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サーカディア

【さーかでぃあ】

ジャンル アドベンチャープラス
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 アルヴィオン
発売日 1999年1月14日
定価 5,800円(税抜)
レーティング CERO:A(全年齢対象)*1
配信 ゲームアーカイブス:2007年10月24日/628円
判定 良作
ポイント 海中都市で勧誘活動
親しくない友は明日の敵



ユウゴウノ トキハ …チカイ



概要

かつてソニーが行なっていたゲームクリエイター発掘オーディション「ゲームやろうぜ!」の企画の一つとして開発されたソフトであり、アルヴィオンの処女作。
不思議な力に目覚めた学生達が異変に立ち向かっていく、所謂「学園伝奇モノ」「ジュブナイル」と言った類の作品であるが、
東京魔人學園剣風帖』『女神異聞録ペルソナ』などのファンタジー色が濃い同系統の作品に対して本作は近未来を舞台としたSFチックな世界観となっている。
また、登場人物の会話を読み進めながらストーリーを進行するアドベンチャーであると同時に、恋愛シミュレーションとコマンドバトルの性質を併せ持つ。


ストーリー

ごく普通の高校生、片山弘樹は育ての親である叔父、片山茂の仕事の都合で、海中都市ブルージェネシスへ引っ越してきた。
そのころブルージェネシスには、幽霊がでる、「ナイトメア」と呼ばれるモンスターに襲われた、といった冗談めいた噂が流れていた。
そして、弘樹もまた、ブルージェネシスに到着した直後から、なんとなく普通ではない気配を感じていた。

引っ越し当夜、弘樹の前に「ナビ」と名乗る正体不明の生き物が姿をあらわした。
ナビと共生することによって、弘樹は超能力者として覚醒、ブルージェネシス内を徘徊するナイトメアと戦う能力を身につけた。

ナビによれば、弘樹たちが暮らす物質界には大異変が起こしつつあり、それを防がなければ世界が崩壊、消滅してしまうという。
世界の崩壊を防ぐには、超能力者が力を合わせて意識界(=サーカディア)からの敵と戦わなければならない。

ナビの指示のもと、弘樹は超能力を覚醒させた仲間を探しはじめた。

(取扱説明書より)

