ドラベース2 熱闘ウルトラスタジアム

【どらべーすつー ねっとううるとらすたじあむ】

ジャンル 超野球
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 バンダイナムコゲームス(ファミスタチーム)
コスモマークオンライン
発売日 2009年11月19日
定価 5,478円(税込)
判定 良作
ポイント 前作の問題点は大方解消
打撃と投球のみのお手軽野球
非アニメ化作品の悲しさ
ドラえもんシリーズ
コロコロコミックシリーズ


概要

コロコロコミック連載の野球漫画、『ドラベース ドラえもん超野球外伝』のゲーム化作品。
「超野球」の名の通り、荒唐無稽な魔球・必殺打法やひみつ道具が飛び交う22世紀の野球で対戦する。

前作は『ドラベース ドラマチック・スタジアム ドラえもん超野球外伝』。
原作でのキャラクターの特徴に関してはWikipediaの原作の項目を参照されたい。

特徴

ゲームモード

  • マイドラーズ
    • いわゆる「ストーリーモード」。原作のストーリーをなぞるビジュアルノベル+ミニゲーム。
      • イベント地点を選んで各キャラと会話をしたり、ミニゲームで高得点を出し「育成ポイント」を稼ぐのが主要な目的。「育成ポイント」をドラーズメンバーに振り分け、野球能力を強化していく。
      • マイドラーズで育成したチームは「マイドラーズ1~3」として3チームまで保存し、対戦モードなどで使用できる。
    • ストーリーはドラーズ初勝利から茜フライヤーズを下しかぶと虫カップで優勝するまでを追う。その後、ゲームオリジナル*1の23世紀ドラーズと対戦して終わる。
  • ゲームギャラリ
    • マイドラーズ内のミニゲームを遊べるモード。
  • カップせん
    • 原作内のトーナメント戦を模し、3試合を連続でプレイするモード。
  • ひとりでしあい・ともだちとしあい
    • 1試合の対戦モード。

ADVパート(マイドラーズ)

  • マップ画面
    • 江戸川エリアを描いた地図に、各キャラの顔やボール、!マークのアイコンが置いてあるので、これらの位置へタッチで移動してイベントを発生させる。
      • 原作でも特訓と称して訪れた無人島のマップもある。
      • キャラは各キャラとクロえもんの会話、野球ボールは練習試合、!マークはミニゲーム。また、赤の!はストーリーが進行するイベント。
  • ADVパート
    • 上画面で立ち絵やフキダシ、描き文字、カットインなどを豊富に使って賑やかに会話劇が展開される。操作は下画面の進むボタンを連打するだけ。
      • セリフは全てフキダシ、描き文字も原作と同じものを使用しているなど地味に凝っている。
      • 効果音はそこそこ豊富に用意してあるが、ボイスは一切なし。
  • 試合パート
    • 基本的にはADVパートと同じ。試合の転機となる場面で1打席勝負形式のミニゲームが入る。
      • ミニゲームの結果は特に試合の進行に影響せず、何事も無かったかのように原作通りのストーリーが進行する。
    • ADVパートと比べて固有の原作コマやオマージュ演出も多く、非常に臨場感がある。

