桃太郎電鉄USA

【ももたろうでんてつ ゆーえすえー】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 ハドソン
発売日 2004年11月18日
定価 6,800円
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 PlayStation 2 the Best:2006年7月6日/3,619円
判定 良作
バカゲー
ポイント 全米進出でマップもイベントのスケールも増大
宇宙からやってきたスペースボンビー
ブロックカード・メカボンビーの廃止
桃太郎シリーズ

概要

『桃太郎電鉄』シリーズ第13作にして、海外を舞台とした初の作品。
タイトルの通り今作は日本ではなくアメリカ本土を舞台としており、ゲームシステムの根本は踏襲しつつ、世界観に合わせて様々な変更や新規要素が施されている。


今作限りの特徴

  • タイトルの通りマップは一新され北米大陸が舞台となった。北はカナダ~アラスカ、南はメキシコ~パナマとその広さはシリーズ最大級。
    • スタート地点はニューヨーク。1マス左が大陸横断空路、1マス右が海路という挑戦的なスタート地点である。
    • ゲームが進むと地上マップ以外に宇宙マップ、月面マップ、海底マップ、19世紀マップと、海外どころか時空をも超える旅をすることになる。
  • ワープ駅が廃止され、0駅が追加。スロットマシン駅、サイコロパレス駅、マッド駅など今作限定の駅も。
  • 通貨単位が円からドルに変更。表示の都合上1ドル=10円と扱われている。
  • 岩戸景気がITバブルに変更し、1年限りの効果となった。
  • 水産物件のジャンルが廃止されて食品物件に統合。代わりに娯楽物件とチェーン物件が追加。
    • 娯楽物件は映画館やプロ野球チームなど、過去作の商業物件・観光物件にあたる物件の一部が振り分けられている。
    • チェーン物件は店舗数が増えれば増えるほど全店舗の収益率が上がっていく仕組み。コーヒー、バーガー、チキン、ピザの4種類があるが1試合に登場するのはランダムに1種類のみ。
    • ジャンル変更に関係して三賞が食品王・農林王・娯楽王に変更されている。
  • 住民や汽車、背景などのグラフィックはもちろん、臨時収入や損害が起こるイベントのほとんどが差し替えられた。
  • 新ボンビーとしてスペースボンビーが登場。毎月サイコロを振って出た目の数だけカードの持てるスペースを減らしていき、最終的にはカードが1枚も持てなくなるというその名からは考えられない悪行をしてくる。他のプレイヤーになすりつけても、貧乏神に戻っても数ターン待たない限り回復しないため厄介。
    • さらに『12』からハリケーンボンビーが引き続き登場。過去作のゲストボンビーの再登場、ゲストボンビーの複数登場ともにシリーズ初。
  • 『11』の「貧乏神がいない!」モードが復活した。
  • 鉄道省は登場しない。よって鉄道経営もできない。本社ビルもない。
  • 最高額物件はオーランド(フロリダ州)にあるネズミーワールド(100億ドル)。

主な変更点

  • 『12』では西日本編のみの登場だったナイスカード駅や忍者のっとりクンが本編に登場するようになった。
  • 『12』で所持枚数が制限されたブロックカードだが今回ついに廃止された。
    • 代わりに多くの妨害系カードに命中率が設定されたほか、武器よさらばカードの登場により自分を含む全員の妨害系カードを全て消去できるようになった。
  • 他にも新幹線周遊カード、ベビキュラーカード、一頭地を抜くカード、ジャックポットカード、エアフォースカード、とりかえしカードなどが新登場。
  • キングボンビーを倒すために購入する鉄屑メカボンビーが廃止された(ロボット研究所も登場しない*1)。さらにキングボンビーが変身したそのターンから悪行を始めることがあり*2、過去作以上の脅威と化した。
  • 貧乏神が別のボンビーに変身する際「3・2・1・GO!」という掛け声と共に変身するようになった。
    • フェイントで2回目・3回目の「GO!」を繰り出すこともあるため、ミニボンビーになっても油断はできない。1回目でキングボンビーに変化した場合フェイントは発生しない。
  • 100万ドルの食品物件に限り、ランダムにテレビで紹介され収益率が50ポイント上昇する。
  • 役職が最大3文字まで長くなった。今作では「大統領」や「Jr.」などが用意されている。
  • COMキャラからゆき鬼と雷神が削除され、面子は異なるが全8人に戻った。
    • 本作では隠しキャラはおらず、久しぶりにさくま鉄人を最初から選べる。
    • 実力差をより明確にするためか、本作から風神とあしゅらの段位が七段と九段に上がり、段位が連続しなくなった。
    • あしゅらは今作より妨害系カードをほとんど使用しなくなり、エンマ名人との差別化が図られた。
      • 妨害系カードを初めて入手した時に限り、それを即座に捨てるという徹底ぶりで、専用のメッセージも追加されている。

