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「魔導物語A・R・S」(2024/03/22 (金) 12:14:48) の最新版変更点
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この項目では、PC-98版『魔導物語A・R・S』と、関連作であるGG版『魔導物語A~ドキドキばけ~しょん~』について解説する。~
判定は共に&color(,lightgreen){良作}。
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#contents()
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*魔導物語A・R・S
【まどうものがたり あーす / えー・あーる・えす】
|ジャンル|RPG|&image(http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/surugaya-a-too/cabinet/0778/155006718m.jpg)|
|対応機種|PC-9801|~|
|発売・開発元|コンパイル|~|
|発売日|1993年12月10日|~|
|定価|10,290円 |~|
|配信|プロジェクトEGG:2023年11月21日|~|
|備考|2015年にWindowsへ限定復刻|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク>魔導物語・ぷよぷよシリーズ]]''|
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**概要
3Dダンジョン型ロールプレイング『魔導物語』シリーズの通算5作目((MSX元祖DS魔導(2)、MSX版1-2-3、98版1-2-3、GG版I。いずれも1-2-3系統のリメイクである。))であり、シナリオとしては『[[魔導物語1-2-3]]』以来の完全新作。~
PC-9801用ソフトとして発売された作品。『1-2-3』同様、3本のエピソードを同時収録している。~
今までの魔導シリーズは『1-2-3』のリメイク作のみであったが、''本作は完全オリジナルストーリー''であり、『1-2-3』より過去の話になっている。~
『[[ぷよぷよ]]』発売後のためか、グラフィックはPC-98版『1-2-3』のようなリアル画風ではなく、MSX版のようなデフォルメグラフィックに回帰した。~
ディスクは7枚収録されており、1枚がOPデモ用で残りの6枚はアルル・ルルー・シェゾ編(各2枚使用)のゲームディスクになっている。~
タイトルはそれぞれ、アルル(A)、ルルー(R)、シェゾ(S)の頭文字を意味している。~
脚本はうゑみぞ氏が担当。なお『魔導物語1-2-3』の脚本を担当した米光一成氏は本作以前の時点で既にコンパイルを退社している。
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**ストーリー
-アルル編
--『魔導物語1』から2年前。来春から魔導幼稚園に通うことになる、''4歳の少女 アルル・ナジャ''。今日は初めてのおつかい。森の向こうのおばあちゃんの家まで、お薬を届けに行きます。すると突然、森の中から現れた不思議な生き物(カーバンクル)が! 「きゃっ!」っと驚いたアルルでしたが、生き物はあっという間に茂みの中に隠れてしまいました。「まっまってぇ!」と言いながら夢中で後を追っかけたけれど、転んだ拍子に見失ってしまいます。「……いけない、ボク、お使いの途中なんだった。でも…ここはどこ…?」ザワザワと木の葉が音を立てました。そう、アルルは迷子になってしまったのです。かくしてアルルは泣きながら森から脱出しようとするのでした。
-ルルー編
--『魔導物語2・3』から2年前。''16歳の少女 ルルー''は、ある日の朝、目が覚めると見知らぬ屋敷に居た。「いったいどうして…?」と疑問に思ってるとドアが開いて、背の低い、不気味な男が入ってきた。「申し遅れました、わたくし この城の執事で……」とルルーに近寄ると「きゃーッ! ヤダァ! ちかよんないでぇーッ!!」と思わず男を投げ飛ばしてしまうルルー。気がつくと、男はルルーの足元でばたんきゅ~していた。「…はっ。私ったら、また身体が勝手に! …まぁ、いいか。こんなところからはさっさと帰ろうっと」とルルーはこの屋敷から脱出しようとするのでした。
-シェゾ編
--成績優秀で将来を嘱望されながら、どこかで疑問を感じている、どこにでもいる''14歳の少年 シェゾ・ウィグィィ''は学校の修学旅行のために廃都ラーナの遺跡を訪れていた。「早く終わらねぇかな…」と呟いていたら突然、誰かに呼ばれたような感覚を覚えた。そっと列を離れて進むと、その声は遺跡の片隅にある鏡の中から聞こえるようだった。「まさかね…」と思って鏡に触れたとたん、真っ黒い鏡面はシェゾを飲み込んでしまった! 地下迷宮へと落ちてしまったシェゾは声の主を探して疾走するのでした。
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**特徴
ここでは過去のシリーズで共通する点も挙げていく。
-基本システム
--1フロアが8×8マスのマップを4方向に移動しながら探索していく3Dダンジョン探索型のRPG。主人公が移動する空間は最初から最後までダンジョンで占められており、買い物もダンジョン内で行う。出現する敵を倒したり、謎を解きながら脱出を目指す。
-ファジー・パラメーターシステム
--魔道シリーズの最大の特徴であるのがこのシステム。主人公の体力や魔力の増減、状態異常が数値では表示されず、言葉や表情、音楽で表現される。例えば体力が十分あるときは「げんきいっぱい」だが、体力がわずかになると「もうすぐ、ばたんきゅ~」などと表現される。このアバウトな表現が戦闘に緊張感を与えており、あとどれくらいで倒れるか・魔力がどれだけ使えるかなどを常に意識しながら戦闘を進める必要がある。