野球パート

  • すべての操作をタッチパネルで行う。
  • イニングは3、5、7回の3種類。
    • 本作で行われるのは草野球(アマチュア野球)であり、原作でも基本的に7回制で行われていた。*2
  • 試合前
    • 試合前に守備位置と選手の交代ができる
      • 各守備位置に選手が表示され、入れたい選手のアイコンを入れたいポジションへドラッグすると入れ替わる方式。
      • ポジション適性があるらしく、捕手と投手へ他ポジションの選手を入れようとしても弾かれる。他に投手がいれば投手を野手にすることは可能。
    • 守備位置を変更した後打順を決める
      • 守備位置と同じく、1番から9番まで名札が並んでいるのでドラッグして入れ替える方式。
      • 基本的には原作通りの打順で並んでいる。控えの選手を入れた場合、元の選手の打順にそのまま名前が入る。
  • 投球
    • ピッチャーを背後から(2塁から)見た図が上画面に表示。下画面はピッチャーマウンドと帽子アイコンが表示され、立ち位置の左右をタッチパネルでスライドさせる。
      • 立ち位置の移動で内外角を操作する。本作に投球の高さの概念はない。
    • 帽子のアイコンから上向きに表示される矢印をなぞって投球する。
      • まっすぐスライドで直球、左右斜めなら変化球が出る。画面いっぱいにスライドするかちょっとで止めるかで球速の調整もできる。
  • 守備
    • 捕球まではオート。送球はデフォルトではマニュアル。
      • 下画面にダイヤモンドが表示され、塁の位置には靴とボールのボタンが配置されている。靴ボタンを押すと指示した塁に捕球した選手が走り、ボールのボタンを押すと送球する。
      • 塁に誰もいない場合もベースカバーに入る選手に投げてくれるため、暴投の心配はない。
  • 打撃
    • 上画面はパワプロ風のキャッチャー視点。ホームベース・バッターボックス周辺を上から見た図が下画面に表示される。
      • バッターボックス内のヘルメットのアイコンを動かし、立ち位置を調整する。ピッチャーの左右位置に合わせることで最適なミートができる。
      • 画面を上方向にスライドしてスイング。特に内外角や方向の調整はできず、ミートや打球方向はタイミング次第。
  • 走塁
    • 初期設定はオート。
    • 下画面のダイヤモンドにヘルメットのアイコンでランナーの位置が表示されるので、走塁方向をなぞって進塁や帰塁を指示する。
  • ひみつ道具・必殺技
    • 原作通り、試合中にランダムで選ばれた3個のひみつ道具と魔球・必殺打法が使える。
    • 下画面上部のひみつ道具・必殺技タブにボタンが配置されている。使用可能なタイミングであればこのボタンをタッチすればいつでも使用可能。
      また、今作では原作で必殺技無しだった選手にも汎用の必殺技(名無し)が搭載されている。
      • ひみつ道具は原作通り1試合につき3種類を1回ずつ、計3回使用可能。
        ゲームスピードが変わるだけの「スロー」「クイック」から、必ずジャストミート打球が出る「黄金バット」まで、試合の流れを左右するポイントになる。
      • 必殺技は試合の進行に応じて溜まるゲージを消費。技によって1ゲージから3ゲージまでを消費する。
        必殺技を使うと画面を指定の方向や形にこすって対抗ゲージを押し合うミニゲームが発生し、勝てば必殺技成立、負ければストライク(打法負け)や長打(魔球負け)になる。
        必殺打法を使ってもホームランが保証されるわけではなく*3、魔球も1ストライクが取れるだけなので、こちらも使いどころがなかなか難しい。
  • 対戦で使用できるチーム
    • マイドラーズではドラーズのみでプレイすることになるが、対戦では次のライバルチームも使用することができる。
      • ライバルチームはモンガーズ、ベアーズ、ホワイターズ、デビルキングス、スノーフォックス、フライヤーズ、23世紀ドラーズが使用可能。☆印付きの能力が向上したチームも選ぶことができる。
      • 他、対戦相手専用で環状ライナーズ、寺尾台ベレーズ、コロコロ読者代表などの全員モブのチームが選択できる。

マイドラーズについて

  • この節では「ストーリーモード育成後、対戦で使用できるチーム『マイドラーズ』」について記述する。
    • 「ゲームモード名」と「チーム名」がどちらも『マイドラーズ』なので以下チーム名は『』を付けて記述する。
  • ドラーズと『マイドラーズ』の相違点
    • 対戦用のドラーズはマイドラーズスタート時の能力値なので、当然『マイドラーズ』の方が能力値が高い。
    • ドラーズは初期メンバーで、グリえもんがライト、チビえもんは不在。控えにみかちゃんとミケえもん。
      『マイドラーズ』は逆にグリえもんがおらずチビがライト。控えにみか、ミケに加えてシロえもん、ポコえもん、エモル、ドランプ、ドラ一朗、アカえもん、96えもん、46えもん、エーモンドJr.の豪華メンバーが加入している。

