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バトルサーキット - (2021/01/31 (日) 03:00:14) のソース

*バトルサーキット
【ばとるさーきっと】

|ジャンル|ベルトアクション|~|
|対応機種|アーケード(CPシステムII)|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|稼動開始日|1997年|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|カプコン製ベルトスクロールアクション最終作&br()他作品の象徴的アクションを上手く統合&br()稼いだ賞金で自機をアップグレード&br()控えめの難易度とコミカルで明るい作風|~|
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#contents(fromhere)
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**あらすじ
>2001年、人体の機能を99%引き出す事が出来る生体チップが完成した。~
そのチップをサイボーグ手術で人体に埋め込むと、その手術の成功率の低さと引き換えに驚異的な運動能力を得る事が出来るのだ。~
人々は、その能力を得て人を越えたサイボーグたちを羨望と畏怖の念を込めてこう呼んだ。~
バトルサーキット(戦闘回路)と!
>(プロモーションパンフレットより抜粋)

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**概要
近未来を舞台に、賞金稼ぎのサイボーグとしてお尋ね者を追うベルトスクロールアクション。~
それまでのベルトスクロールアクションに付きものであった、暴力表現を売りとした作風から一転、コミカルなアニメ風の明るい世界観とキャッチーな演出を押し出した一風変わった作品である。

筐体設定により最大4人協力プレイ可能。~

現時点でのカプコン製ベルトアクション最終作である。

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**基本仕様
''操作方法''
-1レバー2ボタン式。Aで攻撃、Bでジャンプ。
--8方向の「ダッシュ」「ダッシュ攻撃」、前方・垂直方向の「ダッシュジャンプ」、通常ジャンプからの「追い打ち攻撃((いわゆるジャンプ膝蹴り。地上の敵に当ててもダウンせず、ダウン状態への追撃にも使える。))」、3回まで出せる「掴み攻撃」と周囲の敵を巻き込む「投げ」、ダウン付きの4段目までスムーズにつながる「通常攻撃」、その3段目をキャンセルして前後に投げ分ける「キャンセル投げ」、高性能の緊急回避技「メガクラッシュ((体力消費は標準値の1/6と多いが、敵・砲弾・ドラム缶などに当てなければ消費せず、動作中~終了後の1秒間は無敵。また、敵の掴み攻撃・投げを喰らった際も、ダウン確定前ならいつでも使用可能。))」を完備しており、非常に快適。
--他にもストック式のゲージを消費して一定時間パワーアップする「バトルダウンロード」(以下、BDLと表記)、長射程の「チャージショット」、いわゆる強攻撃の「ストライキングアタック」、コマンド入力による「必殺技」、ダウン状態の敵を担ぎ上げる「追い打ち投げ((移動・ジャンプ・地上投げ・ジャンプ投げが可能。また、グリーンの掴み状態と違い、ジャンプするたびに捕縛時間がリセットされる。))」といった、豊富なアクションが用意されている。
--さらに、協力プレイで2人密着してほぼ同時にメガクラッシュを行うと、画面全体攻撃「シンクロバースト」に変化する(命中時に双方の体力を消費)。

''アップグレードシステム''
-各ステージの終了時、それまでに稼いだ賞金で自機のアップグレード(パワーアップ)が可能。
--アップグレードの内訳は技の追加・強化((例えばブルーの場合、メガクラッシュが画面全体攻撃「ギガクラッシュ」に変化したり、極太ビームを放つフルチャージショット「サイバーキャノン」を追加する等。))、バイタルゲインユニットによる体力ゲージの増加、BDLゲージの回復、エクステンド(1UP)と多種多様。
--途中で使用キャラを変えても、アップグレード状況はリセットされない(同額の項目同士がリンクしている)ので安心。

