ヨーロピアンゲームコレクション

【よーろぴあんげーむこれくしょん】

ジャンル ヨーロピアン・テーブルゲーム


対応機種 PlayStation 2
発売元 ディースリー・パブリッシャー
開発元 トムキャットシステム
発売日 2003年9月18日
定価 6,800円
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:全年齢対象 (A相当)
廉価版 SIMPLE2000シリーズVol.69 THE ボードゲームコレクション
2005年1月6日/ 2,000円
周辺機器 デュアルショック専用
マルチタップ対応
判定 なし
ポイント 非常に珍しいユーロ系テーブルゲームの電源ゲーム化
元々のゲームは面白いが所々の仕様に粗が目立つ

概要

実在するヨーロッパ生まれの非電源テーブルゲーム5種を1つのソフトに収録。
ヨーロッパではテーブルゲーム市場が非常に盛んで現在でも様々なタイトルが発売されており、他国のテーブルゲームには無いユニークさやその場で理解できるほどシンプルなルールながら奥深いゲーム性が受けて、ユーロゲームもしくはドイツゲームというジャンルで近年日本でも愛好家を増やしつつある。(詳しい解説はWikipediaのユーロゲームのページに譲る。)

本作は、そんなヨーロッパのテーブルゲームをヨーロピアンゲームという総称で各ゲーム出版社から正式にライセンスを取得してカップリングし、PS2に移植したソフトである。

開発は、SIMPLEシリーズの『THE ヘリコプター』や『THE 推理』などを担当したトムキャットシステム。

特徴

  • 収録タイトル
    タイトル プレイ人数 ゲームデザイナー 初版の発売年 備考
    ガイスター 2人 アレックス・ランドルフ 1981年 1982年 ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート
    カルタヘナ 4人 レオ・コルヴィーニ 2001年 2001年 ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート
    2001年 ドイツゲーム賞6位
    2001年 オーストリアゲーム大賞「家族で遊ぶゲーム」部門受賞
    フロカティサーカス 4人 ライナー・クニーツィア 1998年 2000年 USゲーム100選ベストファミリーカードゲーム
    ミッドナイトパーティ 6人*1 ウォルフガング・クラマー 1989年 1989年 ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート
    原始スープ 4人 フランク・ナステル 1998年 1998年 ドイツゲーム賞2位*2
    ゲームタイトルやプレイ人数、デザイナー名の表記などが現在と一部異なるが、本稿では説明書の記載内容に準ずる。
  • 2人専用であるガイスター以外のゲームは本来であれば表記されている人数以下でもプレイ可能だが、本作では不足した人数分は必ずNPC(CPU)が入る仕様となっている。

ゲーム解説

+ ガイスター
  • ガイスター(Geister)

    今夜も時の流れの中で忘れ去られた要塞の廃墟の地下迷宮で、
    幽霊達が旧陣営での敵味方に分かれて試合を行います。
    試合の勝敗に関わらず、良い幽霊は地上に出て自由になる事を夢見ています。

  • 6×6マスのボード上にある自分のオバケの駒を互いに動かし、敵の駒を取ったり敵陣にあるゴールからの脱出を目指すことで勝利を目指す将棋やチェスに似た2人用のゲーム。
  • 交互に手番を行っていき、手番になったら自分のオバケ駒を一つ選んで動かして進める。この時に敵駒があるマスに進めるとその敵駒を取ることができる。
    • オバケ駒には 青いオバケ(良いオバケ) 赤いオバケ(悪いオバケ) の2種類があり、それぞれの駒は駒の裏側にある色を確認しないと判別できないようになっている。
    • 自分の 青いオバケ を敵陣のゴールから1個でもボード上から脱出すれば勝利となる。但し、自分の 青いオバケ を全て取られるとその時点で負け
    • 一方、 赤いオバケ では脱出勝利は出来ないが、自分の 赤いオバケ が全て取られると勝利。敵にわざと取らせるために 青いオバケ のフリをして進ませるのが主な使い方となる。
  • ゲーム開始前に1人で各4つずつ計8個のオバケ駒を配置してスタート。この時、所定の配置場所ならばどちらの駒を置いても良い。ゲームは駒の初期配置を決める所から始まっている
  • 駒の種類で動き方や強さに違いはなく、 青いオバケ 赤いオバケ も移動範囲は上下左右の一歩のみ。駒の捕獲もマスに進めた側が一方的に取ることになる。
  • 取った敵駒はゲームから除外される為、将棋のように自分の駒として再利用はできない。
  • 将棋やチェスに似たゲームでありながら、駒の正体を隠すという心理戦の要素が含まれるユニークなゲーム。とてもシンプルなルールなのでテーブルゲームに慣れていない人にもオススメ。
  • 本作を用いて人間同士の2人プレイも可能だが、2人プレイ時では駒の種類をコントローラーの振動で判別する仕様となっている。*3
  • 余談だが、本作のディスクにはガイスターのゲームボードをあしらったデザインをされており、収録ゲームの中で本作を代表するゲームとなっている。
+ カルタヘナ
  • カルタヘナ(Cartagena)

