SOULSTICE

【そうるすてぃす】

ジャンル ダークファンタジーアクションアドベンチャー https://msp.c.yimg.jp/images/v2/FUTi93tXq405grZVGgDqG8K2qCZPU2yfBlOcptfs-fZtq6-IkPl1_AvcSmTV4-A3NrL1REqyR18ACnP5nDePh69E9o027Leh5qVtrTxMBFHc4zjThOJ8P20exY89vcHrNu-APvh3WAwCCpp_B1UuziCB-F5PdVm9BBdSVKnteicVbyoKD0lxwQMCRbuqBNrKgCA4RGaid3itx7yOlGmFKauWD8Jm637V5HDHj2kVN_nWeGO4mpm0gHUVR_f2C_gsKrAJULnikOzW_a6njrxP5w9QCrW6EDxxKojx-UOD9A0v3TgS-wfVkPYiiah_4Sd4/Sic61w6HmEPdzYN3wdOLxY0n.jpg
対応機種 Windows(Steam)
Xbox Series X/S
PlayStation5
発売元 Modus Games
H2INT(PS5日本版)
開発元 Reply Game Studios
発売日 【Steam/北米版】2022年9月20日
【PS5日本版】2022年11月24日
【PS5ダウンロード版デラックスエディション】2022年11月29日
定価 Steamダウンロード版:4,100 円*1
北米ダウンロード版:$39.99
北米デラックスエディション:$49.99
日本ダウンロード版:5,192円
日本デラックスエディション:6,490円
プレイ人数 1人
レーティング ESRB:M(Steam,XSX,海外版PS5)
CERO:D(日本版)
備考 一部シーンにヌード描写あり
通常版はダウンロード専売
XSX版は日本未発売
判定 なし
ポイント 派手で多彩なアクション
粗の多い戦闘システム
自由度を阻害する強化要素

概要

REPLY GROUP*2傘下のインディーズメーカー、REPLY GAME STUDIOS開発のハック&スラッシュ形式アクションアドベンチャーゲーム。
ダークファンタジー要素で構成された世界観は漫画『ベルセルク』『クレイモア』から、ゲーム性は『デビルメイクライ』『ベヨネッタ』『ニーア:オートマタ』といった作品からの着想を得て作成されている*3

騎士として直接戦闘、それを補助する霊体とのコンビ『キメラ』姉妹を操作し、騎士本体は様々な武器によるコンボ、霊体は霊力によるサポート、さらにキメラをも超越した力を解放し、聖王国を蝕む邪悪な存在を駆逐していく。

主人公像、登場人物と敵のデザイン、様々な有名タイトルからインスパイアされた舞台設定やデザインコンセプトはインディーズメーカーの中では抜きん出て高品質であり、ビジュアル面での評価は高い。
一方で戦闘・移動・敵・成長要素といった多くのシステムバランスに歪な点が目立ち、手放しで優れたゲームと断言するのは憚られるゲーム性となっている。


ストーリー

イルデン、レイム、ドランの三大都市からなるケイダス聖王国の遥か上空、ベールと呼ばれる時空の裂け目を通じて侵入してきた邪悪な存在『レイス』。
人間界において物理的な有機体でないレイスはあらゆる生命体に憑依して対象の肉体を蝕み、『腐食者』や『憑依者』と形容される怪物へと変貌させて際限無く現世を浸食していく。
人類を脅かすレイスに対抗出来るのは、レイスを実体化させる霊力を宿した『シェード』と白兵戦に長けた戦闘技術を持つ騎士の両者の魂を結合させて誕生する戦士『キメラ』のみ。

ブライアーとリュートの姉妹は突如出現したレイスによって故郷を滅ぼされ、レイスに切り付けられたブライアーは腐食者になる瀬戸際でリュートに重症を与えてしまう。
そこに現れた灰剣騎士団のキメラ騎士ドノヴァンの手でブライアーは制圧され、団長デュガル卿の施しにより姉妹はキメラへと転生する。

灰剣騎士団に所属したブライアー、彼女のシェードとして霊体に生まれ変わったリュートの2人は、キメラとしてレイスに浸食された街を再生する任務を与えられ三大都市のひとつイルデンへと赴く。
イルデンに到着した2人は、レイムより派遣された灰剣騎士団の『監視者』レイトンの導きでもう2人(実質として4人)のキメラが姉妹の到着を待たずに先に行った事実を知らされる。

その後ドノヴァンと再開した2人は、彼がキメラでありながらシェードを封印して戦う事に疑問を感じつつ、
裂け目の影響でキメラは『超越』の危機に晒されている事、『超越者』と化したキメラは腐食者や憑依者を遥かに凌駕した力を持った化物となってしまう事を忠告される。

破滅の危機と偽りの記憶を背負い、歩みを進めていくキメラ姉妹。その裏では、灰剣騎士団の陰謀が渦巻いていた。


システム

ゲームの流れ

  • 規定数のチャプターが設けられた各章を開始→ある程度固定されたカメラワークでの3Dフィールド移動シーン→
    特定の箇所への到達で戦闘シーン突入~戦闘終了~移動シーン…と繰り返していくオーソドックスな戦闘アクションが主体。
    • 各章の最後のチャプターは多くの場合ボスと対峙する展開だが、最終地点への到達条件が無かったり、乱戦からの逃走、ギミックの解除、中ボスの殲滅といった条件がクリアフラグとなる章も存在する。
    • 移動シーンでは特定の箇所に一定条件化でのチャレンジモード『虚空の挑戦』に挑めるポイントが設けられ、クリアすると強化アイテムを入手出来る。
      一度挑んだ後はクリアせずともタイトル画面のメニュー内項目から直接挑む事が可能に。
  • 章を開始する前段階のメニュー、及び特定の場所に現れるレイトンのショップで強化アイテムの入手や武器/コンボ/カウンターのアップグレードが施せる。
    • アイテムの入手と各種アップグレードには強化素材『深紅の残留物』『コバルトの残留物』が必要。
      各種残留物は戦闘シーンで敵を全滅させたリザルトランクにより多少増減した値が加算される他、各チャプターの道中に目立つ形で設置された巨大クリスタル『大鉱脈』やオブジェを破壊する事でも入手可能。
    • チャプター道中で入手出来るアイテムには一定数集めると体力やエントロピー(後述)ゲージの最大値を永続で増加させるものも存在。
  • Ver1.1.0でのアップデートに伴い、1章のクリア後はメインメニューの「エクストラ」にトレーニングの項目が追加される。
    • 「記憶パート」専用フィールドを舞台に、敵の種類、敵の攻撃の有無、リュートの自動カウンターのON/OFF、連携度と一部ゲージの調整などを施して各武器の特色やコンボ、特定の敵に対する戦術その他を把握出来る。
  • 初期状態では「人間(イージー)新参者(ノーマル)騎士(ハード)」の難易度から選択可能。
    難易度騎士クリアで「キメラ(ベリーハード)」、難易度キメラクリアで最上級難度「超越者」がそれぞれ解放される。
    • 初期状態の3種類の難易度の違いは敵のパラメータのみ。キメラ以上の難度では各チャプターに出現する敵そのものの構成が変わる仕様。

