七つの秘館 戦慄の微笑

【ななつのひかん せんりつのびしょう】

ジャンル アクションアドベンチャー
(メーカー公称:謎ベンチャー)

対応機種 ドリームキャスト
発売・開発元 コーエー
発売日 2000年1月20日
定価 6,800円
プレイ人数 1-2人
判定 クソゲー
ポイント 七つでも秘館でもない
何もかもが劣化バイオ
七つの秘館シリーズ
七つの秘館 / 戦慄の微笑


概要

PS/SS/PCで発売された謎解きアドベンチャー『七つの秘館』の続編。
前作は直木賞作家でタレントの志茂田景樹が原作を務めたカオスでシュールな謎解きゲーだったのだが、
今作は『バイオハザード』タイプのSFホラーアクションアドベンチャーとなっている。
原作者も関わっておらず、内容自体も前作との関連は無い。


ストーリー

K大学に通う飛鳥圭と白川玲奈は、ある島を目指していた。
ニューラッセル島。玲奈の遠縁にあたるアーネスト・マクファーソンの財団が所有する島である。
彼はK大学で教鞭を振るっていたが、1ヶ月前にニューラッセル島に行ったきり連絡が途絶えていた。
圭と玲奈は大学の夏休みを利用し、教授を探して島に向かっていたのだった。
島に着いた2人は教授について尋ねるべく遺伝子研究所を訪れる。
しかしそこに人の気配は無く、異形の怪物が2人に襲い掛かるのだった。

登場人物

+ クリックして展開
  • 飛鳥圭(CV : 緑川光)
    • 男性主人公。K大学理学部修士課程二年生。23歳。生化学を始めとする幅広い知識を持つ一方、スポーツマンでもある。
    • 苗字は前作主人公のデフォルトと同じで担当声優も同じだが、関連性は無い。
  • 白川玲奈(CV : 国府田マリ子)
    • 女性主人公。K大学教育学部一年生で学部長の娘。18歳。圭とは幼馴染。気が強いが怖がりで、不安になる度にキャンディーを食べる癖がある。
    • 前作ヒロインとは同姓同名*1で担当声優も同じだが、やはり関連性は無い。早々に捕らわれの身となった前作の玲奈と違って本作では主人公の1人となっている。
  • アーネスト・マクファーソン(CV : 戸谷公次)
    • K大学で教鞭を振るう教授。玲奈とは遠縁にあたり、圭はその教え子。連絡を絶った彼を探すのが圭達の目的である。
  • クリスティ・マクファーソン(CV : 朝川ひろこ*2
    • アーネストの娘。病弱なためか控えめで臆病な性格。
  • アラン・マクファーソン(CV : 置鮎龍太郎)
    • アーネストの息子でクリスティの兄。遺伝子工学の天才。妹を溺愛している。
  • タチアナ・バレンコフ(CV : 深見梨加)
    • マクファーソン家の秘書。クリスティの世話係でもあり、彼女に姉のように慕われている。
  • ゲオルグ・シュナイダー(CV : 郷里大輔)
    • マクファーソン財団遺伝子研究所所長。圭と玲奈を翻弄する。
  • リチャード・ランカスター(CV : 関智一)
    • 島で出会う青年。言動は軽いが何か目的を持って行動している模様。

特徴

  • 前作は『MYST』をコマンド式にしたような謎解きADVだったが、今作はクリーチャーと戦いながら建物内を探索してストーリーを進めていくアクションゲーム寄りの内容となる。
    • アイテムは有限であり、回復薬や弾丸と言ったリソース管理を行いながらクリアを目指す、初期の『バイオハザード』とほぼ同様のサバイバルアドベンチャーである。
    • ただし、マップを切り替えると復活する無限湧きの敵がいたりと、そちらと異なる点も多々ある。
  • 主人公は男女2人から選択可能。
    • 選んだ主人公に応じてゲーム内容に変化が生じ、男性主人公「飛鳥圭」を選ぶと戦闘面で、女性主人公「白川玲奈」を選ぶと謎解き面で歯ごたえが味わえるとされる。
    • 2人の主人公は一部を除いて常に行動を共にする。プレイヤーキャラのみならず、パートナーが死亡してもゲームオーバーとなる。
  • 本作の特徴として、2P同時プレイを行う「ペアコン」がある。
    • ペアコン時は画面が上下か左右に二分割され、圭と玲奈をそれぞれのプレイヤーが同時に操作できるようになっている。
    • ペアコンでプレイする際には一部のイベントや謎解きが圭編とも玲奈編とも違う、ペアコン独自のものに変化する。

