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*幻想水滸伝II 【げんそうすいこでんつー】 |ジャンル|RPG|&image(198844_26305_front.jpg,width=160)[[高解像度で見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3897/2024/198844_26305_front.jpg]] [[裏を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3897/2023/198844_26305_back.jpg]]| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|コナミ|~| |開発元|コナミコンピュータエンタテイメント東京|~| |発売日|1998年12月17日|~| |定価|6,090円|~| |廉価版|コナミ ザ ベスト:1999年12月9日/2,800円&br()PS one Books:2002年7月11日/1,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[幻想水滸伝シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『幻想水滸伝シリーズ』の第2作。~ 時代は前作の2年後、場所を前作の舞台赤月帝国(本作の時代ではトラン共和国)の北、ジョウストン都市同盟とハイランド王国に移し物語が展開される。~ 基本的なシステムは前作とほぼ同じ、108星を集める本拠地システムも相変わらず。~ ただしシステムや操作性は細かいところが洗練されより快適になっている。~ グラフィックはより見やすくなり、派手さはないが細かいところまで描かれた描写は生活感や臨場感を引き上げている。~ ゲームボリュームも増大。メインシナリオに関係ないダンジョンや村もいくつかあり、サブイベントが非常に充実している。 前作のデータをコンバートでき、前作キャラのレベル・武器レベルの上昇や前作主人公の仲間加入等の特典が得られる。~ 音楽もよい。全体的に演出効果が優れており、イベントを盛り上げるスパイスとなっている。~ 作曲は『[[グラディウス]]』や『[[ときめきメモリアル]]』で知られる東野美紀。~ だが、なんといってもシナリオの評価が非常に高い。 ---- **ストーリー デュナン地方の2大国ジョウストン都市同盟とハイランド王国は長年続いていた争いに終止符を打つため停戦条約を締結した。~ 主人公と親友ジョウイはハイランド王国の少年兵部隊として国境に配備されていたが、停戦が決まった為同僚達とともに故郷へ帰る支度をしていた。~ ところが…突然警鐘が鳴り、謎の軍勢が部隊のキャンプに攻め入ってくる。都市同盟軍が奇襲を仕掛けてきたと皆思った。~ しかし主人公達は見てしまう。襲撃してきた軍を指揮していたのは自国ハイランドの皇子ルカ・ブライトであった。~ 停戦を不服とした彼は、少年兵部隊の隊長と結託して部隊を全滅させ、その罪を都市同盟になすりつけ再び戦争を始めようとしているのだ。~ 追い詰められた2人は、離れ離れになったらこの場所に戻って待つことを約束し、一か八かに賭けて激流に身を投げた。~ ~ その後合流した2人だが間もなく都市同盟とハイランドの戦争が再開され、主人公とジョウイは都市同盟側に立って戦うことになった。しかしハイランドの軍事力は強大だった。~ 村々は蹂躙され、砦は陥落し、次々と侵略されていく様を何も出来ずに見過ごしながら、撤退する…主人公達はあまりにも無力だった。~ しかし、焼け落ちた村の祠の中で2人は見つけてしまう、27の真の紋章の1つ「始まりの紋章」を。~ 持つものに絶大な力が与えると同時に代償を求められる真の紋章。今の自分達には何としても力が必要だった。~ 始まりの紋章は「輝く盾の紋章」と「黒き刃の紋章」の2つに分かれており、輝く盾は主人公に、黒き刃はジョウイが宿すことになった。~ それをきっかけとして2人は別々の運命を歩んでいく。~ ---- **評価点 ***シナリオの魅力 ''単純な善悪で割り切れない2勢力の争い''~ -本作の敵はハイランド王国とそれを指揮する皇子ルカ・ブライトである。彼らは序盤から悪逆非道の限りを尽くし、悪役ぶりを見せ付けてくれる。 -ところが、それに対して都市同盟に属する市長の面々はどうかというと決して志を持った正義の人ではない。 --盟主こそ良識的な人物だが、軍事力を背景に横暴に発言力を振りかざす騎士団長、事なかれ主義が行き過ぎて結局何も出来ない市長A、立場が弱く結局何も発言出来ない市長B、領地が安全圏にある故に言いたいことを言う無責任な市長C等まとまりがない。 ---その言い争いを見たジョウイはあることを悟る。そして彼がとった行動とは…。 //都市同盟を見限って敵のハイランド側につくこと。彼は持ち前の知恵と力でハイランド軍の中で手柄を立てていく。 //---それぞれの勢力に翻弄され、逃げ惑う主人公は後に拠点となる古城を手に入れ、ハイランド王国と戦う決意をする。そして空中分解した都市同盟の残存勢力を纏め上げ、人々の希望となっていく。 //-また敵であるハイランド側の人物も疲弊した自国を憂う者や国の為に忠義を尽くす将軍などがいて、それぞれの信じる正義の為に主人公の前に立ちはだかる。必ずしもルカに忠実な者ばかりというわけではなく、敵側も敵側で都市同盟と同じく一枚岩ではない。 //--そして最終的に''ジョウイはハイランドの国王となり''、主人公の最後の敵として立ちはだかる運命となる。 ''話を盛り上げるキャラクター達''~ -前作に続いてシナリオの質が高く、それに伴うキャラクターの魅力は敵・味方、メイン・サブともに深い。 --時に励まし時に失敗しながら常に主人公に寄り添う義姉ナナミ、前作の戦いを経て歴戦の戦士となり主人公を導くフリック&ビクトール等、個々のキャラ立ちは前作に輪をかけて上手く仕上がっている。 -中でも最大の敵ルカ・ブライトは悪役にもかかわらず、シリーズでも屈指のカルト的、もしくはカリスマ的な人気を持つ。 //--序盤ハイランド軍が進撃し、小さな村々を次々と焼き落とし人々を虐殺していく様は簡素な描写ながらショッキングな光景。 //---その時にルカは命乞いをした村娘に「ブタの物真似をしてみろ」と命じる。命惜しさにブタの真似をして這いずり回る娘。しかしルカは彼女に対して''「ブタは死ね!!!」''と言い放ち斬り捨ててしまう。この話は彼を語る上で欠かせない。 //--また彼との決戦は壮絶そのもの。味方側はルカ一人を仕留めるために6人パーティーを3つも組んで奇襲をかけそれぞれが彼と戦闘する。その後消耗したルカに主人公が一騎打ちをして漸く最期を遂げる。 //---緊迫感を煽る専用戦闘曲「追い詰める」やルカの最期の台詞等演出も上手いこともあって中盤最大の見所となっている。 --ルカ・ブライトとの直接対決も彼個人の圧倒的武力を体現したものとなっており、その常軌を逸した強さから未だに''シリーズ最強の敵''と賞賛されている。 ---あまりにも強いのでここで詰まる恐れもあるほど。兎に角めげずにレベルを上げたり、属性防御を考えたりしよう。 //--設定上、彼にも不幸な過去がありそれ故に都市同盟を深く恨んでいることが凶行の理由だったのだが、本編上は決して自分の行動を正当化することも無く純粋な悪人であることを自覚した上で最後まで後悔することは無く悪に徹した。 //---一方で彼をそうさせた理由に繋がる人物こそ全ての元凶であったりして救われない(こっちは別件でも悪事を働いているのだが、その別件は公になる等、しっかりとしっぺ返しを食らってはいた)。 //(その為多くのファンが付いた。しかしその過去と動機から、嫌う人の中には''マザコン''と蔑む人もいる) //#region(close,ネタバレ) //--『幻想水滸外伝』で主人公(今作のそれとは別人)が絶賛するほどの手腕を有しながらも、その行き過ぎた残虐性故にゲーム中ではただでさえ欠けていた人望が少しづつ更に衰え、側近に裏から見限られ、そして自分の手駒にしたジョウイの裏切りに全く気付かないまま主人公に敗れ、散っていくまでの一部始終は、上記の過去と相まってプレイヤーにある種の滑稽さと憐れみ、虚無感も感じさせてくれる。 //--ただ、彼の死で後半の盛り上がりに支障が出たと感じるプレイヤーやスタッフは多かったらしく、GBAで発売された『幻想水滸伝カードストーリーズ』は、話の展開が「彼が物語終盤まで生存し、ラスボスとして立ち塞がってくれたら?」というIFストーリーになっている。 //#endregion -また、時代も場所も前作と近い為、前作の108星のうち約20人が継続して参加している。108星に入ってない前作キャラや前作の敵キャラも敵やNPCとして何人か登場している。 --中盤に前作の舞台である赤月帝国にあたる現・トラン共和国の首都グレッグミンスターに行くイベントがあるのだが、そこでも前作のキャラ達の現在が描かれており、前作ファンには嬉しいサービス。 --また前作のデータをコンバートをしていると前作主人公が仲間に加わるイベントが追加される((前作主人公の名前はコンバート元のデータの物となっており、『II』の主人公に同じ名前を付けていると、それに言及するなど芸が細かい。))。前作主人公はセリフを全く口にしないキャラになっており、前作プレイヤー個々人のイメージを崩さない様に配慮されている。また、前作の頃から前作主人公に想いを寄せるくノ一・カスミをパーティに入れていると会話イベントが追加されるが非常に切なく前作ファンの評判も良いものとなっている。 //意見箱の意見より、中盤以降のネタバレ記述は全てCO ***さらに進化した本拠地システムと108星 -前作に続いて108星を収集する本拠地システムは健在。それを取り巻くシステム・イベントもパワーアップしている。 -本作から本拠地の目安箱の設置と探偵・レストランという要素が追加された。 --目安箱とは今まで集めた108星が主人公に意見等を提出するものだが、その内容が108星それぞれの個性を上手く表現している。 ---例えば動物系の仲間だと文字がかけないので足跡をつけたり等。 --探偵は108星の1人で、(探偵本人を含む)指定した108星の情報を調査してくれる。その内容はやはりそれぞれのキャラの裏設定や個性付けとして上手く機能しており、興味深い。しかも調査は1人1回だけでは終わらず量は相当なもの。 ---調査の内容はキャラに関する背景だけでなく、キャラに関するアイテムの情報や協力攻撃、前述の前作主人公イベント発生のヒントになるもの等、ゲーム上役に立つ情報も含まれている。 ---あるキャラクターを探偵してもらうとその返事が不可解な物がある。調べれば調べるほど謎の深まるキャラ…。 ---また、仲間に出来る可能性のあるキャラを参入させるヒントを得ることも出来る。その際、そのキャラの顔グラフィックと名前が表示されるが、一度も会ったことのない人物は、名前は伏せ字で、顔グラフィックはシルエットで表示される。 //---また、会話した時点で仲間に出来る可能性のあるキャラを参入させるヒントを得ることも出来る。 //---確か、「会話した時点で」ではなく、一度も会ったことのないキャラのことも調べてもらえたと思います。間違っていたら訂正をお願いします。 --レストランでは、料理をつくってもらったり売り上げをもらえたりする。料理は回復アイテムとして使用できるため、前作よりも回復アイテムの種類数が増えた。 ---通常の回復アイテムよりも、1枠の保有数が多かったり、回復量が多かったり、バッドステータス回復・グッドステータスにするなどの効果があったりするなど、かなり性能が良い。 ---また、レストランにともなって、釣り場・畑・牧場といった施設が新設された。釣り場・畑はミニゲームも楽しめる。 -メインシナリオに絡まない108星にも、加入後のイベントが用意されている。その力の入れ方は、前作の比ではない。 --昔の料理漫画を髣髴とさせるハイ・ヨーの料理勝負イベント、制限時間以内に仇の足跡を追わなくてはならないクライブイベント等はかなりの凝りよう。 ---前者では仲間キャラが審査員となる。司会者が審査員の紹介をするが、その紹介文の中には審査員の好みの料理のヒントが隠されていて、キャラの個性の描写に一役買っている。 ---実際には、好みの料理の種類は設定上数種類しかないのだが、紹介文は料理の好み以外にもそれぞれのキャラの個性を表している。 ---ただ後者のイベントは実質的にタイムアタックを強要するものである為、RPGに慣れていない人には厳しいものがある。~ 慣れている人でも駆け足で攻略しなければならず、108星を揃えることも不可能と言われるほど。シナリオや戦略を楽しむ余裕もない。実質的には2周目以降のお楽しみ要素と言える。 -上記の目安箱・探偵・サブイベント以外にも、108星の個性を引き出す工夫がなされた。 --パーティーに加入・離脱する際に、一言セリフを言うようになった。 ---使いまわしがほとんどなく、個々の個性やイメージに沿ったセリフを言うようになっている。 ---テンポが悪くなったともいえるが、メインシナリオに絡まない仲間キャラの個性を垣間見る数少ないチャンスの一つである。 --イベントなどで、パーティーメンバーに入っているキャラで、本来そのイベントなどにかかわりのないキャラにも、セリフが与えられるようになった。 ---セリフ数は少なく、毎回というわけではないが、それでも前作にあったような「特定のキャラのしゃべるときとしゃべらないときとの差が激しくて、違和感がある」といった点が多少は改善されているほか、キャラの個性を見られたり、そのキャラたちと「一緒に冒険している」という感覚を少しは味わえるようになった。 -前述のとおり動物の仲間や、モンスターの仲間も加わるようになった。 --人間とそれに準ずる亜人種のみが仲間だった前作に比べると、かなり華やかかつバリエーション豊かな108星となった。 -シリーズ史上初のオリジナル種族ウィングホードが登場。 --昨今はめずらしくもなくなってきているが、当時としては作品オリジナルの種族が登場するのはめずらしい。1に登場した、エルフ、コボルトといった一般的にファンタジーに登場する種族に加えて、彼らが混ざることとなった。 --ウィングホードは次作でも登場している(本作のとは別人)し、次作以後も新たなオリジナル種族が登場する。シリーズオリジナル種族の先駆けともいえる存在である。 ***その他進化したシステム、洗練・追加された要素など -紋章システム --前作では紋章を1つしか装備出来なかったが、キャラクターによっては最大3つまで装備することが出来る((レベルが上昇するにつれ宿せる箇所が右手、左手、頭の順で増える。紋章によっては宿せる部位が固定な物も存在する。))。 ---これによりキャラクターによっては1人で組み合わせ魔法を発動する事も可能になった。 ---固有紋章を所有しているキャラはカスタマイズできない、などといった前作の問題点も少しは改善されるようになった。 ---また、前作では1人につき最多で4つしか使用できなかった魔法が、1人につき最多で12個使用できるようになった。ただし、キャラクターによっては紋章を3つ装備できるとは限らないし、固有紋章を宿しているキャラクターもいるので、全員が12個の魔法を使えるわけではないが。 ---ただし、複数の紋章を装備しても紋章の使用回数は装備している紋章全てで共有する為、高レベル魔法の連発は難しい((レベル2の魔法が4回使用できるキャラに水と風の紋章を宿しても水と風のレベル2魔法を各4回発動出来るのではなく合計で4回まで。))。 --紋章の種類も、魔法紋章・特殊紋章ともに前作より増えた。特に、特殊紋章の種類が大幅に激増した。 --また、武器の種類によってその武器の特色に合ったような特定の紋章を宿す事が出来る((例:両手剣ならば攻撃の順番が最後になるが攻撃力が1.3倍。))。 --誰もが道具として魔法を使用することができる「紋章札」が初登場。ただし、使用は消費制。 ---道具屋の「ほりだしもの」で購入可能のほか、ダンジョンなどで拾ったり、敵のドロップアイテムとしても手に入れたりすることもできるが、「札職人」という本拠地専用の施設の人物に、封印球と引き換えにつくってもらうこともできる。 -鍛冶システム --前作とほぼ変わらない。 ---前作では鍛冶屋の108星を仲間にすることで本拠地で鍛えることの出来る武器レベルが増加したが、今回は特定のアイテムを入手することにより増加する。 ---これにより、前作では「水増し」と批判された5人の鍛冶屋も、1人にシェイプアップされた。~ 余談だが、前作の5人の鍛冶屋から引き継いだ今作の5人組は、1人を除く4人は108星から108星外へと格下げされた。108星外の人物も仲間にできるようになったということでもある。 --前作の紋章片が削除され、紋章そのものを武器に宿すシステムに変更された((宿した紋章により通常攻撃に追加効果を得る事が出来る。))。 ---中には武器に宿すことが出来ない紋章、逆に武器にしか宿せない紋章が存在する。 ---紋章片のように重ねて宿すことは出来なくなったが、紋章の付け外しが容易になり使い勝手が向上した。 -戦闘システム --協力攻撃の種類が前作の25種類から36種類に増加し、戦闘メンバーを決める新たな楽しみが増えた。 ---演出にやや乏しかった前作と比べ、個性的でユニークな協力攻撃が大幅に増えた。 --また、1人が複数回攻撃するようになった((確実ではなく確率だが、結構な頻度で発生する。))。 --前作では表示されなかったアイテム・紋章・協力攻撃の効果が、今作ではきちんと表示されるようになった。 --前列・後列を陣取る大型キャラクターが登場。 ---全体攻撃・複数攻撃の被害を抑えるなどといった、戦略の幅の広がりに貢献している。 ---『V』にも大型キャラクターが登場し、『III』の「ライドオン」の原型ともなっている。 ---ただし、本作では、実質的に2人分である割にはいずれのキャラも性能が微妙という欠点はあるが。 --グラフィック面も向上。 ---前作はPS初期としても粗いグラフィックであったが、今作ではとても滑らかで美麗なグラフィックに向上。ミューズの門といったイベント限定の背景などもとても力が入っている。 ---キャラクターグラフィックも質が上がり、108人の仲間にはグラフィックの使い回しがほとんどない((色違いのキャラは108星に含まれないムササビなどのおまけキャラ程度である。))。キャラクターのアニメーションの滑らかさも健在で、メインシナリオに絡まない人物にも専用のアニメーションが用意されていたりする。 ---特に、前作では敵も味方も待機時は静止していたのが、今作では、まばたきをする・風にそよがれる・格ゲーキャラのごとくリズムをとりながら体を動かす、といった動作を敵味方ともにするようになった。 ---また、前作では、アイテムや魔法を使うとき、全体の姿勢はそのままにただ片手を上げるだけだったのが、今作では、一部のキャラだけではあるが、姿勢全体を変えるようになった。 --戦闘曲のバリエーションも増大。 ---前作の戦闘曲が2曲のみだったのに対し、本作では、通常戦闘・通常ボス戦・特定の中ボス専用曲3曲・ラスボス戦と、6曲にまで増大した。 //--特定のキャラクターがHPの低い状態で敵のターゲットとなった特定のキャラクターをかばうようになった。 //---例をあげるとHPが低い主人公が敵のターゲットとなった場合、代わりに主人公の義姉がダメージを受ける事がある。 //かばうシステムは1から存在 -基本システム --ダッシュ機能が標準搭載されたことで、ダッシュに必要な紋章や、宿したキャラクターを連れ歩く必要がなくなった。 ---もっとも、これはダンジョンや街の話。フィールドでダッシュをしたければ、上記の作業が必要になる。 --アイテムまわりの使い勝手が向上。 ---前作ではアイテムを個々のパーティーメンバーが持ち歩く必要があったが、今作ではアイテムをストックして持ち運べるようになった。また、貴重品は分けて所持されるようになった為、強制離脱するキャラに大事なアイテムを預けていた為に持ち逃げされるということがなくなった。 ---メインの装備品とアイテムがわけて表示されるようになり、見やすくなった。~ 「かぶと」「よろい」「たて」の他、「その他」の項目があり、ここにアイテムや装飾品などを装備させることができる。 --イベントでキャラクターが強制加入する際、パーティーメンバーではない同行者として連れて行けるようになった。これにより、強制的に戦闘に参加するキャラクターが減り、ある程度自由なパーティーが組めるようになっている。 ---また、パーティーに強制加入する際にもその場で隊列が変更できるよう配慮され、「Sレンジのキャラクターが後列に配置されてしまい役立たず」という悲劇が起こりづらくなった。 -108星以外の仲間 --上記にも少し触れたように、108星以外の人物も仲間に加わるようになった。 ---合計6人と割と多い。 ---108星と違って、仲間にしても何も特典はない。またとある2人を仲間にするためには必然的に108星を諦める必要がある(後述)が、仲間にした後に専用イベントも用意されている。逆に言うと、本格的なやりこみ要素の一つであるといえる。 -ダンジョン --ギミックに乏しかった前作に比べ、「水路の水を引く」「障害物を運んで風を止める」「ちょっとしたクイズを解く」などのギミックが取り入れられた。 -顔グラフィック --一部のキャラのみではあるが、1人につき複数の顔グラフィックがつくられた。 ---前作では、顔グラフィックが、全員、反転を除けば一人につき一種類しかなかったために、実際の場面と顔グラフィックの表情や服装などが一致していないこともあったが、それが少しは改善された。 -オープニング --作中の戦闘時の映像と某重要人物1人が出てくるぐらいの比較的簡素なオープニングだった前作に比べると、尺も長く、様々な場面が目まぐるしく出てくるなど派手なものになった。また、作品のストーリー展開がどんなものかを期待させる演出も見ものである。 ---実際には、ただ背景の上にキャラの公式立ち絵を載せているだけの場面が多いのだが、そのキャラにあうような背景にしてある、背景自体にも動きがある、載せるキャラも適当ではなく背景によってきちんと選んだりキャラを複数人載せる場合はきちんと共通点のあるキャラたちを選んでいる、など、工夫がみられる。 -説明書 --前作とは違い、ほとんどすべての魔法やほとんどのアイテムの効果が記載された。 ---ただ、今回は、上記のようなユーザーインターフェース面の向上があるので、あまり役には立たないが。 ***戦争システム -前作の所謂じゃんけんシステムからシミュレーションRPG形式に変更された。 -歩兵・弓兵・魔法兵の3種類のユニットがあり、それぞれ特色がある。 --歩兵は弓兵・魔法兵攻撃時に攻撃力が1.25~1.5倍、弓兵は1マス先まで攻撃出来るが、直接攻撃の際は攻撃力が0.75倍、魔法兵は2マス先まで攻撃出来るが、直接攻撃の際は攻撃力が0になる。 -ユニットは3人一組で大将1名、副将2名の構成となり、大将によりユニットの種類が決まる。 -前作では部隊の構成は固定だったが、今作では副将を自由に編成することができる。 -大将に配置することは出来ないが、副将として有能なものもおり、様々な編成を考えるのも楽しみの1つである。 -各キャラクターはそれぞれなにかしらの特殊能力を持っており、その特殊能力によってユニットの能力が上昇したり、戦争中に特殊コマンドを使用する事が出来る。 --中には非戦闘キャラクターなのに戦争ユニットとしては優秀といったキャラも存在する。 -しかし、この戦争システムには大きな問題点がある(後述)。 -余談だが、シナリオ中で主人公は戦争には参加せず本拠地で味方軍の戦況報告に対し、適切な指示を送るだけのイベントを行う事が出来る。指示自体は難しいものではないが、たまには後方から戦争を指揮する立場を経験するのも悪くないかもしれない。 ---- **賛否両論点 ''ストーリー''~ -この作品は知将・軍師にあたるキャラクターが敵・味方ともに多い。彼らの織り成す戦略上の駆け引きは戦記物としての本作のシナリオを大いに盛り上げてくれる。 --シリーズで最も有能といわれる味方のメイン軍師シュウをはじめ、シュウとは対照的に軍師としては未熟ながら志の立派なアップル、若年ながら才能のあるクラウス、ハイランドへ戻りルカに取り入って次々と手柄を立てるとある重要人物等。 //--そして中盤以降には''前作で味方の軍師として活躍した''レオン・シルバーバーグがハイランドの軍師として登場し、敵として主人公達の前に立ちはだかる。その実力は老練されたものでこちらの軍師のライバル役として相応しいもの。 //-彼らの行う戦術の一例を上げると、味方の同士討ちを演じ友軍が撤退したと見せかけて敵軍の側面に回りこませたり、攻め入る都市に態と捕虜を解放して兵糧攻めを効果的に行う等本格的なもの。 --奇策によって弱小の味方軍が敵の大軍を倒す様は実に爽快。逆に敵も物量による攻めだけでなく時に知略を織り交ぜることによって決して油断出来ない脅威に見せることに成功している。 //--そして策が成ったからといって必ずしも勝利するとは限らない。ルカが''個人戦闘力''で味方軍を半壊させる中盤の演出は絶望感を十二分に煽ってくれる。 -しかしその反面、軍師たちによって物語が展開され、軍のリーダーであるはずの主人公が能動的に行動を起こすことが殆どなく、主人公でありながらあまり物語に介入しない。 --味方のメイン軍師シュウが加入してからは、「シュウに言われたところに行き、シュウに言われたことをする」という流れがずっと続く。作業的・受動的で、主人公のあまり関係ないところで物語が進んでいく。 --主人公が過去の戦争で英雄とされた人物の養子であることから、その肩書きだけを大人たちに都合よく利用されているように感じる。ある意味現実の摂関政治・傀儡政治のようで、リアルではあるのだが……。 ''前作との比較''~ -前作に比べると、『水滸伝』らしくないこと。 --前作が「政府の圧政に立ち向かう英雄たち」という『水滸伝』のストーリーを踏襲しているのに比べて、本作は「二国間の争い」という、『水滸伝』とは全く関係のないストーリーである。そのため、「ストーリーは確かに素晴らしいのだけれど…。」という形で批判されることもままある。 --「複数人の主人公」という『水滸伝』のコンセプトを導入した『3』のほうがまだ『水滸伝』らしい、という意見すらあるぐらい。 -システム面でこれといった進化がない -上記のように進化している面もあるが、あくまでも「正統進化」の範囲であり、マイナーチェンジの域を出ない。 --「本拠地システム・108人の仲間以外の要素は平凡」と批判された1のマイナーチェンジなので、本作もやはり「基本的なシステムは平凡」という批判の声も少なくない。 --もっとも、こういった平凡なシステムがとっつきやすさの理由の一つであり、ファンから好まれている理由の1つでもある。 -前作とのキャラクターデザインの雰囲気の違い。 --本作と次作で高い人気を誇る石川史氏のデザインだが、前作との雰囲気の違いが目立ってしまう。 ---前作のデザインは、製作期間の厳しさからくるやっつけ仕事感のあるデザインだが、「あれはあれで、作品の雰囲気にマッチしていて良い」という意見もある。 --前作にも登場したキャラの場合、雰囲気や佇まい、果ては顔まで今作と前作でかなり変わってしまっていることも。 --また、前作にも登場したキャラは服装をほとんど変えていないので、今作初登場のキャラと服装のデザインの雰囲気の違いが出てしまい、違和感がある。 -データコンバートで引き継げる前作キャラの能力が非常に限定的。 --装備品は特定のキャラクターに特定の装備品を装備させた状態でなければ引き継ぎできず、その対象も極めて狭い。紋章や武器の強化状態などは一切引き継いでくれない。 --もっとも、あまりやりすぎるとゲームバランスの崩壊を招いたり、『1』の重要度が増しすぎてプレイが必須レベルになってしまうおそれもあるため、この程度で十分という声もある。 #region(close,前作のネタバレ注意) -前作のラストで死んだと思われていたフリックとビクトールが、本作では何事も無かったかのように生きている。 --絶体絶命のラストシーンから、どのようにして助かったのか、作中でははぐらかされており、きちんと語られることが無い。 --また、そもそも前作で死んだはずのキャラが登場すること自体が「馴染みのキャラと再会できて嬉しい」とも「前作の感動が台無し」とも取れ、好みが分かれる。 #endregion ---- **問題点 -料理のレシピの入手フラグにバグがあり、手順によっては入手出来なくなってしまうものがある。 --上記の他にもバグが多い作品としても知られる。有名どころでは、BGMがおかしくなる、とある場所で仲間にしたキャラが亡霊のごとくその場に居座り続ける、強制加入の仲間をパーティーから外してしまいフリーズ等。 --ストーリー上必要なイベントが発生しない、入手したはずのアイテムや仲間にしたはずのキャラが消える、壁に入り込んでしまい出られなくなって行動不能に陥る等ゲーム上致命的なバグも少なくない。 --上記のような致命的なバグではなくても、プレイしていて気分をそがれるバグも多い。 ---たとえば、戦争パートでは部隊が消滅した際にはその部隊の大将がセリフを言うのだが、最終戦争パートでは、敵方の部隊が消滅した際のセリフが独自に用意されている。しかし、ある2人の敵方の将軍は、最終戦争パートで自分の部隊が消滅した際、独自のセリフを言い終わってからほかの戦争パートで言う汎用のセリフを言ってしまう。しかも、汎用のセリフは2人とも軽い感じのものであるため、「さっきのいかにも命がけなセリフは一体…」という気分に陥ってしまう。 ---戦争パートというと、ある一戦では、「伏兵を敵の後ろに回り込ませて、森の中に待機させ、敵側に送った密偵者がタイミングを見計らって伏兵の存在とそれを率いている人物の正体を暴露し、敵側についた捕虜たちを寝返らせる」という策をとるのだが、密偵者が暴露するよりも先にコンピューターが伏兵の存在に気付いてしまい、敵ユニットが気付いていないはずの伏兵を攻撃するという、あってはいけない事態に陥ることに。せっかく軍師の腕の見せ所となる重要な場面なのに、もったいない限りである。 -一部の仲間キャラはイベントの発生条件がわかりにくく、時機を逃せばもう仲間に出来ない。 --序盤にしか行けない街の隅の方でイベントを起こさないといけないクライブ((さらにクライブはゲームプレイ時間が一定未満でないと発生しない「実時間縛りの連続イベント」があるなど、システム的にストレスになるキャラとして印象に残ったプレイヤーも多い。))、中盤に一時期だけ行ける地域のストーリー上訪れる必要のない村で会う必要のあるフッチ&ハンフリー辺りが特に見逃しやすい。 --ギルバートは戦争パートで敵として登場し、ダメージ1を受けると仲間になる仕様。基本的には問題無いのだが、この時点ではプレイヤーは仲間を操作出来ないため、運が悪いと仲間になった直後に死亡したり、最悪ダメージが通らず仲間イベントすら起こらないことも。 -前作にもあった問題点だが、パーティメンバーが6人と一般的なRPGよりもかなり多いのに対して、AI戦闘ができないため、戦闘では毎ターン6人分の行動をいちいち決める必要があり、テンポが悪く非常に煩わしい --一応「おまかせ(全員通常攻撃)」のコマンドはあるため、全員が通常攻撃を選ぶ前提であればこれを選ぶだけでいいが、回復など一人でも攻撃以外の行動が入ると途端にテンポが悪くなる。 --特に本作では協力攻撃が増えたため、「おまかせ」を使うべきでない状況が前作よりも増加している。さらに1人が複数回攻撃するようになったことで、1人あたりのモーションも長くなっており、前作以上に戦闘のテンポが悪くなっている。 -仲間キャラクターは非常に多いが、一部は選択制であり全員を同時に仲間に出来る訳ではない。 --これにより問題になってくるのがルロラディアと、ルロラディアを仲間にしていることが条件のチュカチュラであり、このキャラを仲間にするとベストエンドに必要な108星を揃える事が出来ず、必然的にベストエンドを見られなくなってしまう。 --また、前作で仲間になったカスミとバレリアも2択になっている。周回する際の楽しみであるともいえるが、どちらも人気の高いキャラであるため2人とも仲間にしたかったという意見も多い。 -紋章魔法の使用回数が前作よりも減少傾向になったが、回復手段はほぼ宿に限られ、アイテムで回復することは出来ない。~ 回数自体もそう多くなく、ダンジョンではボスまで温存する為に雑魚戦でも気軽に使うのがためらわれる。 -戦闘キャラクターの総数は約80名と非常に多い一方、キャラクター間のバランスが取れているとは言い難い。~ 特定のキャラがいないと勝てないというバランスではないが、やはり弱キャラでは厳しい場面は存在する。 --レベルアップの仕様上ストーリーの各段階に擬似的なレベル上限が設けられており、最終盤でも60からは殆ど上昇しない為、レベルを上げるという対策は現実的ではない。 -戦争パートであるシミュレーションRPGの部分が不確定要素が強く、運まかせの場合が多い。 --各ユニットに設定されている攻撃と防御の値が一体何に影響しているのかわかりにくい。普通に考えれば与えるダメージ、受けるダメージに影響しているのだろうが、ユニットの最大HPは基本的に2であり、一度の攻撃で受けるダメージは基本的に1。