シャア専用ザクII

シャア専用ザクII
CHAR'S ZAKU II
登場作品 機動戦士ガンダム
型式番号 MS-06S
全高 17.5m
重量 56.2t
所属 ジオン公国軍
武装 ザク・マシンガン
ヒート・ホーク
ザク・バズーカ
クラッカー
搭乗者 シャア・アズナブル


【設定】

ジオン公国軍の指揮官用量産型モビルスーツ。
正式名称『指揮官用ザクII(S型ザク)』。

本機はザクIIF型よりジェネレーターの出力が高く、推力が30%上がっている。
だが推進剤の搭載量は変っていないので最大出力での稼働時間は短くなっている上、扱いが難しく、この改修は機体に無理をさせているのと同じで、正確な整備がいつも以上に欠かせない。
そのため一部のエースにしか支給されていない。

指揮官用に通信能力を強化するため、頭部にブレードアンテナ(角)がつけられている。
更に指揮官は機体を好きな色に塗装することを許されているためシャア・アズナブルのパーソナルカラーである赤*1で塗装されている。


【武装】

ザク・マシンガン

主兵装となる120mm口径のマシンガン。
単発と連射の切り替えが可能で、オプティカルサイトと可動式フォアグリップにより狙撃も可能。
上部のドラムマガジンから給弾され、榴弾や徹甲榴弾も使用可能。
ちなみに現実ではこの形状はパンマガジンと一般的に呼ばれる。
ザク以外にもヨーロッパ戦線のグフやコンスコン艦隊のリック・ドムが使用している。

ヒート・ホーク

対艦や戦闘機との接近戦用の手持ち斧。
刃の部分から高熱を発生させ、敵機の装甲を焼き切る。
毎回戦闘で使用したとして、4〜5回の出撃でダメになる使い捨て兵装とされる。
実体刃が無いとされるビーム・サーベルと斬り結ぶ事が出来るが、「刃の加熱に電磁誘導を用いている事で周囲に強力な磁場が発生するため、ビームを磁力で封じ込めているビーム・サーベルとは反発しあう」という説が有力。
こちらもザク以外にもヅダや第86ボーキサイト基地のグフが使用している。

ザク・バズーカ

280mm口径の対艦用バズーカ。
元々は核弾頭発射用に開発されていたが、南極条約締結後は通常の弾頭が使用されている。
威力はガンダムのシールドを破壊したりしなかったり、ガンキャノンの足を破壊したりしている。
こちらもヅダオッゴドム・トローペンが使用している。

クラッカー

MS用の手榴弾。
爆風と弾片効果で相手を殺傷する榴弾 (HE) なので、直撃以外はMSに対する効果は低いとされる。
劇中では本機は使用せず、J型が使用していた。


【原作の活躍】

番組初期におけるシャア・アズナブルの乗機として登場。
編隊行動をする一般仕様のザクIIと違い、接近までフルスロットルで飛ばし、破壊した連邦軍の艦船を蹴ることでその反動を推力に置換するというシャアの操縦能力により、「通常の3倍のスピード」といわれるほどの機動力を見せ、ガンダムに搭乗するアムロを圧倒した。
撃破されてはいないが、第10話を最後にシャアが一旦ストーリーから離脱した後、専用ズゴックに乗り換えた為、以後再登場することはなかった。

ちなみに第1話より前のルウム戦役ではS型ではなくC型(初期生産型)を駆り、シャア一人で戦艦5隻(正確には巡洋艦を含む5隻)を沈めた。
「赤い彗星」と呼ばれるようになったのもこの戦闘であり、連邦軍内で「赤い彗星は通常の3倍の速度で戦場を駆け抜ける」というイメージが生まれた。

シャアの「モビルスーツの性能の違いが戦力の決定的な差でない」というセリフ通り、性能に大きな差があるガンダムと渡り合う、ないし上回るかという戦いを見せた。
ただザクの武装ではガンダムのルナ・チタニウム合金には敵わず、流石にシャアといえども武装の性能差は覆せなかった。


