マカロニほうれん荘 インタラクティブ

【まかろにほうれんそう いんたらくてぃぶ】

ジャンル インタラクティブ・ムービー
対応機種 3DO interactive multiplayer
発売元 東芝EMI
開発元 フューチャー・パイレーツ
発売日 1995年1月13日
定価 9,680円
プレイ人数 1人
レーティング 3DO用審査:E(一般向)
備考 Windows/Mac版あり
判定 クソゲー
ゲームバランスが不安定
シリーズファンから不評
ポイント 高城剛のインタラクティブムービー第2弾
伝説のギャグ漫画をゲーム化するも笑えぬクオリティに
作風に合わない吉本芸人起用で原作ファンから大ブーイング
ミニゲームの出来も劣悪を極める
脱落者が多すぎて、ラスボスで高確率で詰む事が27年発覚せず


概要

高城剛製作のインタラクティブ・ムービー・ゲーム。
高城が前年制作した『チキチキマシン猛レース ケンケンとブラック魔王のイジワル大作戦』に続き、今回も3DOとPCのマルチで展開されている。

『チキチキマシン』はフューチャー・パイレーツが直々に発売元を務めていたが、今作は東芝EMIの元で発売された。
企画には大阪のお笑いプロダクション 吉本興業が参画しており、声優のキャスティングに大きく関わっている。

原作

『マカロニほうれん荘』とは、1977年から1979年にかけて週刊少年チャンピオンで掲載された、鴨川つばめのギャグ漫画である。
ドカベン』『ブラック・ジャック』『がきデカ』等とともに、同誌の看板作品として深く愛されている。

今作の主人公は、愉快な落第生・膝方歳三(パッケージ右側。以下トシ)と金藤日陽(パッケージ左側、以下きんどー)、そして平凡な高校生の沖田そうじ(パッケージ中央)。
各エピソードではトシやきんどーが一般人を巻き込んで、息もつかせぬ悪ふざけを展開していく。

最大の特徴は、当時のギャグ漫画の常識を打ち破る作風。
本筋そっちのけで寸劇を始める落第生コンビ、目まぐるしく変わる世界観など、理屈という理屈が一切通用しない展開のオンパレードは、今日では''不条理ギャグ漫画"という一大ジャンルの始祖として知られている*1
今作を読んだことが無い人は、「昭和のノリで描かれた『ボボボーボ・ボーボボ』ないしは『ポプテピピック』」を想像してもらえると、なんとなく雰囲気が伝わるかもしれない。
その革新的な作風は絶大な支持を誇り、当時一時的ながら週刊少年誌のトップに立っていた*2チャンピオンを大いに盛り上げた。連載期間の短さも相まって「伝説の作品」と扱われることも少なくない。

その人気に反し、メディアミックスとしてはラジオドラマが作られた程度で、アニメ化はオファーがあっても立ち消えになっていることで知られている。
結果的にこの3DO版は『マカロニほうれん荘』悲願の初映像化作品と相成ったため、本作に期待を寄せる原作ファンも少なくなかった。


特徴

  • プレイヤーは主人公・沖田そうじとなって、『マカロニほうれん荘』の世界で珍道中を繰り広げる。
    • ゲームジャンルはインタラクティブ・ムービー。要するにちょっと映像面に特化したADVといったところ。
    • 時系列は原作最終話からしばらく経った頃。旅に出たはずのトシときんどーがそうじの元に戻って来るところから始まる。
      • 再会を分かち合う3人をよそに、感傷にひたる間も無くそうじのガールフレンド・益田弘美が誘拐事件に巻き込まれてしまう。こうして3人はかつてのようにコメディ展開を繰り広げつつ、事件の核心に迫っていくのであった。
    • 公式続編『マカロニ2』とはパラレルな展開となっているが、劇中には『マカロニ2』の要素もいくつか登場する。
  • 構成
    • シナリオは全5章で構成される。
    • 今作は移動探索型のアドベンチャーとなっており、街を歩き回って様々なイベントを消化する事でゲームが進行する。
    • セーブ・ロードはポーズメニューからいつでも可能。
  • ミニゲーム
    • 今作には3種類のミニゲームが存在し、攻略の最中に一度ずつ挿入される。
    • クリアしないと先に進むことはできない。