となると、命中率に補正がかかっているのだろうが、攻撃力が低いユニットでも連続でダメージを与えることもあれば、高攻撃力のユニットが連続でダメージ0というのも頻繁に起こりうる。 --要するに、戦争能力が高いキャラクターだとしてもその強さを常に発揮しているわけではない。 --さらに戦争の勝利条件がとある地点の到達というのも少なくなく、高攻撃力のユニットを編成するより高機動力のユニットを編成し、隙をみて突入させるほうが効率が良い。 -敵味方ともに軍師が賢すぎて戦争パート(ミニゲーム)は一方的に勝利・敗北する展開になることが多く、プレイヤーの技量や思考が直結する場面が少ない。その為これに限ってはシリーズで評価は低め。 --ただしゲームではなく物語としてみれば軍師の見せ場となっており、面白いものに仕上がっている。 ---むしろテンポの悪さが問題。このパート、操作が不親切な上に動作も重い。その割には結末どころか、途中の行動まで強制されているものが多い。プレイヤーの介在する意義が見当たらない上に、手間だけは無駄にかかる。 -ラスボスが非常に弱い。ルカ・ブライトの異常とも言える強さを体感した後となっては、肩すかしを食らう。 --これは単にルカが強過ぎる上に、シナリオ上でも強さを徹底的に描写されていたのも大きい。実際、ルカ以外のボスと比べれば、ラスボスに相応しいだけの難敵ではある。 //↑ラスボスについて書いた者だけど、もしかしたら1のラスボスと混同してるかも知れないので、最悪削除しても構いません。 -音楽・サウンドについて --上記のように良曲が多いが、一部場面の雰囲気と不一致な曲もある。 ---たとえば、のどかな田舎の村なのにアップテンポでややけたたましい曲、和風の落ち着いた感じの街でややにぎやかなエキゾチックな曲、など。 ---前作同様にストーリーが進み仲間が増えてくると本拠地のBGMも明るく賑やかなものに変化するのだが、そのBGMが間抜けっぽいというか怪しげというか、お世辞にも格好良いとは言えない曲になる。初期状態のBGMが寂しげながらもとても美しい曲なだけに、変化することを残念に感じるプレイヤーも多かった。 --街・村の音楽が個々違うのは前作を踏襲しているが、ダンジョンの音楽は、基本となる屋外のダンジョンと屋内のダンジョンの1曲ずつの2曲と例外の1曲で、計3曲。前作が個々のダンジョンで曲が違ったのを考えれば、純粋な劣化点といえる。 ---しかも、屋外のダンジョンの曲は小鳥のさえずりのような音が流れるだけで、実質的に曲ではなくSEである。雰囲気はあるので悪いわけではないが。 --戦闘・戦争パートでのSEの音質のレベルの低さは、ほぼ前作そのまま。 -前作ほどではないが、テキストが稚拙。 --誤字・脱字は前作同様多い。 ---たとえば、最終戦争パートで、ある将軍が自身の部隊が消滅した後、「この城を、わたすけには・・・・」と言う。まあ、言いたいことはわかるが…。上記の2人のこととあいまって、せっかくの最終戦争での気分が台無しである。 --漢字と平仮名の使い方のひどさも前作同様。 ---漢字と平仮名が中途半端に交じって読みづらく不格好な単語が、いくつも登場する。 --ある人物のセリフで、「ヒクサク」と言うべき箇所で、「ササライ」と言ってしまっている。本作並びにのちの作品のネタバレになるので詳しくはいわないが、この2人の名前が入れ替わるだけで、状況や歴史が大きく変わってしまう。 ---さすがに、今回は変な後付け設定は加えられず、制作側で誤植と認められたようだが…。 --キャラクターの口調や一人称のブレも相変わらず。 ---例として、紳士的で丁寧口調のカーンが、パーティー加入時に「よろしくな、ボウズ」という別人のような台詞を発したり、踊り子のカレンが一部のイベントや目安箱で突然姉御口調になったりと((舞台に立つと豹変するという人物だが、主人公とのダンスイベントでは普通の口調で会話している。))、あまりにも突然なキャラクターの変化に困惑させられることも少なくない。 -後半は尻すぼまりな展開。 #region(ネタバレ注意) --ルカ・ブライトという魅力的な悪役が登場しなくなったからという意見もあるが、それ以前にルカに代わって権力を掌握した人物が、それまでの目覚ましい活躍はどこへいったのか、せっかく支配下に置いた地域を棒に振るようなことをしてまったく信用できない人物を支配下に置くなど、頓珍漢な行動をとるようになる。そのため、主人公側があっさり敵側に勝てる場面が、みられるようになる。その後は、主人公側もかなり無茶や無理をするような展開もあるが。 --しかも、案の定、上記の人物には裏切られ、そのことがハイランド側の滅亡のきっかけの一つとなる。 --そもそも、ルカが死んだ理由にしても、彼が夜襲を仕掛けようとしていたのを主人公側に漏えいした内部者(上記の新権力者とそのブレーン)がいたからなのだが、策士としても優秀だったはずの彼が、そんな一大事に斥候もろくに送らなかったというのがご都合主義である。また、いずれはルカとその忠臣連中を失脚させるつもりでいたとしても、まだ完全にハイランド側が有利とはいえない状況で、強力な戦力である彼とその私設軍を死なせてしまうのは時期尚早というよりほかない。このあたりから、新権力者の頓珍漢行動とそれに伴う尻すぼまり展開が始まったようなものともいえる。 #endregion -エンディングについて --前作同様マルチエンディング。108星全員を集めずにクリアした場合、2種類のエンディングがある。片方のエンディングは仲間たちの願いを聞き入れること、もう片方のエンディングは仲間たちの願いを断るかそれらを全部スルーした上で、ある場所に行くことが条件である。しかし、後者のエンディングの条件がわかりにくいところがある。作中の冒頭部分、前者でのあっさりしたエンディングと、その後表示される意味深な一枚絵と、ヒントはあるにはあるが。 --前作に引き続き108星全員を集め、加えて特定条件をクリアすればトゥルーエンドになる。が…ジョウイのトゥルーエンドでの行動が無責任との批判もある。 //正史エンドはノーマルエンドのはず。 //↑スタッフはノーマルが正史と言っているが、続編の水滸外伝では3人で登場している。なので正史がどちらなのかは不明。 #region(close,ネタバレ) --『私は全てを知っていました。あなたが父と兄に何をしたか…。それでも私はあなたを愛しています、私はあなたの妻なのです。』 --自分の嫁と娘(養女)に自分が生きていることを告げずに主人公と旅に出る。あそこまで愛してくれた嫁のことを放置。 ---内容が内容なだけに通常エンドを好むファンも少なくない。 ---念の為補足するが、27の真の紋章に認められていない状態では輝く盾の紋章と黒き刃の紋章を宿す者の寿命は極端に短くなる呪いに掛けられている。 ---呪いが解ける条件は輝く盾の紋章と黒き刃の紋章が一方を打ち負かす事で1つになって始まりの紋章となった時か両者の紋章に認められた時である。 ---前者はバッドエンド。後者はハッピーエンドになる。 //↑(ジョウイほったらかしだけど)頭首になるパターンがあるし、幼馴染で殺しあうのはノーマルとは言い難いので修正 #endregion -この他にも逃亡エンドと呼ばれる展開があり、こちらは違う意味で人気が高い。 ---- **総評 システム、ボリュームがパワーアップしシリーズの基盤を固めただけでなくPSのRPGでも十指に入るであろうシナリオを有する名作。更に目立つ欠点も少ない。 幻想水滸伝シリーズの認知度を高め、ファンの中でもこの作品をシリーズ最高傑作とする意見がおおむね一致した見解であることからも、その良質さはうかがい知れるだろう。 //--しかしそれ故に後継作品が実際以上に低く評価されている面もある業深き作品でもある。 ---- **余談 -初期のROMには関所の門をこじ開けてマチルダ領へ行けるバグが存在した。重版の際に修正されている。 #region(close,ネタバレ) -マチルダ領とは、中盤以降に行けるようになるエリア(ストーリ進行によっては封鎖されるが) --序盤は関所が閉まって行けない…ようにみえて、''扉を押して素通り出来る''為問題なく行くことが出来る。 --この時の主人公達は、通常プレイでレベル10前後。敵のレベルは中盤に訪れることを想定した設定がされている為全滅必至。…なのだが、ある村までいってサブイベントを始めると、レベル36のキャラを2人も同行させることが出来る。そしてその辺りの雑魚を倒していればあっという間に主人公達も同じレベルにすることが出来る。 --もちろん、サブイベント攻略後は2人はそのまま仲間になる。 --この方法を使うと中盤まで無双出来るようになる為、発覚した時は初心者救済策なのではないかと言われていた。 #endregion -本作のゲーム中にはトゥルー、正史といった評価は登場しない。プレイした人それぞれの感覚を大事にしてほしいという意図からである。各人の扱い・見解は以下の通り。 --コナミ側(外伝2&幻想水滸伝大辞典) ---ハッピーエンドを採用 --村山吉隆(ディレクション&シナリオ) ---バッドエンドが正史 -各イベントシーンの要所にムービーが挿入され、キャラクターに掛け声がつくが、誰が声を当てたのかは不明である。 -本作の体験版が『[[メタルギアソリッド]]』に同梱されていた。製品版と異なる部分もいくつか存在する。 --ストーリーは峠のボスを倒したあたりまでだが、自由にパーティを組んで戦闘ができるモードも搭載されていた。 -滝に飛び降りる前の戦闘を108回繰り返した後に飛び込むと、直後に流れる回想シーンがカラーになる。 -2000年に同作の時期に合わせた裏話を取り上げる幻想水滸外伝が2作作られた。同作の主人公ナッシュは『III』において108星の1人となっている。 --『Vol.1 ハルモニアの剣士』は主にストーリー進行の裏側のエピソードがメインシナリオに据えられている。 --『Vol.2 クリスタルバレーの決闘』は後日談的なエピソードを軸にシナリオが進み、宿敵ザジとの決闘劇を描く。 --いずれも女性キャラとの絡みが多いストーリーとなっており、過去を語られることもある。また通行人扱いとしてとくに意味も無く出てくるキャラも複数おり、可能な限り多くのキャラを出している。 -『幻想水滸伝』シリーズのディレクター兼シナリオを担当していた村山吉隆氏は外伝後(正確には『III』製作中)に退社しており、雰囲気が変わったとして以後のシリーズの評価が低く見られる要因となっている。 --現在でも根強い人気の高さを背景に近年になってドラマCDが出たのだが、明らかに旧来語られてきたことと大幅に異なる設定が多発。不満を持たれた。 -2006年2月23日に[[前作>幻想水滸伝]]とセットになったPSP版が発売された。 ---- **その後の展開 -2022年9月に本作と前作がセットになったリマスター版『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争/デュナン統一戦争』が発表された。 --対応機種はPS4/One/Switch/Winで、発売時期は未定。 //2023年の発売が予定されている。
