おーちゃんのお絵かきロジック

【おーちゃんのおえかきろじっく】

ジャンル パズル
対応機種 スーパーファミコン
発売元 サンソフト
開発元 サン電子東京デザインセンター
発売日 1995年12月1日
定価 7,329円
プレイ人数 1~2人
判定 シリーズファンから不評
ポイント へべれけ』シリーズとお絵描きロジックのコラボ3作目
苦労して描いた絵を自由に見られない
問題数とサイズは当時のピクロスシリーズ以上
問題のサイズと操作方法でピクロスシリーズと差別化
ピクロスシリーズ


概要

マリオのピクロス』で開拓されたゲーム機でのお絵描きロジックと『へべれけ』シリーズのキャラクターを混ぜ合わせたサンソフト製のお絵描きロジック。
世界文化社監修の元に発売されたゲーム機でのお絵描きロジックとしては本作と同名のソフトがプレイステーション、セガサターン、ワンダースワンの3機種でも発売されており、本作はセガサターン版『おーちゃんのお絵かきロジック』に続く3作目となる。
お絵描きロジックのルールは簡単に説明すると、「縦と横に並んだヒントとなる数字から塗りつぶすマスと塗ってはいけないマスを導き、1枚のイラストを完成させる」というもの。
具体的な解き方は専門のサイト等が存在するため、ここでは省略する。

収録モード

  • じっくり解く
    • 4つのレベルで分けられた全300問の問題を解くモード。サイズは5×5、10×10、15×15...と続き、最大30×30まで。
      • 本作より先に発売された『マリオのスーパーピクロス』とは違って正方形でないサイズの問題は存在しない。
      • 20×20以上のサイズの問題はLボタン+十字ボタンで画面をスクロールさせることができ、大きいサイズの問題は画面サイズの関係上スクロールさせないと見えないマスがある。しかしこれがとんでもない地雷だった。詳細は後述の問題点にて。
      • 操作方法やインターフェイスも『ピクロスシリーズ』との差別化を図っている……が、独特すぎる面もある。詳細は後述の賛否両論点にて。
  • 問題数内訳
    レベル\サイズ 5 10 15 20 25 30 合計
    レベル1 4 10 15 43 13 4 89問
    レベル2 - - 5 67 48 12 132問
    レベル3 - - 3 16 33 12 64問
    レベル4 - - - 1 5 9 15問
    合計 4 10 23 127 99 37 300問
    画面スクロールが必須な20×20以上のサイズの問題が9割弱を占めており、レベル1からいきなり30×30の問題が姿を見せている。初心者にとっては難易度が高い。
  • えでぃっとモード
    • その名のとおり問題を自作して遊ぶモード。サイズの制限は「じっくり解く」と同じ。最大5問まで保存・上書き可能だが、消去は不可。
    • 作成した問題は解答が複数あったり複雑な仮定法を使ってようやく解ける問題でも保存できなくはないが、「もんだいちぇっく」機能でチェックして「こたえはひとつです」と出る問題が良質な問題と言える。
      • チェックした結果解答が複数存在する問題は「こたえがたくさんあります」と出て弾かれる。
      • また、初期状態から導ける確定マスが少ない問題は「かくていますがすくなすぎます」と出てやはり弾かれる。
    • 上記のチェック機能により、サイズはともかくほど良い難易度の問題を作るのには向いている。さすがに問題のタイトルやクリア後のカラーイラストまでは自作できないが。
      • なお、解答が複数存在する問題を意図的に作った場合は、作ったとおりの解答でないとクリア扱いにならない。当然悪質な問題であるため強引に保存するのは非推奨。チェック機能を通すのは忘れずに。
      • 複雑な仮定法を使わないと解けない問題も意図的に作れるが、スタートボタンによるメニューが開けないため後述のヒント機能が使えず、難易度がグンと跳ね上がるためやはり強引な保存は非推奨。
    • 隠し機能として、ゲーム内に収録されている問題を解いた後に保存すると、解いた問題がそっくりそのまま保存される。
      • ただし、既存の問題をコピペしてチェックしてみると「かくていますがすくなすぎます」と出ることもある。
    • また、チェック機能があるとはいえども所詮は90年代ハード。サイズの大きい問題ともなるとチェックには時間がかかる。
  • 対戦でバトル
    • モード名は重言な気がするが、要するに1Pと2Pとで同じ問題を解き、勝ち数を競う対戦モード。
    • 対戦開始前に何回戦勝負するかと問題のサイズを決める。問題のサイズは15×15まで。20×20以上が選べないのは盤面が画面からはみ出すからだろう。
    • 塗っていいマスを塗ると10ポイント獲得、逆に塗ってはいけないマスを塗ってしまうと相手にポイントを与えてしまう。ポイントが減ることはない。
      • この相手にポイントを与えるペナルティには大きな欠陥がある。詳細は後述の問題点にて。
      • 互いに獲得ポイントは9999でカンストとなるが、意図的に間違え続けない限りカンストすることはまずない。
    • 同点の場合は引き分けとなり、問題を変えて仕切り直しとなる。
    • どちらかの勝ち数が過半数に達した時点で対戦終了となり、勝者側にはでかでかと「大吉」のハンコが押される。
  • HOW TO PLAY
    • お絵描きロジックの「基本中の基本」となるルールを説明するモード。ガイド役はおーちゃんが担当する。文章はキャラ通り女王様口調だが残念ながらボイスはなし。
    • 説明の中身自体は特に矛盾や問題点はないのだが、本当に「基本中の基本」しか教えてくれないほか、高度なテクニックは教えてくれず、テンポも悪い。詳細は後述の問題点にて。

