俺がヤマタノオロチなら

【おれがやまたのおろちなら】

ジャンル 俺がヤマタノオロチになっちゃったら困っちゃうラブラブADV
対応機種 Windows Vista/7/8
発売・開発元 ソフトハウスSORA
発売日 2014年6月27日
定価 8,800円(税別)
レーティング アダルトゲーム
配信 FANZA:2014年6月27日/7,480円
判定 クソゲー
ポイント 2014年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板次点
タイトルがネタバレ
全体的に古臭い
シンプルなノベルゲームなのにシステムに問題あり
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧

概要

新規ブランド「ソフトハウスSORA」の処女作にして遺作。
パッケージとダウンロード版が同時販売された。


ストーリー

それは美しい港町……俺の故郷……須賀町……。

北側は海、南側は山。 温暖で平和な小さな町。 時間が穏やかに流れる、俺の町。

そこで俺は、幼なじみの山代マイと仲良く暮らしていた。

俺とはちょっと距離があるが、マイの親友である 橘ゆずの。

同じクラスで、なぜか俺に付きまとってくるちょっと風変わりな女の子・八樹さゆり (やつき さゆり)。

上級生で学生代表、学園中の憧れである 播磨幸穂 (はりま ゆきほ) 先輩。

悪友の秋山慎吾や、やさしい大人たちにも見守られ、みんなとわいわい楽しい日々を過ごしていた。

しかしある夏休み。 俺たちはとんでもない事件に巻き込まれてしまう。

俺の中に居るアイツが目覚めようとしていたのだ……。

俺の名前は 八賀谷翔太 (やつがや しょうた)。 俺は、ヤマタノオロチの生まれ変わりだった……。

(パッケージから抜粋)


特徴

  • 基本的に読み進めるだけのノベルゲーム
    • 選択肢は数箇所あり、選択に応じて5ヒロインの個別ルートに突入する。ルート分岐は分かりやすく難易度は低い。

問題点

ストーリー

  • タイトル・パッケージがネタバレ
    • 引っ掛けやダブルミーニングの類ではなく、主人公がヤマタノオロチの生まれ変わりである。
      • あらすじやジャンル名も鑑みると、「ヤマタノオロチの生まれ変わりと判明した主人公と、それを取り巻く周囲が織りなすドタバタラブコメ」か「エロ方面にその特異性を活用したバカゲー」辺りを想像しそうなものだが、実際は自分の正体を知らない主人公と、それを利用しようとする者や阻止しようとする者達の思惑が絡み合い、少しずつ主人公の謎が明かされていく内容である。言ってしまえば「タイトルと表紙で犯人がばらされている推理小説」を読むようなもの。
    • 作中のキャラのうちそれを知る者は暈してばかりで真相をなかなか語らず、知らない者(当初の主人公も含む)はその秘密に悩む姿を見せるのだが、プレイヤーはタイトルの時点でとっくに知っているため茶番劇にしか見えず感情移入が困難。
    • 穏やかな日常に異変が起きる定番の流れだが、異変の正体も原因も丸分かりすぎて興ざめである。
    • 「なぜか主人公に付きまとう八樹さゆり」などは公式の紹介通りの行動をとるが、付きまとう理由がバレバレであり、白けた目で見てしまいやすい。
  • ネタバレを抜きにしても質の低いシナリオ
    • 日常パートでは、着替えをうっかり覗いてしまうイベントや、胸に手・顔が当たってしまうラッキースケベが序盤から連発されるが、ノリが古臭く似たような流れを複数のキャラでやるために飽きやすい。
    • 登場人物が少ないうえに世界が狭く、掘り下げすら少ない。そのため終盤のシリアスな流れも茶番に感じやすい。
    • 個別ルートでは多少の掘り下げがあるものの、後付けやどうでもいい設定が多い。

グラフィック

  • 立ち絵
    • バリエーションが少なく表情や体の動きが乏しい。
    • 中央に一人ずつしか表示されない。複数人での会話では一人ずつ中央に表示されては入れ替わる。
      • E-moteを用いたアニメーションする立ち絵や、目パチ・口パチを搭載したエロゲーが2014年時点で複数登場している。そのレベルを求めるのは酷としても、立ち絵を二人同時に表示する程度はして欲しいものである。
    • 主要人物以外には基本立ち絵が無い。それだけならまだしも、例外的に立ち絵のある刑事はシルエット状の黒塗りで描かれている。こんなくらいなら最初から無くて良いのではないだろうか。
  • 一枚絵
    • のっぺりした塗りや表情が不気味だったりとレベルが低い。
    • 後述するようにある程度可愛いCGもあるが、下手なCGの悪印象との差を感じて、同じキャラが別人に見えるという問題もある。
    • テキストとの不一致のCGも多い。
    • とある「5人のキャラクターが映る一枚絵」は手前の4人は個別に描き込んでおきながら、奥に立つ1人は立ち絵をそのまま入れ込んだだけという手抜きが行われている。
  • 背景
    • 実在の土地を撮影して加工した背景が使われている。他の創作物でも広く使われている手法であり、それだけでは非難すべきではない。
    • 本作はほぼ加工されていないのが問題。現実で野外を見渡して、そこにカラフルな髪色の美少女が立っているようなものであり、違和感が強い。作中で「須賀駅」とされる建物に鎌倉駅の文字が余裕で視認できる背景は最たるもの。
      • ちなみに須賀駅がズタボロに破壊される場面もあるのだが、その際にも鎌倉駅の文字は健在。スタッフは鎌倉駅に何か恨みでもあったのか。
    • 手描きと思われる背景もあるが、塗りがベタっとしていたりとこちらも漏れずに低品質。
      • 全体的に殺風景で、主人公の自室からしてテレビと花が乗った台があるだけの和室という生活感皆無の代物。
      • 他にも人で賑わっているはずの神社や体育館とてモブを配置することなく閑散とした風景が広がる。ではその無人のスタンスを貫いているかと言うと、祭りの屋台の背景のみモブを配置しているのでそういう訳でもない。

