糸鋸×春美




『はじめて記念』

警察署・刑事課
「うわああああん!!」
フロアの奥から、女の子の泣き声が聞こえてくる。
きっと、どっかで迷子になったんだろう。
「イトノコ先輩!」
「何っスか?自分は今忙しいっスよ…」
「あの子のお守りをしてて欲しいんス、僕、これから巡回行かなきゃいけなくって」
…後輩のクセに、ナマイキっス…。
「先輩、クマさんそっくりだから、あの女の子も喜ぶと思うんス」
…クマさん、っスか。
「わかったっス。じゃあ、君はしっかり巡回してくるっスよ」
そう言うと、後輩はすぐフロアを後にした。
「ホント、お人好しっスね、自分は…」
女の子の泣き声のするほうへ向かった。


「うわああああん!!」
…もう、うるさいっス。早く両親来ないっスかねぇ…。
ガチャ。
目の前に、女の子が座っている。
幼稚園児かと思ったが、小学校低学年くらいの、…ん?
天女のような髪型がピコピコと揺れている。
もしかして…?
「春美くん…?」
「!」
振り向くと、涙で顔がグチャグチャの春美くんだった。
「おひげのけいじさん!!」
自分を見るなり、駆け寄って抱きついた。
「どうしたっスか?」
「うわああああん!!」
「泣いてちゃ、わかんないっス。自分でよければ、話して欲しいっス」
「真宵さまに怒られてしまわああああん!!」
「…壷でも割ったっスか?」
ぎゅう、と、服の裾を掴んだ。
「…誰もいないトコでだったら、話してもらえるっスか?」
こくん、とうなづき、フロアを出た。


警察署・屋上
「ここなら、誰も来ないっス。じゃあ、自分に話して欲しいっス」
「…真宵さまには言わないで下さいね」
春美くんは、装束の裾から手を入れると、するり、とパンツを下ろした。
「な、ナニしてるっスか!自分は、そんな……?」
パンツが、赤く染まっている。
「朝、起きたら私のパンツが血だらけだったんです…!真宵さまに言ったら、きっと事件だと大騒ぎしてご迷惑をお掛けすると思って。・・事件て言ったら、けいじさんだから」
「…自分のトコに来たっスね」
「私、怪我したのでしょうか…?お腹は痛いんですけど、切られた覚えがないんです」
…この子は、もうそんな年になってしまったっスね。
「怪我でも、病気でもないっス。春美くんは、女の人になったっス」
「…え?」
パンツを上げ、春美くんの手を引いた。
「今日は、自分、早退するっス!!」
「えっ?おひげのけいじさん、お仕事…」
「たまには、休みも必要っス!」

スーパー・店内
「気持ち悪いかも知れないっスけど、もうちょっと我慢するっス」
「はい!」
手を引いて、女児の下着コーナーへ向かう。
「さあ、春美くんの好きなものを選んでいいっスよ」
「ええっ、で、でも、けいじさん…」
「いいっス。今日は、春美くんのお祝いっスから」
春美くんは、嬉しそうにパンツを選び始めた。
いつもは装束ばかりだったから、こんなトコには来て服を選んだことが無かったのだろう。

春美くんは、ピンク地に暖色系の花柄模様のかわいらしいパンツを一枚選んだ。


…問題は、生理用品だ。
薬局に寄って、おばちゃんに、こっそりと耳打ちした。
「ああ、大丈夫よ。最近なら、お父さんでも買っていってあげる人いるから。…ほら、いるでしょ?離婚して、娘を引き取ったお父さんとか…」
「…自分はまだ離婚すらしてないっスけど…」
それを聞いて、ちょっと安心した。
丁寧につけ方まで教えてくれた。

家までの帰り、自分が誘拐してるように見えないように、ずっと親子のフリをして、手をつないでいた。
「おひげのけいじさん、」
「どうしたっスか」
「…ありがとう。」
にっこりと笑った。
自分が本当のお父さんだったら、どれほど良かったか…。


