古き良き時代の龍后伝

【ふるきよきじだいのりゅうこうでん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 Nintendo Switch
PlayStation4
発売・開発元 有限会社だいだい
発売日 2022年4月7日
定価 1,980円
プレイ人数 1人
レーティング IARC:7+
判定 クソゲー
ゲームバランスが不安定
ポイント 『古き良き時代の冒険譚』まさかの続編
ほとんど進歩のないゲームシステム
前作と打って変わって超高難易度
古き良き時代シリーズ
冒険譚/Be/Ne / 龍后伝


概要

「最近のゲームは難しいと思いませんか?」から始まる挑戦的な文言により発売前から賛否を呼び、蓋を開けてみれば古き良き時代のゲームのシンプルさを履き違え悉く滑り散らかした内容で見事、2016年クソゲーオブザイヤー大賞の座に輝いた『古き良き時代の冒険譚』6年ぶりの続編。

新たに開発した思考ルーチン「雪斎」によるCPUの高度な立ち回りで「敵がとにかく強い!」という、初心者向けを謳っていた前作とは真逆のコンセプトで開発されている。

あらすじ

前作の(冒険譚というほどの内容でもなかった)試練を乗り越え、末弟のナトリ王子が王位継承権を得てから数ヶ月後。

その王位継承に異議を唱える者が現れる。
それは外遊により試練に立ち会えなかった七王子女達の母親、シリカ王妃だった。

「どうして私がいない間に、そんな面白いことをするのですか!」

従者として連れて行くよう命じられた要人警護隊「エスコート」仮隊員の少女「ヘリム」と共に、王妃のワガママでナトリは再び試練に挑む羽目に…。

新要素及び変更点

基本的なシステムは前作と同じなので下記の問題点含めてそちらを参照

雪斎(SESS-AI)

  • だいだいが自社のSRPG向けに独自開発した思考ルーチン。 利他的行動を重視するのが特徴で、例えば防御力の低いメイジや反撃でHPが減ったソルジャーが前に出ている場合、そのままではプレイヤーターンで格好の攻撃対象になってしまうが、位置を入れ替えるスキルを使って後ろに戻したり他のユニットが通路を塞ぐことでそのようなユニットを守り、回復させたり次のターンで再び攻撃が出来るようにする。
    • このように従来のSRPGのCPUにありがちな「数に物を言わせた捨て駒戦術」ではなく、プレイヤーと同様ユニット同士協力して数を減らさないよう立ち回る。
  • またダメージが最低値の1になるユニットには攻撃しない、俗に言う暗夜AI*1が標準搭載されているのだが、この雪斎はそれより1歩進んでいてダメージが1以上通っても反撃のダメージが大きい場合攻撃せず、仲間との連携で止めが刺せると判断した場合、利他的行動により1でも被害を気にせず攻撃するという嫌な臨機応変さを持っている。

ノーブルポイント

  • 戦い方の美しさを評価するポイント。
    • 各ステージ最初に挑戦する時に取得する10~30点を基本値に「相手の残存HPに近いダメージで倒す」「1ターンの中で多くの敵を倒す」「自分よりレベルの高い敵を倒す」「支援ユニットだけを残して降参させる」「マップクリア」で増加し、逆に「1ターン経過」「ユニットが撃破される」「撤退する」「自分よりレベルの低いユニットを倒す」といった行動で下がる。
  • 貯めたノーブルポイントはマップクリア後のボーナスフェイズで使用でき、ユニットのレベルを1上げる、条件を満たしたユニットをハイ・ライズ(後述)させたり、任意のサポートカードと交換するといった様々なことに消費する。
    • 次のマップに持ち越すこともできるので、ハイ・ライズが出来るレベル15手前のユニットが複数出てきたら、次のボーナスフェイズを見越して貯めておく選択肢もあり。また総ポイント数が真エンドの条件に関わる。

