Voice of Cards 囚われの魔物

【ぼいすおぶかーど とらわれのまもの】

ジャンル RPG
対応機種 Windows(Steam)
Nintendo Switch
PlayStation 4
iOS
Android
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
Alim
発売日 【Switch/PS4/Steam】2022年9月13日
【Android】2023年3月22日
【iOS】2023年3月23日
定価(10%税込) 【通常版】3,520円
【DLCセット】4,356円
【iOS/Android】1,900円
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:C(15才以上対象)
備考 ダウンロード専売
判定 なし
ポイント スキル自由度が大幅に増加
しかしスキルの厳選方法に難あり
最後まで未改善だった点も目立つ
Voice of Cardsシリーズ
ドラゴンの島 / できそこないの巫女 / 囚われの魔物



大切なものは、カードの中に──



概要

  • ドラッグ オン ドラグーンシリーズのチームが手掛けるテーブルトークゲーム風RPG『Voice of Cards』シリーズの第3作。ゲームマスターのCVは石川由依氏が務める。
  • 本作でもキャラの見た目や各種デザイン等をスマホゲーム『NieR Re[in]carnation』のコラボ仕様に変更できる有料DLC「ママの愛蔵セット」が存在する。

ストーリー

『魔物』と呼ばれる生き物が跋扈する世界。
人間と魔物は争い、対立を続けていました。

少女が暮らす地下の村は、強固な門で魔物の侵入を防いでいましたが、ある日、襲撃を受けてしまいます。

そこに現れた一人の少年。
少女は、彼に手を引かれるままに、生まれて初めての地上に踏み出しました。

これは、大切なものを失った少女が、
少年と旅をする中で世界を知り、かけがえのないものを手にするまでの物語……

(公式サイトより引用)

登場人物

  • 主人公(デフォルトネーム:アルエ)
    • 魔物を自在に操る能力を持つ、地下の民の少女。村を襲った魔物への復讐のため、ルゴールに連れられ外の世界へ旅立つ。パーティメンバー随一の世間知らず。
    • だがそんな設定の反面、特性は回復量UPや戦闘開始時のジェム追加等、サポーター寄りのものを習得するためヒーラー向け。しかし攻撃力は低くないため、サブアタッカーとしても運用可能。
  • ルゴール
    • 幼い頃に兵士に拾われ、感情を殺し淡々と任務をこなすよう育てられた少年。主人公を窮地から救い、外の世界へと連れ出す。
    • 特性が若干ピーキーなものの、ステータスにこれといった欠点が無く重装備も可能なため、攻撃を主軸にしながら旅の進行に応じた役割を任せられる万能型。
  • プルケ
    • 母が最期に遺した言葉の意味を解き明かすために学者になった青年。早口で喋るオタク。
    • 唯一通常攻撃が出来ない代わりに、ジェムを生成するコマンド「熟考」が使用できる他、素早さが装備のお陰でパーティメンバーの中でも頭一つ抜けた数値になる。攻撃と体力が低いものの防御は決して低くなく、特性で封印状態にならないため、サポートスキルやダメージ固定系のスキルで活躍させるのが吉。
  • トラリス
    • サーカス団で猛獣使いを務める少女。魔物を使いこなす修業を積むため旅に同行する。
    • パーティメンバー中体力が最も高く重装備も可能で、攻撃に関係する特性も相まってパーティ随一のアタッカーに成長する。

システム

基本システムは過去作の記事を参照。本稿では前作『できそこないの巫女』でのシステムから変化した点に絞って記載する。

  • フィールドマップが『ドラゴンの島』と同じ形式に戻った
    • しかし、そのエリア内であれば自由に探索出来た『ドラゴンの島』とは異なり、『できそこないの巫女』で見られたストーリー進行の都合による侵入防止エリアが存在する。
  • パーティメンバーが登場人物の項目に記した4人のみになり、完全に固定になった
    • また、後述するシステムにより過去作とはまた異なるゲーム体験を味わえるようになっている。
  • スキルシステムが大幅に変更
    • 従来の「ユニット毎にレベルアップで別々の傾向の技を習得する」システムではなく、「倒した魔物のスキルカードを戦闘終了後のアイテムドロップ時に入手できる事があり、手持ちのスキルカードの中からパーティメンバーに自由にセットできる」という仕様に変更され、自由度が大幅に増した。
    • また、スキルカードには最大5段階の★で示された「ランク」があり、ランクが高いものほどダメージ量やジェム消費量、ダイス成功判定値減少、ダイス数増加などの要素により性能が向上していく。
      • このシステムの導入に伴い、「★1スキルカードを購入できる街の施設”ペットショップ”」「戦闘終了時の宝箱出現率を増やすアイテム」の追加や、「特定の★以上のスキルカードを持ってくるイベント」の他、「★5スキルの入手チャンスが発生する戦闘」や「★1だが優秀なスキルカードを購入できる露店」といったランダムイベントも追加された。
  • 戦闘関連の変更点
    • 戦闘時の行動選択から「チャージ」が削除され、次の自分の番が来るまで受けるダメージを半分にする「防御」に変更された。スキル枠に何をセットしたかに関わらずいつでも誰でも使用可能。
    • 前作の「連携技」は削除された。
    • ハプニング効果関連では、「勝利時の宝箱が確定出現」「敵のみに有利に働くバフ効果」といった効果も発生するようになった。
    • ボスの火力が調整された他、即死級の大技を使う前に必ず「力を溜める」行動をとるようになった。

