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*ママトト ~a record of war~
【ままとと あれこーどおぶうぉー】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&amazon(B002KLTONQ)|
|対応機種|Windows 95/98/NT|~|
|発売・開発元|アリスソフト|~|
|発売日|1999年7月1日|~|
|定価|8,500円|~|
|廉価版|2003年9月26日/2,800円|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ALICE SOFT作品リンク>ALICE SOFT/チャンピオンソフト作品]]''|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
大陸。~
この地では移動要塞を駆使した3つの巨大国家と、それ以外の弱小国家が絶えず争いを繰り広げていた。~
3国からさして重要視されていなかった、移動要塞一つが国土と言う弱小国家「ママトト」では若き軍師ナナスが、&br;モンスター達から得られるカードを用いて生み出される兵隊「キッズ」の開発に成功した。~
これによりママトトは弱小国家ではあるものの、3つの巨大国家に引けを取らない兵力を手に入れる事が出来た。~
大陸を一つに纏め上げ、争いの無い世界を作る…。~
純朴な青年軍師、ナナスの遠くも大きく強い夢が歩き始めた瞬間だった。
**システム
-本作はアリスソフトが作り出したシミュレーションソフトである。シミュレーションパート・内政パート・ADVパート・フリー戦闘の順番で形成される。
--シミュレーションパートは武将とキッズ(兵士)を配置し戦闘する。内政面の影響は特に無く、プレイヤーは武将とキッズを用いて並み居る敵をただ葬ればいいだけである。
--本作の戦闘の特徴的な部分として、前衛戦と防衛戦の2パートに分かれている点がある。
---前衛戦では画面左一列が防衛ラインとなっており、ここに敵が到達してしまうとママトト中心部へと侵入されるのでこれを防ぎつつ攻略する必要がある。
---もし敵に侵入された場合、通常戦闘とは別に心臓部を守る防衛戦となる。防衛戦ではキッズが使用不可となり、ママトトの心臓部が破壊された場合ゲームオーバーになるのでうまく武将のみで切り抜ける必要がある。
--ステージには敵以外にも障害物の岩、宝箱、財宝、潜入されると施設を破壊される工兵(後述)等が登場する。
---岩は破壊する事で資金とカードが入手でき、動かない敵と言った具合。宝箱と財宝は武将と宝箱回収能力を持つキッズが回収できる。敵は宝箱や財宝をただの障害物としか見ていないため包囲するのに利用できる。
--武将には一人一人固有の必殺技がある。ステータス面のみならず、必殺技性能でも大きな個性を生み出している。
---必殺技は武将ごとに使用可能回数が決まっているが戦闘前にナナスポイント(NP)を割り振ることで使用回数を増やすことができる。
---NPは戦闘面以外でも、ADVパートで特定の女性を攻略する場合、当該キャラにそれなりの量を振り分けておく必要がある。
-シナリオでの通常戦闘とは別にフリー戦闘も存在している。文字通りランダム出現の敵勢力と戦うパートで、ここでカードを溜め込んだりアイテムを手に入れたり、武将のレベルを上げる事ができる。
-本作のシミュレーションパートで欠かす事が出来ないキッズシステム。
--キッズは範囲攻撃、宝箱回収等それぞれ異なる能力を持つ使い捨ての兵士で、七種七様のキッズたちをうまく使い分けるのが本作の攻略の鍵である。
--キッズは敵を倒すと入手できるカードを消費し、該当施設が建造されている場合にのみシナリオ開始時に作り出すことが出来る。
--1度出撃したキッズは消耗されるので、生存させておく意味は無い。
