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ファイナルファイト - (2022/02/28 (月) 16:45:29) のソース

*ファイナルファイト
【ふぁいなるふぁいと】
|ジャンル|ベルトアクション|&image(http://www.capcom.co.jp/cbac/images/common/logo_ff.png,width=250)|
|対応機種|アーケード(CPシステム)|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|稼動開始日|1989年12月|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|ベルトスクロールアクションを流行らせた名作&br()完成度だけでなく難易度も高い&br()やたらと強い2面ボス「ソドム」&br()耳に残る''「デヤァ!」「エイヤー!」''|~|
|>|>|CENTER:''[[ファイナルファイトシリーズ]]''|

#contents(fromhere)

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**概要
次々に襲ってくる敵を倒しながら、少しずつ進んでいくベルトスクロールアクションゲーム。~
メイン製作者は後に『[[ストリートファイターII]]』を作った西谷亮氏。


**ストーリー
>超犯罪都市メトロシティ。ここは犯罪集団「マッドギア」の暴力によって支配される街である。~
市長であるマイク・ハガーはマッドギアに徹底的な攻撃を加えることで治安を回復させようと試みるも、成果はなかなか上がらなかった。~
ある日、市長室で執務中のハガーのもとに一本の電話がかかってくる。電話の主はマッドギアの幹部の一人・ダムド。~
彼はハガーの娘であるジェシカを拉致したと告げ、ハガーの傍らのテレビに囚われのジェシカの姿が映し出された。
>
>「これ以上警察を介入させるなら娘の命はないと思いな」
>
>元ストリートファイターでもあったハガーは娘を救い出すため、独力でマッドギアの本拠地に乗り込むことを決意する。~
ジムでトレーニング中だったジェシカの恋人であり喧嘩屋のコーディーにも協力を求めると、~
その場に居合わせた彼のトレーニング仲間で古武術「武神流」の使い手でもある忍者・ガイもマッドギアの卑劣な手段に激昂し、義憤により助太刀を申し出る。
>
>こうして3人はさらわれたジェシカを助け出すため、マッドギアに戦いを挑むのであった。

**システム
-基本はレバー操作で左右・上下・斜めの八方向に移動と、攻撃・ジャンプ2つのボタン操作。3人のキャラクターから1人を選択し、全6ラウンドを突破、さらわれたジェシカの救出と犯罪集団「マッドギア」を壊滅させるのが目的。
--通常攻撃は連続で繰り出すことができる。攻撃回数はキャラクターごとに異なり、最後の攻撃がヒットした相手はダウンする。
---レバーを上か下に入れながら連続攻撃をすると、最後の攻撃が相手を逆方向に投げる攻撃に変化する。敵を片方にまとめるための攻略上非常に重要なテクニックであるが、インストカードにはこの事は記載されていない。
--敵の近距離まで移動すると相手を掴むことができる。そこからつかみ攻撃(3発まで)を繰り出し、またつかみ状態で左右にレバーを入れながら攻撃することで相手を投げ飛ばす。これは飛び道具として使うことも可能。
---同ジャンルの先駆作『[[ダブルドラゴン]]』では掴めるのが同じ程度の体格のキャラまでであり、大男は掴めなかったが、本作はやろうと思えばすべての敵を掴むことが可能。
---ただし相手によっては敵が掴んでくる場合もあり、投げられると大ダメージを負う。掴まれた場合はすばやいレバー操作やボタン連打で振りほどくことができる。
--ジャンプ中にも攻撃が可能。通常はリーチが長く敵をダウンさせるジャンプキック。ジャンプの飛距離は画面約1/4ほどあり、ジャンプキックはさらに足を伸ばすため攻撃範囲が広い。
---コーディー・ガイの二人は、レバーを下に入れながらのジャンプ攻撃は敵を怯ませる技になり、リーチは短いがヒット後は着地後追撃することもできる。ハガーはフライングボディプレスになり真下を攻撃できる。
--2つのボタンを同時に押すことで周囲の敵を吹き飛ばす「必殺技」を繰り出す。詳細は後述。