基本操作

戦闘システムは直接戦闘を担当するブライアーを操作し、シェードの力を駆使して戦闘の補助を担当するリュートとのバディアクションが肝となる。
コントローラーの入力で繰り出すアクションの略々全てはブライアーの行動に宛てがわれ、リュートのアクションは3つのボタンのみに対応。

以下にそれぞれの特色を記す。各ボタン名称はSteam版の「設定」→「操作」項目の「コントローラーアイコン:タイプ1」基準でのデフォルト配置による表記。

攻撃

ブライアーの行動で行われる基礎戦闘システム。

  • プライマリ攻撃(Y)/セカンダリ攻撃(X) (方向キーの左/右/上で武器切り替え)
    • 前者は基本武器となる『灰の擁護者(大剣)』によるベーシック攻撃。後者は初期段階では大剣を変形させた『灰の執行者(戦槌)』、加えて章が進行するに連れレイトンから渡される各武器での攻撃。
      • 一部の武器はX長押しを経由して離す事で、威力を増したチャージ攻撃を繰り出せる。下記の派生攻撃にも全般、チャージが適用される。
    • 各攻撃は追加入力で地上/空中問わずにコンボとして派生していき、ある程度の派生段階でフィニッシュ攻撃で〆る。 セカンダリ攻撃の途中で別の武器に切り替えて別種のセカンダリ派生攻撃に、さらに大本のプライマリ派生攻撃へ切り替える事も可能。
    • 両攻撃共に、アップグレードで新たな単発特殊攻撃や技能、後述するシナジー攻撃が可能になるコンボをアンロック出来る。
  • セカンダリ攻撃を繰り出す際に装着する各武器はそれぞれ戦闘スタイルが大幅に異なる他、敵に定められた種別によって弱点/抵抗力が細かく設定されている。
    • 一例を挙げると、『報復の手(ガントレット)』はリーチは短いが攻撃動作はクセが無く単体の敵向けで、敵の攻撃を捌いてダメージを無効化するパリィアクションを繰り出せる唯一の武器。敵の種別に関する強弱は、腐食者カテゴリの『ガード/チャンピオン』などの装甲型に強く、技能を最大までアンロックすると腐食者カテゴリの『キャプテン』や憑依者カテゴリの『エイドロン』などの盾・バリア型にも強くなり、憑依者カテゴリの『スラッシャー/スティンガー』などの獰猛型には一辺して弱い…といった具合。こういった特色が各武器毎に大きく差別化されており、これらの使い分けが戦局を左右する要素となる。
  • シナジー派生コンボ(同一武器攻撃を2回入力で止め、武器が白く光った段階で再度追加入力→フィニッシュ攻撃まで派生させると発動)
    • 武器攻撃のフィニッシュが専用の動きを伴う別性能に変化する派生コンボ。深紅の残留物を消費してアップグレードを施す事でアンロックされる。

戦闘補助効果

リュートのアビリティスキル(後述)による半自動的に繰り出される攻撃/防御行動。

  • シナジー攻撃(高連携度状態で自動的に発動)
    • シナジー派生コンボのフィニッシュが専用のカメラワークでの演出&攻撃範囲とダメージが大幅に増強されたもの。
      発動後は連携度(後述)が下がるが、アビリティスキル次第では立て続けに数回連続で放つ事も可能。
    • 厳密にはブライアーのシナジー攻撃への影響だが、発動にはリュートの攻撃アビリティスキルから各武器に対応したシナジーのアンロックが必要となるのでこちらに記載。
  • エネルギーバースト(自動的に発動)
    • ブライアーの攻撃の合間合間にリュート自身もエネルギーバーストによる飛び道具攻撃を放ち、自動援護する。
      • 各攻撃アビリティスキルはスキルツリーでコバルトの残留物を消費してアップグレードを施す事でさらに強力な効果を上乗せ出来る。
        強化次第ではブライアーの行動に関係無くリュートがエネルギーバーストを連発し、何もせずに回避に専念している内にリュートがあらかた敵の体力を減らしていたという状況も任意で作り出せる。
  • カウンター(B)
    • 敵の攻撃を中断させる『妨害』、攻撃中の敵を一定時間硬直させて強制静止状態にする『スロー』、敵の攻撃へのパリィ効果を齎す『バリア』、敵の飛び道具の軌道を逸らす『屈折』…といった防御アビリティスキル。
      • 各防御アビリティスキルも攻撃アビリティスキル同様、スキルツリーでコバルトの残留物を消費してアップグレード可能。
    • カウンターはワンボタンで発動するシステム上、アビリティは敵の種類と行動次第で自動的に決定する。効力の自由度は無いと言って差し支えないが、何れも強力な効果を齎すので適切な戦法への切り替えが大事。
    • アビリティスキルのアンロック状況次第では自動的にカウンターを発動する事もあるが、ブライアーの一部武器の専用攻撃と噛み合わせが悪い事になっている(問題点に明記)。
  • 降霊フィールド(LT)/駆逐フィールド(RT)
    • 降霊フィールド(青)は通常時は武器攻撃が当たらないレイスカテゴリの敵全般に対して攻撃が通じる様になる他、特定の場所に出現する透明の浮遊足場の実体化、
      コバルトの大鉱脈・接近すると時間差で爆発する非実体ギミック『エーテルソーン』・一定のフィールド内に閉じ込められるギミック『拘束の方尖塔』の破壊に活用する。
    • 駆逐フィールド(赤)は通常時に攻撃を強制的に弾いて無効化する憑依者カテゴリの敵全般に攻撃が通じる様になる他、
      深紅の大鉱脈・特定箇所の進行を遮る『異常分岐クリスタル』『不安定なクリスタル』『異常再生クリスタル』の破壊に活用する。
      • 『不安定なクリスタル』は駆逐フィールド展開中に一定範囲に根を張り巡らしていき、最大範囲に達すると爆発するダメージギミック。
        破壊するために必要な手段にカウンター効果を併せ持つ故に定期的にフィールド展開を中断する必要がある。
    • フィールド展開中は『エントロピー』が徐々に蓄積されていき、上限を超えるとリュートの霊体がエントロピーに耐えられずに霧散して
      『オーバーチャージ』状態となり一定時間リュートのスキルが使用不能になる。その後はクールダウン時間を経てリュートの霊体が再構成され、再び戦線に復帰。
      • エントロピーはフィールド未展開状態で浄化されていく他、アビリティスキルにより増減を抑える事も可能。
        また、エントロピー上限突破でリュートが霧散する際にエネルギーバーストを放つ様に出来たりと、デメリットを補うスキルも存在する。

