ソニックR

【そにっく あーる】

ジャンル レーシングアクション
対応機種 セガサターン
メディア CD-ROM
発売元 セガ・エンタープライゼス
開発元 Traveller's Tales
ソニックチーム
発売日 1997年12月4日
定価 5,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 なし
ポイント クラシックソニック最初で最後の3Dゲーム
自由度がかなり高いコース攻略
ソニックシリーズ


概要

  • ソニック ジャム』に引き続いて「PROJECT SONIC」の第二弾として発売された。
    • 本作はソニックチーム単独ではなく、イギリスにあるトラベラーズテイルズ社*1との共同作品となっている。
  • 本作はジャンルの「レーシングアクション」の名の通り、ソニックたちがコースを走り抜けるレースゲームとなっている。

評価点

  • ソニックシリーズとして初の3Dゲーム
    • 初の3D化作品かつレースゲームではあるが、過去のシリーズのようなアクションは健在であり、しっかりソニックらしさが感じられる*2
    • 次作『ソニックアドベンチャー』以降は全面的なリニューアルが行われており、クラシックソニック時代の3Dゲームとしては最初で最後となっている。
  • ほぼ全てのBGMがボーカル入り
    • ソニックシリーズといえば良質なBGMが評価点に上げられるが、本作も例外では無くハイクオリティに仕上がっている。 そして本作ではほぼ全てのBGMがT.J.デイビス氏歌唱によるボーカルソングとなっている。
      • コンポーザーはセガ・ヨーロッパ所属(当時)のリチャード・ジャックス氏が務め、本作以降もソニックシリーズでは『ソニッククロニクル』や『ソニック&オールスターレーシング TRANSFORMED』などでもBGMを担当している。
    • 中でもメインテーマである「Super Sonic Racing」は本作以降のゲームや過去作のBGMを纏めたベスト盤CDにも収録されることがある。
      • 本来ならばインストゥルメンタル版が流れる予定であり、ディスクのデータ部におまけとしてボーカル入りバージョンを付けたところ、手違いによって全てボーカル版が流れるようになってしまった……というエピソードが存在する。
    • なお、オプションでボーカル版かインスト版かを切り替えることが可能である。
    • 上記の通り、CD-DAとして扱えるためCDプレイヤーやセガサターンで本作の楽曲が楽しめる。
  • 美麗なグラフィック
    • セガサターンとしては綺麗なポリゴンで描画されており、 ハードの性能上厳しいとされていた、ポリゴンの半透明処理や当時は珍しかった環境マッピング*3・グローシェーディング*4が行われている。
  • 豊富な操作キャラクター
    • 隠しキャラ*5を含めると全10名操作が可能となっており、本作限定のオリジナルキャラクター「メタルナックルズ*6」と「テイルスドール*7」も登場する。
      • 隠しキャラはコース上に隠されたトークンを集めて1位を取り、現れた隠しキャラとのタイマン競争に勝つことで開放される。
      • ソニックシリーズではおなじみだが、全コースに隠されたカオスエメラルドをすべて集めるとソニックが「スーパーソニック」に変身するようになっている。
    • 操作できるキャラクターには「旋回性能」「最高速度」「加速度」の3つのパラメーターが振り分けられている。この点に関しては一般的なレースゲームと変わらないが、この他に各操作キャラクターにはスペシャルアクションがつけられている。
      + ここでは一例を紹介する。
    • 「ソニック」の場合、スピンダッシュと二段ジャンプが使用できるため、「スピンダッシュで一時的に急加速をし、ショートカットを行う」「二段ジャンプでオブジェクトを乗り越える」
    • 「ナックルズ」の場合、スピンダッシュと滑空が使用できるため、「スピンダッシュで一時的に急加速をし、ショートカットを行う」「高いところから滑空をして大胆なショートカット行う」
    • 「エッグマン」の場合、「宙に浮いているため(エッグモービルに乗っているため)水上を減速することなく走れる」「ホーミング爆弾を相手に投げて邪魔をすることができる」
      • ……といったコース攻略が可能となっている。
    • また、シリーズのヒロインである「エミー・ローズ」は次作ソニックアドベンチャーにて大きくデザインや性格が変更されたため、彼女が旧仕様で3Dモデル化された数少ない作品でもある。*8
  • コース攻略の自由度
    • レースゲームらしく、ライバルよりも先にコースを3周すれば勝ちになるが、本作ではコースのルート攻略が明確にされていない。
      • 一般的なレースゲームでは指定されたルートで競い合い、コースを外れるとコースアウトと見做されて減速する・タイムが加算されるといったデメリットがつくことが多いが、本作では意図的にオミットされている(唯一、水面を進めば減速してしまう)。
    • コース上にはリングがちりばめられており、過去作同様にリングを集めることで有利になる場面がある。
      • コースには「リングゲート」が設置されており、リングゲートに書かれたリングの枚数を所持することでゲートを開くことができ、更なるショートカットが可能となる。
      • リングゲート内にカオスエメラルドやトークンが隠されていることがあるため、完全攻略には欠かせない要素である。
      • コースに設置されているワープシステムに乗れば急加速ができるが、代わりにリングを消費してしまう。また、立体的なオブジェクトが多いため、そのままオブジェクトを利用するかスルーするかの判断もプレイヤー次第である。
    • 従って、字の通り「早くコースを3周すれば勝ち」であるため、どのようにしてゴールへ進めるかがコース攻略の肝となっている。