問題点

吉本芸人の起用

今作のキャストには、吉本興業の芸人が起用されている。
しかし原作ファンの多くがこの人選に拒否感を示しており、本作の批判点として真っ先に挙がることが多い。

  • まず吉本のノリと『マカロニほうれん荘』の作風はミスマッチにもほどがある。
    • 吉本といえばコテコテの関西弁で繰り広げる新喜劇などが有名なお笑いの老舗だが、『マカロニほうれん荘』の方はギャグ漫画の常識を打ち破ったシュール系の作品であるため、双方の芸風にはまるで接点が無い。今でこそ関東圏出身の所属芸人も多くなり発信するネタの幅も広くなってはいるものの、当時は未だ関西独特の雰囲気が強く、それに拒否反応を示す人間も少なくなかった。
      • もし『マカロニ』を読んだことが無いという人は、適当な不条理ギャグ漫画を(90年代当時活躍していた)吉本芸人が演じるところを想像してみてほしい。
      • アニメに芸能人を起用したり、漫画を不自然に実写化したりして顰蹙を買うメディアミックスは多々あるが、本作はそれらの失敗例の先駆けとも言える。
    • メディアミックスが不遇な今作ともなればファンの期待値も大きく、不理解なキャスティングに対する反発はより大きいものとなっている。
    • それでも原作のノリが大切に出来ていたならまだ評価が変わる余地はあったのだが……
  • 今作の担当声優のほとんどは、原作キャラが使わない関西弁を平気で使ってくる。
    • 原作に関西のノリのギャグシーンは皆無で、思いっきりイメージぶち壊しである。
    • 例えばかおりさん(舞台である下宿先の大家)は「奥歯に手ェ入れてガタガタ言わせたろか!?」とベタベタな大阪弁を言い出す始末。
      • 原作の彼女は標準語を扱う常識人である。過激なツッコミを入れることは多々あるものの、こういう発言をぶちかますキャラではない。
    • キャストによっては本人の持ちネタを使うシーンもある始末。自重が無さすぎる。
  • そして芸能人起用の例に漏れず、多くのキャストが棒読み。
    • ギャグ要素の無いキャラは芸人を起用した強みが全く無いので、単なる低品質な演技を聞かされるだけでしかない。
    • とりわけ酷いのが沖田そうじ(CV:清水圭)。原作では気のいい好青年なのに、今作は口調も声質も完全にオッサンそのものである。
      • 序盤から原作の定番ツッコミ「いーかげんにしてください!」を披露してくれるのだが、まるで台本を音読したかのような勢いの弱さで、イントネーションは関西弁のソレである。よりにもよって原作の名フレーズをぶち壊しにしてくれるので、ファンを開始数分で失望させるには十分である。
      • それでいて主人公の1人なので喋る機会が多く、他のどのキャラクターよりも悪目立ちしている。
    • 声質で言えば、ナインティナインが演じるテディボーイズも不良とは思えない覇気の無さが印象的。
      • その雰囲気は、漫才で行われる寸劇に近い。