評価点

アメリカの地理をくまなく覚えられるマップ

  • ニューヨーク、アトランタ、シカゴ、ラスベガス、ロサンゼルス、シアトルといった日本でもよく知られる都市はもちろん網羅されている。
    • ニューヨークは物件数が最大30件と圧倒的に多く、一方ロサンゼルス一帯はロサンゼルス、ハリウッド、ビバリーヒルズ、サンタモニカと規模が大きな駅が4つも連なっていることで大都市のスケールを表現し分けている。
    • 知らない都市もこれらの有名都市を足掛かりに地理を覚えていくことができる仕掛けになっている。
    • 日本マップでおなじみのホノルル(ハワイ)が今回はマップの西の果てに位置していて新鮮。
  • USAと言いながら、カナダやメキシコ、中米諸国にまで自由に行き来できる。ゲーム開始直後の目的地ルーレットでジャマイカが選ばれて驚いたプレイヤーも多いかもしれない。
  • 自由の女神やナイアガラの滝、ゴールデンゲートブリッジといった名所もマップに配置されており、どの都市の近くにあるのかが直感的にわかる。
  • 特定の物件駅に止まると時折その都市のトリビアが流れ、おまけにカードがもらえる。トリビアの量が多く、カードもいいものばかりなので色々な駅に止まりたくなる。
  • 物件駅の看板はカタカナだけでなくABC表記も併記されており、現地語でどう書くのかも覚えられる。
  • 目的地のルーレットでは選ばれた目的地を地図で表示してくれる。馴染みの薄い地名が多いだけにこの工夫は非常にありがたい。『ワールド』の発売まで据置機では今作だけの優位点だった。

アメリカを体験できる多種多様の新イベント

  • ラスベガスでのカジノ、サンクスギビングデー(感謝祭)、ドラッグレース、映画制作、大統領選挙など、稼ぎながらアメリカの文化も覚えられる。
  • ハリケーン、熱波、竜巻、山火事、宇宙人襲来と災害イベントもアメリカならでは。
    • 宇宙人襲来では複数人でエアフォースカードを何枚も用意することで勝率が上がる仕組みになっている。状況次第ではライバルのプレイヤーと共闘する珍しい展開になることも。
  • メジャーリーグの球団を購入することができ、10月にはワールドシリーズのイベントが発生する。
  • 恒例のショッカーO野のミニゲームは実在の大会である摩天楼ビル駆け上がり大会とホットドッグ早食い大会を再現。どちらもサイコロを振ってとにかく大きい数字を出していくだけでよく、過去作と比べてスムーズに決着が付く。また大会開催をキャンセルすることも可能。
  • 自然災害のイベントも含め、多くの新イベントはその場で解説の文章が流れるためアメリカに詳しくない人もイベントを楽しめる。ハリケーンの命名規則や大統領選挙の仕組みを事細やかに教えてくれるゲームはこのゲームくらいだろう。
  • 貧乏神はカタコト英語を使ってきたり、マリリン・モンローのコスプレを披露したりとやりたい放題。
    • 恒例のクイズはアメリカの州や歴代大統領を当てるものになっている。
  • ハリウッドに3社ある映画会社をすべて購入するとおまけメニューに映画案内が追加される。開発スタッフおすすめの洋画100本の解説を読むことができる。