登場人物

+ 長いので折りたたみ
  • 片山弘樹(CV : 檜山修之)
    • 本作の主人公。幼少期に両親を亡くし、叔父に育てられた。ルポライターの叔父が取材であちこちを飛び回る関係で転校を繰り返している。能力のイメージは光る天体。
  • ナビ(声 : 高山みなみ)
    • 物質界を救うために精神界「サーカディア」からやってきた高次元意識体。ある出来事で弘樹と共生関係となり、彼を世界を救う戦いに半ば強引に駆り立てる。
  • 朝倉優美(CV : 白鳥由里)
    • 普通科の生徒で、弘樹のマンションの一階上に住む少女。引っ越して来たばかりの弘樹に親身に接する。ナイトメアによって寄生されるが弘樹によって救われ、最初の仲間となる。能力のイメージは常緑樹。攻撃技を持たない。
    • そのキャラ設定や必ず最初にイデアイベントをクリアする点など、正に絵に描いたようなヒロインだが、実はイデアイベントはもう一つ存在し、プレイ次第では他の仲間同様に敵に回ってしまう。
  • 保坂良太(CV : 田中真弓)
    • 初等部のやんちゃ坊主。自称・優美のボディガードで、彼女と親身になった弘樹を敵視する。能力のイメージは玩具。
  • 五十嵐啓介(CV : 井上和彦)
    • 弘樹の叔父と組んで仕事をしている元刑事のフリーカメラマン。弘樹にとっても兄貴分となる。ナイトメアによって親友を失った過去を持つ。能力のイメージは炎。
  • 如月美海(CV : 紗ゆり)
    • 記憶障害を患い、ブルージェネシス総合病院に入院している小学生の少女。自身や家族の事を全て忘れている。能力のイメージは炸裂。
  • 影守聖(CV : 三木眞一郎)
    • 医学科の生徒であり、ブルージェネシス総合病院の脳神経外科医でもある。クールな毒舌家で敵を作りやすい性格だが、医者になったのは唯一の肉親である妹のためであると言う。能力のイメージは氷。
    • 後述する6月21日のイベントの対象にならない。
  • 速水健吾(CV : 速水奨)
    • スポーツ科の生徒。曲がった事を嫌う、正義感の強い性格。一方で口下手で不器用な面も。空手を嗜んでおり、肉体的にも強い。能力のイメージは大地。
  • 大塚守(CV : 緑川光)
    • 物理学科の実験チームリーダー。人柄も良く、学園内で慕われている。真面目だが研究熱心が行き過ぎて過労で倒れる事も。健吾とは幼馴染で、要とは同じ実験チームのメンバー。能力のイメージは雷。
  • 桐生院深雪(CV : 矢島晶子)
    • 史学科所属の生徒。良家のお嬢様だが世間知らずの天然ボケで、無自覚に騒動を起こす。能力のイメージは幻。
    • 実は弘樹と深い関わりがあり、物語の根幹に別の方向から携わる存在である。その関係か、イデアイベントは任意でも起こせるが、仲間に居る状態である日を迎えると必ず発生する。優美を表のヒロインとするなら彼女は裏のヒロインと言える。無論、敵に乗っ取られる可能性があるのも然り。
  • 桐生院綾彦(CV : 置鮎龍太郎)
    • 深雪の兄で、同じく史学科所属。礼儀正しい御曹司だが家庭の事情で人間不信に陥っている。能力のイメージは和風。
    • こちらから会わなくとも、行動次第では向こうから仲間になってくる。但し、その場合は友好度が低いため、放置すると6月21日のイベントで真っ先に敵に乗っ取られてしまう。
  • 杉浦泉(CV : 安達忍)
    • 音楽科の生徒。ピアノコースに在籍しているが、クラシックピアノは嫌いでライブハウスでバンド活動に励んでいる。学校ですら私服を通すほど勝気で意地っ張り。能力のイメージはタロット。
  • 竜門要(CV : 関俊彦)
    • 物理学科所属の明るく社交的な苦学生。兄弟達を養うためにアルバイトを掛け持ちしており、学校もサボりがちだが実は天才肌の優等生。能力のイメージは風。
  • 乾沙夜香(CV : 勝生真沙子)
    • 弘樹のクラスの担任教師。職業柄似つかわしくないセクシーな格好をしているが、教師としては真面目。啓介とは恋人だったらしいが…。能力のイメージは宝石。
  • 矢沢麻衣(CV : 長沢美樹)
    • スポーツ科で水泳部に所属する少女。明るく元気なスポーツ娘で、礼儀正しい。能力のイメージは水。
  • 篠原智美(CV : 井上喜久子)
    • 音楽科の生徒。天才ピアニストとして知られるがその重圧に萎縮している。泉とは犬猿の仲。能力のイメージは霧。
  • 御剣晃(CV : 堀秀行)
    • ブルージェネシスの科学庁の長官である 分かりやすいほど極悪人なツラをした 御剣恭太郎の養子。初対面のはずの弘樹の事を知っているようだが…。