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**評価点
-万人向けな難易度
--本作は「稼いだ賞金によるアップグレードシステムがある」「敵の攻撃の予備動作が基本的に大げさで、見てから対処しやすい」「協力プレイで同士討ちが起こらない」など、同社ベルトスクロールアクションの中でも難易度が低い部類に入る。
---ただし、デフォルト設定は残機1、スコアによるエクステンド無し(コイン1000枚との交換は可能)と厳しめ。また、従来通り難所や高火力の敵も存在するので、決して簡単すぎる訳ではない。
--所々にプレイヤー有利な仕様が存在するのも、難易度を低めに保つのに役立っている。使用制限なしのチャージショット(≒飛び道具)、空振り無敵により先手を取れるメガクラッシュ、敵に掴まれた際のレバガチャ(ノーダメージ脱出も可)、残機0での根性補正((本作では残機0の場合、「体力0の状態で一撃を喰らう」とゲームオーバーになる。逆に言うと体力1以上であれば、どれほど大きなダメージであろうと1回は確実に耐えられる。これを利用し回復アイテムの取り方を工夫すれば、土壇場でかなり粘ることができる。))、死亡時に3個出現するアイテム、復活時に2まで回復するBDLゲージ、5面で簡単なイベントをこなすと貰える2個目のバイタルゲインユニット(体力ゲージ増加+全回復)など。
#region(さらに…(ネタバレ注意))
---7面クリア時、条件((「高得点」「技の習得数+バイタルゲインユニットの入手数≧6、またはコイン1000枚以上」の2つ。))と選択によっては真のラスボスと戦うことになり、依頼主のハリーが''無料でフルアップグレード(全技習得+体力ゲージ最長化)してくれる''。
---大ピンチに何の援助もしてくれない依頼主はいろんなゲームにごまんといるが、本作ではとても太っ腹である。必ず最強状態でラストバトルに臨めるだけでなく、プレイヤーを熱くさせてくれる名演出となっている。
#endregion

-個性豊かなプレイヤーキャラクター
--5名の賞金稼ぎたちは個性派揃い。ヒーロー戦隊のように色分けされた上で、外見・性格・性能のいずれも大きく異なるため、プレイの幅が広い。
//プロモーションパンフレットに基づき一部修正。
#region(サイバーブルー)

-本作の主人公に相当する、青い服を着た正統派サイボーグで、本名はブライアン・ブルーノ。CVはリュウやダンテ等、カプコン主人公を演じることも多い森川智之氏。
//『[[北斗の拳>北斗の拳シリーズ]]』で有名な原哲夫氏のサイボーグ漫画『CYBERブルー』(1988年)を知ってか知らずか?
--「青いキャラがチーム随一の実力者で、敵を燃やしたり痺れさせる技を持つ」という点は『[[キャプテンコマンドー]]』を彷彿とさせる。ただし、こちらは金と女のために戦うプレイボーイである。
-体力標準値のバランスタイプ。BDLは約8秒間、打撃(掴み攻撃を除く)の攻撃力が2倍になる「ブルーストライク」。
--いわゆるスタンダードキャラだが、通常攻撃のリーチが短く、技の攻撃力に対して稼げるコインも少ないため、実は中~上級者向け。
--敵の飛び道具をすり抜けやすい投げ、突進と縦軸ずらしの両方に使える「バーニングヒールキック」、コイン稼ぎ用の「ハイパートルネード」、強判定かつ出の早いチャージショットなど、技の性能バランスは良好。また、強力無比なフルチャージショット「サイバーキャノン」を習得すれば、遠距離から一方的に攻撃できる強キャラと化す。
#endregion
#region(キャプテンシルバー)

-冷静沈着なチームリーダーで、本名はアンドレイ・ミシューチン。CVはブルースや、MVCでキャプテンコマンドーを担当した長嶝高士氏。
//同名のゲーム(1987年。データイースト)も存在するが、こちらは海賊物なので『CYBERブルー』ほどやばくはない。
--『ターミネーター』シリーズに登場するT-1000のような超軟体質で、腕に刃物を生やす、体が杭や大砲に変形する、決めポーズで椅子を用意するなど変幻自在。気を抜くと体が軟体化し、収拾がつかなくなるらしい。
-体力の少ないテクニカルタイプ。BDLは約8秒間、被ダメージ1/4とスーパーアーマー付与の「シルバーアーマー」。
--技のクセが強く、他の4人と違いキャンセル投げができず、BDL無しでは打たれ弱く、コイン稼ぎも得意ではないなど、上級者向けのキャラと言える。
--隙の小さい突進技「ブーストタックル」、高威力の対空技「スラッシュストリーム」、そのどちらでもキャンセルできるダッシュ攻撃が主力。メガクラッシュの凍結効果や「フリーズストーム」の弾幕も強力なので、上手く活用したい。
#endregion
#region(イエロービースト)

