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*忍者ハットリくん ~忍者は修行でござるの巻~ 【にんじゃはっとりくん にんじゃはしゅぎょうでござるのまき】 |ジャンル|横スクロールアクション|&amazon(B000068I0V,image);| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |発売・開発元|ハドソン|~| |発売日|1986年3月5日|~| |定価|4,900円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|多彩な忍術による戦略性&br豊富な隠し要素&brチクワと鉄アレイ|~| |>|>|CENTER:''[[藤子不二雄関連作品シリーズ>藤子不二雄シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 藤子不二雄(A)の人気漫画及びそれをもとにしたTVアニメ、『忍者ハットリくん』のゲーム化作品。 ジャンルはサイドビューアクションである。 **ゲーム内容 >「せっ者、伊賀忍者ハットリカンゾウでござる。忍者の世界もきびしく、試験があるのでござる。ニンニン!」 >伊賀忍者「修行の里」で忍法修行にはげむ我らがハットリくん。 >忍法の極意をしるす巻物を見つけ、いろんな忍法を使えるようがんばっている。 >ハットリくんの修行を知ったケムマキはじゃまをしようと、メカ忍軍団や甲賀忍者らを引連れてきた。 >(説明書より) -ハットリくんを操作し、手裏剣投げや忍術を活用して制限時間以内に鳥居(ゴール)を目指す。 -制限時間切れ、穴や水に落ちる、敵や敵弾に触れてパワー(ライフ)が全て無くなると1ミスとなり、ステージの最初、または中間地点に戻される。残り人数が全て無くなるとゲームオーバー。 -ゲームには原作キャラクターが多数登場しており、道中には忍者などの敵やケムマキなど、忍術ではシンゾウや獅子丸、ゴールでは父親のジンゾウがボーナスステージで活躍してくれる。 **登場人物 -ハットリくん(ハットリカンゾウ) --主人公。忍術が得意でカエルが苦手。 -ハットリジンゾウ --ハットリくんの父。本作では、ゴールでボーナスステージを行う。 --内容は、チクワと鉄アレイを投げ上げるというもので、チクワが点数。鉄アレイは痛そうだがタイムロスになるだけ。 -ハットリシンゾウ --ハットリくんの弟。通称シンちゃん。本作ではナミダパワーの術で登場。 -獅子丸 --ハットリくんの飼ってる伊賀忍者犬。チクワが大好物。本作では怒り火の玉の術で登場。 **敵キャラクター 説明書によると敵は「甲賀忍者((ハットリくんは伊賀忍者であり、甲賀忍者は敵という設定。))」「メカ忍軍団((メカ忍軍団は科学忍者メカマロ配下のロボットで、伊賀忍者や甲賀忍者とは異なる勢力。))」「敵忍者が出した怪物たち」。 -甲賀忍者 --隊列を組んで向かって来る。中にはジャンプしたり逃げたりする者もいる。 -メカ忍 --劇場版『忍者ハットリくん ニンニンふるさと大作戦の巻』に登場したメカ忍軍団の雑兵。甲賀忍者を10人倒すと出現。触ると即死するうえ手裏剣を4発当てないと倒せないが、倒すと巻物を落とす。ただしカエルが出る事もある。本作の攻略において最も重要な敵。 ---ハットリくんの手裏剣のリーチは短く、連射も不可能なので、しっかり連打しないと間に合わずに体当たりを喰らってしまう。 -ケムマキケムゾウ --ハットリくんのライバルの甲賀忍者。本作では攻撃せず、取得するとパワーが全回復するハートを上空から投下する。だが彼自身に触れるとダメージを受ける。 -影千代 --ケムマキの飼ってる甲賀忍者猫。ハットリ君の2倍のスピードで画面右から出現し、ハットリ君の手前でジャンプするような動きをする。触れてもダメージを受けないが、忍術を1つ盗まれる。 --手裏剣を16発当てると1UPする。 -雲のり忍者 --空中を飛行しながら手裏剣を投げてくる。飛行パターンは高速で突進しながら上方へ逃げていったり、低速で上下へジグザクに飛行するなど様々。 --手裏剣は当たっても少し行動不能になるだけでダメージはない(他の敵が投げる手裏剣も同様)。 -雷忍者 --空中の一定範囲を往復しながら、真下へ雷を落としてくる赤服の忍者。雷に当たると2ダメージを受ける。