GEM CRASH

【じぇむ くらっしゅ】

ジャンル ブロック崩し
対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 DOUBLE DRIVE GAMES
配信開始日 2018年11月15日
定価 980円
プレイ人数 1人
セーブデータ 1箇所・オートセーブ方式
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
ポイント 2018年クソゲーオブザイヤー据置機部門次点
壁の360度回転でジェムを破壊していくブロック崩しゲーム
全編通して運ゲー&作業ゲー
強化アイテム価格の手抜きかつ凶悪な価格上昇曲線
あまりにも少なすぎるステージ数
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧


概要

北海道のメーカーであるダブルドライブ合同会社からリリースされた、Nintendo Switch専用ダウンロードソフト。
同社初の家庭用参入ソフトでもある。

ジャンルはブロック崩しだが、ブロックにあたるものがジェムに、パドルにあたるものが壁全域になっているのが特徴的。


ゲームルール

  • ゲームの流れ
    • 全5ステージからプレイしたいものを選び、制限時間の中でハイスコアを目指していく。
      • ゲーム初回時では最初のステージしかプレイできず、残り4ステージの選択は下記のプレイヤーレベルが一定まで到達すると解禁できる。
  • ステージルールと操作体系について
    • 円型の壁の内部に様々なジェムが多数散らばっており、浮遊しているボール*1をジェムに当てて破壊していく。
      • 単純に壊せば得点になるだけの一般的なジェムは、壊してもランダムな場所に無限に湧いてくる。それとは別に、ギミックやゲームの補助に関わる特殊なジェムが特定の周期で特定の位置に発生する。
      • 本作は制限時間60秒のスコアアタック方式であり、クリアやミスの概念は存在しない。制限時間が0になるといかなる状況であってもステージ終了。
    • ステージ中の操作はアナログスティックまたはLRボタンで、壁の外壁及び内壁の360度回転を行うのみとなる。
      • ブロック崩しでいうところのミスゾーンが存在せず、一度発生したボールが失われる要因はない。
      • ジェムを破壊すると、本作のお金である「クリスタル」を1個につき1つ獲得できる。
    • ステージ終了後は「獲得スコアの総数」「獲得したクリスタル」「獲得経験値」の結果発表となる。
      • 原則としてジェムの大量破壊とフィーバータイムの発生回数が多いほどにスコア等が多く稼げる。ハイスコアを出すとステージ別で記録される。
  • フィーバータイムについて
    • 各ステージにおいて特定の位置に設置されているプリズムジェムにボールを当てるとゲージが溜まり、満タンになるとフィーバータイムが発生する。
      • フィーバータイム中は 「通常状態にあった壁やギミックが全て取り払われる」「ボールのスピードが上がる」「スキルが発動してボールの数、威力が増加する」「壊すと高得点になるボーナスジェムが中央に出現する」 といった効果が受けられるため、莫大なスコアやクリスタルが稼げるチャンスとなる。
      • フィーバータイムの時間は約10秒で、その間制限時間は一旦停止する。時間切れになると通常の状態に戻るが、約8秒経過すると再びプリズムジェムが復活するため、再度ゲージを溜めればまたフィーバータイムへと突入できる。
      • そのため、本来の制限時間は60秒だが、ゲームが進みフィーバータイムを楽に取れるようになると、実際のプレイ時間は1プレイ120~150秒程度になることも多くなる。
  • ジェムとボールの種類について
    • ステージ中に登場するジェムや仕掛けの種類を以下に表記する。
+ ジェムとボールの種類一覧
ジェムの種類
ノーマルジェム(白) 全編通して最も多く登場するジェム。通常・フィーバータイムを問わず無限に湧いてくる。
破壊するとスコアとクリスタルが手に入る。耐久度は非常に低い。
ハードジェム(緑) 出現頻度高めのノーマルジェムの上位版。通常・フィーバータイムを問わず無限に湧いてくる。
破壊すると高めのスコアが手に入る。耐久度は中程度。
ゴールドジェム(黄) 出現頻度低めのハードジェムの上位版。通常・フィーバータイムを問わず無限に湧いてくる。
破壊すると高いスコアが手に入り、さらにはノーマルジェムに分裂する性質あり。耐久度は高い。
プリズムジェム(水色) 通常時において固定配置されているジェム。フィーバータイム時では出現しない。
プリズムジェムにボールをある程度当てるとフィーバータイムが発生し、フィーバータイム終了後約8秒経過すると再度復活する。
ボーナスジェム(赤) フィーバータイム時のみに出現する中央固定配置のジェム。他のジェムと比べてビッグサイズとなっている。
耐久度が非常に高く、破壊すると莫大なスコアが入る。破壊後に再度フィーバータイムに突入するとサイズが大きくなり、耐久度とスコアが増した上位版が出現する*2
スプリットジェム(青) 通常時において端側に固定配置されているジェム。一定間隔で出現し、破壊する度に新たなボールが追加される。
ボールの種類
ボール 水色のボール。初期状態では1個のみだが、サポート強化やスプリットジェムの破壊によりボールの数が増していく。
爆発ボール フィーバータイム限定で登場する赤いボール。圧倒的な数と爆発力でジェムを一斉破壊してくれる。
  • カスタマイズとサポートについて
    • それまでに稼いだクリスタルを消費して、カスタマイズによるスキルの強化が行える。スキルは全6種類あり。
      • ボールを強化するスキルとして「攻撃パワー」「スピード」「貫通パワー」があり、各スキルはレベル0から始まり最大レベル10まで強化可能。
      • フィーバータイム時で発揮されるスキルとして「爆発」「増加」「範囲攻撃」があり、各スキルはレベル0から始まり最大レベル5まで強化可能。
      • クリスタルの消費量はスキルによって異なり、各スキルをレベルアップするたびに多額のクリスタルが必要となる。一度強化したスキルは永続的に効力が続く。
    • カスタマイズとは別でクリスタルを消費し、サポートによる強化も行える。強化はステージ1回分のみの消耗品となる。
      • サポートは「制限時間やフィーバータイムの延長」「初期状態のボールが2個になる」などの効力があり、複数のサポートを同時強化する事も可能。
      • ゲーム開始時はサポート強化は行えず、特定のプレイヤーレベルを上げ次第に順次解禁されていく。サポートの総数は全8種類だが、一部内容に重複はある。
  • プレイヤーレベルについて
    • 経験値を特定まで溜めるとプレイヤーレベルが上がり、到達値によって以下の恩恵を受けられる。
      • 表立った恩恵としては「新ステージの解禁」「新たなサポートの解禁」「ステージ終了後のスコアボーナス加算」が該当。