プレイ中の操作及びメニューの詳細

  • 基本操作
    • Aボタンでマスを黒塗り、Bボタンで×マークをつける。『ピクロスeシリーズ』のようにXボタンで仮置きすることもできる。
      • Yボタンでマスの状態を白マスに戻す。これは任天堂のピクロスと異なる操作だが、Yボタンでしか白マスに戻せないということでもある。
      • また、前述のとおり20×20以上のサイズの問題はLボタン+十字ボタンで画面をスクロールできる。
    • メニューはスタートボタンで開けるほか、左下にいるおーちゃんはセレクトボタンで表示・非表示を切り替えられる。
      • おーちゃんの非表示は大きい問題を解く際には間違いなくお世話になる機能だろう。問題が隠れてしまう以上仕方がないのだ。
  • メニュー
  • 紹介する項目の順番は右ボタンで選ぶ順番、項目右のカッコ内はアイコンとなるキャラクター名であると予め断っておく。
    • やりなおし(へべ)
      • 経過時間も含めて初期状態に戻す。
    • げ~むにもどる(うつーじん)
      • 文字通り、メニューを閉じてゲームを再開する。
    • せ~ぶする(ヂェニファー)
      • 今の盤面の状態を記録し、ゲームを続行するかモード選択画面に戻るか選ぶ。
      • 記録した後はレベルセレクト画面からロードすることで再開できる。
      • 記録した状態はロードしても消えることはなく、何度でもロードできる。逆に言えば、一度でも記録したらロードの項目は二度と消えることはない。
    • おしまいよ(すけざえもん)
      • いわゆるギブアップ、問題選択画面に戻る。
    • おぷしょん(ペンちゃん)
      • 背景を7種類のパターンから、BGMを4種類の曲から選べる。
    • ひんとだよ(おーちゃん)
      • 指定した1マスが塗っていいマスか塗ってはいけないマスかを教えてくれる。使用回数に制限はなし。
      • 後のワンダースワン版『おーちゃんのお絵かきロジック』とは違ってクリアタイムは記録されるが、ヒントを教えてもらうアニメーションの間もタイマーは動いているため、実質それがペナルティとなっている。

評価点

  • ピクロスNPシリーズ』に先駆けて導入された対戦モード
    • システムこそ違えど、任天堂の『ピクロスNP Vol.1』より先に対戦モードを導入するあたり、サンソフトは仕事が早い。
    • 2人同時プレイまでは先を越せなかったものの、約3年半先に本格的な対戦要素を取り入れた点は評価に値する*1
  • 適度にゆるいムードにしてくれる『へべれけ』シリーズのキャラクター
    • かないみか氏によるタイトルコールを始め、へべれけキャラクターのボイス付きのリアクションや画面左下に立っているおーちゃんのしぐさは見聞きしているだけで和ませてくれる。
      • さすがに画面をスクロールさせないと解けないサイズの問題になるとおーちゃんでマスが隠れてしまうが、セレクトボタンで消したり出したりできるので心配無用。
  • 自作の問題を友達に解いてもらう楽しみ
    • こちらも任天堂より先に導入されたシステム。任天堂がピクロスで問題作成モードを導入したのは『ピクロスDS』が初と、実に12年弱も先取りしている。
    • しかも複数解答や難易度調整に対するチェック機能も付いているので、既に過去のハードとなったとはいえパズル雑誌への問題投稿やネット上での問題公開においてもそれなりに通用するレベル。