ファンソフトとしての問題点

  • 芸人の起用もむなしく、コメディとしてもかなり不評。
    • 現状で本作を「ギャグ自体は笑えた」「バカゲーとしては面白い」と擁護する意見は殆ど挙がっていない。
      • というか今作は途中放棄したプレイヤーがかなり多く(総評参照)、ギャグに関してはおおむね「寒くて滑っている」とみなされているのが実状である。
    • 原作のカオスさを再現しようとする努力の跡は見られるのだが、声優の棒演技とミスマッチさはコメディを楽しむうえでかなり致命的である。
      • お笑いは喋りや滑舌も重視されるのに、今作はキャラに合わない声質や大根演技で展開されるせいでかなり寒々しい。
    • 同じく、笑いを楽しむ上で重要なテンポに関しても残念な仕上がり。
      • CGアニメーションの枚数は少なく、全体的に動きはカクカクである。キャラに使われるCG素材にも限りがあり*3、棒立ちが多めでリアクションが少ない。
      • 『マカロニ』のギャグはまくしたてるようなテンポの良さを前提に成立しているのに、その肝が死んでしまっている。
      • その結果、プレイヤーは勢いの無い微妙なやりとりを、冷めた気持ちで眺める羽目になる。
    • ツッコミ役のそうじをプレイヤーの分身に据えたせいか、彼が原作さながらのキレッキレなツッコミをかますシーンが殆どない。
      • トシときんどーがテンポの悪い掛け合いをして終わるシーンが多く、ただ反応に困る。
      • 原作でも末期はそうじの出番が減っていたが、今作は主役の一人として前面に出てるだけに勿体ない。
    • ゲームオーバーになると「本日の教訓」と評して独自に改変したことわざが表示される。
      • しかし原作にこうしたコントめいたネタは無く、例によって作風とマッチしていない。
    • 原作のギャグを適当に切り取ったせいで意味がわからなくなっているシーンも存在する。*4
    • 以上の難点に加え、下記に挙げる意味不明な描写の数々がプレイヤーを突き放し、余計に白けさせる要因となる。
  • キャラゲーにあるまじき、原作要素皆無な世界観。
    • 街のデザインは高城の独自解釈が出過ぎている。
      • 大胆な改変が独自の味を出しているならまだしも*5、高城の作風は『ウゴウゴルーガ*6』のそれに近く、『マカロニ』原作にも吉本の芸風にも全く合致していない。もはや合体事故のような有様である。
    • そうじ達の住んでる町は何故か横文字ばかりが立ち並んだ洋風な世界になっており、原作当時の昭和日本らしい町並みが全く存在しない。
      • このゲームの舞台はマカロニタウンという妙な名前が付けられていて、教会やオペラハウスといった原作の雰囲気に合わない建物が立ち並ぶ。
      • 高校の正門は動物園のようで、校庭はアニメに出てくる一流の私立高校のよう。
    • 特に改変が酷いのは、メインキャラ達の憩いの場だった喫茶店・アップルハウス。
      • 原作では素朴な木造のデザインが印象的であったのだが、今作では美容院と見紛うばかりのカラフルな改装が為されている。
      • アップルハウスは言うなれば『こち亀』で言う所の派出所や擬宝珠家にあたるおなじみの場所で、違和感で済ませて良いレベルの改変ではない。
    • そのほか、原作に一切登場しない前衛的なデザインのモブキャラ(全員関西人)が大量登場する。
      • 彼らは他愛のない世間話をしてくるが、ノリは完全に吉本新喜劇冒頭のそれ*7であり、例によって原作の作風に似つかわしくない。
  • 3Dグラフィックの出来も不評。
    • キャラクターは全てSD体型で統一されている。
      • 原作でほとんどデフォルメされないキャラは顔をそのままに頭身が下げられており、かなり不恰好である。
      • 「トシが通常体型になってキリっとした顔を見せる」といったおなじみのギャグも未実装。今作ではデフォルメ体型でイケメン面を見せるため、不自然に映る。
    • 主人公のそうじは黒目が大きく、ハイライトが殆ど無くて不気味。