問題点

  • ブロック崩しとしての破綻
    • 本作最大の問題として、ボールが増えてくるとプレイヤーの操作より運に依存し、操作が殆ど意味をなさなくなる点が挙げられる。
      • 一般的なブロック崩しの場合、「ボールとパドルの当て方によって跳ね返る角度を調整し、壊したいブロックを狙っていく」という行動がデフォルトである。
        しかし本作の場合は「ボールの跳ね返り方が常にデタラメなため、狙ってジェムを当てるのはほぼ不可能」という仕様となっている。
      • それに加え、普通にプレイしても画面狭しの状態で多数のボールが入り乱れる状況となるため、壁の回転操作をする必要性もほとんどない。
    • とは言え、本当に全く操作の要らない「運だけのゲーム」ならまだ放置しておけばいい分マシではある。しかし、ゲーム開始直後に配置されるスプリットジェムはすぐにボールの近くまで回転させて壊し、ボールの数を増やさないとその後の効率が全く違ってくるため、まったく放置する訳にもいかない。
      • これが後述の作業性と相まって負の相乗効果が生まれており、 作業を「苦行」に変える 大きなファクターとなっている。
  • 強化がものをいう劣悪ゲームバランス
    • ゲーム初回時におけるボールの性能は貧弱そのものなのに対し、カスタマイズやサポートの強化次第で性能がインフレ化してくる
      • そのため、クリスタルを稼いでカスタマイズやサポートの強化につぎ込めば、同じステージにおいてスコア等の稼ぎ具合に天地の差が発生する。
      • 各ステージにおけるハイスコアは強化の状態に関係なく記録されるため、一通りの強化をした上で後出しプレイした方が確実にハイスコア到達ができてしまう。
  • 露骨なまでの作業の押し付け
    • 上記の通り、強化をしないとまともなスコアが稼げないにもかかわらず、強化に必要なクリスタルがかなり高額。
      • 初期のカスタマイズにおける必要な1回あたりのスキル強化はおよそ1,000クリスタルだが、レベル上げをするたびに大幅な値上がりが発生してくる。
      • というのも当たり前で、ボール強化(10段階)は1回強化の度に 次回の強化必要量は1.33~2倍 、スキル強化(5段階)は1回強化の度に 次回の強化必要量は2~4倍 *3となっているのである。最終レベルで言えばボール強化レベル10は レベル1の144倍 、スキル強化レベル5は レベル1の96倍 の価格となり、 数万~20万個以上のクリスタルが必要になる。 *4
      • もちろん強化すれば稼げるクリスタルも増えていくものの、 壊したジェム1個当たりの貰えるクリスタルは1個という基本ルールは全く変わらない ため、ボールの数や速さが1段階良くなった程度でとても追っつくものではない。
        1ステージあたりに稼げるクリスタルは強化全開で挑んでも3,500程度(消耗品のサポート額を差し引いて)が限界*5。1レベルの強化をするだけでも相当量な作業が待ち構える。
        レベル70で解放される最終ステージだと8,000ぐらいは稼げるようになるが、それでも1回2分以上(フィーバータイムによる加算含む)のプレイを10回20回と繰り返してようやく1回強化ができる。そこまでして得られる強化は「ボールが微妙に速くなる」「貫通力が微妙に上がる」程度で、劇的な変化は全く得られない。
      • サポートの強化は消耗品なだけにクリスタル消費量は控えめなものの、ステージプレイのたびに消費しなければならないのが地味に辛い*6
