桃太郎電鉄20周年

【ももたろうでんてつにじっしゅうねん】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売・開発元 ハドソン
発売日 2008年12月18日
定価 5,229円(税抜)
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 ハドソン・ザ・ベスト
2011年12月8日/2,940円(税5%込)
判定 賛否両論
ゲームバランスが不安定
ポイント 前作の問題点は概ね改善
最凶クラスの友情崩壊ゲーム
桃太郎シリーズリンク


概要

桃太郎電鉄シリーズ第18作。前作『TOKYO&JAPAN』が散々な評価だったため、本作には期待の声もあったのだが、別な方向のヤバさが

追加要素

歴史キャラ

  • 前作に存在した「平賀源内」イベントを発展させたもので、指定された19の駅を独占するとその駅に因んだ偉人が加勢する(まれに妨害も行う)。
    • 詳細は「賛否両論点」節に譲る。

ロシアンボンビー

  • マトリョーシカの形をした、貧乏神の新形態。取り憑かれると毎ターン終了後に大小6つのボンビーを選び、中から「-○億円カード」が出てくる。
    • このカードは次ターン以降に記載された金額を失って処分しないと、1年後に10倍の金額を奪われる。勿論捨てられない。

スリの銀次

  • 本作の銀次は、1989年~2008年までの出来事に対応した変装をして登場する。ただし1995年は地下鉄サリン事件と阪神・淡路大震災を憂いてカードを渡して去る。
    • 一度見た変装は「おまけ」で何度でも見られる(ただし固有の決め台詞は見られない)。

里見八犬伝

  • 館山駅が目的地となった際に到着すると、八徳の玉が全国に飛び散る。全て集めると、数十倍の到着金で目的地にワープできる。玉はマスにぴったり止まれば手に入れられる。
    • 玉を持っている相手と重なった場合、サイコロバトルが始まる。サイコロの出目が多い方が勝ちで、持っている玉の数だけサイコロを振れる。勝利すると相手の玉を全て奪える。

その他

  • 景気変動が廃止された。ただし「スリの銀次の当たり年」は存続。
  • Wi-Fiによるインターネット対戦に対応。
  • 以下のマスを追加。
    • ダビング駅…マップに「ダ」で表示。無料でカードを1枚増やせる。
    • 宝くじ駅…マップに「宝」で表示。無料で1枚宝くじを引ける。当然はずれもある。
    • 急行駅…マップに「E」で表示。急行系カードから1枚もらえる。
  • 借金を抱えている時にカード売り場に止まると、何度でも徳政令カードをもらえるようになった。

評価点

  • 据え置き機向けと比較しても遜色がないどころか充実の物件駅数
    • その数212駅。ボリューム不足とされる前作はおろか、当時リリースされていた据え置き機向けタイトルを含めてもぶっちぎりで最多であった(2作前にあたる『16』は151駅)。
      もちろんこれ以降の作品では更に増えていくのだが、当時としては非常に高水準であったといえる。
  • 物件駅以外でもDSながら頑張っている内容量
    • イベントが大幅に増加。
    • カードは91種類で、前作の倍以上に戻った。
    • 4人プレイが可能となった。
    • 諸々の名産怪獣や絶好調といったイベントが復活。
    • いけますよ!や100倍乗っ取りが使える。
    • 但し前作が壊滅的に低いクオリティだったことにも留意しなければならない。
  • Wi-Fi対戦に対応。そこそこ繁盛していた。
  • 先述のようにカード売り場で徳政令カードを貰えるようになったため、復帰が容易になった。
    • また、目的地到着時に借金が残っていた場合に「地元の尽力で借金が0になる」イベントが発生するようになった。
  • 汽車などのグラフィックは3Dモデルとなった。
    • 質もDSソフトとしては高い。エンディングムービーはかなりダイナミック。
      • ただしロシアンボンビーに限っては、顔が潰れてしまっているなどあまり良くない。
    • 2D部分もよく出来ており、歴史キャラは基となった人物の特徴をよく捉えている。
  • BGMがDSとは思えないほど良質。ハード性能を限界まで生かしており、相当なこだわりを感じさせる。
  • ある条件でゲームを終了すると、銚子電鉄の桃太郎電鉄広告車両の画像を見られる。