特徴

  • 本作の主な目的は、「来るべき決戦に備えて仲間を集める事」である。
    • 能力に目覚めた主人公は世界を救う使命を帯びる事になるが、敵は強大で1人では心許ない。そのため、同じような能力を持つ人間を探し、仲間に引き込む必要がある。
    • 学生生活を送りつつ、候補となる持つ人物と接触し、交流を深めて協力関係を築くのが主な流れとなる。
      • 仲間には友好度が存在し、男女共に最も友好度の高いキャラは終盤で主人公と親友や恋人などの密接な関係になったり、個別エンディングを迎える事ができる。
    • ゲームはディスク2枚構成で、Disc1では本作のメインとなるこの仲間集め生活が展開される。Disc1の最後でいよいよ敵が行動を起こし、Disc2にて集めた仲間と共に決戦に向かう。
  • 海中都市(主に学園内)のあちこちに赴いて人と会話し、仲間を増やしていくのが大まかな流れになるが、実は本作の最大の特徴は友好度の低い仲間が敵に回る事である。
    • より正確に言うなら、一定まで友好度を上げて専用イベントをクリアしたキャラは本当の意味で仲間になり、同時に最も友好度が低い仲間が敵に乗っ取られてしまうのである*2
      • ある時期までは特に制約も無く仲間を増やせる。それまでに協力関係を築いた仲間が以降の展開にて敵味方に分かれていく。
      • 本当の意味での仲間はDisc2での決戦に同行し、敵に回った仲間は終盤戦で主人公の前に立ちはだかる事になる。そして最後は主人公達の手で倒す事に。どちらにも該当しない仲間は離脱し、以後は登場しなくなる。
    • つまり「本当の仲間」を増やせば増やすほど敵も増える。また、6月21日には友好度の最も低い仲間が見せしめのように敵に乗っ取られる*3ため、どんなに頑張っても全員を助ける事はできない。
      • 上述しているが、多くのプレイヤーの場合、初見では直前のイベントで自動的に加入となった桐生院綾彦が乗っ取られるケースが頻発した。

用語

  • エーテル
    • 本作においては物質界を構成するエネルギーとされ、この世のあらゆる物質はエーテルが具現化したものとなっている。主人公達の超能力はこのエーテルを自在に具現化するもの。
  • ナイトメア
    • 本作の敵であり、人の思念によりエネルギーが意思を持った怪物。肉体を持たないため、エーテルによる攻撃(=超能力)でしか対抗できない。知性を持ったナイトメアは人間に寄生した方が効率的と気付き、人間の自我を喰らって肉体を乗っ取る事を目論む。
  • サーカディア
    • 物質界である現世とは対照的な精神の世界。人間の個々の意識は「イデア」と呼ばれ、サーカディアにはイデアの集合体である巨大な塔が存在する。
    • 物質界との融合が迫っており、主人公の使命はその原因を突き止めて阻止する事である。