    その昔、カルタヘナ島に収容された海賊達が決起して脱走を図りました。
    囚われの船長達は補充を受けに戻ってくる仲間を分け隔てなく助ける条件で同盟を結んでいましたが、
    その同盟も自分の配下が全員脱出用ボートに乗り込むまでだと考えていました。

  • 自分の配下である6人の海賊をカルタヘナ島から全員脱出させるゲーム。ゲームシステムを分かりやすく表すとサイコロを使わずにカードで駒を進める双六
  • ゲームボードは1本道のルートとなっており、双六のマスを表すドクロやナイフなどのアイコンが書かれている。
  • アクションとして手札のカードを消費することで、自分の海賊駒を1つ進めることができる。カードにはゲームボードに描かれているアイコンのいずれか1つが描かれており、消費したカードのアイコンの描かれた「空いているマス」まで移動する。
    • すでにそのマスに1個でも駒がある場合、そこを素通りしてその次のアイコンマスまで移動できる。そこにも駒がある場合、更にその次のアイコンマス…と見ていく。その為状況次第では1回の移動で大きく移動することが可能で、場合によってはスタートからたった1アクションでゴールすることも可能
  • カードの補充は自動的に行われず、アクションで山札からの補充が可能。但しカードを補充する度に自分の海賊駒を他の駒(自他問わず)がいるマスまで戻さなくてはならない。戻したマスに元々いた駒の数分カードを補充できる。この時既に3個の駒があるマスには戻せず素通りし、更に後ろの止まれるマスまで戻さなくてはならない。(なので1アクションでの補充は2枚まで。)
    • つまり1つの駒だけゴール付近まで進んだとしても他の駒がすべてスタート近くにいるならば、補充するためにはその駒をスタート付近に戻さなくてはならない。ただし別の駒をスタート付近で行ったり来たりすれば先行した駒を戻さずにカードの補充が可能。マスが埋まるので必然的に他のプレイヤーの駒が進みやすくなるが。
  • 自分のターンでは上記の「カードを消費して駒を移動」 or 「駒を戻してカードを補充」のアクションを3回行える。補充と移動を組み合わせたり、1ターンで3回一気に移動したり、まとめて3枚補充したりできる。
    • 本作では「駒を移動」アクションがなぜか、「スタートから駒を進める」と「マスから駒を進める」アクションに分かれている。内容はほぼ同じなのだが……
  • ゲームボードはランダムに組み合わせられるため、駒を効率的に進められる強いカードなどはゲーム毎に異なる。またボードに工夫があり同じアイコンは極端に偏らない仕組みになっている。
  • 版によって手札の公開/非公開や補充の際にある程度カードを選べるなど複数のルールあるが、本作の収録ルールは手札は公開・補充はランダムで固定。
+ フロカティサーカス
  • フロカティサーカス(Zirkus Flohcati)

    「ノミだけが出演するサーカスが見たい」
    王様のその一言でその騒ぎは始まりました。
    王様の前で公式の公演を許される為には
    10種類の種目を演ずるノミを全て集めないといけません。

