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*相棒DS 【あいぼうでぃーえす】 |ジャンル|ドラマ(アドベンチャー)|&amazon(B001TK328W)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|テクモ|~| |開発元|ビーワークス|~| |発売日|2009年3月5日|~| |価格|4,980円|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|キャラゲーとしては良作&brボリューム不足が悔やまれる|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 警視庁の窓際部署、特命係に配属されている変人だが頭が切れる杉下右京と、その相棒が難事件に挑む大人気刑事ドラマ『相棒』のゲーム版。~ 発売元は『西村京太郎サスペンスシリーズ』などのゲーム版を手掛けているテクモ。~ 発売前は発売元からの期待と裏腹に実写などを使っていたので、ハードの性能の問題を指摘する声や、キャラ崩壊の可能性を危惧する声もあった。~ なお、本作の主人公の相棒はお人好しで熱血漢で%%ちょっとおバカ%%の初代相棒「亀山薫」(寺脇康文氏)である。 ---- **特徴 最大の特徴は全編を通して実写で作られていること。 オリジナルストーリーが楽しめるドラマモード、原作のストーリーが再現されたノベルモード、その他の要素が詰まったおまけモードの3モードが用意されている。 ***ドラマモード -本作専用に書き下ろされたオリジナルストーリーが3つ収録されている。このゲーム専用の俳優を使っての実写による遺体が表示されるなど力が入っている。 -題名は「残照」「殺意の琴線」「遺志」の3話。実際には操作方法やゲームの展開を説明するプロローグ「ある日の特命係」という話も入っているので実質的には4話になる。 -以下簡単なあらすじ。公式サイトにもあらすじと、登場人物の人間関係図が載っているので、そちらも目に通すといいだろう。 --「ある日の特命係」 ---特命係でヒマを持て余す亀山だったが、角田から借りたビデオテープが無くなっていることに気付く。右京と亀山はこのささやかな事件の調査に乗り出すのだった。 --「残照」 ---芸術家の三沢玲一が自宅のアトリエで変死した。彼のアトリエは内側から施錠されていて密室状態だった。~ 所轄は玲一の死を事故死と見立てるが、現場の不自然さが気になった右京は、亀山と共に独自の捜査を開始する。 --「殺意の琴線」 ---亀山の妻、亀山美和子からの電話で特命係の二人が向かったのは、琴や三味線を演奏する和奏流派「若松流」の大師範、若松佳子の屋敷。~ そこでは佳子の弟子、尾道あい子が殺害される殺人事件が発生していた。右京と亀山は、佳子や他の弟子たちから事情を聞き、事件を調べていく。 --「遺志」 ---落語の寄席で吉川貞彦という人物に出会う右京と亀山。彼は趣味や仕草などが右京と瓜二つという特徴的な人だった。~ 1か月後、その吉川が車にひき逃げされ死亡したことを知った特命係の二人は吉川の弔問をするため彼の家を訪れる。~ 吉川の死を調べるうちに、事件はただのひき逃げ事故から大きな展開を見せることになる。 -このモードでは主に相棒ボタン、聞き込み、タッチ操作、移動の四つを駆使して捜査を進めていく。 --聞き込みではその場にいる関係者に話を聞き、事件の情報を集める。 --タッチ操作では、事件現場などをタッチして調べ、物的証拠などを探す。DSの2画面を活用して、過去の写真と現場を見比べて変わっている場所を探す、といったことも。 ---また、事件とは関係なさそうな物でも右京の目に引っかかると「右京ビジョン」として記録される。それらは後々、捜査の重要な局面で役立つことになる。 --移動は、文字通り別の場所に移動する。特命係の部屋や鑑識課、事件現場を行き来して事件の謎に迫る。 --相棒ボタンは、右京と亀山が一緒に行動しているときに選択できるボタン。二人の会話を聞くことができる。