評価点

  • 簡単操作の野球ゲームとして完成度が高い
    • 投球はワンタッチで速球・スローボール、シュート・カーブを投げ分けられ、自在に配球が楽しめる。
    • 打撃もミート合わせは左右だけで簡単。真っ芯と打ち損ねの区別や原因も分かりやすい。
      • 巨漢の平井とチビえもんでは大きくストライクゾーンが違い、原作再現と高さの概念を両立すること自体かなり厳しい話ではあるが。*4
    • 捕球までの動きは無駄が無く、取って欲しい球はほとんど取ってくれる。
      • ダイビングキャッチ、レーザービームなども搭載。ベースカバーにもしっかり入る。
    • 送球も反応がよく、ゲッツーや高速バックホームを決めると爽快。
      • ショートのスズえもんは守備が上手いという設定が反映されており、素早く強い小気味のいい返球を見せてくれる。
    • 野球ゲームで高難度の部分である、ミート合わせと守備操作をうまくカットし、小学生でもすぐ遊べるようになっている。
  • ドラベースらしいひみつ道具・必殺技もバランス良く搭載されている。
    • ひみつ道具は寄与が微妙なものから一発逆転の強力なものまで様々。抽選次第でゲームプランが大きく変わってくる。
      • 当然ではあるが、互いに同じひみつ道具を使用するチャンスが1回ずつあるため、何が選出されようが大きなバランス崩壊には繋がらない。
      • 強力なひみつ道具は、必ず長打が出る『黄金バット』や打者を一打席スイングできなくする『ゴルゴンの首』がある。
        また、これらが両方選出された試合では互いの『黄金バット』の打席を『ゴルゴンの首』で封じることがほぼ確定するので、逆に締まった展開になる。
      • 逆に効果が微妙なひみつ道具としては、ゲームが早送りになったりスローになったりするだけの『クイック』『スロー』、大抵選手の能力が上がるが、1/4で能力が下がる『ラッキーガン』など。
        『クイック』であればミートと守備の難易度が同時に上がる諸刃の剣で、これらも様々に試合に波風を起こす要素になり、超野球らしさを演出してくれる。
    • 打法や魔球も大チャンスではあるが絶対性は低く、これのみで勝負が決まるほどの決定機ではない。
      • 前述したが、たとえ魔球でもワンストライク、必殺技も打法によってはフェンス直撃の単打になってしまうことも十分考えられる。
      • 結局、重要になるのは必殺打法までにランナーが何人溜まっているか、魔球までの2ストライクをいかに取るか。普通の野球が軽視されることは無い。
  • グラフィックの再現度が高い
    • ロボットキャラの再現度は高く、身長差やバットのサイズなどもバッチリ原作通り。ドランプが守備時のみ帽子を被り耳が折れるのも再現されている。
    • 2塁ランナーがいるとリードを取っている様子が打席から見られる、ホームラン時飛び跳ねて喜ぶ一般キャラに対してクールキャラのドランプやエーモンドは特別アクションがあるなど細かい部分もきっちり作られている。
      • ピッチャーもちゃんとワインドアップとセットポジション、両方のグラフィックがある。
    • 投球モーションもキャラごとにアニメが書かれており、本当にキャラが投げているように感じられる。
      • コマ数はやや少ないが、うまく緩急をつけており枚数のわりに滑らか。
      • 必殺技演出も一枚絵を動かすスタイルではあるが、原作に囚われない演出ムービーになっておりカッコいい。
      • メニュー画面はチビえもんの落書き、ナビゲーター役は解説スタイルのポコえもん*5など、原作要素の当て方も上手い。
      • 投球画面で放置していると、ピッチャーにモヤモヤや「よしッ!」の吹き出しが出たり、下に見切れてチビえもんがウロウロふざけ始めるなど細かい演出が施されている。
  • 臨場感のあるストーリーモード
    • よくあるテキストボックス形式ではなく、セリフは全てフキダシで表示。表情差分や描き文字、原作コマ演出も多く、賑やかに進行していく。
      • オリジナルの絵はほとんど見られず、原作コマの切り抜きで進行していくため、原作の雰囲気そのままに楽しめる。
      • 野球ばかりやっていた原作を補完するように、各キャラの家や職場を訪ねるイベントが多いのはキャラゲーとして嬉しい部分。原作では1話で終わった無人島合宿もかなり膨らませている。
    • 試合中は原作コマ演出が特に豊富。アニメーションこそ無く、いわゆる紙芝居形式ではあるが、うまく動かしており躍動感がある。
    • 結局現在までアニメ化がされておらず、貴重な「動くドラベース」である点もファンにはうれしいところ。
  • ハイクオリティのOPアニメ
    • やはり非アニメ化作品が高クオリティで動いているのは貴重な点である。