  • 10色のカードを集めて高得点を目指すゲーム。収録ゲームの中では唯一のカードゲーム。
    • 自分のターンでは山札からカードを好きな数だけ1枚ずつめくって場に出すことができる。ただし既に場に出た同じ色のカードをめくってしまった場合は即座にターンが強制終了(バースト)。
    • バーストしていなければ、好きなタイミングで場に出たカードを1枚手札に加えることができる。山札から1枚もめくらずにカードだけ取ることも可能。
      • 手札にあるカードは、ゲーム終了時に各色ごとに最も数が大きいカードの数だけそれぞれ得点となる。
    • また手札をカードを加えた直後に手札から同じ数字のカードを3枚公開すると「コンボ」になり、カードの数字に関係なく3枚セットで10点となる
      • 公開時点で手札から離れるので数字分の得点は獲得できなくなるが、低い数字の得点アップにつながったり、後述のアクションカードの対象から外される。
    • 山札の中には3種類のアクションカードがあり、相手の手札からカードをランダムに奪ったり、手札のカードを要求したり、バーストするまでめくって確実に1枚獲得できる。アクションカードのデメリットは無いので引けたら単純にお得。
    • 山札が無くなるか、手札に10色すべて揃えたプレイヤーが出たらゲーム終了。後者の条件で終了した場合は、条件を満たしたプレイヤーがボーナスとして10点獲得できる
  • バーストのペナルティが重いが、欲しいカードの為にどんどんめくりたくなるジレンマが楽しいゲーム。得点計算が少し独特なので一見複雑そうだが、やること自体は主にカードをめくるだけなのでルールがわかれば誰でも楽しめる一作。
  • このゲームのみ、開始時に「ノーマルルール」かよりスリルのある「ローカルルール」が選べる。ローカルルールでは、「場のカードを全て獲得できる」「手札が10枚以上の時にバーストすると半分捨てなければならない」「4枚以上でもコンボを作ることができ、コンボ枚数が多いほど高得点(後付けなし)」と派手な展開になる。
  • 余談だが、現在は日本で「なつのたからもの」という大胆にリメイクしたタイトルで発売中。ルール自体はフロカティサーカスと全く同じ。
+ ミッドナイトパーティ
  • ミッドナイトパーティ(Midnight Party)

    とある古城の地下室には数百年前からヒューゴという名前の幽霊が住み着いています。
    孤独な日々を送っている彼(あるいは彼女)の為に、領主は毎年彼(あるいは彼女)の
    誕生日と目されている日にパーティを開き、ジョークの分かる人達を呼び寄せます。

  • サイコロを振り自分の駒を進ませる双六タイプのゲーム。
    • ただしゴールは無く、後ろから追いかけて来るオバケのヒューゴに捕まる前に道中の部屋に逃げ込むことが目的。ゲームボードのルートは時計回りの回廊状になっており、部屋に逃げ込まないとループし続ける。
  • ミッドナイトパーティで使用するサイコロは、3と6の目が無い代わりにオバケの目が2つある。オバケの目を出してしまうと自分の駒は動かせず、代わりにオバケのヒューゴが固定で3マス進む。
    • この時にオバケのヒューゴはすれ違った駒を全て地下牢に閉じ込めてしまう。地下牢に閉じ込められた駒の持ち主は失点となる。地下牢に閉じ込められる前に部屋に逃げ込めば捕まることはない。
  • 部屋には点数が増減する+3の部屋-1の部屋があり、+3の部屋はぴったりの出目でしか入れないが見事入ることができたら3点獲得できる。逆に-1の部屋は入ると失点になるが、オバケのヒューゴに捕まるよりは失点は少ない。
  • 部屋はいつでも入れる訳ではなく、ルート上にオバケのヒューゴが出現したら入れるようになる。
  • 3ラウンド行って合計得点が多いプレイヤーの勝ち。マイナス点で終わることが多いが
  • 身も蓋もない例えだが、双六で行う椅子取りゲーム。+3の部屋を狙うか安全に逃げるかの判断も重要だが、ほぼサイコロの運次第。ソフト内説明書でも「このゲームは感覚的に楽しまないと損です。」と書かれてしまっている。
  • 本作は6人プレイまでだが、リアルボードゲーム版では8人まで対応。それだけプレイヤーもいれば中々カオスな展開に。
+ 原始スープ
  • 原始スープ(Ursuppe)