      • ロード画面などで頻繁に目にするため、悪い意味で印象に残る。
      • 原作で時折見せる「口に皿を入れたみたいな顔」*8や、歯をむき出しにしてブチギレる顔は実装されておらず、ツッコミが物足りない。
    • さらに酷いのが担任のクマ先生。とあるイベントでしつこく(それもドアップで)何度も見せられるが、原作の造形とあまり似ていない。そしてこっちも怖い。
      • 彼の持ちネタ「ノォッ!」の表情はきちんと再現されているのだが、閉じた時の口はやたら横に長い。原作でのつぶらな瞳はギョロ目になっていて、まるで人面魚のようなツラをしている。
    • 突出して酷いのが、メインヒロインの益田弘美。
      • 原作では通常の頭身でしか描かれないのにやたらデフォルメされているうえ、髪色まで全くの別物に(原作は茶髪なのに今作は黒髪)。あまりに原作の要素が無さ過ぎて、言われなければ同じキャラだと認識できないレベル。
      • 髪色に関しては中嶋敦子*9あたりと混同したのだろうか。
      • 顔は原作に似てないどころか、かの『FIST』を彷彿とさせる造形で、それなのにキスシーンまで用意されている
  • その他にも、原作を知っていると違和感のある部分が散見される。
    • 原作で憎めないヤンキーだったテディボーイズが、完全な悪役として登場する。
      • 彼らが明確に悪事を働いているのは前半だけであり、時系列が最終回後の本作で敵対する要素は全く無い。見た目だけで安直に悪役に配置した節がある。
      • 今作ではそうじからやたらと悪人扱いされており、原作後半で仲良くつるんでいたシーンが台無しである。
    • 原作後半のレギュラーだった馬之介*10が未登場。
      • 原作最終話でトシやきんどーと一緒に旅立ったはずなのだが、今作では存在に全く触れられない。
      • それでいて先述のモブキャラを大量に出した点はますます疑問である。
    • 先述した独自解釈な世界観の都合、そうじ達の高校は勝手に「マカロニハイスクール」と名付けられている。
      • 作中の高校は特に名前が無いと誤解されがちだが、実際は「ピーマン学園」という名前がきちんと存在する*11
      • 確かに作中で名称が出るシーンは皆無(第1話ですら言及無し)なので見落とすのは分からないでもないが、キャラゲーで固有名詞の管理を怠るのはリサーチ不足が疑われる。
  • ストーリーも雑。
    • 不条理ギャグを盾にした意味不明なやりとりが多く、プレイヤーを突き放す展開が全体的に多い。
    • 例えば2番目のミニゲーム開始前。
      • ケーキを投げてくるテディボーイズを前にかおりさんがそうじに助けを求めてくるのだが、そこできんどーが「ケーキ投げろ」とうわ言をつぶやくと、何故かこちらもケーキを投げることになる……といった風に、強引に話が進む。
    • 中でも結末は電波そのもの。
+ ネタバレ注意
  • 黒幕は、原作で落第生コンビに振り回されているクマ先生。
    • 劇中では彼の失踪が描かれ、他のヒロインの誘拐に暗躍している様子が描かれる。
  • 終盤で明かされる彼の真意はというと、「神が舞い降りて力を授けたので、そのまま世界征服を思い立った」という荒唐無稽にもほどがある内容である。
    • 先生は出会い頭に「怖いのは初めのうちだけだ、すぐに気にならなくなる」などと薬物中毒のようなセリフを唐突に発し、意味も分からぬままミュージカルに突入。面白いとかつまらないとか以前に、そもそも話に付いていけない。
  • 最終的にクマ先生の洗脳は解けるが、最後はトシやきんどーがそうじを軽くいじって幕。何から何まで投げっぱなしのまま終わる。
    • 彼を洗脳した神とやらは劇中で全く姿を見せないし、何の解説も無い。要するに話の都合でものすごく適当に作られた存在である。
    • そもそも『マカロニ』のラストシーンとしても地味すぎる(原作のトシ・きんどーは、ここで現場のオペラハウスごとぶっ壊すとか、クマ先生を腹いせにつるし上げるとか、そういう派手なことをしてもおかしくないタイプの問題児である)。

