マガツバライ

【まがつばらい】

ジャンル 新世代バトルアドベンチャー

対応機種 Nintendo Switch
発売元 有限会社アレス
開発元 light
発売日 2022年1月27日
定価(10%税込) 【通常版】7,480円
【限定版】10,780円
【DL版】6,800円
プレイ人数 1人
セーブデータ 90個(+クイックセーブ1箇所)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント 派手に動く演出の数々
真っ直ぐ故に響くシナリオ
人を選ぶ要素が多め
いろんな意味でCEROに疑問符が浮かぶ


概要

Greenwoodがゲームブランド”light”のSwitch向け新作タイトルとして2021年9月24日に発表したタイトル。
lightは「Dies irae」「シルヴァリオ ラグナロク」をはじめとするバトル要素を持つPC向けアドベンチャーゲームを多く制作してきたブランドである。
尚、本稿ではR18表現の無いNintendo Switch向けに発売された「マガツバライ」のみに限定して記載する都合上、後に発売されたR18指定のPC版「マガツバライ X-rated」については評価の考慮に入れないものとして扱う。

あらすじ

人や自然に古くから存在する摩訶不思議なパワー“霊煌”。
その扱いを修め魔を祓うことを生業とする“霊奏士”見習いの少年、
石動隼人 (イスルギハヤト)は神和学園で平穏な青春を謳歌していた。

小遣い稼ぎにバイトで御符を作ったり……
気のいい友人たちと他愛ない談笑を楽しんだり……
姉に日頃の感謝として、こっそりプレゼントを計画したりと……
ありふれている代わりに幸福だった日常は、しかし予期せぬ襲撃者の到来で撃ち砕かれる。

学園中が大混乱に陥る最中、仲間を庇って瀕死の重傷を負う隼人。
命が尽きるその寸前、彼はご先祖様が封印した怨念の化身“マガツ”の少女と邂逅を果たす。
それは千年前、平安の世において都を震撼させた十三魔将。
――見目麗しき少女の姿で、 災禍鵼 (サイカコウ) 祀怨 (シオン)は微笑んだ。

「よくぞ参った――そこのうつけよ、生きたいか?」
「契約じゃ。妾をその手で解き放て」
「汝に力をくれてやろう」

そして、始まる物語。
煌めくような青春の日々。

「ちっぽけな石ころだって、動き出せばきっと何かを起こせるさ!」
晴れ渡る空のようなマガツバライが幕開ける。

(公式サイトより引用)

用語

  • 霊奏士 (レイソウシ)
    • 時代によって陰陽師、修験僧、霊能者、仙人と呼ばれる超常能力に目覚めた者たち。
      作中においては 霊煌 (レイコウ)という世界と人の体に内在するエネルギーを自由に扱える者を指す。
  • マガツ
    • いわゆる妖怪、怪異と呼ばれていた存在。有名な土蜘蛛、鬼、妖狐なども本作ではマガツである。
      人型のマガツには知性もあり、非常に強力。
  • 十三魔将
    • 古くから存在し、その凶悪性・危険性を顕わにしながら君臨している十三体の最上級人型マガツ。
  • 神和 (カンナギ)学園
    • 東京湾沿岸から少し離れた沖合に浮かぶ人工島に建てられた霊奏士の国営養成機関。
      全国から霊煌の力を発現させた人材を集めており、体系だった訓練はもちろん、一般的な学校教育課程に該当する科目も教えている。
  • ヒノモト機構
    • 霊奏士を多数擁する日本の公的機関。神和学園も機構の一部。
      霊奏に実力に応じた権限を与え、仕事を斡旋するなど管理を行っている。
  • 四天王
    • ヒノモト機構の頂点に君臨する四名の霊奏士。対マガツにおいて最強の戦力を誇る。
  • 仙魔教団
    • 願わず魔に堕ちてしまった者、社会からドロップアウトせざるを得なかった霊奏士を囲う組織。
      どうしても出てくる社会悪や悲劇の受け皿として機能している。