---フリー戦闘でもキッズを使うと勿論消耗される。いくらカードを稼ごうと次のシナリオに移らなければ製造されないので、延々フリー戦闘を続けると最終的には武将だけで戦わなければならなくなる。
--キッズは該当施設を一定数以上作るとパワーアップする。
---移動距離増加・効果発動範囲増加と様々。全くの別キャラに変更されるキッズもいる。
--さらに、一定の条件を満たすとキッズとは別に武将直属の部下となる隠しキャラが登場することも。
-内政パートは施設建造や武器開発、入手したカード閲覧等がある。
--武器開発は開発施設を作らなければ出来ない。施設は資金が、武器開発は資金とカードが必要。だがここで消費するカードは他のカードに影響が無く、資金以外気にする必要は無い。武器を開発することで武将の能力の上昇や必殺技の強化が行える。
--工兵に突入されると施設をランダムで一つ破壊されてしまう。対策として工兵が率先して破壊するダミープラントを建造する事も出来る。更に、心臓を増やしたりキッズ製造工場をふやしたりする事もできる。
---施設の建造は形状の異なるピースを組み合わせて敷き詰めていくパズル的な要素も含んでいる。全マスを隙間無く埋めることでご褒美イベントが発生するが、その難易度はなかなか高い。
--カード閲覧は文字通り今まで入手したカードを見る事が出来る。丁寧な事に、1つ1つにストーリーが用意されている。
-戦闘後はADVパートとなる。ここは本作が18禁となっている所以であり、かわいい女の子武将と仲良くなれる…が。
--ADVパートを主人公ナナスだけでなく父のカカロでも進めることが可能なのが本作の特筆点。ナナスと女の子は清らかなお付き合いと言った塩梅なのに対し、カカロは…。
--また、仲間になっている男武将とも挨拶程度だがイベントがある。
**評価点
-''バグがほとんど無い。''~
せいぜいごくわずかな誤字くらいで、プレイ時間長めの大作(発売日当日の修正パッチ配布も普通にありえる)にしては驚異的な完成度と言える。~
比較対象を挙げると、同社が2001年に発売した「夜が来る!」は発売日パッチに加え、多くの修正パッチを配布してしまった。
--初回版付属のアリスCDによると、開発中には「笑える盛大な誤字」のほか「キャラ増殖バグ」などもあったようだが、マスターアップまでには全てが修正・解消されている。
-シミュレーションパートのフィールドは縦11マス横20マスの220-障害物マスによって構成されている。それに対してユニット移動力は5や8、多いと11と大変広い。移動速度も速く、戦闘は至極スピーディー。
--更に必殺技の範囲も12マスや15マスと広いので、シミュレーションとしてはかなりの爽快感に満ちている。
-ゲーム全体を通してプレイヤーに親切な作りとなっている。
--戦闘開始前は戦場下見やナナスから攻略の助言が毎回あるので、戦略を組み立てながら戦闘へ臨める。
--UIも良好。例えば攻撃対象選択時に射程範囲内の敵右下に「当たれば倒せる」「乱数次第で倒せるかもしれない」「クリティカルが出無ければ倒せない」等が一目で理解できるよう設計してある。
---また、移動後に攻撃や別キャラクターの行動をしなければその移動をキャンセルに出来る。間違いや攻撃が届くかどうかの確認も手軽に出来る。
---戦闘中にもいつでも中断データを作れるので急に別に用事ができても安心。
--カードを消費して全体に効果を及ぼす召喚魔法も使える。召喚魔法で消費するカードはキッズを作ったり武器を開発するのとは違うカードなので、ある程度気軽に使う事ができる。
-二転三転しつつも熱い所はしっかりと熱く、切ないところはとにかく切なく、しっかりメリハリの効いたストーリーも人気。
--ただ、後述の通りカカロ関連は間違いなく好みが分かれるが。
-当時アリスソフト所属だったShadeが担当したBGMは高評価。ママトトの進軍曲である「Running to the straight」や優勢時に流れる「Justice」は特に人気が高い。
--また、各国勢力には専用戦闘曲があり、特殊作戦や敵モンスター部隊等ではさらに特殊曲に変化したりとなかなか音楽面にこだわりがある。