倒してしまえば復活しない。 -ロボ鳥 --雷忍者と似た性質を持つ敵。空中の一定範囲をフラフラ往復しながら、真下へ爆弾を落としてくる。爆弾は2ダメージ。倒しても無限に湧いてくる。 -お化け --低速で不規則に飛行しながらじりじりとハットリくんに接近してくる。一旦触ってしまうと、運が悪いと死ぬまで張り付かれる。手裏剣では倒せず、怒り火の玉のような特定の忍術を使わないと倒せない。 -カラス天狗 --空中を高速で飛び回りながら手裏剣を投げてくる。本体に触れると即死。手裏剣一発で倒せるのが救い。 -白猫斎(はくびょうさい) --甲賀忍者猫の総元締めである化け猫。出現後しばらくは何もせず左右に小さく飛び回るだけだが、一定時間が経過すると巨大化して大ジャンプしながら下5方向に手裏剣を投げてくる。本体に触れると即死。なお、出現エリア内ではBGMが専用曲に変化する。 --倒せるのは出現直後の小さい状態だけで、巨大化すると無敵になる。上手く倒せば5万点ものスコアが獲得できる。 -カエル --原作ではハットリくんの苦手な物。 --本作では、メカ忍を倒した後に出現する事があり、触ると即死。こちらのあらゆる攻撃を受け付けないが、その場から動くことはなく何もして来ない。一定時間後に消滅するのを待ってやり過ごす。 **忍術 画面上にアイコンが並んでおり、巻物の取得に応じて順番に補充されていく。セレクトボタンで使用したい忍術にカーソルを合わせ、Bボタンで発動させる。やみくもに使うと苦戦をする要素もあり、このゲームは計画的に忍術を使う事も教えてくれる。また、忍術選択中は手裏剣による攻撃を行えないため、基本的に敵から攻撃されない場所で行う。 -例えば、水ぐもの術を使いたい場合にはセレクトボタンを3回押し、直後にBボタンを押す必要がある。八方手裏剣の術に至っては、セレクトボタンを11回も押してからBボタンを押す必要がある。カーソルはモタモタしているとすぐに初期位置の手裏剣に戻ってしまうので、コマンドの入力にはある程度の素早さが必要。 -セレクトを押したとき「ニン」というかんじの効果音が鳴るため、忍術選択時はセレクト連打でニンニンニンニンニンというかんじになる。 -手裏剣 --標準装備で巻物は不要。射程は短いが無制限に撃てる。 -影走りの術 --使用した面の間、ミスするまで移動速度が上がる。雲乗りの術やムササビの術と組み合わせることで更に威力を発揮する。 -高跳びの術 --使用した面の間、ミスするまでジャンプ力が上がる。池を越えやすくなるが谷間では逆効果になる事もある。 -水ぐもの術 --使用した面の間、ミスするまで水の上を歩けるようになる。川を渡るには、険しい岩場やギリジャンが必要になるような足場を進まなくてはならないが、これがあれば問題なくなる。 -ハイパー手裏剣の術 --手裏剣の射程が画面端まで伸びるが連射ができるというわけでもなく、使い勝手は今一つ。制限時間あり。 -金縛りの術 --一定時間敵の動きを止める。ただし当たり判定は残っており、うっかり触ると術が解けるまでダメージを受け続けてしまう。 -霧隠れの術 --一定時間透明状態になり、敵に触れてもダメージを受けなくなる。目と口が表示されるのでプレーヤーからは分かる。時間切れが近づくとハットリくんが点滅して知らせてくれる。回避手段としては最も強力な忍術。 -雲乗りの術 --一定時間雲に乗れる。池や谷を越えたりフルーツを取ったりと役に立つ。時間切れが近づくと雲が点滅して知らせてくれる。 -ナミダパワーの術 --シンゾウを呼び出して泣き声で画面全体の敵を攻撃する。手裏剣では倒せない敵も倒せる。 --1回使うたびに8000点が入るスコアラー向けの術でもある。 -ムササビの術 --使用した面の間、ミスするまで空を飛べる(連続ジャンプで飛ぶ形なので指が疲れやすい)。攻略の要になる術。 -怒り火の玉の術 --一定時間獅子丸が火の玉となって自キャラの前にオプションとしてつき大概の敵は倒せる。術がかかっている間は曲が変わる。 -八方手裏剣の術 --一定時間、手裏剣を前後と上3方向の計5方向に撃てるようになる。弾幕として使ったり、白猫斉を倒す時にも有効。八方なのに5方向にしか撃てないのはご愛敬。 --また、この術の効果中に影千代に重なって撃ち込みまくることで残機を大量に増やすことが可能。 **アイテム -巻物 --取ると忍術が1つ増える。本作における最重要アイテム。 -フルーツ --スコアアイテム。