バグ・不具合等

  • 2ページ目以降のセーブ/ロードが正常に機能しない。
    • 説明が難しいが、2ページ目に切り替えた際に内部では切り替わっているが、表面上は切り替わらない。
    • そのため、2ページ目以降では上書きセーブやロードの誤認が起きやすい。1ページあたり6箇所しかセーブできないため、様々な場面を残そうとすると、このバグに向き合わざるを得ない。
    • 誰が呼んだか神経衰弱。二重の意味で。
  • CG・シーン回想が埋まらない
    • 総当りしてもCG4箇所・シーン3箇所が空欄のままとなる。
    • 最終ページの最後の箇所ならともかく、中途半端な箇所が埋まらないため、取りこぼしと勘違いしやすい。
  • その他
    • 起動時に「俺がヤマタノオロチなら」のアイキャッチが表示されてから、タイトル画面に移る。
      • 不要な演出であり、起動のたびに見せられる。
    • テキスト欄に「背景:神社境内」と表示されるなど、本来表示されないべきテキストが表示される場面がいくらかある。
    • 誤字脱字や誤表現も多い。
    • BGM視聴画面で左下に表示されているEXITボタンが機能しない。一旦CGかシーン鑑賞場面に切り替えてからEXITを押す必要がある。
    • ノベルゲームにもかかわらず、再現性のないフリーズ・強制終了報告があがっている。
    • バックログは一行ずつしか振り返れない前世代仕様。巻き戻し時にボイスがある箇所は強制的に再生される。

音楽

  • BGMはわずか14曲*1しかない。
    • そのうえ、「リインカーネーション Piano」「リインカーネーション inst」は「リインカーネーション」のアレンジであるため実質12曲である。
    • エロシーンで使われる「背徳的 dub」は扇情的な雰囲気とミスマッチすぎる。
      • KOTYeでは「探索行動中の曲」と評された。
    • あるヒロインの告白時にOP曲が流れる。BGMの設定を小さくしておかないと、そのBGMのせいでヒロインのセリフが聞こえない。参考URL(ニコニコ動画)
  • SEに色々と難がある
    • コンフィグ等にカーソルを合わせたり、クリックするたびに「カチッ」「ピコン」「チャララーン」などのSEがボイスで入る。少し掠っただけでも鳴るため耳障り。
      • オフにできないため嫌でも聞かされるのが問題。
        白衣性恋愛症候群 RE:Therapy』等もSEをボイスに切り替える機能はあるが、そちらは任意でオフにできるため非難はされていない。
    • それ以外のSEもかなり低レベル。中にはファミコンソフトで使われてそうなほどチープな物も。
      • そして使い方もおかしい。例えば高所からの落下時には「ピューンピューン」というチープな落下音が繰り返し鳴らされる。音質だけでなく鳴らし方もファミコンレベル。
      • 序盤に主人公がヒロインの裸を除き、投げ飛ばされるという、こういうゲームじゃあるあるな展開がある。が、その時の投げ飛ばされた音も上記の「ピューンピューン」の音が使われている。主人公いわく「結構強い」とのことだが、とてもそうには聞こえない。

評価点

  • キャラクター
    • 好みの問題もあるが、ある程度可愛いと思えるレベルのCGもいくらか存在する。
    • 性格は比較的無難。前述したように問題点は多いものの、幼なじみ同士の気楽な会話であったり、時折見せる素直さであったりとキャラクターを魅力的に描写しようとする意思は窺える。
      ただし数ある問題点に耐えてプレイする価値を見出せるほどに魅力的かと言えば、NOであるが。
  • BGMはまともな部類
    • 前述したように使いどころがおかしいが、単独で聴くなら問題ない。
    • 「日常」「愛の陶酔」などのBGMは場面に合っている。……場面に応じたBGMを割り当てるのは出来て当たり前ではあるが。

総評

あらゆる面で2014年の水準を下回る出来であり、貧弱な演出等から10年以上前のエロゲーと勘違いされてもおかしくない代物。
CG・ストーリー・演出等は20年前なら受け入れられたかもしれないが、それにしても手抜き過ぎる背景や突貫工事のシステム等は擁護不可能である。
あまりの古臭さに「昔発売中止になったゲームを改めて発売したのではないか」とすら言われたが、ブランドが消滅した現在では真相は闇の中である。


余談

  • FANZAで体験版が配信されている。
    • KOTYe次点レベルのエロゲーに手軽に触れたいなら是非ダウンロードして欲しい。
  • 明らかに未完成な部分があるが、修正パッチの配布等はないまま公式サイトが消滅した。公式Twitterは残っている。
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  • アダルトゲーム
  • KOTYe次点

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最終更新:2024年03月03日 10:30

*1 KOTYeにおいて「全13種類」とされているが誤り。BGM視聴モードでは#00~#13まであり、#00も聴けるため14曲が正しい。