ゲームとしての問題点

ファンソフトとしての問題に隠れがちだが、今作はゲームとしての出来も著しく悪い。
特に収録ミニゲーム3種は極めて完成度が低く、いずれも共通して「難易度が高すぎる」「運要素が強すぎて面白みが無い」という難点がプレイヤーを襲う。
その出来は、クリアすらもままならない仕上がりである。

  • ADVとしても薄いボリューム
    • ミニゲーム以外のプレイ時間は、せいぜい2時間程度しか無い。
      • ミニゲームの難易度が高いうえ、ラスボス戦には致命的な不具合があるため、プレイヤーによってはさらなるプレイ時間が加算される。その個人差はあるものの、水増しで引き延ばされる時間をボリュームに加味できるかと言うと……
  • 『チキチキマシン』同様、UIの出来が全体的に悪い。
    • 相変わらず全ての操作がポインタ式。
    • データをロードする度に一旦ステージ選択に戻され、いちいち左下に表示されるアイコンを選ばないと再開できない。
    • 街を散策する場面ではトシときんどーの待機アニメーションが数秒おきに入るのだが、そのロードのためにいちいちゲームが止まる。
    • ポーズメニューを開こうとすると、そのとき鳴っているSEが鳴り止むまで画面が遷移しない。
      • この仕様は後述のラスボスで地味に響く。
    • ミニゲームにはチュートリアルや操作説明が一切無く、いちいち説明書を開く羽目になる。しかもインターバルすらなく唐突に開始する不親切仕様。
      • 最初のミニゲームでは、説明書を手に取る前にポーズをかけないと理不尽にダメージを受ける。
  • 1つ目のミニゲーム・ボクシング
    • これはそうじの視点でテディボーイズリーダー・兄樹と戦うというもの。
    • しかし元ネタのように「敵がスキを見せたところに殴りかかる」といったゲーム性は存在しない。相手が予備動作無しのパンチを絶え間なく打ってくるので、まともな戦略は取りようが無いのである。
    • ここで脱落したプレイヤーは多数報告されており、ギャグの微妙さも加わってプレイヤーの意欲を思い切り削いでくる。
    • しかし行動ルーチンは適当で、実は右入力しながらBボタン連打するだけであっさり倒せてしまう。
  • 2つ目のミニゲーム・ケーキ投げ
    • このゲームでは、アップルハウスを舞台にケーキ投げ合戦を行う。
    • テディボーイズが投げてくるケーキを避けつつ、こちらもケーキを投げて相手にぶつけ、3人全員を気絶させればクリア。3回ケーキを当てられると負け。
      • 気絶したテディボーイズは一定時間で復活するので、全員気絶するまで根気よく投げ続ける必要がある。
    • プレイヤー(そうじ)は上下入力で目線の高さを変更できる。下の方にいればテディボーイズと自身を挟むアップルハウスのカウンターに隠れ、安全にやり過ごすことができる。
      • ただしケーキを投げるには、リスクを背負ってカウンターの上に顔を出さないといけない。
    • 問題となるのは、気絶したテディボーイズが復活する時間の短さ。これはランダムに変化するのだが、残り2人を倒すまで眠ってくれる確率は低く、かなりの頻度で即座に復活する。
    • そのうえ敵のケーキはやたら速度が速い。
      • 1人気絶させてから急いで残り2人を仕留めようとすると、安全確認する間も無く回避不可能なケーキに衝突し、あわやゲームオーバーに。
    • 要するに運ゲーそのもの。3人全員を倒すには長めの気絶時間を連続で引き当てるまで何度も同じことをやらされる。
      • ボクシングと違って確実な攻略方法は存在せず、かなりストレスが大きい。
    • 実は安全地帯にいてもケーキの射程位置を変更できるのだが、これに気づかないとまずクリア不可能である。
  • 3つ目のミニゲーム・迷路
    • 正方形状の廊下を歩き回って、逃げ回るテディボーイズを仕留めるゲーム。
    • 部屋の各辺には外側と内側に2枚ずつ計16枚の絵画がかかっていて、いずれかの裏に彼らが隠れている。
      • プレイヤーはテディボーイズがいる絵に近づくことで攻撃でき、全員倒せればクリアとなる。
+ ステージ上面図を交えた詳細解説
 ―――――――
|  〇・〇  |
|  ―――  |
|〇|   |〇|
|・|   |・|
|〇|   |〇|
|  ―――  |
|  〇・〇  |
 ―――――――
  • 上記の〇と・が移動可能な位置で、方向キーを押すたびに隣に移動が可能(実際のゲームはプレイヤーの主観視点で進行する)。
    • 〇の側面にはそれぞれ絵画がかけられており、その方向に向きを変えると絵を調べることができる。
      • 調べた際、絵の裏にテディボーイズがいれば顔を出すので、すかさずBボタンを押して攻撃すれば撃退できる。
  • 画面上部にはテディボーイズの顔が描かれたセンサーが3個あり、これを見て位置を推測できる。
    • センサーが黄色や赤色に変わっていれば、対応するテディボーイズがすぐ近くにいる。
  • 問題はキャラクターの移動速度。
    • こちらの移動速度はかなり遅いのに、テディボーイズは高頻度でさまざまな場所に瞬間移動する。センサーが反応しても、自力で追いつくのはかなりシビア。
    • そのうえプレイヤーがいる位置にはテディボーイズが絶対来ないようになっており、操作を放棄して待ち伏せするのは不可能。
  • このゲームの最適解は、誰かのレーダーが黄色に変わるたび前か後ろのどちらかに移動し、廊下の左右どちらかの絵画に近づいて攻撃するというもの。
    • この過程で位置を間違えたら取り逃がし、テディボーイズは別の場所にワープしてしまう。
    • テディボーイズとの位置関係は一切わからないため、毎回1/2×1/2=1/4でしか当たらない運ゲーを何度もやらなければならない。
    • 特に最後の1人ともなるとなかなか仕留めることができず、かなりの時間を浪費する。
  • プレイヤーはただひたすら待たされるだけで、戦略性は皆無。
    • ケーキ投げ同様、幸運を引くまで同じことを執拗にやらされるという、退屈なミニゲームに仕上がっている。