賛否両論点

  • 『ピクロスシリーズ』に慣れているプレイヤーにとっては独特な操作方法とインターフェイス
    • まず、黒塗りしたマスを×マークで相殺して白マスにできない点がピクロスと大きく異なる。
      • それどころか、ABXYの各ボタンに割り当てられた役割が常に最優先されるため、白マスに戻すには必ずYボタンで消すことになる。
    • Xボタンでの仮置きは『ピクロスeシリーズ』の先駆けとも言えるが、20×20以上のサイズの問題がほとんど、かつ画面から盤面がはみ出す今作では『マリオのスーパーピクロス』の仮置き機能の方を採用してほしかったところ。
      • もっとも、仮置きによる複雑な仮定法を使う問題は今作には存在せず、自作問題で意図的に作ってもチェックすれば弾かれるため、マスのカウント等に使ってほしいという意味なのかもしれない。……それでも黒マスや×マークに上書きできてしまうのは不便だが。
  • 時間制限と塗り間違いの自動修正がない
    • 要するに『マリオのスーパーピクロス』の「ワリオのスーパーピクロス」とほぼ同じルールなのだが、初心者には厳しい。
      • 当然ヒントルーレットもなく、「?スタート」に該当する仮置き機能もない。パズル雑誌をスーパーファミコンで解いているような感覚に近いか。
      • 最終手段として「ひんとだよ」を使う手もあるが、悔しさは残るだろう。
  • 一度行うとやり直しのきかないコマンド等が多い
    • パズルを解いてる最中にボタン1つでマスの状態が変わるABXYの各ボタンを始め、一度でも決定するとレベルセレクト画面に「ロ~ド」の項目が焼きつく「せ~ぶする」、問題を作成して保存できる状態で選ぶと二度と「データがありません」に戻せない「えでぃっとモード」の「きろく」と、初期化できないものまで揃っている。
      • 特に「えでぃっとモード」が初期化できないのは人によっては不満を抱く要素となり得る。
      • 後述の問題点でも触れる「カラーイラストが表示された後の作品名表示と暗転を実行する」ボタンに至っては十字ボタンや何の役割も担っていないはずのRボタンも含めた全ボタンが該当する。
    • エンディングは一度見ると問題を再度クリアするたびに流れる。
    • 『ピクロスシリーズ』とは違って「全てのデータが初期化できない」。そういう意味では新品状態のこのソフトはプレミア物かもしれない。*2