新たなユニットとハイ・ライズ

  • 前作では地形効果が存在しないことが戦略性の薄さとして指摘されていたが、その穴を埋める新ユニットとして「ジャマー」が登場。
    • ジャマーは消費移動力に5ポイント必要な地形「移動妨害領域」と、攻撃魔法+ステータス増減、回復魔法を無効化する「魔法妨害領域」という2つの地形効果マスを設置、もしくは「妨害領域除去」で解除することができる。他にもダメージを10に固定する「損害固定 10」やステータスを下げる「攻撃・防御力減」などトリッキーな魔法が得意。
      • なお、括弧付が魔法名である。分かりやすいが意地でも凝った名前を考える気はないらしい。
  • 既存のユニットに関しても「ランサー」「ガード」「ヒーラー及びナトリ」はそれぞれ隣接するユニットと入れ替わる「入れ替わり」、隣接するユニットを1マス前に押す「押し出し」、2マス先のユニットを自分の1マス前に引き寄せる「引き寄せ」と味方の位置を移動させるスキルを習得。「メイジ」は「MP 分与」で自分のMPを味方に分け与えられるようになった。
  • さらに汎用ユニットはレベルが15になるとボーナスフェイズ時にノーブルポイントを50消費して上級クラス「ハイ・ライズ」になれる。ハイ・ライズになると姿が変わる他、能力が上昇し新たなスキルが覚えられるようになる。成長率も上がるのでレベル15になり次第、早めのハイ・ライズを推奨。
    • こちらも汎用ユニット全員をハイ・ライズさせることが真エンドに関わる。
  • そして前作は主人公「ナトリ」と汎用ユニット達の一人旅だったが「エスコート」という要人警護部隊のパートナーユニットが登場。ストーリーモードでは魔法妨害領域が使えてやや攻撃力で勝るランサーのような性能のエスコート仮隊員「ヘリム」が使用出来る。
    • 3ステージ毎に訪れる七王子女達との戦いも同様で彼らもそれぞれエスコートのユニットを1人引き連れている。
    • チャレンジモードでは全ての兄弟とエスコートの中から2人選んでプレイ可能。

真エンド

  • 前作のマイナーチェンジ版『Be/Ne』のチャレンジモードの時点で条件を満たしてクリアすることで微妙な特典が得られたが、本作ではストーリーモードでもこの要素が追加され達成するとシナリオに変化が起きる。真のエンディングを見るには下記の条件を満たさなければならない。
    + 条件
  • ターン数合計260以下
  • 一度も敗北しない
  • 獲得ノーブルポイント3500以上
  • 各クラス2人の一般ユニットを全員ハイ・ライズさせる
    • なお、チャレンジモードも条件は同じ。

その他

  • 新たなサポートカードとして「緊急招集」が追加。
    • 戦闘開始時に任意のユニットと入れ替わるというもので代わりに攻撃を受けて反撃出来る上、位置まで入れ替わるので上手く使うとかなり有利に立ち回れる。
  • 前作ではステータス魔法の重ねがけに制限がなかったので、終盤は魔力が高く敵のメイジに強いランサーの能力をひたすら強化して無双する戦法が猛威を振るったが、今作では有効ターンが回復するだけで重ねがけ出来ないようになっている。
    • チュートリアルステージで「前回が強すぎたからね。他とのバランスを取らないと。」とメタ全開でこのことを説明してくる。
  • マップに配置されるサポートカードは初挑戦で取らずに撤退すると消滅し撤退の繰り返しで無限に入手できないようになった。
    • マップは序盤から前作の中盤以降並に広く、それに合わせる形で敵の数が増え、サポートカードとユニットカードの配置もいやらしくなっている。
  • 無地だったサポートカードに効果ごとに00年代のいたる絵のような味わいの美少女イラストが付いた。誰が描いているのかは不明。

問題点

前述の通りまずは前作のページの特徴及び問題点の項に目を通してきて頂きたい。
操作性、シンプルな演出なのに異常にもっさりしたテンポ、レベルアップの仕様といった前作の時点で指摘されていた問題点がほとんど改善されておらず、そのままになっている。
特にテンポとレベルアップの仕様が一切改められていないのが致命的で、以下の新たな問題点と併せて非常にプレイするのが苦痛。

