少年アシベ ネパール大冒険の巻
【しょうねんあしべねぱーるだいぼうけんのまき】
ジャンル
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ADV
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売元
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タカラ
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開発元
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アドバンスコミュニケーション
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発売日
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1991年11月15日
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定価
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6,980円(税別)
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判定
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良作
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セーブファイル
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1つ
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ポイント
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タカラのアシベ3作で一番の宝 豊富な一枚絵 原作やアニメ版とは違った展開 相場も難易度も手ごろ
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概要
週刊ヤングジャンプにて連載されていた『少年アシベ』のゲーム化第2弾である。ジャンルはアドベンチャーゲーム。
アシベはスガオ君の事を思い出しどうしても会いたくなってネパール行きを目指すというもの。
相場も手ごろで難易度は非常に低いため、ファミコン初心者にも安心してすすめられる作品となっている。
特徴
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本作は、第1章「ゴマちゃんをさがせ」 第2章「アシベ がんばる!」 第3章「ネパール大冒険」で構成されている。
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原作やアニメでもネパールへ行く話はあったが、本作はそれらとはまた違った展開で構成されている。
登場人物
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本作ではアシベはもちろんのこと、友人である遊馬、まお、ユミコ、さらにじいちゃんの会社の面々などが数多く登場する。
+
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長いので畳む
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アシベと楽しい仲間たち
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芦屋 アシベ
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本作の主人公。パッケージの中央にいるナスビ顔の少年。
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夏休みをどう過ごすか楽しみにしていたが紆余曲折を経て、ネパールへ行くためにあらゆる場所で頑張る。
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ゴマちゃん
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ゴマフアザラシの赤ちゃん。パッケージではアシベの隣にいる。
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本作開始早々、どこかへ行ってしまったので、まずはゴマちゃんを捜すところから物語が始まる。中盤では足を引っ張ったり、終盤ではアシベ達を助けたり色々なやりとりを見せる。
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父ちゃん
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アシベの父親で大工で生計を立てている。芦屋社長の息子でもある。
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母ちゃん
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じいちゃん
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パッケージではゴマちゃんの後ろにいる。芦屋商事の社長で、ネパールへ行くために全面的にバックアップしてくれる。
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ペッペッペッ・ソーランアレマ
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パッケージではゴマちゃんの後ろにいる女性。芦屋商事の社員(秘書)というよりも社長の側近のような役目であり、通訳など色々手助けしてくれる。
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麻原 遊馬
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アシベの友人。いなくなったゴマちゃんを一緒に捜すために手伝ってくれる。
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天地 まお
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荒川 ユミコ
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南先生
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安西先生
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白鳥 かれん
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本作ではコイン投げのミニゲームを実演する。芦屋商事の社員。
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越 完治
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粗暴な事で知られているが猫には優しい。愛称はカンジくん。
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味田
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両々
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リャンリャンと読む。王々軒で働いており忙しいのが悩みの種。アシベが来た際は配達を任せる。
ネパールのスガオ君たち
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阿南 スガオ
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パッケージではアシベの人形を抱えている少年。目がするどく見た目は怖いが、実は大人しくて無口。現在はネパールで暮らしている。
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アニメとは理由が異なるが、アシベを捜しにジャングルまで向かってしまう。
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チット
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パッケージではスガオの隣にいる女子。スガオのガールフレンド。
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家庭教師(修行僧)
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パッケージではスガオの後ろにいる男性。スガオの家庭教師で、イエティから散々な扱いを受けている事で知られている。
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本作では露店をやっており酒を渡すと道のりを教えてくれる。
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イエティ
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パッケージにも登場している巨大な毛むくじゃら。食いしん坊としても知られている。
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アニメでは邪魔をしてきたのだが本作では持ち前の怪力でアシベ達を助け出したりする。その際は笑顔も再現されており怖いながらも頼もしさが伝わって来る。
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作中では登場人物にグラフィックが用意されており力が入っている。そして他にも色々な人物が登場する。
ゲーム内容
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アドベンチャーゲーム
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アシベは「話す」「調べる」「取る」「持ち物」「移動」などを選んで、あらゆる場所を回りそこで原作キャラと色々なやり取りをしていくのが本作の柱である。
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更には会話だけではなく、簡素ながらも、コイン投げ、クイズなどのミニゲームが用意されている。
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セーブ
