし、実際は現在の全国一位でも6200万点ほど(イエロー)であるため、幸いにもスコアラーを泣かせる事態には至っていない。

-サントラの収録ミス
--真のラスボスの出現条件を満たせないまま7面をクリアしてしまった際の「ノーマルエンド確定時BGM」が収録漏れしてしまっている。曲名も不明。
---ちなみに、過去にも『パニッシャー』や『キャディラックス 恐竜新世紀』のサントラでも収録漏れをやらかした前科がある。

-他の作品へのゲスト出演
--『[[CAPCOM FIGHTING Jam]]』でフェリシアのエンディングにて、イエロービーストがゲスト出演している。
---内容は「フェリシアのミュージカルショーの様子がコマ割り漫画風の1枚絵で流れる」というものだが、多くのカプコン女性キャラがバックダンサーという扱いの中で、イエロービーストは%%マイナーキャラなのに%%フェリシアと共に中央で踊ると言う優遇を受けている。おそらくカプコン作品では極めて貴重な女性獣人キャラ、職業も同じショービジネスと言う共通点からだろう。
---また『[[ULTIMATE MAVEL VS. CAPCOM 3>MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds#id_29c9ae2c]]』のフェリシアのDLCのコスチュームパックでイエロービーストそのものの姿になれるコスチュームも登場している。
--この他、彼女以外のキャラはサイバーブルーが『カードファイターズDS』のアクションカードと『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』のキャプテンコマンドーの超必殺技にてアシストキャラとしてそれぞれゲスト参戦している。

-移植
--本作は稼働から長らく家庭用ハードへの移植が行われなかったが、2018年9月14日にSwich/PS4/Xbox One/PC『カプコン ベルトアクション コレクション』が発表され待望の家庭用移植が決定した。