ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「オヤジのバスケ」で検索した結果

検索 :
  • オヤジのバスケ
     誰と、どうした訳で、こういう事態になったかを説明し始めると、『オデッセイア』を上回る大叙事詩になる恐れがあるので割愛したい。  「3on3? って誰が? あいつらと?」 「おれが出よう。キョンを出すよりはマシだろう」 「ちょっと、キョン、こんなこと言われてるわよ!」 「今は勝つ事に集中しろ。作戦だ。長門は3ポイント・シュートを打ちまくれ。お前なら、コートのどこからでも狙えるだろ?」 「わかった」 「だが、得点源が誰だかすぐにばれる。長門が狙われるぞ」 「親父さんは、長門がシュートを打ち終えるまで、敵と長門の間に入ってガードしてください。バスケでは相手にぶつかっていくとファールを取られますから」 「なるほど。先に体を間に入れちまえば、こっちのものって訳か」 「あたしは何をすればいいの?」 「ハルヒ、おまえは指令塔だ。基本的にお前からボールが出て、こっちの攻撃が始ま...
  • 涼宮オヤジの10冊
    ハルヒ:さあ、オヤジの10冊を考えて来たでしょうね? オヤジ:ああ、それなんだが。 ハルヒ:なによ? オヤジ:  たとえば司馬遼太郎を読んでるような奴はオヤジじゃない。  オヤジなら、司馬遷『史記』か、最低でも武田泰淳『司馬遷ー史記の世界』を読む。 ハルヒ:全然、別物じゃないの! オヤジ:  たとえば塩野七生『ローマ人の物語』を読んでるような奴はオヤジじゃない。  オヤジなら、マキャベリの『政略論:ティトゥス=リウィウス『ローマ史』にもとずく論考』かギボン『ローマ帝国衰亡史』を読む。ついでにブローデル『地中海』を読む。  たとえば井沢元彦『逆説の日本史』を読んでるような奴はオヤジじゃない。  オヤジなら、イブン=ハルドゥーン『歴史序説』かマルク・ブロック『歴史のための弁明』を読む。  たとえば相田みつおを読んでるような奴はオ...
  • 涼宮オヤジの5冊
    ハルヒ:随分と間があいちゃったけど、さっさと5冊をあげなさい! オヤジ:5冊じゃきかんぞ。ホワイト博士だろ、シアーズ博士だろ、スポック博士に松田道雄……って、あ、これでちょうど5冊までいったな。 ハルヒ:何よ、それ? オヤジ:何って育児書だよ。 決定版 ホワイト博士の育児書―3歳までに親がすべきこと シアーズ博士夫妻のベビーブック 最新版 スポック博士の育児書 定本育児の百科 ハルヒ:なんでベスト5のうち4冊が育児書なのよ! オヤジ:母さんと約束したからな(「親父の一番長い日」参照)。あとのことはまかせろ、って。だからこの4冊は暗記したぞ。あと医学書だが『メルク・マニュアル』と『ネルソン小児科学』は当時は邦訳がなかったから原書で読んだ。だから、おまえは、おれのおっぱいで育ったようなもんだ。 ハルヒ:気持ち悪い上に、誤解を招く...
  • 涼宮オヤジの1冊
    ハルヒ:というわけで、企画意図がわかんないけど、親父が読んだ本を100冊あげるわよ。 親 父:100冊じゃきかんぞ。 ハルヒ:だったら、おすすめ順に言えばいいでしょ。それくらい気をきかせなさい。 親 父:わるかったな。 ハルヒ:まず1冊あげるとしたら何? 親 父:  1冊だけというなら、「アルフ・ライラ・ワ・ライラ(千夜一夜物語)」だな。もちろんバートン卿のエロイ訳の奴で。  女性不信で夜伽をさせた女を朝には殺してたビョーキの王様に、シェラザード姫がえっちな身体と思わず続きが聞きたくなるお話でもって、1000夜を生き延び、1000人の女の子が犠牲になることを防いだばかりか、その間に3人も子供を生んだという話だ。  大枠の話もアレだが、姫が語る物語がどれもこれも絶品。ひどいの、ひどくないのって。あらゆる物語は、彼女によって誰よりもうまく、すでに語...
  • オヤジ野球
    キョン 野球ですか? オヤジ そう。助人だ。 キョン あの、もしかして経験は? オヤジ ない。球技全般、やったことがない。 キョン ……ハルヒが小さい頃、野球を見に行ったっていう、欠くべからぬエピソードがあるんですが。 オヤジ 人が大勢集まるところが好きなんだ。 キョン ……。 ハルヒ ルールくらい知ってるんでしょうね!? オヤジ まかせろ。昨日、漫画喫茶で野球マンガは残らず読んできた。 キョン ……それで、その床に散らばってる硬球の残骸のようなものは? オヤジ 変形して投げると分身するらしいんでな。試してみた。 ハルヒ なんで、魔球から入ろうとすんのよ!? キョン それで、おれたちに頼みってのは? オヤジ ああ、練習試合をしたい。どうもおれは実戦から多くを学ぶタイプのようだ。 キョン 否定はしませんが。……あの、おれたちに集められるメンバーというと、いつかのあれになるんですが。 オヤジ ...