リュートのアビリティスキルはアンロックした種類により自動的に切り替わる4種類の外部属性『アスペクト』の何れか1つが選ばれ、この属性により一部のシステムが影響を受ける。詳細は後述。

その他システム

  • 移動(左スティック)
    • リュートのアビリティスキルをアンロックしていくと、スローカウンター発動時に短時間だけ移動速度が劇的に速くなる効果を得られる。
  • カメラ移動(右スティック)
    • 移動シーンではある程度決まった範囲のみ、戦闘シーンでは一般的な3Dカメラとして視界範囲を回転可能。
  • カメラ固定&解除(右スティック押し込み)
    • 敵一体に視点を定め、追従カメラに切り替える。カメラ固定中は右スティック左右でターゲットの切り替えが可能。
  • インタラクト(A)
    • ギミックを作動させたり扉の先のエリアに進む際に実行するコマンド。下記ジャンプと状況が被った場合、インタラクトが優先される。
  • ジャンプ(A)
    • 空中状態でもう一度入力すると2段ジャンプが可能。
  • ダッシュ(LB)
    • 一定距離を高速前進する。3回まで連続入力可能だが、3回目のダッシュは終わり際に前転して体制を立て直す長い硬直時間があるので注意。
      • 空中状態でも使用可能だが、こちらは単発のみ。移動シーンで度々使う他、空中コンボをリセットしてコンボを継続する目的でも使える。
  • インベントリ展開(RB長押しで展開、離すと閉じる)
    • インベントリを展開する事で消費アイテムが表示され、左スティックで選択、Aで使用。展開中は時間の流れが極端に遅くなる。

連携度

ブライアーとリュートの戦い方の移り変わりにより、『連携度』が上下する。
かいつまんで説明すると、攻撃を当てる事で増加し、被弾及び一定時間攻撃せずにいる事で減少。被弾時の減少率は極端に大きい。
一定以上の連携度に到達すると前述の高連携度専用シナジー攻撃が繰り出せる他、最大値まで蓄積されると以下のシステムが発動可能になる。

  • 狂喜状態(LT+RT同時押し)
    • プライマリ攻撃が高速で前進して斬り付ける動作に変化する他、敵の攻撃に対して仰け反りや吹き飛びダウンがオミットされたアーマー状態になる。
      発動中は武器の切り替え及び消費アイテムは使用不可(武器は大剣と戦槌で固定)。一定時間経過で狂喜状態は終了し、連携度が急激に下がった状態となる。
      • 終了直前にLT+RTの同時押しで、専用演出を伴う『狂喜フィニッシュ』が発動。発動させないまま終了する事も可能だが、特に利点も無いので迷わず発動して問題ない。
    • 上記のアスペクトの種類により、狂喜状態での攻撃に添付される効力&狂喜フィニッシュの性能が変化する。
    • シナジー派生コンボを除いた通常連打コンボのフィニッシュの直前に発動する事で発動時のムービーそのものを省いてシームレスに狂喜状態に移行可能。
      直接発動した場合のムービーもスキップ可能なので利点はあまりないが。
  • 狂乱状態(一定体力値以下の状態でLT+RT同時押し)
    • 狂乱状態ではブライアーが自制心を保てなくなり、自動で見境なく敵を攻撃する。この時は画面下側に円状の狂乱インジケーターが表示され、回転して方向を指定するインジケーターと同方向に青い炎エフェクトをスティックで移動させる演出を数回挟み、超越化寸前となったブライアーの自制心を回復させるための演出に移行。この状態でBを連打して時間内に回復インジケーターを満たすと狂乱状態が継続し、再び前述の狂乱インジケーター演出を挟んで…と繰り返し、3度目の回復インジケーター演出を成功させる事で通常状態へと戻る事となる。
    • インジケーター2種はどちらもゲーム自体の継続に直結しており、狂乱インジケーターと炎エフェクトのスティック入力が一定時間合致しなければ回復演出が挟まれずに『破滅デモ』に直結してそのままゲームオーバー。回復インジケーターの場合は単純に連打での回復が間に合わなければ言わずもがな。
      • 破滅デモの場合、通常時の『ゲームオーバー』表示でなく『破滅した』という表示になる。狂乱インジケーターでゲームオーバーの場合は「凡百のキメラと同じで理性を保てる超越者に適合する器ではなかった」、回復インジケーターの場合は「抗いきれなかった」といったニュアンスだろうか。
      • ここまで書いたが、狂乱状態はゲーム内での説明不足による欠陥を抱えており、基本的には『発動させない方がいいシステム』という見方が非常に強い(問題点に明記)。

連携度は最大値まで蓄積された状態から一定時間経過すると自動的に初期値に戻されるため、高連携度専用シナジー攻撃も狂喜状態も発動しない選択肢は存在しないと言って差し支えない。
例外的に狂乱状態は封印する事が推奨されるため、体力の管理には気を配りたい所。

+ VER1.1.0での追加システム(終盤~エンディングと密接に結びつくネタバレを伴うので折り畳み)