*幻想水滸伝II 【げんそうすいこでんつー】 |ジャンル|RPG|&image(198844_26305_front.jpg,width=160)[[高解像度で見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3897/2024/198844_26305_front.jpg]] [[裏を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3897/2023/198844_26305_back.jpg]]| |対応機種|プレイステーション|~| |発売元|コナミ|~| |開発元|コナミコンピュータエンタテイメント東京|~| |発売日|1998年12月17日|~| |定価|6,090円|~| |廉価版|コナミ ザ ベスト:1999年12月9日/2,800円&br()PS one Books:2002年7月11日/1,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[幻想水滸伝シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『幻想水滸伝シリーズ』の第2作。~ 時代は前作の2年後、場所を前作の舞台赤月帝国(本作の時代ではトラン共和国)の北、ジョウストン都市同盟とハイランド王国に移し物語が展開される。~ 基本的なシステムは前作とほぼ同じ、108星を集める本拠地システムも相変わらず。~ ただしシステムや操作性は細かいところが洗練されより快適になっている。~ グラフィックはより見やすくなり、派手さはないが細かいところまで描かれた描写は生活感や臨場感を引き上げている。~ ゲームボリュームも増大。メインシナリオに関係ないダンジョンや村もいくつかあり、サブイベントが非常に充実している。 前作のデータをコンバートでき、前作キャラのレベル・武器レベルの上昇や前作主人公の仲間加入等の特典が得られる。~ 音楽もよい。全体的に演出効果が優れており、イベントを盛り上げるスパイスとなっている。~ 作曲は『[[グラディウス]]』や『[[ときめきメモリアル]]』で知られる東野美紀。~ だが、なんといってもシナリオの評価が非常に高い。 ---- **ストーリー デュナン地方の2大国ジョウストン都市同盟とハイランド王国は長年続いていた争いに終止符を打つため停戦条約を締結した。~ 主人公と親友ジョウイはハイランド王国の少年兵部隊として国境に配備されていたが、停戦が決まった為同僚達とともに故郷へ帰る支度をしていた。~ ところが…突然警鐘が鳴り、謎の軍勢が部隊のキャンプに攻め入ってくる。都市同盟軍が奇襲を仕掛けてきたと皆思った。~ しかし主人公達は見てしまう。襲撃してきた軍を指揮していたのは自国ハイランドの皇子ルカ・ブライトであった。~ 停戦を不服とした彼は、少年兵部隊の隊長と結託して部隊を全滅させ、その罪を都市同盟になすりつけ再び戦争を始めようとしているのだ。~ 追い詰められた2人は、離れ離れになったらこの場所に戻って待つことを約束し、一か八かに賭けて激流に身を投げた。~ ~ その後合流した2人だが間もなく都市同盟とハイランドの戦争が再開され、主人公とジョウイは都市同盟側に立って戦うことになった。しかしハイランドの軍事力は強大だった。~ 村々は蹂躙され、砦は陥落し、次々と侵略されていく様を何も出来ずに見過ごしながら、撤退する…主人公達はあまりにも無力だった。~ しかし、焼け落ちた村の祠の中で2人は見つけてしまう、27の真の紋章の1つ「始まりの紋章」を。~ 持つものに絶大な力が与えると同時に代償を求められる真の紋章。今の自分達には何としても力が必要だった。~ 始まりの紋章は「輝く盾の紋章」と「黒き刃の紋章」の2つに分かれており、輝く盾は主人公に、黒き刃はジョウイが宿すことになった。~ それをきっかけとして2人は別々の運命を歩んでいく。~ ---- **評価点 ***シナリオの魅力 ''単純な善悪で割り切れない2勢力の争い''~ -本作の敵はハイランド王国とそれを指揮する皇子ルカ・ブライトである。彼らは序盤から悪逆非道の限りを尽くし、悪役ぶりを見せ付けてくれる。 -ところが、それに対して都市同盟に属する市長の面々はどうかというと決して志を持った正義の人ではない。 --盟主こそ良識的な人物だが、軍事力を背景に横暴に発言力を振りかざす騎士団長、事なかれ主義が行き過ぎて結局何も出来ない市長A、立場が弱く結局何も発言出来ない市長B、領地が安全圏にある故に言いたいことを言う無責任な市長C等まとまりがない。 ---その言い争いを見たジョウイはあることを悟る。そして彼がとった行動とは…。 //都市同盟を見限って敵のハイランド側につくこと。彼は持ち前の知恵と力でハイランド軍の中で手柄を立てていく。 //---それぞれの勢力に翻弄され、逃げ惑う主人公は後に拠点となる古城を手に入れ、ハイランド王国と戦う決意をする。そして空中分解した都市同盟の残存勢力を纏め上げ、人々の希望となっていく。 //-また敵であるハイランド側の人物も疲弊した自国を憂う者や国の為に忠義を尽くす将軍などがいて、それぞれの信じる正義の為に主人公の前に立ちはだかる。必ずしもルカに忠実な者ばかりというわけではなく、敵側も敵側で都市同盟と同じく一枚岩ではない。 //--そして最終的に''ジョウイはハイランドの国王となり''、主人公の最後の敵として立ちはだかる運命となる。 ''話を盛り上げるキャラクター達''~ -前作に続いてシナリオの質が高く、それに伴うキャラクターの魅力は敵・味方、メイン・サブともに深い。 --時に励まし時に失敗しながら常に主人公に寄り添う義姉ナナミ、前作の戦いを経て歴戦の戦士となり主人公を導くフリック&ビクトール等、個々のキャラ立ちは前作に輪をかけて上手く仕上がっている。 -中でも最大の敵ルカ・ブライトは悪役にもかかわらず、シリーズでも屈指のカルト的、もしくはカリスマ的な人気を持つ。 //--序盤ハイランド軍が進撃し、小さな村々を次々と焼き落とし人々を虐殺していく様は簡素な描写ながらショッキングな光景。 //---その時にルカは命乞いをした村娘に「ブタの物真似をしてみろ」と命じる。命惜しさにブタの真似をして這いずり回る娘。しかしルカは彼女に対して''「ブタは死ね!!!」''と言い放ち斬り捨ててしまう。この話は彼を語る上で欠かせない。 //--また彼との決戦は壮絶そのもの。味方側はルカ一人を仕留めるために6人パーティーを3つも組んで奇襲をかけそれぞれが彼と戦闘する。その後消耗したルカに主人公が一騎打ちをして漸く最期を遂げる。 //---緊迫感を煽る専用戦闘曲「追い詰める」やルカの最期の台詞等演出も上手いこともあって中盤最大の見所となっている。 --ルカ・ブライトとの直接対決も彼個人の圧倒的武力を体現したものとなっており、その常軌を逸した強さから未だに''シリーズ最強の敵''と賞賛されている。 ---あまりにも強いのでここで詰まる恐れもあるほど。兎に角めげずにレベルを上げたり、属性防御を考えたりしよう。 //--設定上、彼にも不幸な過去がありそれ故に都市同盟を深く恨んでいることが凶行の理由だったのだが、本編上は決して自分の行動を正当化することも無く純粋な悪人であることを自覚した上で最後まで後悔することは無く悪に徹した。 //---一方で彼をそうさせた理由に繋がる人物こそ全ての元凶であったりして救われない(こっちは別件でも悪事を働いているのだが、その別件は公になる等、しっかりとしっぺ返しを食らってはいた)。 //(その為多くのファンが付いた。しかしその過去と動機から、嫌う人の中には''マザコン''と蔑む人もいる) //#region(close,ネタバレ) //--『幻想水滸外伝』で主人公(今作のそれとは別人)が絶賛するほどの手腕を有しながらも、その行き過ぎた残虐性故にゲーム中ではただでさえ欠けていた人望が少しづつ更に衰え、側近に裏から見限られ、そして自分の手駒にしたジョウイの裏切りに全く気付かないまま主人公に敗れ、散っていくまでの一部始終は、上記の過去と相まってプレイヤーにある種の滑稽さと憐れみ、虚無感も感じさせてくれる。 //--ただ、彼の死で後半の盛り上がりに支障が出たと感じるプレイヤーやスタッフは多かったらしく、GBAで発売された『幻想水滸伝カードストーリーズ』は、話の展開が「彼が物語終盤まで生存し、ラスボスとして立ち塞がってくれたら?」というIFストーリーになっている。 //#endregion -また、時代も場所も前作と近い為、前作の108星のうち約20人が継続して参加している。108星に入ってない前作キャラや前作の敵キャラも敵やNPCとして何人か登場している。 --中盤に前作の舞台である赤月帝国にあたる現・トラン共和国の首都グレッグミンスターに行くイベントがあるのだが、そこでも前作のキャラ達の現在が描かれており、前作ファンには嬉しいサービス。 --また前作のデータをコンバートをしていると前作主人公が仲間に加わるイベントが追加される((前作主人公の名前はコンバート元のデータの物となっており、『II』の主人公に同じ名前を付けていると、それに言及するなど芸が細かい。))。前作主人公はセリフを全く口にしないキャラになっており、前作プレイヤー個々人のイメージを崩さない様に配慮されている。また、前作の頃から前作主人公に想いを寄せるくノ一・カスミをパーティに入れていると会話イベントが追加されるが非常に切なく前作ファンの評判も良いものとなっている。 //意見箱の意見より、中盤以降のネタバレ記述は全てCO ***さらに進化した本拠地システムと108星 -前作に続いて108星を収集する本拠地システムは健在。それを取り巻くシステム・イベントもパワーアップしている。 -本作から本拠地の目安箱の設置と探偵・レストランという要素が追加された。 --目安箱とは今まで集めた108星が主人公に意見等を提出するものだが、その内容が108星それぞれの個性を上手く表現している。 ---例えば動物系の仲間だと文字がかけないので足跡をつけたり等。 --探偵は108星の1人で、(探偵本人を含む)指定した108星の情報を調査してくれる。その内容はやはりそれぞれのキャラの裏設定や個性付けとして上手く機能しており、興味深い。しかも調査は1人1回だけでは終わらず量は相当なもの。 ---調査の内容はキャラに関する背景だけでなく、キャラに関するアイテムの情報や協力攻撃、前述の前作主人公イベント発生のヒントになるもの等、ゲーム上役に立つ情報も含まれている。 ---あるキャラクターを探偵してもらうとその返事が不可解な物がある。調べれば調べるほど謎の深まるキャラ…。 ---また、仲間に出来る可能性のあるキャラを参入させるヒントを得ることも出来る。その際、そのキャラの顔グラフィックと名前が表示されるが、一度も会ったことのない人物は、名前は伏せ字で、顔グラフィックはシルエットで表示される。 //---また、会話した時点で仲間に出来る可能性のあるキャラを参入させるヒントを得ることも出来る。 //---確か、「会話した時点で」ではなく、一度も会ったことのないキャラのことも調べてもらえたと思います。間違っていたら訂正をお願いします。 --レストランでは、料理をつくってもらったり売り上げをもらえたりする。