-戦闘システム
--主人公と敵との1対1の戦いになる。主人公か敵のどちらかが体力が無くなるまで戦闘を続けるのが基本。攻撃は魔法(ルルーは技)を用いて戦い、炎の魔法(ファイヤー、ホットなど)と氷の魔法(アイスストーム、コールドなど)で攻撃を行なう。基本的な魔法で魔導力を消費せずに使えるものもあるが、大半の魔法(技)は上級魔法ということで、使うと魔導力(ルルーは気)を消費する。また、敵ごとに弱点が設定されているので、炎と氷のどちらに弱いかを見抜くことが勝利への早道となる。炎を吐くモンスターや氷の精霊ならば弱点は容易に想像できるが、中には弱点が分かりにくいモンスターもいる。結果として「ノーリスク(または限りなく低リスク)で魔法が使え、常に攻撃方法と敵との相性を考えねばならない」という特徴をもっている。この他、アイテムの中には戦闘中で装備しておくと自動的に攻撃や補助を行ってくれる杖やキャラもいる。
--なお本作では、ルルーとシェゾは最初から一通りの魔法(技)が使えるがアルルだけは妖精に教えてもらわなければ上位の魔法は使えない。そのかわり、アルルのみ魔導力を消費しない魔法『ホット』『コールド』が使える。
--戦闘に勝利した際の経験値もまた数値では表示されない。画面の外周にちりばめられた宝石が埋まっていくという形で経験値量を表している。この宝石を経験球と呼びこれらが全て埋まるとレベルが上がり、同時に体力と魔導力も全て回復する。得られる経験値は主人公と敵とのレベル差によって決まり、主人公のレベルが上がると弱い敵を倒しても経験値が段々少なくなってくる。
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**評価点
-3本のシナリオでボリュームがある。
--当時SFCソフトの単品が8,000~9,500円が相場であったことを考えると10,290円でこのボリュームは破格であったと言える。
-『1-2-3』以来リメイクのみだった魔導シリーズ初めての新作オリジナルストーリー。
--『2』『3』ではまだまだ謎の多かったルルーとシェゾであったが、ルルーは格闘技の使い手であることが明記され、サタンの出会いに関して描かれた。シェゾもなぜ闇の魔導師になったかという理由が明かされた。二人の人物像に大きな影響を及ぼし、以降のシリーズの方向性やイメージを決定づけたのは、この作品と言っても過言ではないだろう。
-グラフィックが綺麗。可愛らしく描かれたアルルやルルーの姿は思わず癒されてしまうこと請け合い。
--またサンプリングプログラムがバージョンアップしたことにより、デモシーンにアニメーションが付いた。スタッフも特にここに力を入れたとコメントしている。
---オープニングアニメーションなどは、それ単体で一枚のフロップーディスクを使い切るなど、当時としてはかなり贅沢な使い方をしている。
-質の高いBGM
--楽曲は過去シリーズの流用はなく、全て新曲。担当したのは同メーカー開発の『GGアレスタII』のBGMを手掛けたBM.M氏と今未PON氏。音色作りは他社と比較して突出しているわけではないが、どの曲も素晴らしいメロディ。サントラを切望したファンも多いはず。
--中でもアルル編「迷子の森」で最初に使用されている「Fiend Empire」は後のシリーズ『道草異聞』や『わくわくぷよぷよダンジョン(SS版)』でも使われており、知る人ぞ知る名曲である。
-キャラがしゃべる。
--今でこそボイスがあるのは珍しくないが、当時のゲームで声が出るのはとても珍しかった。
--プレイヤーだけでなく敵もしゃべる。登場時、固有攻撃、討伐時でそれぞれしゃべる。
-歯ごたえのある難易度
#region(各シナリオの大まかな特徴)
|アルル編|初期で選択できる魔法がホットとコールドしかない為、最初は辛く強敵のナスグレイブが現れたら逃げないとあっという間にばたんきゅ~してしまう。&br;幸い回復アイテムを最初から何個か所持しているのでそれを上手く使って切り抜ける必要がある。&br;ラスボスも特定の手順を踏まないと倒せないことから戦闘の難易度は最も高い。|
|ルルー編|最初から一通りの技がつかえる上、最強技の女王乱舞もあるので戦闘は他の二人に比べると楽に進める。&br;ただしルルーの技は気の消費量が大きめなので、レベルがある程度上がるまでは配分に注意が必要。&br;また後半で手に入るお助けキャラ、カーバンクルも非常に強力。&br;反面、謎解きの難易度は高く、どんぱうんぱの使い道や雲樹育てのイベントでは頭を捻させられる。|
|シェゾ編|最初から一通りの魔法が使えるが、敵も強いのでやはりすんなりとはいかない。&br;マップの地形がかなり複雑であるため非常に迷いやすい。&br;またキーアイテムの入手に運絡みの要素があるためとにかく長い探索になるシナリオである。|
#endregion
&br;
**難点
-オートマッピング機能は相変わらず階段の位置を記録してくれない。
--一度忘れると確実に迷うことになるので自分でメモした方が無難。
-エンカウント率が高い。1~2歩歩いただけですぐ敵と遭遇することもあり、少々プレイがきつい。但し「逃げる」は結構な確率で成功する。
-メッセージに誤字が多い(例:「きみはには」など)。
-一部環境でルルー編のエンディングBGMが流れないバグがある。
--主にHDDインストール時に発生。ロードが早すぎて伯爵の負けセリフが終わる前にEDに入ってしまうため、伯爵のセリフと曲の再生がぶつかって再生されない……という不具合らしい。~
FDDでの起動時はロード時間の間に負けセリフが終わるためその後BGMが正常に流れるようになっている。
---HDDでの起動時でも、Ctrlキーを押し続けている間はゲームの進行が止まるため、勝った瞬間から伯爵の負けセリフが終わるまでCtrlキーを押しっぱなしにしておけばBGMが再生される。
--後述の『きゅ~きょく大全』版はFDD環境を再現しているためこの不具合は無い。
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**総評
