光神話 パルテナの鏡

【ひかりしんわ ぱるてなのかがみ】

ジャンル アクション

対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 任天堂
開発元 任天堂
トーセ
発売日
()は書換開始日
1986年12月19日(1986年12月22日)
定価 2,600円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2007年1月23日/500Wiiポイント
【WiiU】2013年8月14日/500円
備考 GBA『ファミコンミニシリーズ』第三弾
(2004年8月10日発売)
判定 バカゲー
パルテナの鏡シリーズ
光神話 パルテナの鏡 / Of Myths and Monsters / 新・光神話 パルテナの鏡


概要

ファミコンディスクシステム用に発売されたアクションゲーム。ステージによってスクロール方向が変化する要素があり、高い難易度とギリシャ神話をモチーフにしつつ多量のギャグが盛り込まれた珍妙な世界観、時にユーモラスに、時に勇壮かつおおらかなメロディラインを奏でるBGMが特徴となっている。

ストーリー

はるか光のかなたの世界エンジェランドは光の女神パルテナと闇の女神メデューサによって治められていた。
しかし、人間に対して酷い仕打ちを行うメデューサに怒ったパルテナは、
メデューサを醜い怪物の姿に変えた上で冥府界の奥底へと追放する。
逆恨みしたメデューサは冥府界の魔物たちを束ね、3種の神器を奪ってエンジェランドを制圧する。
パルテナも囚われの身となり、エンジェランドは魔物の徘徊する世界と化してしまった。
パルテナは最後の力を振り絞り、冥府界の牢獄に幽閉されていたパルテナ親衛隊隊長である飛べない天使「ピット」を解放し、
弓矢を与えて最後の望みを託す。

こうして、パルテナを救いエンジェランドをメデューサの魔の手から解放するため、
ピットはメデューサ率いる魔物の軍勢に立ち向かうことを決意するのであった。

特徴

  • 主人公「ピット」を操作するジャンプアクション。
    • 十字ボタン左右で移動、下でしゃがみ、上で上を向く。Aボタンでジャンプ、Bボタンで弓矢での攻撃。上を向きながらBを押すと上に攻撃する。弓矢の射程は短め。
    • 砦面でセレクトを押すと武器が弓矢からトンカチに変わる(弓矢に戻したい場合はもう一度セレクト)。トンカチはハープというアイテムを取ってストックしたトンカチを使え、弓矢よりも攻撃力が高い。尚、トンカチは消耗品である。
    • ライフ制。体力が無くなるか穴から画面外に落下するとゲームオーバーとなりエリアの最初から。
  • 全4面。ステージごとに内容が目まぐるしく変わるのが特徴。
    • 1面の「冥府界」と3面の「天空界」は、『アイスクライマー』のような縦スクロール面。足場をジャンプで乗り移りながら進んでいく。画面の端から先に移動すると逆の端に繋がっているという『アイスクライマー』同様の仕掛けがある。
    • 2面の「地上界」は、『スーパーマリオブラザーズ』のように右に進んでいく横スクロール面。
    • 1面から3面は4つのエリアに分かれており、ゲームオーバーになったり中断してもクリアした次のエリアの最初から再スタートできる。
    • 1面から3面の4つ目のエリアは砦であり、『ゼルダの伝説』の迷宮のように固定画面が繋がった迷路となっている。迷路の奥にいるボスを倒せばステージクリアとなる。
      • 砦面で途中石化している「イカロス」というキャラは、トンカチを使うと助けることができる。助けたイカロスはボス戦で援護してくれるが、一度ボスの攻撃を受けるとそこで援護は終わるためいまいち頼れない。
    • 4面の「天空の神殿」は2面と同じ右に進んでいく横スクロール面だが、先の3ステージのボスを倒してそれぞれ手に入れた「三種の神器」によってピットは空を飛べるようになったため、シューティングゲームのようなゲーム内容に変わる。
  • RPGのような成長システムを持っているのが本作の特徴。面の途中にはドアがあり、中に入ることで様々なパワーアップやそれに繋がる行動ができる。
    • 宝の部屋というボーナスステージ。ハートを5個消費してツボを撃つとハートやトンカチが出現し、1個アイテムを取るまでツボを開けていくことが出来るが、ツボの中に1つだけ混じった貧乏神を引くとそれまで開けたツボのアイテムは全て入手できなくなってしまう。
      • ただし、最後に貧乏神のツボを開ければ店で売られているような高価なアイテムが手に入る。
    • 敵を倒すとハート(1、5、10個)が出てくる。ハートはお店でアイテムを買う通貨として利用する。
      • 店には通常のお店とヤミ屋があり、後者は通常のお店より高い代わりに貴重なアイテムが手に入ったり、修行の部屋で手に入ったアイテムがある敵に盗まれた時にここに売ってあったりする。
    • 修行の部屋では敵が大量にピットに襲いかかる。これを乗り切ると弓矢の射程が伸びるなどの強力なアイテムが手に入る。
    • 敵を倒すと加算される得点には経験値としての側面もあり、エリアをクリアした時にトータルスコアが一定以上なら体力がアップし、「神様の部屋」に入った際に手に入った得点*1が一定以上なら攻撃力がアップする矢を貰える。
  • 4面の最後にいるメデューサを倒すとクリアとなりエンディング。
    • エンディング時のステータス(コンティニューを使った回数、最大ライフ・入手した矢)によってピットの姿が変わる。バリエーションはメトロイドと同じく全5種類。