賛否両論点

  • 良くも悪くも『超野球』
    • 後述する問題点から、主要な得点源はホームラン。いかに本塁打を打つか、強打者までにどれだけランナーを貯めるかが重要。
    • ドラベース自体、ライバル関係、魔球vs必殺打法にフォーカスした作品であり、スラッガーの1打席にやたら重心を置くこと自体は間違いではない。
      • ひみつ道具や必殺打法で保証された長打をいかに最大限活かすか、いかに魔球でチャンスを潰すか、という視点はドラベース特有の要素である。
    • 一方、パワプロシリーズなどの本格野球を期待すると、アラが多くホームランに異常にフォーカスするお子様野球に見えてしまう。
      • 守備が著しく優秀で、長打率が低いのが主な原因。1塁ランナーが単打で生還などほとんどあり得ない。
    • 「野球ではなくドラベースごっこ」と前作は評されたが、本作は「野球ではなく 超野球 (スーパーベースボール)」と言うべきだろう。
  • お手軽野球の弊害
    • 打撃結果はほとんど運任せ
      • 一応傾向としては、バットの根本ほど低速のゴロ、バットの先ほど高速のフライになりやすいのだが、タッチ操作故の反応の悪さもありほとんどコントロールできない。
      • 運任せも一概に悪いとは言えないが、熟練しても必ず圧勝できるわけではない点は不満に思うプレイヤーもいるだろう。*6
    • 高度な戦術は取れない
      • 中継プレー、守備シフト、キャッチャーからの牽制球などが無い。
    • 能力面の個性が薄い
      • 変化球が自由に出過ぎる。原作からして豪速球と魔球の2本でゴリ押ししており変化球でのキャラ付けは少なかったが*7、エーモンドがカーブに極端に弱い、ひろしの家業が功を奏したフォークなどの設定が活かせていない。
      • また、シロえもん>>ひろしという構図を優先したため、本来速球派のひろしの球速がポコえもんと大差ない*8
      • エラーが無いため守備面の個性もあまり出ておらず、素人のはずのチビえもんがイチローばりの右翼守備を見せる。また、全員守備が上手いためスズえもん、ピョコえもんなどの守備キャラは非常に地味。
      • 打撃面も、パワプロで言う「弾道」の概念が無いため、ピョコえもんだろうがドランプだろうがジャストミートすれば弾丸ライナー、引っ掛ければポップフライが出る。
      • 守備が非常に上手いため、よほど外野の奥まで打てないと単打になってしまう。長打率が抑えられ、スラッガーキャラの個性が潰れている。
    • 凝り始めるとストレスポイントになるのでは、と思われる点もあるが、野球ゲームとしては気になる点が多い。
  • 育成要素が中途半端
    • 同じSランクでもキャラごとに能力差があるらしく、パクえもんは走力Sでも鈍足、ピョコえもんはパワーSでも非力の部類。
      • キャラのイメージが壊れないようにしたのだろうが、育成要素があるのだから原作無視の能力値にできても面白かったのではないだろうか。
  • 魔球の重要度が低い
    • どんな魔球だろうが取れるのは所詮ワンストライク。ゲージの溜まり方から2連投が限界なので1ストライクは自分で取る必要がある。
      • 原作では、全球ペースで魔球を連投するのが通常だったため物足りないと感じるファンもいるだろう。
      • まあ原作通りホワイトボールや赤トンボールをビュンビュン投げられても困ってしまうが……
  • タッチ操作のみ
    • タッチ操作のみなので、手持ちでプレイする場合かなり不便。ハード劣化の影響も濃く出る。
      • 試合操作はともかく、メニュー画面くらいはボタンで操作できてもいいのではないだろうか。
    • 感度問題で操作やタイミングが安定しない。
      • タイミングズレに関しては、ジャストミートが安定せず失投もたまに起きるというような、スポーツらしい「時の運」の要素にもなっており、一概に責められないか。

問題点

  • キャラのボイスは無し
    • アニメ化されていないため当然といえば当然なのだが、人気作品だけに期待も高かった。
      • 無言のスタジアムに「ットライーッ!」だけコールされるのが非常に虚しい*9
    • 試合中BGMも1種類しかなく、音声面に関してはかなり残念な出来。
      • ホームランのファンファーレは演出の間に2周半するため、取ってつけた感がかなり強い。
    • アニメ化作品であればアニメの声優、主題歌などで盛り上がれるだけに、人気に反してアニメ化されていない事が惜しまれる部分。

