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*ルパン三世 カリオストロの城 -再会- 【るぱんさんせい かりおすとろのしろ さいかい】 |ジャンル|アドベンチャー|CENTER:&amazon(B000069TUQ)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 3枚組|~| |発売元|東北新社、アスミック|~| |開発元|シャングリ・ラ|~| |発売日|1997年1月10日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |判定|なし|~| |ポイント|激レアなハヤオゲー&br()ゲームとしては微妙だが、資料価値は非常に高い|~| |>|>|CENTER:''[[ルパン三世ゲームリンク>ルパン三世シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 日本を代表するアニメーション監督であるスタジオジブリの宮崎駿が手がけたアニメ版「ルパン三世」の劇場版シリーズの中でも最も人気の高い「カリオストロの城」を題材としたアドベンチャーゲーム。内容自体は本編の後日談的シナリオとなっている。~ ADVゲームではあるがゲーム性的には目立った点はなく、どちらかといえば本編内容の設定等の資料集を主眼としたファンディスクに近い内容となっている。 **ストーリー 「ゴート札」を巡る一連の事件から数年後。カリオストロ公国ではクラリスが女王に即位し、事件を風化させないため、国全体を一大モニュメントパークとして開放することになった。国のあちらこちらには事件の解決に尽力したルパン三世たちの記念碑が作られ、ローマ遺跡とともに新たな観光名所になっていた。 そんなカリオストロ公国に観光客として訪れた主人公は、事件を体感出来るという「バーチャルゲーム館」を訪れ、ゲームをプレイした。~ しかし、ゲームは途中で中断してしまう。街に戻ってみると、「ルパンが爆弾テロを起こした」という話で持ちきりとなっていた。宿屋に戻った主人公は、そこで突然現れた男に、大公家の「銀の指輪」を渡される。その夜、主人公は公国の特殊部隊「カゲ」の襲撃を受けた。間一髪で逃げ切った主人公は、今度は「顔見知りだ」と名乗る男の接触を受け、「君はゲーム館で記憶を奪われ、ある事件に巻き込まれてしまった」と語る。事情の呑み込めない主人公は、その男の指示を受け大公邸跡に向かう。 大公邸跡に到着した主人公を待っていたのは、男に変装していたルパンだった。ルパンは主人公に「クラリスの身に危険が迫っている。協力して欲しい」と頼み込む。主人公は記憶を取り戻すためにルパンからの要請を受け、クラリスの許に向かう。 無事にクラリスの許に辿り着いた主人公は、彼女から陰謀の解明に協力してくれるよう頼まれ、これを了承する。調査に乗り出した主人公は城内に潜入していた峰不二子と出会い、陰謀の首魁がジョドーであり、大公家に伝わる真の財宝「賢者の石」を狙っていることを知らされる。主人公はルパン・不二子と協力して、ジョドーの陰謀を阻止するため動き出す。 ([[Wikipedia>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%B3%E4%B8%89%E4%B8%96_%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%81%AE%E5%9F%8E_-%E5%86%8D%E4%BC%9A-]]より引用。) **システム -ゲームとしては、画面内をクリックしたり選択肢を選ぶ事で進むクリックアドベンチャー。 --マウス対応のためか使うボタンはたった2つ。○ボタンと×ボタンだけである。 ---×ボタンはキャンセルに使うだけなので実質○ボタンだけと言ってもいい。 --画面内の怪しいところをクリックして、探索を進めていく方式になっている。 --アイテム欄から使いたいアイテムを選び、使用することもできる。アイテムを特定の相手に見せると反応が変わったりする。 --主人公はプレイヤー自身という位置付けなので画面には映らないが、ストーリー上は普通に喋る((終盤に五ェ門が「女が加わるよりマシか」と言っているので男性に間違いない模様。))。 -特定のタイミングでは「バトル」になることもある。 --とはいえそんなに難しい操作は要求されない。カーソルが拳のマークになったら攻撃し、敵の目が光ったら回避するだけである。 --原作ではルパン達が手を焼くシーンもあった特殊部隊「カゲ」に対し、観光客の主人公が素手で渡り合うのは変と思うかもしれないが、これには理由がある。 **評価点 -資料価値が非常に高いこと。 --原作映画ではカリオストロ公国の街並みやカリオストロ城内部の構造と言った面ははっきり描写されていなかったが、本作ではこの辺りがキチンと描かれている。 ---グラフィックレベルも高め。この手の設定が好きな人にはたまらない。 --また、街がルパン達の功績を称える観光地となっている関係上、各所で「解説を受ける」という形で裏設定やラフ画などの映画資料も閲覧可能。これに関するコメントもまたマニアック。%%こんなに目立っていいのかルパン一味。%% ---一部の資料では映画のワンシーンを見ることもできる。 -主人公以外はフルボイス --原作キャラは声優も同一。お馴染みのルパンファミリー、ヒロインのクラリスは勿論の事、本作で悪役となるジョドーと大司教((原作ではルパンに成り代わられ、本物は消息すら不明のまま終わったバチカンの大司教。))も原作の声優が務めている。 ---ただし、肝心のルパンだけは担当声優の山田康雄が1995年に亡くなっているので現行の栗田貫一になっている。 ---また、グスタフやレストランのウェイトレスなどの脇役は変わっている場合も。 -原作リスペクトの多さ --随所に原作映画を思わせる演出が入る。 ---城へ潜入するシーンは原作でのローマの水道がポリゴンで忠実に再現されており、その時の水車に振り回されて流されるルパンの気分を味わえる。出口では覗き込むとっつぁんの顔が水流で歪む所まで完備。 ---不二子が使った覗き穴やジョドーの背中に貼り付けたルパンの予告状((本作によると伯爵は後から「色と欲」の所を書き換えたり「バカ」「死ね」などと落書きしていたとの事。))と言った細かい部分までとにかく枚挙に暇がない。 ---ルパンがオートジャイロを奪って北の塔に飛んでくるシーンが今回もある((その後のオートジャイロの運命はやはり同じだが、過去の経験もあってかルパン達が一時敗走するような事態にはならない。))。但し、その際の救出対象はクラリスではなく主人公。まさかの''クラリス体験である''。 ---逆に原作とは若干異なる経緯を辿るアイテムもある。例えば原作では全く活躍しなかった「ロケットワイヤー((ルパンが最初にクラリスのいる北の塔への侵入に用いようとして失敗した赤いロケット、と言えばわかるだろうか。))」。本作ではこれが活躍する場面を見ることができる。~ ちなみにこれをルパンが渡すとき一緒にライターをくれるのだが、この際「ガスがた~っぷり入ってっからな、まあ点かないなんてことはないんじゃないかな」という原作での失敗を踏まえた台詞も入る。 --オープニングムービーがカリオストロ公爵の語りであったり、クラリスと会う際に出てくる選択肢の中に「泥棒です」があったり((ここで「怪しいものではありません」と答えると露骨に警戒されるのだが、「泥棒です」と答えるとルパンの仲間として即座に信用される。クラリスの返しも「泥棒さん?」なのも実に分かっている。))とリスペクト要素は多岐に渡る。 ---ルパンと次元の食事シーンが「''スパゲティ争奪戦''」として語り継がれているという、原作ファン爆笑ものの小ネタも。しかも本作のガイド役がその時のウェイトレスの妹というのもポイント。 --インストゥルメンタルではあるが、原作の主題歌「炎のたからもの」もBGMとして収録されており、クラリス登場シーンやスタッフロールで流れる。 -ストーリーも概ね評価が高い。 --本作のストーリーで主人公は「訳あって記憶を無くしたルパン一味の一員((主人公は世界各地に拠点のあるルパンをサポートする「ルパン・シンジケート」なる組織のメンバー))」として動く。つまり誰もが夢見た「クラリスとの再会」と「ルパンの仲間として活躍する」という2つの夢を同時に叶えられるのである。 ---詳細は避けるが、結末もなんとも曖昧で想像を巡らす余地のあるもの。 --キーアイテムに「賢者の石」を持ってくるのも上手い。 ---「なんの関係があるんだ?」と思う人もいるだろうが、実在の「カリオストロ伯爵」は「''錬金術師を自称していた''」人物であり、賢者の石と深い関わりのあるのである。おそらくこの繋がりから採用されたのであろう。 **賛否両論点 -アドベンチャーとしては相当にヌルイ。 --よほどのミスをしない限り、ゲームオーバーという事態に遭遇することがまずあり得ないレベル。地雷選択肢もほぼなく、調べられるところを虱潰しに調べるという古典的な手段でクリア可能。 ---攻略の手順も一本道で、原作キャラが過剰とも思えるヒントをくれるのでまともに進めて詰まることはないだろう。ゲームに慣れていない人向けなのかもしれないが…。 **問題点 -ボイスに字幕が入らない --この時代のフルボイスADVでは珍しくないが、ボイスのない主人公の台詞以外は字幕もテキストも入らない。当然バックログ機能など無く、重要な情報を聞き逃す可能性もある。 -山田ルパンと栗田ルパンの混在 --既存部分は山田ルパン、ゲーム用の新規部分は栗田ルパンになっている為、両方が混在する事でかえってその差が目立っている。 -バトルの難易度は地味に高い。 --いつバトルになるか予測不可能なのが厄介。幸い頻度はそんなに多くない。 ---負けるとゲームオーバーでセーブしたところからやり直しなのだが、''会話スキップ不可''。また場所移動の際もいちいち移動シーンが入る。もう一度同じ場所までたどり着くのが面倒なので、こまめなセーブ推奨。 -DISC3枚組なのだがボリュームは非常に薄く、一周''5時間''程度。前述の通り分岐などもない。 --アニメやボイス、映画資料を詰め込んでいる事を考慮しても、初プレイだとほぼ間違いなく「え!?もう入れ替え!?」と面食らうはず。 ---一応選択肢で会話が変わったりするが、むしろそれだけを埋めるために何周もするのは手間。セーブ箇所も5カ所しかないので、いくつもセーブするのは難しい。 --「随所にある金貨を集めてイラストの収集をする」というやりこみ要素はあるが、隠し場所にカーソルを当てるとカーソルの形が変わる上、特に地雷選択肢もないため収集は難しくない。 -次元、五ェ門、銭形の出番が少ない。 --次元と五ェ門は途中で主人公をサポートするものの、後はクライマックスまで出番が無い。原作での「出番の無いまま退却かよ!」の下りと絡めて自虐的に語るシーンがあるほど。五ェ門に関しては劇場版「カリオストロの城」でも出番が少なかったので、残念がる声も多い。 ---五ェ門の斬鉄剣も扉を斬る際に一度振るわれるだけ。その所為か、いつもの「またつまらぬものを斬ってしまった」ではなく、原作クライマックスにように「今宵の斬鉄剣も一味違う」と言う。…扉斬っただけなんですが。 --銭形に至っては序盤と噴水のシーン、後はエンディング直前程度しか登場せず、原作のようにルパン一味と共闘したり敵の悪事を暴くと言った活躍シーンはおろか、ストーリーへの絡み自体が皆無も同然。 ---- **総評 アドベンチャーとしては精々下の上~下の中レベル。同時代の他作品と比べてもさほど評価できる面はない。~ 一方で資料としての価値は非常に高く、ファン垂涎もの。クリアするだけなら特別面倒な作品でもないので、純粋にファンアイテムと割り切ってプレイするのが正解だろう。 ---- **余談 -スタジオジブリとテレビゲームについての噂等 --「ジブリ作品のゲーム化が非常に少ない」「ジブリ作品では現代を舞台にしていても小道具としてすらゲーム機がほとんど登場しない」こういった物を根拠として、「宮崎駿が大のゲーム嫌いで、自らの監督作品にゲーム化の許可を与えないからだ」「『風の谷のナウシカ』のゲーム化をさせたら、「''ナウシカが蟲を撃ち殺す原作完全無視のシューティングゲーム''」になっていて激怒した結果以降ゲーム化を一切しない方針になった」等と噂される事も多い。 ---しかし、ナウシカのゲーム自体は公式のものが三作出ており、STGは『忘れじの((「忘れじ」は古語で「いつまでもあなたを忘れない」という男の言葉。「じ」は「許すまじ(許さない)」等打消しの意志の助動詞))ナウシカ・ゲーム』『ナウシカ危機一髪』の二本。しかし『忘れじ』でも『危機一髪』でも、ナウシカが戦うのはドルクと呼ばれる原作コミックの敵勢力となっている。~ 一応『忘れじ』では展開を無視する形で強引に王蟲と戦えるが、その場合「怒った王蟲の突撃を受け、風の谷が壊滅する」というバッドエンドになるという点で、きちんと原作を尊重している。つまり、噂の根拠からして間違っている。 --後にスタジオジブリが2016年に[[太鼓の達人>太鼓の達人シリーズ]]とコラボした際にプロデューサーの鈴木敏夫氏はこの噂について言及している。([[該当リンク>https://www.cinematoday.jp/news/N0074358]]) 「スタジオジブリはテレビゲームが嫌いなんて言われていますけど、正確に言うと、あまりよくわかっていないんですよ。そっちが大きいです」 「僕と宮崎駿も将棋なんかはやりますけど、デジタルゲームは何がおもしろいのかがさっぱりわからない。それが原因なんですよね」 ---このようにコメントしており、つまるところ単に面白さがよくわからないから携わらないというだけで、ゲームそのものを否定している訳ではないようだ。 --『[[ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ]]』の余談エピソードや『ニノ国漆黒の魔道士』のアニメパート制作を許可した事から昔は嫌いだったが年月を経て心変わりしたということだろう。
*ルパン三世 カリオストロの城 -再会- 【るぱんさんせい かりおすとろのしろ さいかい】 |ジャンル|アドベンチャー|CENTER:&amazon(B000069TUQ)| |対応機種|プレイステーション|~| |メディア|CD-ROM 3枚組|~| |発売元|東北新社、アスミック|~| |開発元|シャングリ・ラ|~| |発売日|1997年1月10日|~| |定価|6,800円(税抜)|~| |判定|なし|~| |ポイント|激レアなハヤオゲー&br()ゲームとしては微妙だが、資料価値は非常に高い|~| |>|>|CENTER:''[[ルパン三世ゲームリンク>ルパン三世シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 日本を代表するアニメーション監督であるスタジオジブリの宮崎駿が手がけたアニメ版「ルパン三世」の劇場版シリーズの中でも最も人気の高い「カリオストロの城」を題材としたアドベンチャーゲーム。内容自体は本編の後日談的シナリオとなっている。~ ADVゲームではあるがゲーム性的には目立った点はなく、どちらかといえば本編内容の設定等の資料集を主眼としたファンディスクに近い内容となっている。 **ストーリー 「ゴート札」を巡る一連の事件から数年後。カリオストロ公国ではクラリスが女王に即位し、事件を風化させないため、国全体を一大モニュメントパークとして開放することになった。国のあちらこちらには事件の解決に尽力したルパン三世たちの記念碑が作られ、ローマ遺跡とともに新たな観光名所になっていた。 そんなカリオストロ公国に観光客として訪れた主人公は、事件を体感出来るという「バーチャルゲーム館」を訪れ、ゲームをプレイした。~ しかし、ゲームは途中で中断してしまう。街に戻ってみると、「ルパンが爆弾テロを起こした」という話で持ちきりとなっていた。