アメリカに移っても変わらない安定のシステム

  • アメリカでも新幹線カードなどの名前はそのまま。乗っ取りカードがM&Aカードに変更されたくらいである。過去作のプレイヤーがマップの他に覚え直さなければならない知識は最小限に抑えられている。
    • 逆に今作で初めて桃太郎電鉄に触れたプレイヤーでも他のシリーズ作品であまり困ることはないだろう。
  • ペペペマンやおいどん、忍者のっとりクンといった日本の特定の駅のみに現れるキャラクターも続投。どの駅に行けば会えるのか探し出す楽しみもある。
  • 目的地到着金やプラス駅、マイナス駅の金額も過去作のものを引き継いでおり、バランスは安定している。
  • 会計年度は日本に合わせて4月始まりで、季節の概念も同様。
    • 秋になるとマップ一面が紅葉し、冬には積雪するという視覚情報も日本マップと全く同じ*3。冷静に考えればパナマに積雪はあり得ないが、それでも季節をひと目で判断できる重要な情報源をプレイヤーに変わらず提供することを優先したのだろう。

強化されたグラフィック

  • 目的地に到着したときの背景の種類が増えた。地上だけでも5種類ほどある上、月面基地、海底財宝、19世紀にも固有の背景が用意されている。
    • しかも目的地ごとの文化・名産・有名人のキャラグラフィックも健在である。
  • ロッキー山脈を超えてゆく起伏の付いた線路、西海岸から東海岸まで線路のさらに上を豪快に横断する空路、進むにつれてどんどん月が近付いてくる宇宙マップなど、ボードゲームの常識を超える、3Dのマップでしか実現できない体験がふんだんに取り入れられた。
    • よく見ると月面では地球上よりも影が濃くなっていたりと細かい点まで作り込まれていることがわかる。
  • ラスベガスのカジノ内部のグラフィックが異様に凝っており、本物さながらの雰囲気で挑戦できる。バニーガールまで完備されており何度も訪れたくなる。
  • 海岸線が滑らかになった。

豪華なBGM

  • 地上BGMはもちろん海路、空路、月面、19世紀の各マップにそれぞれ新曲が用意され、過去作のプレイヤーを飽きさせない。
    • 上記の新イベントやメニュー画面、セーブ画面にまで1つ1つ丁寧に新曲が用意された。日本のほのぼのとした雰囲気とかけ離れたワイルドな地上BGMはもちろん、妙にハイテンションなスペースボンビーのBGMや、宇宙人襲来の一連のイベントのBGMは特に印象強い。
  • 宇宙マップやプロレス大会のBGMはそれぞれ過去作のごく一部のイベントで使われていたもので、当時のプレイヤーなら驚くかもしれない。

逆転要素の増加

  • ブロックカードが廃止されたことにより、妨害系カードの価値の低下とカードを利用しての逆転のし辛さという問題が解消された。
    • 代わりに追加された全員の妨害系カードを消去する「武器よさらばカード」は、能動的に使用しなければならない上に自分の妨害系カードも消してしまう。武器よさらばカード自体も妨害系カードに属する以上、何枚所持していても同時に消えてしまい手元に残せないため、使用する側が必ずリスクを負う仕組みになっている。5ヶ所のカード売り場で売られているため補充は難しくないが、複数枚所持ができない分、バランスはとられている。
    • 『12』までに妨害系カードの中にもブロックカードを貫通するカードが多く追加され、どのカードが防がれてどのカードが防がれないか1枚ずつ覚える必要があったがこれも解消された。
  • ベビキュラーカードと一頭地を抜くカードの追加により下位のプレイヤーも大金を入手できるチャンスが増えた。
    • ベビキュラーカードは相手1人の持ち金を数割奪う。一気に半分以上のお金を奪うことも多く、これ1枚で順位がひっくり返ることも珍しくない。とっかえっこカードと違い使用者の持ち金が多くてもマイナスでも効果があるため使える場面が広い。
    • 一頭地を抜くカードは持ち金が最も多い相手を上回る量の現金が得られる。持ち金が最も多いプレイヤーが自分である場合は使うことができない。相手に一切損害を与えないぶん武器よさらばカードで消去される心配がない。
  • 上位のプレイヤーも緊張感のあるゲームが長く続くようになる一方で妨害系カードを引く確率は下げられているため、目的地や貧乏神を巡る駆け引きをないがしろにするようなバランスとはなっていない。
  • 月面基地と海底財宝の目的地到着金はなんと5倍。ホノルル(ハワイ)の他にアンカレッジ(アラスカ州)とパナマの2駅でも到着金が2倍となり、大金を入手するチャンスが増えた。
  • ラスベガスのカジノではスロットマシンで簡単にお金が増やせる*4ほか、サイコロ2~4個を振ってゾロ目に挑戦し当たってもハズレても必ず1枚カードがもらえる。景品の中にはプラチナカードや陰陽師カードなんてものも……。
    • なお1回の利用につき最大3または5ゲームで打ち切りとなるためお金を使い過ぎる心配はない。