問題点

  • 悪過ぎる操作性、UI
    • 一言で言うなら劣化バイオ。ゲームシステムや死亡時に「YOU DIED」と表示されたりと明らかに『バイオハザード』を意識した作りなのに何もかもが劣っており、既に出ていた『SILENT HILL』や『ディノクライシス』『Parasite Eve II』などの「バイオ系」ゲームと比較してもその差は歴然。
    • 動きがもっさりしている上に、やたらと物やキャラに引っ掛かる。これが戦闘で命取りになるので余計にストレスに。
    • ラジコン操作なのだが、何故か移動には十字キーが使えずスティックしか入力を受け付けない。
      • ただでさえ移動に手間取るラジコン操作&癖の強いDCのスティックなのに、前進・後退・旋回を全てスティックでやるので思うように動かし辛い。
      • クイックターンも無いので咄嗟の回避も難しい。それどころか真っ直ぐ走るのにも苦労することも。最初からスティックを倒した方向に進むので良かったのではないだろうか。
      • カメラは客観視点・主観視点・後方視点から選べる設計なのだが、この操作性の所為で客観視点はやりにくいことこの上ない。その上カメラワークも良くはないので、主人公の姿が見たいなどの理由でも無い限り、主観か後方でやることになるだろう。
      • 当時のバイオに優っている点を挙げるなら、構え状態で平行移動が可能、構えなくても攻撃可能と言った小粒な点ぐらい。
    • 攻撃もまたもっさりしており、圭が最初に手に入れるナイフの時点でそれを思い知るだろう。『バイオハザード』のナイフが如何に素早かったかがよく分かる。
      • しかも当たり判定も曖昧で、当たったと思ったら当たっていなかったりなど日常茶飯事。
      • もっさりとは違うが、玲奈のスタンガンでの攻撃モーションがラブレターを渡しているようにしか見えないとネタにされる事も。
    • ダメージモーションもまた然り。敵味方共にダメージモーション中は無敵になるので、一気に畳み掛ける事が出来ない。モーションが終わるタイミングを見計らって再度攻撃、と言ったようなリズムゲームのような戦闘になりがち。パートナー同士の攻撃のタイミングも合わないと空振り、無駄撃ちになってしまう。
      • 加えてダメージモーションがそれぞれ1種類ずつしか無く、どのキャラも攻撃を受けたら固定のダメージモーションを取るだけなので自然と戦い方も単調に。演出面でも、敵に掴みかかられても膝をつく*3という不自然さである。
      • 「強力な攻撃を受けて転倒する」「敵に掴まれて、すぐに振り解かないと大ダメージor死」と言った要素も皆無。
      • 当然、死亡時も「前方に倒れる」のみ。ウイルスやガスで死亡する特殊な例でも暗転して台詞が表示されるだけという徹底した簡易仕様である*4
    • 主観視点では狙って撃つことが可能だが、どこに当てようが反応やダメージが変わる訳でないので大した利点にならない。
    • パートナーのAIも頭が悪く、変なところに居座って攻撃を繰り返したり、敵の前に棒立ちして余計なダメージを喰らったりとお荷物になる事もしばしば。オプションで攻撃の積極性を変えられるがあまり変わらない。
      • 普段はプレイヤーに追従するのだが、何故か階段の昇降ができない。マップ内にある階段を通ろうとするとその前で立ち止まってしまう。
      • 階段のあるマップは少なく、それで不都合が生じる作りにはなってはいないものの、手抜き感は否めない。
      • あるボスは戦闘開始時にいきなり目の前に現れ、回避不可の先制攻撃も放ってくる。ちゃんと立ち回らないとそのままパートナーが一方的に撲殺されてしまう。
      • プレイヤーから離れ過ぎても部屋を切り替えれば即座に追いついてくるので、他のゲームのように置いてきぼりにならない。普通なら不自然な仕様だが、本作の場合は寧ろ救いである。
    • Yボタンでメニューを開くのだが、何故かボタンを押してもキャンセル音が鳴るだけでメニューが開けないケースがある。戦闘中に回復したい時になったりしたら、たまったものではない。
    • 『バイオハザード』などでは、アイテム画面にてアイテムを選択して「使う」「調べる」などの項目を選択するものだが、本作では逆に項目を決めてからアイテムを選ぶ。
      • 「USE(使う)」「INFO(調べる)」「TRADE(渡す)」「EQUIP(装備)」「RELOAD(リロード)」「HEAL(回復)」と、用途が逐一項目化されているのでアイテム関連が煩雑になっている。別の項目を選ぶにはいちいちキャンセルしてアイテムを選びなおさなければならない。