難度が高く、多少作りこみの甘さがあるものの、目に余るひどいバグ等は存在せず、リメイクでも移植でもない始めてのオリジナルストーリーであることは大きく、後のシリーズにも少なからず影響を与えることとなった名作。~
しかし当時PCがそこまで普及していなかったため、プレイできなかった魔導ファンが多いのが悲しいところ。魔導ファンには是非プレイして欲しい作品であるが、コンパイルが倒産してしまった現在では入手は非常に困難であるのが難点である。
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**その他
-D4エンタープライスよりWindows用『''魔導物語 きゅ~きょく大全 1-2-3&A・R・S''』が2014年10月3日より予約開始され、2015年3月31日に発売された。当初から期間限定復刻と銘打っており、2016年9月30日をもって販売終了。
--本作『魔導物語A・R・S』がそのまま復刻移植されているだけでなく、前述のMSX2版『原作DS魔導』『魔導1-2-3』やPC98版『1-2-3』をもまとめて収録した''完全版''であり、パッケージ及び当時の内容物の復刻版や、PC98版のBGMを収録したCDも付属されるなど、コレクションアイテムとしても充実していた。
--2023年4月7日には『魔導物語 超きゅ〜きょく大全 ぷよぷよ入り』としてこれまでの復刻全ソフトや初収録となる『[[ぷよぷよ]]』等と共に期間限定で再復刻。なお、パッケージや付属品については今回pdf形式のみとなっている。こちらも2023年12月までの販売。
--2023年11月21日よりプロジェクトEGGにて配信が開始された。
-本作は、原作者の米光氏がコンパイル在籍中に残した資料集を元にうゑみぞ氏がシナリオを製作したものであり、当初は「ミノタウロスの目元の傷を付けたのはルルーである」という米光氏のメモを元にして、ルルー編でそのエピソードを描く予定だったのだが、ストーリーがシリアスになりすぎるとのことで没になったらしい。
--なお、『ぷよぷよ』の大ヒットの影響を受けて『魔導物語』シリーズそのものもライトな方へシフトしていったため、米光氏が当初想定していた『魔導物語』と、後に発売された後続の魔導シリーズ作品とでは、雰囲気が大分異なる。
--ルルーは初期の作品では(明言はされていないが)アルル達同様に魔導師であるかのような描写があり、米光氏の初期設定においても魔導師に沿ったネーミングとなっていたが、本作で「格闘技が得意」という設定が全面に押し出されて以降、逆に魔法に関しては全くダメというキャラクターになった。
-本作の登場人物や敵モンスターにはコンパイル製の他ゲームのキャラが何人か登場している。一部はシナリオに深く関わる。
--『魔導師ラルバ』((MSX版ディスクステーション収録のアドベンチャーゲーム。後に追加エピソードを加え『魔導士ラルバ総集編』として発売。DSのミニゲームに追加要素を加えてパッケージ化と言う事を魔導物語より先にやっている。後にプロジェクトEGGで配信された他、2015年に発売されたWindows版『ディスクステーションRe#01』にも収録。))からアウルベア、あらいぐまパスカル、ドナルゾドック、占いオババ、おさる、ハーゲンダック、ラルバ?((「?」も含めて正式名。笑い声を挙げるだけのザコ敵として登場するため、幻影か偽物であろう。))の7人、『サムライキング メガスオンZ』((MSX版ディスクステーション特別号収録作品。連続作品の第一話(覚醒編)と言った感じだったが、続編は出なかった。))からは侍、『[[精霊戦士スプリガン]]』からはスプリガンが登場している。
---なお、アウルベアは『魔導物語』シリーズにおいてはMSX2版『1-2-3』で既に登場していたほか((MSX2版『1-2-3』の告知に「キャラデザインはあのアウルベアを生み出したデザイナーが担当(だからとても可愛らしい)」という内容の売り文句が使われたことがある。))、後の『ぷよぷよ通』にも登場し、以降はレギュラーキャラになっている。このためコンパイル破綻後はアウルベアの版権がセガに移っており、プロジェクトEGGでの『魔導師ラルバ総集編』の配信開始が遅れる原因にもなってしまった((『ラルバ』配信版では姿はそのまま「アウルぐま」に改名される形で回避している。))。~
尤も厳密に言うとアウルベア(オウルベア)自体はテーブルトークRPGの有名作『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』由来のモンスターという別の問題もあるのだが(所謂、鈴木土下座衛門こと「[[ビホルダー>ファイナルファンタジー]]」絡みの問題と同類。ただし単純な「梟+熊」でしか無い為かそこまで煩くは無かったようだが)。
--また『魔導師ラルバ』の原作は『1-2-3』と同じ米光氏であり、いくつかの要素が『魔導物語』シリーズに引き継がれているためルーツとも言える。うゑみぞ氏が『ラルバ』のファンであったことから『A・R・S』ではシナリオ上もその影響を深く受けている。
-当初、本作は『1-2-3』の過去を描いたあくまでも「外伝」のつもりだったとされるが、その後、本作はMSX2版『1-2-3』と並んで正式に『魔導物語』シリーズの「正伝」に位置付けられる作品となっている。
-ルルーとシェゾの名前の英字綴りが、パッケージ上では「RULUE」「SCHEZO」となっているが、実際のゲーム中では「RURUE」「SHE-ZO」と食い違っている。その後の表記では前者のパッケージでの綴りの方が正しいとされた。
-1997年発売のWindows用ディスクマガジン『DiscStation Vol.14』に収録されたルルーが主役のアドベンチャーゲーム『ルルーの鉄拳春休み』の一部ルートは本作のルルー編を踏まえたストーリーになっており、展開によっては本作のリベンジマッチとなっている。
-本作を題材にした商業二次小説『新☆魔導物語』(1「アルルとおとぎの国」・2「ルルーと愛の日々」・3「シェゾと悪の華」)3巻が角川書店から角川スニーカー文庫として刊行されている。執筆は前作『魔導物語1~3』に引き続き山本剛氏が担当。