超越

  • 超越発動(超越ゲージが1ストック以上蓄積された状態でY+B同時押し)
    • 23章の開始と共に解禁されるパワーアップモードで、発売から実に9か月を経て追加された新システム。エンディングでブライアーとリュートが融合し、超越者「サーベル」となった姿を操作出来る。
    • 超越の追加に伴い、専用の超越ゲージが追加された。敵への攻撃のヒット、敵からの攻撃の被弾によって微量に蓄積されていき、1ストック溜まった段階で発動可能になる。ゲージは最大3つまでストック可能で、1ストックを超える過剰分のゲージがあればそちらを優先する形で消費し、発動時間が延長される。発動後はゲージがリアルタイムで減少していき、ゲージが尽きた時点で通常状態に戻る。
    • 23章のクリア後は標準搭載システムとなり、同データであれば章を遡って使用可能。

超越状態でのシステムは以下。

  • プライマリコンボ(Y連続入力)/代替プライマリコンボ
    • 代替プライマリコンボは通常時のシナジー派生コンボに該当する。
  • セカンダリコンボ(X連続入力)/代替セカンダリコンボ
    • 代替セカンダリコンボは上記同様。
  • チャージ攻撃(Y長押し~離す)
    • チャージ攻撃は一度単発のYを出し切った後で無いとチャージを受け付けないため、それ単体で予備動作を省いて繰り出す事は出来ない。
  • 突き刺し攻撃(LB+Y同時押し)
    • 通常時の貫通突きに該当する高速突進攻撃。前方移動で接触した敵をすり抜けるため、通常時の貫通突きと違って断続的に畳み掛ける戦法は取れない。 通常時と名称が逆なのでは
  • 叩き出し(X+A同時押し)
    • 通常時の灰の執行者(戦槌)での同攻撃に該当する。
  • 叩き付け(空中でX+A同時押し)
    • 同様に、通常時の灰の執行者(戦槌)での同攻撃に該当。
  • 遠距離コンボ(Bを2回入力)/チャージ遠距離コンボ(B長押し~離してから更にBを2回入力)
    • リュートとの融合を経てカウンターが使用不能になった代わりに得た飛び道具攻撃。2連射までだが単純にこれを連発するだけでも強力。チャージ版は威力と範囲が増強される他、タイムラグはあるが3連射が可能に。
  • 連続回避(LBをタイミング良く連続入力)
    • 通常時のダッシュと異なり、終わり際を3回まで同行動でキャンセルして最大4回連続ダッシュ出来る。その際、各ダッシュの終わり際にエネルギーエフェクトを停滞させ設置飛び道具攻撃を仕掛ける。攻撃と回避の両方の側面を備えた移動システム。
  • 特殊攻撃(LT/RT)
    • LT版はフィールドの全ての敵の移動速度低下+持続ダメージを与える他、降霊フィールドをベースにしているためかレイスカテゴリの敵に追加ダメージが発生する。
    • RT版は前方のまばらな位置に赤紫のエネルギーエフェクトを数発落下させる。LT版よりも高いダメージに加え、こちらは駆逐フィールドベースのためか憑依者カテゴリの敵に追加ダメージが発生する。
    • 両者の特殊攻撃は超越ゲージを一定量消費するため、超越終了まで無尽蔵に使えるわけではない。後述の究極攻撃も踏まえ、使うならば発動直後の早い段階で使うのがベター。
  • 究極攻撃(LT+RT同時押し)
    • 専用演出を伴う、フィールド内全ての敵に特大ダメージを与える攻撃。使用後は超越ゲージ残量に関わらず通常状態に強制的に戻り、それまでのゲージは初期化される。
      • 狂喜状態終了直前にのみ発動出来る狂喜フィニッシュと異なり任意で発動可能ではあるが、強制的に超越状態終了+ゲージが初期化されるのを踏まえると、狂喜フィニッシュ同様終了直前に発動するのが最善だろう。

超越状態は任意で終了出来ず、ゲージを全て使い切るか超越状態で戦闘終了するまで通常状態に戻る事はない。後者の場合は余った超越ゲージを持ち越せるため、短い間隔で連続発動を望む場合はそちらを狙いたい所。

  • 連携度の超越ゲージ変換(左スティック押下維持)
    • 超越ゲージは『連携度を変換』する事でも蓄積可能。変換中は移動が出来ない代わりに変換効率は高く、通常、狂喜状態が発動可能となる連携度4段階(最大状態)から全て還元する事で、超越ゲージ1ストックの3割程に変換出来る。
      • 具体的な例を出すと、もっとも連携度蓄積効率が高い報復の手(ガントレット)の通常セカンダリコンボ4発フルヒットでおおよそ連携度1段階目の9割程が蓄積される。踏まえると、通常セカンダリコンボ4セット+数発で狂喜状態が発動可能となり、そこからゲージ変換で超越ゲージ3割入手という流れ。これが連携度変換一切なしのプレイであれば、序盤からチャンピオンやシュリーカーといった序盤の終わり~中盤以降の難敵がわんさかと湧き出てくる難易度キメラでさえ軽く4チャプター程度は経過してようやく発動出来るかといった具合。
      • 変換の手間や隙はあるが、それ以上に通常時の攻撃のヒット/被弾によるゲージ蓄積割合が一見して増加したのか判別が付かない程に微量な事もあり、狙って超越を発動するためのゲージを確保しようと思えば連携度の変換が必須。そもそも連携度自体が戦闘終了後に初期値に戻る仕様もあり、逐一変換していかなければ土壇場で発動出来ず泣きを見る事に。
      • 連携度と違い超越ゲージはしっかりキープされ、超越発動以外で減少する要素もないため、意識して蓄積していけば戦略の幅は大きく広がる。狂喜状態の終了から立て続けに超越発動、といった贅沢な戦法も可能。
      • また、これまで殆ど使い道の無かったアイテム「調和の香料(使用すると連携度が最大まで上昇する)」にも『瞬時に超越ゲージを規定量蓄積する目的として』使い道が出来たのは大きな進歩と言える。

