Shadow Tactics: Blades of the Shogun
【しゃどう たくてぃくす ぶれーど おゔ ざ しょうぐん】
ジャンル
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ステルスタクティクスRTS
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対応機種
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Windows Vista, 7 - 10 Mac OSX 10.10 - 10.14 Steam OS
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発売元
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Daedalic Entertainment
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開発元
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Mimimi Games (発売当時は"Mimimi Productions"名義)
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発売日
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2016年12月6日
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定価
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4,480 円
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プレイ人数
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1人
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配信
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Steam, Origin(Windows版のみ販売): 2016年12月6日 Epic Game Store(Windows版のみ販売) : 2019年12月29日
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参考
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Unityゲームエンジン使用
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判定
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良作
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ポイント
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日本語フルボイス付き
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概要
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1 - 5人の個性のあるキャラを操作して全13の任務を行うステルスRTSである。
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Mimimi Games の開発者へのインタビューにて、『Commandos 2』のようなゲーム作ろうとしたことと、忍者を出したかったので舞台を日本にしたことが語られている。
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制作のMimimi Games(発売当時は"Mimimi Productions"名義)はドイツのミュンヘンの会社である。
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German Developer Award 2016にて本作が "Best German Game", "Best PC/Console Game", "Best Game Design"を受賞しており、かつ Mimimi Gamesが "Best German Studio"に選ばれている。
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Unityゲームエンジンを使用している。
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Unity Awards 2017にて本作が "Best Desktop/Console Game"を受賞している。
ストーリー
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チュートリアルを兼ねた最初の任務は"大坂夏の陣"の真っ只中となっている。
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漫画『あずみ』の序盤を彷彿させるような内容となっている。
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操作キャラ
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隼人
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伊賀の忍者。
手裏剣が使えるが、敵がすぐ死なずにうめきながら死ぬので使いにくい。手裏剣は1枚しかなく、使用後に回収することで再使用できる。
石を投げて相手の注意をひくことが出来る。
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雪
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孤児。
踏むことで動作する罠を仕掛ける事ができる。罠は1セットしかなく、使用後は罠を回収することで再使用できる。
笛を吹いて敵をおびき出すことが可能だが、編み笠兵(後述)や侍(後述)はこちらに視線を向けるものの、確認のために移動したりはしない。
敵の持ち物をスリ取る事が出来る。
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大代
武源
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鎧武者。泳げない。飛び降りることが出来ない。
"風切り"という、範囲内の複数の敵を一撃で殺す技を持っている。
力持ちで、岩などを抱えて運ぶことが出来る。2人の敵(死体or気絶中)を抱えて走ることが出来る。
岩を相手の頭の上に落として殺すと『HITMAN: Blood Money』のように「事故死」として扱われる。なお、頭上からだけではなく、同一平面からでも岩を投げて殺すことが可能である。
酒の徳利を1つ持っており、敵の視界に入るとしばらく注視する他、下級兵は酒を拾おうとする。
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愛琥
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信濃の"くのいち"。
敵の視界をさえぎる"くしゃみ粉(使用回数制限無し)"を投げることが出来る。
衣装を盗むことで変装が可能となる。
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巧磨
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老兵。接近戦不可のスナイパー。銃声はしない。
泳げない。飛び降りることが出来ない。敵の死体を動かすことが出来ない。走ると大きめの音をたてる。
敵を直接撃つだけでなく、縄で吊るされたモノなど高所のオブジェクトを撃って敵の頭上に落とすことで「事故死」させることが出来る。
火薬の入った樽を撃つと大爆発を起こせる。
ペットの狸を使って敵の気を引くことが出来る。
任務によっては、焙烙玉という範囲内の敵を爆殺する武器を持っている場合がある。
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システム
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全13の任務からなる
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任務を成功させると次の任務が出現する。
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任務開始時に3段階の難易度が選択できるが、1度選択するとその任務終了までは難易度が変更できない.
