Age of Wonders III

【えいじ おぶ わんだーず すりー】

ジャンル ターン制4Xストラテジー
対応機種 Windows XP, Vista, 7, 8, 8.1
Mac OSX 10.9.3 ~ 10.13
SteamOS
Ubuntu 14.10~
発売元 Paradox Interactive*1
開発元 Triumph Studios
発売日 2014年4月1日(Windows)
2015年4月14日(Mac)
定価 2,980円
プレイ人数 1~8人
判定 良作
ポイント 公式日本語非対応だが有志による日本語化modあり

概要

  • オランダのTriumph Studiosが制作してきた『Age of Wondersシリーズ』の作品となる。
    • Triumph Studiosは『Age of Wonders』(1999年)、『Age of Wonders II: The Wizard's Throne』(2002年)、『Age of Wonders: Shadow Magic』(2003年)というSRPGを発売してきた。
    • Triumph Studiosは『Age of Wonders』発売時に、同作は『Master of Magic』(1994年)の精神的後継作であるとしていたものの、『MoM』のファンから「再現できていない」との批判を受けることとなった。特に4X部分は全く再現できていなかったのだが、本作は11年ぶりに再び『MoM』という高い壁に挑んだことになる。

システム

  • 本作はSRPG様の「シナリオモード(キャンペーンを含む)」と、4X様の「ランダムマップ」の1本で2倍楽しめる構成となっている。

共通部分

地形
  • マップはヘックスのタイルで区切られている。
  • 地上と地下がある。
    • さらに地下2Fも作成可能。地下がないマップも作成可能。
    • 地下がある場合、地上に地下への入り口が生成され、キャラクターがそのマスの上に載ると「中に入る」というボタンが出現。クリックすると地下マップに移動する。放置すれば地上のままとなる。
      行き先を指定してキャラを移動させる場合、地下経由のほうが移動コストが低い場合には自動で判断して地下を通ることがある。
    • 地下を掘って拡大するスキルを付けられるヒーローがいる。
  • 陸、海、川(湖)と大別できる。
    • 地下には溶岩の海もある。
    • 海、湖は研究(後述)の「新人船乗り」を研究し終わると、『Civilization V』のように各部隊が船に変形して水上を移動できることになる。ただし、岩礁だけは立ち入れない。なお、飛行ユニットだけの部隊は当初から陸と変わりなく海も岩礁も移動可能。
    • 川を渡るには「ビルダー」ユニットにより橋を架ける必要がある。ただし、川幅が1タイルの幅の部分にしか架けることが出来ない他、対岸が山岳などでも架けられないなど制約が多い。飛行ユニットは川を陸と変わりなく移動可能。
  • 陸地は、極地、熱帯、温暖、火山、荒廃の気候(?)と、森林、山岳、肥沃な平野、荒野などの組み合わせとなっている。例えば、「火山の森林」、「極地の肥沃な平野」などとなる。