~ 普段は他愛のない会話をしているが、事件の情報が集まってくると相棒ボタンが点滅しだし、この時に相棒ボタンを押すと2人が集めた情報を整理して仮説を導きだし、ストーリーに展開が起こる。 --聞き込みなどで人と話している時、たまに選択肢が出てくることがある。後述するが、選んだ選択肢によってストーリーが分岐することはない。 ---また、会話の最後に「ひとつだけボタン」が現れることがある。このボタンを押すと、右京が人差し指を立てて「後ひとつだけ」と鋭い質問をする。 --これらの操作で得た情報は捜査記録として保存され、いつでも確認できるようになる。 --話の途中で、タッチパネルを活用したミニゲームがはじまることもある。パズルを解いたり、犯人を見つけたり。 ***ノベルモード -ドラマ相棒を人気エピソードをDSで見れるようにしたのがこのノベルモード。『相棒』シーズン1~5からそれぞれ1話ずつ収録されている。 -収録話はシーズン1-8話「仮面の告白」・シーズン2-18話「ピルイーター」・シーズン3-10話「ありふれた殺人」・シーズン4-19話「ついてない女」・シーズン5-4話「せんみつ」の全5話。 -このモードでも実写が使われ、ドラマのワンシーンが映し出された状態で原作のBGMを聞きながら文章を読み進めていく。文章は『ノベライズ版相棒』から引用されている。 --「仮面の告白」「ピルイーター」はノベライズ版及びドラマを再現している。 --「ありふれた殺人」「ついてない女」は一部原作ドラマ及びノベライズ版から改訂されている。 --「せんみつ」は初ノベライズ(当時)。 ***おまけモード -おまけは2つのミニゲームと用語集。ドラマモードをすべてクリアするとサウンドトラックとスタッフロールが追加される。 --用語集では、専門用語や相棒でよく使われる言葉、主要人物の解説が詳しく書いてある。 ---警察関連の用語を調べられるので勉強になるし、原作を見ていない人はドラマの世界観や人物像を深く知ることができる。 --ミニゲームの1つ目は「組織犯罪対策5課課長角田六郎のザ・特命係のコーヒーサーバーからコーヒーを頂いちゃおう!ゲーム」である。タイトルが長い。 ---角田課長を操作して、だるまさんがころんだの要領でこっそり右京と亀山に見られないようにコーヒーを盗んで飲む。~ 右京は立ち位置的に角田の盗み飲みに気付かないのはおかしいし((見つかった時も突っ込むのは亀山だけで右京は我関せずと言った様子なので、実は気付いているのかもしれない。))、そもそも角田は普段から特命係でコーヒーを飲んでいるので盗み飲む必要もないなどツッコミ所は多いがコミカルで楽しいミニゲーム。 --2つ目の「米沢守の鑑定力検定」は間違い探しなどの単調なものが多い。 ---- **評価点 -このゲーム専用のオープニングムービーがある。 --ゲームにOPがあるのは普通のことだが、このゲームが発売された頃、ドラマの『相棒』はシーズン7の放送が終盤に差し掛かっている時期だった。~ シーズン7では長年右京の相棒を務めてきた亀山薫が引退したシーズンでもありOPには右京や亀山がほとんど映っていなかった。~ そしてシーズン8からは新しい相棒が登場したので、右京と亀山が映る相棒のOPはシーズン6が最後の状態だった。 ---そんな時発売されたこのゲームのOPは、シーズン3から続くお馴染みのBGMに加えてシーズン6までのOPの雰囲気を踏襲したものだったので、亀山時代の相棒を好む人たちから評価されることになった。 -本作書き下ろしのストーリーが3つ収録されている「ドラマモード」の評価は高い。特に「遺志」はこの中でもさらに評価が高い。 --いずれもかなりの良ストーリーで、原作の雰囲気も壊していない。キャラゲーにありがちなキャラ崩壊、矛盾だらけのストーリーということもなく、「泣いた」「感動した」との声も多い。 --テレビドラマ化して放送して欲しいとの声も多い…現在の相棒は変わってしまっているが。 --ドラマで例えるなら「残照」は普通の1時間の話「殺意の琴線」は内容の濃い1時間物か、もしくは2話連続物「遺志」は最終回2時間スペシャルぐらいである。 ---ゲームだから規模の大きな話は無いだろうと高をくくっていると、最後には驚きの展開が待っている。 -ドラマモードのストーリーを途中でセーブし再開するときにあらすじを読むことが出来るのだが、これが意外と面白い。 --トリオ・ザ・捜一((捜査一課の刑事、伊丹憲一・三浦信輔・芹沢慶二の3人をまとめて呼ぶときの俗称。ただし、後のエピソードで三浦は引退しており、現在は女性刑事・出雲麗音が参加している。))が、特命係が捜査していることをネタに雑談している…というシチュエーションでストーリーのあらすじを確認できるのだが、彼らの掛け合いが妙に面白く、ストーリーが進むと彼らの話も変化するので((大抵はアイキャッチが出るとあらすじが更新される。))、無駄にセーブをしてすべてのあらすじを確認するプレイヤーもいたとかいないとか。トリオ・ザ・捜一のノリは『相棒』のスピンオフドラマ、裏相棒に近いとも言われた。 -原作の話が収録されているノベルモードは電車の中などでも気軽に読める。収録されている話も人気作が多く…。 --「仮面の告白」は平成の切り裂きジャック浅倉緑郎や、映画『相棒 劇場版』第1作にも絡んでくる武藤弁護士の初登場回。~ 「ピルイーター」では登場して間もなかった大河内監察官の秘密が明らかになる。~ 「ありふれた殺人」は殺人事件の時効を迎えた被害者遺族の無念さがひしひしと伝わってくる回。~ 「ついてない女」は後々花の里の女将としてレギュラーキャラになる月本幸子のお話。~ 「せんみつ」は、普段あまり目立たない三浦刑事にスポットが当たる回。嘘つきの天才と対峙する右京は見物。~ どれも一定の評価を得ている回であり、ハズレ回の無い良いチョイスになっている。 --キャラクターの心理描写が多いのもノベルモードの特徴である。~ ドラマの映像だけでは分からなかったことが文字情報で補完されているためドラマ版とは違った見方ができる。~ 中でも特徴的なのは「ついてない女」で、この話では月本幸子目線での記述が多く、~ 「右京は○○と思った」ではなく「幸子は○○と思った」といった書き方がされている。 --「せんみつ」はシーズン5の話だが、シーズン5の小説版が発売されたのは相棒DS発売の約6か月後。~ なのでこの話だけ一足早く小説化されたことになる。 -キャラクターや背景には実写を使っているので、雰囲気を壊さず没頭しやすい。キャラクターにはいくつかの動くアニメーションもある。 --またどうしてもサスペンスや刑事ドラマのゲーム化作品は、携帯機だと登場人物がアニメや漫画風のグラフィックになっていることも多いのでこれは評価が高い。 -ドラマモードのオリジナルキャラは、それなりに有名な俳優を使っている。例えばあびる優氏など。葛山信吾氏・河原さぶ氏・橋爪淳氏などドラマの相棒で別人役で登場した俳優も何名かいる。 -BGMはドラマと同じ作曲家、池頼広。彼の音楽がDSバージョンにアレンジされ随所で流れる。 --ドラマでよく流れるBGMはほとんどが収録されている。中でも人気で、PVでも使われていた「終わりの始まり」はドラマモード中は流れないのでどこで流れるのかと思っていると最後の最後、スタッフロールで流れるようになっている。 --ノベルモードでも原作の曲が流れるので、イヤホンを着けると更に雰囲気が良くなる。 ---ただ、DS音源によるアレンジなので、ドラマのサウンドトラックなどと聴き比べると、若干チープな感じは否めない。 --ちなみにおまけモードのサウンドトラックの曲順は、一部抜けがあるがドラマのサウンドトラックCDと完全に同じ並びである。 --OPムービーでお馴染みのシーズン3以降のOPテーマが流れるのは勿論のこと、モード選択画面にシーズン2、シナリオ選択画面にシーズン1のOPテーマが用いられているのも、初期からのファンを唸らせる演出である。 -容量的にフルではないがキャラクターのボイスも入っている。 --話の要所要所でタイミングよくボイスを入れてくれるため盛り上がることうけあい。 --定番のセリフや汎用的なセリフ以外にも、本作でしか登場しない用語や人物を呼ぶセリフにもボイスがあることからドラマのセリフの切り抜きではなく、新録であることが分かる。 -相棒の世界観や警察で使う用語集の解説もあるため親切。 --人物や用語について以外にも、原作で定番の台詞や小ネタにまで解説が用意されている。 --本作から『相棒』に触れるようなユーザーも、これさえ軽く読んでいればプレイに支障は無く、むしろ『相棒』の面白さを知ることが出来る。 -掛け合いや小ネタが多い。 --会うたびに小競り合いになる亀山と伊丹や、角田の名言「ヒマか?」に加え、タツミ開発のマスコットキャラ、タッちゃんにヒロコママといった小ネタは、原作ファンならニヤリと来るかも。 --原作の見所である推理場面も上手く再現されており、雰囲気もよく出ている。 ---- **問題点 -余りにも薄いゲーム性 --基本的に捜査は一本道でゲームオーバーがない、選択肢を間違えても即座に右京や亀山が教えてくれる。 ミニゲームのパズル等もしばらくすると親切にも右京が「僕が解きましょうか?」と尋ねてくる、と、充実のサポート。伊丹刑事の気持ちがわかること請け合い。警部殿、邪魔です…。 ---普段ゲームをやらない層に向けての仕様と思われるが、流石にゲーム性が薄すぎる。 ---ノベルゲームなどでは完全に一本道のゲームもあるので、本作もその系統だと考えられなくもないが、その割には選択肢はかなり多く、ストーリーに専念するにはテンポが良くない。 -ドラマモードは1話1話はそれなりに長い話だが、全部で3話しかないので結果的にボリュームが少ない。 -ノベルモードはドラマのシーンが省略されている部分があり、かつ収録数も少ない。 --ドラマモードより多い5話収録とは言ってもノベル=小説なので、1話(だいたい100ページ前後)がすぐに読み終わってしまう。5話全部読み切ってしまうのも時間の問題。 --ドラマモードと違って、キャラのボイスも一切ないので残念。 --問題点というほどではないが、一部の話はドラマ版から内容が削除されたり改変されたりしている。 ---たとえば「仮面の告白」では右京と米沢が事件の被告人の供述が二転三転したことの理由を推理するシーンが省かれていたり、ドラマではこの話より後に起きる事件がすでに解決している。~ 「ピルイーター」では最後に大河内と話す場所がドラマでは講義室のような場所だったがノベルモードでは日比谷公園になっているため、背景のシーンと文章が不釣り合いになっている。 -原作の重要人物、小野田公顕(岸部一徳)の立ち絵やボイスがない。 --ドラマモードの「遺志」や、ノベルモードの「ありふれた殺人」で小野田自体は登場するのだが、「遺志」では電話ごしの会話だけ、「ありふれた殺人」でも小野田の映ったワンシーンがないなど、主要人物のなかでただ一人、文字だけの出演になっている。 ---ちなみに大河内監察官もドラマモードに登場しないのでボイスはないが、ノベルモードの「ピルイーター」で容姿を確認することはできる。 -おまけのミニゲームも単純で飽きやすい。気分転換にはなるのだが。 --一応このミニゲームも原作ファンには愉快なものにはなっているが、肝心のミニゲーム内容が面白くない。コーヒー飲みは評価できる部分もあるが、米沢守の鑑定力検定は不評。 ---- **総評 ファンなら買って絶対後悔しないものではあり評価も高く、続編を望む声も少なからずある。~ また、原作を見たことがない人でも楽しめる出来となっている。~ ただしアドベンチャーとしてみると明らかに練りこまれておらず、ゲーム性が著しく低いのが悔やまれる。~ 「推理アドベンチャー」というよりも、「DSで手軽に見る『相棒』」と考えたほうがいいようだ。 ---- **余談 -ドラマモードでは話が一段落したときや、あらすじを読み終わったときにアイキャッチが流れるようになっているが、これは演出の一環でデータの読み込み場面ではない。 --読み込みの待ち時間があると勘違いしている人もいるかもしれないが『相棒DS』に読み込み時間は全くと言っていいほどない。 -任天堂公式サイトのソフト紹介ページでは本ソフトのドラマモードを「Limited Season」と表現している。 -評価点で述べたように本作発売時点で相棒の亀山は引退しているわけだが、その後も神戸尊(及川光博氏)・甲斐享(成宮寛貴氏)・冠城亘(反町隆史氏)と相棒が入れ替わっている。 --ただ、劇場版は相棒が入れ替わるたびに新作が公開されるのに対し、ゲームは本作以降発売されていない。 ---なお、2022年10月から始まる新シーズンでは、本作に登場する初代の亀山が約14年ぶりに再び相棒となることが確定している。