ADVパート

  • 分岐やifシナリオ、ライバル視点などは無い。
    • やはり、スポーツもののキャラゲーとしてはゲーム結果が反映されるifシナリオは期待したいところ。
    • また、結局(ゲームの範囲内では)クロえもんに未勝利で終わるシロえもんをはじめ、魅力的なライバル達に肩入れしたいファンも多かっただろう。
      • まあ発売当時のドラベースはバリバリ連載中の人気作品であり、ドラえもん関連の企画も多く抱える原作者に依頼するのも困難だっただろうが……
      • また、本作の打席結果はミートした後ほとんど運任せと言ってよく、そんな打席の結果でいつまでもシナリオが進まない、となっても不満点になっただろう。
    • 実は分岐があると言えばあるのだが、ビッグドームカップ予選の当落であり、ストーリーとしてはどうでもいい部分である。また、失敗してもすぐ予選の始めに巻き戻り、情緒も何もない。
  • マイナーチームはバッサリ戦力外
    • かなり大胆なカットがされており、かぶと虫カップはスノーフォックス戦からいきなり決勝のフライヤーズ戦へ飛ぶ。
      • 具体的にはライオンズ、バグズは全カット。ビッグドーム杯予選もストーリー要素を削りミニゲームの勝敗のみになっている。
      • 結果、フライヤーズ戦で見ず知らずの銅鑼乃介(本来バグズの監督で直前に対戦している)からいきなり必殺打法を教わる謎展開が発生している。
    • 人気の面から言えば、ライバル選手もいないモブチームはリストラで当然なのだが、ストーリーが曲がってしまっているのは頂けない。
      • ライオンズは獅子舞の格好をした獅子、太陽のようなたてがみが生えた雷恩が所属しておりグラフィック面の負担が大きく*10、バグズはバントや盗塁といった小技が得意なチームなのでシステム面で再現が困難だったという理由は考えられる。
  • 一部のミニゲームがやたら厳しい
    • 『江戸川ラリー』、『砂浜ダッシュ』は、下画面を左右にこすって走り、障害物が出てきたら上へスライドしてジャンプするというゲームなのだが、ジャンプが間に合うような速度で走っていては間違いなく負け(最低のC評価)。といって障害物のロスもキツく、強引に走り続ける戦法も全く通用しない。また、こすりながらジャンプしようとしてもジャンプ操作を受け付けない。
    • 無人島のサザエキャッチ特訓は得点配分がめちゃくちゃで、サザエを連続キャッチして10→20→50→100点~しかもらえないのに対し、30秒で1500点取らないとCランク扱い。しかもハズレとしてウニが放り込まれ、コンボが途切れる上タイムロスもある。
      • ほとんど同じルールでノックを受けるミニゲームがあるのだが、こちらは1球目から100点の上、ハズレは飛んでこないためAランクくらいなら余裕。なぜこうなった?*11
      • 原作の流れとしてはサザエキャッチ特訓により余裕でノックを受ける実力がついた、というストーリーなので、難度がサザエ>>ノックなのは妥当といえば妥当だが……
    • 打撃練習のミニゲームも得点配分がひどく、着弾地点で得点が決まるのだが、内野10点、外野前方20点、外野後方30点、ホームラン50点の得点配分に対し、10球打って200点以下だとCランク、Sランクは380点が必要。本作の打球の傾向だとハイスコアは非常に困難。
      • 得点が取りにくいのもあるが、外野前方着弾で20点なので、10球全部ヒット性の当たりを出しても200点=Cランクなのも納得しかねる。
    • ミニゲームに失敗しても育成ポイントが多少少なくなるだけで大きな影響がないのは救い。
      • というのもチャプタークリアでもらえる育成ポイントが200点強、特定のイベントでキャラの「熱血度」を上げると50点が加算されるため、S評価とC評価の得点差(30点)など微々たるものである。