--1巻のアルル編は本作と異なるアレンジされたオリジナルストーリーになっており、2巻のルルー編と3巻のシェゾ編は小説版のオリジナル要素を交えた、本作の後日談的な内容になっている。ファンならこちらもおススメ。
--また、2巻のルルー編は『[[す~ぱ~なぞぷよ通 ルルーの鉄腕繁盛記]]』の直接の後日談にもなっている。
-本作のシェゾ編の時系列がいつであるのか(すなわち『魔導物語2』当時のシェゾが何歳なのか)については、公式には明らかにされていない。小説『新☆魔導物語3』では「数年前」、別の小説『真・魔導物語』では「166年前」とされているが、いずれも小説版独自の解釈であり公式の物ではない。後のシリーズでもシェゾのプロフィールでは年齢は不明と表記されている。
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*魔導物語A~ドキドキばけ~しょん~
【まどうものがたり えー どきどきばけ~しょん】(GG)
|ジャンル|RPG|&ref(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41wNeMztO8L.jpg,,width=200)|
|対応機種|ゲームギア|~|
|発売・開発元|コンパイル|~|
|発売日|1995年11月24日|~|
|定価|5,775円|~|
|配信|プロジェクトEGG:2024年2月20日|~|
|備考|2018年にWindowsへ限定復刻|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
**概要(ドキばけ)
-ゲームギアの魔導シリーズ4作目。魔導物語A・R・Sの、アルル編をベースに作られた作品。通称「ドキばけ」。
--ただしA・R・Sのアルル編の移植ではなく、''全く別の新規ストーリー''になっている。
-原作との共通点は序盤程度で、ほぼ新作と呼べるほどに物語の内容が別物と化している。アルルも歴代最年少ながらしっかり者として描かれている。
--A・R・Sのアルル編とは描写が異なり、4歳のアルルが既に魔導幼稚園に通っていたり、妖精達とも既に仲良くなっている。妖精達との関係からA・R・Sの後日談と思われることもあるが時系列ではやや矛盾する((アルルの誕生日は7月22日だが、本作では幼稚園の夏休みが舞台。本作の時期は「4歳の誕生日」と明言されてこそいないものの、仮に『A・R・S』と強引に繋げると5歳になる直前ギリギリになるため設定に無理が出てくる。))ためパラレルストーリーと言える。
-スタッフはGG版『魔導物語III 究極女王様』と同じチームで、イラスト担当もねこにゃん氏。シナリオの雰囲気も同作に似通っている。
**ストーリー(ドキばけ)
-「じゃあ、いってきまーすっ!」今日から魔導幼稚園の夏休みです。アルルは、もう四歳になったのだから、とお母さんにお願いして、夏休みをおばあちゃんの家で過ごさせてもらうことにしました。~
おばあちゃんの家に行くには妖精の森を抜けなければなりません。でも大丈夫。森にいる沢山の妖精さんと、アルルは仲良し。彼女達に案内してもらえば、道に迷うこともありません。~
「ん…?」ふとアルルは空を見上げると、妖精さん達が逃げ惑っています。不思議に思い調べてみると、森に大きなゴーレムが入って、木を倒しています。~
工事をしている魔物のおじさん達の中で、一番えらい「親方」は、緑の長い髪で、角と翼を生やしています。親方はアルルに言いました。「こんな森は潰して、遊園地を建てるんだ。君だって遊園地は好きだろう?」「そんなの作ったらみんなが住めなくなるよ!ボク、そんなのいらない!」アルルは工事を止めさせようとしましたが、逆に追い払われてしまいました。~
何とか逃げきったアルルは「このままじゃ森が…ボクがなんとかしなくっちゃ!」と工事を止めさせようと決意します。果たしてアルルは森を守ることができるのでしょうか?
**評価点(ドキばけ)
-事実上の新規タイトルかつゲームギア向け作品でありながら、マップが広くしっかりとボリュームがある。
--謎解き要素やトラップなどもほどよく存在し、携帯機向けRPGとしては手応え充分。
-GG版では最後発という事もあり、操作感、グラフィック共にGG版の中では最も良いものに仕上がっている。
--ゲームシステムもGG版の前3作で培われたものが生かされており快適に操作可能。
**問題点(ドキばけ)
-『魔導物語A・R・S』の移植ではなく完全に別物で、ストーリーの雰囲気も全く異なる。
--同路線の前作であるGG版『究極女王様』と同様のノリについていけないと厳しいかもしれない。
-最終ボスが非常に弱い。
**総評(ドキばけ)
タイトルに反し『A・R・S』の移植ではなく実質的に完全新作ではあるが、ゲームギア向けRPG作品として完成度の高いものに仕上がっている。
**余談(ドキばけ)
-GG魔導としてはこれが最終作となり、ルルー編・シェゾ編に当たる作品は発売されなかった。
-また、2008年~2009年にセガよりケータイアプリとしてGG版I・II・IIIが移植されたものの、本作は長らく移植されていなかった。
--恐らく、GG版の前3作品はセガ発売だが、本作はコンパイル発売だったことが関係していると思われる。
-後にD4エンタープライスよりWindows用『''魔導物語 きゅ~きょく大全 よ~ん GG I-II-III&A''』が2017年11月24日より予約開始され、2018年9月28日に発売された。~
なお当初から期間限定復刻と銘打っており、在庫完売のため2019年6月1日をもって販売終了。
--初移植となる本作を含むゲームギア版『魔導物語』シリーズ4作品がそのまま復刻移植されており、パッケージ及び当時のマニュアルの復刻版や、GG版4作品のBGMを収録したCDも付属されるなど、コレクションアイテムとしても充実している。
--2023年にこちらも上述の『魔導物語 超きゅ〜きょく大全 ぷよぷよ入り』に再録されている。
--2024年2月20日よりプロジェクトEGGにて配信が開始された。