登場人物

+ 主人公とヒロイン
  • 石動隼人
    • 主人公。優しさと正義感に溢れ、今時見ない程真っすぐな好青年。
      幼くして両親を亡くし、現在は日本家屋の屋敷で姉と二人暮らしをしている。
      将来有望な姉と違い平凡の域を出ない腕前だが、とある出来事がきっかけで災禍鵼・祀怨と契約し、数奇な運命へと巻き込まれていく。
  • 烏丸 (カラスマ)しおん
    • 見た目は麗しい少女だが、その正体は平安時代に猛威を奮った災禍鵼・祀怨本人。
      十三魔将の一体としてヒノモト機構に封印されていたが、とある出来事をきっかけに縛りが解け、隼人と契約を結ぶ。
  • 石動 亜麻祢 (アマネ)
    • 隼人の義姉。神和学園では才色兼備を誇るマドンナ的存在。
      普段はクールビューティとして通っているが、本心では弟に異性としての愛情を抱いている。
  • 斑鳩 (イカルガ)
    • 霊奏士の名家出身で、神和学園に転入してきた美少女。
      その端麗な容姿とは裏腹にボーイッシュな性格をしており、男子と間違うほど距離が近い。
      霊奏士としての腕前はブランクがあるとのことだが、それを差し引いても学園内での実力は上位クラス。
+ その他の主な登場人物
  • 北見浩太郎
    • 隼人の悪友でムードメーカー。大体女の子に弱く、おっぱい好きで能天気。
      加えて霊奏士としての腕前は学生レベルの域を出ず、ニッチな方向性ばかりに努力するため、成績はよろしくない。
  • 朧々院西環 (ロウロウインサイカ)
    • 隼人たちの担任教師。基本的にズボラで面倒臭がり屋な無気力家。
      磨けば女性として光るものを持っているが、本人はビールとチーカマを肴にバラエティをだらだら見るのが趣味というザ・喪女。
  • 白天狐 (ハクテンコ) 彌瑞璃 (ミズリ)
    • 日本の裏社会における最大勢力・仙魔教団の主。
      それに加えて十三魔将にも数えられる最強のマガツの一角であり、しおんとは知古の間柄。
  • 土御門羅睺 (ツチミカドラゴウ)
    • 傲岸不遜かつ唯我独尊を極めた超重度の術狂い。
      マガツにのみ発動可能な秘奥義、星招術を習得すべく暗躍を繰り返す超危険人物。
  • 魔戒僧 (マカイソウ) 灰厭 (カイエン)
    • 十三魔将の一体に数えられる非常に強力なマガツ。その本質は一言、邪悪。
      平和を嫌い、仁義を疎み、その逆である破壊と殺戮と不幸を好み、人間をいかに苦しめるかだけを考え生きている。

システム

  • ADVであるため、ゲーム内容は「表示された文章を読んで理解する事」が基本となる。
    共通パートで適切な選択肢の組み合わせを選んでいくとヒロインの個別ルートに突入し、以降はエンディングまで選択肢が発生しなくなる。
    • ただし、本作ではしおんルートが真ED扱いにもなっており、しおんルートに入る為には先に亜麻祢ルートと翼ルート両方のEDに到達しておかなければならない。
  • クイックセーブ/ロード、オートモード、次の選択肢までスキップといった機能は一通り充実しており、共通ルートの周回プレイが苦にならない配慮がなされている。

評価点

  • ド派手な演出の数々
    • ジャンルに「新世代バトルアドベンチャー」と銘打たれている通り、画面がよく動く上にビビッドな色使いも相まって演出が兎に角ド派手。
      特にしおんルートは最後に攻略する事もあってか、製作スタッフの気合が入っている事がうかがえる場面も多い。
  • 熱く真っ直ぐな主人公だからこそ成り立っているシナリオ
    • 本作のシナリオはどのヒロインとのルートにおいても主人公がこの性格だからこそ成し遂げられたと思える結末を迎える。
      シナリオ自体も爽快な勧善懲悪モノであり、真EDであるしおんルートまで全て終えた際には思わず泣いてしまったというユーザーも少なくない。
  • 主人公とヒロイン達以外のキャラにも確かな魅力がある
    • 特に味方陣営で人気が高いのが、北見浩太郎と朧々院西環の2人。主人公やヒロインよりも好きになったというユーザーも少なくない。
    • また、悪役側は主人公と対を為すように清々しい程のクズに仕上がっており、声優陣の怪演もあってピッタリとハマっている。 灰厭だけに