    • 本作ではタイル自体には全く出力がない。「温帯の肥沃な平野」であろうが、「火山の山岳」であろうが、それ自体では食料も工業力も貨幣収入も何もない。なお、本作にはそもそも食料のパラメーターはない。
    • 「テラフォーマー」という魔法で自国の都市の範囲内のタイルの地形を変えることが出来る。気候は変えられない。
    • 特殊化(Specialization)の魔法の中には都市の範囲内のタイルの気候を特定のものに変えるものもある。
  • 建物
    • 地形の上に建物があり、それらの建物を都市の範囲内に入れることで、貨幣収入や生産力、マナの採取が初めて可能になる。
    • 建物はゲーム開始後は増えることはない。プレーヤーが建てることは出来ない。
種族
バニラでは6種類の種族がいる。
+ 種族概説
オーク
各ユニット HP +5, 近接攻撃力 +1, 射撃攻撃力 -1, 戦闘終了後にHP が10回復。
ゴブリン
各ユニット HP -5, ユニット製造コスト -10%, 毒耐性 +40%。 種族固有ユニットの約半数に近接攻撃に毒攻撃が付与されている。
人口増加 +20%。さらに前哨地と村は +5の人口増加を得る。
ドラコニアン
竜神族。各ユニット 火炎耐性 +20%, 氷雪耐性 -20%, 高速回復。
種族固有ユニットの約半数に近接攻撃に火炎攻撃が付与されている。
得意な地形:荒野, 溶岩 苦手:極地
ドワーフ
各ユニット 防御 +1, 耐性 +1, 毒耐性 +20%。ユニット製造コスト +10%。
ドワーフのユニット(含むヒーロー)は山岳地形を通常地形と同様の移動コストで移動可能。
得意な地形:山岳, 山脈, 洞窟の壁, 岩盤の壁
ハイエルフ
各ユニット 耐性 +1, 射撃攻撃力 +1, 射撃攻撃に ショックボルト+1, 毒耐性 -20%。
ハイエルフユニットは森林のタイルの移動コストが通常タイルと同じとなる。
都市の人口増加 -10%, 研究力 +3。
ヒューマン
都市の生産力 +10。地下が苦手。
ハーフリング
DLC「Golden Realms Expansion」にて追加。
各ユニット 近接攻撃力 -1, 射撃攻撃力 +1, 物理防御 -20%, 通常で15%の確率(最大22.5%)で完全回避が起こる。
ハーフリングユニットは森林のタイルの移動コストが通常タイルと同じとなる。
ティグラン
DLC「Eternal Lords Expansion」にて追加。猫人族。
各ユニット 耐性 -1, 精神耐性 +40%, 氷雪耐性 -20%。
都市の貨幣収入 +5。
フロストリング
DLC「Eternal Lords Expansion」にて追加。
各ユニット 氷雪耐性 +60%, 火炎耐性 -40%, 物理攻撃の攻撃力 -4 氷雪攻撃 +5。
得意な地形: 肥沃な平原 苦手な地形: 地下, 荒廃 嫌いな地形: 火山, 熱帯
クラス
バニラでは6種類のクラスがある。
クラス毎に生産、召喚できる固有ユニットが全く異なる。研究によって習得できる魔法も異なってくる。
+ クラス特徴