料理は回復アイテムとして使用できるため、前作よりも回復アイテムの種類数が増えた。 ---通常の回復アイテムよりも、1枠の保有数が多かったり、回復量が多かったり、バッドステータス回復・グッドステータスにするなどの効果があったりするなど、かなり性能が良い。 ---また、レストランにともなって、釣り場・畑・牧場といった施設が新設された。釣り場・畑はミニゲームも楽しめる。 -メインシナリオに絡まない108星にも、加入後のイベントが用意されている。その力の入れ方は、前作の比ではない。 --昔の料理漫画を髣髴とさせるハイ・ヨーの料理勝負イベント、制限時間以内に仇の足跡を追わなくてはならないクライブイベント等はかなりの凝りよう。 ---前者では仲間キャラが審査員となる。司会者が審査員の紹介をするが、その紹介文の中には審査員の好みの料理のヒントが隠されていて、キャラの個性の描写に一役買っている。 ---実際には、好みの料理の種類は設定上数種類しかないのだが、紹介文は料理の好み以外にもそれぞれのキャラの個性を表している。 ---ただ後者のイベントは実質的にタイムアタックを強要するものである為、RPGに慣れていない人には厳しいものがある。~ 慣れている人でも駆け足で攻略しなければならず、108星を揃えることも不可能と言われるほど。シナリオや戦略を楽しむ余裕もない。実質的には2周目以降のお楽しみ要素と言える。 -上記の目安箱・探偵・サブイベント以外にも、108星の個性を引き出す工夫がなされた。 --パーティーに加入・離脱する際に、一言セリフを言うようになった。 ---使いまわしがほとんどなく、個々の個性やイメージに沿ったセリフを言うようになっている。 ---テンポが悪くなったともいえるが、メインシナリオに絡まない仲間キャラの個性を垣間見る数少ないチャンスの一つである。 --イベントなどで、パーティーメンバーに入っているキャラで、本来そのイベントなどにかかわりのないキャラにも、セリフが与えられるようになった。 ---セリフ数は少なく、毎回というわけではないが、それでも前作にあったような「特定のキャラのしゃべるときとしゃべらないときとの差が激しくて、違和感がある」といった点が多少は改善されているほか、キャラの個性を見られたり、そのキャラたちと「一緒に冒険している」という感覚を少しは味わえるようになった。 -前述のとおり動物の仲間や、モンスターの仲間も加わるようになった。 --人間とそれに準ずる亜人種のみが仲間だった前作に比べると、かなり華やかかつバリエーション豊かな108星となった。 -シリーズ史上初のオリジナル種族ウィングホードが登場。 --昨今はめずらしくもなくなってきているが、当時としては作品オリジナルの種族が登場するのはめずらしい。1に登場した、エルフ、コボルトといった一般的にファンタジーに登場する種族に加えて、彼らが混ざることとなった。 --ウィングホードは次作でも登場している(本作のとは別人)し、次作以後も新たなオリジナル種族が登場する。シリーズオリジナル種族の先駆けともいえる存在である。 ***その他進化したシステム、洗練・追加された要素など -紋章システム --前作では紋章を1つしか装備出来なかったが、キャラクターによっては最大3つまで装備することが出来る((レベルが上昇するにつれ宿せる箇所が右手、左手、頭の順で増える。紋章によっては宿せる部位が固定な物も存在する。))。 ---これによりキャラクターによっては1人で組み合わせ魔法を発動する事も可能になった。 ---固有紋章を所有しているキャラはカスタマイズできない、などといった前作の問題点も少しは改善されるようになった。 ---また、前作では1人につき最多で4つしか使用できなかった魔法が、1人につき最多で12個使用できるようになった。ただし、キャラクターによっては紋章を3つ装備できるとは限らないし、固有紋章を宿しているキャラクターもいるので、全員が12個の魔法を使えるわけではないが。 ---ただし、複数の紋章を装備しても紋章の使用回数は装備している紋章全てで共有する為、高レベル魔法の連発は難しい((レベル2の魔法が4回使用できるキャラに水と風の紋章を宿しても水と風のレベル2魔法を各4回発動出来るのではなく合計で4回まで。))。 --紋章の種類も、魔法紋章・特殊紋章ともに前作より増えた。特に、特殊紋章の種類が大幅に激増した。 --また、武器の種類によってその武器の特色に合ったような特定の紋章を宿す事が出来る((例:両手剣ならば攻撃の順番が最後になるが攻撃力が1.3倍。))。 --誰もが道具として魔法を使用することができる「紋章札」が初登場。ただし、使用は消費制。 ---道具屋の「ほりだしもの」で購入可能のほか、ダンジョンなどで拾ったり、敵のドロップアイテムとしても手に入れたりすることもできるが、「札職人」という本拠地専用の施設の人物に、封印球と引き換えにつくってもらうこともできる。 -鍛冶システム --前作とほぼ変わらない。 ---前作では鍛冶屋の108星を仲間にすることで本拠地で鍛えることの出来る武器レベルが増加したが、今回は特定のアイテムを入手することにより増加する。 ---これにより、前作では「水増し」と批判された5人の鍛冶屋も、1人にシェイプアップされた。~ 余談だが、前作の5人の鍛冶屋から引き継いだ今作の5人組は、1人を除く4人は108星から108星外へと格下げされた。108星外の人物も仲間にできるようになったということでもある。 --前作の紋章片が削除され、紋章そのものを武器に宿すシステムに変更された((宿した紋章により通常攻撃に追加効果を得る事が出来る。))。 ---中には武器に宿すことが出来ない紋章、逆に武器にしか宿せない紋章が存在する。 ---紋章片のように重ねて宿すことは出来なくなったが、紋章の付け外しが容易になり使い勝手が向上した。 -戦闘システム --協力攻撃の種類が前作の25種類から36種類に増加し、戦闘メンバーを決める新たな楽しみが増えた。 ---演出にやや乏しかった前作と比べ、個性的でユニークな協力攻撃が大幅に増えた。 --また、1人が複数回攻撃するようになった((確実ではなく確率だが、結構な頻度で発生する。))。 --前作では表示されなかったアイテム・紋章・協力攻撃の効果が、今作ではきちんと表示されるようになった。 --前列・後列を陣取る大型キャラクターが登場。 ---全体攻撃・複数攻撃の被害を抑えるなどといった、戦略の幅の広がりに貢献している。 ---『V』にも大型キャラクターが登場し、『III』の「ライドオン」の原型ともなっている。 ---ただし、本作では、実質的に2人分である割にはいずれのキャラも性能が微妙という欠点はあるが。 --グラフィック面も向上。 ---前作はPS初期としても粗いグラフィックであったが、今作ではとても滑らかで美麗なグラフィックに向上。ミューズの門といったイベント限定の背景などもとても力が入っている。 ---キャラクターグラフィックも質が上がり、108人の仲間にはグラフィックの使い回しがほとんどない((色違いのキャラは108星に含まれないムササビなどのおまけキャラ程度である。))。キャラクターのアニメーションの滑らかさも健在で、メインシナリオに絡まない人物にも専用のアニメーションが用意されていたりする。 ---特に、前作では敵も味方も待機時は静止していたのが、今作では、まばたきをする・風にそよがれる・格ゲーキャラのごとくリズムをとりながら体を動かす、といった動作を敵味方ともにするようになった。 ---また、前作では、アイテムや魔法を使うとき、全体の姿勢はそのままにただ片手を上げるだけだったのが、今作では、一部のキャラだけではあるが、姿勢全体を変えるようになった。 --戦闘曲のバリエーションも増大。 ---前作の戦闘曲が2曲のみだったのに対し、本作では、通常戦闘・通常ボス戦・特定の中ボス専用曲3曲・ラスボス戦と、6曲にまで増大した。 //--特定のキャラクターがHPの低い状態で敵のターゲットとなった特定のキャラクターをかばうようになった。 //---例をあげるとHPが低い主人公が敵のターゲットとなった場合、代わりに主人公の義姉がダメージを受ける事がある。 //かばうシステムは1から存在 -基本システム --ダッシュ機能が標準搭載されたことで、ダッシュに必要な紋章や、宿したキャラクターを連れ歩く必要がなくなった。 ---もっとも、これはダンジョンや街の話。フィールドでダッシュをしたければ、上記の作業が必要になる。 --アイテムまわりの使い勝手が向上。 ---前作ではアイテムを個々のパーティーメンバーが持ち歩く必要があったが、今作ではアイテムをストックして持ち運べるようになった。また、貴重品は分けて所持されるようになった為、強制離脱するキャラに大事なアイテムを預けていた為に持ち逃げされるということがなくなった。 ---メインの装備品とアイテムがわけて表示されるようになり、見やすくなった。~ 「かぶと」「よろい」「たて」の他、「その他」の項目があり、ここにアイテムや装飾品などを装備させることができる。 --イベントでキャラクターが強制加入する際、パーティーメンバーではない同行者として連れて行けるようになった。これにより、強制的に戦闘に参加するキャラクターが減り、ある程度自由なパーティーが組めるようになっている。 ---また、パーティーに強制加入する際にもその場で隊列が変更できるよう配慮され、「Sレンジのキャラクターが後列に配置されてしまい役立たず」という悲劇が起こりづらくなった。 -108星以外の仲間 --上記にも少し触れたように、108星以外の人物も仲間に加わるようになった。 ---合計6人と割と多い。 ---108星と違って、仲間にしても何も特典はない。またとある2人を仲間にするためには必然的に108星を諦める必要がある(後述)が、仲間にした後に専用イベントも用意されている。逆に言うと、本格的なやりこみ要素の一つであるといえる。 -ダンジョン --ギミックに乏しかった前作に比べ、「水路の水を引く」「障害物を運んで風を止める」「ちょっとしたクイズを解く」などのギミックが取り入れられた。 -顔グラフィック --一部のキャラのみではあるが、1人につき複数の顔グラフィックがつくられた。 ---前作では、顔グラフィックが、全員、反転を除けば一人につき一種類しかなかったために、実際の場面と顔グラフィックの表情や服装などが一致していないこともあったが、それが少しは改善された。 -オープニング --作中の戦闘時の映像と某重要人物1人が出てくるぐらいの比較的簡素なオープニングだった前作に比べると、尺も長く、様々な場面が目まぐるしく出てくるなど派手なものになった。また、作品のストーリー展開がどんなものかを期待させる演出も見ものである。 ---実際には、ただ背景の上にキャラの公式立ち絵を載せているだけの場面が多いのだが、そのキャラにあうような背景にしてある、背景自体にも動きがある、載せるキャラも適当ではなく背景によってきちんと選んだりキャラを複数人載せる場合はきちんと共通点のあるキャラたちを選んでいる、など、工夫がみられる。 -説明書 --前作とは違い、ほとんどすべての魔法やほとんどのアイテムの効果が記載された。 ---ただ、今回は、上記のようなユーザーインターフェース面の向上があるので、あまり役には立たないが。 ***戦争システム -前作の所謂じゃんけんシステムからシミュレーションRPG形式に変更された。 -歩兵・弓兵・魔法兵の3種類のユニットがあり、それぞれ特色がある。 --歩兵は弓兵・魔法兵攻撃時に攻撃力が1.25~1.5倍、弓兵は1マス先まで攻撃出来るが、直接攻撃の際は攻撃力が0.75倍、魔法兵は2マス先まで攻撃出来るが、直接攻撃の際は攻撃力が0になる。 -ユニットは3人一組で大将1名、副将2名の構成となり、大将によりユニットの種類が決まる。 -前作では部隊の構成は固定だったが、今作では副将を自由に編成することができる。 -大将に配置することは出来ないが、副将として有能なものもおり、様々な編成を考えるのも楽しみの1つである。 -各キャラクターはそれぞれなにかしらの特殊能力を持っており、その特殊能力によってユニットの能力が上昇したり、戦争中に特殊コマンドを使用する事が出来る。 --中には非戦闘キャラクターなのに戦争ユニットとしては優秀といったキャラも存在する。 -しかし、この戦争システムには大きな問題点がある(後述)。 -余談だが、シナリオ中で主人公は戦争には参加せず本拠地で味方軍の戦況報告に対し、適切な指示を送るだけのイベントを行う事が出来る。指示自体は難しいものではないが、たまには後方から戦争を指揮する立場を経験するのも悪くないかもしれない。 ---- **賛否両論点 ''ストーリー''~ -この作品は知将・軍師にあたるキャラクターが敵・味方ともに多い。彼らの織り成す戦略上の駆け引きは戦記物としての本作のシナリオを大いに盛り上げてくれる。 --シリーズで最も有能といわれる味方のメイン軍師シュウをはじめ、シュウとは対照的に軍師としては未熟ながら志の立派なアップル、若年ながら才能のあるクラウス、ハイランドへ戻りルカに取り入って次々と手柄を立てるとある重要人物等。 //--そして中盤以降には''前作で味方の軍師として活躍した''レオン・シルバーバーグがハイランドの軍師として登場し、敵として主人公達の前に立ちはだかる。その実力は老練されたものでこちらの軍師のライバル役として相応しいもの。 //-彼らの行う戦術の一例を上げると、味方の同士討ちを演じ友軍が撤退したと見せかけて敵軍の側面に回りこませたり、攻め入る都市に態と捕虜を解放して兵糧攻めを効果的に行う等本格的なもの。 --奇策によって弱小の味方軍が敵の大軍を倒す様は実に爽快。逆に敵も物量による攻めだけでなく時に知略を織り交ぜることによって決して油断出来ない脅威に見せることに成功している。 //--そして策が成ったからといって必ずしも勝利するとは限らない。ルカが''個人戦闘力''で味方軍を半壊させる中盤の演出は絶望感を十二分に煽ってくれる。 -しかしその反面、軍師たちによって物語が展開され、軍のリーダーであるはずの主人公が能動的に行動を起こすことが殆どなく、主人公でありながらあまり物語に介入しない。 --味方のメイン軍師シュウが加入してからは、「シュウに言われたところに行き、シュウに言われたことをする」という流れがずっと続く。作業的・受動的で、主人公のあまり関係ないところで物語が進んでいく。 --主人公が過去の戦争で英雄とされた人物の養子であることから、その肩書きだけを大人たちに都合よく利用されているように感じる。ある意味現実の摂関政治・傀儡政治のようで、リアルではあるのだが……。 ''前作との比較''~ -前作に比べると、『水滸伝』らしくないこと。 --前作が「政府の圧政に立ち向かう英雄たち」という『水滸伝』のストーリーを踏襲しているのに比べて、本作は「二国間の争い」という、『水滸伝』とは全く関係のないストーリーである。そのため、「ストーリーは確かに素晴らしいのだけれど…。」という形で批判されることもままある。 --「複数人の主人公」という『水滸伝』のコンセプトを導入した『3』のほうがまだ『水滸伝』らしい、という意見すらあるぐらい。 -システム面でこれといった進化がない -上記のように進化している面もあるが、あくまでも「正統進化」の範囲であり、マイナーチェンジの域を出ない。 --「本拠地システム・108人の仲間以外の要素は平凡」と批判された1のマイナーチェンジなので、本作もやはり「基本的なシステムは平凡」という批判の声も少なくない。 --もっとも、こういった平凡なシステムがとっつきやすさの理由の一つであり、ファンから好まれている理由の1つでもある。 -前作とのキャラクターデザインの雰囲気の違い。 --本作と次作で高い人気を誇る石川史氏のデザインだが、前作との雰囲気の違いが目立ってしまう。 ---前作のデザインは、製作期間の厳しさからくるやっつけ仕事感のあるデザインだが、「あれはあれで、作品の雰囲気にマッチしていて良い」という意見もある。 --前作にも登場したキャラの場合、雰囲気や佇まい、果ては顔まで今作と前作でかなり変わってしまっていることも。 --また、前作にも登場したキャラは服装をほとんど変えていないので、今作初登場のキャラと服装のデザインの雰囲気の違いが出てしまい、違和感がある。 -データコンバートで引き継げる前作キャラの能力が非常に限定的。 --装備品は特定のキャラクターに特定の装備品を装備させた状態でなければ引き継ぎできず、その対象も極めて狭い。紋章や武器の強化状態などは一切引き継いでくれない。 --もっとも、あまりやりすぎるとゲームバランスの崩壊を招いたり、『1』の重要度が増しすぎてプレイが必須レベルになってしまうおそれもあるため、この程度で十分という声もある。 #region(close,前作のネタバレ注意) -前作のラストで死んだと思われていたフリックとビクトールが、本作では何事も無かったかのように生きている。 --絶体絶命のラストシーンから、どのようにして助かったのか、作中でははぐらかされており、きちんと語られることが無い。 --また、そもそも前作で死んだはずのキャラが登場すること自体が「馴染みのキャラと再会できて嬉しい」とも「前作の感動が台無し」とも取れ、好みが分かれる。 #endregion ---- **問題点 -料理のレシピの入手フラグにバグがあり、手順によっては入手出来なくなってしまうものがある。 --上記の他にもバグが多い作品としても知られる。有名どころでは、BGMがおかしくなる、とある場所で仲間にしたキャラが亡霊のごとくその場に居座り続ける、強制加入の仲間をパーティーから外してしまいフリーズ等。 --ストーリー上必要なイベントが発生しない、入手したはずのアイテムや仲間にしたはずのキャラが消える、壁に入り込んでしまい出られなくなって行動不能に陥る等ゲーム上致命的なバグも少なくない。 --上記のような致命的なバグではなくても、プレイしていて気分をそがれるバグも多い。 ---たとえば、戦争パートでは部隊が消滅した際にはその部隊の大将がセリフを言うのだが、最終戦争パートでは、敵方の部隊が消滅した際のセリフが独自に用意されている。しかし、ある2人の敵方の将軍は、最終戦争パートで自分の部隊が消滅した際、独自のセリフを言い終わってからほかの戦争パートで言う汎用のセリフを言ってしまう。しかも、汎用のセリフは2人とも軽い感じのものであるため、「さっきのいかにも命がけなセリフは一体…」という気分に陥ってしまう。 ---戦争パートというと、ある一戦では、「伏兵を敵の後ろに回り込ませて、森の中に待機させ、敵側に送った密偵者がタイミングを見計らって伏兵の存在とそれを率いている人物の正体を暴露し、敵側についた捕虜たちを寝返らせる」という策をとるのだが、密偵者が暴露するよりも先にコンピューターが伏兵の存在に気付いてしまい、敵ユニットが気付いていないはずの伏兵を攻撃するという、あってはいけない事態に陥ることに。せっかく軍師の腕の見せ所となる重要な場面なのに、もったいない限りである。 -一部の仲間キャラはイベントの発生条件がわかりにくく、時機を逃せばもう仲間に出来ない。 --序盤にしか行けない街の隅の方でイベントを起こさないといけないクライブ((さらにクライブはゲームプレイ時間が一定未満でないと発生しない「実時間縛りの連続イベント」があるなど、システム的にストレスになるキャラとして印象に残ったプレイヤーも多い。))、中盤に一時期だけ行ける地域のストーリー上訪れる必要のない村で会う必要のあるフッチ&ハンフリー辺りが特に見逃しやすい。 --ギルバートは戦争パートで敵として登場し、ダメージ1を受けると仲間になる仕様。基本的には問題無いのだが、この時点ではプレイヤーは仲間を操作出来ないため、運が悪いと仲間になった直後に死亡したり、最悪ダメージが通らず仲間イベントすら起こらないことも。 -前作にもあった問題点だが、パーティメンバーが6人と一般的なRPGよりもかなり多いのに対して、AI戦闘ができないため、戦闘では毎ターン6人分の行動をいちいち決める必要があり、テンポが悪く非常に煩わしい --一応「おまかせ(全員通常攻撃)」のコマンドはあるため、全員が通常攻撃を選ぶ前提であればこれを選ぶだけでいいが、回復など一人でも攻撃以外の行動が入ると途端にテンポが悪くなる。 --特に本作では協力攻撃が増えたため、「おまかせ」を使うべきでない状況が前作よりも増加している。さらに1人が複数回攻撃するようになったことで、1人あたりのモーションも長くなっており((特に、常に固定メンバーである主人公と、主人公に次いで固定メンバーになる機会が多いナナミが、共に通常攻撃が2回攻撃であるため、余計にテンポを悪くしてしまっている。))、前作以上に戦闘のテンポが悪くなっている。 -仲間キャラクターは非常に多いが、一部は選択制であり全員を同時に仲間に出来る訳ではない。 --これにより問題になってくるのがルロラディアと、ルロラディアを仲間にしていることが条件のチュカチュラであり、このキャラを仲間にするとベストエンドに必要な108星を揃える事が出来ず、必然的にベストエンドを見られなくなってしまう。 --また、前作で仲間になったカスミとバレリアも2択になっている。周回する際の楽しみであるともいえるが、どちらも人気の高いキャラであるため2人とも仲間にしたかったという意見も多い。 -紋章魔法の使用回数が前作よりも減少傾向になったが、回復手段はほぼ宿に限られ、アイテムで回復することは出来ない。~ 回数自体もそう多くなく、ダンジョンではボスまで温存する為に雑魚戦でも気軽に使うのがためらわれる。 -戦闘キャラクターの総数は約80名と非常に多い一方、キャラクター間のバランスが取れているとは言い難い。~ 特定のキャラがいないと勝てないというバランスではないが、やはり弱キャラでは厳しい場面は存在する。 --レベルアップの仕様上ストーリーの各段階に擬似的なレベル上限が設けられており、最終盤でも60からは殆ど上昇しない為、レベルを上げるという対策は現実的ではない。 -戦争パートであるシミュレーションRPGの部分が不確定要素が強く、運まかせの場合が多い。 --各ユニットに設定されている攻撃と防御の値が一体何に影響しているのかわかりにくい。普通に考えれば与えるダメージ、受けるダメージに影響しているのだろうが、ユニットの最大HPは基本的に2であり、一度の攻撃で受けるダメージは基本的に1。