    原始の海に生まれたアメーバ達が遺伝子の進化を通じて
    その生物としての限界を打ち破ろうとしています...。

  • 収録ゲームの中では唯一の中~重量級。その分ルールも難しめだが本格派ボードゲームが楽しめる。
  • 自分のアメーバを2匹持ってスタート。アメーバの生存には食事が必要で海に漂っている食料を食べなければならない。得点を獲得するためにアメーバを分裂して増やしたり、有利な能力を得るためにアメーバを進化できる遺伝子カードを獲得していく。
  • アメーバは自分の色以外の3色の食料を1つずつ食べて、排泄物として自分の色の食料を2個排出する。
    • 最初は食料が豊富でも、排泄物があるとはいえいずれ徐々に色が偏ったり枯渇したりしていく。そもそも初期状態ではアメーバは基本的に潮の流れに流されていくことしかできないので、食料があるマスに到達することもままならない。
    • もし、食料が足りなかったアメーバはダメージを受けてしまう。2回ダメージ受けるとそのアメーバは死んでしまうが食料を各色2個ずつ残していく。
  • 遺伝子カードの購入にはお金のような役割のバイオポイント(BP)が必要。遺伝子カードには移動を有利にする能力・他プレイヤーを攻撃する能力・防御の能力など自分に有利な様々なカードが存在する。しかし、遺伝子カードを持ちすぎることによるペナルティも。
    • またBPも毎ラウンド10ポイント補充されるが、潮に逆らう移動・アメーバの増殖・遺伝子カードのペナルティ軽減など様々な使い道があるので使いどころを見極めたい。
  • 毎ラウンド終了後にアメーバや遺伝子カードの数で得点を獲得。多く持つほど獲得できる点数が多くなる。16ラウンド経過かいずれかのプレイヤーが40点到達で終了。
  • 他のゲームが現在でも何らかの方法で入手・プレイできる中、原始スープは絶版になっており中々お目にかかれない。中古の取り扱いも無い訳ではないが、1~3万円程のプレミア価格が付いている。

評価点

  • ユーロ系テーブルゲームの電源ゲーム化
    • テーブルゲーム題材のゲームは沢山あれど、いわゆるユーロ系ボードゲームにスポットを当てたゲームは非常に珍しい。
    • 最近は個別タイトルでのPCゲーム化、アプリ化などが増えてきたが、複数ゲームのカップリングソフトでは2021年現在でも唯一無二。
    • 最近でこそボードゲームショップやボードゲームカフェの増加、動画サイトやブログによる紹介などでユーロ系テーブルゲームの存在や知名度も少しずつ上がってきているが本作の発売は2003年。物凄いチャレンジング精神と言わざるを得ない。説明書や公式サイトの力の入れようといい開発者の中に熱心なマニアでもいたのだろうか。
  • 非常にお得なゲーム内容
    • 各ゲーム平均3,000円以上はする5本のゲームが6,800円で遊べるのは非常にお得。更に廉価版だと2,000円なので凄まじくコストパフォーマンスが良い。
      • 原始スープの項でも触れたが、ゲームによっては絶版で入手不可、良くて1万円以上のプレミア価格がついてることもあるので人によってはそれだけで元が取れる。
  • 収録ゲームのチョイス
    • ガイスターやミッドナイトパーティなどテーブルゲーム未経験でも遊びやすいタイトルが選出されている一方で、原始スープをチョイスするマニアックな選出。同じボードゲームというジャンルでもそれぞれのゲームはルールも切り口も大きく異なり、テーブルゲーム集にありがちな類似ゲーム被りを避けている。
    • 収録されているタイトルはいずれも何らかのゲーム賞を受賞しており、一定の面白さが保証されている。
    • ガイスターとミッドナイトパーティ以外は本作発売当時(2003年)から5年以内の比較的新作からチョイスされている。
  • 原作ゲームと同じアートワークを使用している
    • ゲームボードやカードなどのデザインやイラストはそのまま原作から引用している。正式にライセンスを取得しているのだから当たり前だが、見た目のデザインも重視されるユーロゲームでは地味ながら重要なポイント。
    • カルタヘナとミッドナイトパーティは原作のボードはイラストのみで平面的だが、本作では壁や階段などが立体化されている。この2作に限りゲーム中の視点変更も可能。視認性は置いといて原作を知る者から見たら新鮮。
    • また、ゲームの開始時には各ゲームのボックスアートが表示される。実際のボードゲームの箱を開けて遊んでる感が出る良演出。
    • ただし本当にそのまんま引用しているので、フロカティサーカスや原始スープのカードテキストは未翻訳。この仕様のせいでフロカティサーカスにおいてある問題が発生している。詳しくは問題点にて後述。
  • 一人でも遊べる
    • 電源ゲームなので当たり前のことだが、プレイヤーが足りない場合はCPUが相手をしてくれるのでとりあえず遊んでみたい場合は嬉しい機能。
    • CPU(NPC)は6キャラクターが用意されている。少年や眼鏡のオタク風男性、この手のゲームと無縁そうな主婦やギャルと様々。状況に応じてキャラにあったセリフも表示される。
    • NPCのキャラクター名はどこかハンドルネーム的。ボードゲームのオープン会の参加者を意識したのだろうか
  • ルール間違いが無い
    • これも電源ゲームなので当たり前のことだが、リアルでテーブルゲームを遊ぶ時はルールの解釈を間違えたり一部のルールを忘れたまま進行したりすることがよくある。場合によってはそのゲームの重要なルールを間違えたりするとクソゲー化することも珍しくないので、その様な事が無いのは安心。