*相棒DS 【あいぼうでぃーえす】 |ジャンル|ドラマ(アドベンチャー)|&amazon(B001TK328W)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|テクモ|~| |開発元|ビーワークス|~| |発売日|2009年3月5日|~| |価格|4,980円|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|キャラゲーとしては良作&brボリューム不足が悔やまれる|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 警視庁の窓際部署、特命係に配属されている変人だが頭が切れる杉下右京と、その相棒が難事件に挑む大人気刑事ドラマ『相棒』のゲーム版。~ 発売元は『西村京太郎サスペンスシリーズ』などのゲーム版を手掛けているテクモ。~ 発売前は発売元からの期待と裏腹に実写などを使っていたので、ハードの性能の問題を指摘する声や、キャラ崩壊の可能性を危惧する声もあった。~ なお、本作の主人公の相棒はお人好しで熱血漢で%%ちょっとおバカ%%の初代相棒「亀山薫」(寺脇康文氏)である。 ---- **特徴 最大の特徴は全編を通して実写で作られていること。 オリジナルストーリーが楽しめるドラマモード、原作のストーリーが再現されたノベルモード、その他の要素が詰まったおまけモードの3モードが用意されている。 ***ドラマモード -本作専用に書き下ろされたオリジナルストーリーが3つ収録されている。このゲーム専用の俳優を使っての実写による遺体が表示されるなど力が入っている。 -題名は「残照」「殺意の琴線」「遺志」の3話。実際には操作方法やゲームの展開を説明するプロローグ「ある日の特命係」という話も入っているので実質的には4話になる。 -以下簡単なあらすじ。公式サイトにもあらすじと、登場人物の人間関係図が載っているので、そちらも目に通すといいだろう。 --「ある日の特命係」 ---特命係でヒマを持て余す亀山だったが、角田から借りたビデオテープが無くなっていることに気付く。右京と亀山はこのささやかな事件の調査に乗り出すのだった。 --「残照」 ---芸術家の三沢玲一が自宅のアトリエで変死した。彼のアトリエは内側から施錠されていて密室状態だった。~ 所轄は玲一の死を事故死と見立てるが、現場の不自然さが気になった右京は、亀山と共に独自の捜査を開始する。 --「殺意の琴線」 ---亀山の妻、亀山美和子からの電話で特命係の二人が向かったのは、琴や三味線を演奏する和奏流派「若松流」の大師範、若松佳子の屋敷。~ そこでは佳子の弟子、尾道あい子が殺害される殺人事件が発生していた。右京と亀山は、佳子や他の弟子たちから事情を聞き、事件を調べていく。 --「遺志」 ---落語の寄席で吉川貞彦という人物に出会う右京と亀山。彼は趣味や仕草などが右京と瓜二つという特徴的な人だった。~ 1か月後、その吉川が車にひき逃げされ死亡したことを知った特命係の二人は吉川の弔問をするため彼の家を訪れる。~ 吉川の死を調べるうちに、事件はただのひき逃げ事故から大きな展開を見せることになる。 -このモードでは主に相棒ボタン、聞き込み、タッチ操作、移動の四つを駆使して捜査を進めていく。 --聞き込みではその場にいる関係者に話を聞き、事件の情報を集める。 --タッチ操作では、事件現場などをタッチして調べ、物的証拠などを探す。DSの2画面を活用して、過去の写真と現場を見比べて変わっている場所を探す、といったことも。 ---また、事件とは関係なさそうな物でも右京の目に引っかかると「右京ビジョン」として記録される。それらは後々、捜査の重要な局面で役立つことになる。 --移動は、文字通り別の場所に移動する。特命係の部屋や鑑識課、事件現場を行き来して事件の謎に迫る。 --相棒ボタンは、右京と亀山が一緒に行動しているときに選択できるボタン。二人の会話を聞くことができる。~ 普段は他愛のない会話をしているが、事件の情報が集まってくると相棒ボタンが点滅しだし、この時に相棒ボタンを押すと2人が集めた情報を整理して仮説を導きだし、ストーリーに展開が起こる。 --聞き込みなどで人と話している時、たまに選択肢が出てくることがある。後述するが、選んだ選択肢によってストーリーが分岐することはない。 ---また、会話の最後に「ひとつだけボタン」が現れることがある。このボタンを押すと、右京が人差し指を立てて「後ひとつだけ」と鋭い質問をする。 --これらの操作で得た情報は捜査記録として保存され、いつでも確認できるようになる。 --話の途中で、タッチパネルを活用したミニゲームがはじまることもある。パズルを解いたり、犯人を見つけたり。 ***ノベルモード -ドラマ相棒を人気エピソードをDSで見れるようにしたのがこのノベルモード。『相棒』シーズン1~5からそれぞれ1話ずつ収録されている。 -収録話はシーズン1-8話「仮面の告白」・シーズン2-18話「ピルイーター」・シーズン3-10話「ありふれた殺人」・シーズン4-19話「ついてない女」・シーズン5-4話「せんみつ」の全5話。 -このモードでも実写が使われ、ドラマのワンシーンが映し出された状態で原作のBGMを聞きながら文章を読み進めていく。文章は『ノベライズ版相棒』から引用されている。 --「仮面の告白」「ピルイーター」はノベライズ版及びドラマを再現している。 --「ありふれた殺人」「ついてない女」は一部原作ドラマ及びノベライズ版から改訂されている。 --「せんみつ」は初ノベライズ(当時)。 ***おまけモード -おまけは2つのミニゲームと用語集。ドラマモードをすべてクリアするとサウンドトラックとスタッフロールが追加される。 --用語集では、専門用語や相棒でよく使われる言葉、主要人物の解説が詳しく書いてある。 ---警察関連の用語を調べられるので勉強になるし、原作を見ていない人はドラマの世界観や人物像を深く知ることができる。 --ミニゲームの1つ目は「組織犯罪対策5課課長角田六郎のザ・特命係のコーヒーサーバーからコーヒーを頂いちゃおう!ゲーム」である。タイトルが長い。 ---角田課長を操作して、だるまさんがころんだの要領でこっそり右京と亀山に見られないようにコーヒーを盗んで飲む。~ 右京は立ち位置的に角田の盗み飲みに気付かないのはおかしいし((見つかった時も突っ込むのは亀山だけで右京は我関せずと言った様子なので、実は気付いているのかもしれない。))、そもそも角田は普段から特命係でコーヒーを飲んでいるので盗み飲む必要もないなどツッコミ所は多いがコミカルで楽しいミニゲーム。 --2つ目の「米沢守の鑑定力検定」は間違い探しなどの単調なものが多い。 ---- **評価点 -このゲーム専用のオープニングムービーがある。 --ゲームにOPがあるのは普通のことだが、このゲームが発売された頃、ドラマの『相棒』はシーズン7の放送が終盤に差し掛かっている時期だった。~ シーズン7では長年右京の相棒を務めてきた亀山薫が引退したシーズンでもありOPには右京や亀山がほとんど映っていなかった。~ そしてシーズン8からは新しい相棒が登場したので、右京と亀山が映る相棒のOPはシーズン6が最後の状態だった。 ---そんな時発売されたこのゲームのOPは、シーズン3から続くお馴染みのBGMに加えてシーズン6までのOPの雰囲気を踏襲したものだったので、亀山時代の相棒を好む人たちから評価されることになった。 -本作書き下ろしのストーリーが3つ収録されている「ドラマモード」の評価は高い。特に「遺志」はこの中でもさらに評価が高い。 --いずれもかなりの良ストーリーで、原作の雰囲気も壊していない。キャラゲーにありがちなキャラ崩壊、矛盾だらけのストーリーということもなく、「泣いた」「感動した」との声も多い。 --テレビドラマ化して放送して欲しいとの声も多い…現在の相棒は変わってしまっているが。 --ドラマで例えるなら「残照」は普通の1時間の話「殺意の琴線」は内容の濃い1時間物か、もしくは2話連続物「遺志」は最終回2時間スペシャルぐらいである。 ---ゲームだから規模の大きな話は無いだろうと高をくくっていると、最後には驚きの展開が待っている。 -ドラマモードのストーリーを途中でセーブし再開するときにあらすじを読むことが出来るのだが、これが意外と面白い。 --トリオ・ザ・捜一((捜査一課の刑事、伊丹憲一・三浦信輔・芹沢慶二の3人をまとめて呼ぶときの俗称。