  • 親父さん、何読んでるの?(涼宮オヤジの100冊)
    涼宮オヤジの1冊 「アルフ・ライラ・ワ・ライラ(千夜一夜物語)」バートン卿のエロイ訳 涼宮オヤジの5冊 『決定版 ホワイト博士の育児書―3歳までに親がすべきこと』 『シアーズ博士夫妻のベビーブック』 『最新版 スポック博士の育児書』 『定本育児の百科』 涼宮オヤジの10冊 司馬遷『史記』 武田泰淳『司馬遷ー史記の世界』 マキャベリ『政略論:ティトゥス=リウィウス『ローマ史』にもとずく論考』 ギボン『ローマ帝国衰亡史』 ブローデル『地中海』 イブン=ハルドゥーン『歴史序説』 マルク・ブロック『歴史のための弁明』 ルー・リード『ニューヨーク・ストーリー』 涼宮オヤジの20冊 ホメロス『オデュッセイア』 エリック・ホッファー『波止場日記』 母さんの数冊 Gretchen Ward Warren,“Classical Ballet Technique" Agrippi...
  • オヤジラジオ その1
    (ある日の涼宮家) ハルヒ ミニFM局?だれがすんのよ、そんなもの? オヤジ おれがDJ、そのほかのめんどいことはすべて長門のサポートだ。 ハルヒ こら、前途ある女子高生を悪の道に誘いこむんじゃない! だいたい、あんた、娘の友人を呼び捨てにするって、えらく不評なんだからね。 オヤジ 言いたい奴には言わせておけ。「ちゃん付け」「さん付け」が入り用なら、のび太のオヤジでも連れて来い。それとも何か? いまさら「キョン君」なんて呼んで欲しいのか? ハルヒ うぐ、き、キョンは別腹よ。 オヤジ 食うのか? ハルヒ 食わない! オヤジ ああ、もう食ったのか。 ハルヒ 話が進まないでしょ! オヤジ 悪の道うんぬんは濡れ衣だ。そもそも今回の話は長門からだ。ほれ、これが企画書。 ハルヒ あいかわらず印刷したみたいな明朝体ね。有希の字だわ。 オヤジ 昔作った鉱石ラジオの話をしたらな、興味が湧いたそうだ。...
  • オヤジラジオ その4
    オヤジラジオ その3から ハルヒ それ、どういうこと? じゃあ、発信機を探しだせても、何にもならないの? キョン そういうことだ。 ハルヒ ちょっと、キョン、どうすんのよ!? キョン ハルヒ、落ち着け。 ハルヒ って、あんたは何でそんなに落ち着いてんのよ!? キョン ハルヒ、これって、いろいろ周囲を巻きこんで多少傍迷惑ではあるが、要するに、お前と親父さんの親子ゲンカだろ。 ハルヒ う、うぐ。た、確かに、そう言えなくもないけど。 キョン だから、だ。俺たちが背負ってるのは世界の破滅でも、誰かの不幸でもない。相手は超常現象でも不条理でもない。いくらか常軌を逸しているが、親父さんの悪知恵と悪戯心に勝てばいいんだろ。 ハルヒ ぶっちゃけ、そうよ!  キョン だったらな、ハルヒ、おれたちは多分、答えの鍵をすでに手にしてると思うぞ。 ハルヒ どういうこと? キョン それも、後でなんで気付かなか...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ...) 冷蔵庫のあかり オヤジのバスケ 化粧 親父抜きの大晦日 Sweet Pain 師走の親父 通り魔2 雪洞の親父 しもやけ オヤジ野球 ホワイトデー ちかんにあった 朝食の情景 親父の臨終 ハルヒと親父シリーズ以外:主としてハルキョンもの +異年齢シリーズ 異年齢シリーズ ハルヒ>キョン   ハルヒ先輩 ハルヒ先輩2 ハルヒ先輩3 ハルヒ先輩4   ハルヒ先輩5 ハルヒ先輩6 ハルヒ先輩7 ハルヒ先輩8 ハルヒ<キョン   保健室へ行こう 保健室へ行こう2 保健室へ行こう3 保健室へ行こう4   保健室へ行こう5 保健室へ行こう6 +「二人は暮らし始めました」シリーズ 二人は暮らし始めました   1日目  2日目  3日目  4日目  5日目  6日目  7日目   8日目  9日目  10日目 二人は暮らし始めましたー外伝   ハ...