【搭乗者】

シャア・アズナブル

CV:池田 秀一

ジオン公国軍宇宙攻撃軍少佐。
年齢は階級の割には20歳ととても若い*2
物語開始以前に起きた、ルウム戦役の活躍でジオン軍の「赤い彗星」として敵味方問わず広く知られる。
真っ赤な改造軍服に特徴的なマスクを常に被っておりとても目立つ。
MSの操縦だけでなく、高い戦術眼やカリスマ性を併せ持っているという指揮官として完璧な人物。
本名は「キャスバル・レム・ダイクン」、ホワイトベースにいるセイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)の実兄で、ジオン創始者のジオン・ズム・ダイクンの実子。
父ジオンがザビ家に権力獲得のため暗殺されたとして、ザビ家に復讐を誓い、名前と素顔を隠してジオン軍に入隊する。
友人ガルマ・ザビを謀殺するなどして順調に復讐を果たすかに見えたが、ガルマを守りきれなかった責任で左遷された。
そして無所属となり、TVの画面越しにガルマの国葬を見ていた所でキシリア・ザビの親衛隊らしき人物(12話に登場)からジオン軍突撃機動軍への入隊を勧誘される。
その後は大佐に昇進し、マッドアングラー隊の司令に就任する。

【原作名台詞】

  • 「私もよくよく運のない男だな。」
    • TV版第1話から、一番最初の名セリフである。

  • 「認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを」
  • TV版第1話から、部下が先走ったあまり、2人のパイロットと2機のザクIIを失った時の台詞。

  • 「見せてもらおうか、連邦のモビルスーツの性能とやらを!!」
    • TV版第2話から、ガンダムの性能を試す為に専用のザクIIで出撃する。

  • 「当たらなければ、どうということはない!」
    • ビーム・ライフルに驚くスレンダー中尉に対しての一喝。

  • 「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということを、教えてやる!」
    「ええぃ!連邦軍のモビルスーツは化け物か!?」
    • TV版第3話から。
      ガンダムに挑むシャアは自身の技量で性能差を覆そうとするが、ガンダムの性能が予想をはるかに上回ったため、またもや敗退してしまうのであった。

  • 「勝利の栄光を君に!」
    • TV版第10話から。
      木馬を狙うガルマに労いの言葉をかける。が…

  • 「ガルマ、聞こえていたら君の生まれの不幸を呪うがいい。」
    「君はいい友人だったが、君の父上がいけなかったのだよ。はっはっはっはっは!」
    • 友であり、己の仇であるザビ家のガルマを裏切る際の台詞。

  • 「坊やだからさ。」
    • TV版第12話から。
      ギレンの「私の弟、諸君らが愛したガルマ・ザビは死んだ!何故だ!?」の台詞に対する答え。


【VS.シリーズの活躍】

連邦VSジオンシリーズ

「シャア専用ザク」の名で登場。
通常のザクの機動性や格闘などを強化してコストが上昇し、その分装甲が低下したという位置づけ。コストが上昇しているといっても、十分低コストの部類。ガンダムVS.ガンダムシリーズとは異なり、全体的に見れば無難に強化された「ちょっと強いザク」だが、シャア専用ザクの代名詞ともいえる飛び蹴り(ダッシュ格闘)などがファンの心を掴んだ。
なお、ザクの選択武装の一つであるマゼラ・トップ砲とミサイル・ポッドはシャア専用機では選択できない。

ガンダムVSガンダム

『ガンダムVS.ガンダム』では、低コストの万能タイプ機体という位置づけ。モビルアシストはドップ
「通常の3倍」モードを発動することで、短時間ながら高コスト機をも凌駕する機動性を誇る(但し通常時は低コストなりに遅い)。武装もマシンガン、バズーカ、相応の格闘と地味ながら一通りのものはあり、概して扱いやすい。

ガンダムVSガンダムNEXT

カウンターが後格になり、特殊格闘が通常の3倍、特殊射撃が弾数無限のクラッカーとなり、使い勝手がさらに上がった。
ただメイン武器の集弾率が下がったので射撃戦だけでは難しくなるも、逆に近接戦ではそのばらけのおかげでよろけを取りやすくなり、格闘を仕掛けやすくなった。

ゲーム中シン・アスカが僚機となった本機に「ルナ」と勘違いして呼びかけることがあるが、これは『SEED DESTINY』内でルナマリア・ホークが赤いザクに搭乗していることにかけたネタ。
ルナマリア機の赤いガナーザクウォーリアは同作でインパルスガンダムのアシストとして登場しているが、こちらは単に赤いだけで性能はほかのものと変わらず、アンテナもない。

EXVS.MB

NEXT以来の復活。コストは上がって2000。
特殊射撃ではなんとシャア専用ズゴックに瞬時に乗り換えて攻撃する。SA付きで使い勝手がよく、特に61戦車を投げるものは対空能力が高く、隙も短い。
また、「通常の3倍」は、ゲージ式だったNEXTと違い、発動後に着地するまで機動力を上げる、という弾数式武装になっている。ドライブと覚醒の合わせたときの速さは三倍どころじゃない。
後に家庭版EXVSFBにてDLC機体として参戦した。