※ 以下の説明文は日本語化mod適用済みで表示されるゲーム内の説明文のママ。

アークドルイド
  • 強力な召喚ユニット
  • 強力な射撃ユニット
  • モンスター、動物ユニットへのボーナス
  • 都市生産ユニットの弱さ
ウォーロード
  • 非常に強力な従来の軍勢
  • 騎兵、歩兵、槍兵のボーナス
  • ゴールド収入の強化と安価なユニット
  • 魔法の弱さ
ソーサラー
  • 強力な召喚ユニット
  • 支援ユニットの強化
  • ショックボルトダメージの強化
  • 都市で生産される軍勢の弱さ
テオクラット
  • 支援ユニットの強化
  • 神聖ダメージの強化
  • 多彩な回復手段
ドレッドノート
  • 機械ユニットは頑丈で強力ですが、遅い上に修復が困難です。
  • 膨大なゴールド収入と生産力を経済基盤としています。
  • 魔法が弱点です。
ローグ
  • 隠密性と素早いユニット
  • 毒ダメージの強化
  • 敵国経済への強力な攻撃魔法
  • 非正規ユニットへのボーナス
ネクロマンサー
DLC「Eternal Lords Expansion」にて追加。
  • 強力な召喚ユニット
  • ユニットや都市のアンデッドへの変化。
  • アンデッドユニットや都市は、士気や幸福度のペナルティを受けない。
  • アンデッドユニットは精神属性の攻撃に弱い。
ヒーロー
種族 × クラス × 性別の掛けあわせで、バニラで80名弱の固有のヒーローがいる。いずれも固有名、専用顔CG付きである。
ヒーローユニットのみ、装備の変更が可能である。レア装備を付けて暴れまわれる。
ヒーローユニットがレベルアップするとスキルポイントが得られ、そのユニットのクラスに応じたたスキルを習得可能である。
帝国
帝国の性格は、指導者(であるヒーロー)のクラスによって大きく異なってくる。
なお、指導者は戦闘で死んでも首都が無事であればキャラロストしない。
アライメント
プレーヤーの行いを善悪で評価したパラメーター。
アライメントが低いと中立勢力と和平を結びにくくなる。
幸福度
ややこしいことに幸福度は独立して3種類ある。
  • 帝国の幸福度
    • 敵勢力と和平を結ぶ、クエストなどで中立勢力を併合するなどすると上がり、自国の都市を失うと下がる。
  • 種族との幸福度
    • 全種族および、全レア種族についてバラバラに管理されており、中立勢力の都市と同盟を結んだときに、その中立勢力の種族と同じ種族の幸福度が上がり、攻め滅ぼすと下がる。
  • 都市の幸福度
    • その都市に住む種族とその都市の範囲内の地形との相性に左右される。
    • 都市の幸福度を上げる建造物もある。
    • ソーサラーの最強攻撃魔法を都市の範囲内で詠唱すると、都市の幸福度が一時的に下がる。
都市
  • セトラー(開拓団)ユニットによって都市を建設する。
    • 最初は「前哨地」となり、中心から2ヘックスまでの距離の計19タイルが前哨地の範囲となる。人口が増えることで、「村」「街」「都市」「大都市」と名称が変わり、都市の範囲が1ヘックスずつ増加する。
    • 地下にも都市を建設可能。地下大好きドワーフや、地下嫌いなヒューマン、エルフなどの種族によって好みが分かれるので注意が必要。
      なお、特殊化(Specialization)の魔法の中には、その都市の住民を地下好きにするという魔法がある。
    • 都市の建造物に副次的に都市の範囲を拡大するものがある。
    • 都市はただあるだけで基本の人口増加(前哨地で毎ターン +100)、貨幣収入(前哨地で +2)、生産力(前哨地で +20)がある。都市の規模がレベルアップすると、それら基本出力も増える。
    • 都市の範囲内に建物が含まれていれば、その都市は追加の貨幣収入や生産力、マナの採取、研究力、人口増加や幸福度などを建物から得る事が出来る。
  • 人口は都市のレベルに応じて毎ターン勝手に増加する。
    • 各種族は地形に好き嫌いがあり、好きな地形が含まれていると都市の幸福度が増加し、人口も増加しやすくなる。逆に苦手な地形があると幸福度が下がる。
      なお、特殊化(Specialization)の魔法の中には、その都市の住民を特定の気候が好きになるように変える魔法がある。
    • 人口を増やす効果のある建物もある。
    • 人口を増やす効果のある都市の建造物(倉庫)もある。
  • 都市に建造物を作ることで都市に機能を付与できる
    • 都市の建造物は『Civilizationシリーズ』のように研究によって解禁されるものではなく、建造物自体がツリー形式になっているだけである。例えばマナを生産する建造物は、祭殿寺院聖堂という順に建てていかなければならない。
    • 維持費が掛かる都市の建造物はない。
    • 建造物を建てることで生産が可能となるものがある。
      例えば…
       兵舎…歩兵、弓兵が生産可能となる。
       寺院…支援ユニットが生産可能となる。