  • オヤジ野球3
    オヤジ野球2から キョン うちが先攻か。向こうは親父さんが投げるんだな。 ハルヒ あたしが、各自の適性と実績をもとに最高のオーダーを考えて来たわ。 キョン 1番ピッチャー、ハルヒ。……。 ハルヒ 打順は打率のいい順よ。それが一番合理的だって長嶋総監督も言ってたわ。 キョン ……それはいい。2番でキャッチャーが、俺ってのは? ハルヒ そ、それは、さっきも言ったとおりよ! それとも、あたしの球を捕るのが不服とでも? オヤジ おおい、キョン、カーブの握りはこれでいいのか? キョン ……親父さん、せめてグラウンドに着く前に確認して下さい。 ハルヒ キョン、敵に塩を送る気? 古泉 歴史上かつ一般的には賞賛される行為ですが、今は控えていただいた方が。わがチームは9人ぎりぎりだということをお忘れなく。 キョン いっそ誰かに急なバイトが入って、メンバー不足で放棄試合というのを狙わないか? 古泉 ...
  • オヤジ野球4
    オヤジ野球3から オヤジ お、次の打者はキョンか? いきなり魔球でいくぞ。 キョン いや、まだ1回の2番打者だし、お願いですから、もう少し温存してください。 オヤジ じゃあ、すごく速くて痛い親父ストレートと、すごく曲がって痛い親父シンカーとじゃ、どっちがいい? キョン ……選べるのは、球種だけなんですね。 ハルヒ ちょっと、親父! ぶつけでもしたら、ただじゃおかないからね!! オヤジ ほう、どうするつもりだ? ハルヒ 野球以外で勝負を決するに決まってるでしょ! オヤジ おもしろい。受けて立つぞ。 キョン あー、ハルヒ、落ちつけ。多分、ボールに当たることはないから。親父さん、試合を続けましょう。 オヤジ お、おう。 ハルヒ あ、あんたがそこまで言うなら。 古泉 両者引きましたが、今ので親父チームは、また盛り上がってますね。 みくる な、長門さん、そのメガネは? 長門 ……自己主張。...
  • オヤジ野球5
    オヤジ野球4から  ここで打順と守備位置を確認しておこう。  1番、ピッチャー、ハルヒ。  2番、キャッチャー、おれ。  3番、ファースト、古泉。  4番、セカンド、長門。  5番、サード、鶴屋さん。  6番、ショート、朝比奈さん。  7番、レフト、谷口。  8番、センター、国木田。  9番、ライト、妹。  はっきり言って、今回のは、打席順がそのまま守備位置の対応するのだが、ハルヒ曰く、 「みくるちゃんに守備は期待してないわ。大丈夫、いかに鬼畜なオヤジたちでも、みくるちゃんにボールをぶつけたりはしないはずよ。三遊間には、見えない萌えバリアーが築かれたのも同然ね。サードには、「ハルヒちゃん」スペックの鶴屋さんがいるし、運動能力と予測力には折り紙付きの有希がセカンドに入るわ。という訳で、有希、わるいけどショートからライトまでのエリアはあんたに任せるか...
  • オヤジ野球2
    オヤジ野球から キョン 親父さんの方のチームって、…… オヤジ うむ。見事におやじだらけだ。映画の影響もあって、ハルキョン・ファンが増えた。 (親父チーム選手) ながとー、メガネかけてくれー。 キョン あれも映画の影響ですか。 オヤジ あいつらから見ると、さしずめ、おまえらはドリーム・チームに見えてるんだろうな。どうだ、西宮市のために一肌ぬいだら? ハルヒ 願い下げよ!! オヤジ ほとんどの奴の意識は、終わった後の合同打ち上げに行っちまってる。あ、ちなみに負けたチームの払いだぞ。 キョン どこが練習試合ですか!? ハルヒ みんな、エロい親父たちをギッタンギッタンにして、いいお肉食べるわよ!!みくるちゃん、今日はサービスショットはいらないから、秘めたる実力を発揮しなさい! キョン ハルヒ、中の人というのは、本当は「中」にいるんじゃなくて、別の次元にいるんだ。 キョンの妹 はるにゃー...
  • オヤジ狩り
     あー、なんだ、おまえら?  ふーん、警棒にスタンガンに催涙スプレーか? いきなりそんなもの向けられたら、誰だっていい顔しないぞ。  腰が引けてるな。最初、取り囲んだときに、相手がびびってくれないと、案外、攻めかかる機会がないだろ。  あ、すまん。思いっきり蹴っちまった。後ろからこられると手加減が難しい。って、聞いてないか?  相手に見られると攻撃しにくいだろ?顔をみてしまうと攻撃のテンションが上がらんように遺伝子にプログラミングしてあるんだ。猟友会も猿とは目が合うからと撃ちたがらない。  逆に後からだと殴りかかりやすいんだが、かといって相手の顔が見えないんで実はタイミングをはずしやすい。相手が気付いているかどうかも、わかりづらい。  四本足だった頃の記憶かしらんが、上半身は縮める方向に力を入れ易く感じるらしい。前足は引きつける方向に地面を蹴っていただろ? だから突きは練...