-黄色い獣毛と赤い髪を持つ獣人で、本名はディアナ・マルチネス。CVは山本美由紀女史。
--パートナーとしてキツネリスのフィンを連れている。また、副業でモデルをしているためか、メガクラッシュとBDLの発動時、彼女だけドレス姿に変身する(あくまでも一瞬のみ)。
--ちなみに、同じ女性獣人キャラである同社『[[ヴァンパイア>ヴァンパイアハンター]]』シリーズのフェリシアと異なり、全身が獣毛で覆われており緑色のレオタードを着ている。((フェリシアの場合、獣毛が部分的にしか生えておらず素肌の面積が多い。しかも獣毛の生え方のせいで水着姿っぽく見えるが実質素っ裸である(その上に服を着ているシーンが描かれることもあるが、戦闘中は基本的に裸)。余談だが同作の狼男ガロンは変身後もズボンをはいている。))
-体力標準値のスピードタイプ。BDLは約10秒間、一部の技が多段ヒット(1~3倍・当たり方により変動)する「イエローフラッシュ」。ただし、対応技の攻撃力は1/2に下がる。
--最高の歩行・ダッシュ速度により位置取りがしやすく、壁際での三角飛びも可能。
--技についても、最も素早い通常攻撃、対空技でキャンセルできるダッシュ攻撃、コイン稼ぎ用の「ウィップラッシュ」、設置型のチャージショット、最強クラスのメガクラッシュ((ダメージそのものは低いが、当たった敵が気絶するので追撃可能。また、動作が短いので空振り無敵も狙いやすい。))など、使いやすいものばかり。さらに「エリアルダンス」やチャージショットで往復するハメ技もある。
--単発火力が低いという欠点はあるが、慣れれば点数・コインの稼ぎやすさに変わるため、実質的なスタンダードキャラと言える。
#endregion
#region(ピンクオーストリッチ)

-世界で唯一空を飛べる隻眼のダチョウで、本名はピンキー。
--鳥のくせに貴金属が大好きで、金目当てに賞金稼ぎをしている。背中に相棒の女の子・ポーラちゃん(CV:芳野美樹女史)を乗せているが、彼女はサイボーグではない。
-体力の少ない空中攻撃タイプ。BDLは約10秒間、一定確率でクリティカル(大ダメージ)が発生する「ピンクミラクル」。
--画面の上端まで届く2段ジャンプ、空中浮遊からの「ストンピングラッシュ」「スカイキャプチャー」、空中の敵を投げる「フライングスロー」、動作中に移動できるメガクラッシュなど、独自の挙動が多い。
--地上で出せる技は少ないものの、前方広範囲と真後ろをカバーできる対空技「ソニックスピン」が優秀。初心者でも「通常攻撃1~4段→ソニックスピン(→ソニックスピン→…)」さえマスターすれば十分に戦える上、「とりあえず空中に逃げる」「ストンピングラッシュでコインを稼ぐ」という選択肢もある。
--見た目のわりに扱いやすいが、シルバー同様に打たれ弱いので注意。
#endregion
#region(エイリアングリーン)

-超自然パワーを持つ謎の生命体で、本名や賞金稼ぎの目的は不明。一説によると地球外生物らしい。敵っぽいデザインだが仕草自体は愛嬌がある。
--翻訳機を通して喋るのだが、台詞が非常に個性的。しょっちゅう意味不明な記号の羅列(おそらくノイズの再現)や英単語が混ざり、口調はメチャクチャで、語尾に「おま」が付く。ある種「カプコン製[[シュマちゃん>MARVEL SUPER HEROES]]」ともいえる。
-体力の多いパワータイプ。BDLは体力を回復する「グリーンヒーリング」。他の4人と違い、発動と同時に効果が終了する。また、アップグレードの「ヒーリングプラス」で回復量を増やせる。
--ハガー市長やフーバーの流れを汲みつつ、長所だけ増やしたようなキャラ。最多の体力と上記BDLに加え、倒した敵を一定確率で回復アイテムに変えるレバー1回転投げ「エイリアンマジック」も習得できるため、非常にタフ。
--攻撃面もリーチの長い通常攻撃、強判定かつ敵を浮かせるダッシュ攻撃、広い掴み範囲、掴みながらの移動、巻き込み範囲が広くコインも稼げる通常投げ「エイリアンハンマー」など、総じて優秀。
--強みが分かりやすく、足の遅さはダッシュである程度補えるため、初心者にも扱いやすい。
#endregion