問題点

  • 操作性がやや悪い。
    • ジャンプでの着地時に慣性がかかって横に滑るという癖があり、この慣性は着地時に上を押すことで無くなる。このため、慣れないうちは狭い足場から踏み外して落ちてしまうことが多い。
    • 薄い足場で下を押すと降りられるという操作があるが、その下に足場がないような場所でもこの操作が出来るため、うっかり下を押すと自殺行為となってしまう。
  • 最初の面「冥府界」が一番難しいという極端なゲームバランス。
    • 画面が縦にスクロールしていくとは先に述べた通りだが、足場に乗り移るのに失敗したりして画面外に落下した場合、今まで進んできた所に戻されるのではなく即死してゲームオーバーとなってしまう
      • 最初のステージからピット1人分の幅しか無い足場を乗り移る場面が数多くあり、操作性の悪さもあって多くのプレイヤーが何度も「ヤラレチャッタ」を拝むハメに*2
    • 最初の面なのでピットは初期状態。攻撃は貧弱、体力が少ない割に敵の攻撃も激しめで、やり始めてしばらくは落ちる以外にもライフが尽きて死ぬことも少なくない。
    • 前述の通りスコアに応じて体力が増加していくので、通常の攻略では1-1と1-2での地道かつ単純なスコア稼ぎが求められる。
      • ステージスコアは一度ゲームオーバーになるとリセットされるため、ゲームオーバーを繰り返して体力を増やすという力押しもできない。
      • 加えてデータの保存が行われるタイミングが「ゲームオーバー時」なので、1-1で地道にスコアを稼いでも道中で死んでしまうと苦労は水の泡である。
    • 次の面の「地上界」は横スクロール面。1面に出てくる難敵である死神やそれに匹敵する敵が出てこない上に落下死の心配が少ないため、1面より遥かに楽。
      • また、1-4でハートを稼ぐ(ついでにスコアを稼ぐのにも)のに適したエリアがあるため、ここでハートを稼いでアイテム購入に備えておくと今後が楽になる。
    • 2面以降は1面以上の難所はなく、先の面に進むほど簡単になるというゲームバランスが面白いという声も多く見られる。
  • 最終面をクリアすると勝手にセーブされて初期状態になり、また最初からプレイすることになる。

評価点

  • 上述のようなシステム上の難点はあるが、決して全体の作りそのものが雑というわけではない。
    • ステージ構成や敵キャラの特徴がしっかりと形作られている点は、アクションゲームとして評価に値するだろう。
  • 田中宏和によるディスクシステム音源を使ったBGMは評価が高い。
    • ステージ1で流れる行進曲風のBGMが特に人気が高く、本作を象徴する曲となっている。

おバカ要素

  • ギリシャ神話をモチーフにした世界観にそぐわないバカゲー的要素の数々。
    • ゲームオーバーの際、プレイヤーを小バカにするようなマヌケなBGMと共に画面に表示されるヤラレチャッタの文字。
      本作を象徴するフレーズとして語り草となっている。*3
    • 死神という敵がこちらを発見した時にも間の抜けたBGMが流れる。*4
    • 特定の敵が投げてくる ナスビ に当たると、ピットがナスビ化してしまう。そして呪いを解除するのが病院。中に入ると看護婦が出てくる。(ナスとナースをかけたダジャレ)。更にナスビを投げてくる敵の名前がまんま「ナスビ使い」
      • 呪い自体は攻撃ができなくなるという深刻なバッドステータスなのだが、ナスビに足が生えているように見える外見も相まってギャグにしか見えないのが笑いどころ。
    • お店では2コンのマイクに喋ってアイテムを値切る裏技がある。しかし、場合によっては怒鳴られて逆に高く売りつけられてしまう*5
    • アイテムとして拾えるクレジットカード。ヤミ屋でアイテムをツケで買えるというもの。
    • 体力回復の部屋にあるのは温泉。色が黄色で油のように見えるため、なすび状態で入ったプレイヤーの誰もがなすの天ぷらという言葉を思い浮かべた。*6
    • 各所に大きめのハートを落とす多数の敵が出てくる部屋(敵の巣)があるのだが、そこで出てくる敵はパーティグッズ鼻眼鏡のような見た目のその名も「メガネハナーン」*7
      • 上述の通りEDは5パターンあるが、最低のED(バッドエンド)がなんとメガネハナーンになってしまうという、なんとも滑稽かつ報われないもの。
    • メトロイドに似た敵「コメト」、2種類でコンビを組んで出現する「フィル」と「コリンズ」などのパロディ要素も。
    • しゃがみ歩きの概念があるのだが、その際しゃがみ姿勢のまま一切足を動かさずに移動するという、あまりにも気持ち悪い移動をする。
      • 当然(?)ナスビ状態でも可能。その際足が見えなくなるため、ナスビそのもの。
      • 流石に気味が悪いのか、『スマブラX』に参戦した際にはしゃがみ移動自体しなくなってしまった。