ゲームシステム

  • ゲームの期間
    • プロローグが終わると仲間集めが始まる。その期間は6月15日から7月3日までの約3週間で、この期間内での行動で決戦時の敵味方の勢力図が決定する。
    • 実際に行動できるのは月曜日~金曜日の平日の放課後のみでそれ以外や土日はイベントで進行する。
    • 最初の1週間は準備期間のようなもので、仲間との顔合わせはこの期間に行う。ここで協力関係を築けなかったキャラは仲間にならず以後も登場もしない。
      • 2週目からは後述するイデアイベントと敵による乗っ取りが発生するようになる。
      • 2週目、3週目の展開を考えると、何か理由が無い限りはここで14人全員との協力に漕ぎ着けておいた方が得策。
  • フリームーブモード
    • 平日の放課後、学園内やその付近を移動して仲間と会話する。どこに誰がいるのかは名前表示とナビのコメントで判別できる。誰もいない所には行けない。
      • 名前が点滅しているキャラはそこで会っておかないと以降は登場しなくなる最後のチャンスを指す。アイコンが赤くなっているキャラはイデアイベントが起こる事を示している。
    • 全体マップにはナイトメアのアイコンが漂っており、これにカーソルが接触すると戦闘に入る。アドベンチャーの移動先選択画面にシンボルエンカウントを混ぜたようなもの。
      • 最終日を除き、ナイトメアは全滅させるとその日はマップ上に出現しなくなる。
    • 規定回数移動するか、イデアイベントを起こすと帰宅し、翌日に移る。前者ではランダムで仲間と出会い、誘って一緒に帰る事もできるが友好度が足りないと断られる。そのため、初期段階ではストーリー上かなり親しいはずの優美にすらあっさり断られる事も…。
  • アドベンチャーモード
    • ADVの基本画面。ストーリーを進めるのは勿論だが、自由行動中はフリームーブモードから小イベントを起こしてこの画面にて仲間とコミュニケーションを取る。小イベント中は選択肢やミニゲームに応じて仲間の友好度が増減する。
    • メニュー画面での仲間の並び順は友好度が高い順であるため、おおよその比較はできる。また、イベント後に並び順が入れ替わっていれば、今のイベントで友好度が上がったのか下がったのかも分かる。
    • イデアイベントをクリアしたキャラに会いに行くと、新規のイベントこそ起こらないが訓練のためのバトルが行える。
  • バトルモード
    • 本作には戦闘の概念があり、RPGのようにコマンド形式で敵と戦うシステムとなっている。
    • 但し、本作は一般的なHPとMPはPPという数値に一本化されている。つまり攻撃を受けるのみならず、技を使用してもライフが減っていく訳である。これは敵も同じ。
    • 本作にPPを消費しない通常攻撃は存在しないため、攻撃や補助などの行動には常にPPを消費する。PPはターンをチャージに費やせば回復できる他、回復技を持つキャラもいる。
    • 高威力、全体攻撃など強力な技ほど消費PPは多く、下位の技との差はかなり大きい。
      • そのため、強い技は使い所を誤ると逆にピンチに陥るが、かと言ってPP消費が少ない技はそれに見合った威力しか無く、また敵味方共に結構な頻度で回避するので、安全策を採って弱い単体攻撃ばかり使っていては戦闘が長引いて却って不利になる事も。
  • ミニゲーム
    • キャライベントを起こしていくとミニゲームが発生することがある。良い成績でクリアするほど友好度上昇も大きい。
    • 仲間1人につき1つのミニゲームがある。一度でもプレイしたミニゲームはおまけモードで挑戦可能となる。
      • 但し、14人中6人は一つのミニゲームをガワ替えで流用している*4。このミニゲームはおまけモードにて、キャラを選択して2P対戦が可能。
      • また、おまけモードの対CPU戦においては、CPUとして選んだキャラによって強さが変わるために一種の難易度調整になる。CPUに聖を選ぶとかなり手ごわい相手になったりも…。
  • イデアイベント
    • 本作の肝となるイベント。友好度は一定以上まで高まった仲間に発生する。ナイトメアによって精神に寄生された仲間を救うべく、主人公も精神世界へと乗り込む。
    • 精神世界内部ではその仲間の記憶を元に様々な世界が構成され、それに応じたギミックやトラップが仕掛けられている。選択肢を選ぶなどで奥へと進むが、主人公のPPが徐々に減っていくため、なるべく迅速に最奥部に到達する必要がある。
    • 最奥部では仲間の自我と合流し、ボスとなるナイトメアと戦う。これに勝てばそのキャラは正式に仲間入りし、後の決戦に参加してくれるし敵に乗っ取られる事もなくなる。
      • ボスを倒す前に主人公のPPが尽きるとイデアイベントは失敗となり、ゲームオーバーにはならないがその仲間は自我を喰い滅ぼされ、敵になってしまう。
    • また、1人仲間を救うとその翌登校日に仲間の中で最も友好度の低いキャラが1人敵に乗っ取られてしまう。
    • 発生しているかどうかは上述したようにフリームーブモードのアイコンで確認できる。放置して別の場所に行っても即乗っ取られたりはしないが、イベントは翌日以降に持ち越しとなってしまい、その日は挑戦できなくなる。これが仲間を7人揃える難度を引き上げている*5
  • 自由行動の最終日となる7月3日を終えると、本格的にメインのストーリーが進行する。
    • イデアイベントをクリアした仲間達が集合し、黒幕との戦いに向かう。これ以降は一本道のリニアなストーリー展開となり、会話を読み進めたりイベントを戦闘をこなすなどでエンディングへと向かっていく。
    • 探索要素は幾つかあるが、ストーリーの流れ自体は変わらない。
    • 終盤には乗っ取られた仲間が中ボス的存在として襲いかかり、クライマックスでは主人公+イデアイベントをクリアした仲間VS黒幕+乗っ取られた仲間による総力戦が待っている。