--本作はCD-DA音源だが戦闘曲のみMid版も内蔵している。ゲームプレイ中の切り替えも可能。
-グラフィック面。シミュレーションパートはキャラクターが2頭身のデフォルメ表示されている。必殺技使用時には2頭身キャラクターがアニメーションする等ギミックは細かい。
--必殺技を使わなくても、通常画面で表示される0.5頭身のキャラクターアイコンは移動・攻撃時に敵味方含めて全種がアニメーションする。
-全体的に武将の必殺技範囲が広い事、敵のレベルがシナリオの場合は固定されている事も相まってサクサク進んでいく。
--ただし作中に唯一の例外がおり、そこはピッテン単騎による特殊戦。~
肝心のピッテンとは相性が悪くて単純な殴り合いだと押し負けるため、事前に最大HPか攻撃射程をテコ入れしておく必要がある。
--ラスボスはそれまでとは段違いの強さなのでかなりの倒しがいがある。((ラスボスはこれまでのように「キッズを用いる対人戦」ではなく「迷宮戦最奥部での巨大モンスター戦の延長」になるため。キッズや配下キャラは出せず、在籍中の武将キャラ全員による総力戦となる。おまけにラスボスの召喚攻撃で自軍全員が「最大HPの10%ダメージ、回避不能」を受け続けるため、ここまで例が無かった独特の攻略法を模索・構築していく必要がある。))特に低レベルクリアを目指すとかなり難しい。
**賛否両論点
-主人公ナナスの父であるカカロがかなりの鬼畜でありながらシナリオ上重要人物なので、彼が好きになれるかで本作の評価は大きく変わると言ってもよい。
--一部のヒロインを攻略するにはカカロの話を進める必要がある。カカロの関わる話は陰惨なものが多く、肌に合わない人も。
--スタッフ間で開発中本作は『''外道親父''』という衝撃的なタイトルで呼ばれていたほどで、ある意味真の主人公はカカロとも言えなくもないシナリオになっている。
---ただ、ある意味実に悪役としてキャラは非常に立っているために、彼は彼で人気がある。
--ではナナスの影が薄いか? と思った方もいるかもしれないがそういうことはない。心優しい好青年であるナナスと邪悪で老獪なカカロ、この親子の複雑かつ筆舌しがたい関係が本作のストーリー最大の魅力なのである。
-当時のアリスは16ビットカラーのゲームを何本か出していたが、何故か本作では8ビットカラーに逆戻りしてしまった。
--絵のクオリティ自体は悪くない。
//また、今ならばこれはこれで味があると言えなくもない。
//--これまた当時のゲームだから仕方ないが、声は当然としてバックログやシーン回想なども無い。一応CG鑑賞やサウンドテストは内蔵しているが。
**問題点
-ADVパートとあるが、選択肢は「どの女の子と会うか」くらいであり希薄。
--一応シミュレーション時に使える必殺技を増やすナナスポイントが好感度に直結していたりするが。
-ストーリー面では全男武将に見せ場があるのに対し、女武将に見せ場は無い。
--アドベンチャーパートがあるからまぁいいのだが、全男武将固有エンディングがあり、これらを目指すと女武将は完全な空気である。
--男キャラクターが非常に目立つのは同社ゲームの特徴ではあるが、本作はそれが特に目立つ。そのため、アダルトゲームなのに女の子の印象が薄いという本末転倒な形に。
-シミュレーションパートのデザインはどちらかと言えば地味。
--必殺技で参照されるのは攻撃力/魔力の値のみで、命中やクリティカル値は一切参照されない。~
このため、必殺技に「威力補正のある範囲攻撃」を持つ武将ほど強く感じるシステム。~
リックとライセンなら後者のほうが、アーヴィとマイトレアなら前者のほうが使いやすい。
---ただしパットンとカバッハーンは例外で、これらの要素は持たないがラスボス戦に特化した能力値&必殺技のため、育てて損することはまずありえない。~
逆にミュラ/ワン/ヒーロー/キングギア/ココナ/シェンナ/奈菜璃などは、愛が無いとかなりキツい。
----
