夢迷宮きぐるみ大冒険
【どりぃむめいずきぐるみだいぼうけん】
ジャンル
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ロールプレイングゲーム
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売元
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ヘクト
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開発元
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アクシズアートアミューズ
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発売日
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1994年4月15日
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定価
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9,800円(税別)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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テンポが悪い 面倒なシステム 「迷路で遊ぼう」
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概要
『Wizardry』のような、一人称視点のダンジョン探検型のRPG。様々なきぐるみを駆使してファンシーな敵を倒していく。
海外でも「Dream Maze - The Kigurumi Adventure」とそのままの題名で発売されている。
ストーリー
(説明書2-3ページより引用)
毎夜、あなたは不思議な夢をみるようになりました。それはきまって不思議な世界の夢でした。
夢の中で、誰かがあなたに語りかけてきます。「お願い、助けて…。私たちの世界を救ってください。」
あなたに救いを求める夢は、夜ごとに鮮やかになっていきました。しかし、その夜の夢は、いつもの夢とは少し違っていました。
ヌイグルミのカエルが、あなたを出迎えて言いました。「ここは、夢の世界エンデリア。子供たちの夢を司る世界。」
エンデリアは、女王と4人の姫により統治されていたのですが、アクムというものに女王が連れさらわれてしまいました。
そして、女王を助けようとして4人の姫も、アクムの呪いにより何処かに封印されてしまったのです。
このままでは、エンデリアは子供たちに楽しい夢をみせることができなくなってしまいます。
すでに、呪いの影響でヌイグルミの住民たちが、凶暴化しています。
これを止めるには、姫の呼び声に応えられた子供たちの助けが必要なのです。
子供たちの夢をアクムから取り戻すために、あなたの夢の世界の冒険が始まります。
ヌイグルミの住民たちの呪いを解き、キグルミとなったヌイグルミを着て、アクムに立ち向かってください。
そして、4人の姫と女王を救い出すのです。エンデリアと子供たちの夢の運命は、あなたの手にかかっているのです。
特徴
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適当に選ばれた主人公が夢の世界できぐるみを着て「塔」に侵入し、「マメの木」を登って頂上を目指す。
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頂上でボスを倒し、捕らえられている姫を救出していくのが目的。
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オープニングでほんとに適当に選ばれたと説明されるので嘘はついていない…。
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パーティーはみんなきぐるみ。敵からのドロップ品にもきぐるみ、何故かダンジョンに更衣室があるなど何かときぐるみがつきまとう。
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きぐるみの動物の種類によって特徴がわかりやすい。
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きぐるみにはSMLのサイズ制約つき。
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縦3横5マスから任意にマスを選び攻撃する。
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戦闘システムは攻撃場所を指定する以外は王道。「攻撃、防御、特殊、道具、逃げる」が基本。
「特殊」、すなわち特殊能力はHPを消費し使用する。
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複数の仲間がいるときは一斉攻撃で大ダメージを与える事もできる。
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レベルアップの概念は無い。
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攻撃・防御はきぐるみにより変動、運の良さやHP等はアイテムのドーピングによって強化するようになっている。
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よって戦闘報酬も貨幣代わりの「キャンディ」と消費アイテムやきぐるみ。
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きぐるみは、バトルできぐるみを着た敵を最後にやっつけると入手できる。
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きぐるみにより一部ステータス、使用出来る特殊攻撃に違いがある。
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SMLとサイズが設定されており、キャラごとに着られるきぐるみに違いがある。
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複数のきぐるみを合体させて1つのきぐるみにする「テーラー」という場所がある。
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頭、体、腕、足の4パーツに対し、選んだきぐるみから任意に設定、仕立てると選んだ部位の能力を持ったきぐるみが完成する。
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ちなみにスーファミのきぐるみがある。
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どこかにあるスイッチを入れると作動する絨毯のエレベーターや、勝手に向きを変える回転盤、いきなりどこかに飛ばされるワープ装置、1つ下の階に落とされる落とし穴など、仕掛けも満載となっている。仕掛けを使わないと行けない所もある。
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貨幣にあたる「キャンディ」は買い物に使用するだけでなく、回復アイテムとしても使用出来る。
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商店やテーラー、更衣室はすべて塔の中に存在。また行商などがランダムイベントとして存在する。
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また今いる階のマップを売ってくれる「マップ屋」がある。そこでマップを購入しないと、マップが解禁されない。
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道中には宝箱が置いてある事があり、中からアイテムを回収できる。アイテムが回収された宝箱は以後調べると「ビックリばこ」になる。
問題点
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宝箱の存在が足元に来るまでわからない。
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そのためアイテムを全部取ろうとすると、必然と全てのマスを歩かざるをえない。