**キャラクター
#region(3人の追加プレイヤーキャラクター)
-コーディー
--主人公、マーシャルアーツの使い手でバランス型のキャラクター。技の威力・素早さ・リーチなど全てにおいて標準型。パンチコンビネーションはジャブ・ジャブ・ボディーブロー・アッパーカットの4発1セット。リーチはガイに劣るがパンチの連打が効き、アンドレの突進を止められる。フィニッシュのアッパーカットは高威力だがガイの回し蹴りよりやや大振りで密集戦でフィニッシュまで出し切ると硬直時間中に反撃を喰らう事もある。ジャブ2発目で後ろを振り向くことでパンチはめを行えるが難易度はガイよりやや高い。ジャンプキックはリーチに優れ、一度出せば出っ放しなのでなので使いやすい。ジャンプ中↓+ボタンの膝蹴りはリーチ・判定共に優れ、特にバックジャンプから出すとナイフ野郎の攻撃、デブの突進、ロレントの棒攻撃等ガイの肘打ちが一方的に負けるこれらの攻撃に打ち勝てるのがガイとの大きな差別点。得意武器はナイフで、ナイフを持った状態で敵が近くにいるとナイフが赤く発光し発光時のみ連打が効く。この&bold(){ナイフ連打こそがコーディーの強さを支える要因}でガイが特に苦手とする密集戦でも苦も無くザクザクと敵を斬り刻める。アンドレや密集戦等他の2人が苦戦する場面が最も少ない点は流石は主人公。但し錬金術の難易度が全キャラ中最も高く、点数稼ぎは難しくなっている。良くも悪くも優等生過ぎる性能が仇となり個性のないキャラクターと位置付けられゲーメストのキャラクター人気投票ではプレイヤーキャラ中最下位であった。
「なにっ ジェシカがさらわれただと!」

-ガイ
--武神流忍法伝承者、忍術を駆使して戦うスピードタイプのキャラクター。パンチコンビネーションは裏拳・裏拳・中段突・肘打ち・回し蹴りの5発1セット。リーチはコーディーを上回り、アンドレの突進を容易に止める。フィニッシュまで出し切ってもまず反撃を受けない素早い攻撃が持ち味。3発目の中段突で後ろを振り向くことでパンチはめを行え、3発目が200点なので100点ジャブのみのコーディーよりパンチはめ中の点効率が良い(特にソドム戦)。ジャンプキックは判定に優れるがジャンプ直後に出すと地上に降りる頃には足が引っ込んで判定も消える。敵に向かってちゃんとタイミングを測る必要あり。得意武器は日本刀で振りは遅いが刀の先端まで攻撃判定が発生するので非常にリーチが長い。ジャンプ中↓+ボタンの肘打ちは判定的に全キャラ最低で過信禁物。ジャンプ系の攻撃に難があり、パンチの威力も全キャラ中最低で敵を倒すのに時間がかかる事から左右からわらわらと敵が沸くような場面を最も苦手とする。こう並べるとジャンプ系の技が軒並み弱いように感じられるがそれを補って余りあるのが&bold(){壁が大好き}という事壁に向かってジャンプし再度ジャンプキックを入力する事で逆方向へキックを出す三角蹴りを出せる。キックの方向へレバーを入力すれば高速な三角蹴りになる。判定・スピード・威力全て申し分なく、反撃をまず受けないコンビネーションと併せて壁を背に戦えば苦手とする密集戦も容易に切り抜ける事が可能。スクロールが止まり多量のザコ敵全滅を要求される場面はこの作品に多いが壁がある場所の難易度は下がり、ない場所では難易度が非常に高くなる。5面のナイフ野郎、6面の最終防衛ラインが特に顕著でガイにとって正に鬼門。
「なんと ひきょうきわまりない!せっしゃもすけだちいたす」