      • 前作はアイテムを「調べる」と「使う」が別コマンドになっていたが、それを複雑化して引き継いでしまったかのようになっている。
      • その割に、キーアイテムは所持して所定の場所を調べると勝手に使用されるので、「USE」を選ぶ機会は実はほとんど無い。謎解きゲーとしての面白さも損なってしまっている。
      • アイテムの組み合わせを探る要素も無い。圭編でプラスチック爆弾を作るシーンも、必要なアイテムを持ってその辺を調べていれば全部自動的にやってくれるという嬉しくない親切設計ぶり。
      • また、一覧におけるアイテム名は何故か英語表記。日本語名はカーソルを合わせないと見られない。
  • お粗末なストーリー
    • パッケ裏には「謎が謎を呼ぶ重厚なストーリー」とあるが、実際は超展開、唐突、説明不足、投げっぱなし、御都合主義と言った負の要素が満載。
    • 全体的に勢い任せで主人公達の行動も行き当たりばったりな上、敵も目的が不明瞭で何がしたいのかいまいちよく分からない。
      • 敵側は「サブリミター」なる存在を自称するが、それが何なのか具体的には明かされない。クリーチャー化する人物はいるがやはり詳しくは語られず、結局投げっぱなしで終わる。
      • 相応の規模の敵組織が存在するようだが、作中では悪役のシュナイダーが1人でよく分からない立ち回りをしているようにしか見えない。そのシュナイダーも終盤に怪物化してあっさり倒され、その後の黒幕に関するエピソードも急展開過ぎる上に、残る全ての事象が黒幕の個人的な怨恨に帰結してそれだけの話で終わってしまう。
    • 1回チラッと出ただけのキャラがまるで長く交流を深めて主人公らと強い信頼で結ばれてるように描かれたりと不自然な流れも多く、単純に底が浅い。
    • 最後の問題も「それでいいの!?」というような方法であっさり解決し、エンディングも諸々投げっ放しのまま御都合主義で無理矢理なハッピーエンドに持っていく。
      • クライマックスに至っても、上記のろくに出番の無いキーパーソンが「いい方に出会え、生きることの素晴らしさを知った」などと言ったり、特に描写もされておらず説得力の薄い「愛」が決め手になったりと、クサく薄い展開で感動も何もあったものではない。
    • タイトル画面で放置していると見られるPVでは「アランとキスをする玲奈」「クリスティを抱き寄せる圭」と言った様子が描かれるが、そんなシーンは無い。作中でそのようなロマンス展開になど全く進まず、キスにしてもエンディングで圭と玲奈がしようとするだけであってこれらのキャラとの恋愛模様など微塵も無い。
      • そのくせスタッフロールに表示される一枚絵の中に、本編の映像に混じってこれらのシーンも使われている。
    • ストーリーの大半はムービーで描かれるが、必要性の薄いシーンや意図が分からないシーンもちらほら。キャラの態度も安定せず、特に玲奈は急に勇ましくなったり逆に臆病になったりと、心情も理解し難い*5
      • 終盤のシュナイダーとの対決時のムービーでは、モニターにシュナイダーが映って語り出しただけで玲奈が「キャンディ…キャンディ…」と呟いて怯え出す。そして背後にシュナイダーが立っていることに気付き、ものすごい絶叫を上げて倒れ込んでしまう。
      • その割に、直後にシュナイダーがグロテスクにクリーチャー化する際には圭の名を叫ぶだけで大した反応は見せない。バランスがおかしいのではないだろうか。
      • その一方、ムービーの無いシーンは淡々とした台詞や簡潔なナレーションだけで済まされたりと、力の入れどころの落差が激しい。最序盤はムービー外の演出も多少あるのだが、以降は本当に素っ気ない。
      • ナレーションで済ますのは前作にもあったが、テキストメインの前作と違って動きのあるAADVの本作で同じ事をやられると余計に素っ気なく見えてしまう。
    • あるキャラは島を爆破するために送り込まれた工作員であると判明するが、どこの所属だとか本人の素性などの情報はなく終始曖昧に済まされている。玲奈編ではそのキャラに連絡してミサイル攻撃を阻止するという展開があるが、これもほぼ説明が無い唐突なもの*6
    • 味方だと思っていたあるキャラが主人公達を罠に嵌めるシーンがあるが、これもツッコミ所の塊。
+ シーンの詳細
  • ガスで自由を奪い、連れ去った玲奈に薬物を投与してサブリミターに改造しようとするが、寸前で圭が止めに入る。そこに唐突にシュナイダーが干渉し、その人物も圭達もガスで殺そうとするのでひとまず一時休戦して脱出方法を探る。