ただし、後のエピソードで三浦は引退しており、現在は女性刑事・出雲麗音が参加している。))が、特命係が捜査していることをネタに雑談している…というシチュエーションでストーリーのあらすじを確認できるのだが、彼らの掛け合いが妙に面白く、ストーリーが進むと彼らの話も変化するので((大抵はアイキャッチが出るとあらすじが更新される。))、無駄にセーブをしてすべてのあらすじを確認するプレイヤーもいたとかいないとか。トリオ・ザ・捜一のノリは『相棒』のスピンオフドラマ、裏相棒に近いとも言われた。 -原作の話が収録されているノベルモードは電車の中などでも気軽に読める。収録されている話も人気作が多く…。 --「仮面の告白」は平成の切り裂きジャック浅倉緑郎や、映画『相棒 劇場版』第1作にも絡んでくる武藤弁護士の初登場回。~ 「ピルイーター」では登場して間もなかった大河内監察官の秘密が明らかになる。~ 「ありふれた殺人」は殺人事件の時効を迎えた被害者遺族の無念さがひしひしと伝わってくる回。~ 「ついてない女」は後々花の里の女将としてレギュラーキャラになる月本幸子のお話。~ 「せんみつ」は、普段あまり目立たない三浦刑事にスポットが当たる回。嘘つきの天才と対峙する右京は見物。~ どれも一定の評価を得ている回であり、ハズレ回の無い良いチョイスになっている。 --キャラクターの心理描写が多いのもノベルモードの特徴である。~ ドラマの映像だけでは分からなかったことが文字情報で補完されているためドラマ版とは違った見方ができる。~ 中でも特徴的なのは「ついてない女」で、この話では月本幸子目線での記述が多く、~ 「右京は○○と思った」ではなく「幸子は○○と思った」といった書き方がされている。 --「せんみつ」はシーズン5の話だが、シーズン5の小説版が発売されたのは相棒DS発売の約6か月後。~ なのでこの話だけ一足早く小説化されたことになる。 -キャラクターや背景には実写を使っているので、雰囲気を壊さず没頭しやすい。キャラクターにはいくつかの動くアニメーションもある。 --またどうしてもサスペンスや刑事ドラマのゲーム化作品は、携帯機だと登場人物がアニメや漫画風のグラフィックになっていることも多いのでこれは評価が高い。 -ドラマモードのオリジナルキャラは、それなりに有名な俳優を使っている。例えばあびる優氏など。葛山信吾氏・河原さぶ氏・橋爪淳氏などドラマの相棒で別人役で登場した俳優も何名かいる。 -BGMはドラマと同じ作曲家、池頼広。彼の音楽がDSバージョンにアレンジされ随所で流れる。 --ドラマでよく流れるBGMはほとんどが収録されている。中でも人気で、PVでも使われていた「終わりの始まり」はドラマモード中は流れないのでどこで流れるのかと思っていると最後の最後、スタッフロールで流れるようになっている。 --ノベルモードでも原作の曲が流れるので、イヤホンを着けると更に雰囲気が良くなる。 ---ただ、DS音源によるアレンジなので、ドラマのサウンドトラックなどと聴き比べると、若干チープな感じは否めない。 --ちなみにおまけモードのサウンドトラックの曲順は、一部抜けがあるがドラマのサウンドトラックCDと完全に同じ並びである。 --OPムービーでお馴染みのシーズン3以降のOPテーマが流れるのは勿論のこと、モード選択画面にシーズン2、シナリオ選択画面にシーズン1のOPテーマが用いられているのも、初期からのファンを唸らせる演出である。 -容量的にフルではないがキャラクターのボイスも入っている。 --話の要所要所でタイミングよくボイスを入れてくれるため盛り上がることうけあい。 --定番のセリフや汎用的なセリフ以外にも、本作でしか登場しない用語や人物を呼ぶセリフにもボイスがあることからドラマのセリフの切り抜きではなく、新録であることが分かる。 -相棒の世界観や警察で使う用語集の解説もあるため親切。 --人物や用語について以外にも、原作で定番の台詞や小ネタにまで解説が用意されている。 --本作から『相棒』に触れるようなユーザーも、これさえ軽く読んでいればプレイに支障は無く、むしろ『相棒』の面白さを知ることが出来る。 -掛け合いや小ネタが多い。 --会うたびに小競り合いになる亀山と伊丹や、角田の名言「ヒマか?」に加え、タツミ開発のマスコットキャラ、タッちゃんにヒロコママといった小ネタは、原作ファンならニヤリと来るかも。 --原作の見所である推理場面も上手く再現されており、雰囲気もよく出ている。 ---- **問題点 -余りにも薄いゲーム性 --基本的に捜査は一本道でゲームオーバーがない、選択肢を間違えても即座に右京や亀山が教えてくれる。 ミニゲームのパズル等もしばらくすると親切にも右京が「僕が解きましょうか?」と尋ねてくる、と、充実のサポート。伊丹刑事の気持ちがわかること請け合い。警部殿、邪魔です…。 ---普段ゲームをやらない層に向けての仕様と思われるが、流石にゲーム性が薄すぎる。 ---ノベルゲームなどでは完全に一本道のゲームもあるので、本作もその系統だと考えられなくもないが、その割には選択肢はかなり多く、ストーリーに専念するにはテンポが良くない。 -ドラマモードは1話1話はそれなりに長い話だが、全部で3話しかないので結果的にボリュームが少ない。 -ノベルモードはドラマのシーンが省略されている部分があり、かつ収録数も少ない。 --ドラマモードより多い5話収録とは言ってもノベル=小説なので、1話(だいたい100ページ前後)がすぐに読み終わってしまう。5話全部読み切ってしまうのも時間の問題。 --ドラマモードと違って、キャラのボイスも一切ないので残念。 --問題点というほどではないが、一部の話はドラマ版から内容が削除されたり改変されたりしている。 ---たとえば「仮面の告白」では右京と米沢が事件の被告人の供述が二転三転したことの理由を推理するシーンが省かれていたり、ドラマではこの話より後に起きる事件がすでに解決している。~ 「ピルイーター」では最後に大河内と話す場所がドラマでは講義室のような場所だったがノベルモードでは日比谷公園になっているため、背景のシーンと文章が不釣り合いになっている。 -原作の重要人物、小野田公顕(岸部一徳)の立ち絵やボイスがない。 --ドラマモードの「遺志」や、ノベルモードの「ありふれた殺人」で小野田自体は登場するのだが、「遺志」では電話ごしの会話だけ、「ありふれた殺人」でも小野田の映ったワンシーンがないなど、主要人物のなかでただ一人、文字だけの出演になっている。 ---ちなみに大河内監察官もドラマモードに登場しないのでボイスはないが、ノベルモードの「ピルイーター」で容姿を確認することはできる。 -おまけのミニゲームも単純で飽きやすい。気分転換にはなるのだが。 --一応このミニゲームも原作ファンには愉快なものにはなっているが、肝心のミニゲーム内容が面白くない。コーヒー飲みは評価できる部分もあるが、米沢守の鑑定力検定は不評。 ---- **総評 ファンなら買って絶対後悔しないものではあり評価も高く、続編を望む声も少なからずある。~ また、原作を見たことがない人でも楽しめる出来となっている。~ ただしアドベンチャーとしてみると明らかに練りこまれておらず、ゲーム性が著しく低いのが悔やまれる。~ 「推理アドベンチャー」というよりも、「DSで手軽に見る『相棒』」と考えたほうがいいようだ。 ---- **余談 -ドラマモードでは話が一段落したときや、あらすじを読み終わったときにアイキャッチが流れるようになっているが、これは演出の一環でデータの読み込み場面ではない。 --読み込みの待ち時間があると勘違いしている人もいるかもしれないが『相棒DS』に読み込み時間は全くと言っていいほどない。 -任天堂公式サイトのソフト紹介ページでは本ソフトのドラマモードを「Limited Season」と表現している。 -評価点で述べたように本作発売時点で相棒の亀山は引退しているわけだが、その後も神戸尊(及川光博氏)・甲斐享(成宮寛貴氏)・冠城亘(反町隆史氏)と相棒が入れ替わっている。 --ただ、劇場版は相棒が入れ替わるたびに新作が公開されるのに対し、ゲームは本作以降発売されていない。 ---なお、2022年10月から始まった新シーズンでは、本作に登場する初代の亀山が約14年ぶりに相棒として復帰している。

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