-ハガー
--メトロシティの市長、かつてはプロレスラーとして名を馳せたパワータイプのキャラ。パンチコンビネーションはボディ・ボディ・ハンマーダウンの3発1セット。振りが遅く連打力にも劣り、パンチで唯一アンドレの突進が止められない。1発目のパンチで振り向く事でパンチはめも行えるが連射装置がないと非常に難しい(あっても難しい)。ジャンプキックはガイと同じく判定が途中で引っ込むがタイプ。得意武器は鉄パイプで先端までの攻撃判定は他の2人と変わらないが両手持ちな分、振りが非常に速く天敵のアンドレの突進に負ける事が少ない(日本刀も振りは速いがリーチが短い)。ジャンプ中↓+ボタンのボディプレスが一発でダウンを奪えるのが他の二人との相違点、密集戦でバックジャンプでボディプレスで突っ込んで行くと一気に大量の敵をダウンを奪える。判定も強く、ナイフ野郎・デブの攻撃もものともしない。そしてハガーの強さを支えるのがレバー入れパンチ・パンチ・バックドロップに移行する連続技の存在。俗に&bold(){引っこ抜き}と呼ばれるこのコンビネーションは&bold(){バックドロップの異常なまでの無敵時間の長さで何と再度パンチに移行するまで無敵判定が持続する}。敵がいればいる程強くなるというハガーの爽快感はこの引っこ抜きによって支えられている。他の2人では敵の動きを慎重に見極めながら時間のかかるような場面(5面ナイフ地帯、6面最終防衛ライン等)でも、ハガーなら正に瞬殺で切り抜けてしまう事も少なくない。難点は後ろからの攻撃には当然無防備なのと、パンチを入れるべき相手がいなければ当然パンチが空振ってる間に無敵が切れてしまう点。密集戦ではまず敵を掴みなるべく密集状態に近づきつつ「敵のいない方へバックドロップ」を出してそこから一気にパンチからのバックドロップにハメるという戦術が不可欠。ハマった時の爽快感は他の2人では決して味わえないもので、ファイナルファイトの上手い人は最終的にみんなハガーを使うようになるとまで言われた。
「なに!ジェシカに なにをした!きさまは だれだ!」
#endregion

-コーディー・ガイの二人は通常攻撃のパンチが非常に早く連打が効き、敵の突進攻撃を止める事もできる。一方ハガーは攻撃回数が少なくパンチも遅いが、長いリーチと一発ごとの攻撃力が高く、敵を掴んだまま移動可能で、そこからバックドロップやジャンピングパイルドライバーといった大技を繰り出せる。
--投げた敵の体にぶつかった敵は、将棋倒しの如く巻き込まれる。投げのモーション中は無敵であるため、敵に囲まれそうなときは片方の敵をもう一方に向かって投げることで、ダウンさせつつ一方向にまとめるテクニックが有効である。
--コーディー・ガイは投げた後の隙に攻撃を受けることがある。一方ハガーは投げた後の無敵時間中にパンチが打てるほど無敵時間が長く残るので、上記のレバーを上か下に入れながらの連続攻撃を行うことで、敵の大群を次々にバックドロップで投げていくことができる。その様は「引っこ抜き」と呼ばれる。

-敵に囲まれた状態でも、完全無敵で回転しながら敵を蹴散らす「必殺技」で切り抜けやすくなっている。
--ただし、代償として命中した場合少しだけバイタリティが減るようになっているため、多用は出来ない。攻撃を受けてのけぞっている最中に出せるのはこの技のみで、後世の対戦型格闘ゲームの「必殺技」とは意味合いが異なっており、いわゆる「メガクラッシュ」のようなもの・緊急回避的なものとなっている。当然、バイタリティがわずかしかない場合は、この技を繰り出すことは出来ない。
--この「必殺技」を出す方法は、攻撃とジャンプのボタン2つを同時に押すだけというシンプルなもの。そのためとっさに出しやすく、初心者が複雑な入力が出来ずにピンチを切り抜けられない、などといったことはあまりない。
---ただし敵が密集している状況下でダウンした場合、必殺技を出す余裕もなく再び蹂躪される事も多々ある。

-武器アイテムは、ナイフ・日本刀・鉄パイプがある。それぞれコーディー・ガイ・ハガーの得意武器として設定されており、得意武器を手にした場合は振りが早くなる。
--ナイフだけは例外で、ガイとハガーでは投げつけるため使い捨てだが、コーディーのみ至近距離では突き刺して使う。
---よってコーディーの場合、敵からの攻撃を受けて地面に落とすか、(敵との距離が離れている場合には)敵に向かって投げつける、あるいはエリア突破で手放すまで持ち続けることが出来る。