画面内に同時に4つまで出現する。 -力マーク --同時に出現したフルーツ4つを全て取ると出現。Pが2回復し、取ると同時使用可能な忍術が増えていく。忍術の同時使用数はミスすると初期状態に戻る。 --初期状態では同時に2つまでの忍術しか使えないが、1つ取ると3種類に、2つ取ると4種類に、3つ取ると無制限に同時使用が可能となる。取得すれば便利だが、せいぜい1つ取れば十分なゲームバランスではある。 -ちくわ --特定の木の上でジャンプすると出現。通算20個取るとハットリくんが黄金に輝く。この間はしばらく敵に触れても無敵状態となり、更に獲得スコアが2倍になる。 --ボーナスステージでも登場するが、そちらはただのスコアアイテムでいくら取っても黄金のハットリくんにはならない。 -ハート --ケムマキが落としていく。取るとPが全回復する。 -太巻物 --スコアの10の位が偶数の時に、特定の地点を手裏剣で撃つと出現する隠しアイテム。取ると忍術が4つ増える。太巻物と印籠は出現地点が同じ。 -印籠 --スコアの10の位が奇数の時に、特定の地点を手裏剣で撃つと出現する隠しアイテム。取るとパワーとタイムが全回復する。また、太巻物よりも獲得スコアが大きい。 -カギ --特定の地点を手裏剣で撃つと出現する隠しアイテム。取ると6画面先にワープする。 **評価点 -多彩な忍術の存在。戦略性の増加や初心者の救済要素に繋がっている。 --特に利用価値が高いのが移動を補助するタイプの忍術。川では水蜘蛛の術を使うことでミスにならず上を歩けたり、雲の上では雲乗りの術やムササビの術を使うことで楽に通過可能になるなど、忍術の使用で楽になるポイントがいくつも存在する。 --巻物は補充可能なポイントが決まっており、無闇に使うと肝心な場面で必要な忍術が使えずピンチに陥ることもある。そのため忍術を温存しながら進めたり、時間ぎりぎりまで巻物を稼ぐ、といった戦略性も必要になってくる。 --手裏剣以外の忍術を使わずにクリアすることも可能なゲームバランスであるため、上級者は忍術を封印して歯応えのあるプレイを楽しむことも可能。 -道中には、林、川、雲、迷路など様々な地形があってプレーヤーを飽きさせない。 --本作は全16エリア構成。全エリアクリア後は1面に戻ってループする。 -LEVELを設定できるのでプレーヤーの力量に応じた難易度で遊べる。 -この時代のゲームは隠し要素が重要視されており、本作も様々な隠し要素が存在する。 --特定の地点に手裏剣を撃ち込むと出現する隠しアイテムは入手時のメリットが非常に大きいものばかりで、攻略を進める上でとても有用であり、探していく楽しみも大きい。 ---特定の地点で手裏剣を連射すると高橋名人の顔が出現し、更に撃ち込み続けると表情が変化し20万又は200万点ものボーナスが加算される。~ ただ、その対象のエリアでミスした後だと200点しかもらえなくなるので、前のエリアクリア寸前でパワーがない場合、前エリアのうちに一度やられておくのも手。 --特定の地点でジャンプすると敵が一定時間大きなフルーツと化し、取るとスコアが加算される。 --タイムが1桁の時に限りワープが可能な地点もあったりする。 -ごく簡易だがエンディングも一応用意されている。 **賛否両論点 -最終ボスが存在しないため、人によっては手応えがないと感じられる可能性がある。 --本作の目的は修行であって敵ではないし、ボスと言える敵が存在しないゲームも当時の作品の中にはあるにはあるが。 //--もちろん、全てのゲームに最終ボスがいなければならないという決まりはない。また、サブタイトルが示すように本作の目的はあくまでも修行であり、甲賀流や妖怪の打倒というわけではない。 -ボーナスステージで実の息子に鉄アレイを投げてくるジンゾウ。 --本作で何かとネタにされやすい要素でもある。 **問題点 -操作性にやや難がある。 --ハットリ君は敵キャラクターよりも足が遅い上に、移動においての加速や停止に慣性を伴う上、その慣性のかかり方があまり自然な感じではない。特に影走りの術の効果中はすぐ止まれないため、慣れるまでは扱いが難しい。 --ジャンプ制御が効きづらく、忍術を使わない状態では操作の自由度は低め。 ---「力」の入手には1つの画面に出ているフルーツを4つとも取得する必要があるが、そのフルーツは木の上などの高所にある場合が多く、短時間で消えてしまう特性もあいまって、入手はなかなか困難。 ---ハットリ君のジャンプは横方向への飛距離が短い。これが曲者で、水や穴を飛び越える際には、本当に足場のギリギリからジャンプしないと届かない。決して「スーパーマリオ」シリーズのように気軽に飛び越えられるものではない。 --忍術の選択方法がセレクトボタンのみなのに対し忍術が11種類もあるため、右側の術ほど選択に手間がかかる。 -忍術を使うための巻物集めでゲーム進行を中断されやすい。 --特に低LEVELだと敵の出現間隔が広く、メカ忍を出すのに時間がかかる。加えて低確率ではあるが巻物ではなくカエルが登場する場合もあり、そうなるとまたメカ忍が出るまで甲賀忍者を倒さないといけない。 --しかも甲賀忍者が出現するエリアには漏れなく影千代も登場するため、操作を間違うと苦労して集めた忍術を持って行かれてしまう。 --影千代に対しては、タイミング良くジャンプして手裏剣を当てる、タイミングよく下をくぐる、タイミングよくジャンプしてよける、といった対処法が必要。 --また、メカ忍が同時に出現する時が危険で、影千代の回避に気を取られるとメカ忍の体当たりを喰らう。 --画面をスクロールさせない限り甲賀忍者は無限湧きするので何枚も巻物取得が可能だが、やりすぎるとゴールするまでのタイムが足りなくなってしまう。 -忍術の項目に挙げられた理由からハイパー手裏剣の使い勝手が悪く、ほぼ死に忍術と化している。 **総評 やや融通が利かない操作性、厄介なメカ忍、影千代といった敵の存在による若干の難易度の高さに加え、ゲーム性が単調であるという難点はあるが、原作要素が様々に盛り込まれており、登場人物の特徴をつかみ、上手く昇華させた好例と言える。~ 当時のハドソンは他にも『[[ドラえもん>ドラえもん (FC)]]』や『[[ミッキーマウス>ミッキーマウス 不思議の国の大冒険]]』など版権キャラクターのアクションゲームを幾つか出していたが、評価の高いものが多く、本作も例外ではない。ゲーム作りの巧さを感じさせる一品と言えよう。 ---- **余談 -本作の売り上げはキャラゲーとしては異例の''150万本''であり、FとAを合わせた藤子作品原作ゲームの中では最も販売部数を伸ばしたゲームである。 --キャラゲーとしての売り上げは史上第3位。1位、2位は『[[遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記 遊戯デッキ/城之内デッキ/海馬デッキ]]』と『[[遊☆戯☆王デュエルモンスターズ]]』で『遊☆戯☆王』のワンツートップである。 -当初はケムマキを敵として登場させるつもりだったが、原作者の藤子氏の「二人は敵じゃなくてライバルだよ」と説明を受けてお助けキャラクターになった。 --高橋名人によるとその時用意していた企画書は「ハットリ対ケムマキ」だったが、その企画書は結局出せずじまいだったという。 -本作のメインBGMはビゼー「アルルの女」とオッフェンバック「天国と地獄」の中に、『ハットリくん』アニメ主題歌のメロディを部分的に引用した独特な構成である。 --これには著作権の関係のためハットリくんの主題歌は2小節しか使えず、他の部分に繋ぎとしてクラシック曲を用いたためである。 -獅子丸が使う忍法の中に、鉄アレイのような姿になる忍法「鉄アタマ」というのがある。鉄アレイはここから連想したのかもしれない。 --だが、後に本作のプログラマである奥野仁氏はブログで「最初はちくわのみをばらまくゲームを作ったら何か全く面白くなくて、自分で鉄アレイっぽく見えるものを描いたら、それがそのまま採用された」旨を記している。((かつては中本伸一氏が「開発時は鉄アレイという考えすらなく実際「ちくわのみをばら撒く」という内容で一旦開発が完了したが、その際にメモリ管理のミスで容量が余っていたので思いつきで入れた」とされていたが、奥野氏は「このゲームに中本さんは直接関与してないので明らかにあの発言自体が思い付きである」とも述べている))~ ソース→https://ameblo.jp/yamamochi-dhmo/entry-11981113542.html -後に『ボボボーボ・ボーボボ マジで!!?真拳勝負』『[[ボボボーボ・ボーボボ 9極戦士ギャグ融合]]』にて、ハドソン自らボーナスステージを再現している。(元々、原作にチクワと鉄アレイを投げるゲーム版ハットリくんのボーナスステージネタがあった) ----