確かに手強い、がそれ以上に面倒くさいAI「雪斎」

看板に偽りはなく雪斎は賢く強い。

  • 弱ったユニットをすぐ後ろに引っ込めるのでプレイヤーは思うように敵の数を減らせずレベルを上げることもできないし、ボスの元まで追い詰められても兎に角逃げに逃げ続けプレイヤーに簡単に勝ちを譲ろうとはしない。
    • また見え見えの釣り出し戦法には絶対に乗らず、こちらが陣をガチガチに固めると崩さない限り動こうとしなくなる。多くのSRPGのように遠距離から攻撃や状態異常で敵陣を撹乱したり、ルーチンを無視して突撃させる手段も無いため、たとえ不利になろうとプレイヤーから攻めざるを得ない。
  • 前作の時点でその傾向はあったが本作はその点が超強化。つまるところ雪斎の強さとは「遅延行為」とプレイヤーの戦略の「無視」にある。
    • 確かに戦術としては正しいし、数と質で勝るCPUがこの2つを兼ね備えれば間違いなく手強い。しかしCPUが遅延行為を繰り返し、プレイヤーのユニットに経験値を稼がせず、こちらの意図を完全に無視してわざと隙を出すまで待ち続けるのは果たしてゲームとして面白いと言えるのか。
      SRPGは将棋のような対人で遊ぶボードゲームではなく、CPU相手に1人で遊ぶ「RPG」であることを完全に失念してしまっている。
  • またプレイヤーはナトリとヘリム+最大各ユニット2体の中から8体しか使えないのに対し、同じユニットを3体以上組み込めるCPUは数にものを言わせて「ランサー」「ガード」「ヒーラー」が標準搭載している位置変更スキルをフル活用し、本来移動出来ないところまで移動する所謂バケツリレーを多用する。
    • これにより敵がこれらのスキルを習得するレベル5以降、安全な位置にいるはずのメイジが無理矢理距離を詰めてきた相手ソルジャーに襲われ瞬殺される、といったことが頻繁に起きかなり理不尽。
    • ランサーがハイ・ライズすると「掻き回し」という隣接する敵と位置を入れ替えるスキルを習得するのだが、中盤からは大量のハイランサーが自軍を敵陣に誘拐し嬲り殺しにする光景をしばしば見ることになる。
    • 開発者が影響を受けていると公言している『ファイアーエムブレムシリーズ』の『暗夜王国』難易度ルナティックなどで話題になったギミックだが、あちらは任意で選択する最高難易度のみの現象で、かつ一部ステージにいるスキルを所持した敵のみだったのに対し、このゲームはデフォルトでほぼ全編に渡り上記3クラスが使用してくるので、常にこのスキルを警戒してユニットを配置しなくてはならず疲れることこの上ない。
    • 公式サイトの雪斎の説明にはどう強いのかについて「これはただ単に敵のレベルが高かったり、反則のような攻撃をしてくるという意味ではありません。」と書いてあるが、常に敵の方がレベルが高くなりがちなバランスも相まって納得出来るかは疑問。
  • 前作で詰まった時の定石だった撤退レベリングもこの思考ルーチンの弊害をモロに受けてしまっており、倒されると経験値が0になる仕様も相まって育成の遅れたユニットに戦闘で経験値を与えるのは前作以上に苦労する。

プレイヤーを萎えさせるだけのシステム「ノーブルポイント」

  • まず加点式ではなく増減式というのが人を選ぶところ。
    • 増加する条件は敵の残りHPに近いダメージで倒すなど意識して狙わないと難しいものに偏っていて、且つ1回辺りのポイントは高くても20程度。漠然とプレイしていると、ノーミスに抑えても1マップ辺り100〜150ほど。
    • 一方、ユニットが1体撃破される度に-50、撤退しても-50と稼いだポイントを減らすのは簡単で、ただでさえバケツリレーの不意打ちなどで事故が起きやすいのに泣きっ面に蜂。特に撃破されると経験値も0になってしまうのでペナルティが重すぎる。
      • 全体で見ると微々たる数値ではあるが1ターン経過する毎に2ポイントずつ減少するので、常時プレイヤーを急かすようプレッシャーを掛けてくるのも煩わしい。
  • この仕様でも単なるプレイの美しさを評価するスコアならプレイヤーの自己満足で済むのだが、ボーナスフェイズで使用するリソースなのが問題。
    • 今回は魔法の重ねがけによるランサーのゴリ押しができず、サポートカードを撤退で大量に集めることも出来ないので、如何にノーブルポイントを効率良く稼いでボーナスフェイズで強力なカードを集めておけるかが難易度に直結する。
    • 被害を出さずスムーズに一発でクリア出来れば問題ないのだが、戦死者続出の満身創痍でクリアした場合ほとんどポイントが稼げず、稼げなければボーナスフェイズでのレベルアップが出来ないので敵に平均レベルで差が開き、サポートカードを入手する機会を失い、ハイ・ライズでの成長率アップも遅れるのでユニットも弱くなるという三重苦を背負って先に進むことになってしまう。
      • この状態では当然、次のステージも苦戦確実なのでまたボロボロになりながらクリア→ノーブルポイントが稼げずボーナスフェイズを利用出来ないという悪循環に陥り、最終的にカード不足でボスの前に詰む。
  • こうした事態を回避するため常にセーブ&ロードを駆使して慎重に進むことが真エンドを目指していなくても半ば強制され、非常に息苦しいプレイングを強いられることになる。