評価点

  • 魅力的なキャラ
    • 仲間達はいずれもキャッチーなデザインに個性的な性格で、個別イベントにて掘り下げも深く行われており、どのキャラもそれぞれ異なった魅力を持っている。
      • それでいて不快なキャラ付けも無く、当初の印象が悪かったとしてもイベントを進めれば改善されてくる。
    • 戦闘時には全てのキャラの全ての技に個別のムービー演出が用意されている。
      • 一枚絵をスライドさせて演出を付けただけのものもある一方、キャラがしっかりアニメーションを取る凝ったムービーも多い。どれも各々の性格や特徴をよく活かしており、また、能力にもキャラ毎のモチーフが設定されている事で個性が上手く引き出されている。スキップも可能。
    • 仲間キャラのみならず相棒のナビ、主人公の叔父、悪役などのサブキャラ達も個性豊か。
    • 主人公自身も一見没個性的で地味に見えるが、実際は物語の根幹に関わる重要キャラであり、終盤には自らストーリーを引っ張って行く。それが特に活きてくるのが後述する1人ルートである。
  • 独自性の高い世界観
    • ストーリー自体は王道ながら、伝奇系のジュブナイルものとしては珍しい近未来の世界観を扱っている。設定はしっかり練りこまれており、海中都市や意識界と言った独特の要素が上手く組み合わさって引き込まれるものとなっている。
  • 自由度とリプレイ性の高さ
    • 各種イベントはユニーク且つ豊富で、1度や2度のプレイでは到底体験しきれないので何度もプレイしたくなる。
      • 仲間は全14人。一度のプレイで仲間にできる最大数は7人。つまり全員を仲間にするには最低2周が必要だが、はっきり言って期日までにイデアイベントを7人クリアするのは非常に難易度が高い。しかも進行の仕方次第でイベント発生状況も変わるため、僅か2周のプレイでは仲間コンプリートはまず無理と思った方が良い。
    • 仲間同士にも繋がりがあるため、誰と誰を仲間にするかによってイベントが変化する事も多々。何度プレイしても新鮮な体験ができる。
    • どの仲間も等しく敵にも味方にもなるため、女性キャラor男性キャラだけのパーティを組んで相対するパーティを叩きのめしたり、深い関係にあるキャラを敢えて敵味方に分かれさせるなどと言った鬼プレイも可能。
    • 人数の縛りは「決戦に連れて行けるのは7人まで」だけなので、万全を期して大所帯で行くも、パートナーと2人きりで戦いに向かうも自由である。
    • また、難易度は高いが誰も仲間にせず主人公だけで決戦に挑む事も不可能ではない。
      • その場合、話を進める仲間がいないため本来はそこで喋るべきではない主要キャラが目立つようになり、主人公の周囲をより掘り下げた展開となる。犠牲者も少なく済み、ストーリーにより深くのめり込むなら体験して損はないものなので、腕に覚えがあるなら挑戦してみて欲しい。
    • 個別エンディングを迎えると、そのキャラのイラストや資料がおまけモードで参照できるようになる。コンプリートの楽しみもある。勿論、前述の1人プレイで解禁される要素もあり、この場合はおまけ要素のミニゲームの対戦モードで御剣晃を解禁可能となる。
    • 周回プレイの味方、メッセージスキップも完備。また、□ボタンでメッセージ送りをすれば、テキストを瞬時に表示させる事ができる。手早く進めたい、でも文章もある程度読みたい時に重宝する。
  • 豪華声優陣
    • 登場人物一覧を見て頂ければ分かる通り、現在はおろか当時としても有名な人気声優で塗り固められており、キャラの魅力を更に高めている。
    • 仲間以外のサブキャラも(仲間と兼任しているケースもあるが)大手声優が担当している。