    • この時点でも微妙な展開であるが、ここで部屋を脱出すると圭は「○○さんのおかげだ」などと言って直前まで玲奈にしようとしていたことをあっさり水に流す。その人物もいけしゃあしゃあと何もやっていないかのように振る舞い、圭達が感染しているウイルスを治療する血清の存在を教え、悠々と去っていく。そして当の玲奈は「血清の事を教えてくれたから本当はいい人なのよ」などと宣う始末。
      • しかも部屋から脱出する際、玲奈編では動けない玲奈に変わって何故かこの人物を操作するパートが入る。それも体力ゲージやメニュー画面の表示までちゃんと個別に作ってある。何故こんな所に力を入れるのか。
    • それでいて、この人物は以降登場せず触れられもしないので、一連の行動の真意も正体も全部投げっ放しで終わる。脱出時にタイムオーバーになった(わざとやらない限りまずならないだろうが)時の台詞から察するに、黒幕に従っていたようだが、肝心の黒幕との対峙のシーンには一切関わって来ない。
    • ちなみにこの人物の担当声優は前作の敵側の親玉と同じなのだが、今作における扱いはこの通り軽い。前作の悪役も最期は呆気なかったものの、このような雑なフェードアウトはしなかった。
  • 黒幕の動機、あるエリアに大量に配置された資料、エンディングテーマの歌詞などから、地球環境についてのテーマがあるようだが、それについては何一つ答えが出されないまま完結する。
  • 無茶苦茶なストーリーという点は前作を受け継いだとも言えなくもないが、前作はある種吹っ切れていて笑えたのに対し、今作はただ無茶苦茶なだけで笑えもしないので見所は皆無も同然。
  • この手のゲームに付き物のツッコミではあるが、訓練も受けていない普通の大学生の男女が銃火器を使いこなして並み居るクリーチャーと戦いながら進む展開はリアリティや説得力に欠ける。特に今作は神秘、魔術などの非科学的・超常的な要素の無い、SF寄りの現実的世界観なので違和感が強い。
    • 前作主人公も常人離れしたタフさを誇っていたが、仕掛けのぶっ飛びぶりや吹っ切れた演出によって笑い所になっていたし、内容自体もそれを設定上認めるようなものだった。
    • 対して本作はそう言った補完や味付け、説得力を持たせる描写は無く、単純に「ゲームシステムの都合」でしかなくなっている。それに上述したモーションの少なさ、ぎこちなさも合わさって余計にゲーム的な仕様になっており、同系統の作品よりも説得力が薄いという仕上がりに。
  • 圭と玲奈のどちらを選んだかでそれぞれ違ったプレイが楽しめるとされるが、実は大した違いは無い。
    • 両者の相違がはっきり分かるのは序盤ぐらいで、後は最後に差分が作られている程度。中盤から後半に掛けてはどちらを選んでもほとんど同じである。初代『バイオハザード』を発展させようとして上手くいなかったような印象を受ける。
      • 最初のエリアでは、圭は貧弱なナイフしか手に入らないが、これと言って謎を解く必要は無い、玲奈は1~2発でクリーチャーを殺せる強力なスタンガンが手に入り、ボスを弱体化させる手段もあるが、暗号を解かないとクリアできないという形で明確に差別化されているが、これが最初にしてピーク*7
      • 2番目のエリアでは圭と玲奈が手分けして別々の施設を探索するので一応差別化されているが、圭の方でも結構な謎解き要素はあり、玲奈の方は謎解きに歯ごたえがあるというよりは謎解きに関わるデータベースの操作が面倒くさいだけ。しかも玲奈の方の施設は圭編でも後で訪れ*8、必須ではないがデータベースの謎解きも可能。
      • そして以後は圭と玲奈が一緒に行動するので展開や謎解きは共通である。最終エリアのみ思い出したように差分が存在するが、圭編では中ボスが追加され、玲奈編では少々トリッキーな仕掛けがある程度。最終エリア自体が短いのでその違いも目立たない。
    • 玲奈は2番目のエリアに行く際に、最強クラスの武器である「レーザーペン」を入手する。
      • 圭の最終的な主力であるショットガン並に強いし大容量のバッテリー(弾薬)が随所にあり、挙句は銃器と違ってどの敵に対しても有効*9。言うまでも無くバランス崩壊級の武器であり、「戦闘の難易度は低い」とするにしても少々やり方が乱暴と言わざるを得ない。
      • 玲奈用の拳銃も手に入るが、使う意義はほぼ皆無。特殊弾を込めることは可能だが、ごく一部の中ボスぐらいにしか効果は望めない。
      • スタンガンにしてもレーザーペンにしても、別に玲奈編限定という訳ではなく圭編でも玲奈専用装備として手に入る。プレイヤーが自分で使えるか否かの違いしか無い。