宿屋に戻った主人公は、そこで突然現れた男に、大公家の「銀の指輪」を渡される。その夜、主人公は公国の特殊部隊「カゲ」の襲撃を受けた。間一髪で逃げ切った主人公は、今度は「顔見知りだ」と名乗る男の接触を受け、「君はゲーム館で記憶を奪われ、ある事件に巻き込まれてしまった」と語る。事情の呑み込めない主人公は、その男の指示を受け大公邸跡に向かう。 大公邸跡に到着した主人公を待っていたのは、男に変装していたルパンだった。ルパンは主人公に「クラリスの身に危険が迫っている。協力して欲しい」と頼み込む。主人公は記憶を取り戻すためにルパンからの要請を受け、クラリスの許に向かう。 無事にクラリスの許に辿り着いた主人公は、彼女から陰謀の解明に協力してくれるよう頼まれ、これを了承する。調査に乗り出した主人公は城内に潜入していた峰不二子と出会い、陰謀の首魁がジョドーであり、大公家に伝わる真の財宝「賢者の石」を狙っていることを知らされる。主人公はルパン・不二子と協力して、ジョドーの陰謀を阻止するため動き出す。 ([[Wikipedia>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%B3%E4%B8%89%E4%B8%96_%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%81%AE%E5%9F%8E_-%E5%86%8D%E4%BC%9A-]]より引用。) **システム -ゲームとしては、画面内をクリックしたり選択肢を選ぶ事で進むクリックアドベンチャー。 --マウス対応のためか使うボタンはたった2つ。○ボタンと×ボタンだけである。 ---×ボタンはキャンセルに使うだけなので実質○ボタンだけと言ってもいい。 --画面内の怪しいところをクリックして、探索を進めていく方式になっている。 --アイテム欄から使いたいアイテムを選び、使用することもできる。アイテムを特定の相手に見せると反応が変わったりする。 --主人公はプレイヤー自身という位置付けなので画面には映らないが、ストーリー上は普通に喋る((終盤に五ェ門が「女が加わるよりマシか」と言っているので男性に間違いない模様。))。 -特定のタイミングでは「バトル」になることもある。 --とはいえそんなに難しい操作は要求されない。カーソルが拳のマークになったら攻撃し、敵の目が光ったら回避するだけである。 --原作ではルパン達が手を焼くシーンもあった特殊部隊「カゲ」に対し、観光客の主人公が素手で渡り合うのは変と思うかもしれないが、これには理由がある。 **評価点 -資料価値が非常に高いこと。 --原作映画ではカリオストロ公国の街並みやカリオストロ城内部の構造と言った面ははっきり描写されていなかったが、本作ではこの辺りがキチンと描かれている。 ---グラフィックレベルも高め。この手の設定が好きな人にはたまらない。 --また、街がルパン達の功績を称える観光地となっている関係上、各所で「解説を受ける」という形で裏設定やラフ画などの映画資料も閲覧可能。これに関するコメントもまたマニアック。%%こんなに目立っていいのかルパン一味。%% ---一部の資料では映画のワンシーンを見ることもできる。 -主人公以外はフルボイス --原作キャラは声優も同一。お馴染みのルパンファミリー、ヒロインのクラリスは勿論の事、本作で悪役となるジョドーと大司教((原作ではルパンに成り代わられ、本物は消息すら不明のまま終わったバチカンの大司教。))も原作の声優が務めている。 ---ただし、肝心のルパンだけは担当声優の山田康雄が1995年に亡くなっているので現行の栗田貫一になっている。 ---また、グスタフやレストランのウェイトレスなどの脇役は変わっている場合も。 -原作リスペクトの多さ --随所に原作映画を思わせる演出が入る。 ---城へ潜入するシーンは原作でのローマの水道がポリゴンで忠実に再現されており、その時の水車に振り回されて流されるルパンの気分を味わえる。出口では覗き込むとっつぁんの顔が水流で歪む所まで完備。 ---不二子が使った覗き穴やジョドーの背中に貼り付けたルパンの予告状((本作によると伯爵は後から「色と欲」の所を書き換えたり「バカ」「死ね」などと落書きしていたとの事。))と言った細かい部分までとにかく枚挙に暇がない。 ---ルパンがオートジャイロを奪って北の塔に飛んでくるシーンが今回もある((その後のオートジャイロの運命はやはり同じだが、過去の経験もあってかルパン達が一時敗走するような事態にはならない。))。但し、その際の救出対象はクラリスではなく主人公。まさかの''クラリス体験である''。 ---逆に原作とは若干異なる経緯を辿るアイテムもある。例えば原作では全く活躍しなかった「ロケットワイヤー((ルパンが最初にクラリスのいる北の塔への侵入に用いようとして失敗した赤いロケット、と言えばわかるだろうか。))」。本作ではこれが活躍する場面を見ることができる。~ ちなみにこれをルパンが渡すとき一緒にライターをくれるのだが、この際「ガスがた~っぷり入ってっからな、まあ点かないなんてことはないんじゃないかな」という原作での失敗を踏まえた台詞も入る。 --オープニングムービーがカリオストロ公爵の語りであったり、クラリスと会う際に出てくる選択肢の中に「泥棒です」があったり((ここで「怪しいものではありません」と答えると露骨に警戒されるのだが、「泥棒です」と答えるとルパンの仲間として即座に信用される。クラリスの返しも「泥棒さん?」なのも実に分かっている。))とリスペクト要素は多岐に渡る。 ---ルパンと次元の食事シーンが「''スパゲティ争奪戦''」として語り継がれているという、原作ファン爆笑ものの小ネタも。しかも本作のガイド役がその時のウェイトレスの妹というのもポイント。 --インストゥルメンタルではあるが、原作の主題歌「炎のたからもの」もBGMとして収録されており、クラリス登場シーンやスタッフロールで流れる。 -ストーリーも概ね評価が高い。 --本作のストーリーで主人公は「訳あって記憶を無くしたルパン一味の一員((主人公は世界各地に拠点のあるルパンをサポートする「ルパン・シンジケート」なる組織のメンバー))」として動く。つまり誰もが夢見た「クラリスとの再会」と「ルパンの仲間として活躍する」という2つの夢を同時に叶えられるのである。 ---詳細は避けるが、結末もなんとも曖昧で想像を巡らす余地のあるもの。 --キーアイテムに「賢者の石」を持ってくるのも上手い。 ---「なんの関係があるんだ?」と思う人もいるだろうが、実在の「カリオストロ伯爵」は「''錬金術師を自称していた''」人物であり、賢者の石と深い関わりのあるのである。おそらくこの繋がりから採用されたのであろう。 **賛否両論点 -アドベンチャーとしては相当にヌルイ。 --よほどのミスをしない限り、ゲームオーバーという事態に遭遇することがまずあり得ないレベル。地雷選択肢もほぼなく、調べられるところを虱潰しに調べるという古典的な手段でクリア可能。 ---攻略の手順も一本道で、原作キャラが過剰とも思えるヒントをくれるのでまともに進めて詰まることはないだろう。ゲームに慣れていない人向けなのかもしれないが…。 **問題点 -ボイスに字幕が入らない --この時代のフルボイスADVでは珍しくないが、ボイスのない主人公の台詞以外は字幕もテキストも入らない。当然バックログ機能など無く、重要な情報を聞き逃す可能性もある。 -山田ルパンと栗田ルパンの混在 --既存部分は山田ルパン、ゲーム用の新規部分は栗田ルパンになっている為、両方が混在する事でかえってその差が目立っている。 -バトルの難易度は地味に高い。 --いつバトルになるか予測不可能なのが厄介。幸い頻度はそんなに多くない。 ---負けるとゲームオーバーでセーブしたところからやり直しなのだが、''会話スキップ不可''。また場所移動の際もいちいち移動シーンが入る。もう一度同じ場所までたどり着くのが面倒なので、こまめなセーブ推奨。 -DISC3枚組なのだがボリュームは非常に薄く、一周''5時間''程度。前述の通り分岐などもない。 --アニメやボイス、映画資料を詰め込んでいる事を考慮しても、初プレイだとほぼ間違いなく「え!?もう入れ替え!?」と面食らうはず。 ---一応選択肢で会話が変わったりするが、むしろそれだけを埋めるために何周もするのは手間。セーブ箇所も5カ所しかないので、いくつもセーブするのは難しい。 --「随所にある金貨を集めてイラストの収集をする」というやりこみ要素はあるが、隠し場所にカーソルを当てるとカーソルの形が変わる上、特に地雷選択肢もないため収集は難しくない。 -次元、五ェ門、銭形の出番が少ない。 --次元と五ェ門は途中で主人公をサポートするものの、後はクライマックスまで出番が無い。原作での「出番の無いまま退却かよ!」の下りと絡めて自虐的に語るシーンがあるほど。五ェ門に関しては劇場版「カリオストロの城」でも出番が少なかったので、残念がる声も多い。 ---五ェ門の斬鉄剣も扉を斬る際に一度振るわれるだけ。その所為か、いつもの「またつまらぬものを斬ってしまった」ではなく、原作クライマックスにように「今宵の斬鉄剣も一味違う」と言う。…扉斬っただけなんですが。 --銭形に至っては序盤と噴水のシーン、後はエンディング直前程度しか登場せず、原作のようにルパン一味と共闘したり敵の悪事を暴くと言った活躍シーンはおろか、ストーリーへの絡み自体が皆無も同然。 ---- **総評 アドベンチャーとしては精々下の上~下の中レベル。同時代の他作品と比べてもさほど評価できる面はない。~ 一方で資料としての価値は非常に高く、ファン垂涎もの。クリアするだけなら特別面倒な作品でもないので、純粋にファンアイテムと割り切ってプレイするのが正解だろう。 ---- **余談 -スタジオジブリとテレビゲームについての噂等 --「ジブリ作品のゲーム化が非常に少ない」「ジブリ作品では現代を舞台にしていても小道具としてすらゲーム機がほとんど登場しない」こういった物を根拠として、「宮崎駿が大のゲーム嫌いで、自らの監督作品にゲーム化の許可を与えないからだ」「『風の谷のナウシカ』のゲーム化をさせたら、「''ナウシカが蟲を撃ち殺す原作完全無視のシューティングゲーム''」になっていて激怒した結果以降ゲーム化を一切しない方針になった」等と噂される事も多い。 ---しかし、ナウシカのゲーム自体は公式のものが三作出ており、STGは『忘れじの((「忘れじ」は古語で「いつまでもあなたを忘れない」という男の言葉。「じ」は「許すまじ(許さない)」等打消しの意志の助動詞))ナウシカ・ゲーム』『ナウシカ危機一髪』の二本。しかし『忘れじ』でも『危機一髪』でも、ナウシカが戦うのはドルクと呼ばれる原作コミックの敵勢力となっている。~ 一応『忘れじ』では展開を無視する形で強引に王蟲と戦えるが、その場合「怒った王蟲の突撃を受け、風の谷が壊滅する」というバッドエンドになるという点で、きちんと原作を尊重している。つまり、噂の根拠からして間違っている。 --後にスタジオジブリが2016年に[[太鼓の達人>太鼓の達人シリーズ]]とコラボした際にプロデューサーの鈴木敏夫氏はこの噂について言及している。([[該当リンク>https://www.cinematoday.jp/news/N0074358]]) 「スタジオジブリはテレビゲームが嫌いなんて言われていますけど、正確に言うと、あまりよくわかっていないんですよ。そっちが大きいです」 「僕と宮崎駿も将棋なんかはやりますけど、デジタルゲームは何がおもしろいのかがさっぱりわからない。それが原因なんですよね」 ---このようにコメントしており、つまるところ単に面白さがよくわからないから携わらないというだけで、ゲームそのものを否定している訳ではないようだ。 --『[[ワンダープロジェクトJ 機械の少年ピーノ]]』の余談エピソードや『ニノ国漆黒の魔道士』のアニメパート制作を許可した事から昔は嫌いだったが年月を経て心変わりしたということだろう。

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