賛否両論点

本作のシナリオは確かに良く出来ているものの、「好み次第で人を選ぶ要素」が数多く存在する。

  • 「CERO:C」に疑問符が浮かぶレベルの下ネタと残虐描写
    • 特に下ネタに関しては序盤から中盤にかけて顕著で、 eショップで入手できる体験版の時点で十分すぎるレベル。
      例を挙げると、 「雌堕ち」というワードが堂々と飛び出す、男性陣が達してしまうシーンが複数回存在する等。 その他の事例まで挙げだすとキリがない為、この時点で察して頂きたい程。
    • また、残虐描写に関しては直接の描写こそされないものの、 想像を掻き立てることでより惨さを感じてしまう作りになっているシーンが存在する。
  • 本作の特殊な世界観と独自用語の数々
    • 舞台は現代日本だが霊的な要素が強く出てきた世界となっており、それも相まって謎の単語が地の文やキャラの台詞に頻繁に登場するため、何を言ってるのか理解できない状態になる事がある。
    • ただ、世界観構築の都合上こういった言い回しは必要な素材であるのも事実であるため、こういった言い回しが好きかどうかでも本作の評価は分かれるだろう。
  • 主人公とヒロイン達のキャラ属性
    • 主人公は熱血正義漢系、ヒロインはTS僕っ娘・ブラコン義姉・のじゃガキと lightブランドではいつもの事だが 癖が強めな選出の為、合う合わないは顕著。
  • その他
    • しおんルートに入る為には亜麻祢と翼のEDを見る必要がある。もっとも、これはしおんルートの物語の内容を考えれば致し方ないと納得できる部分ではあるが。
    • 体験版のデータは引継ぎ不可。ただし、「次の選択肢までスキップ」する機能がある為、それを使えば気になることはない。

問題点

  • ヒロイン毎のシナリオED格差
    • ネタバレを避けるため内容は記載しないが、しおんルートが真EDなのに対し、亜麻祢ルートがノーマルED、翼ルートがグッドEDの立ち位置になっていると感じてしまう顛末を迎える。
      主人公とヒロインは確かに幸せにはなっているが。
  • 西環と彌瑞璃を攻略できない
    • 正確には分岐ルートこそ存在するものの、扱いは完全にサブキャラ枠。
      特に西環はキャラの魅力も相まって、攻略できない事を嘆いたユーザーは少なくない。
  • UI関連
    • タイトル画面やシステム画面でレスポンスが少々遅い。
    • 場面転換やバックログからの巻き戻りの際のロード時間も少々気になるレベルで長め。
    • また、タイトル画面のカーソル初期位置が「NEW GAME」のため、キーレスポンスやロードの遅さに苛ついて連打していると誤って押してしまう事も。

総評

「CERO仕事しろ」「これホントにC判定?」 と思わざるを得ない要素が多く、キャラの属性や世界観まで含めて大部分が人を選ぶ要素で構成された作品ではあるものの、好きな人にとってはたまらない要素が詰まった一作。
作中世界の独自用語の一部がやや難解ではあるものの、本作の要素が受け入れられそうなのであれば体験版で確認してみるのも良いだろう。

余談

  • アダルトゲーム雑誌「BugBug2021年12月号」で開発経緯のインタビューが掲載されている。
    • Web上の「BugBug.NEWS」でもダイジェストでインタビューが掲載されている。
  • Amazon、GEO、楽天ブックスの店舗特典にはドラマCDが付属している。
    何れも本編に劣らぬ素晴らしい出来であるため、入手機会があれば必聴である。
  • 声優陣の名前表記がいわゆる"裏名義"だった事からPC版の発売が期待されていた本作だが、同年7月29日にR18相当のシーンを追加した「マガツバライ X-rated」が発売された。
    • 愛の営みのシーンは勿論だが、 残虐描写も強化 されているとの事なので苦手な人は注意。

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最終更新:2023年09月19日 22:59