ゲームテンポ改善

  • COM操作中のメッセージをボタン操作で早送りできるようになった。
    • 1人プレイではCOMのメッセージの待ち時間が最も長いわけで、今作で最も快適になった点といえる。
  • カードを売るときや捨てるときにカーソルの位置が保持されるようになり、何枚も処分するときの操作が格段に楽になった。これで陰陽師カードの使い勝手も良くなった。
    • 『12』では1枚処分するごとにカーソルが一番上まで戻ってしまっていた。
  • デビルカードを持っているプレイヤーがカード売り場でおはらいカードを買うとその場でおはらいできるようになった。
  • 前述の通り、貧乏神の変身ムービーが変更されて結果がすぐにわかるようになった。
  • メカボンビーが廃止されたことでキングボンビーとの戦闘シーンに時間を取られることがなくなった。
  • 台風(ハリケーン)が被害駅ごとに停止せずに通過するようになり、時間が短縮された。

おバカな点・ツッコミどころ

今作は舞台をアメリカに移して大半のイベントが新規で作られた関係か、色々な意味でぶっ飛んだ内容が目立つ。

妙な方向に凝っているイベント

  • 今作は人名のパロディが飛び抜けて多く用意されている。クーネル・サンダース、エルビス・フリスビー、ビンカーン、ケーネーデー、グレート・ムダ、アントニオ・インチキなどなどどれもこれもヘンテコな名前ばかり。しかもその20名以上に個別のグラフィックが用意されており異様に凝っている
  • 『12』ではときどき自社開発の新型新幹線の試験走行に誘われたり、車内サービスの新企画を決めたりするイベントが発生するが、今作ではアメリカに合わせた内容に差し替えられている。
    • いざアメリカの鉄道に新型車両を走らせるのかと思いきや、わが社が開発したといって見せられるのがまさかのドラッグカー(いわゆるゼロヨン)。サイコロを13個振ってその合計がタイムとなるため小さい目を出せば大成功なのだが、どれだけ大きい目を出しても「キャンペーンガールが人気を集めた」という理由で臨時収入が入る(失敗判定はサイコロの目とは独立して抽選される模様)。
    • アメリカで提案される新企画がハリウッドの映画制作。ゼロから立ち上がった電鉄会社のはずなのに事業が飛躍しすぎである。ルーレットの中に含まれている「老後オブ・ザ・リング」「ラストテンプラー」「寝グソシスト」「シックス扇子」といったどう考えたって駄作なタイトルでも「アメリカ人になぜかウケた」といった理由で臨時収入となる(もちろん他に本当のハズレもある)。
  • マッド駅に止まるとドクター・ノーマネーというマッドサイエンティストが現れ、研究費を支払うことで1年後に発明品が完成して臨時収入もしくは損害が発生する。
    • 発明品は「ワープ自転車」「自動茶柱立て機」「反重力鉄アレイ」などどれもこれも非常識なものばかり。成功失敗問わずすべての発明品に寸劇が用意されており、「でもアメリカで茶柱が立ってもだれもよろこばない!」などツッコミどころだらけである。日本でも誰が機械を使ってまで茶柱を立てたいと思うことか
  • 今作ではカード売り場が目的地に選ばれることがある。到着すると販売員が出迎えてくれるのかと思ったら現れるのは人の背丈ほどあるペラペラのカードに顔と手足の生えた「住民」達*5
    • 『15』以降もカード売り場が目的地になり、この「住民」達は日本にも生息していることに……
  • 今作の目玉の一つ、月面基地に到着しても現地住民が出迎えてくれる。その住民がなぜか着物姿のウサギ達。月の模様には様々な解釈があるが、ウサギと解釈する文化はアメリカにない。
  • 19世紀が目的地になるや否や全員の汽車がタイムホールに強制連行され、貧乏神は無言で置いてけぼりにされてしまう。キングボンビーでも変わらず置いてけぼりになる