-2021年3月22日より、D4エンタープライズが運営するiOS向けレトロゲーム配信月額サービス『PicoPico』にてGG版『A』が配信開始された。同アプリでは既にGG版『I』『II』『III』も配信されており、同年7月27日よりAndroid版もサービス開始。
この項目では、PC-98版『魔導物語A・R・S』と、関連作であるGG版『魔導物語A~ドキドキばけ~しょん~』について解説する。~
判定は共に&color(,lightgreen){良作}。
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#contents()
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*魔導物語A・R・S
【まどうものがたり あーす / えー・あーる・えす】
|ジャンル|RPG|&image(http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/surugaya-a-too/cabinet/0778/155006718m.jpg)|
|対応機種|PC-9801|~|
|発売・開発元|コンパイル|~|
|発売日|1993年12月10日|~|
|定価|10,290円 |~|
|配信|プロジェクトEGG:2023年11月21日|~|
|備考|2015年にWindowsへ限定復刻|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク>魔導物語・ぷよぷよシリーズ]]''|
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**概要
3Dダンジョン型ロールプレイング『魔導物語』シリーズの通算5作目((MSX元祖DS魔導(2)、MSX版1-2-3、98版1-2-3、GG版I。いずれも1-2-3系統のリメイクである。))であり、シナリオとしては『[[魔導物語1-2-3]]』以来の完全新作。~
PC-9801用ソフトとして発売された作品。『1-2-3』同様、3本のエピソードを同時収録している。~
今までの魔導シリーズは『1-2-3』のリメイク作のみであったが、''本作は完全オリジナルストーリー''であり、『1-2-3』より過去の話になっている。~
『[[ぷよぷよ]]』発売後のためか、グラフィックはPC-98版『1-2-3』のようなリアル画風ではなく、MSX版のようなデフォルメグラフィックに回帰した。~
ディスクは7枚収録されており、1枚がOPデモ用で残りの6枚はアルル・ルルー・シェゾ編(各2枚使用)のゲームディスクになっている。~
タイトルはそれぞれ、アルル(A)、ルルー(R)、シェゾ(S)の頭文字を意味している。~
脚本はうゑみぞ氏が担当。なお『魔導物語1-2-3』の脚本を担当した米光一成氏は本作以前の時点で既にコンパイルを退社している。
&br;
**ストーリー
-アルル編
--『魔導物語1』から2年前。来春から魔導幼稚園に通うことになる、''4歳の少女 アルル・ナジャ''。今日は初めてのおつかい。森の向こうのおばあちゃんの家まで、お薬を届けに行きます。すると突然、森の中から現れた不思議な生き物(カーバンクル)が! 「きゃっ!」っと驚いたアルルでしたが、生き物はあっという間に茂みの中に隠れてしまいました。「まっまってぇ!」と言いながら夢中で後を追っかけたけれど、転んだ拍子に見失ってしまいます。「……いけない、ボク、お使いの途中なんだった。でも…ここはどこ…?」ザワザワと木の葉が音を立てました。そう、アルルは迷子になってしまったのです。かくしてアルルは泣きながら森から脱出しようとするのでした。
-ルルー編
--『魔導物語2・3』から2年前。''16歳の少女 ルルー''は、ある日の朝、目が覚めると見知らぬ屋敷に居た。「いったいどうして…?」と疑問に思ってるとドアが開いて、背の低い、不気味な男が入ってきた。「申し遅れました、わたくし この城の執事で……」とルルーに近寄ると「きゃーッ! ヤダァ! ちかよんないでぇーッ!!」と思わず男を投げ飛ばしてしまうルルー。気がつくと、男はルルーの足元でばたんきゅ~していた。「…はっ。私ったら、また身体が勝手に! …まぁ、いいか。こんなところからはさっさと帰ろうっと」とルルーはこの屋敷から脱出しようとするのでした。
-シェゾ編
--成績優秀で将来を嘱望されながら、どこかで疑問を感じている、どこにでもいる''14歳の少年 シェゾ・ウィグィィ''は学校の修学旅行のために廃都ラーナの遺跡を訪れていた。「早く終わらねぇかな…」と呟いていたら突然、誰かに呼ばれたような感覚を覚えた。そっと列を離れて進むと、その声は遺跡の片隅にある鏡の中から聞こえるようだった。「まさかね…」と思って鏡に触れたとたん、真っ黒い鏡面はシェゾを飲み込んでしまった! 地下迷宮へと落ちてしまったシェゾは声の主を探して疾走するのでした。
&br;
**特徴
ここでは過去のシリーズで共通する点も挙げていく。
-基本システム
--1フロアが8×8マスのマップを4方向に移動しながら探索していく3Dダンジョン探索型のRPG。主人公が移動する空間は最初から最後までダンジョンで占められており、買い物もダンジョン内で行う。出現する敵を倒したり、謎を解きながら脱出を目指す。
-ファジー・パラメーターシステム
--魔道シリーズの最大の特徴であるのがこのシステム。主人公の体力や魔力の増減、状態異常が数値では表示されず、言葉や表情、音楽で表現される。例えば体力が十分あるときは「げんきいっぱい」だが、体力がわずかになると「もうすぐ、ばたんきゅ~」などと表現される。このアバウトな表現が戦闘に緊張感を与えており、あとどれくらいで倒れるか・魔力がどれだけ使えるかなどを常に意識しながら戦闘を進める必要がある。
-戦闘システム