賛否両論点

  • 強すぎる歴史キャラ
    • 本作最大の賛否両論点。特定の駅を独占すると加勢してくれる(一応拒否は可能)のだが、一部は1人携えているだけでゲームバランスが崩壊するレベルの凶悪さを誇る。
+ 各歴史キャラの詳細

各歴史キャラの詳細 ※ゲーム内の番号順。

  • 織田信長(岐阜、総物件価格7億4000万円)
    • 行動は「自分の不利カードを破壊」「相手のカードをランダムで(最悪の場合 全て 破壊する」「相手に取り憑いた貧乏神を 確定で キングボンビーにする」の3種類。
      • 最凶最悪の歴史キャラ。 その行動はうざったいことこの上なく、絶対に相手に渡してはいけない。
        妨害効果に対して独占費用が非常に安いのも強さに拍車をかける。
  • 豊臣秀吉(名古屋、521億6000万円)
    • 所有物件の収益率を上げてくれるほか、稀に貧乏神をボンビーモンキーにした上で自分の所に呼び寄せることがある。
      • 高額物件は元々の収益率が低い場合が多いため数%上がるだけでも増収効果としては馬鹿にならないのだが、パッと見は地味な印象が拭えない天下人。
      • 名古屋自体すぐに独占できる駅ではないうえ、独走状態でボンビーモンキーを呼ばれても後々のことを考えるとリスクも小さくない。争奪戦では優先順位は低くなる。
  • 徳川家康(岡崎、12億円)
    • ランダムで自分の独占駅を指定し、数ヶ月後に収益率をさらに2倍にする。
      • 強力だが、序盤に独占数を稼がないとなかなか働きを感じにくい。ただし独占費用が比較的安いため、味方につけられるかどうかは意外と腕次第。
  • 明智光秀(土岐、24億円)
    • 「軍資金」として持ち金を増やしてくれたり、物件を割安で斡旋してくれたりする。
      • 軍資金がかなり心強い歴史キャラ。ただし「6月に京都にいると確率で総資産の一定割合だけ損害を出して去っていく(本能寺の変)」という特大のトラップがある点に注意が必要。
  • 上杉謙信(上越、140億4000万円)
    • 他の社長の物件を奪ってくる。
      • 物件を奪うタイプの歴史キャラは他にも多くいる点からこちらはやや地味であり、年数が進むとビリの社長に「敵に塩を送る」として持ち金を勝手に渡してしまうことがある。独占額に比してメリットは小さめ。
  • 武田信玄(甲府、24億7000万円)
    • 「風林火山」の4つからルーレットで行動を選ぶ。
      • 「風」は任意の社長の近くに飛べる。「林」は他の社長のカードを封印する。「火」は他の社長に損害を与える。「山」は自分が1ターン動けなくなる
      • 1回休みのデメリットはあるが、地味に嫌な妨害を行うので味方につけておいても損はないだろう。
  • 平賀源内(さぬき、8億4000万円)
    • ゲームを進めるにつれて4つの道具を発明し、ランダムで行動する。
      「アシドメール」は他の社長1人を動けなくする。「ブッケントール」は他の社長の好きな物件を奪える。「ブッケンカーウ」は物件を半額で斡旋する。「ブッケンゼンブー」は独占できる駅の物件を全て半額で斡旋する。
      • 加勢の手間に比してメリットが過大すぎるバランスブレイカー 。独占物件をブッケントールで狙い撃ちされるともはや発狂もの。
  • 那須与一(那須、302億6000万円)
    • サイコロを振って、出目に応じて物件を無料で手に入れられる。
      • 運が良ければ高額物件が紛れ込んでいることもあるが、ハズレの可能性もあり大抵は安い物件であるため大きな恩恵は得られにくい。那須の独占にかかる金額も高めなため、他の歴史キャラ加入に資金を回されて加勢が遅くなりがちな点も逆風。
  • 伊達政宗(仙台、105億4000万円)
    • 急行系カードを無料でワンランクアップまたは周遊カード*1に強化してくれる。特急カード・特急周遊カードのみ、さらに長く使える「特急定期券カード」に化けることもある。
      • こちらも凶悪。他人に直接妨害はしないものの持っているカードが次々に上位カードになるという一点だけで有り余るほど強い。
        一部のカード売り場で特急以上の周遊カードより安く購入できる期間延長カード(周遊系カードの使用状況を初期化できるカード)を使用して延々と長距離移動し続けるコンボもあり、一度軌道に乗ると文字通り手を付けられない存在になってしまう。
  • 西郷隆盛(鹿児島、5億3000万円)
    • プレイヤー全員に金を配るが、加勢している社長には数倍多く配られる。