賛否両論点

  • プレイヤーセレクト画面で好きな名前を入力できるのだが、なぜかケータイ(ガラケー)入力で入力しなければならない。慣れていない人からすれば不便極まりない。
    • 名前の他に性別や誕生日も登録できるが、立ち絵が表示されるわけでもなく、イベントも起きないので意味は無い。
    • ちなみに最初に登録されているデフォルトネームは「^O^;」「(TT)」「(;;)」「#^^#」の4名(?)。まさかの顔文字
      • ケータイ入力といい顔文字といい、発売当時の時代的に携帯のEメールが普及していた頃の影響だろうか。
  • ストーリーややりこみなどの要素は皆無。ただゲームを遊ぶことしかできない。
    • 隠し要素があるわけでもなく、「このゲームが遊びたい!」という目的でもなければモチベーションは起きにくい。
    • 隠し要素や実績に囚われずシンプルでわかりやすいという声もある。
  • テーブルゲームと据置機であるPS2との相性
    • 本作は据置機のPS2で原作ゲームを再現するために、手札の無いゲームや手札を隠さないタイプのゲームばかりが選出されている。
    • ガイスターも本来は1画面で対人戦を再現するには無理がある。もし携帯機で発売されていれば…と思わざるを得ない。
    • 評価点でも述べた「アートワークの再現」にこだわっている辺り、2003年当時の携帯機では原作のアートワークが十分に再現できないと判断されたのかもしれない。

