セブン・ビリオン・ヒューマンズ

【せぶん びりおん ひゅーまんず】

ジャンル パズル
対応機種 Windows/MAC OS/Linux(Steam)
Nintendo Switch
開発元 Tomorrow Corporation
販売元 【Win/MAC/Linux】Tomorrow Corporation
【Switch】フライハイワークス
発売日 【Win/MAC/Linux】2018年8月24日
【Switchダウンロード版】2018年10月25日
【Switchパッケージ版】2020年3月12日
定価 【Win/MAC/Linux】1,520円
【Switchダウンロード版】1,500円
【Switchパッケージ版】6,600円
判定 良作
備考 Switchのパッケージ版は本作と
前作『ヒューマン・リソース・マシーン』及びガイドブック、サントラ付きのセット
ポイント 複数の社員に同時に命令を与える並列処理がテーマ
前作より親切になった部分もあるが、要求されるプログラム知識は高度化


概要

プログラムに沿って動く社員(キャラクター)を操作し、与えられた課題の達成を目指すステージクリアタイプのパズルゲーム。
ヒューマン・リソース・マシーン』と同じ世界観、インターフェースであるため同作の続編といえる作品である。
1人の社員を操作し、限られた命令で課題達成を目指した前作と違い、本作では複数の社員に同じ命令を与え、課題達成を目指すこととなり、利用できる命令も高度化している。
Steam版のタイトルは『7 Billion Humans』(読みは同じ)である。

特徴・前作からの変更点

  • 基本的なルールは前作と同様であり、ステージごとに決められた課題を達成することで次のステージへ進めるようになる。基本的に一本道であり、時折高難度ステージへの分岐があるのも同様。
    • 本作では、5回までクリアできないステージをスキップするステージスキップ機能が使えるようになった。ステージスキップ機能を利用したステージを改めてクリアした場合はステージスキップの回数が回復するため、難しいと思えばどんどんスキップして後でクリアしても問題ない。
  • 前作ではステージごとに入力値と出力値があり、出力値をコンベアに出力することを要求されたが、本作では課題の形式が多様化しており、課題で求められている動作を完了すればクリアとなる。
  • 本作ではステージに社員が複数配置されており、プログラムの命令は全ての社員に対して同時に適用され、並行して処理される。
    • 命令を実行できない(例:床のパネルを拾う命令を受けたが床にパネルがない)社員がいる場合でも、エラーにはならず当該命令処理はスキップされるのみである。
      • 例外的に移動先に別の社員がいるため移動できない場合、移動可能となるまで処理が待機状態となる。
  • 社員は穴に落ちる、シュレッダーに巻き込まれる、プリンタやシュレッダーを持ち上げる、等の理由によって消滅することがある。消滅した社員は当然以後の命令を受けなくなる。
    • 社員が消滅したとしても最終的に課題をクリアできれば問題は無い。もっとも、社員の生還を要求されるステージもある。
  • 前作と同様、ある程度進むとプログラムの行数評価とステップ評価がされるようになる。
    • こちらも前作同様、クリアは任意である。なお、ステップ評価は25回の処理結果の平均値が評価される。
  • 上司に話しかけるとヒントがもらえるステージもある。
    • ヒントは「ここで○○の命令を使えばいい」「このように考えれば良い」といったかなり直接的なものがもらえるようになっている。
    • 一方、解答例はなくなったため、課題から察することが要求される。