    • プレイヤーレベルの上がり方も怠慢気味で、ひたすらにステージをプレイしないと一向に先が見えてこない。
      • そしてプレイヤーレベルは、 新ステージや新アイテムが解禁されるレベル以外には上がっても何の意味もない。 アイテムが解禁される10の倍数レベル、その他ステージが解禁されるレベル5、25、45レベル以外は、上がっても単にレベルの数字が大きくなる以外の影響は皆無である。
        その他5レベル上がるごとに経験値ボーナスが上昇するが微々たるもので、そもそもこのゲームのおかしい経験値曲線がちょっと緩和されたように見えるだけの話であり、全く実益にはなっていない。
      • レベル40ぐらいまでは割とすぐ上がるのだが、それ以降は加速度的に上がりにくくなる。これ以降はレベル45の新ステージ解禁と50、60の新アイテム解禁ぐらいしかイベントがなく、最後のステージ、アイテムが解禁されるレベル70までは非常に苦行めいている。
      • 最後のステージとサポートを解禁するにはレベル70まで到達しなければならない。ここまで達する前にゲームそのものが飽きる可能性が極めて高い
    • プレイヤーレベル、ボールレベル共に100でカンスト。
      • ここまでやり込めば大抵はボール性能の強化も終了するだろう。そして上述したスコア記録方式故に、スコアアタックに挑戦するのであればここが真の意味でのスタート地点と言うことになる。
      • ただ、ボール強化が終わってしまうとクリスタルの消費先がサポート強化だけになる。毎回全部適用してても赤字になることはまず有り得ないため、クリスタルの存在意義がほとんど無くなってしまう。
      • もっとも、カンストするまで投げ出さずにレベルを上げ切れた人は果たしてどのくらいいるだろうか……。
  • ステージ数が極端に少ない
    • 総ステージがたったの5つしかなく、ブロック崩しとしては致命的なまでにボリュームが足りていない。
      • さらにはうち3ステージは同じ内容の派生バリエーションなため、実質的なステージは3つのみ。1,000円近くするゲームのボリュームとは到底思えない。
      • そもそもジェムの発生量的に後のステージほど稼ぎやすくなっているため、基本的に稼ぎの際は最新ステージ以外遊ぶ意味はない。同じステージを延々と遊び続けるだけとなる。
      • ギミックは3ステージ目にあるワープゾーンと4ステージ目にある加速装置だけ。内壁をギミックに含めてもいいんじゃないかと思えるほど少なく、そもそもそのギミックもプレイ時間の6割以上を占めるフィーバータイムでは撤廃されてしまう。
      • ゲームとしての遊べる範囲が恐ろしく狭い上に、上記の作業感によりプレイ時間が無駄に長引くというのはもう救いようがない。
  • ゲームルールの説明不足感
    • 近年のゲームの多くに搭載されているゲームのチュートリアルプレイがなく、若干の不親切さが見受けられる。
      • 一応はオプションにおいてルール説明は確認できるが、そういった説明は分かりやすい位置に表記するものでありオプション扱いするのはどうかと思うが…。
  • バグ
    • 発生確率は低いが、ごくまれにボーナスジェムが増殖してしまうことがある。長時間遊び続けると発生しやすい模様。
      • 増殖して現れたボーナスジェムは破壊しても得点が入らない。ただ単に邪魔なだけの存在である。