       建築ギルド…セトラー、ビルダーが生産可能となる。
       港湾…艦船が生産可能となる。都市の中心タイルが水域タイルに接していないと建設不可。
  • 中立勢力の都市が存在する場合がある。
    • その中立勢力の種族と険悪でなければ、その中立勢力の出すクエストを完遂することで、和平や同盟を組めたり、最終的に併合できたりする。
    • 併合した場合にその都市にて作るユニットはその都市の種族のものとなる。
      種族によっては毒耐性や、射撃能力が高いなどのメリットが有る物があるため、特定のユニットはその種族で生産するという戦略もある。
      その都市でセトラーを作ると、その種族の都市を他所にも作ることが出来る。これにより、指導者の種族では苦手とする地形にも都市を建てることが出来る。
      なお、都市画面で「〇〇を移住させる」ことにより、都市に住む種族を変更できるが、やっていることは民族浄化なので、元々居た種族に対する幸福度が大幅に下る。
  • レア種族の居住地が存在する場合がある
    • レア種族にはバニラでは、巨人、ドラゴン、フェイ、アルコンがいる。
    • 巨人、ドラゴンのユニットの攻撃力は凄まじいものがあり、またフェイの一部ユニットはワープ能力があり城壁の内外に移動可能であるため、敵に回すと厄介である。
    • 中立勢力の都市と同様にクエストにより、和平、属国化、併合が出来る。
      ただし、そのクエストの内容が、別のレア種族の居住地を滅ぼすことだったりする場合もある。
    • レア種族の居住地には人口のパラメーターはなく、都市のように規模がレベルアップすることはない。
    • レア種族は都市の建造物「建築ギルド」を作れないため、セトラーを作れない。このため、レア種族の居住地は増やせない。
独立勢力
以下の2種類がいる
  • 建物を占拠している独立勢力
    • 建物は独立勢力に占拠された状態でゲームが始まるため、これらを排除しないとその建物を都市の範囲内に入れても資源が得られない。
    • 建物を占拠している独立勢力は自分からは移動しない。戦闘を仕掛けても来ない。
    • 建物を占拠している独立勢力に戦闘を仕掛けた場合、戦闘前に降伏を申し出る場合がある。「逃す」を選ぶと戦闘は起こらずに建物を占拠している独立勢力はどこかに消える。「容赦しない」を選ぶと戦闘となる。
  • 放浪ユニット
    • マップ上に「盗賊の巣窟」「モンスターの巣」などのジェネレーターがあって、そこから定期的に独立勢力の放浪ユニットが発生する。
    • 自分より格下だと判断すると戦闘を仕掛けてくる。
    • 基本的に、放浪ユニットは独立勢力下ではない監視塔を優先して狙う。おそらく、放浪ユニットはマップ全体の地形は見えている模様。放浪部隊なので、建物を占拠したままにはならない。
魔法
  • 研究
    • 帝国にて魔法の研究を行う。天文台などの研究力を提供する都市の建造物を建てるか、研究力のある建物を都市の範囲内に入れることで研究力が得られる。
  • 種類
    • 魔法の研究ツリーは、各クラス共通のものと、クラス固有のもの、そして特殊化(Specialization)のツリーがある。
    • 戦闘時のみ戦闘ユニットが使える戦闘魔法と、戦略ターンのみで使用できる戦略魔法がある。
      HP回復の戦闘魔法は戦闘時以外の戦略ターン中は使用できない。
      1つの魔法の研究ツリーの中に戦闘魔法と戦略魔法が入り乱れており、戦闘魔法だけのツリー、戦略魔法だけのツリーとはなっていない。
  • 詠唱ポイント
    • 1ターン内で消費可能なマナの量。
      例えば詠唱ポイントが30の時にマナ消費量が80の魔法を唱えると、3ターン掛かることになる。
      逆に、詠唱ポイントが30の時にマナ消費量が10の魔法は最大で3回唱えられる。
戦闘
  • 部隊
    • 1部隊は最大6ユニットとなっている。
    • 同じタイル上に2部隊存在することは出来ない。
  • 戦闘
    • 部隊が移動中に隣接する敵部隊に戦闘を仕掛けるか仕掛けられると戦闘に突入する。
    • 戦闘に突入した際に仕掛けられた部隊がいるタイルの周辺6タイルに部隊がいると、応援として自動で加わることとなる。
      ただし、戦闘を仕掛けた勢力でも、仕掛けられた勢力でもない第三者の勢力のユニットはこの限りではない。
    • 戦闘が始まると部隊のスタックは解かれ、1タイルに1ユニットしか存在できなくなる。
    • 戦闘の舞台は、戦闘が行われるタイルの地形毎に専用の戦闘ステージがあり、そこで行われる。建物のあるタイルであれば、その建物の専用ステージが用意されている。
    • 戦闘開始画面では「手動」「自動」が選べる。
    • 戦闘中は敵味方交互にターンが回ってくるので、自勢力のユニットであればどのユニットを先に行動させるかはプレイヤー次第となる。