野球パート

  • 打球傾向が極端
    • 基本的にボテボテのゴロ・弾丸ライナー・ポップフライの3種類。高速ゴロや外野最奥へのフライがほとんど出ない。
      • ポテンヒット、遅すぎるゴロの処理を誤った内野安打などが著しく少ない。
      • ライナー以外は飛距離が出ない。外野最奥へのフライが変に少なく、高い内野フライがやたら起きる。
    • 妙に転がりが悪く、フェンス際まで転がりそうな球が右中間で止まったりする。
    • ホームランが出ない
      • ホームランが期待できるのは演出付きジャストミート時か必殺打法・ひみつ道具使用時。エーモンドだろうがドランプだろうが何もなく本塁打は出ない。
      • 原作でも必殺技無しのホームランは稀だったので原作再現と言えなくもないが
  • 走塁AIがアホ
    • タッチアップを使わない
      • 外野最奥にフライが上がっても塁間で待機(エラー待ち)して捕球されると帰塁してしまう。
      • 一応ルール上はタッチアップが存在するため、マニュアルにすれば犠牲フライも可能。
    • 異常に強気で、あり得ない進塁をすることがある
      • 無死1,2塁からセカンドゴロで2塁→1塁へダブルプレーを取って安心していると、いつの間にか2塁ランナーが3塁を蹴っていたりする。
      • 挟殺の概念も無いらしく、飛び出したランナーに対して進塁先へ送球してもおとなしく進塁してアウトになる。守備時も帰塁するランナーをじっと見守っている。
  • 守備が優秀すぎ
    • 反応が非常に速い。後述する守備範囲の広さに直結しており、ランナーが出にくい大きな要因。
      • 「クイック」使用時は内野を抜きやすくなるので、一応反応速度の設定自体はあると思われる。
    • 外野手は落下点まで最短距離で走ってくるので守備範囲が非常に広い。左中間へのフライでエーモンドとトラえもんが両方いることなどザラ。
    • 内野守備も非常に優秀で、かなり強烈な打球でないと間を抜けない。ピッチャーライナーも確実に捕球。
      • というかエラー自体が無い。一応、ファンブルなのか捕球が成立してから送球までがもたつく場面は見られる。
      • ちなみにインフィールドフライも無いが、意図的なエラーは存在しないので害はない。
    • 野選なども無く、AIがバックホームしてきた場合確実にアウト*12。無駄な行動をするのはゲッツー崩れくらい。
    • このため、守備機会のあるプレイは効率が悪く、ホームランが主要な得点源になる。
      • まあ原作からして、ショートがライトのフォローに入ったり、外野を二人で守ったりする守備範囲がめちゃくちゃな漫画だったが……
  • 守備の必殺技が無い
    • 原作の守備必殺技と言えるのは『炎ノ送球』くらいだったが、熱いファインプレーは要所で発生し物語を盛り上げていた。
    • 特に、ピョコえもんの手足を伸ばした好守は彼の数少ない見せ場であり、キャラゲーとしても何かしら欲しかったところ。
      • フェンスを乗り越えてホームランを追うシーンも多く、スーパー守備の再現要素はもっと充実してもよかったのではないか。
  • 一部の必殺技が出しにくい
    • やたら難しいのはドランプの必殺打法「スペードのK(キング)」。「へ」の字を往復してこするという地味に効率の悪い動きを要求される。
      • 変に判定が厳しく、縦往復や横往復、△の動きなどでは全く対抗ゲージが進まない。
    • 他の必殺技は縦や対角線、円などのかなり単純な図形なのでスペードのKの判定の悪さが目立つ。
      • また、やや複雑な図形でも通常押し負けは感じず、判定が甘いか係数がかかっていると思われる。
      • 「Q」の字にこすれ!*13と言われるQ(クイーン)ボールは円でも全然判定が入るのになぜスペードのKだけ……
  • 盛り上げ演出が簡単に出過ぎる
    • 特に「打った!!」のカットインはボールが高く上がりさえすれば出るので、どう見てもセカンドフライなのにカットインが出て「ズコ……」とコケるコマをやたらに見せられる。
  • 人間キャラはほぼ全員コンパチ
    • 基本的に全員がひろしからメガネを取った見た目で、体格や髪色なども再現されていない。
      • 原作ではモブ扱いでこそあれ、全員にキャラデザと名前の設定があり、全く無視されたのは残念。
      • 特にデビルキングスに関しては金髪やオレンジ髪などモブも派手な見た目だったため、それが全員同じ見た目なのは非常に地味。
    • キャラ別の絵が当てられているのは門賀、平井、小松川のみ。その3人にしても、触覚や体格、メガネが再現されているのみで原作に忠実とは言い難い。
      • 必殺技時の顔絵も汎用の絵が使いまわし。特に魔球(カーブだが)持ちの門賀は見る機会が多いだけに、似ても似つかない絵が表示され違和感が強い。
  • パクえもんがデカすぎ
    • 巨漢かつデブのパクえもんの再現が忠実すぎ、まん丸の頭がピッチャーを隠してしまい非常に見づらい。
      • というか腹がストライクゾーンに出ていないだろうか。ゲームには関係のないことだが……
  • クロえもん、ドラ一朗がピッチャーになれない
    • クロえもんはサード、ドラ一朗はライトが本職だが、それぞれモンガーズ戦・オーストラリア代表戦で投手経験がある。
      • クロえもんの登板は1試合のみではあるが、「野手特有の荒れ球」と評されそこそこ好投しており、原作再現の面でもやはり寂しいものがある。
      • ドラ一朗が投げたのはゲームの範囲よりかなり後だが、元ネタを考えても登板できてもよかったのではないだろうか。*14
      • ポジション関係だと、ライアンが登板できないためデビルキングスの「裏ポジション*15」が再現できないのも残念なポイント。
    • ピッチャーができるようにすると専用のアニメーションを用意しなければならないため、手間がかかるのは分かるが……