EXVS.FORCE

ズゴックがCPU専用機として追加されたのもあってかズゴック変身がオミットされた。
代わりにこれまでのサブからのメインキャンセルが出来るようになった。
対人目線で言うと最大の特徴の変身もなく地味で面白みはない機体ではあるが、本作のメインモードの一つ、フォースモードでは三倍のおかけでステージを駆け巡りやすく、メインの手動リロードもありかなり優秀。
しかし地味。

GVS

200コスト機体として登場。NEXT以来となる低コストになった。
ブーストダイブ実装に伴い、キャンセルルートが削除されている他、サブと特射の弾数が減っている。

EXVS.2

機動力をアップさせるM覚醒が追加。
これに合わせて3倍を2回使用すると慣性ジャンプ一回でサイド7の幅8割を移動できるほどの超速度となる。
いくらインフレを続けている本シリーズといえどこれを上回る速さは出ないだろう。出しそうな運営ではあるがきっとないはず。
ここまで早いと美形仮面ライバル枠の後輩の機体のように死人が出そうなものである。

EXVS.2 XB

サブのバズが射CS、射撃系ズゴがサブ・格闘系ズゴが特格と別れ、3倍は特射に移行した。
更にNサブに誘導が強いミサイル、レバー特格には「戦場の絆」のような頭突きが追加された。前者は平時の射撃力の穴埋めに大きく役に立ち、後者はバエルのサブ同様に強烈な近接殺しとして機能している。もちろん従来のズゴも役割分担されており優秀の極み。

ロケテ時に本機の武装欄が公開されたのだが、基本5種のうち2つがズゴとなっており、上記の通りズゴ武装が実際優秀なので「シャア専用ズゴックと名乗るべき」という意見も。

EXVS2OB

斧投げが弾数制となり、追加でクラッカーを1個だけ投げられるようになった。
覚醒中は各種ズゴが3発まで増弾するようになり、さらにズゴック感が増した。

【勝利・敗北ポーズ】(ガンダムVSガンダムシリーズ)

勝利ポーズ

ヒートホークを持った手を突き出し、もう片方の手も伸ばして添える。

敗北ポーズ

ガックリとうなだれ、片膝をつく。動きがかくかくしている

【勝利・敗北ポーズ】(EXVS.シリーズ)

勝利ポーズ

通常:ザク・マシンガンを構える。
ズゴック乗換攻撃時:ズゴックが右腕のアイアン・ネイルを突き出す。

敗北ポーズ

通常時:胸部からスパークが散っている状態で片膝をつく。
ズゴック乗換中に敗北:ズゴックの右腕が爆散してよろけたあと、上空へ飛び去る。


【その他の活躍】

ガンダムビルドファイターズ

第23話の第7回ガンプラバトル選手権世界大会決勝戦前夜祭で登場。
ガンプラとしてではなく、会場内に1/1の立像として隣のガンダムの立像に合わせる様に右手にヒート・ホークを持った状態で展示されていた。

ガンダムビルドファイターズA-R

第6回ガンプラバトル選手権世界大会予選リーグ第8ピリオドにてカルロス・カイザーの使用したビグ・ラングの艦載機として登場。ちなみに他の艦載機も多種多様なザクである。
最後に残った艦載機で、カイザーは本機でユウキ・タツヤと一騎打ちし見事タツヤを下した。

ガンダムビルドファイターズA-T

ガンプラ塾のクリスマスイベントの赤い機体限定のガンプラバトルにて、当時ガンプラ塾に在籍していたユウキ・タツヤにあてがわれた機体として登場。
プレゼント交換形式で使用機体を決めるルールで、ガンプラ塾講師の半ば嫌がらせでタツヤが苦手と思われていた軽装機体として選択されたが、タツヤは脳内妄想シミュレーションで大抵の原作登場機体の性能と戦闘スタイルは大体把握しており相変わらず他のガンプラを蹴散らしていた。
この際タツヤはザクを気に入った様子で、おそらく後のザクアメイジングの誕生に繋がったと思われる。