イトノコの部屋
こんなところに客を入れるのは何年ぶりっスかねぇ。
「あまりキレイじゃないっスけど、」
「おじゃまします」


浴槽にお湯を張る。
「お風呂が沸いたから、入るといいっス」
「はい」
「あ、ちょっと待つっス」 春美くんのパンツをするり、と下ろし、血まみれのアソコを舐め始めた。
「だめ!けいじさん!!そんなトコ、汚いです…!」
「だから、自分がきれいにするっス」
「はぁ、あんッ…!」
生理になっているせいか、とても敏感になっている。
ねっとりとした経血が、舌に纏わりつく。
「お腹にちょっと力を入れるっス」
どろどろ、とまた血が流れ出てきた。
それを、ちゅるっと吸う。
「はあ、はあ…」
春美くんは、顔が紅潮してきている。
アソコの上部に位置する、クリトリスをやさしく吸った。
「はああああんッ…!!けいじさんッ、気持ちい…」
春美くんはそのままイってしまうと、膝をがくんと落とした。
「女の人になった、ホントのお祝いっスよ…」
春美くんを抱き抱えると、風呂場へ連れていった。

春美くんは自分で服を脱ぐと、お湯を2・3掛け、浴槽に入った。


自分は、その傍らで、血まみれのパンツを洗い出す。
「…ごめんなさい、けいじさん…」
浴槽からひょこっと顔を出し、自分を見ている。
「なあに、いいっスよ」
「…けいじさん、さっきのって…」
「春美くんが、もっと大人になって、…そうっスね、真宵くんぐらいになったら、もっと教えてあげるっス。」
「ホントですか?…約束、です」
小指を差し出された。
「…指きりげんまん、…」
にこにこと、嬉しそうだ。お父さんと、こんなことをしたことが無かったのだろう。
「乾いたら、自分が届けに行くっスよ」

お風呂から上がって、バスタオルに身を包んで春美くんが出てきた。
「ほら、春美くん。よく見てるっス」
さっき買ってきたナプキンの包み紙をぺりぺりと剥がし、ピンクのパンツに貼り付けた。
「さあ、履いてみるっス」
春美くんは、バランスを崩さないようにと自分の肩に手を置き、右足から通し始めた。
スッ、とパンツを上げる。
「…どうっスか?」
「ちょっと変な感じ。ふふっ」
「春美くん、」
「…?」
「これは、悪いコトじゃないっスよ。だから、ナルホドくんの事務所に戻ったら、真宵くんに、ちゃんとお話するっスよ」
「ナルホドくんには?」
「言わなくていいっス!…あと、さっき自分がやったことは、真宵くんにも言っちゃダメっス」
「ふふっ、私と、おひげのけいじさんのひみつ、ですね」
「そう、秘密っス」


成歩堂法律事務所
「ねぇ、ナルホドくん。ハミちゃん遅いよ。遅い、おーそーいー!みそラーメン!!」
お腹が空いているときの真宵ちゃんは、人一倍タチが悪い。
「きっと、夕食のお買い物でもしてるんだよ」
ガチャ。
「ただいまです!」
「ハミちゃん!こんな時間までどこに行ってたの?」
「真宵さま!」
ぎゅうう、と真宵ちゃんに抱きついた。
「ど、どうしたの?ハミちゃん」
「真宵さまぁ…」
真宵ちゃんも、優しく抱く。
「おかえり。…一人で遠くまでいって怖かったんだね。」
「真宵さま、わたし…」
ごにょごにょ。
春美ちゃんは、真宵ちゃんに、何か内緒話を始めた。
「なあんだ!そうなんだ!…ナルホドくん!今日の夕食変更!」
「は?」
「ハミちゃん、お赤飯だよ!」
「…お赤飯…?て、何?」
「だ、だめです、真宵さま…」
春美ちゃんは、顔を真っ赤にしている。
「んもう!ニブいなぁ、ナルホドくん。ハミちゃんはね、生理がきたんだよ!」
「…そう、なの…?」
「うわああああん!真宵さまヒドイです!!」
春美ちゃんは、余りの恥ずかしさに泣き出してしまった。
「…ごめん、ハミちゃん…あたし、女の人しかいない環境だったから…」
(それって女子高と同じ原理じゃないか?真宵ちゃん、羞恥心のカケラもなくなってる…)
その晩、ハミちゃんはずっと愚図っていた…。
最終更新:2006年12月25日 21:47