    • 19世紀マップには現代に存在しない物件を買うことができ、現代に帰ってくるとその物件が急成長した状態で駅に追加されている。ということは19世紀で物件を買い占めなかった場合、これまで独占していたはずの駅がいつの間にか崩れていることに……。社長!未来が変わってしまった!タイムパラドックスだ!
  • 今作のショッカーO野は摩天楼ビル駆け上がり大会の実況をするときなんと空を飛ぶ。その方法が気球でもヘリコプターでもなくジェットパックジェットパックで86階まで追いかけてくる*6
  • 宇宙人襲来では東京23区をすっぽり覆わんばかりの巨大宇宙船が都市の破壊に現れるのだが、大量の小型機を放出する点、主砲が巨大宇宙船の直下に射出される点、人類が戦闘機を率いて空中戦に臨む点など清々しいほど『インデペンデンス・デイ』そのまんまの内容である。
    • それでいて勝利演出では戦闘機のごく普通のミサイル一発で巨大宇宙船が撃沈する。巨大宇宙船の爆発炎上墜落シーンはなぜか30秒ほど続き、思わず笑いが込み上げてくることだろう。しかもよく見ると人類側に犠牲者は1人も出ていない
  • 最高額物件のネズミーワールドを購入すると桃太郎ランドのように特別なイベントが発生するが、なぜかこのときネズミーワールドを「(社長名)ーワールド」に改名する選択肢が表示される。現実で同じことをやったら間違いなく消される。
  • 結果発表のムービーでは幌馬車がニンジンに釣り上げられクルーザーが巨大ワニに飲み込まれ自家用ジェットが雷雲に巻き込まれて行方不明となり、最後まで生き残った自家用機が1位となる。なお汽車や鉄道は1コマたりとも登場しない
  • 今作のマップに温泉は描かれていない。にもかかわらず、実は今作でもとある手順を踏むことで女湯を覗くことができる。その内容はぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

アメリカかぶれの貧乏神

  • 初登場シーンでは自由の女神のコスプレを見せつけ、初めて言い放つセリフが「ディス・イズ・ア・ペ~~~ン!」(彼はトーチを持っていると思いきやよく見ると本当にペンを持っている)。
  • 貧乏神が取り付いていると突然音楽が変わり、ビリリン・モンローになってデカデカと登場する。まさかの二発目の女装である*7
  • 悪行の一つ、歴代大統領当てルーレットの中には本物の大統領の名前に並んでなぜか「イチロー」と「シュワちゃん」が混ざっている。彼らを引き当てた場合「もしかしたらそういう時代が来るかもねん」と言われて珍しいカードをプレゼントされる。
  • 貧乏神は宇宙でも海底でもお構いなしで付いて来る。その上宇宙ではプレイヤーキャラクターが宇宙服を完全装備する中、半裸にヘルメット一つで平然としている
    • スペースボンビーはもちろん、ハリケーンボンビーとキングボンビーは生身で付いて来る。空気がないのでハリケーンボンビーはハリケーンを起こせない……と思いきや代わりにブラックホールを生み出して物件を吸い尽くす*8スペースボンビーって何だっけ
  • スペースボンビーはプレートアーマーを身にまとい月よりも遥か彼方からユニコーンに乗ってやってくるという壮大なムービーで登場しておきながら、ムービー最後に見られる素顔がどう見ても貧乏神本人である。にもかかわらず変身が解けるといつも通り「記憶がないのねん」と主張してくる。ひょっとしてスペースボンビーの本体はアーマーあるいはユニコーンの部分なのだろうか。
    • 言うまでもないだろうが、スペース(空白)とスペース(宇宙)をかけた洒落なのだが、肝心の悪行が宇宙とまるで関係がない
  • キングボンビーの新悪行「せっかくアメリカに来たんだからゆっくり観光していけよ」が発動すると4~6ヶ月の間その場から動けなくなってしまう。海上でも空中でも、地球と月の中間でもこの悪行は発生するため意味不明な場所での観光をキングボンビーは命じてくるのである。
    • またなぜかキングボンビーのマントがアメリカ国旗に置き換わっている。