**総評
文章として纏めると非常に複雑なシステムを内蔵しているように見えるが、その実一つ一つが単純であり、かつ高いクオリティと様々なギミックを内蔵している。~
そこに軽快な音楽と爽快感、カード一つ一つに細かいストーリーが用意されていたり隠し要素なども豊富で、エロ要素不問でも名作と呼べる出来になっている。ストーリーも細かく言及はしないがかなり楽しめる物となっている。
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**その後の展開
-後にアリスソフトは「ママトトと同じ世界観、近いシステムを使った新作」として、同社過去作品の様々なキャラクターが登場する『ままにょにょ』『わいどにょ』を出している。
--ただ、どれも必殺技システム排除・マス数減少・シミュレーションパートのみ・システムに制限が付く等、あまりママトトらしいとは言いがたい。むしろ同社過去作の『[[かえるにょ・ぱにょ~ん]]』に近い。
--2014年に発売されたアリスソフトの代表作『[[Rance>Ranceシリーズ]]』シリーズの一作『[[Rance IX -ヘルマン革命-]]』で同作のシステムやBGMが一部継承されている。
---なお、本作でも『Rance』シリーズの登場人物と同じ名前・似た容姿のキャラクターが登場するが、これらはパラレルワールドという設定である。
-現在は生産中止。廉価版が2,800円で販売されている。
----
**余談
-タイトルである「ママトト」と女性が知らないふりをして無邪気に見せかける「[[カマトト>https://macaro-ni.jp/45119]]」は似ている言葉だが一切無関係。
//-本作のキャラクター原画を担当したMIN-NARAKEN(通称奈良県民)は2014年において現役で活躍するアダルトゲーム原画家としては最古参の人物である。
*ママトト ~a record of war~
【ままとと あれこーどおぶうぉー】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&amazon(B002KLTONQ)|
|対応機種|Windows 95/98/NT|~|
|発売・開発元|アリスソフト|~|
|発売日|1999年7月1日|~|
|定価|8,500円|~|
|廉価版|2003年9月26日/2,800円|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ALICE SOFT作品リンク>ALICE SOFT/チャンピオンソフト作品]]''|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
大陸。~
この地では移動要塞を駆使した3つの巨大国家と、それ以外の弱小国家が絶えず争いを繰り広げていた。~
3国からさして重要視されていなかった、移動要塞一つが国土と言う弱小国家「ママトト」では若き軍師ナナスが、&br;モンスター達から得られるカードを用いて生み出される兵隊「キッズ」の開発に成功した。~
これによりママトトは弱小国家ではあるものの、3つの巨大国家に引けを取らない兵力を手に入れる事が出来た。~
大陸を一つに纏め上げ、争いの無い世界を作る…。~
純朴な青年軍師、ナナスの遠くも大きく強い夢が歩き始めた瞬間だった。
**システム
-本作はアリスソフトが作り出したシミュレーションソフトである。シミュレーションパート・内政パート・ADVパート・フリー戦闘の順番で形成される。
--シミュレーションパートは武将とキッズ(兵士)を配置し戦闘する。内政面の影響は特に無く、プレイヤーは武将とキッズを用いて並み居る敵をただ葬ればいいだけである。
--本作の戦闘の特徴的な部分として、前衛戦と防衛戦の2パートに分かれている点がある。
---前衛戦では画面左一列が防衛ラインとなっており、ここに敵が到達してしまうとママトト中心部へと侵入されるのでこれを防ぎつつ攻略する必要がある。
---もし敵に侵入された場合、通常戦闘とは別に心臓部を守る防衛戦となる。~