賛否両論点

  • 仲間が必ず敵に乗っ取られる仕様
    • 仲間を助ければ助けるほど他の仲間が敵に奪われ、最終的に倒さなければならないダークさは人を選ぶ。しかも洗脳されると言った生易しいものではなく、自我を喰われているため正気に戻る事も無く、最後は主人公達に倒されて肉体は霧散し、消滅する。これが男女や大人子供の区別も無く全員平等にあるため、家族ぐるみで付き合いのある優美、兄弟達を養っている要、小学生の良太や美海などだろうと敵対すれば容赦無く倒す事になる。
      • 敢えてショッキングな展開に持って行って残酷なストーリーを演出したり…などもできるほど自由度が高い事でもあるのだが、どう足掻いても死者が出るシビアさは万人向けとは到底言えないのも確か。上述の通り、本作はキャラが魅力的に描かれているため、その命が失われていく衝撃もひとしおである。
    • 既に自我が乗っ取られているので敵対するのは肉体を傀儡にしているだけの別人ではあるのだが、肉体に引っ張られるのか口調はオリジナルのままで、主人公達と対峙した際にも生前の仲間のように振舞う。そして近しい人間がこちら側に居ればそれに応じて揺さぶりを掛けてくる。
      • また、それはつまり本来の自我は既に死んでいる事を意味する。イデアイベントで分かる通り、当人の立場からすれば精神世界でナイトメアに喰い殺された形となるのもえぐい。
    • これが1周目で乗っ取られた仲間への感情移入もあまり出来ていない段階なら然程辛くもないが、プレイを繰り返すと当然ストーリーを体験する仲間が増える訳であり、多くの仲間への感情移入が促進される。
      • そうなると、前周で親友や恋人になったキャラを倒すなども普通にあり、深くのめり込む人ほど周回プレイが辛くなるという逆スルメゲー的なこともあり得る。
      • 勝手が分かって友好度のコントロールが出来るようになると、周回の度にプレイヤーは誰を仲間にするかに悩むと同時に、誰を切り捨てるかというジレンマにも悩む事になるのもまた本作の特徴である。
    • 主人公達の態度は「あれはもう○○君(さん)じゃない」「さようなら、○○」などと切り替えが早く、乗っ取られた仲間の家族や周囲の様子も特に描かれないのでやけに淡々としている印象があるものの、寧ろあまり感情面の演出を入れない分、プレイヤーも割り切りやすい…かも?
    • ならば「辛くなるくらいなら仲間なんかいらない。1人で戦う」と思っても、上述の通り1人プレイは難易度が高くやり込みの域であり、普通なら仲間を作るプレイとなる。仮に1人プレイを目指しても6月21日には必ず1人が乗っ取られるので、どうあっても犠牲者0は適わない。