-過去作のネタの多さ
--本作は過去作の良点・特徴的攻撃の塊のようなトリビュート作品となっており、元ネタ探しが熱い。
--例えばプレイヤーキャラの「エイリアングリーン」が同社ベルトアクションのパワーキャラの位置づけとなっており、名前もハガーやフーバーのパーソナルカラーである「緑」から取られていると思われる。
--そもそも基本仕様の大半が『[[パニッシャー]]』準拠、チャージショットが『[[エイリアンVSプレデター>エイリアンVSプレデター (AC)]]』のリン・クロサワのBタメ技「双頸波」からの引用、ブルーのダッシュ攻撃(強化前)が『キャプテンコマンドー』のそれと同じ、グリーンの通常投げ「エイリアンハンマー」が『[[パワード ギア]]』のフォースクローに近似、ピンクの基本思想が同じく『パワード ギア』のパワーバグに近似、単体最高ランクの回復アイテムが『キャプテンコマンドー』同様天丼(表示名はTENPURA)である、などなど。
--その他、「天帝」という単語が『ロストワールド』からの引用である。他にも細かい点を探せば、様々な過去作オマージュが隠れている((例えば六面中ボス「サイバーサムライ」の攻撃パターンのうちの一つ「全身を紅潮させた上で残像を残しながら体当たり」が『チキチキボーイズ』の四面ボスの物と全く同じだったり等。))。

-コミカルで派手な展開
--本作はコミカルな世界観での「賞金稼ぎVSお尋ね者VS悪の天才科学者」という、古き良きアニメのような作風になっている。各ステージにサブタイトルが付き、『[[ファイナルファイト]]』などに比べてノリが明るく、CEROでいう暴力表現もほとんど無い((Dr.サターン(ブラックエレファント搭乗時)のハサミ、プルートのノコ刃付き円盤などで少し血が出る程度。))。
---また、1エリアの長さが短くテンポが良い上、中ボスの数も多い。
--上記のプレイヤーキャラだけでなく、サブキャラや悪役も個性的。成金に見えるが紳士的で情に厚い依頼主「ハリー」をはじめ、エルヴィス・プレスリーもどき、筋肉質の大女、巨大マンドリルに抱えられた小男、戦闘マシンに乗った2人組の侍、巨大カタツムリを駆る槍騎兵((正式名称は「経済大国型バトルサーキット・ジパング」。))、超肥満体なマフィアのボスなど、ひたすらに濃い。
---特に「Dr.サターン」とその部下「ぴのぷ」のコンビは、行く先々で邪魔をしては返り討ちに遭うという憎めない存在。Dr.サターンのオーバーリアクション((大口を開けて「ゲハハハ!」と笑う、怒って頭からドクロの煙を噴く、乗機「ブラックエレファント」のフロントガラスをタオルで磨く(ただ隙を晒すだけ)、乗機ごと掴み上げられて白旗をあげる、しょっちゅう何かに押し潰される、など。))も含め、さながらカートゥーンアニメやタイムボカンのようなノリである。
--敵を殴るとコインが飛び散るなど、画面効果も適度に派手で見た目にも楽しい。またステージボスを撃破するとド派手な爆発エフェクトが発生し、プレイヤーを驚かせる。
---エフェクトの使い回しは多いが、その方法が異常に上手いのも密かな見所。

-相変わらずのコンボの楽しさ
--本作では過去の同社ベルトアクション同様、必殺技による「格ゲーのようなコンボ」や「空中コンボ」の概念がわかりやすく導入されており、実行も比較的しやすい。
---コンボ限界に達して敵の当たり判定が消える前に、「小さくバウンドしてダウンする瞬間」を拾えば、コンボ限界リセット+立ち喰らい状態にできる。
---追い打ち攻撃などの一部モーションはダウン状態にも当たるため、コンボ限界や上記タイミングに関係なく拾える。
---「通常攻撃3~4段→対空技」「通常攻撃3段→掴み攻撃2回→投げ」といったシンプルなものから、追い打ち攻撃を絡めたもの、上記のコンボ限界リセットによるハメ技など、かなり奥が深い。
--簡単操作で爽快なコンボが決められるだけでなく、工夫次第で『エイリアンVSプレデター』や『[[D&D SOM>ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ]]』に匹敵する自由度・華麗さが魅力。