      • 効果はとにかく地味だが、序盤は重宝する。歴史キャラ唯一の良心である。
  • クラーク博士(札幌、110億8000万円)
    • 誰も購入していない物件を 高い順に 買えるだけ買ってくる。
      • 残念ながら戦略上ほとんど役に立たない。物件コンプリートを目指す時には多少助かるか。
      • 一度加勢させると(札幌の独占が崩れない限り)ランダム発生でキャンセルできないため、加入タイミングをよく考えないと勝手に資金を吸い取っていくありがた迷惑な存在にすらなり得る。
      • 更に文字通り資金か空き物件のどちらかが尽きるまで無尽蔵に買ってしまうため、高額物件を買い尽くして安い物件に手を付け始めると購入数が数百件に及び、テキスト送りをマッハにしておかないと買い終わるまで 異常なまでに時間がかかる ことすらある、別の意味で厄介な存在。
  • 黒田官兵衛(博多、284億4000万円)
    • 誰も買っていない物件を数個入手できる。
      • 物件を増やすタイプの中では一度に複数件増えることが多いため地味に強力。持ってきた物件でそのまま独占になることも。
  • 水戸黄門(水戸、105億9000万円)
    • 急行系カードをくれたり、他の社長の物件を奪ってきたりする。
      • 序盤こそ地味だが、ある程度年数が進むと他人の独占駅の物件を全部奪ってくることもあるため侮れない。
  • 山中鹿之助(安来、4億3200万円)
    • カード売り場を襲ってカードを奪ってくる。
      • 加入させやすく序盤にはありがたいのだが、年数が進むとカードの空きをデビル系カードで埋めてしまうことがある
  • 源義経(平泉、21億3000万円)
    • 8ヶ所の候補の中から、プレイヤーが指定した場所に飛んでいける。ごく稀に失敗するようだが、執筆者は未経験。
      • 凶悪歴史キャラの一人。目的地に近い場所が出ればどんなに遠くでもワープできるため、他プレイヤーを置いてけぼりにできる。ただし、候補表示中は虫メガネが使えないため、日本の地理に詳しくないと使いこなせないという欠点はある。
  • 毛利元就(広島、425億3000万円)
    • 三本の矢と称して損害系を除くカードの中からランダムで3枚くれる。
      • カードはかなり強力。しかし、広島の独占は非常に高額なのですぐに役立てるのは難しい。
  • 坂本龍馬(高知、27億6000万円)
    • 他の社長の独占している駅の中から数個の物件を奪ってくる。
      • 友情崩壊必至。一気に数駅潰された時にはメンタルがもたない。
  • 紀伊国屋文左衛門(和歌山、3億5000万円)
    • 加入月に年数に応じたお金をくれ、次の月からは捨てたカードを5分の1の価格で買い取ってくれる(初回の1枚分を除いて金は1月にまとめて支払われる)。
      • 最初のお金以外は効果は薄い。売値もカード売り場で処分(定価の4分の1)するより安いため、カードを入手しすぎた時等に全く無駄にはならないとはいえ必ずしもいたら有利とも限らない。ただし独占費用が安いため簡単に元が取れ、加入させても損するというわけではない。
  • 武蔵坊弁慶(御坊、12億円)
    • 他の社長の便利系カードを奪ってくる。
      • 単純ながら割と役に立つ歴史キャラ。相手に加勢しているとイラッとくる。
  • 以上の通り。加勢しているプレイヤーを補助するだけならいいのだが、彼らの大半はとにかく精神的にきつい妨害を行う。
    • しかも多くは対象都市の独占費用が100億円以内と高くなく、10年経たないうちに味方にできる。100倍乗っ取りを使えるようになるまでは苦悶の時が続くことに…
  • 一方で、このシステムにある程度慣れたもの同士が戦うと「強力な歴史キャラ達がしばき合う極限戦争」という非常に白熱する戦いにもなりうる。
    • しかし坂本龍馬等の独占崩し系を一人でも持っていると、勝手に他プレイヤーのキャラを解任してしまう事態が多発する。バランスの崩壊を望まないのであれば、こうしたキャラの加勢を断るなどのホームルールを決めておくのがよい。
  • なお、競技性重視で通常とは違うゲームバランスに調整されている『桃鉄3年決戦!』モードでは歴史キャラ要素は全てオミットされている。
    • 裏を返せば「通常ルールの『いつもの桃鉄』で最長50年のソロプレイ前提で歴史キャラのバランス調整をしている」と考えられなくもないが、『いつもの桃鉄』においても歴史キャラの登場可否を設定できても良かったのではないだろうか。