評価点

  • 大幅に変更されたスキルシステム
    • ディレクターのヨコオタロウ氏が得意とする「同じ物を使って異なるゲーム体験をプレイヤーに与える」手法が大きく生かされた点。
      キャラ毎にステータスや特性が異なる点は過去作と同じであり、キャラによってある程度のスキルの向き不向きが存在し、かつ複数のキャラに同じスキルはセットできないため、どのスキルを誰に割り振るかという戦略を考える楽しさが生まれた。
  • 可愛らしい石川由依氏のボイスを堪能できる
    • キャラの台詞以外の全てのゲーム進行がゲームマスターのボイスで語られる作品のため、氏の声が好きなのであれば買って損はしないだろう。
  • 過去作から改善された点
    • 戦闘コマンドに念願の「防御」が追加され、ボスが「大技を使う前に溜め行動をとる」ようになったため、前作のように一撃で死ぬ事が起きにくくなった。
    • スキルシステムの変更により、過去作の「カードで表現することに意味が無い」という点がある程度改善された。
    • 6面ダイスがダメージ系、10面ダイスが追加効果・状態異常系で使用する旨がチュートリアルで説明されるようになった。
    • DLCのコラボ衣装がパーティ全員分用意され、シリーズ最終作にてようやく改善された。
  • ジェネリックヨコオ節も当然健在。少なからず心を抉られる展開が待っているが、ヨコオ氏が手掛けてきたフルプライス作品ほどドギツくないのでヨコオ作品初心者にオススメ。
  • シリーズ作品をプレイしたユーザーへのサプライズも健在。条件が揃えばとあるNPCから『ドラゴンの島』との繋がりを示す台詞を聞くことが出来る。

賛否両論点

  • ゲームマスターの読み直しボイスの頻度が相変わらず多い
    • 前作に引き続き、本作でもちょくちょく読み直しが行われる。気になる人は少なからずいるだろう。
      • ただ、前作でゲームマスター役を務めた速水氏が「一切余計な言葉を発さずに読み直す」という”遊び”を感じないスタンスだったのに対し、石川氏は「もにょもにょ小さな声で言い直してから読み直す」といった可愛いボイスもあるため、前作程は気になりにくくなっている。

問題点

  • スキル収集と高ランクのスキル厳選に関わる運要素
    • 本作最大の問題点。スキルカードは「そもそも戦闘終了時のアイテムドロップを出す必要があり」「アイテムドロップ時に出現する複数の宝箱からどれかに入っている物を引き当てる必要がある」上、「倒した敵が複数種居る場合はどれが当たるか分からず」「現在所持しているランク以下のカードは入手しても破棄されてしまう」仕様のため、運が悪いと物欲センサーによって何時間も同じフィールドで狩り続ける羽目になる。
    • 一部のスキルは★5の物が入手できるランダムイベントが用意されているが、そのイベントでも確定で入手できるわけではないため、どうしてもこの作業を面倒に感じずにはいられない。
    • また、この仕様によりパーティメンバーのレベルが適正値以上に育ってしまいボス戦の歯ごたえが無くなってしまったり、後半では所持金やアイテム所持数がカンストしてしまったりといった問題も浮き彫りになってくる。
    • 一応、ボスは前作のような理不尽さが無くなっているのである程度なら妥協できるのが救いか。
  • エンディング関連
    • ヨコオ氏の作品と言えばマルチエンディング形式が当たり前だったのだが、本作ではエンディングが1種類しか用意されていない。
    • また、世界の衝撃の真実が発覚し黒幕の野望を止めることには成功するものの、主人公の旅の理由の1つが達成されないまま終わりを迎えるため消化不良感が残る。

過去作から未改善・悪化した点

  • アイテム枠カツカツ問題の復活
    • シリーズを通してアイテム所持関連の仕様がそのままであることに加え、スキルカード入手時の宝箱にはアイテムも混ざっている闇鍋仕様である*1ため、良いスキルを求めて狩っているとアイテムポーチがすぐに所持数限界を迎えてしまう。
  • 高速モード関連
    • ゲームスピードの設定がゲームを終了するたびにリセットされる点や、効果音が音飛びする点はシリーズ最終作となる本作でもそのままとなった。
  • UI関連
    • タブ切り替えと誤爆するメニュー画面の操作、敵の耐性に関する情報が記憶頼み、ゲームテンポが悪い、侵入不可フィールド侵入時の反復横跳び現象、トランプゲームのテンポ等、基礎システムの流用による未改善の点はやはり目立つ。

総評

スキルシステムの大幅な改修により自由度が増した半面、それに伴う圧倒的運要素による問題も浮き彫りになってしまったため、「良作になりかけた佳作」と言わざるを得ない惜しい作品。
しかし過去作とは異なるゲーム体験が出来るのも事実であるため、過去2作のヴォイカシリーズを遊び、かつ作業が苦ではないと感じられるタイプであるのならば、このスキル厳選の沼に浸かってみるのも一興だろう。

その後の展開

  • 2023年3月23日にはシリーズ3作品がセットになった『Voice of Cards Trilogy』が発売された他、iOSとAndroidでも発売。
+ タグ編集
  • タグ:
  • RPG
  • スクウェア・エニックス

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月14日 22:09

*1 出現した宝箱が2つの場合はスキルが確定となるが、宝箱2つは中々出現しない。