評価点

クオリティの高いコンセプトデザイン・キャラクター像

  • 超常的な力で人類を脅かす怪物、灰剣騎士団のキメラ/監視者、超越者となりボスとして立ち塞がる元キメラの異形ぶり、常に陰鬱な瘴気に覆われたイルデンの街並み、決して近代的ではない武器&ギミックetc、
    ダークファンタジーというジャンルを存分に活かしたデザインはアンリアルエンジンの性能を存分に発揮した完成度で非常にクオリティが高く、ゲーム中の各攻撃の専用演出もスタイリッシュで見栄えがいい。
  • 世界観が日本の漫画にインスパイアされている事もあってか、操作キャラのブライアーは比較的目が大きく造られており洋ゲーのリアルな顔に抵抗があるユーザーでも受け入れやすい。
    キャラクター像はぶっきらぼうで皮肉屋、基本的に沈黙、全く笑う事なく淡々と任務を進める様子やリュートへの当たりもそっけない事から冷たい性格に見える一方で、妹には稀にデレたりもするという分かりやすい魅力が持ち味。
    こういったジャンルでの主人公像は軽口を叩いて格好良さを過剰に押し付けてくる印象も大きくなるが、常に険しい表情とラフファイトよりな攻撃モーションが多い女性キャラとして媚びていない点も好印象。
  • 出会った当初はキメラ姉妹に辛辣な態度を取る胡散臭い監視者レイトンも、
    ストーリーが進むに連れて彼なりの事情を抱えている事が判明していき、監視者の立場からケイダスの復興へのアプローチを試みているという渋い役割を持っている。
  • 超越者の中でも特にコロッサスのインパクトは凄まじい。初対峙時の超巨大な頭部のみの存在が狂喜乱舞で追ってくるシーンは、序盤も終わりに迫る頃に忘れられない印象を否が応でも印象付けてくる。
  • 武器デザインも大剣、変形ハンマー、ガントレット、クロスボウ、蛇腹状の鞭、ナイフ、トンファーと大砲を組み合わせた 全く新しい マルチウェポンといった「分かっている」ラインナップ。
    • 道中で存在が判明するキメラ、コーデリアの持つ大鎌が支給されないのは残念。コーデリアの『死神』ポジションのキャラコンセプトとして際立っているのも確かだが。
  • これらステージのコンセプトアート、キャラクター、武器の3Dモデルはタイトル画面やポーズメニューの『コデックス』から確認出来る。
    • 道中の一般的な敵も全般含めた各キャラクターの詳細はレイトンの視点から記した口調で説明される。
      ストーリーが進むにつれて詳細説明文も更新されていくのだが、ラスボスを倒した後にまでキャラクターの追加や詳細の更新があるのは興味深い所。

武器の使い分けとコンボのカスタマイズ

  • 武器のアップグレードを施す事でアンロックされる攻撃はどれも実用性があり、適材適所で使い分けて戦局を有利にするのは勿論、コンボの最中に切り替える事で数回に亘ってコンボ段数を伸ばす事が可能になる。
    弱点の武器であれば無理にシナジー攻撃を狙わずとも通常コンボ&回避で十分事足りるし、空中状態での攻撃もコンボのフィニッシュに到達していない限りは高度が下がらずに留まる形となるので安定して切り替えられる。
  • 報復の手(ガントレット)の『不動の物体(パリィ)』で敵のアーマー効果&カウンター不能攻撃を捌き、猛然たる懺悔(鞭)の『グラップリングフック(対象を敵に限定したジップ移動)』で瞬時に敵に接近し、 灰の執行者(戦槌)の『飛翔(打ち上げ攻撃)』『墜落(強制ダウン効果付属の急降下攻撃)』を駆使して敵の動きを強引にねじ伏せる…といった攻防&移動のノウハウを生かした動きを培い、 乱戦を狙い通りに攻略出来る様になればすこぶる高揚した気分を味わえるだろう。
  • 灰の擁護者は突進攻撃『貫通突き』が腐食者全般に仰け反りを誘発し、更に動作後半を同攻撃でキャンセル出来る仕様を利用した『貫通突きループ』での一点集中ラッシュが序盤から終盤まで強力な戦法として機能する。特に『ガード/モングレル/キャプテン』といった高い耐久力の腐食者が中心の序盤では目に見えて時短テクとして有用。
    • Ver1.0.3のアップデートで従来の『同方向2回入力+Y』に加えて『LB+Y』でも発動可能になり、キャンセルループ難度が低下する バランス破壊 調整が施された事で全体的なゲーム難度も緩和された。
  • 報復の手はリーチの短さに加えて平均攻撃速度が下から数えた方が早いためか、攻撃全般やたらと連携度が溜まる。特に腐食者カテゴリのガードやチャンピオン相手では高連携度専用シナジー攻撃や狂喜状態を発動しやすい。
    前述のパリィもチャンピオンのカウンター不能6連旋回ハンマー攻撃を無傷でやり過ごせる他、各ボス戦においても多くの回避困難な攻撃を防ぐ手段となる。
  • 神聖なる狩人(クロスボウ)は唯一の追尾性能付属射撃武器として遠距離から戦闘の主導権を握りつつ攻撃出来る。
    ゲーム内の説明では盾持ちには弱いとあるが、連発していれば安全かつ確実にダメージを与えていけるのでDPSを度外視した立ち回りでは距離を選ばず安定する事実上の万能武器と言える存在。
  • 猛然たる懺悔は鞭という特色を活かした長いリーチを誇る。Y軸・Z軸に関わらず一度の入力で満遍なく広範囲に連続打撃を与えられ、群れ型/獰猛型といった全編通じて乱戦で沢山出現する敵に強いのは目をみはる長所。
    序盤から出てくる腐食者カテゴリのブロークン/パイクマン/ブライテッド/モングレル、レイスカテゴリのグリーバー、憑依者カテゴリのスラッシャー/スティンガーといった多くの敵に有効なので使用頻度も高くなる。

充実した設定項目

  • アクセシビリティの項目だけでも、テキストサイズ、フォントスタイル、色覚異常モードの切り替え、(攻撃/フィールド展開/カウンター/ターゲット切り替え)の自動化の他、
    インベントリ展開時の長押しが不要になる『インベントリ代替入力モード』、インベントリ展開中に完全に時間が止まる『インベントリ一時停止』、
    連打せずとも一回の入力で済む『ボタンタップQTE』、章やチャレンジ開始時の決定が長押しから一回の入力で済む『UIボタン長押し』といった便利な切り替え項目が揃っている。
  • 血の色の変更、流血エフェクトの有無、FPS値の変更、それらに加えてキーコンフィグでは全ボタンとトリガーの他にも左右スティックの役割を入れ替えられる…といった細かい点にもメスが入れられている。
  • その他任意でオンオフを選べる項目が多く、ユーザーフレンドリー意識が細部に亘るまで行き届いているのは好印象。