**特徴
--武器はステージに落ちているのを拾ったり、敵の手から落とさせ奪い取ったりして入手する。
--なお特定敵専用の武器として火炎瓶があるが、落とさせた時にも割れて炎が燃え広がるためプレイヤー側は入手できない。燃え上がった炎はプレイヤー・敵とも触れると体が炎上し強制ダウンになる。

-敵の攻撃を防御することは出来ない。攻撃こそが最大の防御である。
--敵キャラクターの中にはごく一部、こちらの通常攻撃のみ防御する者もいる。しかし武器攻撃やつかみ(投げ)、必殺技を防御されることはない。

-道中にはタイヤやドラム缶などのオブジェクトがあり、破壊することでスコア(得点)アイテムやバイタリティ回復アイテムの食べ物が出現する。食べ物は、バイタリティが満タンのときだけ得点になるため、ハイスコアを狙うなら極力ダメージも受けず必殺技も使わずに進めねばならない。
--ステージ2・4クリア時にはボーナスステージがある。
--ちなみに本作には隠しフィーチャーとして、オブジェクトを破壊したときタイミング良く(具体的には破壊したほんの一瞬後であり、同時ではない)いずれかの方向にレバー入力しつつどれかのボタンを押すと、最高得点(10000pts.)のアイテムが必ず出てくるという要素があり、通称「錬金術」と呼ばれハイスコアチャレンジの要となっている。開発者曰く「『ワンダーボーイ モンスターランド』が好きだったから」とのこと((同作には特定の場所でレバガチャするとゴールドが手に入るという隠し要素がある))。

-登場する敵キャラクターはいかにもチンピラ風のモヒカンやスキンヘッド、バイカールック、女性(後述)、デブに巨漢にゲリラ風と多彩。それらが画面狭しと襲い掛かってくる。場所によっては同時に10人以上が出現することもある。
--敵キャラクターは画面外から歩いて登場するのみではなく、背景に溶け込むかの様に立っている、または地下鉄の座席や道の端に座っていてプレイヤーが近づくと構えて襲ってくる、ボスキャラクターが合図の口笛を吹くと背景の建物から出てくる、などパターンも豊富。
--それら敵キャラクターの配置も絶妙であり、もちろん難易度の高い場所はあるが、理不尽ではなく、練習と研究によって、あるいは仲間との協力によって必ず突破口が開ける。

**評価点
-各キャラクターのトータルバランスはきちんと調整されており、選択キャラクターによってクリアが容易(あるいは辛い)といったことはない。
//-前述の通りベルトスクロールアクションゲームは本作以前にもあるが、キャラクターごとに性能差や個性をつけ、かつ選択式にしたものは本作が初。
//ゴールデンアックスが先との指摘有。

-キャラクター・背景とも細部まで描き込まれており、個性的で骨太なグラフィックも好評。
--あくまで一例だがラウンド2のボスキャラクター「ソドム」は、着用しているアメフトの防具にジーパンという衣装にそぐわぬ戦国武将風の兜に面頬までつけ足袋草鞋を履き、さらに二刀流という一度見たら忘れられないほどのインパクトがある格好をしている。
--この他にも警棒で殴りつけたり銃を発砲する悪徳警官のエディ・Eや、素早い動きで翻弄する元軍人のロレント、力任せの脳筋男アビゲイルなどありがちながらも世界観にマッチしたボスキャラクター達が行く手を阻む。
--ステージは荒れたスラム街に始まり地下街、地下鉄、地下プロレス会場、繁華街、バー、工事現場、深夜→夜明けの海岸、そして敵組織の本拠地と戦いの場は目まぐるしく変化していきプレイヤーを飽きさせない。
---こうした個性豊かなキャラクター達が「暴力と退廃」という設定に即した劇画タッチで描かれ、さらに多くのパターンアニメーションで動きまわる。
--コンティニュー画面では、導火線に火が点いたダイナマイトの束を目の前にしたプレイヤーが拘束されているのだが、まさに「死にたくない」と言わんばかりに首を左右に振り続ける者、導火線の火を消そうと必死に息を吹きかける者とさまざま。さらに時間が少なくなるにつれ動作が速くなっていく。またコンティニューした場合、助かったことに安堵しほっとした表情を浮かべる、という芸の細かさ。
---2人同時プレイまでのゲームに3人のキャラクターをつけたのは孤軍奮闘・孤立無援という状況で「誰が助けたのか?」という疑問の答えにもなる設定の妙である。