  • オヤジラジオ その3
    オヤジラジオ その2から ハルヒ なによ、このヘタクソなピアノは!? オヤジの奴ね! キョン 確かにがんがんぶっ叩き系だが、ノリノリだな。お、グリッセント。 ハルヒ これくらい、あたしにだって弾けるわよ! キョン そりゃ、おまえは弾けるだろうがな。あ、長門のボーカル。 古泉 お取り込み中のところ、申し訳ありません。 キョン 別に取り込んじゃいないぞ。 ハルヒ いないわ。 古泉 ……送信機の奪取に一応の目処が着きましたので、ご報告を。 キョン 随分、速いな。 古泉 探すべき場所が無線LANスポットに限定されたので、捜索に当たる人員を増員しました。市内の公衆LANスポットを手分けして一斉に当たらせてます。あ、ご心配なく。突然駆りだされたボランティアのみなさんですので。 キョン 駆りだされたら、ボランティアじゃないだろ。 鶴屋 と、言う訳なのさ。目処もついたみたいだしさ、ハルニャンた...
  • オヤジラジオ その2
    オヤジラジオ その1から オヤジ 周波数不明、発信地不定、一日限りのオヤジ・ラジオだ。 バチカン市国、サン・ピエトロ寺院前広場から絶賛生中継でお送りする。 じゃあ、まず最初のハガキを読むか。匿名希望、西宮市の谷口君からのメッセージ。 「どうしたら、モテるようになりますか?」 って、おまえ、こればっかりだな。もっと人が読まないような難しげな本でも読んだ方が、将来後悔しないぞ。 ああ、モテる方法だったな。とりあえず大枚はたいて、等身大の熊のぬいぐるみを買え。そして毎日そいつを連れて登校するんだ。教師やクラスメイトからは引かれるだろうが、2週間もすれば痛いウワサが行き渡って、周囲の学校から女生徒のみが見物に来るぞ。サインしてやるときに、メアドくらい聞けるだろ。まあ、がんばれ。 じゃあ、最初の曲。我が相棒、長門有希のリクエストで、ムソルグスキー作曲、編曲と演奏はうちの母さんで「禿山の一夜...
  • オヤジ野球6
    オヤジ野球5から  親父さんの予言通り、試合は投手戦となった。  もっとも投球内容はハルヒと親父さんとでは、随分違っていた。  なにしろ初球からナックルなど投げて来るくせ者の親父さんである。  鶴屋さん曰く、「うーん、打ちごろだ、こりゃ真芯でとらえたよと思ったんだけどさっ、手元で微妙な変化させてるみたいだね、いやー敵ながら天晴れ天晴れっ!」  朝比奈さん曰く「怖くて、その、目をつぶってたんですぅ。そしたら『今だ、振れ!』って声がして、え?え?とおもってバットを振りまわしたら、涼宮さんのお父さんがフライを捕ってました」  谷口そして国木田。 「ありゃ、手に追えないぜ。打つってより、打たされてるって感じだ」 「確かにね。そんなに速くもないし、コースも打ちやすそうで、バットに当てるところまではいくんだけど」  それから、妹。 「キ...
  • オヤジ野球8
    オヤジ野球7から  5回裏、親父チームの攻撃。  1球目、おれはハルヒにナックルのサインを出した。  親父さんはどんなズルを使ったかわからんが、ナックルは本来、ボールの握り方、放し方も特殊なら、投げるフォームも(普通は)異なる。  つまり、投球フォームを見ていれば、打者は投げ込まれる球種がナックルであることを事前に察知できる。  それでも、どう変化するか(投げた者にも)わからず、打ちづらいのが特徴だ。  ハルヒはこの試合、今まで力押しのストレートしか投げてない。  だからこそ、親父チームの面々には、驚いてもらわないとな。  性格からは、実の親父さんにすら予想できないハルヒの変わりっぷりにだ、 「ボール!」  ナックルはボール1個分、ストライク・ゾーンの下を通った。  しかし、ハルヒの投げた球は、揺れに揺れ、打者の手前で驚くほど...