熱くなったうんちの攻防

  • 桃鉄シリーズにうんちは欠かせない存在であり、頻繁に新しいうんち系カードが追加されてきた。そして今回満を持して追加されたのが「うんち突入カード」。
    • 使用すると数ヶ月の間列車が光をまとって自分だけうんちを自由に通過できるようになる。通過する瞬間には妙に柔らかい音が鳴る
    • 名前のバカバカしさの割には実用性の高いカードであり、目的地や海路・空路などをうんちで塞がれたときにも役立つ上、様々なうんち系カードと組み合わせることで自分だけうんちしながら好き勝手走り回ることだってできてしまう。
    • 好評だったのか『令和』『ワールド』に至るまでほとんどの作品に登場し、様々な強化を繰り返している。
  • 各試合で初めてうんちをしたときに「アメリカ第1号のうんち」という理由で記念仙人が祝いに来る。このときのセリフはある意味必見。

賛否両論点

マップが広くなったのに数を減らした物件駅

  • マップの面積とマスの多さは過去最大だが、肝心の物件駅が月面の2駅を含めて99駅と前作より20駅以上減ってしまった。
    • しかし日本マップは12作にわたって駅を増やしてきたのに対し、USAの99駅はすべて今作のためだけに新しく用意された駅でありプレイヤーがゼロから攻略するという点では理にかなっているのかもしれない。
  • 物件駅が減ったのに全体のマス数が増えた結果、カナダや中西部を中心に物件駅もカード売り場も数えるほどしかない十数マスにおよぶ長い一本道が目立つ。寄り道もできず単調な進行になりやすい。
    • しかしアメリカだけ見ても人口密度は日本の10%ほどと少なく、特に中西部は世界で最も人口密度の小さい農業地帯が広がるといったアメリカの実態を的確に表現したマップともいえる。これを「遊びづらい」ととらえるか「今作ならではの個性」ととらえるかで意見が分かれるところだろう。
  • 今作ではワープ駅が存在せず、地方カードが西海岸と東海岸しかない上テレポートカードの売り場も行き止まりの極めて入りづらい場所にあるため地上のショートカットが困難になった。
  • 物件駅が減ったことにより物件の総数総額ともに少なくなった。本社ビルや鉄道省もないためゲーム後半は金が余って仕方がなくなる。必然的にベビキュラーカードや一頭地を抜くカードで狙われる危険が付きまとい、なかなか厄介である。
  • 入口と目的地が1つずつしかない以上避けようがないことだが宇宙・月面・海底マップもほぼ一本道。カード売り場もないため途中で進行系カードが尽きたりうんちを落とされてしまえば大変である。
    • 特に月面基地は目的地になるタイミングがほぼ固定されているため、慣れたプレイヤーは銀河鉄道カードや千載一遇カード、テレポートカードといった貴重なカードを事前に握っておくことで宇宙マップを一切スルーして目的地に急接近するようになる*9。宇宙マップには物件駅もイベントも存在しないため、立ち入る意味が何一つない*10
    • 一方でぶっとびカードや☆に願いをカードを使えば一瞬で地上に帰還できるなど脱出手段は比較的多く用意されており、律儀に来た道を戻る必要はない。

