めぞん一刻 ~想いでのフォトグラフ~
【めぞんいっこく おもいでのふぉとぐらふ】
ジャンル
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ADV
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ASINが有効ではありません。 |
対応機種
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PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM以降、 X1、FM-77、MSX2、ファミリーコンピュータ、PCエンジン、Windows
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発売元
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マイクロキャビン、ボーステック(FC)
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開発元
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マイクロキャビン、クエスト(FC)
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発売日
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【PC88】1986年12月10日/【FC】1988年7月27日
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定価
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【PC88】6,800円(税別) /【FC】5,900円(税別)
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判定
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良作
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概要
『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていた高橋留美子の代表作「めぞん一刻」を扱ったADV。
ストーリーは原作序盤あたりの世界観を舞台にしたオリジナルのものになっている。
ストーリー
「管理人さん!」
「管理人さんだなんて……響子って呼んで」
「きょ、響子。……好きだ!!」
「いけませんわ、そんな、五代さん」
「いいじゃないか、響子。響子。響子……」
時計坂のオンボロアパート「一刻館」で、妄想に浸っている五代裕作。一浪の末にやっと大学に入り現在3年生。「一刻館」の管理人音無響子にひたすら思いを寄せている。
ところが、若き未亡人の管理人さんはヤキモチ焼きで、機嫌を損ねると部屋に入れてくれないどころか、話もしてくれなくなります。
おまけに「一刻館」の住人たちは、ひとくせもふたくせもある人たちばかり。たかるは、邪魔はされるは………。
どうやら響子さんは秘密の写真をどこかに落としてしまったらしいということはわかっても、その写真がどんなものなのかを調べるのにひと苦労。
さあ、響子さんの秘密の写真とは……。「めぞん一刻」はじまり、はじまりー。
特徴
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システムとしては一般的なコマンド選択式ADVだが、ご機嫌度システムの採用という独特のシステムを持っている。
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一刻館の住人にはご機嫌度が設定されており、住人が不機嫌だと一刻館をうろつくためにイベントが発生しない状況になる。
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住人のご機嫌をとるためにはお金や食べ物などを渡すことで上げることができる。ただし住人によって喜ぶものや受け取らないものも設定されており一筋縄ではいかない。
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また、特定条件でご機嫌度を上げることで宴会が開催されることもある。
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セーブとロードは一刻館のトイレに入ることで行われる。
評価点
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オリジナルストーリーながら、めぞん一刻の世界観をうまく表現したシステム。
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キャラクターは原作後期ベースのスタイルを基にしており、その再現度も非常に高い。
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ストーリーもオリジナルながら、原作を十分に彷彿させる内容となっている。
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シナリオの文章量も当時としてはなかなかのもので、小ネタも非常に豊富。
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サブタイトルにもなっているフォトグラフは登場人物のたどってきた軌跡を感じ取れるものでありなかなか趣深い。
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キャラクター達の性格も「原作を尊重した、よく分かっている」描写が多い。キャラ同士の会話もなかなか楽しい。
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各キャラの行動パターンも原作準拠となっており、原作を読み込んでいれば行動や反応も納得できるものに仕上がっている。
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BGMはOPとEDでしか流れないものの、アニメ版のOP・EDを使っており好感触。
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家庭用機移植版はゲーム中にもBGMが入った。こちらも作品の雰囲気にあっており評価は高い。
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FC版ではEDのBGMが差し替えられているほか、EDでは追加のCGも存在する。
問題点
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攻略難易度は高め。
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特に問題になってくるのが住人のご機嫌度管理。金銭的なリソースはいつもカツカツな状況なうえに、五代にとって何かいいことがあるたびに住人全員のご機嫌度がリセットされるため、結構なルーチンプレイを強いられる。
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さらにゲームの進行上宴会を何度か発生させる必要があるのだが、その際に食べ物関連のアイテムが全部なくなってしまうため、状況の立て直しもかなり面倒。
この点でのハマリは起こらないようになっている構成とはいえ、場合によってはゲームをはじめからやり直すのが得策というケースになることも…。
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また、必須アイテムにはかなり高額のものがあるため、入手方法で悩みがち。
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数は少ないがゲームオーバーになるシチュエーションもあり、しかも結構ひっかかりやすい。
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住人たちの中でも得に「四谷さん」は要注意。原作とは違い、五代をある意味で「殺しにかかってくる」ような行動をとってくる。一度もひっかからずにクリアできた人は相当運のよい人だろう…。
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セーブポイントはゲームオーバーのシチュエーションとは関係のない場所なので、セーブしてゲームオーバーの行動しかとれないということはありえないのが救いか。
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移動に要するコマンドが若干煩雑。
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部屋に入るためには扉を開けてから入るコマンドを入力する手間があり、その点でも面倒。
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これがトイレや管理人室への入室となるとさらにノックも必要になるため、さらに煩雑。
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もっとも、そのコマンド選択自体もゲーム性に含まれているので一概に悪いとは言えないが…。
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ゲームの目的が不明瞭になりやすい
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マニュアルには目的が提示されているものの、序盤はストーリーが明確に語られていないこともあり目的を見失いやすい。マニュアルのない中古で購入する場合は注意。
総評
オリジナルストーリーながら原作の雰囲気を尊重し、完成度の高いADVに仕上げた、マイクロキャビンの職人芸が光る一品。
ルーチンワークの多さからくる難易度の高さに難はあるものの、それを乗り越えれば「めぞん一刻」の作品世界にどっぷりつかれる作品であることは間違いないので、ファンであればお勧めできる作品。
その後の展開
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続編として原作終盤及び映画版完結編の展開をベースとした『めぞん一刻完結篇 ~さよなら、そして…~』が発売されている。
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ご機嫌度の概念は継続されているものの、前作ほど厳しいリソース管理は要求されなくなったため難易度は大幅に緩和されている。
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また、1997年に本作と続編のWindowsカップリング移植となる『めぞん一刻 想いでのフォトグラフ&さよなら…そして』が発売されている。
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Windowsでのリメイクにあたり、声優のボイスが入ったり一部のグラフィックの描き直しが行われている。
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木製・オルゴール付きの特製ケースに収められているという特別豪華仕様で、3,000個限定販売で定価30,000円。
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限定生産ということもあって非常に入手困難。希少な事もあって値段も落ちていない。
最終更新:2022年07月11日 12:44