  • 涼宮オヤジの20冊
    ホメロス『オデュッセイア』 エリック・ホッファー『波止場日記』 ホメロス『オデュッセイア』  ホメロスは世界で最初の、しかも最高の文学者だ。ここで神話と文学は分かれる。  古代ギリシアの悲劇も叙事詩も、ともに神の血を引く人間たちの姿が英雄的に描かれる。  だが、『オデッセイア』は違う。この主人公は、どんな英雄も、巨人も、精霊も、神をも向こうに回すが、その終始違わぬその望みは、愛するものがいる故郷へ、我が家へ帰り着くことだけだ。なにしろ戦争に駆り出されたくなくて、アホの振りをしたくらいだ。  多くの神に愛され守られていたトロイアは、この男オデッセウスの知謀なしには、決して攻略されなかっただろう。そのせいで神の恨みを買ったこいつは、10年間の戦争の後、さらに10年、世界中の海を彷徨い、恐ろしい一つ目の巨人や歌声で魅了し船という船を難破させるセイレーンなんかに遭遇する羽目になる...
  • オヤジ野球7
    オヤジ野球6から  4回裏の親父チームの攻撃は、 「ふやああ!」 という絹を割くような(?)悲鳴と共にしゃがみこみ頭をかばったはずのグローブに、ショート強襲のライナーが偶然(?)にも自ら飛びこんでくれることで終わりとなった。  よくできた科学は魔術と、できすぎた科学はご都合主義と、それぞれ見分けがつかないと言ったのは誰だったか。  誰も不幸にならないこの程度のご都合主義なら歓迎すべきだろう。  だが、打者一巡して、ハルヒの投球に、親父チームの打線はタイミングが合ってきたのも、逃れようのない事実だ。  そして、5回表のおれたちの攻撃。  「少しお話が。いえ、世界的な危機と言うより、我々の打線、つまり攻撃についてです」 「おきまりだが、顔が近い。あと言うまでもないが、今日はズルはなしだぞ」 「ええ、涼宮さんも入れて相談できる内容です。提案者...
  • 嫁いだ日
    オヤジ 行っちまったか。 ハルヒ母 ええ。 オヤジ 騒がしい奴らだったな。 ハルヒ母 いなくなるとさびしくなりますね。 オヤジ 自分たちの住処を見つけて、越していっただけだぞ、母さん。 ハルヒ母 ええ。私たちもそうして一人立ちしたのよ。 オヤジ 今のあいつらよりは、歳くってたけどな。 ハルヒ母 今ごろになって、お父さんの気持ちが少し分かった気がするの。 オヤジ どの気持ちだ? ハルヒ母 「惜しくってたまらん。美人に育ちすぎたぞ」って。 オヤジ そんなこと言ったのか、おれ。 ハルヒ母 ええ。 オヤジ 馬鹿オヤジ、ここに極まれリ、だな。 ハルヒ母 そういうところも好きですよ。 オヤジ あいつらが出ていったら、犬でも飼おうかと思ったんだけどな。 ハルヒ母 そうなの? オヤジ だが、やめた。こんな気持ちは一度でたくさんだ。 ハルヒ...
  • 図書館で−オヤジラジオ・プロローグ
    親父 今日は、スピノザに、トゥキディデスに、聖ヒルデガルト、ディラックに、鈴木邦夫かよ。 長門 ……? 親父 俺だ、ハルヒんとこの親父だ。 長門 ……オヤジ。 親父 そう、親父。……借りた本、重そうだな。半分持とうか? 長門 大丈夫。問題ない。 親父 そうか。それじゃあ、何か飲まないか? 長門 飲む? 親父 図書館の下に学食みたいな喫茶室があったろ。おごってやるからつきあえ。 長門 ……わかった。 親父 日曜は大抵来てるのか? 長門 そう。 親父 一言多い司書がいてな、ちょっと顔なじみなんで、教えてくれたんだ。さっき目の端にお前さんが映ってな、そっちを見てたら「毎週日曜日、セーラー服で一日中本を読んでる娘がいるんだが、知り合いか?」ってな。 長門 ……そう。 親父 俺は借りてたDVDを返しにきた。休みがいい加減でな、2週間ばかり延滞だ。俺の見る映画なんて見る奴は少ないけどな。 長...
  • 一人旅に必要な事 エピソード4
    参観日 (登場人物) キョン:バツ1。前妻と離婚後、ハルヒと結婚。 アキ:キョンと前妻の子。連れ子。ハルヒに懐いてる。 ナツキ:キョンとハルヒの子。 オヤジ:ハルヒの父、アキ、ナツキの祖父 母さん:ハルヒの母、アキ、ナツキの祖母。 オヤジ アキの参観日? ハル母 そう。 オヤジ 母さんが俺にその話をするってことは、あいつら忙しいのか? ハル母 ありがたいことにね。 オヤジ キョンが無職だった頃は一日中一緒だったからな。で、母さんが替わりに行くのか? ハル母 ふふふ。 オヤジ ……何故だか、母さんの考えてることが分かる。 ハル母 長年連れ添った夫婦ですもの。『参観日』って、おとうさんにとってはレア・アイテムでしょ? オヤジ 仕事が忙しかったし、ハルヒが死ぬほど嫌がったからな。 ハル母 それだけじゃないですけど。 オヤジ はて? ハル母 お父さんのことだから、自分のしたことは忘れ...