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なお、ローディング中に表示されるヒントにて「難易度はいつでも変更できる」と「任務中は難易度は変更できない」という矛盾するヒントが表示される。後者が正しい。
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任務には"バッジ"という実績/トロフィー的なものが任務ごとに7つある。
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中には同じ任務で「変装をする」「変装をしない」/「たいまつを持った敵をすべて殺す」「敵を一人も殺さない」などという相反する内容のバッジとなっている任務があり、1回のプレイですべてのバッジを獲得することが不可能である任務が大半となっている。
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実績/トロフィーはバッジと同内容のものもあるが、「通算1,000の敵を殺害」等のプレイ全体を対象にしたものや、バッジでは示されなかった特殊な条件縛りでの任務クリアを必要とするシークレットのものなどもある。
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一部の任務ではmapの一部が隠されていることがあるものの、大半は敵の動きも含めて最初から丸見えである。
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同じステルスRTSの『Satellite Reign』ではPCで探索してmapを埋める必要があり、その時点でのPCの周囲の敵しか見えない仕様となっている。
敵
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基本的に銃を装備している。
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敵の視界は敵の種類によらず同じである。
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敵キャラの前方に扇形の視界があり、近距離ではしゃがんでいても発見されるが、ある程度の距離だと立っていれば見つかるが、しゃがんでいれば見つからない部分がある。また、普通はしゃがんでいても見つかる距離でも間に障害物があればしゃがんでいれば見つからない場合がある。
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夜の場合はしゃがんでいても見つかる距離は短くなる。しかし、普通しゃがんでいれば見つからない距離であっても、たいまつなどの明かりが照らしている範囲内では、しゃがんでいても見つかる。
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たいまつや灯籠などの明かりは消すことが出来る。かがり火や焚き火は消せない。
たいまつや灯籠の火が消えていると、それに気がついた敵キャラや町民が火を付けに来る。これを利用して敵をおびき寄せたり出来る。
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夜間に敵を手裏剣や銃や罠で倒すと、たいまつが燃えたままその場に残り、敵の死体が他の敵に見つかるリスクがある。その後にPCが死体の場所に行けば自動でたいまつの火を消す。近接攻撃で殺せば、殺害直後に自動でたいまつの火を消す。
とある任務には「すべてのたいまつを消す(敵が持っているものも含む)」という"バッジ"がある。
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敵キャラがPCを見かけた場合、視界の扇形が敵キャラの足元から黄色に変色してゆき、PCがいる場所まで黄色くなったら発見されたことになって"
!
(アラート)"状態となる。
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1人が"
!
(アラート)"状態となった途端に周囲の下級武士や侍はPCが発見された場所へ一斉に殺到、攻撃してくる他、増援も2-3人やってくる。
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敵の種類
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下級兵
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武源の酒や、雪の笛の音で釣り出すことが可能である。
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編み笠兵
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編み笠兵と呼ばれているが、実際のグラフィックでかぶっているのは編み笠ではなく陣笠。
持ち場を離れない。"?" 状態になっても"
!
(アラート)"状態になっても持ち場を離れない。
雪の上にPCの足跡を見つけた時には"?" 状態になっても持ち場を離れないが、"?"状態の援軍が2-3名湧いて来て、編み笠兵の代わりに足跡を調べに来る。
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侍
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武源の通常攻撃か、銃撃後の能力低下中での通常攻撃でしか倒せない。ので、弾数に限りのある本作では倒しにくい敵である。のだが、任務によっては味方NPCの流れ弾で死ぬこともある。
愛琥の変装を見破る事ができる。
武源の"風切り"、隼人の手裏剣、雪の罠による攻撃は効かない。
編み笠兵のように基本的には持ち場を離れないが、隼人の手裏剣攻撃を受けた時は "?" 状態になって持ち場から離れる。また、雪の上にPCの足跡を見つけた時も"?" 状態になって持ち場から離れる。
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役人(戦場)
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編み笠かぶって、背中に"上司"と書かれた旗を付けている。挙動は編み笠兵と同じ任務(金沢map)もあれば下級兵と同じ挙動(中山道map)の場合もある。
任務によっては役人を殺すことで戦況に変化がある場合がある。
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役人(戦場以外)
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裃
を着ている。挙動は下級兵と変わらない。
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増援
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赤揃えの兵士。アラート状態になると小屋などから2-3名湧いてくる。アラート状態終了後も出現場所には戻らず、map上に残って、チームを組んで巡回したり、特定の配置についたりする。
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町人、農民
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町人、農民は敵の場合と味方の場合がある。
PCを見かけると、味方の場合は見なかったことにしてくれる。敵の場合は付近の敵キャラに報告に行くが、その報告した相手が侍の場合は「お前ごときが話しかけるでない」と無視されることもある。
敵の場合は殺しても基本的にはペナルティはないが、任務内のイベントにて重要な役割がある町人がおり、殺してしまうことで本来起こるはずのイベントが発生しなくなる場合がある。そこまで重要な役割でなくとも、侍などが「どこへ行った?」と"?"状態になって探し始めることもある。
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シャドウモード
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PCに1つだけ行動の予約を入れて置くことが出来る。[enter]キー押下でこの予約に入れた行動を各キャラ同時に行うことで、同時に複数人を殺したりといったタイミングが重要な行動が楽に行える。
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「石を投げて、気をそらせたスキに別のキャラがダッシュで移動」をシャドウモードでやろうとすると、タイミングが合わずに上手く行かない。
あまり応用が効かない機能ではある。
評価点
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よく練られたレベルデザイン
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ある程度慣れて「藪に隠れて敵を待って、敵を殺して、藪に敵の死体を隠せばいいんだろ」と思い始めた矢先にmapに全く藪のない任務が出現したり、「とりあえず、端から敵を殺していこう」ぐらいの見積もりで始めると逆に敵同士の立ち話が減って見回りの周期が短くなり行動しづらくなって「しまった!」となる任務など、なかなか考えられている。
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ギミックも凝っている
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戸から建物に入れる場合、敵も同じ建物を通る場合があって、敵と鉢合わせると攻撃を受けるので必ずしも安全地帯ではない。
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石像を調べると抜け道が出現することも。
なお、出現した抜け道の中でも敵と鉢合わせると攻撃を受けるので必ずしも安全地帯ではない。
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高所からオブジェクトを落として殺した場合はその瞬間や残った死体を見た敵は「事故死」とみなして"
!