とっつきづらいチュートリアル

  • ゲームを開始するといきなり真エンドの条件が表示され、ただクリアするだけじゃダメですよ、と言わんばかりにプレイヤーに無言の圧を掛けてくる。普通は1周目のクリア後にやり込み要素として提示するものではないだろうか。
    • 続いてノーブルポイントの増加条件と減少条件を無機質なテキストで長々と説明。どんなシステムかは上記の通りだが、この時点で見るからに面倒で読んでるだけでやる気をどんどん削いでいく。
  • チュートリアルのイベントが始まるとまずは七王子女達が前作より難しくなったことをアピールし、公式サイトの攻略サポートに飛ぶQRコードがデカデカと表示される。
  • この時点で面食らうところだが、前作『Ne/Be』のチャレンジモードまでクリアしていることを前提に細かいルールの違いと、どう活用するか使い方の実演は無しで位置替えスキルが使用出来るようになったことが解説される。プレイヤー置いてけぼりである
    • 本作から始めたプレイヤーはもちろんのこと、前作の配信開始から2年以上離れていることを考えれば、前作プレイヤーすらもとっつきにくさを感じるものに成り果てている。
  • そして七王子女5人でチュートリアルステージに挑むことに。
    • ステージ1は兄弟たちの性能の高さもあり流石に楽にクリア出来る。続くステージ2は新登場のクラス「ジャマー」を説明するマップ。プレイヤーにジャマーを使わせ、移動妨害領域の運用方法を学ばせる…のではなく、見て学べということなのか敵が一方的にジャマーを使用してくる。昭和の特訓かよ。
    • 最終のステージ3に至ってはサポートカードを使用してくるボスとガチンコでバトルしなくてはならない。はっきり言ってセーブ&ロードを駆使して試行錯誤を繰り返さないと勝つのは難しく、早くもプレイヤーの心を折りに来る。
  • ここでQRコードの攻略サイトを開くと「【完全防御】は残してあるだろうか? また、アルゴのレベルは12になっているだろうか? さもなくば苦戦は免れないだろう。」苦戦してる最中に見てもどうしようもないアドバイス。
    • この攻略コーナーは全体的に「ステージ〇で特定のサポートカードを〇枚使用する」「ステージ〇までに特定のユニットをレベル〇にしておく」といった、ノーブルポイントをきちんと稼いでボーナスフェイズを活用し、特定の順にユニットのレベルを上げ、特定のサポートカードを予め入手する開発者の想定通りのプレイをしていることを前提とした記述が多く、やっとのことでステージ3をクリアし本編に移っても、自分は開発者の想定通りにプレイできているのだろうかと先行きが不安になること間違いなしである。
      • 書かれている記述は決して最適解ではなく、これより大幅にターン数を短縮しつつ真エンドを目指せるような攻略の幅もあるにはあるのだが、高い難易度も相まってここで与えられる先入観のせいで、完全にプレイヤーを萎縮させ試行錯誤を妨げる結果になっている。

その他の問題点

  • ゲームバランスはやはり敵も自軍もメイジ偏重でMP分与の追加によりますます重要度が上がっている。
  • シンプルなダメージ計算の割にレベルで上昇するステータスが大きく、敵とレベルが2以上開くだけで全く歯が立たなくなるのは前作と同じだが、今作はレベルアップのステータス上昇にもランダム性があり、高いパターンを引き続けた場合と逆の場合、最終的なステータスに各能力20以上もの差が生まれてしまう。その為、円滑な攻略を進めるにはただレベルを上げるだけではなく吟味も必須で無駄に手間がかかる。
    • 実は前作もランダム成長なのだが、撤退レベリングが容易なのでチャレンジモードの撤退回数0クリアなどでしか意識する必要がなかった。
  • 音楽も相変わらず耳障りで単調なメロディー。難易度の高さも相まって延々と聴かされることになり、聴覚からもプレイヤーのモチベーションを削いでくる。
    • しかし聴き比べてみると全く同じではなく何故か微妙にアレンジされている。開発者的には自信のある曲だったのだろうか……?。
      + 比較
    • 開発者はブログやTwitterでファイアーエムブレムシリーズなどを引き合いに出し、SRPGのBGMについて「どんなに良いBGMもステージ中ずっと聴かされると飽きてしまう」と持論を展開しているが、「貴様らが…SRPGのBGMを語るな!」と突っ込みたくなること請け合いである。
  • ストーリーもやっぱり「家族会議」の域を出ない。
    • あらすじの時点で察せられるように作風に一切変化はなく、今回も試練の緊張感0で世界観を無視したセリフを連発する七王子女とエスコートのコンビに、ナトリとヘリムが困惑したり呆れたりする形式で物語が進んでいく。
    • そのイベント自体、前作同様3ステージ毎の七王子女との戦いでしか発生しない薄さで、シナリオ面からも高い難易度を乗り越えてまで先に進めたいという気力をプレイヤーに全く抱かせない。
+ そして真エンドを迎えると…
  • 通常エンドでは目標は達成したもののナトリとヘリム2人の仲は特に進展なく終わるのだが、ちょっとしたラブコメ展開が挟まれ(立ち絵に背景がついただけだが)ヘリムの1枚絵が表示される。『Ne』のギャラリーモード解放よりは報われるか…。
  • なお、チャレンジモードに関してはシリカの立ち絵を流用した1枚絵が表示されるだけでやっぱり労力に見合うかは微妙。