クリア困難なラスボス戦

各種ミニゲームを上回る理不尽さで立ちはだかるのがラスボス戦で、今作のクリアを阻む最大の要因となる。

  • この戦いは、画面の左右に出てくるトシ・きんどーのマークいずれかをクリックする事で進行する。
    • 選択するたびに2人が様々なギャグをランダムでかますのだが、数パーセントくらいの確率で出現する勝利パターン(ダブルヒグマ落とし)を引き当てればクリアとなる。
      • 要するに『チキチキマシン』で問題視された、攻略法一切無しの運ゲーをまたしてもやらされる羽目になる。戦略性もへったくれもない。
  • 『チキチキマシン』は根気よく続ければ誰でもクリアできるシステムだったが、今作はクリアの意欲を削ぐ仕様が随所に盛り込まれており、更に悪化している。
    • まず一定回数(3~6回程度、ランダムに決定)以内にヒグマ落としを引き当てないと、どちらのマークを選んでも降参した扱いとなり、世界が滅びてゲームオーバーとなる。
      • この敗北イベントが確定したら回避方法は一切無い。直前でセーブしたデータをロードしても、選択肢に関係なくゲームオーバーが発生する。
    • トシを選んで発生するイベントの中には、引き当てるとその場でゲームオーバーとなるものがある(ラスボスに爆弾を押し付けようとしたらこちらに返されるというもの)。
      • しかもこのイベントが始まった直後、セーブデータをリロードしようとポーズ画面を開くと20秒くらい待たされる(爆弾から発せられる火花の音が止むまでポーズ画面に移行しないのが原因)。
      • 音が鳴り止んでからポーズをかければ回避できるが、うっかり押してしまうとイライラは避けられない。
      • しかもきんどーのアイコンを選び続けてもヒグマ落としを引き当てることは可能で、トシを選ぶメリットは一切無い。明らかに欠陥である。
    • こうして何度もゲームオーバーになるため、成功パターンに当たるまで何度もセーブデータをリロードし、粘らなければならない。
  • とどめと言わんばかりに、このラスボス戦には高確率で引っかかる詰み要素が存在する。
    • その存在は本記事作成まで27年表ざたにならず、それまで攻略方法が全く共有されていなかった。
    • 参考(外部リンク。本記事作成にあたり見つかった詰み要素の調査結果のまとめ。本サイトの相談所で相談の元、記事作成を許可済み)
    • ただでさえ運ゲーなのに、クリアへの道筋がゲーム内で一切示されないため、高確率で挫折する要因になる。
      • 幸運なプレイヤー以外は何度遊んでも成功パターンが発生しなくなるため、下手をすれば何時間かけようが永久にクリアできない。
+ 詳細(攻略のネタバレ注意)
  • その詰みというのは、「画面中央のラスボスに1回以上話しかけないとヒグマ落としが絶対出現しない」というもの。
    • この事実を示す手がかりはゲーム内に一切無く、バグの可能性がある。
  • 乱数が絡む都合、プレイヤーが詰んでいることには気づき辛いのが厄介極まりない。
  • 一度でもラスボスに話しかけた後、律儀に再戦のたびに話しかける(もしくは運良くラスボスと話した直後にセーブする)人は存在するはずもなく……
    • クリアできるのはよほど運が良い人か、半ばヤケになってラスボスに話しかける人のみとなる。
  • 事実、上記参考記事作成時点でのクリア者はネットで数人しか確認されていなかった。
    • そのうち複数人からは「ゲームクリアまでに何年もかかった」という報告が上がっている始末である。
  • このシステムに気付いた上で遊んだとしても、クリアには平均で10~20分かかる計算で、普通にダルい。