  • 涼宮ハルヒの特訓
    母さん どうしたの!ハル、その格好? ハルヒ 知らないおっさんに捕まりそうになって、気持ち悪いから、頭突きして逃げてきたわ。あと、おっさんの車のナンバー、覚えてるわ! 母さん まあ、大変。ケガはない?どこか痛いところは? ハルヒ ない。おでこが少し痛いけど。 母さん どれどれ、ええ、大丈夫みたいね。無事でよかったわ。でも、どうして頭突きにしたの? ハルヒ 最初ぼかぼか殴ってやったんだけど、そんな小さな手じゃきかないな、って言われたんで、もっと重くて大きなもの、と思ってアタマを思いついたの。 母さん まあ、そうなの。……んー、ハル、まだ元気あるかしら? ハルヒ もちろん、あるわ! 母さん じゃ、ちょっと『特訓』しましょう。お庭にいらっしゃい。母さん、そのおじさんの車のナンバー、警察に電話しとくから。 ハルヒ ね、ね、『特訓』って何するの? 悪い...
  • 捨て猫と会った日のこと
    ハルヒ あ、猫だ。 オヤジ うむ。捨て猫らしいな。 ハルヒ ほんと、捨ててあるの?……ここは人道的配慮から、あたしが拾ってて、うちで飼うわ! オヤジ ハルヒ、猫が死ぬところを見たことがあるか? ハルヒ え? ううん、ない。 オヤジ 質問を変えよう。猫が死ぬとこが見たいか? ハルヒ そんなの見たくないわ。 オヤジ だったら、そいつに手を出すな。 ハルヒ な! なんで? どうしてよ! オヤジ 言って欲しいか? そいつはもうすぐ死ぬからだ。 ハルヒ え……。 オヤジ 随分弱ってる。もうミルクどころか水も飲めないだろう。 ハルヒ そ、そんな! 親父、なんとかして! たまには役に立ちなさい! オヤジ じゃあ、死ぬときまで、おれが責任持って見ててやる。それでいいか? ハルヒ そうじゃない! 助けなさいっていってんの! あんた、それでも人間? 血も涙もないの!? オヤジ 涙ぐらいいくらでも流せる。血も誰...
  • ロール・プレイング その9
    ロール・プレイング その8から 西の国の王女 西の塔に出した軍から、飛竜が戻りました。 ??? 連絡用に連れていった奴ね。それで? 西の国の王女 司令官からの書簡が届きました。「外の力を持つたった一人の男が、我が軍勢を圧し帰した」とあります。……あなたの言うとおりになりましたね。 ??? やる気が、傍目にはものすごく分かりにくいけど、やる時はやる奴だって言ったでしょ。さあ、今度はあんたの番よ! 西の国の王女 約束したことは守ります。……でも、私に本当にできるのでしょうか? ??? できるできないじゃなくて、や・る・の! ここまで来たら、腹を決めるしかないわ。 西の国の王女 ……ここまでやってきたことも、あなたが来なければ、どれもできないことでした。 ??? そうね。あんたには不可能に思えた。でも、あんたはそれをやったのよ。 西の国の王女 ……。 ??? あんたが思いを固めてやり抜...
  • やつは大変なものを盗んで行きました
    オヤジ 母さん、あれは何だ? 母さん ハルですか? キョン君とケンカしたんですよ。 オヤジ ふーん、ケンカするのか、あいつら。 母さん そりゃもう、しょっちゅう。 オヤジ 相手を「甘噛み」するのは、ケンカと言わんぞ。 母さん じゃあ、じゃれ合いかしら? それとも、ちちく……。 オヤジ ごほん、けほん。 母さん お父さん、風邪ですか? オヤジ 引いたことないんだけどな。……なんとかとバカ親父は風邪を引かないらしい。 母さん 今年は新型だそうですから。……あら、慰めにいくの? オヤジ そうじゃない。バカ娘が抱きつぶしてるクッションを救出に、な。 母さん がんばってね。 オヤジ やい、こら、そこの娘。 ハルヒ ……なんか用? オヤジ 頭の中はシンプルなのに、外に出てくるまでがややこしいんだよな。ったく。 ハルヒ 用がないなら、どっか行って。あんたを相手する無駄な力はないの。 オヤジ 泣...
  • ロール・プレイング その2
    ロール・プレイング その1から キョン でも、手配書なんて、どこで手に入れたんですか? オヤジ 街だ。酒場があったろ。お前が寝てから行ってみた。で、酒場にベタベタ貼ってあるのを見て、こっちは仰天だ。一枚ひっぺがして、こう言った。『このべっぴんさんは誰だ? どこに行けば会える?』。よっぱらい連中が、ああかわいそうな奴って感じで、いろいろ教えてくれたぞ。 キョン さすがです。……おれも、そこまでは、とても……。 オヤジ うちのバカ娘がブスだと言うのか? キョン いや、そっちじゃなくて! オヤジ 冗談だ。 キョン だいたい酒場なんて、お金はどうしたんですか? オヤジ 飲んでもないのに、金なんか払えるか。 キョン 飲みもしないで、よく追い出されませんでしたね。 オヤジ よっぱらい連中を乗せて乗せて、酒場の雰囲気を盛り上げて、いつもの倍は飲ませたろう。おれ一人分の酒代じゃおつりが来る。 キ...
