Obduction
【おぶだくしょん】
ジャンル
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FPV-AADV
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対応機種
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Windows 7 SP1/8/10(全て64bit版のみ)
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開発・発売元
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Cyan Worlds
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発売日
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2016年8月24日
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定価
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2,980 円(Steam) $29.99(GOG) |
プレイ人数
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1人
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周辺機器
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VR対応
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備考
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Unrealエンジン使用
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判定
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なし
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ポイント
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日本語なし
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概要
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Cyan Worlds(旧名Cyan Inc.)は『MYSTシリーズ』などFPV-AADVの制作の老舗である。
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本作は2013年にキックスターターにて「『MYSTシリーズ』の精神的後継作を制作する」として資金を調達して制作された。
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FPV-AADVである。
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『MYSTシリーズ』と同様に定点間をポイントクリックで移動するモードもある。
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近年主流の自由に歩き回れるFPVモードもある。
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mapがやたらと広いため、通常のFPVモードで[RB]ボタン押下でダッシュしないと移動がダルいであろう。
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純粋なパズルだけではなく、残された資料から次に何をすべきか判断するADV的な要素もある。
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このため、関係資料を見つけ出す必要もある。もちろん、
英語を読まなくてはならない
。
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プレーヤーの終盤の判断でエンディングが分岐する。
ストーリー
とある夜に、おそらくロッキー山脈のどこかにあるキャンプ場を歩いていた主人公は、夜空に光りながら飛行する物体を見つける。
その飛行物体は主人公の目の前に静止し、光を放った…
気がつくとあなたは見知らぬ土地にいて、飛行物体だった巨大な植物の種がしおれているのを見る。
しばらく歩くと奇妙な装置があり、ボタンを押すと紳士的な男性の3Dホログラムが現れて陽気に「Welcome to Hunrath!」と言った。
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ネタバレ込み
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空を飛んでプレイヤーの前ではじけたのは、その存在を知る者からは「Swap Seed」と呼ばれる植物の
種
で、空間をスワップする能力がある。
Hunrathの集落は地球のアリゾナからスワップされた廃鉱山の地形からなり、地球から
abduction
された人間が住んでいる。
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世界観のネタバレ(本作をプレイする可能性があるなら読まないほうが良い)
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ゲーム内は、地球、Soria、Kaptar、Marayの4つの惑星がスワップされており、Hunrathの集落(を含むセル)の周囲はSoriaとなっており、地球上にSoriaのセルがある。
Swap SeedはSoriaに由来するものである。Soriaの異星人Mofangが一番Swap Seedの研究が進んでいて、その原理を利用したSeed-swap deviceという人為的に空間スワップを起こす装置を開発した。3Dホログラムのように見えた3D実体化装置なども開発している。
一番文明が進んでいるのはMarayの異星人Villeinであり、赤いレーザーや3D実体化装置などのMofangの装置を破壊する青いレーザービーム(Mofang disabler)を開発している他、空間に物質を浮かべて固定する装置などがある。
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評価点
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多層な世界観
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セルごとに気候が異なっており、ウォーキングシミュレータとして不思議な世界の散策を楽しむのには向いている。
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人類を含めて4種の異星人が登場し、各々の文化が作り込まれている。
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そんな異人種の対立が描かれており、意外に込み入った設定となっている。
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一部のパスワードの正解が、プレイごとに変わる。
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とある場所にナンバープレートが複数飾られているのだが、どのナンバープレートが飾られているかはプレイし直すごとに変わる。
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とある場所にメモがあり、その文字列をどこかで入力することになるのだが、このメモの内容がプレイし直すごとに変わる。
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このため、攻略wikiやプレイ動画などで見たパスワードを入力しても、それが正しいパスワードではない場合がある。
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時代に即した対応ではあるが、こんなところに手間を掛けているのは珍しい。
賛否両論点
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写真を撮れる
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なにかのヒントとなるようなモノを写真に撮ることで、後でメニュー内から見返すことが出来る。
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コレ自体は確かに便利な機能ではあるが、一部のメモなどはわざわざ写真に撮るのではなく、メモ自体を持ち歩けたほうが良かったのではないか。
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なお、本作には写真以外のアイテムを持ち歩くシステムは全く無い。
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壁に書かれたものや、ホワイトボードにまとめられたようなものは持ち歩けないため、結局写真を撮るしか無いのかもしれない。
ただし、推理ADVではそういうものも情報アイテムとして持ち歩ける作品が多く存在する。
問題点
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高スペックPCが必要
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推奨環境では"メモリ 8GB"となっているが、"空きメモリ"が8GBらしく、8GBのみ搭載のPCではおそらくディスクキャッシュを使用するためか移動がモッサリするという。
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本作は移動距離がやたらと長いため、そもそもの移動が遅いようではゲームにならないであろう。
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ワールド切替わり時のロード待ち時間が結構長く、M.2規格NVMe接続SSDでも20秒程度待たされる。SATA接続SSDなら理論的にはその6.6倍の時間(おそらく1分半)掛かるハズ。
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推奨環境に「SSD highly recommended」と記載されている。
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ゲーム終盤にパズルを解くために頻繁にワールド間を移動することになるため、答えが分かっていても解くのが面倒ということになりかねない。
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3D酔いしやすい
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通常のFPV移動モードでは酔い易い事を開発陣も認識しており、酔う場合は"ポイントクリックによる定点間移動モード"の利用を勧めている。
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VRでは"ポイントクリックによる定点間移動モード"しか無い。
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UIが使いにくい
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パスワードを入力する際に入力盤などが大写しにならないため、細かい作業を強いられる。
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特にダイヤル電話タイプの入力機器はダイヤルを回す必要があり、しかも間違い訂正キーなど無いため誤入力に気づいた時のガッカリ感は大きい。
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終盤に橋を架けるためにパターン入力をする場面が何度かあるのだが、全て同じパターンを入力しても問題ないのに面倒なパターン入力を繰り返し行うことになる。
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なお、パターンを変えることで橋の外見を変えれるので、そこのこだわりがある人は…
いるのだろうか?