となると、命中率に補正がかかっているのだろうが、攻撃力が低いユニットでも連続でダメージを与えることもあれば、高攻撃力のユニットが連続でダメージ0というのも頻繁に起こりうる。 --要するに、戦争能力が高いキャラクターだとしてもその強さを常に発揮しているわけではない。 --さらに戦争の勝利条件がとある地点の到達というのも少なくなく、高攻撃力のユニットを編成するより高機動力のユニットを編成し、隙をみて突入させるほうが効率が良い。 -敵味方ともに軍師が賢すぎて戦争パート(ミニゲーム)は一方的に勝利・敗北する展開になることが多く、プレイヤーの技量や思考が直結する場面が少ない。その為これに限ってはシリーズで評価は低め。 --ただしゲームではなく物語としてみれば軍師の見せ場となっており、面白いものに仕上がっている。 ---むしろテンポの悪さが問題。このパート、操作が不親切な上に動作も重い。その割には結末どころか、途中の行動まで強制されているものが多い。プレイヤーの介在する意義が見当たらない上に、手間だけは無駄にかかる。 -ラスボスが非常に弱い。ルカ・ブライトの異常とも言える強さを体感した後となっては、肩すかしを食らう。 --これは単にルカが強過ぎる上に、シナリオ上でも強さを徹底的に描写されていたのも大きい。実際、ルカ以外のボスと比べれば、ラスボスに相応しいだけの難敵ではある。 //↑ラスボスについて書いた者だけど、もしかしたら1のラスボスと混同してるかも知れないので、最悪削除しても構いません。 -音楽・サウンドについて --上記のように良曲が多いが、一部場面の雰囲気と不一致な曲もある。 ---たとえば、のどかな田舎の村なのにアップテンポでややけたたましい曲、和風の落ち着いた感じの街でややにぎやかなエキゾチックな曲、など。 ---前作同様にストーリーが進み仲間が増えてくると本拠地のBGMも明るく賑やかなものに変化するのだが、そのBGMが間抜けっぽいというか怪しげというか、お世辞にも格好良いとは言えない曲になる。初期状態のBGMが寂しげながらもとても美しい曲なだけに、変化することを残念に感じるプレイヤーも多かった。 --街・村の音楽が個々違うのは前作を踏襲しているが、ダンジョンの音楽は、基本となる屋外のダンジョンと屋内のダンジョンの1曲ずつの2曲と例外の1曲で、計3曲。前作が個々のダンジョンで曲が違ったのを考えれば、純粋な劣化点といえる。 ---しかも、屋外のダンジョンの曲は小鳥のさえずりのような音が流れるだけで、実質的に曲ではなくSEである。雰囲気はあるので悪いわけではないが。 --戦闘・戦争パートでのSEの音質のレベルの低さは、ほぼ前作そのまま。 -前作ほどではないが、テキストが稚拙。 --誤字・脱字は前作同様多い。 ---たとえば、最終戦争パートで、ある将軍が自身の部隊が消滅した後、「この城を、わたすけには・・・・」と言う。まあ、言いたいことはわかるが…。上記の2人のこととあいまって、せっかくの最終戦争での気分が台無しである。 --漢字と平仮名の使い方のひどさも前作同様。 ---漢字と平仮名が中途半端に交じって読みづらく不格好な単語が、いくつも登場する。 --ある人物のセリフで、「ヒクサク」と言うべき箇所で、「ササライ」と言ってしまっている。本作並びにのちの作品のネタバレになるので詳しくはいわないが、この2人の名前が入れ替わるだけで、状況や歴史が大きく変わってしまう。 ---さすがに、今回は変な後付け設定は加えられず、制作側で誤植と認められたようだが…。 --キャラクターの口調や一人称のブレも相変わらず。 ---例として、紳士的で丁寧口調のカーンが、パーティー加入時に「よろしくな、ボウズ」という別人のような台詞を発したり、踊り子のカレンが一部のイベントや目安箱で突然姉御口調になったりと((舞台に立つと豹変するという人物だが、主人公とのダンスイベントでは普通の口調で会話している。))、あまりにも突然なキャラクターの変化に困惑させられることも少なくない。 -後半は尻すぼまりな展開。 #region(ネタバレ注意) --ルカ・ブライトという魅力的な悪役が登場しなくなったからという意見もあるが、それ以前にルカに代わって権力を掌握した人物が、それまでの目覚ましい活躍はどこへいったのか、せっかく支配下に置いた地域を棒に振るようなことをしてまったく信用できない人物を支配下に置くなど、頓珍漢な行動をとるようになる。そのため、主人公側があっさり敵側に勝てる場面が、みられるようになる。その後は、主人公側もかなり無茶や無理をするような展開もあるが。 --しかも、案の定、上記の人物には裏切られ、そのことがハイランド側の滅亡のきっかけの一つとなる。 --そもそも、ルカが死んだ理由にしても、彼が夜襲を仕掛けようとしていたのを主人公側に漏えいした内部者(上記の新権力者とそのブレーン)がいたからなのだが、策士としても優秀だったはずの彼が、そんな一大事に斥候もろくに送らなかったというのがご都合主義である。また、いずれはルカとその忠臣連中を失脚させるつもりでいたとしても、まだ完全にハイランド側が有利とはいえない状況で、強力な戦力である彼とその私設軍を死なせてしまうのは時期尚早というよりほかない。このあたりから、新権力者の頓珍漢行動とそれに伴う尻すぼまり展開が始まったようなものともいえる。 #endregion -エンディングについて --前作同様マルチエンディング。108星全員を集めずにクリアした場合、2種類のエンディングがある。片方のエンディングは仲間たちの願いを聞き入れること、もう片方のエンディングは仲間たちの願いを断るかそれらを全部スルーした上で、ある場所に行くことが条件である。しかし、後者のエンディングの条件がわかりにくいところがある。作中の冒頭部分、前者でのあっさりしたエンディングと、その後表示される意味深な一枚絵と、ヒントはあるにはあるが。 --前作に引き続き108星全員を集め、加えて特定条件をクリアすればトゥルーエンドになる。が…ジョウイのトゥルーエンドでの行動が無責任との批判もある。 //正史エンドはノーマルエンドのはず。 //↑スタッフはノーマルが正史と言っているが、続編の水滸外伝では3人で登場している。なので正史がどちらなのかは不明。 #region(close,ネタバレ) --『私は全てを知っていました。あなたが父と兄に何をしたか…。それでも私はあなたを愛しています、私はあなたの妻なのです。』 --自分の嫁と娘(養女)に自分が生きていることを告げずに主人公と旅に出る。あそこまで愛してくれた嫁のことを放置。 ---内容が内容なだけに通常エンドを好むファンも少なくない。 ---念の為補足するが、27の真の紋章に認められていない状態では輝く盾の紋章と黒き刃の紋章を宿す者の寿命は極端に短くなる呪いに掛けられている。 ---呪いが解ける条件は輝く盾の紋章と黒き刃の紋章が一方を打ち負かす事で1つになって始まりの紋章となった時か両者の紋章に認められた時である。 ---前者はバッドエンド。後者はハッピーエンドになる。 //↑(ジョウイほったらかしだけど)頭首になるパターンがあるし、幼馴染で殺しあうのはノーマルとは言い難いので修正 #endregion -この他にも逃亡エンドと呼ばれる展開があり、こちらは違う意味で人気が高い。 ---- **総評 システム、ボリュームがパワーアップしシリーズの基盤を固めただけでなくPSのRPGでも十指に入るであろうシナリオを有する名作。更に目立つ欠点も少ない。 幻想水滸伝シリーズの認知度を高め、ファンの中でもこの作品をシリーズ最高傑作とする意見がおおむね一致した見解であることからも、その良質さはうかがい知れるだろう。 //--しかしそれ故に後継作品が実際以上に低く評価されている面もある業深き作品でもある。 ---- **余談 -初期のROMには関所の門をこじ開けてマチルダ領へ行けるバグが存在した。重版の際に修正されている。 #region(close,ネタバレ) -マチルダ領とは、中盤以降に行けるようになるエリア(ストーリ進行によっては封鎖されるが) --序盤は関所が閉まって行けない…ようにみえて、''扉を押して素通り出来る''為問題なく行くことが出来る。 --この時の主人公達は、通常プレイでレベル10前後。敵のレベルは中盤に訪れることを想定した設定がされている為全滅必至。…なのだが、ある村までいってサブイベントを始めると、レベル36のキャラを2人も同行させることが出来る。そしてその辺りの雑魚を倒していればあっという間に主人公達も同じレベルにすることが出来る。 --もちろん、サブイベント攻略後は2人はそのまま仲間になる。 --この方法を使うと中盤まで無双出来るようになる為、発覚した時は初心者救済策なのではないかと言われていた。 #endregion -本作のゲーム中にはトゥルー、正史といった評価は登場しない。プレイした人それぞれの感覚を大事にしてほしいという意図からである。各人の扱い・見解は以下の通り。 --コナミ側(外伝2&幻想水滸伝大辞典) ---ハッピーエンドを採用 --村山吉隆(ディレクション&シナリオ) ---バッドエンドが正史 -各イベントシーンの要所にムービーが挿入され、キャラクターに掛け声がつくが、誰が声を当てたのかは不明である。 -本作の体験版が『[[メタルギアソリッド]]』に同梱されていた。製品版と異なる部分もいくつか存在する。 --ストーリーは峠のボスを倒したあたりまでだが、自由にパーティを組んで戦闘ができるモードも搭載されていた。 -滝に飛び降りる前の戦闘を108回繰り返した後に飛び込むと、直後に流れる回想シーンがカラーになる。 -2000年に同作の時期に合わせた裏話を取り上げる幻想水滸外伝が2作作られた。同作の主人公ナッシュは『III』において108星の1人となっている。 --『Vol.1 ハルモニアの剣士』は主にストーリー進行の裏側のエピソードがメインシナリオに据えられている。 --『Vol.2 クリスタルバレーの決闘』は後日談的なエピソードを軸にシナリオが進み、宿敵ザジとの決闘劇を描く。 --いずれも女性キャラとの絡みが多いストーリーとなっており、過去を語られることもある。また通行人扱いとしてとくに意味も無く出てくるキャラも複数おり、可能な限り多くのキャラを出している。 -『幻想水滸伝』シリーズのディレクター兼シナリオを担当していた村山吉隆氏は外伝後(正確には『III』製作中)に退社しており、雰囲気が変わったとして以後のシリーズの評価が低く見られる要因となっている。 --現在でも根強い人気の高さを背景に近年になってドラマCDが出たのだが、明らかに旧来語られてきたことと大幅に異なる設定が多発。不満を持たれた。 -2006年2月23日に[[前作>幻想水滸伝]]とセットになったPSP版が発売された。 ---- **その後の展開 -2022年9月に本作と前作がセットになったリマスター版『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争/デュナン統一戦争』が発表された。 --対応機種はPS4/One/Switch/Winで、発売時期は未定。 //2023年の発売が予定されている。

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