鼠ちゃんの百科事典
【ねずみちゃんのひゃっかじてん】
ジャンル
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学習・教育
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対応機種
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Windows(Steam) Xbox One Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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【Win】Circus Atos. 【One/Switch】RedDeerGames
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開発元
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Circus Atos.
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発売日
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【Win】2019年2月25日 【One/Switch】2021年4月22日
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定価(税込)
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【Win】520円 【One】1,500円 【Switch】1,499円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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作成不可
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レーティング
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IARC:3+
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ボリューム少なすぎ 日本語や情報源も怪しい 暖かい雰囲気は表現できている
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概要
チェコのインディーズデベロッパー、Circus Atos開発の図鑑ソフト『Little Mouse's Encyclopedia』の日本版。
システム
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ネズミを操作して、2Dで表記される横スクロール式のマップを闊歩し、生き物を調べていく。
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マップの背景、ネズミを含む動植物はすべてイラストで描かれている。
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マップは「巣穴」「森林」「池」「庭園」の4つ。
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ネズミが何かしらの生き物(のイラスト)に近づいた状態で対応したボタンを押すと、その生き物の詳細を見たり、イラストを動かすことができる。
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収録されている生き物は100種以上といったところ。ジャンルは「植物」「鳥類」「哺乳類」から「無脊椎動物」まで幅広い。
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図鑑の内容
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図鑑は1枚のカード状となっている。カードには、生き物の全体像を描いたイラスト、生き物のパーツを拡大したイラスト、さらに生態や人間とのかかわりに関する軽い説明文が3つ程度記載されている。
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その他
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本作はセーブの概念がない。ゲーム開始時から、あらゆるマップに足を運び収録されている生き物の情報をすべて閲覧できる。
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「名簿」のメニューを開くと、ネズミを出歩かさせずに、本作に収録されている図鑑のみを閲覧できる。
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18言語に対応。オプションからいつでも言語を変えられる。
問題点
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ボリュームの圧倒的不足
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1100円程度で購入できる幼年向けの図鑑でも、600~800種程度の生き物は紹介されている。本作が紹介している生き物の数は100種類程度なので少ないといわざるを得ない。
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ただしこの価格帯の図鑑は、写真と名前の表記に簡単なコラムが少数あるかどうかで個別の解説までは記載されていないことが多いため、実数のみでの単純比較はできないのだが。とはいえ、情報量の差を考慮に入れても少なすぎる。
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ある意味道に迷わなくて良いともいえるのだが、マップも10分あれば回り切れてしまう広さしかない。
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マップ内の生き物やギミックも最小限しかなく、遊べる余地がほとんどない。
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たった4つの小規模なマップしかないというのは、あまりにも満足感に欠ける。
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チェコで開発されたため、ヨーロッパにしかいない生き物もちらほら掲載されており日本ユーザーにとっての実用性に疑問符がつく。
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生き物1種に対する紹介文もせいぜい40文字程度とたいして多くは無い。
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日本語の不自由さ
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本作は図鑑であるため、生き物の名前は本来「カタカナ」で表記すべきなのだが、本作に収録されているうちの4割ほどの生き物がなぜかあえて難読漢字で表記されている。
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漢字表記されているものとして蚊、蝿、蚯蚓、蛞蝓、緑姫螽、房酸塊、五十雀、冠鳰、大寿林、頭青花鶏、刺草…など。振り仮名すらないので、漢字読解が苦手な人でなくても生き物の読み方すら分からないという問題が発生する。
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モグラはなぜか中国語の「鼴鼠」で表記される。「名簿」でモグラを確認すると「 鼠」と表記されるといった不具合もある。
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ゲーム内容やビジュアルからは低年齢層向けの知育ソフトのようにも見えるのだが、大人でも読めるかどうか怪しい表記が満載なため、子供が自分で読むには無理がある。
むしろ、読み方を聞かれた親が返答に詰まるレベル。
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図鑑の解説文を見てみても、助詞を2つ連ねて書かれているなど文法的におかしい記述がちらほら見られる。