評価点

  • いつでもセーブ・ロードができること。
    • 今作の数少ない真っ当な評価点。というかゲームシステムとしてまともに褒められるのがこれくらいしか無い。
    • 理不尽なゲームオーバーが多い都合、いつでもプレイヤーが予防線を張れるシステムは今作最後の良心である。
  • まがりなりにもミニゲームを入れた点については、完全運ゲーだった『チキチキマシン』の反省が活かされている。
  • すべてのキャストに問題があるわけではなく、比較的まともな演者もいる。
    • 例を挙げるとトシ(CV:チャーリー浜)、きんどー(CV:今くるよ)、クマ先生(CV:おかゆうた)に関しては、演技自体はそこまで悪くない。
      • 声質・人選に関してはあまり良い評判が得られていないが……
  • トシやきんどーの3DCGは悪くない出来栄え。
    • 原作でおなじみのコスプレも大量に用意されており、作り込みにはきちんと手が入っている。
    • 口がひし形になった時のトシはいかにも立体化が難しそうなのに、違和感なく仕上がっている。
  • 原作の脇役であるバーのママがなぜか複数回登場する。あまりにマニアックな人選だが、彼女のファンはうれしいポイントかも?

総評

ゲームとしてもファングッズとしても著しい低評価を受けている一作。
『チキチキマシン』はキャラゲーやギャグアニメとしては支持するプレイヤーがいたのに対し、今作はその両面でも失敗し、ほぼ全方位から不評を買っている。
特に原作ファンからは「黒歴史」の烙印を押されており、『マカロニほうれん荘』のメディアミックスを語るうえで反面教師のように扱われる作品にまでなっている。

吉本芸人の起用は作風とマッチしておらず、声優を起用しないリスクに見合った支持は得られていない。
ゲーム内容はストレス満載の運要素がてんこ盛りで、「遊ぶ楽しさ」を追求せずに「ゲームの形に仕上げる」という段階で完結してしまっている節がある。

何といっても「それなりに悪名高いゲームにもかかわらず、ラスボス戦でひっかかるバグ同然の進行不能ポイントが27年も明るみに出なかった」というのが今作の酷さを如実に表している。
言い換えると大多数のプレイヤーがラスボス戦までに投げ出した可能性が高く、それほどまでに苦痛や飽きを感じさせる作品だったことが窺える。