-にぎやかな協力プレイ
--各々のBDLが味方全員に及ぶため、多人数であるほど有利になるという楽しい調整となっている。
---また、固定配置のアイテムが回復・コインともに増量され、仲良く分け合うことが可能。
---途中参加したプレイヤーには終了ステージ数×100コインが支給されるので、参加直後のステージさえ突破すればアップグレード可能。
--敵の各個撃破はもちろん、交代でフルチャージショットやシンクロバーストを連発するなど、戦術の自由度も圧巻。4人でかわるがわるデスリフトハメ、1人1発ずつ殴ってパンチハメなどのテクニックも駆使すれば、ボスキャラは遊び道具と化す。
---もともと難度が控えめな作品であるため、気軽に楽しめるのは大きなプラス。経験者の先導があれば、残り3名が初心者でもスムーズに遊べるレベル。

-緻密なスコアチャレンジ
--全キャラ、攻撃技ごとに獲得できるコインが設定されている。ハイスコアを狙うなら残機を一切購入せず、低威力でコインが手に入る技を全局面で狙い、ボーナスターゲットで大量コイン入手を安定させるなど非常に緻密なプレイが要求される。その秘奥は遥か深く、稼働から20年以上経った現在でも底は見えない。

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**賛否両論点
-良くも悪くもライトなノリ
--上記通りカートゥーン風な世界観。本作ではナイフや銃などの拾って使う武器が登場せず、コミカルで暴力表現が(ほぼ)無い作品でもある。この点は従来作のような暴力表現による爽快さを求めていたプレイヤーには不評だったようだ。

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**問題点
-序盤の難度が高めで出鼻を挫かれやすい
--1面はベルトアクション未経験の人でも簡単にクリアできるが、続く2面ボス「ジョニー・ザ・ファンキーヘッド」は体力が一定値になるとスピードアップして格段に強くなる初見殺し、3面ボス「バーバラ」はカプコン伝統の2面殺し(本作では3面だが)、と序盤に難所が集中している。おまけに1面のクリア時には理論上バイタルゲインユニットを購入できない。
--ただし、1レバー2ボタンというシンプルな操作方法に加え、中~終盤にかけて自キャラの性能強化を実感しやすいため、同社製ベルトアクションの中では初心者に勧めやすい部類。
//クリアが楽だが操作方法が非常に複雑な『D&D SOM』とは異なり
//↑当Wikiの記事では「楽にクリアするための下地が分厚いゲーム」と読めるため、ひとまず削除。
--序盤を乗り切っても、「ジパング」や「プルート」などかなり手ごわいボスが終盤にいるため、決してヌルゲーというわけではない。

-プレイヤーキャラの性能差が大きめ
--フルスペックであれば全員文句なしに強いのだが、コインの稼ぎやすさや成長途上での扱いやすさはだいぶ違う。
--いわゆる強キャラは、最も点数・コインを稼ぎやすくメガクラッシュが強力無比でハメ技のパーツも多いイエロー、ソニックスピンや空中からの攻撃で有利に立ち回れるピンク、最多の体力と回復技を持ちダッシュ攻撃や通常投げが強いグリーンの3名。
---見た目やキャラ紹介を見る限り、ピンクとグリーンはイロモノキャラに分類されているが、実際は扱いやすい。一方、いかにもヒーローらしいブルーとシルバーはテクニカルな立ち位置で、コイン稼ぎにもコツが要る。
---イエローのBDLで「攻撃力が下がる」副作用は、点数・コインを稼ぎやすいという利点にもなる。逆に言うと、ブルーとピンクの「火力アップ」は稼ぐ前に敵を倒してしまう(≒アップグレードが遅れる)のが欠点。
---グリーンのBDLはアップグレードで回復量を増やせる上、根性補正や復活時におけるBDLゲージ回復との相性が良く、初プレイにも協力プレイにも強い。
--同キャラは使えないため、4人プレイだと誰がどのキャラを担当するかで揉める可能性あり。序盤からコインの独り占めなどが起こった場合、ブルーとシルバーはアップグレードに苦労しがち。