ランダムマップ特有

  • マップ生成
    以下のオプションが有る(以下の説明文は日本語化mod適用済みで表示されるゲーム内の説明文のママ)
    • ランダム…ランダムに設定されています。
    • 通常…全ての設定が平均的になっています。
    • 戦闘…他プレイヤーや中立都市に対する侵略戦争を速やかに始められる設定です。
    • 建国…資源が多く中立都市がないので、新しい都市を設置するのに適した空白地が広がっています。大帝国を築き上げるのに向いた設定です。
    • 冒険…このオプションでは、既にマップ上にある中立都市を何らかの手段で自国領とすることでゲームが進行します。
+ マップ設定詳細
設定項目 ランダム 通常 戦闘 建国 冒険
開始時の都市 ランダム 大都市 セトラー なし
開始時のユニット ランダム 普通 戦闘 普通 強い
開始時の各勢力同士の距離 ランダム 平均的 近い 遠い ランダム
道路の数 ランダム 平均的 多い なし 平均的
放浪ユニットの数 ランダム 平均的 平均的 平均的 平均的
財宝 ランダム 平均的 平均的 平均的 多い
中立勢力の都市 ランダム 平均的 多い なし 少ない
レア種族の居住地 ランダム 平均的 平均的 少ない 多い
資源を産出する建物 ランダム 平均的 少ない 多い 少ない
訪問ボーナスのある建物 ランダム 平均的 平均的 平均的 平均的
財宝の眠る建物 ランダム 平均的 少ない 平均的 多い

設定項目は個別に設定可能で、個別で設定した内容が優先して適用される。ので、「建国」を選んでも中立勢力の都市を発生させることが出来る。

  • 勝利条件の設定
チーム制
最初からシステムによって固定された複数の同盟のチームが組まれており、別チームの勢力とは最初から戦争状態で停戦不可となる。
チームの勝利
こちらは最初から強制的にチームが組まれているわけではなく、最終的に1つの同盟が同盟を結んでいない勢力を殲滅すると勝利となる。
  • 指導者の選択
    • ランダムマップでは、既存のヒーローだけでなく、カスタムしたヒーローを指導者に選ぶことが出来る。
  • 高度な設定
    • 指導者以外のヒーローも、死んでも首都が無事であればキャラロストしないという設定項目がある。
    • マップがゲーム開始時に全て探索済みの状態で始まるという設定項目がある。
    • 都市の建設が全くできなくなる(いわゆる One City Challenge)という設定項目がある。

評価点

  • 世界観とそれを強化するシステム
    • 4Xのゲームには珍しく、善悪のパラメーターであるアライメントがあり、それによって研究できる魔法が異なってくる。このことでプレーヤの行動が縛られる。
      • ランダムマップにてチーム制を選ばなければ、AIはアライメントが近い同士で同盟を組みたがる。
    • 他種族への配慮を強要する、種族への幸福度
      • おそらく4Xにおいては初めて、各都市の住民の種別に気を配るという要素が付いた作品ではないだろうか。
      • レア種族の歩兵を使いたい、他種族の射撃ユニットを使いたい、などの戦略が、その種族の都市を得れば叶えられる斬新なシステム。
        しかし他種族の中立勢力の都市を併合するには、その種族への幸福度が高くなければならない。
        しかも、種族への幸福度が下がると、その種族のユニットの士気が下がる。
      • 後発の『Stellaris』ほど複雑ではないものの、ゲーム中盤までは新しい都市をどの種族で作るかということにも頭を悩ませる。終盤になると地形や気候を変える魔法などがあるため、逆に大味になるが。
    • クラスによる性格付け
      • 前述の通り、他種族のユニットは他種族の都市を併合することで生産が可能となるが、他クラスのユニットを生産することはどうあがいても出来ない。
      • 研究により得られる各クラス別の魔法のツリーは全く異なっており、4Xゲームでここまで大きく異なっている研究ツリーは類を見ない。
      • なお、種族とクラスの組み合わせで最悪な組み合わせもいくつかあることはある。
        キャンペーン(シナリオ)でそういう組み合わせを強要して難易度を上げているんじゃないかという疑惑がある。
  • modが適用可能である
    • シナリオモードが有るため、ユーザー作成のシナリオを読み込んでプレイ可能。
      • 2019年末時点で100本程度のユーザーシナリオがSteam Workshopにて確認できる。次作の『Planetfall』が出たため、これ以上は増えないであろうが。
    • システムを大規模に改変する大型modもいくつか公開されている。
    • なお、日本語化modはシステムファイルを上書きする形式であるため、Steam Workshopでは公開されておらず、適用は自己責任となる。
    • 日本語化mod https://steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/?id=2320413204