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このパターン入力機械は誤入力であっても可能な限り類推して一番近い正解値であると解釈するという、こういうゲームではありえない機能が搭載されている。
この仕様は開発者側も入力が難しいと認めているようなものである。
この類推機能の誤作動により、誤入力をした場合に、当初入力しようとしていたのとは異なるタイプの橋を誤入力したと"誤った類推"をされて、思惑とは別のタイプの橋が架かることもある。
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ナンバープレートの問題のネタバレ
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市長の机の上にナンバープレートが置かれているため、そのナンバープレートこそがパスワードの答えと誤認しやすい。
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本当の答え
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実際には、同じ机の上にある文房具の裏に"州の名前"が書かれたメモがセロテープで貼られており、離れた場所にある自動車修理工場に飾られているナンバープレートのうち、その州から払い出されたナンバープレート番号が実際のパスワードとなっている。
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なお前述通り、文房具の裏に貼られたメモの内容は数種類あるらしく、それがプレイごとに変わるため、パスワードもプレイごとに変わるという仕様となっている。
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意味のない機械
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Kaptarの動力機の近くにロシア語の機械が置かれている。この機械の背面にロシア語で "заниматься бессмысленным делом(意訳:取り組む価値のないもの)" と書かれている。これをちゃんと訳せればただのオブジェだと分かるが、そのロシア語を訳せなかったり、そもそもそのロシア語をかえりみなかった場合、なにか意味があると勘違いしていじくり回してしまう可能性がある。
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この機械、ロシア語表記なことと、スイッチやつまみのon/offで意味ありげに反応することから『Syberia II』の宇宙船のコックピットを彷彿とさせる。
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どこかにこの機械に入力するためのパスワードが落ちており、入力するとSteam版では実績が解禁されるらしい。GOG版では実績対応ではないため、機械が飛び跳ねただけであった。
どちらにしても、パスワードが合っていたからといってストーリーに影響を与えない。
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エンディング分岐も完全に引っ掛けであり、Goodエンドの最後の手順を終えた時点で「何ていうミスをしてくれたんだ!(意訳)」となじられる。
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エンディング分岐のネタバレ
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C.W.(エンジニア)から「全てのものをつないで、Bleeder(変な機械)をcut offしろ」と言われる。
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助言通り、全てのものをつないでからBleederを爆破するとbad endとなる。(C.W.の見込み違いによる)
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バッテリーを電送網から切り離しておくとC.W.から「何ていうミスをしてくれたんだ!(意訳)」となじられる。が、そちらがGood Endである。
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なお、爆破前にバッテリーがつながっていると、虫がバッテリーに群がる。バッテリーを切り離すと、虫は去る。が、それで気づけと言われても…。
C.W.だって気づいていないだろ。
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総評
システム自体はまさに『MYST』だが、謎解き自体は『MYST』ほどの難しさはない。
謎解きに必要な移動距離が無駄に遠く、プレイ時間のほとんどが移動時間と言っても過言ではない。
しかも、3つのワールドを行き来しながらの移動となるため、パズル以前に移動そのものに頭を使うことになる。
ウォーキングシミュレータとして不思議な世界の散策を楽しむのには向いており、効率を求める人には向かないかもしれない。
そうだとしても、ハードウェアの要求スペックの高さが難点となるだろう。
その後の展開
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2016年10月末にVR対応となっている。
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但し、VRでは"ポイントクリックによる定点間移動モード"しか無い。
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2017年3月にMac版が発売されている。
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Metal(MacOSのグラフィックAPI)対応ハード搭載機のみのサポートとなっており、高スペック機が必要なのは変わらない。
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2018年6月28日にサン電子からPS4日本語版がパッケージ及びDL版にて発売されている。
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サン電子は、本作のPSVRの日本語版を制作する予定は無いとしている。
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Windows版は有志による日本語化MODも作られているが現在更新が止まっており、現在のVer.では手紙やメモなどの表示が空白になるという不具合報告が出ている。
最終更新:2021年04月21日 12:38