*忍者ハットリくん ~忍者は修行でござるの巻~ 【にんじゃはっとりくん にんじゃはしゅぎょうでござるのまき】 |ジャンル|横スクロールアクション|&amazon(B000068I0V,image);| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |発売・開発元|ハドソン|~| |発売日|1986年3月5日|~| |定価|4,900円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|多彩な忍術による戦略性&br豊富な隠し要素&brチクワと鉄アレイ|~| |>|>|CENTER:''[[藤子不二雄関連作品シリーズ>藤子不二雄シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 藤子不二雄(A)の人気漫画及びそれをもとにしたTVアニメ、『忍者ハットリくん』のゲーム化作品。 ジャンルはサイドビューアクションである。 **ゲーム内容 >「せっ者、伊賀忍者ハットリカンゾウでござる。忍者の世界もきびしく、試験があるのでござる。ニンニン!」 >伊賀忍者「修行の里」で忍法修行にはげむ我らがハットリくん。 >忍法の極意をしるす巻物を見つけ、いろんな忍法を使えるようがんばっている。 >ハットリくんの修行を知ったケムマキはじゃまをしようと、メカ忍軍団や甲賀忍者らを引連れてきた。 >(説明書より) -ハットリくんを操作し、手裏剣投げや忍術を活用して制限時間以内に鳥居(ゴール)を目指す。 -制限時間切れ、穴や水に落ちる、敵や敵弾に触れてパワー(ライフ)が全て無くなると1ミスとなり、ステージの最初、または中間地点に戻される。残り人数が全て無くなるとゲームオーバー。 -ゲームには原作キャラクターが多数登場しており、道中には忍者などの敵やケムマキなど、忍術ではシンゾウや獅子丸、ゴールでは父親のジンゾウがボーナスステージで活躍してくれる。 **登場人物 -ハットリくん(ハットリカンゾウ) --主人公。忍術が得意でカエルが苦手。 -ハットリジンゾウ --ハットリくんの父。本作では、ゴールでボーナスステージを行う。 --内容は、チクワと鉄アレイを投げ上げるというもので、チクワが点数。鉄アレイは痛そうだがタイムロスになるだけ。 -ハットリシンゾウ --ハットリくんの弟。通称シンちゃん。本作ではナミダパワーの術で登場。 -獅子丸 --ハットリくんの飼ってる伊賀忍者犬。チクワが大好物。本作では怒り火の玉の術で登場。 **敵キャラクター 説明書によると敵は「甲賀忍者((ハットリくんは伊賀忍者であり、甲賀忍者は敵という設定。))」「メカ忍軍団((メカ忍軍団は科学忍者メカマロ配下のロボットで、伊賀忍者や甲賀忍者とは異なる勢力。))」「敵忍者が出した怪物たち」。 -甲賀忍者 --隊列を組んで向かって来る。中にはジャンプしたり逃げたりする者もいる。 -メカ忍 --劇場版『忍者ハットリくん ニンニンふるさと大作戦の巻』に登場したメカ忍軍団の雑兵。甲賀忍者を10人倒すと出現。触ると即死するうえ手裏剣を4発当てないと倒せないが、倒すと巻物を落とす。ただしカエルが出る事もある。本作の攻略において最も重要な敵。 ---ハットリくんの手裏剣のリーチは短く、連射も不可能なので、しっかり連打しないと間に合わずに体当たりを喰らってしまう。 -ケムマキケムゾウ --ハットリくんのライバルの甲賀忍者。本作では攻撃せず、取得するとパワーが全回復するハートを上空から投下する。だが彼自身に触れるとダメージを受ける。 -影千代 --ケムマキの飼ってる甲賀忍者猫。ハットリ君の2倍のスピードで画面右から出現し、ハットリ君の手前でジャンプするような動きをする。触れてもダメージを受けないが、忍術を1つ盗まれる。 --手裏剣を16発当てると1UPする。 -雲のり忍者 --空中を飛行しながら手裏剣を投げてくる。飛行パターンは高速で突進しながら上方へ逃げていったり、低速で上下へジグザクに飛行するなど様々。 --手裏剣は当たっても少し行動不能になるだけでダメージはない(他の敵が投げる手裏剣も同様)。 -雷忍者 --空中の一定範囲を往復しながら、真下へ雷を落としてくる赤服の忍者。雷に当たると2ダメージを受ける。倒してしまえば復活しない。 -ロボ鳥 --雷忍者と似た性質を持つ敵。空中の一定範囲をフラフラ往復しながら、真下へ爆弾を落としてくる。