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操作の説明として「あなたがそれを押すとき、動物または植物は生き返ります。」という理解しづらい表記があるが、実際は、ボタンを押すと生き物が何かささやかなリアクションをするというだけ。死んだ生き物を復活させて回るだとかいった効果ではない。
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おそらく翻訳の過程で、表現のニュアンスが大きく変わってしまっているのが原因と思われる。
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ゲームタイトルもなぜか「鼠ちゃんの百」「科事典」と中途半端なところで改行されているほか、Xboxのゲーム販売ページでも『鼠ちゃんの百 科事典』と半角のスペースが入っている。
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情報源としての心もとなさ
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種名で表記される生き物が数多く存在する中、「○○属」「○○科」といったアバウトな呼称で登録されている生き物も混在していて統一感がない。
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「揚羽蝶」のページでは、「アゲハチョウ」とは別種の「キアゲハ」が紹介されている。
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「ヨーロッパコフキコガネ」の汁など、大昔には食べられていたというだけで現在の情報としては誤用ギリギリな用例が何の注釈もなく平然と紹介されている個所もある。わずかしかない情報の一部が実質的に間違っているという有様。
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索引機能がない
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4つあるマップのうちどこに目当ての生き物がいるのかもいまいち分からない。
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「名簿」を介して、本作に掲載されている生き物の図鑑を一遍に閲覧はできるが、ソート機能は非対応。
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五十音順に並んでいるわけでもなく、生息しているマップや植物ごとにくくって表記するなどの配慮が全く無い。
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一応ソート機能そのものは搭載されているようだが、未完成もしくはバグにより正しく機能していない。
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初期状態ではロシア語準拠で並んでおり、言語を変更するとアルファベットの存在する言語であればアルファベット順に並び変わり、日本語へ変更しなおすと今度はオランダ語順に並ぶ模様。
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任意の並べ替えができない時点で不便ではあるが、それでもせめて正しく名前の順で並んでくれてさえいれば、分かりやすさも探しやすさも大きく改善されていたことだろうと思われる。
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どう頑張っても、日本語順にはならないのであるが。おそらくは名称を強引に漢字で表記したため、ソートが困難だったものと思われる。
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少なくともアルファベット順やオランダ語順で並べることは可能なのに、初期状態ではロシア語順で固定されているというのも謎。
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マップを選択した際のロードが5秒ほどと長い。
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時間をかけて読み込んだ割には移動できる範囲も動かせる物体もささやかであり、どうにもストレスが溜まる。
評価点
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イラストは温かみのあるタッチである。生き物のイラストも実際の生き物とほぼ相違ない。
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ネズミのモーションはかわいらしい。巣穴では四つんばいになり、池の中ではシュノーケルとゴーグルをつけて泳いだりなどパターンも豊富。
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マップ内にはちょっとしたギミックが隠されていることもあり、探す楽しみがあると言えなくもない。
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ギミックといってもほんのささやかなものが大部分で、隠されている数もわずかしかないのだが。
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鳥の鳴き声が実際に聞ける。
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全ての生き物に音声が対応しているわけではなく、一部の鳥の声のみではあるが。それでも臨場感は感じられるし、一応の参考にもなる。
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言語の勉強になる。
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多彩な言語を切り替えられるので、多くの言語による解説を読み比べることができる。
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もっとも日本語訳の微妙さ、不自然さを見ていると、他の言語の正確性もどこまで信じていいのか不安になるが。
総評
とにかく図鑑として情報の量や質が低すぎると言わざるを得ない。
図鑑なのに索引機能がなかったり、日本語が怪しいといった問題もあり、単純にひとつのソフトウェアとしての問題点が目立つ。
本当の生き物とそっくりで動かせるイラスト、かわいらしく安らげる雰囲気は長所かもしれないが…。
せめて最低限、漢字には読み仮名を振るか、いっそ漢字はなくす又は最低限に絞って仮名表記に寄せる、あるいは言語の選択肢に「日本語・かな(カナ)」も搭載するなどしてほしかったところである。
余談
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RedDeerGamesが配信する作品の常だが、9割(もしくはそれに近い)引きの派手なセールが行われている。
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本作もまた、2022年3月を皮切りに200円ほどでのセールが定期的に行われている。
その後の展開
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2022年1月6日に、同メーカーの『葉の下』とのバンドル、『鼠ちゃんの百科事典 + 葉の下』がSwitchで配信された(現在は終了)。
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その後、One版でも同メーカーが配信している他作品とのバンドルが多数配信された。
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2022年10月22日、Switch版に3種の追加コンテンツが配信された。各100円(税込)。
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各追加コンテンツ付きのバンドルも配信中。定価は殆ど差が無いばかりか、『デラックス版』に限ってはソフト単品より定価が安く設定されている。現在買うならこちらだろう。
そもそも上記の大幅なセールがあるため定価で購入するメリットはまず無いのだが……
最終更新:2023年02月18日 15:15