評価点

  • 鑑賞ゲームとしては面白い…?
    • ブロック崩しとしての面白みは微塵もない本作ではあるが、鑑賞ゲームとして割り切るのであれば見応えがある。
      • 強化全開にしてステージを始めると、カラカラとした効果音と共に凄まじい勢いでジェムが破壊される。何もしなくとも破壊されていく様はある意味爽快といえる。
    • ただ残念なのは、ステージ数の少なさと破壊の仕方が毎回ワンパターンなため、すぐに見飽きてしまうところ。
  • グラフィックとBGMは及第点
    • 金属的でサイバー感溢れるグラフィックは上質で、その中でキラキラとしたジェムが映される様には独特の魅力あり。外観上でいえば決して悪い出来ではない。
    • BGMに関してもメタル系のかっこいい楽曲がメインで、ゲームの雰囲気とマッチしている。しかしたった2曲(うち1曲は最終ステージ専用BGM)であるため、すぐに聞き慣れてしまうのが残念。
      • なお、BGMはアセットストアで販売されている楽曲を少しだけアレンジしただけの状態で使用しているため、他のゲームでもほぼ同じBGMを聴くことがある。例えばコレとか。

総評

ブロック崩しとしての面白みを根こそぎ取っ払い、その代わりに運依存と作業感をこれでもかという位に詰め込んだと言うべき、余りにも残念な一作。
作業感自体を楽しめるようなゲーム性でもなく、ひたすら雑に上がっていくアイテム価格を目標に、操作は殆ど意味がなく、さりとて全くの放置もできないという砂を嚙むような作業が延々と続く。

ジェムを破壊する爽快感自体はあるため、そこを活かした作り込みがなされていれば結果が違っていたかもしれない惜しさも感じられなくはない。
もっとも、約1,000円という中価格帯に足を突っ込んだDL専用ゲームで、それしか褒めるところがないのはやはり相当に問題で、メーカー初作ということを踏まえたとしても厳しい評価をせざるを得ない。


余談

  • クソゲーオブザイヤーの2018年度据置機部門の次点である。
    • 「ブロック崩しの面白みが全く感じられず、ただ純粋につまらない」という点が指摘されている。
  • ボールの動きがデタラメなブロック崩しとして、同じKOTY受賞作の『ハローキティといっしょ! ブロッククラッシュ123!!』との共通性も指摘されている。
    • もっとも、本作はクリアやミスの概念がなく放っておいてもスコアを稼いでくれるという面で、難易度的な意味では真逆の存在といえる。
      • 偶然にも、本作の2週間後の2018年11月29日から『ブロッククラッシュシリーズ』の新作『秋葉原クラッシュ!123ステージ+1』がSwitchで配信開始していたりする…。
+ タグ編集
  • タグ:
  • ブロック崩し
  • Nintendo Switch
  • 2018年
  • KOTY次点

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年04月02日 10:41

*1 公式では「クラッシャーボール」名称だが、便宜上本記事ではボールで統一している。

*2 5万点→20万点→100万点→500万点→2500万点の5段階。

*3 ボール強化はレベル6までが前のレベルの2倍、レベル7以降は1.5倍(レベル9のみ1.333…倍)。スキル強化はレベル2~3が前のレベルの4倍、レベル4は3倍、レベル5は2倍となる。

*4 最終的な強化必要量の最大値は24万クリスタル。

*5 強化が足りないと1,000クリスタルにも満たない可能性がある。

*6 8種類のサポートをすべて強化するにはステージプレイごとに3,200クリスタルの消費が必要。