--主人公と敵との1対1の戦いになる。主人公か敵のどちらかが体力が無くなるまで戦闘を続けるのが基本。攻撃は魔法(ルルーは技)を用いて戦い、炎の魔法(ファイヤー、ホットなど)と氷の魔法(アイスストーム、コールドなど)で攻撃を行なう。基本的な魔法で魔導力を消費せずに使えるものもあるが、大半の魔法(技)は上級魔法ということで、使うと魔導力(ルルーは気)を消費する。また、敵ごとに弱点が設定されているので、炎と氷のどちらに弱いかを見抜くことが勝利への早道となる。炎を吐くモンスターや氷の精霊ならば弱点は容易に想像できるが、中には弱点が分かりにくいモンスターもいる。結果として「ノーリスク(または限りなく低リスク)で魔法が使え、常に攻撃方法と敵との相性を考えねばならない」という特徴をもっている。この他、アイテムの中には戦闘中で装備しておくと自動的に攻撃や補助を行ってくれる杖やキャラもいる。
--なお本作では、ルルーとシェゾは最初から一通りの魔法(技)が使えるがアルルだけは妖精に教えてもらわなければ上位の魔法は使えない。そのかわり、アルルのみ魔導力を消費しない魔法『ホット』『コールド』が使える。
--戦闘に勝利した際の経験値もまた数値では表示されない。画面の外周にちりばめられた宝石が埋まっていくという形で経験値量を表している。この宝石を経験球と呼びこれらが全て埋まるとレベルが上がり、同時に体力と魔導力も全て回復する。得られる経験値は主人公と敵とのレベル差によって決まり、主人公のレベルが上がると弱い敵を倒しても経験値が段々少なくなってくる。
&br;
**評価点
-3本のシナリオでボリュームがある。
--当時SFCソフトの単品が8,000~9,500円が相場であったことを考えると10,290円でこのボリュームは破格であったと言える。
-『1-2-3』以来リメイクのみだった魔導シリーズ初めての新作オリジナルストーリー。
--『2』『3』ではまだまだ謎の多かったルルーとシェゾであったが、ルルーは格闘技の使い手であることが明記され、サタンの出会いに関して描かれた。シェゾもなぜ闇の魔導師になったかという理由が明かされた。二人の人物像に大きな影響を及ぼし、以降のシリーズの方向性やイメージを決定づけたのは、この作品と言っても過言ではないだろう。
-グラフィックが綺麗。可愛らしく描かれたアルルやルルーの姿は思わず癒されてしまうこと請け合い。
--またサンプリングプログラムがバージョンアップしたことにより、デモシーンにアニメーションが付いた。スタッフも特にここに力を入れたとコメントしている。
---オープニングアニメーションなどは、それ単体で一枚のフロップーディスクを使い切るなど、当時としてはかなり贅沢な使い方をしている。
-質の高いBGM
--楽曲は過去シリーズの流用はなく、全て新曲。担当したのは同メーカー開発の『GGアレスタII』のBGMを手掛けたBM.M氏と今未PON氏。音色作りは他社と比較して突出しているわけではないが、どの曲も素晴らしいメロディ。サントラを切望したファンも多いはず。
--中でもアルル編「迷子の森」で最初に使用されている「Fiend Empire」は後のシリーズ『道草異聞』や『わくわくぷよぷよダンジョン(SS版)』でも使われており、知る人ぞ知る名曲である。
-キャラがしゃべる。
--今でこそボイスがあるのは珍しくないが、当時のゲームで声が出るのはとても珍しかった。
--プレイヤーだけでなく敵もしゃべる。登場時、固有攻撃、討伐時でそれぞれしゃべる。
-歯ごたえのある難易度
#region(各シナリオの大まかな特徴)
|アルル編|初期で選択できる魔法がホットとコールドしかない為、最初は辛く強敵のナスグレイブが現れたら逃げないとあっという間にばたんきゅ~してしまう。&br;幸い回復アイテムを最初から何個か所持しているのでそれを上手く使って切り抜ける必要がある。&br;ラスボスも特定の手順を踏まないと倒せないことから戦闘の難易度は最も高い。|
|ルルー編|最初から一通りの技がつかえる上、最強技の女王乱舞もあるので戦闘は他の二人に比べると楽に進める。&br;ただしルルーの技は気の消費量が大きめなので、レベルがある程度上がるまでは配分に注意が必要。&br;また後半で手に入るお助けキャラ、カーバンクルも非常に強力。&br;反面、謎解きの難易度は高く、どんぱうんぱの使い道や雲樹育てのイベントでは頭を捻させられる。|
|シェゾ編|最初から一通りの魔法が使えるが、敵も強いのでやはりすんなりとはいかない。&br;マップの地形がかなり複雑であるため非常に迷いやすい。&br;またキーアイテムの入手に運絡みの要素があるためとにかく長い探索になるシナリオである。|
#endregion
&br;
**難点
-オートマッピング機能は相変わらず階段の位置を記録してくれない。
--一度忘れると確実に迷うことになるので自分でメモした方が無難。
-エンカウント率が高い。1~2歩歩いただけですぐ敵と遭遇することもあり、少々プレイがきつい。但し「逃げる」は結構な確率で成功する。
-メッセージに誤字が多い(例:「きみはには」など)。
-一部環境でルルー編のエンディングBGMが流れないバグがある。
--主にHDDインストール時に発生。ロードが早すぎて伯爵の負けセリフが終わる前にEDに入ってしまうため、伯爵のセリフと曲の再生がぶつかって再生されない……という不具合らしい。~
FDDでの起動時はロード時間の間に負けセリフが終わるためその後BGMが正常に流れるようになっている。
---HDDでの起動時でも、Ctrlキーを押し続けている間はゲームの進行が止まるため、勝った瞬間から伯爵の負けセリフが終わるまでCtrlキーを押しっぱなしにしておけばBGMが再生される。
--後述の『きゅ~きょく大全』版はFDD環境を再現しているためこの不具合は無い。
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**総評
難度が高く、多少作りこみの甘さがあるものの、目に余るひどいバグ等は存在せず、リメイクでも移植でもない始めてのオリジナルストーリーであることは大きく、後のシリーズにも少なからず影響を与えることとなった名作。~
しかし当時PCがそこまで普及していなかったため、プレイできなかった魔導ファンが多いのが悲しいところ。魔導ファンには是非プレイして欲しい作品であるが、コンパイルが倒産してしまった現在では入手は非常に困難であるのが難点である。