  • 長門有希の空腹
    ハルヒ 親父! 味付けはともかく、あんたはいつになったら量の調整ができるようになるのよ!? オヤジ 母さんが精魂込めて育てたゴーヤだ。大事に使おうと思ってたら、他の食材が増えた。 ハルヒ 意味がわかんない! このゴーヤチャンプルー、5人前はあるわよ! まあ、とりあえずキョンを呼ぶとして……。あ、キョン?あんた暇でしょ、今すぐうちに……。 オヤジ おい、ハルヒ、ちょっと玄関先を見て来い。誰か倒れた音がした。 ハルヒ 何を言って……。 オヤジ 親父イヤーは、地獄耳だ。いいから見てこい。 ハルヒ まったく、なんだって……。ち、ちょっと! 有希? なに、どうしたの!? 長門 おなか……すいた。 オヤジ ほう、いい食いっぷりだ。長門、もっと食っていいぞ。 ハルヒ 親父、おかわり! オヤジ おまえは単なる食い過ぎだ。自重しろ。 ピンポーン ハルヒ 誰か、来たわよ。 オヤジ 来たわよ、...
  • ロール・プレイング その3
    ロール・プレイング その2から オヤジ あいつらは? キョン ええ、火に当たって濡れた体を乾かしてます。親父さんそれは? オヤジ ん?ああ、タロットだ。おれたちの世界で言うと、マルセイユ版って奴だ。酒場でやたら絡んでくる奴がいてな、ちょっとした賭けをして巻き上げた。 キョン 大丈夫ですか? 占い師なら、商売あがったりじゃ? オヤジ 残念だが、タロットは占いもカバラも無関係のあとからのこじつけ、って結論が出てる。ダメットって学者が分厚い本を書いててな。今度貸してやる。 キョン は、はい。 オヤジ で、どう思う? キョン 何がです? オヤジ とぼけるな。おまえが気付いてないはずがない。 キョン ……。 オヤジ じゃあ聞くが、さっき斬り方が分かったとか言ってたが、その時「あいつ」の声はしたか? キョン ……親父さん、実は……。 オヤジ ちょっと待て。「実は」ってんなら、おれの方が先に話...
  • 先延ばしの詩(うた)
    ハルヒ このバカキョン! あんたはいつもいつも、なんでぎりぎりになるまで放っておくのよ! あんたのその「ぐずぐず主義」はアメリカあたりじゃもう立派に治療の範囲よ! キョン そんな、オーバーな。 ハルヒ オーバーでもなんでもないわ。ぐずぐず主義ってのは、procrastinationの訳語よ。アマゾンで探してみなさい。200を優に超える「なおし方本」が見つかるわ。ちなみにあんたみたいなのはprocrastinatorっていうのよ。日本語に訳せば「ぐず」ね。 キョン 英語を経由する意味がない! オヤジ 休日に騒がしいぞ、ハルキョン。まったくおまえら「トムとジェリー」か? ハルヒ 何よ、それ? オヤジ 往年のスラップスティック・アニメだ。ちなみにスラップスティック・コメディを「ドタバタ喜劇」と訳したのは淀川長治だ。 ハルヒ どうでもいいのよ、そんな雑誌の一行知識みたいなのは! オヤジ ついでにラ...
  • ロール・プレイング その8
    ロール・プレイング その7から 兵士A おい、あいつ、本当にやっちまいやがった。 兵士B ああ。たった一人であの軍勢を押し戻した。 兵士A 人っ子一人いないぞ。西のやつら、逃げ帰るのも迅速だ。 兵士B あれだけの兵に、竜までいて……。それが気にかかるがな。しかし、今は先にすべきことがある。 兵士A ああ、そのとおりだ。 皇太子 「そこまでやっていいのか」ですって? つまらないことを考えるのですね。 オヤジ やっと入れ替わったか、デブ王子。 皇太子 不敬の罪は問わないでおきましょう。 オヤジ 口の聞き方を覚えるのはそっちだろ。おれは大人だぞ。 皇太子 それが何か? オヤジ 自分が世界を支えてる訳じゃないと知ってもなお、その「つまらないこと」に命投げ出して考えられるようになったら、赤飯を炊いてやる。 皇太子 支えるのは民草の役目でしょう。この世界が変わるのを、あるべき姿に変...