防衛戦ではキッズが使用不可となり、ママトトの心臓部が破壊された場合ゲームオーバーになるのでうまく武将のみで切り抜ける必要がある。~
なお、心臓で敵キャラを倒す(敵の現在HP10%が心臓ダメージになる)とアイテムドロップ率が大幅上昇(8%→40%)する隠し仕様があるので、慣れてきたら狙ってみるのも悪くない。
--ステージには敵以外にも障害物の岩、宝箱、財宝、潜入されると施設を破壊される工兵(後述)等が登場する。
---岩は破壊する事で資金とカードが入手でき、動かない敵と言った具合。宝箱と財宝は武将と宝箱回収能力を持つキッズが回収できる。敵は宝箱や財宝をただの障害物としか見ていないため包囲するのに利用できる。
--武将には一人一人固有の必殺技がある。ステータス面のみならず、必殺技性能でも大きな個性を生み出している。
---必殺技は武将ごとに使用可能回数が決まっているが戦闘前にナナスポイント(NP)を割り振ることで使用回数を増やすことができる。
---NPは戦闘面以外でも、ADVパートで特定の女性を攻略する場合、当該キャラにそれなりの量を振り分けておく必要がある。
-シナリオでの通常戦闘とは別にフリー戦闘も存在している。文字通りランダム出現の敵勢力と戦うパートで、ここでカードを溜め込んだりアイテムを手に入れたり、武将のレベルを上げる事ができる。
-本作のシミュレーションパートで欠かす事が出来ないキッズシステム。
--キッズは範囲攻撃、宝箱回収等それぞれ異なる能力を持つ使い捨ての兵士で、七種七様のキッズたちをうまく使い分けるのが本作の攻略の鍵である。
--キッズは敵を倒すと入手できるカードを消費し、該当施設が建造されている場合にのみシナリオ開始時に作り出すことが出来る。
--1度出撃したキッズは消耗されるので、生存させておく意味は無い。
---フリー戦闘でもキッズを使うと勿論消耗される。いくらカードを稼ごうと次のシナリオに移らなければ製造されないので、延々フリー戦闘を続けると最終的には武将だけで戦わなければならなくなる。
--キッズは該当施設を一定数以上作るとパワーアップする。
---移動距離増加・効果発動範囲増加と様々。全くの別キャラに変更されるキッズもいる。
--さらに、一定の条件を満たすとキッズとは別に武将直属の部下となる隠しキャラが登場することも。
-内政パートは施設建造や武器開発、入手したカード閲覧等がある。
--武器開発は開発施設を作らなければ出来ない。施設は資金が、武器開発は資金とカードが必要。だがここで消費するカードは他のカードに影響が無く、資金以外気にする必要は無い。武器を開発することで武将の能力の上昇や必殺技の強化が行える。
--工兵に突入されると施設をランダムで一つ破壊されてしまう。対策として工兵が率先して破壊するダミープラントを建造する事も出来る。更に、心臓を増やしたりキッズ製造工場をふやしたりする事もできる。
---施設の建造は形状の異なるピースを組み合わせて敷き詰めていくパズル的な要素も含んでいる。全マスを隙間無く埋めることでご褒美イベントが発生するが、その難易度はなかなか高い。
--カード閲覧は文字通り今まで入手したカードを見る事が出来る。丁寧な事に、1つ1つにストーリーが用意されている。
-戦闘後はADVパートとなる。ここは本作が18禁となっている所以であり、かわいい女の子武将と仲良くなれる…が。
--ADVパートを主人公ナナスだけでなく父のカカロでも進めることが可能なのが本作の特筆点。ナナスと女の子は清らかなお付き合いと言った塩梅なのに対し、カカロは…。
--また、仲間になっている男武将とも挨拶程度だがイベントがある。
**評価点
-''バグがほとんど無い。''~
せいぜいごくわずかな誤字くらいで、プレイ時間長めの大作(発売日当日の修正パッチ配布も普通にありえる)にしては驚異的な完成度と言える。~
比較対象を挙げると、同社が2001年に発売した「夜が来る!」は発売日パッチに加え、多くの修正パッチを配布してしまった。