命令の一覧

+ ...
  • step
    • 社員を指定した方向に移動させる。ゲームが進行すると以下の機能も追加される。
      • 複数方向の指定。複数方向指定した場合は指定した方向の中でランダムな方向に移動する。
      • メモリの指定。メモリで指定された場所まで移動する。
  • pickup
    • 指定した方向にあるパネルを持ち上げる(最序盤は足下のみ)。ゲームが進行すると以下の機能も追加される。
      • メモリの指定。メモリで指定されたパネルを持ち上げる。
  • drop
    • 持っているパネルを足下に置く。
  • giveto
    • 持っているパネルを指定した方向にいる他の社員に渡したり、シュレッダーに入れたりする。ゲームが進行すると以下の機能も追加される。
    • メモリの指定。メモリで指定した相手に持っているパネルを渡す(入れる)。
  • takefrom
    • 指定した方向にいる社員やプリンタからパネルを受け取る。ゲームが進行すると以下の機能も追加される。
      • メモリの指定。メモリで指定された社員やプリンターからパネルを受け取る。
  • if
    • 指定した条件を満たす場合のみ命令を分岐させる。
    • 前作と異なり、条件として指定できる項目はかなり多岐に及ぶ。
    • 複数の条件を設定してandやorでつなぐことも可能。なお、複数の条件を指定した場合であっても、プログラムの命令としては1行とみなされる。
    • 条件を満たさなかった場合(else)を指定することも可能。この場合、elseは1行追加したものとみなされる。
  • jump
    • 無条件で指定した行に移動する。
  • end
    • この命令が実行された社員は行動を終了する。
      • 行動を終了した社員は他の社員の移動の妨げになる場合には場所を空ける。
      • この命令の実行はクリアの判定とは無関係であり、endを実行せずとも最終的に課題を達成すればクリアとなる。
  • write
    • 持っているパネルの数字を指定した数値または指定したメモリに格納されている数値で書き換える。
  • nearest
    • 社員から最も近い位置にある指定したオブジェクトをメモリに記録する。
  • calc
    • 二項演算を行い、結果をメモリに記録する。
      • パネルの値やメモリの値を用いることが出来る。
    • 前作と異なり、乗算、除算も行うことが出来る。
  • set
    • 指定した方向またはパネルの数値をメモリに記録する。
  • tell
    • 指定した単語を発声する。発声相手は全員または指定方向またはメモリで指定した相手である。
    • listenと組み合わせて用いる。
  • listen
    • 指定した単語を聞くまで命令の実行を待機する。
  • forEachDir
    • 社員の周囲のデータを1度にメモリに記録し、それぞれのデータに対し所定の命令を実行する。
      • forEachDirで指定した命令は自動で記録したデータの個数だけ繰り返し実行される。

評価点

  • 詰みになりにくくなった
    • 前作では課題がクリアできなかった場合の救済措置がほとんど無かったが本作では救済措置が実装されている。
    • 一部の課題を除けば上司にヒントをもらうことができる。解答というほどではないが、かなり直接的である。
    • ヒントをもらえないステージもあるが、ステージスキップが5回まで利用できるため、難しいステージを飛ばして先に進むことも可能。
      • 一度スキップしても再度クリアすればスキップ可能数は回復するため、深く考えずに利用しても問題ない。
      • もっとも、終盤のステージはかなり難しいため、スキップしても結局スキップ回数がなくなって詰まるということも起きないわけではない。
  • ステージ数が増えた
    • 公式で前作と比べ77.777778%増えた、とうたっている通りステージは大幅にボリュームアップしている。

賛否両論点

  • 命令が複雑化した
    • シンプルな命令を組み合わせるという前作に対して、本作はかなり命令が複雑化している。
      • ある意味リアルなプログラムに近づいたため、プログラムに慣れている人からすれば、知識を活用することが出来るようになった。
    • ただ、プログラムに不慣れな人からすると、どのように命令を使えば良いかが前作よりも分かりにくくなってしまっている。
      • そもそも、並列処理が理解しづらいため、簡単な問題ですら考え方がよく分からないという事態も生じがちである。

問題点

  • 特にないが、敢えて言うならランダム移動を用いるプログラム課題がいくつかあることだろうか。
    • 例えば全てのパネルを回収する場合、「ランダム移動して、パネルがあれば拾っていく」ということで理屈上は解決するが、やや強引な感じは否めない。

総評

プログラムで社員を動かし課題をクリアするというコンセプトは前作と同様である。
しかしながら、本作では前提として並列処理をテーマとしており、命令も複雑化していることからゲーム性は前作とは別物といって差し支えない。
序盤はさておき、後半になってくるとプログラムに慣れた人でも手こずる難易度となっており、前作よりも難易度は高くなったといえる。
一応、ヒントやスキップ機能はあるものの、それでも高い難易度のため、プログラムに不慣れな人で前作でも難しかった、という人にとってはかなり厳しいものがあるかもしれない。
難易度だけでなくとも前作とコンセプトが異なっているため、決して前作と比べて劣っているというわけではないのだが、前作の方が肌に合ったというプレイヤーも一定数いる。
いずれにせよ、プログラムに不慣れであれば本作より前に前作をプレイすることをオススメしたい。

余談

  • 2020年3月12日に前作を含めたパッケージ版『ヒューマン・リソース・マシーン デラックス「初めてのぷろぐらみんぐ入門セット」』が発売された。
    • パッケージ版には解説本とサントラが付属している。
  • 本作のサウンドトラックも前作と同様、Tomorrow Corporationのウェブサイトで無料で聞くことが可能である。

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最終更新:2022年12月20日 06:34