爆弾は2ダメージ。倒しても無限に湧いてくる。 -お化け --低速で不規則に飛行しながらじりじりとハットリくんに接近してくる。一旦触ってしまうと、運が悪いと死ぬまで張り付かれる。手裏剣では倒せず、怒り火の玉のような特定の忍術を使わないと倒せない。 -カラス天狗 --空中を高速で飛び回りながら手裏剣を投げてくる。本体に触れると即死。手裏剣一発で倒せるのが救い。 -白猫斎(はくびょうさい) --甲賀忍者猫の総元締めである化け猫。出現後しばらくは何もせず左右に小さく飛び回るだけだが、一定時間が経過すると巨大化して大ジャンプしながら下5方向に手裏剣を投げてくる。本体に触れると即死。なお、出現エリア内ではBGMが専用曲に変化する。 --倒せるのは出現直後の小さい状態だけで、巨大化すると無敵になる。上手く倒せば5万点ものスコアが獲得できる。 -カエル --原作ではハットリくんの苦手な物。 --本作では、メカ忍を倒した後に出現する事があり、触ると即死。こちらのあらゆる攻撃を受け付けないが、その場から動くことはなく何もして来ない。一定時間後に消滅するのを待ってやり過ごす。 **忍術 画面上にアイコンが並んでおり、巻物の取得に応じて順番に補充されていく。セレクトボタンで使用したい忍術にカーソルを合わせ、Bボタンで発動させる。やみくもに使うと苦戦をする要素もあり、このゲームは計画的に忍術を使う事も教えてくれる。また、忍術選択中は手裏剣による攻撃を行えないため、基本的に敵から攻撃されない場所で行う。 -例えば、水ぐもの術を使いたい場合にはセレクトボタンを3回押し、直後にBボタンを押す必要がある。八方手裏剣の術に至っては、セレクトボタンを11回も押してからBボタンを押す必要がある。カーソルはモタモタしているとすぐに初期位置の手裏剣に戻ってしまうので、コマンドの入力にはある程度の素早さが必要。 -セレクトを押したとき「ニン」というかんじの効果音が鳴るため、忍術選択時はセレクト連打でニンニンニンニンニンというかんじになる。 -手裏剣 --標準装備で巻物は不要。射程は短いが無制限に撃てる。 -影走りの術 --使用した面の間、ミスするまで移動速度が上がる。雲乗りの術やムササビの術と組み合わせることで更に威力を発揮する。 -高跳びの術 --使用した面の間、ミスするまでジャンプ力が上がる。池を越えやすくなるが谷間では逆効果になる事もある。 -水ぐもの術 --使用した面の間、ミスするまで水の上を歩けるようになる。川を渡るには、険しい岩場やギリジャンが必要になるような足場を進まなくてはならないが、これがあれば問題なくなる。 -ハイパー手裏剣の術 --手裏剣の射程が画面端まで伸びるが連射ができるというわけでもなく、使い勝手は今一つ。制限時間あり。 -金縛りの術 --一定時間敵の動きを止める。ただし当たり判定は残っており、うっかり触ると術が解けるまでダメージを受け続けてしまう。 -霧隠れの術 --一定時間透明状態になり、敵に触れてもダメージを受けなくなる。目と口が表示されるのでプレーヤーからは分かる。時間切れが近づくとハットリくんが点滅して知らせてくれる。回避手段としては最も強力な忍術。 -雲乗りの術 --一定時間雲に乗れる。池や谷を越えたりフルーツを取ったりと役に立つ。時間切れが近づくと雲が点滅して知らせてくれる。 -ナミダパワーの術 --シンゾウを呼び出して泣き声で画面全体の敵を攻撃する。手裏剣では倒せない敵も倒せる。 --1回使うたびに8000点が入るスコアラー向けの術でもある。 -ムササビの術 --使用した面の間、ミスするまで空を飛べる(連続ジャンプで飛ぶ形なので指が疲れやすい)。攻略の要になる術。 -怒り火の玉の術 --一定時間獅子丸が火の玉となって自キャラの前にオプションとしてつき大概の敵は倒せる。術がかかっている間は曲が変わる。 -八方手裏剣の術 --一定時間、手裏剣を前後と上3方向の計5方向に撃てるようになる。弾幕として使ったり、白猫斉を倒す時にも有効。八方なのに5方向にしか撃てないのはご愛敬。 --また、この術の効果中に影千代に重なって撃ち込みまくることで残機を大量に増やすことが可能。 **アイテム -巻物 --取ると忍術が1つ増える。本作における最重要アイテム。 -フルーツ --スコアアイテム。画面内に同時に4つまで出現する。 -力マーク --同時に出現したフルーツ4つを全て取ると出現。