--初回版付属のアリスCDによると、開発中には「笑える盛大な誤字」のほか「キャラ増殖バグ」などもあったようだが、マスターアップまでには全てが修正・解消されている。
-シミュレーションパートのフィールドは縦11マス横20マスの220-障害物マスによって構成されている。それに対してユニット移動力は5や8、多いと11と大変広い。移動速度も速く、戦闘は至極スピーディー。
--更に必殺技の範囲も12マスや15マスと広いので、シミュレーションとしてはかなりの爽快感に満ちている。
-ゲーム全体を通してプレイヤーに親切な作りとなっている。
--戦闘開始前は戦場下見やナナスから攻略の助言が毎回あるので、戦略を組み立てながら戦闘へ臨める。
--UIも良好。例えば攻撃対象選択時に射程範囲内の敵右下に「当たれば倒せる」「乱数次第で倒せるかもしれない」「クリティカルが出無ければ倒せない」等が一目で理解できるよう設計してある。
---また、移動後に攻撃や別キャラクターの行動をしなければその移動をキャンセルに出来る。間違いや攻撃が届くかどうかの確認も手軽に出来る。
---戦闘中にもいつでも中断データを作れるので急に別に用事ができても安心。
--カードを消費して全体に効果を及ぼす召喚魔法も使える。召喚魔法で消費するカードはキッズを作ったり武器を開発するのとは違うカードなので、ある程度気軽に使う事ができる。
-二転三転しつつも熱い所はしっかりと熱く、切ないところはとにかく切なく、しっかりメリハリの効いたストーリーも人気。
--ただ、後述の通りカカロ関連は間違いなく好みが分かれるが。
-当時アリスソフト所属だったShadeが担当したBGMは高評価。ママトトの進軍曲である「Running to the straight」や優勢時に流れる「Justice」は特に人気が高い。
--また、各国勢力には専用戦闘曲があり、特殊作戦や敵モンスター部隊等ではさらに特殊曲に変化したりとなかなか音楽面にこだわりがある。
--本作はCD-DA音源だが戦闘曲のみMid版も内蔵している。ゲームプレイ中の切り替えも可能。
-グラフィック面。シミュレーションパートはキャラクターが2頭身のデフォルメ表示されている。必殺技使用時には2頭身キャラクターがアニメーションする等ギミックは細かい。
--必殺技を使わなくても、通常画面で表示される0.5頭身のキャラクターアイコンは移動・攻撃時に敵味方含めて全種がアニメーションする。
-全体的に武将の必殺技範囲が広い事、敵のレベルがシナリオの場合は固定されている事も相まってサクサク進んでいく。
--ただし作中に唯一の例外がおり、そこはピッテン単騎による特殊戦。~
肝心のピッテンとは相性が悪くて単純な殴り合いだと押し負けるため、事前に最大HPか攻撃射程をテコ入れしておく必要がある。
--ラスボスはそれまでとは段違いの強さなのでかなりの倒しがいがある。((ラスボスはこれまでのように「キッズを用いる対人戦」ではなく「迷宮戦最奥部での巨大モンスター戦の延長」になるため。キッズや配下キャラは出せず、在籍中の武将キャラ全員による総力戦となる。おまけにラスボスの召喚攻撃で自軍全員が「最大HPの10%ダメージ、回避不能」を受け続けるため、ここまで例が無かった独特の攻略法を模索・構築していく必要がある。))特に低レベルクリアを目指すとかなり難しい。
**賛否両論点
-主人公ナナスの父であるカカロがかなりの鬼畜でありながらシナリオ上重要人物なので、彼が好きになれるかで本作の評価は大きく変わると言ってもよい。
--一部のヒロインを攻略するにはカカロの話を進める必要がある。カカロの関わる話は陰惨なものが多く、肌に合わない人も。
--スタッフ間で開発中本作は『''外道親父''』という衝撃的なタイトルで呼ばれていたほどで、ある意味真の主人公はカカロとも言えなくもないシナリオになっている。
---ただ、ある意味実に悪役としてキャラは非常に立っているために、彼は彼で人気がある。