問題点

  • プレイ年数
    • 通常モード『いつもの桃鉄』の最長プレイ年数は前作から改善されたとはいえ最長50年と、依然として短いと考えるプレイヤーは少なくない。
  • ロシアンボンビーの「-○億円カード」イベントについて
    • 非常にテンポが悪く、カードを消すためだけに1ターン消費を何度も繰り返すことになる。他のボンビーとはまた別の鬱陶しさを感じさせる。
    • また、カードを受け取る時も「ボンビー分裂演出」→「ボンビー選択」→「カード内容表示」→「ボンビー復元演出」が毎回繰り返されるのでゲーム進行がかなり遅くなる。
      • もしかするとそれが狙いなのかもしれないが。
      • COMキャラの行動中である場合は演出がある程度カットされる。
  • 「水戸拷問」の存在
    • 実は、前節で挙げた歴史キャラの他にもう一人「水戸拷問」というキャラが存在する。
    • 水戸駅に停車して独占しなかった場合(水戸が目的地の場合を除く)に強制的に加入し、持ち金をどんどん奪っていく。加入時のBGMも通常は勇ましい曲調なのに対し、水戸拷問の場合はデビルと同じ曲である。
      • しかも、複数のプレイヤーが条件を満たした場合は全員同時に加入する仕様になっているため迷惑極まりない。
    • 彼が外れる条件は「そのプレイヤーが目的地に一番乗りする」こと。金が無い状況では急行系カードもまともに使えないことが多く、かなりの期間はめ殺しにされる危険が極めて大きい。
      • なお、不評だったためか水戸拷問は本作と携帯ゲーム『KANTO』のみの登場にとどまっている。
  • 相変わらずCOMの強さは6種類しかない。
  • COM3人と対戦するには「『みんなで桃鉄』を選択」→「人間4人でゲーム開始」→「設定変更でCOM化」をしなければならず、少々面倒。
  • 「里見八犬伝」イベントを一度発生させると、そのゲームではずっとその曲しか流れなくなってしまう。
    • ややパンチの効いた曲なので、ずっと聴き続けているとやかましく感じるかもしれない。通常BGMがゆったりした曲調なので尚更である。
    • こちらは後の作品においては定期的に1回完結で発生するイベントという形に変更され、イベント終了後は通常曲に戻るようになった。
  • ミニゲーム「貧乏神の超瓦割り」で頻繁にフリーズが発生する。
    • これも初期版ゆえの不良かもしれないが、詳細は不明。

総評

前作が非常に不評だったことから一部で危惧の声も聞かれたが、問題点は概ね解消されたと言えるだろう。レビューでも高評価は少なくない。
しかし、新たに設定された「歴史キャラ」システムは年数が進む程にゲームバランスがどんどん不安定になっていく代物で、一部はゲームプレイそのものをストレッサーにしかねない。このシステムに慣れた者同士でなければ、やればやるほど彼らに苦しめられることになる。


余談

  • さくまのブログによれば、当初Wiiの『2010』は本作のマルチタイトルとして販売する予定だったらしい。
  • 本作とは直接関係こそないものの、ゲームバランスが年数の経過とともに大味となっていく点については後に『2017』発売後の電ファミニコゲーマーにおけるインタビュー記事で調整意図(のようなもの)が示唆されている。→参考記事
    • 「20年を過ぎたらもう、RPGだから」 ということらしい(『2017』は最長100年)。
      身も蓋もないことを言ってしまえば、その域まで来ると「そもそも対戦ゲームとして想定されていない」とも受け取れる。
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最終更新:2023年05月23日 11:38

*1 1枚で複数回使用できる急行系カード。過去作でいうオレンジカードの強化版のようなもの。