賛否両論点

  • 独特な挙動
    • 非常に曲がりにくく、やたら滑る挙動になっている。慣れたらスムーズに操作ができるようになるが、慣れるまでまっすぐに走ることも難しく初心者にはとっつきにくい。
      • 主役であるソニックが「最高速度」を高めに設定している代わりに「旋回性能」が低く設定されているため、かなり曲がりにくくゲーム全体としてマイナスなイメージが付けられがちである。
    • また、本作ではレースアクションに合わせてか操作キャラクターのスピードが全体的に遅くなっているため、爽快感があまり無いと感じるプレイヤーもいる。
  • セガマルチコントローラーにも対応しているが、あまり恩恵は受けられない。
  • コース攻略の自由度
    • 評価点でも上げたが、レイアウトは非常に大味な作りになっている。操作キャラクターの速度調整などもあまり重要視されていないため、ただのレースゲームだと思って購入した人にとっては「すぐにコースアウト・壁に当たってしまう」と感じてしまう。
  • カオスエメラルドは1位にならないと獲得できない仕組みになっているため、コース上でゲットしても1位になっていないと没収されてしまう。
    • また、カオスエメラルドとトークンによる隠しキャラ出現の条件を同時に満たした場合、隠しキャラの出現が優先されて、カオスエメラルドは獲得してない扱いになってしまう。

問題点

  • コースが少ない
    • コース攻略の自由度は高いが、肝心のコースが5つしか無い。隠しコースが1つなので、デフォルトの状態ではたった4つしか無い。
  • シンプルなゲーム内容
    • 本作は5つのコースを攻略し、1位を目指しつつコース内に隠されているトークンとカオスエメラルドを集める内容となっている。 が、それ以上でもそれ以下でもない内容となっている。
    • ストーリーは一応用意されているが、取扱説明書や公式サイトに書かれているものだけであり、ゲーム内でソニックたちがやり取りするといったイベントは一切発生せず、エンドロールでもストーリーは全く触れられず、集合イラストが出てくるだけである。 いくら番外編作品とはいえ、ストーリーの結末ぐらいは描いて欲しかったところである。
      • このため、メタルナックルズやテイルスドールが何者なのか公式サイトに書かれている以上の深掘りがされていない。
  • 隠しキャラ「スーパーソニック」の性能が強すぎる
    • カオスエメラルドをすべて集めるとソニックが変身し、「スーパーソニック」になるが、ソニックの上位互換キャラとなるため「旋回性能」も通常のソニックに比べ高くなる。
    • 公式サイトでも「最強最速のキャラクター」と書かれているため、意図的に設定されていると思われるが、対戦モードでは他のキャラクターでは敵わない性能となってしまっている。
      • スピンダッシュこそないものの、「二段ジャンプ可能」「水面ジャンプ可能」「圧倒的な最高速度と旋回性能の両立」と致せりつくせりの性能であり、よほどの初心者でもない限り、負ける可能性はないといっていい。
  • それ以外にも、キャラの性能には大きな差がある。
    • 「メタルソニック」「メタルナックルズ」は、あろうことか オリジナルのソニックやナックルズの上位互換な性能となっている 。両者ともスピンダッシュこそないものの、最高速度も旋回性能も高く水上ジャンプが可能。
    • その一方で「テイルスドール」「エッグマンロボ」はかなり微妙な性能となっている。
      「テイルスドール」は常時浮いているために絶対に水中に落ちない特性こそあれど、滑空が出来ない上に常時フワフワしており速度も遅い。
      「エッグマンロボ」は、リングを消費して攻ホーミング爆弾を相手に投げて邪魔をすることができる点は一緒だが、旋回性能でオリジナルのエッグマンに劣る上に「オリジナルのエッグマンはジャンプができない代わりに水中に落ちないが、エッグマンロボはジャンプが出来ないにもかかわらず地走しかできないので、ある程度水上を走ってるとドボンと水中に落ちる」…など、最高速度を除けは、隠しキャラであるにもかかわらずエッグマンの下位互換に近い状態となっている。
  • 同キャラ対戦は不可能。
    • スーパーソニックとソニックは、どちらかを使うと、もう片方が使用不可能になる。
  • 隠しキャラをすべて出した後に1人用で通常のレースをする時に、隠しキャラを使うと、競争相手が隠しキャラのみになる。
    • 何が問題なのかというと、著しく性能の悪いテイルスドールやエッグマンロボを使用した場合でも、 最強キャラのスーパーソニックが敵として出てくる のが非常に辛いため。コースにもよるが、一位を取るのがかなり難しくなってしまう。