問題点

特定状況でのカメラワーク

  • 戦闘中、特に壁際に追い詰められた状態でカメラ固定入力した場合の追従カメラは3Dアクションゲームの例に漏れず、画面奥側の把握が困難で劣悪な視界になる欠点を抱えている。
    前述したチャンピオンの6連旋回スイングなどの回避困難な攻撃は事前に黄色い警告エフェクトが敵の周囲に表示されるのだが、壁際ではそのエフェクトが見えない状況に陥る事もままある。
  • 敵の多くはある程度距離が離れると攻撃頻度が低くなり、接近すると攻撃頻度が高くなるアルゴリズムを持つ。この仕様が災いし、後半ステージの乱戦では画面外からの強襲や飛び道具による理不尽な被弾が当たり前となる。
  • 降霊フィールド展開時に実体化する足場に跳び移る場所の多くは足場前後の遠近感が掴み難く、足場に着地したと思ったら手前或いは奥の空間にすり抜けて下に落下するといった状況が連続して起こりがち。
    着地出来ずに落下した先がとてつもない深さかつ強制的に戦闘が始まるポイントであったり、ダメージギミックのエーテルソーンが並んでいたりといやらしい構成になっている事もあり、ストレスが溜まりやすい。
    • この点は移動シーンでのカメラ移動が限定されているのが問題の要因であり、該当箇所においては俯瞰視点に切り替わる仕様であればこれらの問題も解決出来ていた可能性が高い。

インタラクトとジャンプの入力統合

  • このゲームではフィールドギミックを作動させるインタラクト入力がジャンプ入力と複合されており、ジャンプしようとしたらギミックを作動させたり次のエリアに入ってしまうといった暴発がしばしば起こる。
    • 特にエレベーターのレバーを作動させるシーンにおいて、反対側の足場に跳び移ろうとしてレバーを作動させてしまい意図せず下降して無駄に往復する手間を取ってしまった…というのはよくある話。
    • リュートの手動カウンターに使うB入力が移動シーンで一切使用しないため、入力の複合に関してはそちらをインタラクト入力にすれば全く問題にならなかった。
      • 道中の一部の記憶デモや後述する記憶パートで記憶の核を解放する際の入力はB連打なので最終調整確認ミスの可能性もあったが、アプデで修正されなかったのを見るに仕様の範囲と思われる。 それはそれで感覚がおかしいと言えるが

ブライアーの武器の専用技の価格の高さ

  • ブライアーの各武器に設定された専用技や技能は深紅のクリスタルでアンロックするのだが、1つ1つの価格が非常に高い。
    • 参考までに、移動シーンのオブジェや大鉱脈で入手出来るクリスタルは数十~百数十単位。ショップの回復アイテムは小回復1個につき350、大は1,000消費。一方の専用技は低価格のもので5,000、終盤で入手する武器の技能になると20,000近く掛かる有様。そういった価格の追加技&技能が1つの武器に7~8種類振り分けられており、いくら周回プレイも通じて永続仕様可能になると言えども単価としてはぼったくり規模の高価格に見えてくる。
    • この仕様もあって初回プレイではクリアまでに全専用技&全技能をアンロックする想定はされておらず、最初から周回プレイを通じてコンプリートに到達する要素として作られていると思われる。
    • 専用技/技能共に初回プレイで全てコンプリートする事も一応は可能だが、効率よく深紅のクリスタルを収集するには5章のアローヘッドをひたすら狩りまくる作業プレイに興じる必要がある。

リュートのアビリティスキルの自由度の無さ

  • 主に『自動カウンター』と『アスペクト』が戦術の自由度を阻害する作りとなっている。
  • カウンターは便利と言えば便利なのだが、敵の攻撃に対するカウンター効果が4種からランダム決定されるので、それらを見越した動きは相当通し難い。
    特にスローカウンターは相手の動きを『静止』させはするものの『中断』させるわけではないため、効果が切れた後は動作途中の敵の攻撃がそのまま再開する仕様。
    報復の手のパリィを狙っている状況ではタイミングに狂いが生じる事となり、途端に邪魔な効果となってしまう。任意ならまだしも、自動カウンターで発動した場合は特に感じやすい欠点。
    勿論その場合は頭を切り替えて回避に準ずる様にすればいい話なのだが、そうそう咄嗟に判断を付けられるものではない。
  • アスペクトはアビリティスキルのアンロック状況に応じて『バランス』『カオス』『トリッキー』『マスタリー』の中から1つが自動的に選ばれ、前述の通りそれぞれのアスペクトがブライアーの狂喜状態の効力と狂喜フィニッシュの性能に異なる影響を及ぼすというものだが、中でも『トリッキー』が群を抜いて高い性能を持ち、高難度ではほぼこれ一択となる。
    • アスペクト『トリッキー』では狂喜状態での全ての攻撃に体力回復効果が付与されるという破格の効力が得られる他、狂喜フィニッシュはダメージこそ低いもののフィールドの広範囲に上空からエネルギーを掃射する範囲攻撃で的を外す事がほとんどない安定した性能を持ち、超越者系の各ボスのアーマー値もタイマン故に攻撃が分散せず一点集中して全段命中する事からやたらと削る事ができる。
      • 中盤以降の体力回復アイテムが枯渇した状況では多大な恩恵を受ける事となるのだが、熟練者であればこの『回復保険』がモノを言う展開が起こりやすいのもまた事実であり、かと言って他のアスペクトにするのは体力が削られ続けてミスになる可能性が急激に引き上がる事にもなるし、他の行動で補える範囲*4。要は『トリッキー』が便利過ぎて、他を選ぶ理由が無くなってしまうのだ。
      • ちなみに全てのアビリティスキルを解除している場合は『バランス』が選ばれるため、他のアスペクトを選ぼうとすると幾つかのスキルを再ロックしなければならない。
    • アビリティスキル画面経由でのアスペクトの切り替えはショップメニューからしか行えず、そもそもアスペクトではなくアビリティのアンロック/再ロックを何度もセットし直すのも非常に煩わしい。仮にこれらが『予め幾つかのスロットに数種類設定したアビリティスキル状況を保存でき、それらを戦闘中にワンタッチで切り替えられる』といった仕様ならば、アスペクト次第で都度戦略の使い分けが出来ただけに残念な所。