ガンダムビルドダイバーズ

本機のSDサイズのガンプラである「SGシャア専用ザク」が登場。
スーパーショックガンダムの左腕になる。

ガンダム無双

オリジナルモードのシャア編では何故か百式を差し置いてクワトロの愛機としても登場し、ウイングガンダムゼロゴッドガンダムジ・Oと互角の戦いを繰り広げ、ゴッド相手にはヒート・ホークでゴッドフィンガーと鍔迫り合いをした。
また、赤いザク繋がりでルナマリアが搭乗した事も。

GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH

外国人俳優を起用した実写ゲームで、ケツアゴの容姿でファンに笑撃衝撃を与えた。
PS版では池田秀一氏による吹替が行われたが、池田氏はこのシャアをどう思ったのだろうか。

ザクに関してはゲームオーバー展開ではガンダムを力勝負で圧倒する場面が多く、抱きついてそのまま締め上げたり、ビームサーベルを受け止めて押し付けたり、パンチ一発で沈めたりしている。5倍以上のエネルギーゲインとは何だったのか

何かと容姿がネタにされているが、終盤に専用ザク単騎でホワイトベースに奇襲を仕掛け、ガンタンクとガンキャノンを撃破するという原作以上の戦果を挙げている。
それ以外にもガルマを謀る場面ではザビ家への強い怒りと憎しみを露わにし「そしてこの復讐は、君から始まるのだ!!」の名台詞を残したり、主人公に対して「スペースノイドの独立のために戦っている」と強い意志を示したりと、池田氏の熱演もあって容姿さえ気にしなければ真っ当に格好いい見せ場も用意されている。

このシャアの残した影響は大きく、「ガンダムビルドダイバーズ」でフォース「鉄仮面ズ」のメンバーの一人としてシャアのコスプレをしたケツアゴのダイバー*3が登場した際に話題になったり、2018年にハリウッド版実写映画のガンダムの制作が告知された際にSNS等で「ケツアゴシャアの再来か」と話題になったりした。

スーパーロボット大戦

シリーズによっては隠し機体として入手出来る。
グラフィックの使い回しかザクII改の色違いになっていたり角がなかったりする事も。

『F完結編』では本当に通常のザクの3倍の性能で、隠し機体とはいえガンダムF91より運動性や移動力が高いトンデモ機体。

『α』ではドーベン・ウルフとの択一でジュドーが持ち出してくる隠し機体として登場。
相変わらず反則級の運動性と移動力を持ち、耐久以外はザクとは思えない程の高性能。
ドリームキャスト移植版では弱体化し、逆にドーベン・ウルフが強化されたため図鑑埋め以外では入手する意味がなくなってしまった。


【余談】

『機動戦士ガンダム』に登場した番組序盤におけるライバル機であり、ガンダムシリーズで最も有名なやられ役こと「ザク」のいわば改造機だが、そのカラーや活躍ぶりから10話そこそこでいなくなったにもかかわらずそこらのザクとは一線を画する存在感をもつ。
シャア・アズナブルと「赤くて3倍」を象徴する機体であり、ガンダムファンや後のガンダムシリーズでもライバル機の代表となっている。
後のガンダムシリーズでも「ライバルとなるエースの搭乗機をパーソナルカラーに染めて小改造を加える」「指揮官機には角を付ける」という形で伝統として残ったが、「赤い機体色として角を付けた」 までの直球はほとんど無く、∀ガンダムでカプルのコレン・ナンダー専用機であるコレンカプルが登場したぐらい。
近しい例としては複数登場する専用機が尽く赤系であり元々の機体デザインとして角が付いているガンダムSEEDのアスラン・ザラや、ガンダムAGEのゼハート・ガレットが存在する。

また、シャアの存在感と人気は後の様々なシリーズに影響を与えた。
ガンダム系だけでもオマージュキャラはザビーネキンケドゥクロノクルシュバルツゼクスジャミルハリークルーゼアスランブシドーetcなど多岐にわたり赤い機体というのも後に大量に登場している。
また、ガンダム以外でも声優の池田氏のイメージを決定づけたキャラクターであり吹き替えや他のアニメなどで池田氏が登場すると「シャアの声の人」として扱われることが多い。

2018年にNHKで行われた全ガンダム人気投票では、シャア+クワトロ+逆シャア版シャア等複数の作品に出ているキャラを合わせた総合人気投票ではオルガ・イツカやアムロ・レイより高い一位となった。


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最終更新:2023年08月11日 01:54
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*1 実際の見た目としてはサーモンピンク

*2 ただし戦時中では特に不思議ではない

*3 使用機体は小説版登場の専用リック・ドム