(アラート)"状態にはならないという『HITMAN: BLOOD MONEY』のようなシステム。
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灯りを消すことで敵をおびき寄せるという『Metro 2033』のような仕組みも。
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服を奪って変装するという『HITMANシリーズ』や『メタルギアソリッド ポータブル オプス』のような事ができる任務もある。
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日本語フルボイス対応
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わざわざ大阪に日本語ローカライズのための部署を設置して行われている。
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隼人役は岩崎洋介、愛琥役は ひなたたまり、雪役は舞原ゆめと、当時RMEに所属していたプロの声優が声を当てている。
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クイックセーブ、クイックロードが短時間で行えるため、試行錯誤がしやすい。
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ただし、任務開始や任務のリスタートのロード時間はクイックロードの10倍程度の時間が掛かる。
問題点
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時代考証が怪しい
些細な点ではあるが日本人としてはちょっと気になる。
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中華風の建物が割とある。
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鶴山寺、某大名屋敷には、もろに中華風の建物がある。
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松山の街に「ラーメン」と書かれた提灯がある。
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雪のセリフに英単語が含まれている。
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特に「素敵なメロディ」「嫌なサプライズよね」というセリフは頻繁に聞くことになるのでとても気になる。
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"バッジ"の中に、ただただ煩わしいだけのものがある。
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同じ任務であるが「全ての敵の死体を隠す」「足音がする場所(水たまり)に入らない」という"バッジ"がある。
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複数キャラを操作しながらわざわざ足音がする場所を避けて移動するというのはほぼ無理であり、1キャラずつ丁寧に誘導する必要がある。これは本当に面倒なだけである。
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このmapには実は藪がなく、全ての死体をどこかに隠すとすると非常に手間がかかる。敵を全滅させてしまえば時間はいくらでもあるので死体を隠すこと自体は全く難しいことではなく、ただただ手間がかかるだけの作業である。
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イベントギミックとして設置してある「鐘を鳴らす」というバッジがあるのだが、正確には「鐘を鳴らさない」のがバッジ条件という全く逆になっている誤訳がある。
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修正されていないので攻略サイトなどで確認しないと必ず詰まる。
※こちらは修正済みの模様
総評
ありそうでなかった日本が舞台のタクティカルRTS。海外製のため、舞台の考証は少し怪しいところもあるが、レベルデザインは練られており、「敵を一人も殺さない」「水に入らない」などの、一見不可能そうなバッジへの挑戦というやりこみ要素もある。
『HITMANシリーズ』などで採用されている「変装する」「事故死に見せかける」ことや、『Metro 2033』のように明かりを消して敵をおびき寄せることができるという、ステルスゲームファンならニヤニヤしてしまう各種システムにより、多彩な戦術が採れることがプレイの幅を広げている。
その後の展開
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2021年12月7日に、続編の『Shadow Tactics: Aiko's Choice』が発売されている。
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ルールはほぼそのままで、実質5ステージの小品である。
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時系列的には本編の任務8と9の間に起こったサイドストーリーとなっている。
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2023年8月にMimimi Gamesは、ゲーム開発費の高騰により収益性の悪化が見込まれることや、経営陣がその激務に耐えられなくなった等の理由で新作ゲームの制作しないと表明。この事により、本作の続編は絶望的となった。
最終更新:2023年08月30日 03:26