突破口としての活用に真っ向から反する連携度システム

  • 連携度は『被弾により急激に減少する』という性質を持つため、一定以上の連携度になってはじめて使用可能になるシナジー攻撃と狂喜状態の2つのシステムは、そもそもが熟練したプレイヤーでないと使う事さえ出来ない。それを鑑みるとピンチを乗り切る起死回生のシステムとしての認識にはなりえず、スムーズに戦闘を進めていける中級者以上のプレイヤーの高揚感を後押しするものという側面でしか存在価値を見出せなくなる。
    • 高連携度専用シナジー攻撃は技後の硬直が非常に長く、そのくせ硬直中に無敵時間が設けられていないために場合によっては技後に被弾が確定する事もしばしばある。
    • 前述したアスペクト・トリッキーによる体力回復も本来戦闘技術が未熟な序盤~中盤にこそ真価を発揮するものであるが、そういった救済要素としての側面を真っ向から否定しているのは如何ともし難い。
    • 狂乱状態に至っては『連携度を溜められる=被弾しない』というアンビバレンスな関係性から、初心者はおろか熟練者でも狙って発動するのが非常に難しい。
      というのも、リュートのアビリティスキルの『カウンター時に回復クリスタルが出現』『一定時間で自動で体力回復』という効果で狂乱状態発動のフラグとなる一定段階以下への体力調整自体が阻害されるため。さらにリュートの行動はエネルギーバースト/カウンター共々自動で行われるため、狂乱状態を発動したいがためにわざと被弾して体力を減らそうとしても『被弾を阻害される』という 何を言っているか分からない 事になる。また、移動シーンでもオブジェを破壊する事で回復クリスタルが出現し、自動入手の形となる。ここまでくると後述の仕様もあって狂乱状態が何のために存在しているのかいよいよ分からなくなってしまう。
  • 纏めると、初心者には存在価値が薄く、熟練者には時短システム以上の存在にはならないといった具合。せめて狂喜状態は連携度とは別の任意発動可能なシステムであれば良かったのだが。

狂乱状態の説明不足

  • 狂乱状態は画面上に表示される狂乱インジケーターの方向に一定時間スティック入力を維持し続け、頻繁に切り替わるインジケーターの向きを追う必要があるのだが、正否判定のアウトプットが致命的な程に説明不足。
    • めまぐるしく向きが切り替わるインジケーター&カメラワークに対し、『自動的に切り替わる方向指定インジケーター』に合わせた『スティックで動かす青い炎エフェクト』が表示されるのだが、
      正否判定を『コントローラーの振動とスティック入力時の青い炎エフェクトが微妙に大きくなっているかで判断する』という説明が何一つされていない。
      それに加えてインジケーターと炎エフェクトが不必要に横に長い割に両者が合致する判定部分は非常に狭いという、いたずらに勘違いを誘発させる仕様もあって
      一見して両者が合致している様に見えていても前述の正否判定の仕様で実際には合致していないという場合の判断が付かず、画面内で合致していない事を伝えるフォローも無い。
      更には狂乱インジケーターそのものの切り替わりが非常に早く、仕様を理解して適合箇所にスティックを調整しようとする間に既に別の向きに切り替わって追い付けないという結果になりがち。
    • また、狂乱状態持続中の画面そのものがインジケーターの移動に合わせてスティックを傾ける事に集中しなければならないのもあって、狂乱演出自体を感じ取るのが難しい。
      これはLDゲーや音ゲー全般で見受けられる『画面に表示される入力表示に従ってキー/ボタン入力する事に集中する必要があり、プレイヤーが純粋に演出を楽しむのが難しい』というものと同じ難点を抱えていると言える。
  • 以上を踏まえると『エフェクトが極めて分かり辛く成功を誤認させるインターフェイス』+『文章でのフォローが皆無な事』=『発動しても死ぬだけの無意味なシステム』という勘違いが起きたのは必然であり、
    前述の連携度の仕様から滅多に発動できないシステムでありながら開発側の認識の甘さとして見過ごせない、結果的に重大な問題を抱えたシステムとなってしまった。
    『炎エフェクトの合致時に炎の色が変わる』といった簡単な処理だけでもあれば簡単に判別が付いたのだが…
    • 細かい事だが、『狂乱から回復出来たとしても極めて不利な状況に戻るだけ』という実情は変わらない。
      狂乱状態での攻撃自体大して攻撃力が高いわけでもなく、アスペクトでの効力が付与されるわけでもないため、性能面ではむしろ狂喜状態より劣っている点しかない。 結局の所死にシステムじゃないか

代り映えの無い記憶パート

  • ストーリーが進行するに伴って数章毎にリュートを単体で操作する『記憶パート』をクリアする必要があるが、このパートが一際退屈の極み。
    • SFで度々見られる『深層意識をイメージした空間で対象の心を縛り付けている要因に辿り着いて意識の束縛から解放する』という演出にしても、どこにあるか見当もつかない『記憶の核』を探し出すために何もない暗い空間をひたすら移動し続ける必要があり、作業感が非常に強い。 そしてその虚無の探索を1回の記憶パートで3回繰り返さなければならず、下手をすると10分以上進展がない状況を強いられる。
    • 記憶の核は周囲の空間に揺らめく青い瘴気に紛れて、見ただけで把握するのは不可能。核の位置に近づくに連れてコントローラーが振動してある程度の距離まで接近しているのを知らせてくれるが、逆に言えば振動に頼る以外で記憶パートをクリアする手段が存在せず*5、この仕様のために設定から振動機能をオンにするのが必須となるのも振動機能を使わないプレイヤーには煩わしい点。
    • この記憶パートを全ステージ通して『6回』クリアする必要があり、初見プレイでも記憶パートの3度目にもなれば流石に気が滅入ってくる事になる。
    • 周回プレイで記憶パートをスキップ出来る事から、初見でブライアーの深層意識の雰囲気を感じ取る以上のゲーム上の役割が無いのは開発側も十分理解している模様。