中途半端に置き換わった通貨単位

  • 通貨が円からドルに変更されたが、変更にあたって桁数が1つだけ減らされたため過去作とも現実のレートとも異なっており混乱する*11
    • かといって通貨単位が円のままでも没入感を損ねていたに違いない。せめて桁数だけでも過去作と同じであれば……。

COM有利な運補正

  • 今作の上位COM(あしゅら九段、エンマ名人、さくま鉄人)のサイコロがあからさまに有利な補正を受けている。
    • しかも貧乏神のなすりつけではカードを使って引き離すよりもサイコロ1個だけ振ってピッタリなすりつけを優先して狙ってくる。前述の通り一本道の多いマップでピッタリなすりつけられると為す術がなく*12、最も理不尽に感じやすい点である。
    • 目的地の手前で都合よく1〜6進めるカードやスペシャルカードを引くことも多い。
    • さらにさくま鉄人が相手だと人間の引くカードにデビル系カードが混ざりやすくなるという報告まで。
  • 前作のCOMが弱いと感じたプレイヤーには歯ごたえのある難易度になったと言えなくもない。これでも手持ちカードでできる以上の行動をしてくることはないため、次回作の絶好調(数ヶ月間カードがなくてもサイコロを4~6個も振ったりマイナス駅をすべてプラス駅に変えたりする)よりはマシかもしれない。
  • なお今作には隠し要素の解禁のために上位COMの撃破を要求される「風雲!さくま城」のようなモードは用意されていない。

問題点

新規イベントの長過ぎる演出

  • スペースボンビーと宇宙人の登場ムービー、スペースシャトル打ち上げムービーがそれぞれ1分前後かかり、スキップもできない。
    • さらに宇宙人対エアフォースの戦闘ムービーは2分弱もかかる。一応、過去作のドジラースより出現率は下げられているようだが。
  • ロッキー山脈を越える線路は立体的に作られているが、1マス通過するたびに列車がガタゴト揺れる演出が入って時間がかかる。おかげでロッキー山脈の広さと険しさは痛いほど伝わってくるが。
    • 次回作でも立体的な線路は登場するが通過に時間がかかる演出はなくなった。
  • 災害イベントの発生確率が高く、同じ月に何度も発生することだって珍しくない。
    • 特に山火事は数ヶ月持続し、鎮火するまで毎月同じ内容のムービーが挟まるため一気にテンポが悪くなる。せめて2ヶ月目以降のムービーがカットされていれば……。

地上でしか使えない全体マップ

  • 残念ながら宇宙マップ、月面マップ、海底マップでは全体マップが開けない。
    • 地上で全体マップを開いても別マップにいるプレイヤーの位置が確認できない。過去作と同じ仕様だが当時別マップは銀河鉄道とボンビラス星しかなかったため大きな問題ではなかった。
    • ロケット発射駅などを虫メガネで調べることで別マップの様子を確認することは可能だが、移動先までのマス数が表示されない。

期間限定の目的地とセットの隠し物件

  • 19世紀はある8年間しか目的地ルーレットに出現しない上、運が悪いと最後まで選ばれないままになってしまう。19世紀マップでのみ追加出現する物件が存在するため、目的地として選ばれなければその試合で全物件制覇が達成できなくなってしまう。
    • 月面基地は16年目〜23年目の間に必ず最初の目的地として選出されるため問題ない。

分かりづらい地域分け

  • 地上は西海岸、中西部、北部、東部、南部、カナダ、中米、太平洋の8つの地域に分かれており、ゲーム終了時の副賞*13の基準ともなっているのだがこの区切りが独特で分かりづらい。
    • 日本列島と違って縦にも横にも広い上ロッキー山脈以外ほとんど平坦なマップであり、ゲーム内で地域の区切りを把握しようとすると物件一覧を利用するしかない。
    • 日本でいう関東カードや近畿カードに近い東海岸カードと西海岸カードが存在するが、東海岸カードの行先のひとつマイアミは南部に分類されているなど噛み合っていない都市も。
    • もっとも東海岸カードと西海岸カード以外に地方カードは登場しないため、各地域を覚えていなくても移動に困ることはない。
  • ちなみに現実のアメリカでは日本の八地方区分よりも粗い4分割のものが多く用いられているようだ。