-見た目の派手なアクション、特に投げや必殺技などの巻き込み攻撃で本作の重視点「群がる敵をまとめて蹴散らす爽快感」を心行くまで味わうことが出来る。
--「左右から襲い掛かる最大十人の敵を、印象的な掛け声とともに一撃でなぎ倒す」という豪快さはストレス解消にもってこいである。
--とかく本作の声ネタは印象的なものが多く、頻繁に聞く''「デヤァ!」''の雄叫びは耳に残ること間違いなし。

-敵をダウンさせずに攻撃し続けるテクニック、通称''「パンチはめ」''が存在する。
--通常攻撃を当てた際、フィニッシュ前に逆を向いて空振ることでモーションがリセットされる。コーディーなら1~2ヒット、ガイなら1~3ヒットごとに振り向けばよいが、ハガーは1ヒットごとに振り向く必要があり失敗しやすい。
--体力の多いザコや特定のボスを完封できるため、マスターすれば攻略が大いに楽になる。その有用性とインパクトの強さから、本作の代名詞と言えるほどに名高いテクニックである。

-ラウンド2クリア時のボーナスステージ「一定時間以内に車を破壊する」は後にカプコンにおける定番となり、『ストリートファイターII』などにも登場している。

-荒廃した犯罪都市での大立ち回りという舞台設定にマッチした、荒々しくも熱いBGMの数々。
--担当は松前真奈美氏、坂口由洋氏、藤田晴美氏、民谷淳子氏、藤田靖明氏、高岡宏光氏、下村陽子氏の計7名。
//『ファイナルファイト オリジナルサウンドコレクション』ブックレットより。

**問題点
''残機設定が厳しい''~
-デフォルト設定で残機「1」であり、エクステンド(残機アップ)は得点による1回のみなので、合計「2」しかない。全体的に一歩間違えると一方的に蹂躙されて終了という場所が多発するこのゲームにおいて、この残機数では厳しい。
--ただしエクステンドの点数は非常に低く設定されており、稼ぎを意識せずとも、ラウンド1をクリアする頃にはエクステンドするような数値である。

''1人対多人数という構成ゆえの厳しさ''~
-道中は何人もの敵キャラクターが一斉に寄ってくる場面の連続であり、1人を処理する間に他数人から蹂躙されてそのまま終了という状況に陥る事もよく起こる。ラウンド1をクリアすれば、そこはもう初心者お断りの無法地帯となる。
--高い攻撃頻度のみならず、こちらの攻撃を防御、回避する者やプレイヤーのアウトレンジ、あるいは画面外から攻撃する者、一部のジャンプ攻撃を撃ち落とす者や姿勢を低くして突進してくる者も存在する。画面外からの突進や大ジャンプ攻撃を受けてダウンし、立ち上がった時には四方を敵に囲まれ、立ち上がりと同時に再び袋叩きに遭う、というケースも決して珍しくない。
--必殺技で切り抜けようにも、前述の通りタイミングと敵の位置取りによっては必殺技すら出せないまま次の攻撃を受けて再びダウンすることもある。下手をすると、一度ダウンしたら残機数が減るまで一方的に蹂躪されてしまう。あらゆる意味で、オープニングデモ画面で謳われていた''「平和も秩序もない。あるのは暴力と死だけだ」''という言葉に嘘偽りは無い。早い話が''コンティニューによる継続プレイを前提とした死ね死ね金払えゲーと言って差し支えない''ゲームバランスである。
---必殺技も、前述の仕様から多用出来るものではないため、全体的に敵の配置と対処法を覚えられるかどうかがゲームをやり込む鍵となるが、敵の動きは毎回変わる為パターン化も非常に難しい。