一部の敵の動き

  • レイスカテゴリのプリーチャー/リペンタント、憑依者カテゴリのエイドロンはこちらと距離を置く事を優先して逃げ回り、かつワープも多用して画面外に瞬時に移動したりとマトモに接近戦を挑むのが困難。
    プリーチャーは多彩な飛び道具と大量のエーテルソーン設置、リペンタントは他の敵に対してのバリア付与/射程距離が非常に長い複数の拡散レーザーを360度全範囲に射出/体力が尽きた際の自爆による無差別ダメージ、
    エイドロンは大勢のスラッシャー召喚/自機の上部を常に追尾する高威力のエネルギーアローといった厄介な攻撃が多く、本人の強さとは別の部分での攻撃手段が目立つ事もあって対峙すると萎えるの一言。
    • プリーチャーの場合はクロスボウで何とかなるのだが、終盤ではリペンタントも含めて同時に2体~3体相手にする戦闘シーンも多くエーテルソーンの被弾割合が莫大に増えるのが厄介。
      エイドロンは戦闘フィールドに前述した『不安定なクリスタル』が大量に設けられている事が多く、駆逐フィールドを展開しないと攻撃が通らない憑依者を相手にしているのに
      クリスタル爆発を抑制するために定期的に駆逐フィールドを解除しなければならないというジレンマを背負わされるばかりか、
      駆逐フィールド未展開状態でも不安定なクリスタルの根を広げて爆発させたり、その間にスラッシャーを大量に召喚されるなど、とにかくテンポの悪い戦闘を余儀なくされる。

21章でのタイムリミット

  • 21章は4つのチャプターで構成されたステージの内、前半2つのチャプターに10分・後半2つのチャプターに8分(何れも移動シーン含む)のタイムリミットが設けられ、制限時間を超えるとミスとなる。この仕様でミスとなった場合、どれだけ進んでいたとしても再開は『章の始めから』となる。
    • 最終盤が近い章という事もあってどのチャプターも手強い敵が盛り沢山で、前述したリペンタント+遅延行為を繰り返す憑依者カテゴリの敵が中心である事に加えて上空から落下してくるダメージギミックの落石、これまた前述の降霊フィールド展開中に実体化する足場の把握し辛い遠近感…といった3重苦のストレス要素もあり、プレイヤーの心をへし折りに来ていると言っても過言ではない。特に降霊フィールド展開中に実体化する足場の遠近感の把握し辛さのおかげで次の足場に着地出来ずに遥か下のフィールドに落下→数十秒のタイムロスが確定した時の萎え具合は尋常ならざるものがある。
    • 後半のタイムリミットはかなりシビアで、スムーズにチャプターをクリアしたとしても移動シーン含めて30秒残すのも厳しいといった具合である。そもそものタイムロス要因の多くが敵のワープなのでどうしようもないのだが。
    • 開発側も流石にマズいと思ったのか、Ver1.0.3のアップデートにて前半2チャプター終了後にチェックポイントが設けられ、以降はミスしても後半の移動シーンから再開可能となり難度は多少緩和された。
+ VER1.1.0での追加システムの難点(終盤~エンディングと密接に結びつくネタバレを伴うので折り畳み)
  • 超越状態は23章のクリア後に標準搭載システムとなるのだが、根本的な部分で『新要素』として認識出来るかはプレイヤーによって大きな差が出る。
    • そもそもの解禁条件からしてクリア目前となるため、どちらかと言うと章選択で今までに培った戦術の再確認を兼ねて『強くてニューゲーム』に等しい状態からのリピートプレイをする上で戦略の選択肢を少し増やしたものという側面が強い。ぶっちゃけてしまえば初プレイからクリア目前に到達しなければ連携度システムの最適化以上に不要な知識であり、最初から熟練者のために追加したシステムでしかなく、救済措置としての意味合いは(システムとして解禁自体されないという意味で)全くないと言える。連携度システムでさえ練り込み不足であるのに更に熟練者にしか恩恵の無いシステムを追加しても余計に差が開くのは明らかである。
    • とは言えニューゲームの時点で超越発動出来てしまえばストーリーラインが破綻してしまうので、他にどうしようもないのも確かなのだが…

総評

キャラクター、世界観、設定、それらを統合したビジュアルシーンのどれもが高いクオリティーで描かれ、
基本システム面においてもで頑健に造られたコンボアクション+痒い所に手が届く半自動カウンターの相性は抜群。
根柢の部分でインスパイアされた作品の影響が色濃く表れている事もあって日本のユーザーにも受け入れやすい作品ではある。

それ故に、救済措置になりえずに腕前の格差を増やすだけとなる連携度システムが1つのゲームとして無視できない程にマイナスの印象を与えてしまっているのは勿体ない所。
全体傾向として初心者を脱却した上で様々なシステムを併用して初めて評価或いは批判出来るといった仕様が多く、練り込み不足のシステムの仕様を理解する程にモチベーションを保つのがしんどくなるゲームとなっている。
細かい部分から大きな部分まで粗は多い作品だが、そういった点も含めて『割り切って楽しむ』のが一番と言えるだろうか。


余談

  • 各記憶パートでは、3つ目の記憶の核を発見する度に深層意識内のイメージとしてのブライアーが遠景に浮かびあがり、その場所まで近づく事でデモシーンに移るのだが、
    この時のブライアーは全裸で乳首がはっきりと映し出されており、この点がESRBレーティングにおけるM指定の決め手となった模様。

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最終更新:2023年06月23日 19:03

*1 CS版デラックスエディション相当にアップグレードできる『Deluxe Upgrade』が別売りで存在。Steam版はバンドル仕様の3アイテム合計で1,140円。

*2 イタリアを拠点に各国で事業を経営するコンサルティング、システム統合、デジタルサービス専門会社。日本の山形県・寒河江を拠点とする株式会社リプライ・グループとは無関係。

*3 Unreal Engine公式ページ内のインタビュー記事より抜粋→https://www.unrealengine.com/ja/developer-interviews/soulstice-s-dark-fantasy-is-fueled-by-unreal-engine

*4 攻撃力はトリッキーより高いがフィニッシュが前方一点集中で乱戦で活かされ難いアスペクト『マスタリー』はカメラワークの難点もあって相対的に実用性に乏しく、『狂喜フィニッシュ後に連携度を保つ』という技能が機能していないため実質的に意味の無い死に技能。時間差での爆発による破格の攻撃力を引き出せる『カオス』はリュートのエントロピーが過剰に蓄積されるのに加え、狂喜フィニッシュが体力消費を伴うために余計に危険を招く結果になりネガティブな意味でフィニッシュを使わない理由が生じており使い辛い。

*5 定期的にリュートが近付いているか遠ざかっているかの台詞を発するが、リュート自身断片的に感じているだけなので、正確な方角までは分からない。