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**その他
-D4エンタープライスよりWindows用『''魔導物語 きゅ~きょく大全 1-2-3&A・R・S''』が2014年10月3日より予約開始され、2015年3月31日に発売された。当初から期間限定復刻と銘打っており、2016年9月30日をもって販売終了。
--本作『魔導物語A・R・S』がそのまま復刻移植されているだけでなく、前述のMSX2版『原作DS魔導』『魔導1-2-3』やPC98版『1-2-3』をもまとめて収録した''完全版''であり、パッケージ及び当時の内容物の復刻版や、PC98版のBGMを収録したCDも付属されるなど、コレクションアイテムとしても充実していた。
--2023年4月7日には『魔導物語 超きゅ〜きょく大全 ぷよぷよ入り』としてこれまでの復刻全ソフトや初収録となる『[[ぷよぷよ]]』等と共に期間限定で再復刻。なお、パッケージや付属品については今回pdf形式のみとなっている。こちらも2023年12月までの販売。
--2023年11月21日よりプロジェクトEGGにて配信が開始された。
-本作は、原作者の米光氏がコンパイル在籍中に残した資料集を元にうゑみぞ氏がシナリオを製作したものであり、当初は「ミノタウロスの目元の傷を付けたのはルルーである」という米光氏のメモを元にして、ルルー編でそのエピソードを描く予定だったのだが、ストーリーがシリアスになりすぎるとのことで没になったらしい。
--なお、『ぷよぷよ』の大ヒットの影響を受けて『魔導物語』シリーズそのものもライトな方へシフトしていったため、米光氏が当初想定していた『魔導物語』と、後に発売された後続の魔導シリーズ作品とでは、雰囲気が大分異なる。
--ルルーは初期の作品では(明言はされていないが)アルル達同様に魔導師であるかのような描写があり、米光氏の初期設定においても魔導師に沿ったネーミングとなっていたが、本作で「格闘技が得意」という設定が全面に押し出されて以降、逆に魔法に関しては全くダメというキャラクターになった。
-本作の登場人物や敵モンスターにはコンパイル製の他ゲームのキャラが何人か登場している。一部はシナリオに深く関わる。
--『魔導師ラルバ』((MSX版ディスクステーション収録のアドベンチャーゲーム。後に追加エピソードを加え『魔導士ラルバ総集編』として発売。DSのミニゲームに追加要素を加えてパッケージ化と言う事を魔導物語より先にやっている。後にプロジェクトEGGで配信された他、2015年に発売されたWindows版『ディスクステーションRe#01』にも収録。))からアウルベア、あらいぐまパスカル、ドナルゾドック、占いオババ、おさる、ハーゲンダック、ラルバ?((「?」も含めて正式名。笑い声を挙げるだけのザコ敵として登場するため、幻影か偽物であろう。))の7人、『サムライキング メガスオンZ』((MSX版ディスクステーション特別号収録作品。連続作品の第一話(覚醒編)と言った感じだったが、続編は出なかった。))からは侍、『[[精霊戦士スプリガン]]』からはスプリガンが登場している。
---なお、アウルベアは『魔導物語』シリーズにおいてはMSX2版『1-2-3』で既に登場していたほか((MSX2版『1-2-3』の告知に「キャラデザインはあのアウルベアを生み出したデザイナーが担当(だからとても可愛らしい)」という内容の売り文句が使われたことがある。))、後の『[[ぷよぷよ通]]』や『[[す~ぱ~なぞぷよ ルルーのルー]]』等にも登場して出番を増やしている。このためコンパイル破綻後はアウルベアの版権がセガに移っており、プロジェクトEGGでの『魔導師ラルバ総集編』の配信開始が遅れる原因にもなってしまった((配信版『ラルバ』では姿はそのまま「アウルぐま」に改名される形で回避している。))。~
尤も厳密に言うとアウルベア(オウルベア)自体はテーブルトークRPGの有名作『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』由来のモンスターという別の問題もあるのだが(所謂、鈴木土下座衛門こと「[[ビホルダー>ファイナルファンタジー]]」絡みの問題と同類。ただし単純な「梟+熊」でしか無い為かそこまで煩くは無かったようだが)。
--また『魔導師ラルバ』の原作は『1-2-3』と同じ米光氏であり、いくつかの要素が『魔導物語』シリーズに引き継がれているためルーツとも言える。うゑみぞ氏が『ラルバ』のファンであったことから『A・R・S』ではシナリオ上もその影響を深く受けている。
-当初、本作は『1-2-3』の過去を描いたあくまでも「外伝」のつもりだったとされるが、その後、本作はMSX2版『1-2-3』と並んで正式に『魔導物語』シリーズの「正伝」に位置付けられる作品となっている。
-ルルーとシェゾの名前の英字綴りが、パッケージ上では「RULUE」「SCHEZO」となっているが、実際のゲーム中では「RURUE」「SHE-ZO」と食い違っている。その後の表記では前者のパッケージでの綴りの方が正しいとされた。
-1997年発売のWindows用ディスクマガジン『DiscStation Vol.14』に収録されたルルーが主役のアドベンチャーゲーム『ルルーの鉄拳春休み』の一部ルートは本作のルルー編を踏まえたストーリーになっており、展開によっては本作のリベンジマッチとなっている。
-本作を題材にした商業二次小説『新☆魔導物語』(1「アルルとおとぎの国」・2「ルルーと愛の日々」・3「シェゾと悪の華」)3巻が角川書店から角川スニーカー文庫として刊行されている。執筆は前作『魔導物語1~3』に引き続き山本剛氏が担当。
--1巻のアルル編は本作と異なるアレンジされたオリジナルストーリーになっており、2巻のルルー編と3巻のシェゾ編は小説版のオリジナル要素を交えた、本作の後日談的な内容になっている。ファンならこちらもおススメ。