Pが2回復し、取ると同時使用可能な忍術が増えていく。忍術の同時使用数はミスすると初期状態に戻る。 --初期状態では同時に2つまでの忍術しか使えないが、1つ取ると3種類に、2つ取ると4種類に、3つ取ると無制限に同時使用が可能となる。取得すれば便利だが、せいぜい1つ取れば十分なゲームバランスではある。 -ちくわ --特定の木の上でジャンプすると出現。通算20個取るとハットリくんが黄金に輝く。この間はしばらく敵に触れても無敵状態となり、更に獲得スコアが2倍になる。 --ボーナスステージでも登場するが、そちらはただのスコアアイテムでいくら取っても黄金のハットリくんにはならない。 -ハート --ケムマキが落としていく。取るとPが全回復する。 -太巻物 --スコアの10の位が偶数の時に、特定の地点を手裏剣で撃つと出現する隠しアイテム。取ると忍術が4つ増える。太巻物と印籠は出現地点が同じ。 -印籠 --スコアの10の位が奇数の時に、特定の地点を手裏剣で撃つと出現する隠しアイテム。取るとパワーとタイムが全回復する。また、太巻物よりも獲得スコアが大きい。 -カギ --特定の地点を手裏剣で撃つと出現する隠しアイテム。取ると6画面先にワープする。 **評価点 -多彩な忍術の存在。戦略性の増加や初心者の救済要素に繋がっている。 --特に利用価値が高いのが移動を補助するタイプの忍術。川では水蜘蛛の術を使うことでミスにならず上を歩けたり、雲の上では雲乗りの術やムササビの術を使うことで楽に通過可能になるなど、忍術の使用で楽になるポイントがいくつも存在する。 --巻物は補充可能なポイントが決まっており、無闇に使うと肝心な場面で必要な忍術が使えずピンチに陥ることもある。そのため忍術を温存しながら進めたり、時間ぎりぎりまで巻物を稼ぐ、といった戦略性も必要になってくる。 --手裏剣以外の忍術を使わずにクリアすることも可能なゲームバランスであるため、上級者は忍術を封印して歯応えのあるプレイを楽しむことも可能。 -道中には、林、川、雲、迷路など様々な地形があってプレーヤーを飽きさせない。 --本作は全16エリア構成。全エリアクリア後は1面に戻ってループする。 -LEVELを設定できるのでプレーヤーの力量に応じた難易度で遊べる。 -この時代のゲームは隠し要素が重要視されており、本作も様々な隠し要素が存在する。 --特定の地点に手裏剣を撃ち込むと出現する隠しアイテムは入手時のメリットが非常に大きいものばかりで、攻略を進める上でとても有用であり、探していく楽しみも大きい。 ---特定の地点で手裏剣を連射すると高橋名人の顔が出現し、更に撃ち込み続けると表情が変化し20万又は200万点ものボーナスが加算される。~ ただ、その対象のエリアでミスした後だと200点しかもらえなくなるので、前のエリアクリア寸前でパワーがない場合、前エリアのうちに一度やられておくのも手。 --特定の地点でジャンプすると敵が一定時間大きなフルーツと化し、取るとスコアが加算される。 --タイムが1桁の時に限りワープが可能な地点もあったりする。 -ごく簡易だがエンディングも一応用意されている。 **賛否両論点 -最終ボスが存在しないため、人によっては手応えがないと感じられる可能性がある。 --本作の目的は修行であって敵ではないし、ボスと言える敵が存在しないゲームも当時の作品の中にはあるにはあるが。 //--もちろん、全てのゲームに最終ボスがいなければならないという決まりはない。また、サブタイトルが示すように本作の目的はあくまでも修行であり、甲賀流や妖怪の打倒というわけではない。 -ボーナスステージで実の息子に鉄アレイを投げてくるジンゾウ。 --本作で何かとネタにされやすい要素でもある。 **問題点 -操作性にやや難がある。 --ハットリくんは敵キャラクターよりも足が遅い上に、移動においての加速や停止に慣性を伴う上、その慣性のかかり方があまり自然な感じではない。特に影走りの術の効果中はすぐ止まれないため、慣れるまでは扱いが難しい。 --ジャンプ制御が効きづらく、忍術を使わない状態では操作の自由度は低め。 ---「力」の入手には1つの画面に出ているフルーツを4つとも取得する必要があるが、そのフルーツは木の上などの高所にある場合が多く、短時間で消えてしまう特性もあいまって、入手はなかなか困難。 ---ハットリくんのジャンプは横方向への飛距離が短い。