賛否両論点

  • ランダムマップでも、結局戦闘が上手ければ勝ててしまう。
    • せっかくの都市発展機能がついたのだが、拠点を増やすことで生産を増やすことはたしかに重要だが、AIと戦闘を繰り返すことで経験を積んだエースユニットでそういった劣勢を跳ね返せてしまう。
      このことから4Xのゲームとして期待した層からは「ゲームデザインとしていかがなものか?」との声がある。
    • 一方で、自分が育てたキャラが劣勢を跳ね返す様は「俺つえー」派からすると堪らない快感がある。

問題点

  • UIがやや不便
    • 都市画面
      • 生産のキューに入れた生産物のキャンセルは出来るが、並べ替えには対応しておらず、並び替えたいものを一旦キャンセルして再度、キューに入れてゆく必要がある。
      • 細かいことだが、ボタンの配置が悪い。
        都市画面の生産キューに生産したいものを入れる「生産する」ボタンが下にありすぎてポインタの移動距離が遠いのと、そこまでポインタを移動すると、マップがスクロールする領域に近づいて、意図せずマップの表示位置が変わったりする。
        都市画面を閉じるボタンも、部隊画面を閉じるボタンと同じ位置とはいえ、使いやすい位置とは言えない。
    • 研究画面
      • どの魔法がどのツリーのものなのかの表示はなく、分かりにくい。
  • 都市スパムが可能
    • 都市の数による幸福度の低下が無い。
    • 都市はただあるだけで基本的な貨幣収入が得られる。
      • 都市の建造物に維持費がかからないのも大きい。
  • もちろん、それらの都市を防衛するための軍隊の維持コストが必要な場面もあるので、都市スパムが最良の手段とは限らないが。

総評

本作はSRPG様の「シナリオモード(キャンペーンを含む)」と、4X様の「ランダムマップ」の1本で2倍楽しめる構成となっている。
クセの強いシステムとなっており、他の4Xゲーム経験者でも戸惑う場面があるだろう。他の4Xに比べて制約が緩い部分はとことん緩く、しかし、他の4Xでは存在しない制約がプレーヤの行動を縛る。
なお、「ランダムマップ」も戦闘が上手ければなんとかなるという非常にSRPG寄りのゲームバランスとなっている。

発売後の出来事

  • 2014年9月にDLC「Golden Realms Expansion」が発売されている。
    • 種族「ハーフリング」追加
    • 帝国クエスト追加
      • 同時期発売の『Endless Legend』には当初から帝国クエストがあり、しかもそれが真エンドであった。完全に『Endless Legend』の後追いで、そこにぶつけてきた感がある。
  • 2015年4月にDLC「Eternal Lords Expansion」が発売されている。
    DLC「Golden Realms Expansion」適用済みでなければ本DLCは適用できない。
    • クラス「ネクロマンサー」、種族「ティグラン」「フロストリング」追加
    • 敵AIの改良
      • 『Stellaris』『War for the Overworld』などでは敵AIの改良は本体への無償アップグレードで行われており、それをDLCで有償で提供という姿勢に疑問を感じる。
  • 開発・発売元のTriumph Studiosは2017年にParadox Interactiveに買収され子会社化されている。
    • これに伴い、発売元がTriumph StudiosからParadox Interactiveに変わっている。
    • Triumph Studiosのサイトに在った本作および他作品のユーザーフォーラムもParadox Interactiveのサイトへ移転している。
  • 2019年に『Age of Wonders: Planetfall』が発売されている。
    • 本作と異なりファンタジーさが払拭されてSF色が強くなっている。
    • 本作において都市の発展要素がいまいちで、戦闘が上手ければなんとかなるというゲームバランスだったことから、「都市の発展要素が本当に必要だったのか?」という声が多かったため、『Planetfall』では文明の発展とともにユニットを格段に強化できるバランスとなり、劣勢を跳ね返し難くなっている。
    • 多分意図的に、本作が各所レビューにて僅差で破れた『Endless Legend』に近い内容となっている。
+ タグ編集
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  • ストラテジー

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最終更新:2023年09月19日 23:14

*1 発売当初はTriumph Studiosだったが、Triumph Studiosが2017年にParadox Interactiveに買収され子会社となったため変更。