最低限フォローしておくと、もし今作の強烈さがきっかけで原作に関心を持つ人が一人でも増えれば、このゲームにも意義はあるかもしれない……


余談

  • これのためだけに3DOを買ったという『マカロニ』ファンの体験談は少なくない。
    • 原作を知らない人からは「なぜこれをゲーム化したのか」という意見も珍しくないが、その実ニッチな需要は存在し、3DOの売り上げをわずかに牽引していたのである。
      • それだけに本作の失敗は大変悔やまれる。
  • 4Gamer.netなどで活躍する有名ゲームライター・マフィア梶田が生まれて初めて遊んだゲームは本作である(彼の連載コラムの自己紹介より)。
    • 別の回では具体的な感想にも触れているが、その評価は「何とか楽しもうと頑張っていた」「アレはない」「ディスクでフリスビーしたほうがまだ楽しい」という散々なものであった。
  • 名前を大きく出している高城剛ばかりに非難が集中しがちだが、各キャストの人選に関しては彼の責任ではない。
    • スタッフロールによると、配役は吉本興業が決めたとされている(役職名はCAST COORDINATE)。
    • また今作の企画会社は複数にまたがっており、吉本起用の仕掛け人は明確にわかっていない。
  • 『マカロニ』の原作者である鴨川つばめは『マカロニ』の執筆に「この作品と心中してもいい」という覚悟で臨んでいたという。結果燃え尽きてしまったのか『マカロニ』以降は漫画家として目立った活動は見られなくなってしまった。
    • 皮肉なことにこのことが『マカロニ』が伝説の作品となっている要因の一つにもなっているが…。
    • 当時のチャンピオンの編集者たちの間には「当時のチャンピオンの編集長に潰されたようなもの」という見解があるほどである。
    • 鴨川つばめ本人は後に「ギャグ漫画家の才能は、神様が一生の中で、たった一本だけくれた鰹節のようなもの」と語ったという。
  • 『マカロニ』の連載が始まった1977年は『マカロニ』『がきデカ』を擁するチャンピオンに加えてサンデーでは『できんボーイ』(田村信)が人気を博し、ジャンプでも『すすめ!!パイレーツ』(江口寿史)が始まるなどギャグ漫画が大豊作であった。『パイレーツ』の江口寿史も後年「みんな面白かった。おれのほうがもっと、と毎週強烈に意識していました」と語っていた。

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最終更新:2022年12月07日 06:12

*1 その破壊力は『がきデカ』の作者である山上たつひこに「戦意すら喪失した」と言わしめたほどであった。

*2 チャンピオンは1977年の5・6合併号にて少年誌初の200万部突破を達成している。

*3 前作『チキチキマシン』はCG素材が少なくて済むプロットを中心に構成していたので違和感が少なく、そこまで問題にはならなかった。

*4 ゲーム中、トシときんどーが落花生のコスプレをして歌うシーンがあるのだが、これは『マカロニ2』第1話で落花生が"落下傘"を付けて降りてくるというシーンが由来である。しかし該当シーンでは落下傘など無く、ギャグが成立しなくなっている。

*5 例えば同じスタッフの『チキチキマシン』(続編含む)にもこういう独自解釈が見られるが、あちらは元が海外のアニメということもあり、今作ほどの違和感は出ていない。

*6 90年代前半の映像番組。今作同様、CGを使った作品が多数放映されていた。なお高城は参加していない。

*7 吉本新喜劇の冒頭では、本筋と関わらない端役の人物がちょっとした掛け合いを繰り広げることが多い。たいていは新人がこの役を任される。

*8 一応公式名称。原作でとあるキャラが実際にそう例えている。

*9 原作中期から出てくるヤンデレ悪女。弘美と並んで数少ない同級生の少女で、弘美がレギュラー化する前はこちらの方が出番が多かった。

*10 トシやきんどーとつるんでボケをかますマヌケな男。初登場時はきんどーさえ手を焼く問題人物だったが、何かと再登場を繰り返すうち彼らと友情が芽生え、連載末期はそうじ以上に出番があった。

*11 8巻収録話「ちょー人リング!!」でさりげなく書かれている。