移植

  • 2005年にPS2/GCで発売された『ソニック ジェムズ コレクション』に他作品と一緒に収録されている。

総評

  • セガサターンでようやく発売された待望のソニック最新作であったが、レースアクションゲームだったことに関して賛否両論である。
    • 良質なBGM・グラフィックは評価されている一方で、独特な挙動と過去作に比べると遅いスピード感が問題点として上げられがちである。
  • しかしながら、慣れればスムーズな操作感でプレイができるようになり、自由な攻略法が存在するゲームとして「面白い」とする人もいる。
  • 結局のところセガサターンではメインシリーズが制作されることは無かったが、「PROJECT SONIC」で制作されたものは今後のソニックシリーズの雛形となり、本作の翌年に発売された次世代機・ドリームキャスト用ソフト『ソニックアドベンチャー』で本格的な3Dアクションゲームとなって帰ってくる。

余談

  • 当時の時代背景としては、メインシリーズは1994年の『ソニック&ナックルズ』以降展開しておらず、1996年のクリスマス商戦にSTI(セガ・テクニカルインスティチュート)よりセガサターン向け新作『Sonic X-treme*9』が発売される予定であったが開発中止となってしまう出来事が発生している。代わりとして急遽トラベラーズテイルズ社が開発した『ソニック3Dブラスト』*10」を発売した。その後、1997年初頭にソニックチームがソニック6周年記念プロジェクトとして「PROJECT SONIC」を立ち上げたのである。
  • 当時放映されていたセガサターンのCMシリーズ「せがた三四郎」の第一弾が本作のCMである。
  • クラシックデザインのソニック・テイルス・エッグマンは後に『ソニック ジェネレーションズ 白の時空/青の冒険』に登場しており、ハードに合わせた3Dモデルで登場する。
    • クラシックソニックは後に『ソニックフォース』にも登場。『ジェネレーションズ』『フォース』の2作品では現在のモダンソニックとは異なるキャラクターとして操作できる。
    • ソニックマニア』や『ソニックスーパースターズ』など、その後においてもクラシックソニックがフィーチャーされる作品が定期的に登場している。
  • 次作『ソニックアドベンチャー』でソニックたちのキャラクターデザインがリファインされたが、厳密に言えば本作のサウンドトラックのジャケットに描かれているソニックがリファイン後初のお披露目となっている。
+ タグ編集
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  • ソニック
  • セガサターン
  • 1997年

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最終更新:2024年02月17日 09:29

*1 後に「レゴシリーズ」で有名となる。

*2 厳密にいえば『ソニック ジャム』の「SONIC WORLD」で初の3D化がされている。

*3 環境マッピングとは、ポリゴンの表面に周りの背景や影を反射させて映す処理のこと。

*4 グローシェーディングとは、ポリゴンに光を当てて外から中心に向かって明るくなっていく照明処理のこと。

*5 ここでは便宜上隠しキャラとしているが、公式サイトに全て記載されている。

*6 メタルソニックと同じ動力源を使用したナックルズを倒すためにエッグマンが作ったロボット

*7 ソニックを油断させて攻撃するためにエッグマンが作った人形という設定

*8 アーケード向け格闘ゲーム『ソニック・ザ・ファイターズ』にも登場していた他、後年ソニックスーパースターズにも25年越しにクラシックエミーとしてシリーズに再登場した

*9 『ソニック ロストワールド』のような作品であった。

*10 日本版は1999年に『ソニック3D フリッキーアイランド』として発売。