以上のおバカ要素が良い意味でのコメディ的世界観を形成しており、理不尽とも思える難易度の高さも笑って許せると思えるような陽気で明るい雰囲気を醸し出していた。

総評

様々な任天堂作品を寄せ集めた作り、良質なBGMや独特のゲームバランス、各所の笑える演出などが印象的な作品だが、逆に言えば、大きく話題として取り上げられる点がそれらのゲーム性以外の外堀的な部分くらいにしかないというのも事実だろう。
ただのつまらない凡作ではないキラリと光る個性を持っているのだが、攻略に必要な淡々としたスコア稼ぎに加え、癖のあるゲーム性やステージ構成に起因する難易度の高さがゲームそのものに対してマイナス気味な印象を与えてしまったようだ。


その後の展開

  • NES版ではローカライズ以外にも大小様々な変更点がある。海外では人気が高かったようで、ゲームボーイで続編が出ている(Kid Icarus: Of Myths and Monsters)。
    • こちらは現在3DSのバーチャルコンソールでプレイ可能。
  • GBAのファミコンソフト復刻版シリーズ「ファミコンミニシリーズ」第三弾タイトル(2004年8月10日発売)の一作。
  • 主人公ピットが次に登場したのは1990年11月『F1レース』のこと。
    • ただ、その登場はグランプリモードで優勝した時にレースクイーンに混じって祝福してくれるというちちょい役程度の扱い*8
    • そしてこれを最後に実に10年以上も表舞台から姿を消すことになる。
  • 2008年、主人公であるピットは『大乱闘スマッシュブラザーズX』に参戦。本来原作に忠実にキャラクターが作られるはずが、ピットだけはまるで完全に別人状態の美少年キャラ化(通称、整形の奇跡)しての登場となった。
    • 桜井氏曰く、『ゼルダの伝説』のリンクが長い時間をかけてデザインを変えてきたように、数段飛ばしてピットも現代風にリファインしたらどのような姿になるかとデザイナーが苦心した結果である。
  • 2012年、(スマブラXの)ピットを主人公にした新作『新・光神話 パルテナの鏡』が3DSで発売。
    • これに合わせて、3DSにも3Dクラシックスとして本作が移植されている(2012年1月18日発売/600円 開発:アリカ)。オリジナルでは一色だった背景に絵が描きこまれたり、当時の操作性を再現したオリジナルモードと操作性の改善や矢が連射可能になるアレンジモードが加わっており、最終面とエンディングの演出が海外版準拠になっている。
    • 本編に関しては、本作におけるギャグ表現を最大限に発揮したコメディテイスト全開の作風になっている。
  • 長きに亘って人気や知名度はせいぜい『謎の村雨城』とどっこいで(国内では)単発作品だった本作が、長き時を経て再び表舞台へのし上がったのは、あらゆる業界を見渡しても本作以外にはなかなか見られない例であろう*9

余談

  • 本作のCMは見た目60~70歳くらいのおじいさんが夢中になってこのゲームをプレイする内、メデューサの呪いにかかって石化してしまうというユーモラスなもの。

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最終更新:2023年08月31日 23:20

*1 ステージスコアとは別に累計されている得点。

*2 画面外に落下すると死ぬのはアイスクライマーと同じだが、あちらは残機制だった。

*3 スマブラXや新パル等での被撃墜時のやられボイスにもなっていたりする

*4 このBGMが流れている(発見状態)時、画面上部より子死神が最大4匹現れ続ける。

*5 値切れるか否かはピットの攻撃力が大きく影響している。ということは店主を脅しているのだろうか?という想像もできる。

*6 新パルではこの温泉のなすの天ぷらが元ネタかは不明だが、「テンプラ使い」と言うキャラが登場した。因みに状態異常にする際は海老の天ぷら状態にして来る。

*7 田中宏和氏のでかい鼻をモデルにしたジョークキャラ

*8 同じ役目で『マリオシリーズ』のマリオやピーチ、リンク、サムス、ドンキーなども出ている。

*9 デイジー姫やアイスクライマーなど、過去のマイナーキャラクターをリファインして復帰させる傾向は近年の任天堂によく見られるが、いずれもパーティーゲーム等への客演に留まっており、単独でゲームの主役に返り咲いた例は多くはない。桜井氏は『新・光神話』をきっかけとして「パルテナ」と言う作品自体や関連キャラクターを積極的にメディア展開していく意欲を見せている。