突撃! ポンコツタンク

【とつげき!ぽんこつたんく】

ジャンル アクションシューティング
対応機種 ゲームボーイ
発売・開発元 ハル研究所
発売日 1991年1月8日
定価 3,300円
プレイ人数 1~4人
周辺機器 GB専用通信ケーブル、4人用アダプタ対応
判定 良作
ポイント 右回りにのみ旋回する砲身
白熱必至な最大4人のフリー対戦


概要

1991年1月にハル研究所が発売したゲームボーイのアクションシューティングゲーム。
戦車を操作して戦うシューティングで、1人でプレイするストーリーのあるモード「メインゲーム」と最大4人で対戦する「マルチゲーム」で遊べる。


内容

システム

  • 進行は8方向に進み、攻撃は砲身を回転させて使う。
    • つまり、前を向いたまま撃ちながら後ろに下がったり、平行移動しながら連射もできる。
    • 砲身の回転方向は右のみ。
  • 砲弾は敵を攻撃するだけでなく、敵弾を相殺することもできる。

メインゲーム

特徴

  • 典型的なアクションシューティングで、敵を倒したり破壊できる壁などを壊して道を開きながら進み、ボスを倒すことでステージをクリアしていく。
    • 一部の敵は自爆や破壊に伴って爆発し、それに巻き込まれることでもダメージを受ける。
    • ステージは全部で4ステージあり、最後はこれまでのボスや中ボスが次々と襲ってくるボスラッシュの後にラスボスとの戦いがある。

ストーリー

のどかで平和な「カントリー村」に隣の大国「アクダ共和国」が攻めてきて、アッという間に村は占領されてしまった。
だが村人はめげることなく共和国軍の戦車を盗み出して反撃に出るのだった。目指すは「アクダ共和国」の首都「グーデンバーグ」。
だがその盗み出した戦車は砲身が右にしか回らないポンコツなものだった。
こんなポンコツな戦車1台で大軍にケンカを売るというムチャムチャな戦いが始まる。

パワーアップアイテム

これらの効果は敵の攻撃でダメージを受けると無効化される。

  • つきぬけるん弾
    • 敵や障害物を破壊しながら貫通する。弾のスピードも速くなるので相対的な威力も高い。
  • はじけるん弾
    • 爆発しながら飛び、爆風により周囲を巻き込めるので強力。ただし爆風は攻撃のみで敵弾の相殺はできない。
  • わかれるん弾
    • 真正面と斜め左右の3方向同時発射。少々連射力に欠ける。
  • うしろにもでるん弾
    • 前後同時の2方向発射。

上記4種類は単独のパネルとしても出現するが、この4種類がルーレット状に変化しているパネルもある。

その他アイテム

  • ガソリン
    • HPを回復。
  • 1UP
    • タンクの残機が1機増える。

マルチゲーム

特徴

  • 最大4人で対戦できるモード。
    • マップは全部で12通りあり、そこから自由に選ぶことができる。
    • 常に4人で行い、プレイヤーが足りない所はCOMPが補填する。
  • 開始前にハンデとして十字ボタンで錘を選択できる。
    • 錘の重さは2段階あり、重いものほど動きが鈍くなる。
  • 大体タテ・ヨコとも2画面分(つごう4画面分)のフィールドでバトルロイヤルをし、破壊された者が脱落という至ってシンプルなルール。
    • やられた順番に4位→3位→2位、最後に残った者が1位となる。
    • ポイントは4位0点、3位1点、2位2点、1位4点となるが、それに破壊した戦車の数が1台あたり1点になる。
      • つまり最高は1人で相手の3台全部を破壊した場合で一気に7点(4+3)。2位が2台を破壊して、1位は2位のみを破壊したなら2位は4点(2+2)となり、1位は5点(4+1)にとどまる。
      • 画面下に表示された星のマークはそれまでの対戦で破壊した戦車の累計で、大きい星は小さい星10個分となる。
      • 破壊数やポイントは勝敗の画面で確認できる。
    • プレイヤーはやられると画面右上のアイコンがカメラになり、以降は人間のプレイヤーが全滅するまで自由に戦況を見ることができる。