問題点

  • 20×20以上のサイズの問題が大きすぎる
    • 初期状態の画面の位置では20×20以上のサイズの問題は盤面下側は確実に、右側は25×25以上のサイズの問題から画面からはみ出してしまうので、Lボタン+十字ボタンで画面をスクロールさせて解くことになるのだが、盤面は見えるがヒント数字が見えないという状況になってしまう。
      • これはスーパーファミコンの解像度の限界*3という理由もある。事実、『マリオのスーパーピクロス』では20×20のサイズの問題でも縦サイズはギリギリ、25×20のサイズの問題で画面いっぱいまで使いきっていたので、それ以上を求めるのは無理があって当然である。
      • とはいっても『マリオのスーパーピクロス』ではみ出さない20×20の問題が本作でははみ出すのには疑問符がつく。上下の背景が見えないように画面の位置を調整すればピッタリ収まるのだが、何故そうしなかったのだろうか?
    • 25×25までは盤面だけなら画面内に収まるが、30×30ともなればもはや盤面全体を画面に収めることすら不可能。ヒント数字などもってのほかである。
      • スーパーファミコンより解像度が高く、本作より先に発売したプレイステーション版でさえヒント数字が潰れていたというのに、同じサイズの問題を収録するには無理があると思わなかったのだろうか?
      • 仮に改善するとすれば盤面右側と下側にもヒント数字を表示させるという手も考えられるが、そもそもお絵描きロジック自体ヒント数字は盤面上側と左側に書いてあるのが普通なのでそこまで気が回らなくとも無理はない。
      • あえて強引に持ち上げるとするならば、パズル雑誌の問題はヒント数字と対応する列全体を必ずしも視界に入れられるとは限らないので、そういう意味ではリアリティがある、といったところか。
  • 完成時のカラーイラストが見切れたまま問題選択画面に戻される
    • このゲームの最大にして最悪の問題点。15×15までのサイズの問題は画面をスクロールできない(する必要もない)ので見切れる心配はないが、20×20以上のサイズの問題は見切れる可能性がある。
      • 20×20ならまだ可愛い方。25×25以上ともなると特に縦の画面サイズが狭い関係上見切れ具合がひどくなる*4。30×30ともなると前述のとおり画面内に収まりきらないため完成時のイラストは確実に見切れる。
    • そして問題選択画面で確認できるのはイラストのタイトルとクリアタイムのみ。つまり、大きい問題を解いたご褒美は中途半端な形でしか見られない。あまりにも理不尽すぎる。
      • 完成時のイラストが後から自由に見返せないのは『マリオのピクロス』も同様だが、あちらは完成時にちゃんとイラストの全体像が見られるのに対し、こちらは「完成時に見切れた部分は見切れっぱなしのまま暗転」という決定的な違いがある。
  • 対戦モードのペナルティ
    • 対戦モードの塗り間違いのペナルティは相手にポイントを与えるというものだが、ペナルティ発生の間隔が短すぎる。
      • 『ピクロスNPシリーズ』準拠で考えるなら1マスの間違いにつきペナルティ1回で良さそうだが、本作ではボタンを離すまでの間ずっとペナルティが発生する。
      • 結果、1マスの塗り間違いだけで数十ポイントものペナルティが発生してしまう。正しい塗りのポイントが1マス10ポイントなだけに、このペナルティは痛い。
      • 『ピクロスNPシリーズ』でもペナルティは1マス5ポイント減と痛いが、本作ほど極端なペナルティとは言えない。
  • ルール説明のテンポの悪さ
    • 文章はおーちゃんの口調である点が気になる程度でそれほど問題ではないのだが、早送りが一切できないという問題点を抱えている。
      • 早送りができないのは『マリオのピクロス』などと同じだが、文章表示のスピードと内容のテンポはあちらの方が格段に速くAボタンを押すまで待ってくれるのに対し、こちらはやたらと文章表示のスピードが遅いうえに自由に次の説明に移れない。
    • 説明の内容も精々「確実に塗れる、塗ってはいけないマスから処理する」程度ではあるものの、それは当時のピクロスシリーズとどっこいどっこいであるため問題点とは言いきれない。

総評

任天堂が『マリオ』のブランド名を使って出してきた「ピクロス」に対し、『へべれけ』のブランド名で対抗してきた「お絵描きロジック」。
問題のサイズの拡張、対戦モードの導入、オリジナル問題の作成機能などの意欲的な要素で勝負に出たものの、ブランド名の知名度の差、「ピクロス」との差別化の空回り、ハード性能を今一つ見極め切れていないなどの点でいまひとつ知名度に劣る。特にサイズが大きい問題は完成した絵を自由に見返せないという、このジャンルのゲームとしては非常に致命的な欠点がある。

題材やシステム面では決してわるいものではないが、約3か月前に発売されたばかりの『マリオのスーパーピクロス』の時点でゲーム機でのお絵描きロジックのシステム・ユーザビリティ等がほぼ完成されてしまっていたのが最大の不幸だったといえる。
せめて完成時のカラーイラストをじっくりと鑑賞できたなら『マリオのスーパーピクロス』に劣らぬ評価を得られたかもしれないだけに非常に惜しい作品である。


余談

  • 本作と同名のソフトがプレイステーション、セガサターン、ワンダースワンの3機種でも発売されており、概要で書いたとおり本作は3作目に当たる。
    • また、ワンダースワン版発売(2000年初頭)までの間にカラー問題を収録したプレイステーション版の続編1作、プレイステーション版2作の廉価版が発売されている。
  • 1問ごとの最大サイズではミクロスなどの分割問題を除けばピクロスに追い付かれてはいなかったが、ニンテンドースイッチの『ピクロスS4』でついに追い抜かれてしまった。
    • 一応『S4』までの時点では30×30以上のサイズの問題数だけはこちらの方が勝っている。
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最終更新:2024年03月09日 10:49

*1 セガサターン版も対戦要素があるが、発売日は本作の数日前。

*2 ただ今となっては電池外しのほか非公式な手段でも初期化する方法が存在し、そうでなくとも経年劣化により電池切れが起きて消えている可能性があるためそうなると再プレイには電池交換が必要になるが

*3 画面に表示できるドットの数。スーパーファミコンの場合は横256×縦224ドット

*4 盤面自体は画面内にギリギリ収まるが、意識して完成させない限り見切れる可能性大