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序盤で先生から日記帳を渡される。
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これをアイテム欄から使う事でいつでもどこでも何度でもセーブが可能。ただし残せるセーブは1つのみ。
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冒険
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アシベはネパールへ行くために長い道のりを越えなければならない。ドブをさらったり、バイトをしたり、はたまた飛行機の不時着に巻き込まれたり、ジャングルに行ったりと本当に大冒険となっている。
評価点
原作要素は豊富
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先ほど挙げた通り、原作で登場した人物が多数登場している。
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それぞれには一枚絵が表情豊かに豊富に用意され、ファミコンとしての再現度はかなりのもの。
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しかも、そういった原作キャラ同士のやりとりも豊富で面白い。
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舞台も豊富
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学校や自宅や会社などあらゆる場所に行くことが出来る。そして3章ではネパールでもホテルや洞窟など多彩である。
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演出も良い
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飛行機が飛び立つシーンなど演出も用意されている。
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ネパールでは3D迷路でジャングルの難しさを表現している。
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音声も頑張っており、ゴマちゃんやネコの鳴き声も表現している。
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電源を入れるとゴマちゃんが、タイトル曲にあわせてキュキュと鳴いて迎えてくれるのもプレーヤーを喜ばせた。
賛否両論点
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ネタバレ
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パッケージの時点で色々とネタバレしてしまっている。パッケージ裏の文章で第1章のあらすじが分かってしまう。
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難易度は非常に簡単
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本作は全体的に難所がない。制限時間に追われたり、難しい操作も一切要求される事はない。
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シナリオも本当に一本道。選択肢も地雷の類は一切なくゲームオーバーというものも無く、詰んだりする要素は無い。極端に言えば、何も考えずに適当に選択しても進行していくほど。
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ミニゲームのコイン投げは再挑戦が可能であり、クイズを外しても進行に問題は無い。
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あえて本作の難所をあげるなら3D迷路であろう。
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ジャングルの難しさを3D迷路で表現しており、流石にコマンドを選んだ直後にエンディングになるほど甘くはない。と言いたいところだが、その3D迷路も他作品に比べると簡素で狭いので、マッピングするまでもなく簡単にゴールまで到達できる。制限時間もエンカウントも一切ない。
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もしかすると、ファミコン全般で最も難易度が低い作品なのかも知れない。
問題点
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フォント
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文章は平仮名カタカナのみ。ファミコン時代なら仕方のないところではある。
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音声
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音声はゴマちゃんと猫のみで、他の人間キャラ等の声には対応していない。
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ファミコンの性能上から、声が再現できなかったのも仕方のないところではあるが。ゴマちゃんと猫が表現されているだけ、頑張っている方ではある。
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人物の声については、プレイヤーによる脳内再生で補っていただきたい。
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なお原作コミック版のみ知っている読者にとっては、イメージを崩されないという意味で、むしろ良点とも言える。
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セーブ仕様
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セーブファイルが1つしかないのは不便と言える。
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本作は完全な一本道であるため、簡素なパスワードで好きな回から始められる仕様の方が良かったと思われる。
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後に同社から発売されるSFC『少年アシベ ゴマちゃんのゆうえんち大冒険』ではパスワード式が採用されている。
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3D迷路
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手前が大きく奥が小さく見えるという品質は満たしているのだが、樹木の表示サイズは適当なもの。
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直線が続く箇所では奥に地平線と青空が見えるのでジャングルの表現としてはおかしい。勿論、そのまま歩いても出口ではなく木が現れる仕様になっているが、このあたりは地平線にならないように適当なブッシュでもあてがってあれば良かったのだが…。
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ゲーム性に支障が出るわけではないのだが気になる人は気になる。
総評
少年アシベの物語を豊富な素材と演出とともにファミコンの中に集約するのに成功した作品と言える。
原作のファンなら手に取ってみるのも良いだろう。
また、ファミコン自体を始めてみたいプレーヤーにとっても、アシベ達とともにファミコンに慣れていく事が出来るようになっている。
余談
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原作やアニメ版でも、アシベ達が社員旅行がてらネパールまで行く回がある。イエティの作戦によりスガオに会う事は出来なかったのが残念な回だったとされている。
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第2章では選んだ選択肢によって途中でルートが分岐し物語の結末が変わるのだが、マイナーゲーの宿命ゆえかほとんど知られていない。
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ネット上にもほとんど情報がなく、攻略サイトにも載っていないどころか、最速クリアを目指した動画でも解説で一切触れられていなかったりするほど。
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本作から1ケ月半前の91年9月27日には、同社から『少年アシベ ゆうえんちパニック』が発売されている。
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RPGなのにレベルアップの概念が無いこと、エンカウント率が高いことなどをはじめとしたバランスの悪さや、素材の雑さからクソゲーとされており、現在のところ投げ売りされている。
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翌年92年12月22日はSFCで『少年アシベ ゴマちゃんのゆうえんち大冒険』が発売される。
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遊園地を舞台にしたアクションゲーム。ゴマちゃんの動作は作り込まれているもののクリスマス商戦に間に合わせたため練り込み不足が目立つ。
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十数年後の2017年4月19日には、3DSで『少年アシベ GO!GO!ゴマちゃん キュ~トなゴマちゃんいっぱいパズル』も発売された。
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「少年アシベ ネパールへいくんだよ!」というボードゲームも発売されている。
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マンガ原作者である森下裕美は『マイライフ マイラブ ぼくの夢わたしの願い』のイラストも手掛けている。
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『少年アシベ』は連載終了後も、4コマ漫画の『COMAGOMA』として復活。さらに月刊アクション(双葉社)にて高校1年になった『青少年アシベ』(原作:森下、作画:笑平)、漫画アクションにて4コマ漫画『小3アシベ QQゴマちゃん』と、様式を変えながら2021年現在も物語が続いている。
最終更新:2022年07月21日 19:32