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地図屋がフロアの奥にいることもあり、次の階に進める豆の木を先に見つけてしまうことがある。
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折角のテーラーシステムを活用出来る場面が少ない。
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そもそも合成などせずとも、一番強いきぐるみだけで済む。
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ダンジョンの中に店だけでなく普通の民家があるためヒントにならない事が多い。
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それどころか何もない部屋、カギがかかっている先のフロアに何もないということもざら。
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戦闘システムが著しくテンポを阻害する。
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全般的にステータスが低い。HP以外では2桁前半はいい方。1桁のこともざらに存在する。それが双方にあり戦闘時間がややかかる。
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縦3横5マスから攻撃するマスを指定するが、毎ターンごとに指定する必要がある。
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カーソルの記憶がされないため、次のターンには中央に戻ることも不便。
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相手により「パンチが効く」「キックが効く」といった差はあるが、攻撃するまでわからない。
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弱点ならセリフが変わるのだが、双方のステータスが低すぎて弱点だろうがなかろうがいまいち実感がない。
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敵は平然と避ける。
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敵が動くタイミングが、こちらが攻撃コマンドを決定した瞬間。選んだマスから敵が動くとミス判定となる。素早さの高い敵ほどよく動くためミスが頻発する。
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味方は素早さが回避率に直結するが、素早さの成長はアイテム頼りなのでほとんど伸びていかない。なのでアイテムで増やすしかなく金稼ぎをしたいが戦闘が困難で…とループに陥る。
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「にげる」の成功率が非常に低い。
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逃げる判定が素早さではなく運に左右される。ただ運のステータスは初期状態が低い上、アイテムで増やすしかなく金稼ぎをしたいが…。
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面倒くさいギミックとそれに対するヒントが過剰。
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エレベーター、ワープ装置、落とし穴など、ウィザードリィに似せたダンジョンゲームとしては作られているのだが、先に進むにはそれらを駆使しても上下階層を行き来させられる面倒臭さがある。
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重大なヒントを忘れないようにと何度も教えてくれるのは優しさだろうが、丁字路のど真ん中に配置され、探索から戻ってきてまた聞かされるのは邪魔。
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また同じヒントが、セリフで指定されている階層に到達するまで何度も聞かされる。
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客層がわからない。可愛らしい雰囲気だがキャラ間の雰囲気が最悪で子供向けでもゲーマー向けでもない。
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そもそも主人公も無理やり巻き込まれたので強くあたりたがるのも無理ないが。
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女性キャラは高飛車ばかりで、主人公を無視したり、厳しい言葉を浴びせたりと、助けてもらったのに主人公に冷たい。
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「いやらしいマップやトラップ」「バッカみたいな音楽」「おかしなキャラ」とゲーム中で自ら言っている。自虐ネタだろうが悉くスベっているのは言うまでもない。
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スタッフロール(参考)時のBGMのループが短い。20~30秒くらい?
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スタッフロールの言葉が変。ビンゴォ!
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他にも「へんなキャラクタをかんがえたりかいた、ひと」や「おかしなストーリーを考えたひとたち」等。・・・自虐ネタか?
賛否両論点
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BGMが狂っている
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夢の世界だからなんでもありと言いたいのだろう「バッカみたいな音楽」だが、お祭り調の音楽、音楽的センスがちょっとでもあると気持ち悪く感じるピッチシフトをする曲など、やや精神的に苦しくなる場面がある。
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中にはきぐるみを着た敵を最後に倒すと、アナウンスのSEが入った後、阿波おどりをもしたような音楽が流れるというものすらも。一体何故。
評価点
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「きぐるみ」を用いてカスタマイズするシステムは目新しく斬新。
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パーティのきぐるみの全身像グラフィックも用意されている。それは可愛らしいものなので見ていて楽しい。
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貨幣が回復アイテムとして使用出来る。レベルシステムもないので、稼ぎのための稼ぎを行う必要はない。
総評
夢の世界できぐるみを使って人助けを行うというやや珍しい題材のRPG。
ただ蓋を開けてみれば、狂気すら感じる音楽、双方が中途半端に弱く盛り上がらない戦闘、主人公に冷たいし助け甲斐のないストーリー展開、目新しい「きぐるみ」システムも強いきぐるみ一本でいいじゃないかと片手落ち状態で一言で言えば「意味不明な」作品となってしまった。
余談
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テーラーで合成されたきぐるみは、前述通り能力や見た目に影響するが、名前まで合成されるので言葉として成立しない変な名前にもなる。
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出回っている数が少なく、ネット上でも関連情報は現在のところごく小数。
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海外版のプレイ動画があるので参照して頂きたい。この方はかなり楽しそうにプレイしている。
最終更新:2023年06月22日 07:04