''初見殺しのボスキャラクター達''~
-各ラウンドのボスキャラクターは、ラウンド1の「ダムド」こそ誰でも倒せるレベルだが、以後はそれぞれ一癖も二癖もある個性的な者ばかりで、専用の特殊攻撃の判定や威力が高く、初対決ではなす術もなくやられることが多い。
---ただし、決して理不尽といえる強さではなく、何度か戦って行動パターンを把握すれば対処法が見えてくる。強敵だからこそ倒した時の達成感や爽快感もひとしお。~
しかし、そこまで到達するにはかなりやり込む必要があるのも事実であり、相応にコインを投入する覚悟が必要になる。
--特に前述の「ソドム」は攻撃判定・攻撃力・防御力((ソドムは打撃に対し強い耐性を持っており、つかみからの攻撃以外ではごく僅かしかバイタリティを減らせない。))とも極めて高く、ゲーム全体で見れば、まだ序盤であるラウンド2にしては場違いなほどの強さを持っており、その奇抜な風貌も相まって数多くのプレイヤーに強烈な印象を残し、決して少なくない初心者に攻略を諦めさせた実力を持つ。
---ただし突進と刀による斬撃による接近戦しか持たないため、ひらすらコンティニューを連打し近寄ってくるソドムを片っ端から必殺技で弾き返せば撃破できるという最後の道がある。
---なお、このソドムから「カプコン製ベルトスクロールアクションゲームに登場する2番目のボスキャラクターは強敵」という法則が受け継がれていくことになる。
--ソドムばかりが話題にされがちだが、その先においても体力回復アイテムが支給されるという条件を加見しても後半は延々と逃げ回りながら拳銃による遠距離攻撃を繰り返す「エディ・E」、&bold(){延々と逃げ回りながらアウトレンジからの画面全体爆撃}をかまし続ける「ロレント」に至っては必殺技を使っていれば倒せるような話ではなく、その攻略は地獄すら生ぬるい茨の道である。

**総評
このジャンルでは本作以前にも『ダブルドラゴン』などが存在していたが、「『ファイナルファイト』はベルトスクロールアクションの基礎を作った」と言われるほどの大成功となった。事実、カプコンのベルトスクロールアクションは本作の特徴を踏襲しており、また他社作品においても本作を手本に独自の味付けを施したものばかり、と言えるほど『ファイナルファイト』の完成度と影響力は高い。~

本作の成功によりベルトスクロールというジャンルが一気に知れ渡り、一時期はシューティングゲームと並んでアーケードゲームの定番となった。
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**その後の展開
現在でも一部のゲームセンターでプレイする事が可能。人気作品だったこともあり、いくつかの機種に移植されている。

***スーパーファミコン版
-家庭用初移植。アーケード版からかなり多くの要素が削られているが、爽快感を重視した良移植となっている。
--詳細は[[こちら>ファイナルファイト (SFC)]]から参照されたし。

***ゲームボーイアドバンス版
-『[[ファイナルファイト ONE]]』というタイトルでGBAに移植されている。
--どちらかといえばSFC版をベースにした完全版に近く、アーケードの完全再現には至らないが、作品の魅力を損ねることなく再現している良移植である。
---詳細はタイトル名のリンク先を参照されたし。

***他機種移植作品
-X68000版(1992年7月17日発売、カプコン/開発:SPS):カプコンのX68000初参入作品。同時出現する敵キャラが4人までという点以外は移植度は高い。
-メガCD版『[[ファイナルファイトCD]]』(1993年4月2日発売、セガ・エンタープライゼス):仕様はX68k版に近い。パンチが遅いことや敵の同時出現数がかなり抑えられたこと、バグが多いこと、敵と味方のアニメーションにズレがあることなど爽快感をかなり失う移植であり評価は低い。BGMはCD-DAによるアレンジ版に差し替えられており、こちらは一聴の価値あり。
-CPSチェンジャー版(1995年発売)