問題点

  • 各ゲームごとの問題
  • ガイスターの場合、1人プレイでは特に問題はないが、人間2人プレイの場合は駒の種類を振動で判別する仕様となっている。
    • 使用するコントローラーによっては振動の音で駒の種類がバレてしまう危険がある。
  • カルタヘナは、駒の移動アニメーションがご丁寧に1マス1マス踏んで進むので待ち時間が長く非常にテンポが悪い。移動距離が長い時はアニメーションが高速化されるが任意での早送りは出来ない。
    • 盤面のアイコンも小さく判別しづらい。拡大や視点変更は出来るものの当然拡大するとボード全体が見渡せない。ゲームの性質上頻繁に全体を見渡す必要があるのでストレスがたまる。
  • フロカティサーカス
    • 手札の視認性が悪い。同じ数字のカードは重なって下にずれて表示されるのだが、ほんのちょっとしかずれないので何枚あるかわかりづらい。この頃のモニターはアナログ接続が主流。今のモニターの様に精細に表示されないので手札の表示が滲んでしまう。
    • アクションカードも3種類あるのだが、前述の通りカードテキストが日本語化されておらず、背景色で判別しなければならない。そもそもテキストが潰れて読めない
    • アクションカードをめくっても「アクションカード!」としか表示されず、即座にプレイヤーを指定しなければならない。何が起こるかわからないのに誰を指定しろと?
    • 一応ソフト内解説で説明はされているが、後述の通りゲーム中はルールが確認できないため色と効果を結びつけるしかない。「アクションカード!」と表示できるなら一緒に効果も併せて表示するべきではないだろうか。せめて説明書に効果を書いてくれれば……
  • ミッドナイトパーティ
    • 人間6人でプレイ不可。どのゲームも人間プレイヤーは4人までしかエントリーできず、必ずNPC2人が入る仕様となっている。人間6人でコントローラーを回してプレイする仕様には出来なかったのだろうか
  • 原始スープ
    • 遺伝子カードの効果が、購入時にしか確認できず不便。こちらもカードテキストは未翻訳だが、効果の内容は別ウィンドウで日本語で説明してくれる。
    • アメーバの食事のSEが不快。アメーバなのになぜゲップの音オナラの音がするのだろうか。
  • 特定の人数でしかプレイできない
    • 人間プレイヤーが規定の人数に足りない場合は、必ず不足分NPCを参加させなければならない。2人専用のガイスターではあまり問題にならないが……
    • 原作では2~3人プレイが可能であっても、必ず4人(ミッドナイトパーティは6人)設定しかできない。このせいで人間同士だけで遊ぶことが難しくテンポが悪い。
  • NPCの仕様
    • 難易度設定などもなく、誰を選んでもAIはほとんど同じ。顔と名前とセリフの違いぐらいしかない。
    • そのセリフもパターンが少なく、何回か遊んでいるうちに飽きてくる。
  • 一度ゲームが始まったら途中中断不可。人間・NPCの設定変更やルール確認も一切できない。
    • スタートボタンを押してもゲームを途中で終了するかどうか聞かれるだけ。しかも途中終了すれば全員負け扱い
  • 意味のないセーブ機能
    • セーブ機能はあるのだが、成績をプレイヤー4人分まで保存できるのみ。ゲームの途中保存などは出来ず、更にゲーム終了時にしかセーブ不可。
    • 上述の通り途中終了は負け扱いだが、セーブをキャンセルすれば問題ない

総評

それぞれのタイトルは奥深いルールのものが多くて面白いのだが、快適とは言えない所々の雑な仕様が目立つ。
下手すればクソゲーに片足を突っ込んでいる出来だが、専門のゲームデザイナーによって考えられたシンプルながら奥深いルール、ユニークなアートワークなどといったヨーロピアンゲームの魅力をPS2で出来るだけ再現しようという熱意は見られる。
そんなユーロ系テーブルゲームの電源ゲーム化という開発者やパブリッシャーのチャレンジング精神は評価したい。
もし本作を遊んだことがあったり、ヨーロピアンゲームに興味を持たれたなら、原作のボードゲームや他のヨーロピアンゲームにも是非触れてみて頂きたい。


その後の展開

  • 後にSIMPLE2000シリーズの一作として廉価版も発売された。
    題名は『SIMPLE2000シリーズ Vol.69 THE ボードゲームコレクション』。

余談

  • 本稿では触れなかったが説明書や公式サイトはかなり気合いの入った内容となっており、ゲーム内容の他にもゲームデザイナーの顔写真付き紹介、ゲーム制作の裏話、本作とは無関係な原作ゲーム版に関する補足などが記載されている。一見の価値あり。
  • 「ヨーロピアンゲームコレクション」にはマグネット式の「ミニガイスター」が付属していた。将棋やオセロによくある磁石で駒をボードにくっつけるトラベル用ボードゲームのガイスター版である。一見便利そうな代物だが、個体によっては駒の作りが非常に粗雑で表から種類が判別できてしまうという報告がある。具体的には駒の頭頂部にバリが残っていたり、駒の高さや傾きがバラバラで一度遊ぶと駒の特徴で種類がわかってしまうという物。こんなところまで雑なのか

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2021年03月16日 11:50

*1 ソフトの仕様上、人間プレイヤーは4人まで

*2 説明書及び公式サイトでは「ドイツゲーム大賞2位」となっているが、正しくは「ドイツゲーム賞」。日本語表記が似ているので紛らわしいがドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres:第三者機関による選考制)とドイツゲーム賞(Deutscher Spiele Preis:ファンによる投票制)は選出方法から全く異なる。(そもそも選考制なのでランキング等は無い)

*3 自分の駒にカーソルを合わせて△ボタン。当然画面上には何も表示されない。