賛否両論点

  • 初心者向けとは言うものの薄いだけで何がしたいのかよく分からなかった前作と比べると、確かにコンセプト通り、(方向性は置いておいて)敵がとにかく強いシミュレーションには仕上がっている。前作譲りの問題点に目を瞑ることが出来れば、開発者とゲームデザインの思想が合う人なら楽しめる…かも。

評価点

  • 他のSRPGでは軽視されがちなユニットの位置を入れ替えるスキルが序盤から最後まで存在感があり、上手く活用して雪斎をハメられるとなかなか爽快。
    • 敵が数にものを言わせて使うと理不尽なまでに強力だが、それはプレイヤー側にしても同じで公式サイトでも「こういう発想ができないと、勝てないぞ!」と位置変更スキルを駆使して攻略する動画が公開されている。
  • 新たなサポートカードの緊急招集は攻撃を肩代わりさせるだけではなくユニットをワープさせるカードとしても使うことができ、これに気付くと戦略の幅がグッと広がる。
    • しかし発動には一度攻撃を受ける必要がある上、お互いのワープ後の敵の動きも考慮しなければならないので、ただ雑に強すぎる効果にはなっていない。
    • また敵が使用した場合、奥に陣取っている方が面倒なユニットをいきなり前線に出してしまうなど、状況が一気に有利に動くこともあり「サポート不可」一択の他のカードと異なり使われてもメリットがあるのも面白い。
  • 新ユニットのジャマーが使える移動妨害領域と魔法妨害領域は、敵ジャマーが設置したものも含め使い方次第で有利にも不利にも作用し、単なる前作になかった地形効果要素の追加に終わらないこの作品独自の戦略性を生み出している。
    • このように新要素単体で抜き出すと、パズル的な方向に前作の単純過ぎるゲーム性が改善されていて光るものがある。SRPGではなく、これらのスキルやカードを活かしたパズル色の強いシミュレーションとして開発していれば、まだ評価できたと思うのだが…。

総評

前作の「シンプル」と「手抜き」を履き違えた軽薄な内容はそのままに、「手強さ」と「面倒臭さ」を履き違えたプレイヤーを縛り付けるだけの要素が加わり、単なる虚無ゲーから極悪な難易度と劣悪なバランスによるストレスフルな虚無ゲーにハイ・ライズ。

スーパーマリオブラザーズ2』や『チャンピオンシップ・ロードランナー』のように、前作の上級者向け版を続編として発売するのは古き良きファミコン時代からよくある手法だが、それは元の作品の完成度があってこそである。
そして前作の問題点の解消を行うことなく上級者向け路線を突き進んだ結果、開発者以外楽しめる人はいないのでは?と思わせるほどの劇物が誕生したのであった。

余談

  • 定価は1980円だが現在では『Ne+』(330円)を購入していると半額の990円で買うことが出来る。両方合わせても本作の定価より安いので欲しい人は先に前作を買おう。どっちもいらない?
  • 前作から本作にかけて、開発者のtwitterやブログでは「前作のシステムこそが自分の理想」「自分が遊んでみたいゲームを作った」という旨の発言が並んでおり、本シリーズへの批判を受けてもこういったスタンスは全くブレていない。
    • 消費者との好みの差異に関しては「皆様の好みに合うことを祈るのみです」と認識しつつも、どうやら本シリーズの調整は開発者の確固たる情熱に基づいて行われているらしい。
      • このスタンスの是非はともかくとして…これらの発言を受け、本作の発売前にも購入予定者から「この調子じゃ前作の問題点は改善されていないのでは?」との予想は常にされていた。
  • だいだいは本作のシステムを発展させた新作として『NO MOSAIC GIRLS』を現在開発中。

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最終更新:2024年02月08日 13:42

*1 任天堂のSRPG『ファイアーエムブレムif』にて暗夜編の本編や、暗夜子世代が仲間になる外伝などの敵に搭載されていることからこう呼ばれる