問題点

  • バトル関連
    • キャラが多い分、性能格差は否めない。ある意味、誰を仲間にして誰を敵に差し出すと効率的かという戦略性があるとも言えるが、効率を重視するといつも同じようなメンバーになってしまう事も。
      • 例えば深雪は敵全体を混乱させる技を持つため、敵か味方かで難易度が全然違ってくる。また、登場人物の項で前述した通り彼女のイデアイベントは特殊なため、イベント、効率両方の面でパーティインしがち。
    • 相応にエンカウント戦闘もこなして強化をしないと終盤がキツいのだが、戦闘終了時の成長は個別のパラメーターで行われる上に完全ランダム。サガシリーズのように戦い方や敵の強さで変わる訳でも無いため、運が悪いといつまでも強くなれない事も。
      • それを見越したのか、最終日の7月3日は雑魚ナイトメアが無限湧きするようになっている。ここでひたすら戦って終盤に備えろという事なのだろうが、周回の度にこれをやるのはかなりしんどい。また、初見ではそんな事など分かりようもない。
      • また、エンカウント戦闘にどの仲間が参加するのかすらもランダムであり、仲間を思うように育てる事もままならない。
      • 救済措置としてか、ラストバトル前の選択肢によって主人公は強力な全体攻撃技「アタラクシア」を習得する事ができる。しかし消費PPも激しいため、これがあるから楽勝という訳ではない。
    • ラスボスは主人公1人で挑むのだが、それまでの敵と段違いに強い上に直前のイデアイベントで強制的にダメージを負った状態で始まるため、相当鍛えないとまともに挑んで勝つのは難しい。
      + …が、楽に勝つ方法も
      • 繰り返すが、本作はライフであるPPを削って攻撃するシステムである。それはラスボスとて同じであり、しかもラスボスの技はどれもPP消費が激しい。そして主人公は2ターンだけ攻撃を無効化する技が使える。つまり…。
  • どんな編成でもメインストーリー自体はあまり代わり映えしない
    • Disc2の決戦はどんなパーティを組んだかで細部の台詞は変わるものの、基本的な展開は同じ。しかもボリュームも結構あるため、何周もしているとダレやすい。ある意味では『ゼノギアス』に通ずるものがある。
    • 最後の黒幕との総力戦は相応の強さが無いと厳しく、到底勝てないような状態になってやり直すのにも時間が掛かる。無論、セーブデータを残していなかった場合は…。
    • 一番友好度が高い仲間とは親密になると言っても、他の仲間よりも主人公と会話する機会が多いぐらいで、パートナーらしいイベントも決戦前夜の会話とラスボス撃破後の脱出シーン程度。
      • 更にはエンディングまでも基本同じであり、仲間達が旅立つ主人公を見送りに来て、一番友好度が高いキャラが最も深く会話をするという程度のマイナーチェンジ。後日談も無いため、厳密にはキャラエンドと言えるほど大それたものではない。
      • その後のスタッフロールも固定。バックの映像と曲もエンディングの雰囲気と少々かけ離れた作りで、今一つ感動やカタルシスが感じ辛い。
      • キャラ毎にエンディングCGが存在するのだが、これがおまけモードでしか見られない。スタッフロール後にでも表示すれば雰囲気も出たのではないだろうか。
  • 一部の消化不良感
    • 終盤では思わせぶりにナビの正体をうかがわせる演出が幾つもあり、そこまで進めたプレイヤーなら誰でも察せられるほどに手がかりが提示される。しかし明確な答えは明かされないまま終わる。
      • 敢えて語らないという手法なのだろうが、情報自体はかなり意味深に提示される一方でナビとの別れの際にその事に一切触れないので、最後に絡んでくると期待すると肩透かしを喰らう。
    • ラスボス戦後、主人公によって救われたとある人物についてもエピローグでは一切触れられない。その人物に対して主人公が下した決断やその結果についても特に描写される事なく終わってしまう。
  • せっかくの豪華声優陣なのにボイス量は少ない
    • 声があるのはごく一部イベント、ムービー、ミニゲームぐらいで、時代的な事情を考慮しても少ないと言わざるを得ない。せっかく大手声優を集めたのだから欲を言えばもっとボイスが欲しかったところ。
    • 戦闘時も、ムービーは凝っているのにここでもボイスは掛け声や悲鳴程度しかなく、技名を叫んだり決め台詞を言う事もない。
    • そしてエンディングでも、最初の主人公と叔父の会話はフルボイスなのに肝心の仲間達との別れのシーンは無声である。

総評

様々なキャラとのコミュニケーションを取りながら過ごしつつ、やがて世界の危機に立ち向かっていくというジュブナイルものとして王道の作風ながら、独特の世界観とシステム、そして魅力的なキャラを揃えた意欲作。
独特を通り越して尖った仕様もあってか一般受けはせず、続編などの新展開も見られなかったのは残念ではあるが、その魅力に取り付かれたファンも多く「隠れた名作」とも評されている。


余談

  • 本作が初開発作品となったアルヴィオンは以降は数々の有名タイトルの開発に協力するが、自社のオリジナルタイトルはあまり手掛けてはいなかった*6
    • 後に開発・発売した『MALICIOUS』は複数回リニューアル移植されるほどの人気を獲得し、同社の看板タイトルとなる。

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最終更新:2024年01月09日 16:41

*1 ゲームアーカイブスで付与。

*2 イデアイベントクリアの翌登校日に乗っ取りが判明するため、最終日の7月3日にクリアした場合は対象外

*3 最初のイデアイベントの対象者である優美と、6月20日のイベントで出てくる聖を除く

*4 オブジェクトが重なった順番に合わせて正しくボタンを押すミニゲームで、内容はキャラによってハンバーガー作りだったり薬品の実験だったりする。

*5 大抵、その日の行動の1回目で発生する。つまりイデアイベントをやるならその日はそれだけに専念する事になり、他の場所には行けなくなる。逆に他の場所に行くならその日のイデアイベントを諦めなければならない。

*6 単独開発と言えばPS2の『ポイニーポイン』と『チェインダイブ』ぐらいで、後は元がインターネットコミュニティサービスだった『プーペガールDS』程度だった。開発協力でなら大型タイトルを幾つも手掛けている。