-一部のアップグレードにデメリットがある
--ブルーは画面全体攻撃「ギガクラッシュ」を習得すると、他のキャラならできる「メガクラッシュを空振り連打し、敵の攻撃を避けてから反撃する」戦法がほぼ取れなくなる((当たり判定のある敵(影含む)が映っていると、体力消費が確定する。))。
---ただし、攻撃力が上がる(通常攻撃4段に相当)、対複数における殲滅力が高い、ボスの体力を確実に減らせる、プルートの爆撃を止められる、転がるドラム缶と機雷を体力消費なしで壊せるなど、相応のメリットもある。
--シルバーの第2チャージショット「フリーズレーザー」は高弾速かつ貫通・凍結効果を持つが、習得するとフルチャージショット「フリーズストーム」の溜め時間が延びる。
--どちらの技も、真のラスボスと戦う際には強制的に習得する。防御面の変わらないシルバーはともかく、ブルーは様々な広範囲攻撃をきちんと避けなければならず、最後まで難易度が高い。

-グラフィック面での迫力
--恐らくは多人数プレイの都合上と思われるが、敵味方共にキャラクターのサイズが小さめ。広いフィールドを縦横無尽に動ける反面、画面全体がチマチマしている印象も否めず、ベルトスクロールアクション特有の「大サイズのキャラが殴り合う迫力」は旧作と比べて薄めである。

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**総評
『ファイナルファイト』のヒットにより金字塔を打ち立てたカプコン製ベルトスクロールアクションゲームの集大成にして終着点となった一作。~
コミカルなキャラクターや軽快なストーリー、簡単に繰り出せるアクション群といったにぎやかなビジュアルが特徴的。ゲーム自体の難易度もベルスク入門者から上級者まで幅広く対応している。~
稼働から長らく家庭用移植が行われなかった関係で幻の作品とも扱われていたが、紆余曲折を経て現在は家庭用ハードに移植。値段もリーズナブルなので是非プレーしてみて欲しい。

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**移植
稼働から20年以上経った2018年、『カプコン ベルトアクション コレクション』にて待望の家庭用移植が実現した。~
また、2021年2月発売の『カプコンアーケードスタジアム』にも移植予定。
-PS4/One/Switch/Win版『カプコン ベルトアクション コレクション』(2018年発売)
--日本語版・英語版の2バージョンとギャラリー42点を収録。QSoundロゴが表示されず、フリープレイモード固定につきコイン投入のSE・ボイスを聞けないという差異はあるが、ほぼ忠実移植となっている。
---他作品を含む操作遅延はアップデートにより改善済。
--2Pモードと4Pモードがあり、どちらもオンライン協力プレイ対応。ただし、オンラインモードはハイスコアを保存できず、3人以上になると通信が重くなりやすい。
//PS4版以外のラグについては未確認。
--オプションとして難易度・残機・エクステンドの設定、ハイスコアの初期化、キーコンフィグ(メガクラッシュ・攻撃連打の機能あり)、左右両端の壁紙、ポーズ(オフライン限定)、クイックセーブ(オフライン限定・2バージョンに1スロットずつ)を実装。
---アップデートによりサイズ変更(フル⇔オリジナル)、フィルター(走査線・アーケード)も追加された。