あやふやな国境

  • アメリカ以外に近隣の複数の国と線路がつながっているが、虫メガネで駅を調べても国の情報が表示されないし国境も表現されていない。ボードゲームに深く関わる部分でないとはいえ地理を覚えるにあたって配慮に欠けていると言わざるをえない。
    • 中米は多くの国が入り組んでいるのだが、なぜかニカラグアだけ物件駅がなくスルーされてしまっている。

総評

日本編で確立された変わらない面白さと、アメリカでしか味わえない新要素の面白さが見事に噛み合った渾身の一作。
アメリカに関する事前の知識は一切不要で、時に真面目に時に面白おかしくアメリカを体験できる。まさに家族と友達とみんなで楽しめる良作である。
シリーズ熟練者も未経験者もぜひ手に取ってみてほしい。


余談

  • タイトルはこれまでの流れでは「桃太郎電鉄13 アメリカ編」となるところだが「13」がアメリカで縁起の悪い数ということで現行のタイトルに決定されたという。
  • 実はさくまあきら氏は飛行機が大の苦手で、スタッフが代わりに現地へ赴き物件の取材を任されたらしい。そのスタッフの好みにより脂っこい食品物件が多くなった模様。
  • 開発段階では「特定の駅で自家用ジェットとクルーザー、自家用ヘリを購入しない限り海路、空路はおろかぶっとびカードすら使用できない」という前代未聞の仕様だった。ヒューストンの0駅やカード売りのボビーはその没仕様の名残である。
  • 『11』『12』では発売されていたGC版が今作では発売されなかった。桃鉄研究所によるとGC版の売上が10万本に満たないため発売を断念したとのこと。
  • PVでは「ファン待望の海外版第1弾」と謳われていたが、結局PS2で第2弾が発売されることはなく6年後の『WORLD』を待つこととなる。
  • デンバー(コロラド州)の周辺はなぜか大量の0駅で囲まれており、不用意に立ち入るとうっかりや他のプレイヤーの妨害で踏んでしまうおそれが高まり大変危険。実際にどんな目に遭ってしまうのかは「デンバーの悲劇」を検索してみよう。
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最終更新:2024年04月23日 16:03

*1 アメリカの人たちはキングボンビーの脅威を知らないことによりロボット研究所がないという設定がある。

*2 実はPCE版スーパー桃太郎電鉄Ⅱのキングボンビーは変身後即行動という仕様があった。(なお、ランダムではなく即行動固定だった。)

*3 さすがにカナダ北部やアラスカは年中積雪しているが、冬にはさらに雪の降るエフェクトが加わるので他の季節と区別は可能

*4 掛け金は予め3段階で決められており、大抵2倍、悪くても1倍は返ってくる。大当たりならなんと150倍返ってくる(1年目なら15億ドル)

*5 『12』までにハテナの形をした住民が登場しているので今更ではあるが

*6 現実においてジェットパックでの飛行は1984年のロサンゼルスオリンピックで披露されており、実用化自体は既にできている

*7 開発段階ではなんとゲストボンビーの一形態となる予定だった。もし実現していたらどうなっていたことか……

*8 以降の作品でも銀河鉄道で同じものが見られる

*9 千載一遇カードを使った場合、ロケット発射駅にいなくてもその場でロケットを打ち上げて一瞬で月面に到着するというぶち壊しな演出を見ることになる

*10 そのためか『16』で月面マップが再登場する際、宇宙マップは丸々カットされている

*11 実際の海外旅行のように金銭感覚が狂うので気をつけてくださいとゲーム内でも言及はされている

*12 今作に足踏みカードは未登場

*13 結局この地域王は三賞ともども『15』で廃止される