    • そしてどちらを選んでも、ストーリーはほぼ変化無し。合流後は流れるムービーは全て同じであり、クライマックスからエンディングにかけても全く同じ展開を見せられる。
    • そもそも謎解き要素自体が圭、玲奈どちらでやろうとパスコードを探して入力するぐらいしかない。上述の通り勝手にアイテムが使われる点も含め、「謎ベンチャー」を標榜していた前作の続編としてはあまりに謎解きが薄いと言わざるを得ない。
  • グラフィック面
    • 流石に前作よりは良くなっているものの、元々SS用ソフトとして開発されていた関係か、出来自体は今一つ。
    • 顔の造形はそれなりだが、多くの場面で手の指が全部繋がって形が固定されていたりと前時代的。プレイ中ならともかく、ムービーではっきり見えるシーンでもその有様なのでげんなりする。
      • これが特に目立つのがよりによってエンディング。内容に加えて拙いポリゴンがプレイヤーをより辟易させてくれる。
    • モーションも上述したようにもっさりしている上にパターンが少なくぎこちない。
  • そもそも『七つの秘館』は関係無い
    • 前作は文字通り、個性的な七つの館+αが舞台だったのだが、今作の舞台は孤島の研究施設群であり、館でもなんでもない。
    • 一応、エリアは全部で7つだが、途中に立ち寄る「謎解きが何も無く戦闘も申し訳程度の邸宅*10」と、「二手に分かれて探索する2つの施設」を全て合算して無理矢理解釈した話であり、実際には7つのエリアが舞台とは言い難い。そもそも前作は館が7つだっただけで舞台自体はそれ以上あった。
    • 今作のタイトルにもなっている「戦慄の微笑」という語句はエンディングで登場するのだが、無理矢理としか言いようの無い使い方をされている。
      + ネタバレ
    • ウイルス散布装置を停止させられた黒幕は、最後の手段として自ら装置を起動する。狂気の笑みを浮かべる黒幕に玲奈が叫ぶ。「やめてぇー!○○…その戦慄の微笑を…」。
    • ちなみに玲奈が叫ぶ前の黒幕は高笑いしている。
  • 売りであるペアコンだが、楽しむには当然ながら2つのコントローラーと2人のプレイヤーが必須
    • ペアコン限定のイベントでは「圭を操作して、閉じ込められた玲奈を助ける」「2人で協力してギミックを動かす」など、ダブル主人公ならではの仕掛けが盛り込まれているのだが、1人プレイでは無縁で終わる。
    • 1人プレイでは、後の『バイオハザード0』のようにプレイヤーキャラを切り替える事なども不可能で、この手のゲームで期待される「同行者との協力で突破する仕掛け」も無い。強いて言えば、前述した二手に分かれるエリアでもう一方とメールのやり取りをする程度であり、ゲーム中の大半において、相方は「ただプレイヤーに追随して敵いれば攻撃するだけのNPC」でしかない。
      • アイテムの所持数にも制限は無いので、それぞれ分担するような戦略性は無い。
      • しかも相方は体力回復はおろか武器のリロードすら自動ではやってくれないので、その都度プレイヤーが近付いてアイテムを渡して「HEAL」なり「RELOAD」なりを指定しなければならない。
  • その他
    • 明確なラスボスが存在せず、クライマックスはイベントだけであっさり片付いてしまう。こんな所をADVだった前作に倣わなくても…。
      • そのイベントが盛り上がるのならそれも有りなのだが、内容は上述した通りなので感動やスペクタクルと言ったものは望めない。
      • 一応、最終イベント前に戦う中ボスはいるのでこれがラスボスとも言えるが、「ストーンゴーレム」という名前から分かる通り、ただの動く石人形である。見た目も演出も攻撃方法もラスボスらしさは乏しい。しかも玲奈編では最終エリア突入後に間も無く倒してしまう。
    • クリア特典も一切無し。
      • クリアしたところでエンディングが終わればタイトル画面に戻るだけ。おまけ要素が解禁されたり2周目のプレイに挑戦すると言った特典など無い。無論、主人公2人の両方でクリアしても同じ。こう言った所はバイオをフォローしなかったのか。
    • 一方のシナリオでのみ使うアイテムが他方のシナリオでも普通に手に入ったりする。当然、使い道など無く、初見プレイヤーを混乱させるだけ。
    • データベースでロケーションや人物の情報が調べられるが、踏み込んだ情報を調べるにはパスワードを求められる。しかしそのパスワードはヒントすら無いので実質、閲覧不可。
      • ある情報だけはパスワードが書かれた紙が手に入るが、他はノーヒント。これ見よがしに項目が用意されながら調べようが無い。