-アーケードでは『ファイナルファイトリベンジ』が続編として出たものの、内容は対戦格闘ゲームになっている。((ST-V、すなわちセガサターン互換基板。))
--因みに、ファミ通の評価はというと…
「カクカクしたモデリングに安っぽいテクスチャー。オリジナルのファンの嘆く顔が目に浮かぶ」
「制作意図が見えない格闘ゲーム」
「ハッキリ言って格闘ゲームとしてのデキはプレイステーション初期のレベル。演出もコミカルというよりふざけ過ぎ」
…と、辛辣を通り越している。
-ベルトスクロールアクションを踏襲した続編は『[[ファイナルファイト2]]』『[[ファイナルファイト タフ]]』としてSFCでリリースされた。初代の人気には遠く及ばなかったものの、2人同時プレイや3人(以上)のプレイヤーキャラクター、そしてSFC版でステージごと削除されていたロレントの登場など、初代移植版で果たせなかった要素が実現されている。
-FCではキャラクターの2.5頭身化・1人プレイ専用・必殺技&レベルの導入など大幅なアレンジ移植が施された『[[マイティファイナルファイト]]』がリリースされた。
-アーケード版の完全移植は、2006年にPS2で発売の『[[カプコン クラシックス コレクション]]』が初である。
-2018年にSwitch/PS4/One/Winで配信された『カプコン ベルトアクション コレクション』に国内版と海外版が収録。オンライン協力プレイにも対応している。
-2021年にSwitch/PS4/One/Winで配信された『[[カプコンアーケードスタジアム]]』のパック2『アーケード絶頂期!』にも収録されている。国内版と海外版が選択できる。

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**余談
-本作には「カプコンUSAのスタッフから『[[ストリートファイター]]』の続編を作ってほしいという依頼があったため、製作された」という裏事情がある。「対戦ゲームの続編を作れ」とは言われなかったため、西谷氏はベルトスクロールアクションを題材に選び、このゲームを製作する。AMショーに出展された時のタイトルは『ストリートファイター'89』であったが、ゲーム性が異なることからネーミングで非難を受け、その後タイトルが『ファイナルファイト』に変更された。
--『ファイナルファイト』は国内外問わず好評で、基板も飛ぶように売れた。しかし、例のスタッフは『ファイナルファイト』を見て「オレは対戦ゲームを作ってほしかったんだ…」とコメント。それに対し西谷氏は「なら最初からそう言えって!(笑)」と愚痴をこぼしている。
---その後西谷氏が製作したのが、かの有名な『[[ストリートファイターII]]』である。

-ベルトスクロールアクションの元祖は「[[熱血硬派くにおくん]]」(1986年)だが、知名度はあれどそこまでのヒットではなかった。後にダブルドラゴンやセガの[[ゴールデンアックス]]等が該当するが、ファイナルファイト程のヒットには至らなかった。

-本作の大ヒット後ブームが巻き起こり、各ゲームメーカーはこぞって同タイプのアクションゲームをリリース。ベルトスクロールアクションという一大ジャンルが一気に活性化した。
--ベルトスクロールアクションというジャンルは他のTVゲームジャンルと比べて知名度はあまり高くないが、一部ちょっとコアな人種の間ではベルトスクロールアクションの事を「ファイナルファイト系」と言う風潮もあったりする。
---同ジャンルの先駆者であったテクノスジャパンも例に漏れず積極的にリリースしたが、『コンバットライブス』や『ダブルドラゴン3 ロゼッタストーン』などの出来があまり良くなく、カプコンに大きく水をあけられることとなった。