--ではナナスの影が薄いか? と思った方もいるかもしれないがそういうことはない。心優しい好青年であるナナスと邪悪で老獪なカカロ、この親子の複雑かつ筆舌しがたい関係が本作のストーリー最大の魅力なのである。
-当時のアリスは16ビットカラーのゲームを何本か出していたが、何故か本作では8ビットカラーに逆戻りしてしまった。
--絵のクオリティ自体は悪くない。
//また、今ならばこれはこれで味があると言えなくもない。
//--これまた当時のゲームだから仕方ないが、声は当然としてバックログやシーン回想なども無い。一応CG鑑賞やサウンドテストは内蔵しているが。
**問題点
-ADVパートとあるが、選択肢は「どの女の子と会うか」くらいであり希薄。
--一応シミュレーション時に使える必殺技を増やすナナスポイントが好感度に直結していたりするが。
-ストーリー面では全男武将に見せ場があるのに対し、女武将に見せ場は無い。
--アドベンチャーパートがあるからまぁいいのだが、全男武将固有エンディングがあり、これらを目指すと女武将は完全な空気である。
--男キャラクターが非常に目立つのは同社ゲームの特徴ではあるが、本作はそれが特に目立つ。そのため、アダルトゲームなのに女の子の印象が薄いという本末転倒な形に。
-シミュレーションパートのデザインはどちらかと言えば地味。
--必殺技で参照されるのは攻撃力/魔力の値のみで、命中やクリティカル値は一切参照されない。~
このため、必殺技に「威力補正のある範囲攻撃」を持つ武将ほど強く感じるシステム。~
リックとライセンなら後者のほうが、アーヴィとマイトレアなら前者のほうが使いやすい。
---ただしパットンとカバッハーンは例外で、これらの要素は持たないがラスボス戦に特化した能力値&必殺技のため、育てて損することはまずありえない。~
逆にミュラ/ワン/ヒーロー/キングギア/ココナ/シェンナ/奈菜璃などは、愛が無いとかなりキツい。
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**総評
文章として纏めると非常に複雑なシステムを内蔵しているように見えるが、その実一つ一つが単純であり、かつ高いクオリティと様々なギミックを内蔵している。~
そこに軽快な音楽と爽快感、カード一つ一つに細かいストーリーが用意されていたり隠し要素なども豊富で、エロ要素不問でも名作と呼べる出来になっている。ストーリーも細かく言及はしないがかなり楽しめる物となっている。
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**その後の展開
-後にアリスソフトは「ママトトと同じ世界観、近いシステムを使った新作」として、同社過去作品の様々なキャラクターが登場する『ままにょにょ』『わいどにょ』を出している。
--ただ、どれも必殺技システム排除・マス数減少・シミュレーションパートのみ・システムに制限が付く等、あまりママトトらしいとは言いがたい。むしろ同社過去作の『[[かえるにょ・ぱにょ~ん]]』に近い。
--2014年に発売されたアリスソフトの代表作『[[Rance>Ranceシリーズ]]』シリーズの一作『[[Rance IX -ヘルマン革命-]]』で同作のシステムやBGMが一部継承されている。
---なお、本作でも『Rance』シリーズの登場人物と同じ名前・似た容姿のキャラクターが登場するが、これらはパラレルワールドという設定である。
-現在は生産中止。廉価版が2,800円で販売されている。
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**余談
-タイトルである「ママトト」と女性が知らないふりをして無邪気に見せかける「[[カマトト>https://macaro-ni.jp/45119]]」は似ている言葉だが一切無関係。
//-本作のキャラクター原画を担当したMIN-NARAKEN(通称奈良県民)は2014年において現役で活躍するアダルトゲーム原画家としては最古参の人物である。