評価点

  • 前作のような大物ゲストはいないが、声優陣は豪華。
    • ムービー内での声の演技は申し分無く、上述した薄いクライマックスでも迫真の演技で飾ってくれる。それだけに声優の無駄遣いとも言えてしまうが。
    • クリスティのみ、主題歌を歌唱する歌手が担当しているのでやや浮いている印象は否めないが、気になるほどの違和感は無くキャラにも合っている。
  • エンディングは前作のシュールで愉快なものと比べると普通のスタッフロールだが、実績を持つ歌手を起用しているだけに主題歌は良い。
  • ペアコンのアイデア自体は独創的
    • 単なる同時プレイではなくそれぞれが役割を持って行動し、協力し合うというスタイルで成功した作品はいくつも存在するが、3Dホラーアクションとしては本作が初と言っていい。
      • 同ジャンルで他にこのスタイルが登場するのは2005年の『Obscure』(日本未発売)まで待つ事になり、マルチプレイが一般化した後年には『LEFT 4 DEAD』などの人気タイトルも多数登場する。ある意味では、本作はその先駆けとも言える。

総評

『七つの秘館』のタイトルを付ける必要性がまるで感じられないほど、前作との関連性も共通点も見出せない続編。
ゲームとしても、「バイオ系」の中でも特に出来が悪く、ストーリーも低品質。
かと言って前作のようなぶっ飛んだセンスが生み出すバカゲー要素がある訳でもなく、謎解きの面白さも薄れてしまった。
ペアコンは光る所はあれど評価を覆すほどの長所とは言えず、そもそも1人プレイでは無縁の代物である。
結果として、褒められるのは声優陣と主題歌ぐらいという、クソゲーの典型のような作品となってしまった。
皮肉にも本作の低評価は、元々あまり好評とは言い難かった前作の評価を引き上げる結果ともなった。

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  • 2000年

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最終更新:2024年02月27日 22:21

*1 名前の読みは前作では「レナ」だったが、今作は「レイナ」となっている。

*2 本業は歌手。本作の主題歌も担当している。

*3 その所為で、敵の方は何も無い空間で掴みのモーションを取り続ける。

*4 爆弾設置失敗や空爆などのゲームオーバーではムービーが入る。ムービーはちゃんと作っているのである。ムービーだけは。

*5 加えてオブジェクトを調べた際の反応が全体的に軽く、「わたしもほし~い」だとか「やったー!開いたわ!」など状況に関係無く言い出す。

*6 ただ、「ミサイルが飛んできた」としか語られず、そのキャラの所属組織が撃ったという事は台詞の上では分からない。しかし玲奈は急に「あそこに連絡すれば…!」と言い出す。

*7 その暗号も、必要な場所を調べると玲奈が自分で解いていくので、プレイヤーのすることは調べ回ることと、最後に提示される情報を照らし合わせて答えを出すだけ。

*8 逆に玲奈編では圭の施設はエントランスにしか入れない。

*9 拳銃やショットガンは敵によっては効果が薄く、そうした敵に有効な強化弾も存在するが数は少ない。

*10 ある人物の家であり、最初の訪問ではイベントのみ。後に敵襲を受けた際に再訪し、ここで僅かながら敵が出る。