-AC版ではOPで拉致されたジェシカの一枚絵は''下着''姿だったが、一部を除いた移植版ではドレス姿に変更された。さすがに色々とヤバかったらしい。

-本作に登場する敵キャラクターのうち「ポイズン」と「ロキシー」はその設定に関して紆余曲折がある。
--アメリカでの稼働時に、夫からドメスティックバイオレンスを受けていた女性から「女性に対する暴力を促している」という旨の抗議を受けた際、カプコンサイドは「''(ポイズンとロキシーは)女に見えるが、実際は男だから問題ない''」と突っぱねた((この他、「元々女性として設定していたが、カプコンUSAから「女性を殴るなどとんでもない!」という意見を受けて急遽ニューハーフ設定になった」という話もある。現在では真相を探るのは極めて困難であると言わざるを得ないだろう。))。
---これにより、ポイズンとロキシーの2名はニューハーフキャラクターとして扱われるようになったが、元々はあくまでアメリカでの抗議に対処するための言わばでっち上げであるため、''日本版においてはあくまで女性である''とされていた。
--だが、それ以降の作品によっては、日本版でも明確にニューハーフ扱い((SFC版『ファイナルファイト』取説内表記にはニューハーフとあり、三人称が「彼?」になっている、『マイティファイナルファイト』に登場する妹に当たるキャラクター・ポイズンキッスの設定内に「(ポイズンは)兄」と設定、『SNK VS. CAPCOM カードファイターズDS』のポイズンのカードテキスト。))されることもあれば女性((『ファイナルファイト リベンジ』・『ストリートファイター X 鉄拳』(の公式サイト)では完全に女性と設定。))とされることもあり、更にはぼかされる((『ストリートファイターIII 2nd IMPACT -GIANT ATTACK-』でヒューゴーのセコンドとして登場するが、性別に関しては触れられない。))ことがあったりと、実際の所が曖昧になっている。
---また、開発スタッフ内でも二転三転しており、特に『ストリートファイター4』や『ストリートファイター X 鉄拳』のプロデューサーを務めた小野義徳氏は2007年に受けたインタビューでは「北米版の設定では元男性で性転換手術を経て女性になり、日本版では「上手いこと隠して」女装している」(意訳)としていたのが、2011年に受けたインタビューでは「カプコンからの公式な回答を持たない。ミステリーのままにしておく」(意訳)と回答している。
--これの煽りか、海外でのスーパーファミコンなどへの移植の際にはポイズンとロキシーはそれぞれ「シド」と「ビリー」というパンクファッションの男性に変えられているが、動きは流用されている。
---更には『ファイナルファイト2』でも同様に「マリー」と「エリザ」という女性の敵が出て来るが、これもやはり「レオン」と「ロバート」という男性に動きは流用のまま変えられている。
--しかし肝心のアメリカでは、当時の海外アーケード版はマイナーであり、SNES版でも上記のようにポイズン達が存在自体を消されてしまったため、本来海外用の設定であった筈のニューハーフ設定はほとんど知られることがなく、逆に日本では「美女が実はニューハーフ」という意外性から攻略本などで度々取り上げられるようになり広く浸透してしまう逆転現象が起きてしまった。
---そしてポイズンが『ストリートファイターIII』や『ファイナルファイトリベンジ』等に性別を明記せずゲスト出演して海外でも人気を得ていく中、2006年の『[[カプコン クラシックス コレクション]]』で17年越しに海外でもゲーム内でニューハーフ設定が明記されることになる。以降、ポイズンが実は男なのか否かと海外でも取り上げられるようになり、カプコンがこれに関するコメントを出し始めた時期と一致している。
---近年のLGBT配慮の風潮などもあり、現行設定ではポイズンの性別について男性とも女性とも明記せず深く触れない方針を取っているようで、『ストリートファイターV』に出演した際も性別が「Unknown」になっていたりとデリケートな扱いとなっているようだ。

-マッドギア首領、ベルガーについても車椅子を使用している事から「障害者を虐待している」という抗議を受けた逸話がある。
--このせいか英語版では車椅子から安楽椅子に変更されている。ちなみに車椅子を使用しているのはゲーム中の設定では「歩くのがめんどくさいから」((後に「体が弱いわけではなく足腰自体は丈夫」というベルガーが身体障害者ではない事を強調する後付け設定がなされた。))とされているほか、開発スタッフは「歩くモーションを入れる容量が無かったため」と述べている。実際に車椅子で移動する以外ではジャンプしつつボーガンを連射する動きしか取らない。

-本作のROM容量は様々な事情により、本作で使われた基板であるCPシステム第1弾の『ロストワールド』の半分程度しか用意されなかったことを、西谷氏がTwitterにて語っている。→[[該当リンク>https://twitter.com/nin_arika/status/874635462832345089]]

-難易度の高さに加えて人気作という事もあり、コンティニューでの連コインが問題になった。
--同年にヒットした『[[ダライアスII]]』がプレイの順番待ちで殆ど問題が起こらなかったのとは対照的である。客層が違うというのもあるが…((ゲームセンターの常連に人気だった『ダライアスII』、中高生に人気だった『ファイナルファイト』。))。


-アイルランドのメタルバンド・Gama Bombのアルバム「シチズンブレイン」の楽曲に「ファイナルファイト」というタイトルがあり、歌詞がゲームのファイナルファイトの事を歌っている。((他にも、日本のアクション映画のシーンをPVに取り入れたりと何かと日本をひいきにしている。))


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