これが曲者で、水や穴を飛び越える際には、本当に足場のギリギリからジャンプしないと届かない。決して「スーパーマリオ」シリーズのように気軽に飛び越えられるものではない。 --忍術の選択方法がセレクトボタンのみなのに対し忍術が11種類もあるため、右側の術ほど選択に手間がかかる。 -忍術を使うための巻物集めでゲーム進行を中断されやすい。 --特に低LEVELだと敵の出現間隔が広く、メカ忍を出すのに時間がかかる。加えて低確率ではあるが巻物ではなくカエルが登場する場合もあり、そうなるとまたメカ忍が出るまで甲賀忍者を倒さないといけない。 --しかも甲賀忍者が出現するエリアには漏れなく影千代も登場するため、操作を間違うと苦労して集めた忍術を持って行かれてしまう。 --影千代に対しては、タイミング良くジャンプして手裏剣を当てる、タイミングよく下をくぐる、タイミングよくジャンプしてよける、といった対処法が必要。 --また、メカ忍が同時に出現する時が危険で、影千代の回避に気を取られるとメカ忍の体当たりを喰らう。 --画面をスクロールさせない限り甲賀忍者は無限湧きするので何枚も巻物取得が可能だが、やりすぎるとゴールするまでのタイムが足りなくなってしまう。 -忍術の項目に挙げられた理由からハイパー手裏剣の使い勝手が悪く、ほぼ死に忍術と化している。 **総評 やや融通が利かない操作性、厄介なメカ忍、影千代といった敵の存在による若干の難易度の高さに加え、ゲーム性が単調であるという難点はあるが、原作要素が様々に盛り込まれており、登場人物の特徴をつかみ、上手く昇華させた好例と言える。~ 当時のハドソンは他にも『[[ドラえもん>ドラえもん (FC)]]』や『[[ミッキーマウス>ミッキーマウス 不思議の国の大冒険]]』など版権キャラクターのアクションゲームを幾つか出していたが、評価の高いものが多く、本作も例外ではない。ゲーム作りの巧さを感じさせる一品と言えよう。 ---- **余談 -本作の売り上げはキャラゲーとしては異例の''150万本''であり、FとAを合わせた藤子作品原作ゲームの中では最も販売部数を伸ばしたゲームである。 --キャラゲーとしての売り上げは史上第3位。1位、2位は『[[遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記 遊戯デッキ/城之内デッキ/海馬デッキ]]』と『[[遊☆戯☆王デュエルモンスターズ]]』で『遊☆戯☆王』のワンツートップである。 -当初はケムマキを敵として登場させるつもりだったが、原作者の藤子氏の「二人は敵じゃなくてライバルだよ」と説明を受けてお助けキャラクターになった。 --高橋名人によるとその時用意していた企画書は「ハットリ対ケムマキ」だったが、その企画書は結局出せずじまいだったという。 -本作のメインBGMはビゼー「アルルの女」とオッフェンバック「天国と地獄」の中に、『ハットリくん』アニメ主題歌のメロディを部分的に引用した独特な構成である。 --これには著作権の関係のためハットリくんの主題歌は2小節しか使えず、他の部分に繋ぎとしてクラシック曲を用いたためである。 -獅子丸が使う忍法の中に、鉄アレイのような姿になる忍法「鉄アタマ」というのがある。鉄アレイはここから連想したのかもしれない。 --だが、後に本作のプログラマである奥野仁氏はブログで「最初はちくわのみをばらまくゲームを作ったら何か全く面白くなくて、自分で鉄アレイっぽく見えるものを描いたら、それがそのまま採用された」旨を記している。((かつては中本伸一氏が「開発時は鉄アレイという考えすらなく実際「ちくわのみをばら撒く」という内容で一旦開発が完了したが、その際にメモリ管理のミスで容量が余っていたので思いつきで入れた」とされていたが、奥野氏は「このゲームに中本さんは直接関与してないので明らかにあの発言自体が思い付きである」とも述べている))~ ソース→https://ameblo.jp/yamamochi-dhmo/entry-11981113542.html -後に『ボボボーボ・ボーボボ マジで!!?真拳勝負』『[[ボボボーボ・ボーボボ 9極戦士ギャグ融合]]』にて、ハドソン自らボーナスステージを再現している。(元々、原作にチクワと鉄アレイを投げるゲーム版ハットリくんのボーナスステージネタがあった) ----

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