--また、2巻のルルー編は『[[す~ぱ~なぞぷよ通 ルルーの鉄腕繁盛記]]』の直接の後日談にもなっている。
-本作のシェゾ編の時系列がいつであるのか(すなわち『魔導物語2』当時のシェゾが何歳なのか)については、公式には明らかにされていない。小説『新☆魔導物語3』では「数年前」、別の小説『真・魔導物語』では「166年前」とされているが、いずれも小説版独自の解釈であり公式の物ではない。後のシリーズでもシェゾのプロフィールでは年齢は不明と表記されている。
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*魔導物語A~ドキドキばけ~しょん~
【まどうものがたり えー どきどきばけ~しょん】(GG)
|ジャンル|RPG|&ref(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41wNeMztO8L.jpg,,width=200)|
|対応機種|ゲームギア|~|
|発売・開発元|コンパイル|~|
|発売日|1995年11月24日|~|
|定価|5,775円|~|
|配信|プロジェクトEGG:2024年2月20日|~|
|備考|2018年にWindowsへ限定復刻|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
**概要(ドキばけ)
-ゲームギアの魔導シリーズ4作目。魔導物語A・R・Sの、アルル編をベースに作られた作品。通称「ドキばけ」。
--ただしA・R・Sのアルル編の移植ではなく、''全く別の新規ストーリー''になっている。
-原作との共通点は序盤程度で、ほぼ新作と呼べるほどに物語の内容が別物と化している。アルルも歴代最年少ながらしっかり者として描かれている。
--A・R・Sのアルル編とは描写が異なり、4歳のアルルが既に魔導幼稚園に通っていたり、妖精達とも既に仲良くなっている。妖精達との関係からA・R・Sの後日談と思われることもあるが時系列ではやや矛盾する((アルルの誕生日は7月22日だが、本作では幼稚園の夏休みが舞台。本作の時期は「4歳の誕生日」と明言されてこそいないものの、仮に『A・R・S』と強引に繋げると5歳になる直前ギリギリになるため設定に無理が出てくる。))ためパラレルストーリーと言える。
-スタッフはGG版『魔導物語III 究極女王様』と同じチームで、イラスト担当もねこにゃん氏。シナリオの雰囲気も同作に似通っている。
**ストーリー(ドキばけ)
-「じゃあ、いってきまーすっ!」今日から魔導幼稚園の夏休みです。アルルは、もう四歳になったのだから、とお母さんにお願いして、夏休みをおばあちゃんの家で過ごさせてもらうことにしました。~
おばあちゃんの家に行くには妖精の森を抜けなければなりません。でも大丈夫。森にいる沢山の妖精さんと、アルルは仲良し。彼女達に案内してもらえば、道に迷うこともありません。~
「ん…?」ふとアルルは空を見上げると、妖精さん達が逃げ惑っています。不思議に思い調べてみると、森に大きなゴーレムが入って、木を倒しています。~
工事をしている魔物のおじさん達の中で、一番えらい「親方」は、緑の長い髪で、角と翼を生やしています。親方はアルルに言いました。「こんな森は潰して、遊園地を建てるんだ。君だって遊園地は好きだろう?」「そんなの作ったらみんなが住めなくなるよ!ボク、そんなのいらない!」アルルは工事を止めさせようとしましたが、逆に追い払われてしまいました。~
何とか逃げきったアルルは「このままじゃ森が…ボクがなんとかしなくっちゃ!」と工事を止めさせようと決意します。果たしてアルルは森を守ることができるのでしょうか?
**評価点(ドキばけ)
-事実上の新規タイトルかつゲームギア向け作品でありながら、マップが広くしっかりとボリュームがある。
--謎解き要素やトラップなどもほどよく存在し、携帯機向けRPGとしては手応え充分。
-GG版では最後発という事もあり、操作感、グラフィック共にGG版の中では最も良いものに仕上がっている。
--ゲームシステムもGG版の前3作で培われたものが生かされており快適に操作可能。
**問題点(ドキばけ)
-『魔導物語A・R・S』の移植ではなく完全に別物で、ストーリーの雰囲気も全く異なる。
--同路線の前作であるGG版『究極女王様』と同様のノリについていけないと厳しいかもしれない。
-最終ボスが非常に弱い。
**総評(ドキばけ)
タイトルに反し『A・R・S』の移植ではなく実質的に完全新作ではあるが、ゲームギア向けRPG作品として完成度の高いものに仕上がっている。
**余談(ドキばけ)
-GG魔導としてはこれが最終作となり、ルルー編・シェゾ編に当たる作品は発売されなかった。
-また、2008年~2009年にセガよりケータイアプリとしてGG版I・II・IIIが移植されたものの、本作は長らく移植されていなかった。
--恐らく、GG版の前3作品はセガ発売だが、本作はコンパイル発売だったことが関係していると思われる。
-後にD4エンタープライスよりWindows用『''魔導物語 きゅ~きょく大全 よ~ん GG I-II-III&A''』が2017年11月24日より予約開始され、2018年9月28日に発売された。~
なお当初から期間限定復刻と銘打っており、在庫完売のため2019年6月1日をもって販売終了。
--初移植となる本作を含むゲームギア版『魔導物語』シリーズ4作品がそのまま復刻移植されており、パッケージ及び当時のマニュアルの復刻版や、GG版4作品のBGMを収録したCDも付属されるなど、コレクションアイテムとしても充実している。
--2023年にこちらも上述の『魔導物語 超きゅ〜きょく大全 ぷよぷよ入り』に再録されている。
--2024年2月20日よりプロジェクトEGGにて配信が開始された。
-2021年3月22日より、D4エンタープライズが運営するiOS向けレトロゲーム配信月額サービス『PicoPico』にてGG版『A』が配信開始された。同アプリでは既にGG版『I』『II』『III』も配信されており、同年7月27日よりAndroid版もサービス開始。