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**余談
-元々ベルトアクションですらなかった。
--''当初は「8人同時プレイ可能なレースゲーム」の企画であり、開発もかなりの進捗まで進んでいた''事がシークレットファイルで語られている。
---『チキチキマシン猛レース』っぽい雰囲気のコミカルな世界観はこの時の名残であるとも語られている。
---「バトル''サーキット''」といういかにもレースゲームっぽいタイトル((サーキットには「集積回路」という意味もあるため、サイボーグ(機械人間)である主人公達とひっかけたダブルミーニングとして使われている。元々はもちろん「モータースポーツの周回道路」のことを指しているのだが、いずれにしろ上手い具合に名づけたものである。))や、Dr.サターンを含め何かに乗っている敵が多かったり、道中のボーナスステージがレースっぽいのもそのため。
--紆余曲折を経て、カプコン製ベルトアクションの有終の美を飾る作品となったわけである。
---ただし、本作の制作プロデューサーにとっては相当苦い経験になったようで、先述のシークレットファイル内の開発秘話で「各方面に多大な迷惑をかけてしまった」「申し訳ない」などの言葉が散見される。こうした経緯もあり、かなりヒットした作品にもかかわらず商用的には惨敗だった(開発期間や費用をかけすぎたため、大して儲からなかった)らしい。
---ちなみに、レースゲームバージョンもほぼ完成に近い処まで作られていたらしく、当時の開発スタッフの一人はそのROMを今でも所有しているとか。

-海外版との差異
#region

-イエロービーストの名前
--''海外版では「Yerrow Iris」(イエローアイリス)。''英語圏で女性に「ビースト((けだもの。アニマル(動物)より野蛮な意味合い。いやまあ女子レスラーとかなら名乗るかもしれないが、一応モデルだし。))」は良くなかったのだろう。
--ちなみに、国内版でもハリーから名前を呼ばれる際、ブルー・ピンク・グリーンは色で呼ばれるのに対し、リーダーであるシルバーが「キャプテン」と呼ばれるのはともかく、イエローも「ビースト」と呼ばれている。統一されていない理由は不明。

-エイリアングリーンの口調
--なんと''普通に喋る''(日本語版字幕では意味不明な文字が並べられた後に日本語訳が付く)。

-ボイス
--国内版の声優が英語のセリフを併せて演じている。
--英語音声のデータは国内版にも入っており、サウンドテストやサントラで確認可能(他のカプコン作品でも言える事だが)。

-敵の強さ
--体力が全体的に国内版よりも多め。
--また、爆撃を行う敵の爆弾連射力が格段に上がっている。

-「天帝システム」の名称
--「天帝」ではなく「SHIVA」。
#endregion

-オールクリア時「スペシャルボーナス」のオーバーフロー
--真のラスボス撃破後、全ボス撃破合計時間(最高100万点)・コイン(1枚につき5000点)・残機(1機につき200万点)でそれぞれ莫大なボーナス得点が得られるのだが…。
--''スペシャルボーナス合計点が6710万8863点(2の26乗-1)を越えると、スペシャルボーナスがオーバーフローを起こす。''その結果、0点からループしたわずかな得点しか得られないバグがある。
---何度も何度もコンティニューし、コンティニュー時に得られるわずかなコインをしつこく入手して13000枚ほどあるとまず間違いなく遭遇する。
--しかしハイスコア集計等では基本的にノーコンティニュープレイが前提となるため、この基準だと現在の全国一位でも6200万点ほど(イエロー)であり、幸いにもスコアラーを泣かせる事態には至っていない。

-サントラの収録漏れ
--2面クリア時の「Dr.サターン乱入BGM」、真のラスボスの出現条件を満たさずに7面をクリアした際の「ノーマルエンド確定BGM」が収録漏れしており、曲名も不明。
---ちなみに、過去にも『パニッシャー』や『キャディラックス 恐竜新世紀』のサントラで収録漏れをやらかした前科がある。

-他の作品へのゲスト出演
--『[[CAPCOM FIGHTING Jam]]』でフェリシアのエンディングにて、イエロービーストがゲスト出演している。
---内容は「フェリシアのミュージカルショーの様子がコマ割り漫画風の1枚絵で流れる」というものだが、多くのカプコン女性キャラがバックダンサーという扱いの中で、イエロービーストは%%マイナーキャラなのに%%フェリシアと共に中央で踊ると言う優遇を受けている。おそらくカプコン作品では極めて貴重な女性獣人キャラ、職業も同じショービジネスと言う共通点からだろう。
---また『[[ULTIMATE MAVEL VS. CAPCOM 3>MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds#id_29c9ae2c]]』のフェリシアのDLCのコスチュームパックでイエロービーストそのものの姿になれるコスチュームも登場している。
--この他、彼女以外のキャラはサイバーブルーが『カードファイターズDS』のアクションカードと『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』のキャプテンコマンドーの超必殺技にてアシストキャラとしてそれぞれゲスト参戦している。