総評

小学生でもすぐ遊べるお手軽野球に仕上げつつ、原作要素をバランスよく織り込んだ。
高クオリティのアニメ、モーションコミックが搭載されていることは、非アニメ化作品であることもあり原作ファンにはうれしい部分。
効果音の描き文字、必殺技のムービーなどもよく出来ており、原作漫画をそのまま遊んでいるような感覚が味わえる。
ただ、AIの出来や技術介入要素の少なさから、野球のリアリティに欠けるのが玉に瑕。
ドラベースファンはもちろん、簡単・爽快な 超野球 (スーパーベースボール)を楽しめるゲームとして広く勧められる佳作といえる。

余談

  • 本作をネタにした「ドラベース DS編」は単行本19巻収録。持っているのであればもう一度読み返してみてはどうだろう。
  • 本作オリジナルチーム、23世紀ドラーズのエピソードは原作20巻のおまけ漫画として収録。月刊誌2話分と結構なボリューム。
    • ドラベースのライバルキャラの パチモン 同型ロボで構成された強力チーム……のはずなのだが、能力も高くなく、必殺技も無い。
    • 必殺技は96えもんの『太陽大根切り』と46えもんの『M(まっしろ)ボール』が収録されている。
      • ちなみに漫画版では24世紀から来たまっしろえもんなるキャラも登場しているが、さすがにこちらは出てこない。
  • 本作でも『マイドラーズ』で加入しているアカえもんは前作のオリジナルキャラ。再登場に驚いたファンも多かった。
    • アカえもん登場回は単行本15巻のおまけ漫画として収録。消防士としての活躍も描かれる。
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最終更新:2023年03月06日 12:50

*1 後原作に逆輸入された。

*2 現実には主催団体や球場レンタル条件などでイニング数はまちまちであり、基本何回制という定めは無い。

*3 例として『炎ノ打撃』はホームラン率がかなり高いが、『ブラックホール打ち』は特に結果が安定しない。

*4 実際、原作でも『スモールライト』を使いストライクゾーンを非常に小さくすることで四球を選ぶという戦術も取られた。

*5 原作では基本的に解説はポコえもんがつとめていた。

*6 現実の野球でも「フェアゾーンに飛んだ打球がヒットになる確率(BABIP)」は同じ選手でも時期ごとに大きく差があり、運の要素が強いというデータが出ている。

*7 ポコえもんは球速は遅い上に変化球も無いため軟投派ですらない素人。本作の後、軟投派のブブ太なども登場した。

*8 この段階でシロえもんの球速は160キロを越えている。中学生以下のひろしはどれ程速くても140キロ以下と思われるため、シロえもんを十分打てる球にしつつ球速差を表現した結果だと思われる。

*9 もちろんストライクだけでなく審判のコールは一通り揃っている。

*10 本家『ドラえもん』に登場した「怪傑オシシ仮面」をモデルにしたチーム。

*11 このミニゲームがビッグドーム杯予選にあてられており、Aランク以上を取らないと先に進めないため、難易度調整としては妥当。

*12 一応、他に投げる先がない場合などは間に合わない送球もする。

*13 環境ごとに書体が異なると思われるが、リットル記号に近い形。Qボールは投球後一回宙返りをしてタイミングをずらす魔球で、横から見るとQの字の軌道を描く。

*14 元ネタのイチロー選手が高校時代まで投手だったのは有名な話。プロ入り後もオリックス時代のオールスター、マリーンズ時代にそれぞれワンポイントで登板している。

*15 原作では、試合開始直後、ドラーズを舐め切っていたデビルキングスは全員本職でないポジションで試合に臨んでいた