評価点

  • ガンガン破壊して突き進んでいく爽快感。
    • 砲弾はかなり速い連射にも対応しており、シューティングの醍醐味である爽快感も抜群。
    • 敵や建物の爆発もかなり高頻度で起きるので、こういう部分でもその爽快感を高めてくれる。
    • ゲームボーイはこういったアクションやシューティングは動きが鈍くなりやすい傾向にあるが、たくさんのキャラが出てきても処理落ちのようなものはほとんど起きない。
  • ゲームボーイながらもそのグラフィックの秀逸さ。
    • ゲームボーイのモノクロ画面ながら、キャラやオブジェクト1つ1つが細かい部分まで描かれている。
    • 特にタイトルデモやエンディングでは、それが非常によくわかる。
      • グラフィックはどうしてもチープになりやすいゲームボーイの弱点だが、全般的にコミカル路線ということもあってそれがあまり目立たない。
  • サウンド面も、BGMのみならず破壊や爆発音まで細かく使われ、上記の「破壊の爽快感」をバッチリ上げている。
  • 難易度のバランスも非常に良い。
    • 最初のステージで全武器を試せる上に、大まかなシステムは網羅できるほどの作り。それでいて難易度もかなり易しい。
  • 多彩なパワーアップ。
    • 4種類あって、その中身が被るものがない。
    • しかも、それぞれを活かせるポイントがしっかりあるのでムダなものがない。
    • 一見すると「はじけるん弾」が一強っぽく思えるが、確かに攻撃力こそブッチギリとはいえ連射がききにくいし爆風では敵弾を相殺できないなど防御面で弱いなどバランスが取れている。
  • 個性豊かなボスキャラの数々。
    • 巨大なタンクやロボットなど所せましとスピーディに暴れまわる。
    • しかもそれぞれが固有の動きや武器など
    • 上記のアクションのスムーズさは、これらの個性の表現にも大いに役立っている。
  • 自由度が高く、幅広い対戦。
    • 広いフィールドで自分を中心に画面スクロールする仕様によりゲームボーイを特性である「個々の画面を持って戦う」フルに活かしたものとなっている。
    • しかも単純に順位の得点だけでなく、直接破壊したタンクの数もポイントになる点も、ただ作戦で漁夫の利を狙うより率先して戦うことに価値があるゲーム性を実現しており、よりバトルが白熱しやすいものとなっている。
    • 対戦の幅も広く、1人でCPU3名相手に戦うこともできるし、しっかりCPUを混ぜて4人で対戦することもできるなど、この点でもプレイの幅が広い。
  • マルチゲーム対戦のポイントシステム。
    • 破壊そのものがポイントになるので積極的に戦いに行った方が同じ勝ちでもポイントが多く取りやすく、いわゆる漁夫の利を狙って気が付けば待ってばかりな展開になるのを抑制している。

賛否両論点

  • ストーリーで解説されている通り、右回りにしか砲身を動かせない。
    • そのため不自由に感じることもある。
    • とはいえ、だからこそ「うしろにもでるん弾」のように前後発射できる武器が、ちゃんと強みとして機能している。
    • ファミコンの『グレートタンク』などに見られた少ないボタン数で砲身を左右に動かせる操作系にもできたであろうが、あえて右回りに固定にしたのはアクション慣れしていないプレイヤーが操作で混乱させないためとも考えられる。

問題点

  • スコア概念がない。
    • シューティングはスコアアタックも醍醐味の一つなので、ステージクリアのみの特化は少々物足りない。
    • せっかくガンガン破壊していく爽快なゲーム性なので、それに伴って伸びていくスコアがあればより爽快感が増していただろう。
  • 対戦ではパワーアップ要素がない。
    • 贅沢かもしれないが、メインゲームにあるパワーアップアイテムが盛り込めていたらなら、より白熱した対戦ができたことだろう。
  • ノーマルゲームでは最後のボスラッシュに入ると一切パワーアップアイテムが取れなくなる。
    • もちろん、なくても何とかなるが、あれば爽快感が増しただけに勿体ない。
  • マルチゲームのゲーム自身は対戦としての盛り上がりは申し分ないが、少々勿体ない部分もある。
    • ポイントが自身のものしかわからない。ここに4人のプレイヤーそれぞれの得点やランキングなどがあればもっと盛り上がるものになっただろう。

総評

スコアがないのは少々残念な部分ではあるが、連射力と破壊の爽快感はシューティングとしてファミコン作品と比べても見劣りせず、多彩なパワーアップなど全般的な好評要素は網羅している。
メインゲームだけを取ってみても、お手軽に持ち運んで遊ぶゲームボーイに見合った難易度とゲーム自体のお手軽なバランスに仕上がっている。
対戦ゲームとしては、ゲームボーイの個別の画面を持つ特性をしっかり強みとして活かし多彩でそれぞれが個性持ったマップを取り入れ、最大4人でエキサイティングな対戦ができる仕様。
現在でも隠れた名作として語られることが多いのも納得の内容。


余談

  • 発売当時はスーパーファミコン発売直後という不遇に見舞われ、またゲームボーイのみに着目にしても『Sa・Ga2 秘宝伝説』のような大型RPGが幅を利かせすぎて本作はその陰に隠れてしまった節がある。
    • ゲーム自体はお手軽に楽しめて幅広い対戦に対応しているなど、持ち運びありきなゲームボーイとの相性抜群でありながら、あまり着目されなかった不遇な名作と言えるだろう。
      • そのため現在はソフト1本単品でも数千円程度の高額出費が必要で、本作の持ち味である「お手軽で盛り上がる対戦」をしたいとなると、お手軽とは程遠い重い出費が要求される。
  • 本来ならば悪のイメージがあまりない「共和国」が悪役という設定は非常に珍しい。
    • だいたい敵方は「帝国」「公国」などが多い。他に共和国が悪役の作品というと、非ゲーム作品だが、ガイナックスが手がけた劇場用アニメ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』ぐらいか?(こちらの主役側は「王国」)
    • ちなみにこれは、1979~1982年にかけてNHKで放送された人形劇『プリンプリン物語』の悪役からほぼそのまま引用したからだったりする(濁点の有無ぐらいの違いしかない)。当時は色々とおおらかな時代だったようだ…。
  • 星のカービィ スーパーデラックス』などに登場する雑魚敵「モトシャッツォ」は本作の自機が元になっており、デザインが似ている。
    • また、シャッツォや2連主砲が使用する「へろへろ弾」も、元は本作に登場する攻撃である。
    • あつめて!カービィ』のサブゲームの一つ「カービィマスター」において本作の1面ボスが攻撃演出として登場している*1
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最終更新:2024年03月04日 23:52

*1 本作の自機の代わりか、モトシャッツォに乗ったカービィを追いかける演出になっている