  • 親父さんと谷口くんエピローグ
    親父さんと谷口くん5から オヤジ 母さん、ちょっと頼みがあるんだが。 ハル母 なんですか、お父さん。 オヤジ 今から、谷口ってのが戦勝報告にくるらしい。まえにハルキョンも連れて、初デートを覗きにいった奴がいたろ? もう3ヶ月経つが、うまくいってるんでお礼方々伺いたいんだと。 ハル母 礼儀正しい方ですね。ハルヒと中学から同級の人でしたね。 オヤジ うーん。やっぱりうちのバカ娘は育て方を間違えたか? ハル母 あれでも、外ではちゃんとしてるみたいですよ。 オヤジ 粗暴なのは親父限定か。あ、それでな。男女別々に話を聞こうと思うんだが。 ハル母 そうなの? じゃあ、彼女さんにはお茶の用意を手伝ってもらいます。 オヤジ 頼む。親父の道楽に付き合わせてすまんな。 ハル母 ふふ、何をいまさら。それに楽しいことじゃないと私も付き合わないわ。 谷口 おじゃまします! 彼女 あの、失礼しま...
  • そのとき親父-書きは何を思ったか(その24)?
     ひさびさに言い訳コーナーです。 終電車  ハルヒスレに、ハルキョンが生き別れて……という話を書いている人が居たので、書いてみました。  テイストとしては夏の自転車に似てます。  普段バカップルものとかバカ親父ものを書いてるんですが、それだけに、「こいつら、離れたらどうなってしまうんだろう?」という疑問は常に有ったりします。  「離れたら、どうなるか」については、「その後」を書いてみたことがあるのですが(『一人旅に必要な事』シリーズ)、今回は「その前」を書くことで、この疑問に自分なりに答えられないか、と思って書きました。  間接的には、こいつら、なんでこんなにバカップルなんだ?とか、こんなにバカップルで大丈夫か?といった疑念に答えるバックステージ(舞台裏)ものでもあり、  直接的には、実は日常の中に無数にあるバッドエンドへの分岐を、こいつらはどうや...
  • 父の日のこと
    オヤジ 今日は父の日だな。 ハルヒ ……。 オヤジ 今日は父の日だな。 ハルヒ それが何? オヤジ おれはおまえの何だ? ハルヒ 親父。 オヤジ 親父とは父のことだ。 ハルヒ そうみたいね。 オヤジ ……。 ハルヒ ……。 オヤジ ……。 ハルヒ ……うっとうしい。何が欲しいのか、早く言いなさい! オヤジ 愛。 ハルヒ 他当たりなさい。母さんとか。 オヤジ 母さんにとって、俺は夫だ。父ではない。 ハルヒ 父の日は、1909年にアメリカ・ワシントン州在住のJ.B.ドット夫人が、彼女を含む子供6人を男手ひとつで育ててくれた父をたたえて、教会の牧師にお願いして父の誕生月6月に父の日礼拝をしてもらったことがきっかけになって始まったの。 オヤジ ……。 ハルヒ このお父さんも、子供たちが全員、成人した後、亡くなっちゃうんだけどね。...
  • 親父とRPG その3
    親父とRPG その2から ひゅーーどかん! 「誰!? 今、モンスターに、ロケット・ランチャーぶっ放した奴!?」 「おれだ、遅くなったな」 「親父さん!」 「首のつながったキョンと、そこにぶら下がってるバカ娘が見えるぞ。どうやら間に合ったらしいな」 「こっちは、足でリセットボタンを押したい気分よ!」 「ハルヒ、考えても見ろ、この人を敵に回すのと、味方の後ろでヤジらせるのと、どっちが心臓に悪い?」 「地獄の最下層コキュートス(嘆きの川)で氷漬けにするか、アトラスに代わってジブラルタル海峡のところで天空を担がせ支えさせるか、って選択肢はないの?」 「なんだかんだ言って愛されてるな、キョン」 「いや、親父さんが単にものすごく嫌われてるという話じゃないかと」 「敵にこれだけ囲まれても、その余裕、さすがはハルキョンだ」 「え、なんだ!? 中盤の山場とは言え、あのモンスタ...
  • オヤジサンタ
     コンコンと部屋の窓ガラスを叩く音がして、何か赤いものが外を横切った。 「よお、キョン。今日は冷えるな。しかし、あまり時間がない。急いでくれ」 「親父さん、これはいったい?」 「見て分からんか? サンタだ」 「いや、それは、わかるんですが」 「おれもこの歳でやるとは思わなかった。老後の楽しみに取っておこうと思ってたんだが、この御時世に人手不足らしい。誰か首相に教えてやれ」 「おれも行くんですか?」 「そうだ。オチも考えてあるから心配するな。一通り配り終えたら、おまえさんにストッキングをかぶせて、バカ娘の部屋に窓から放り込む。悪く思わんでくれ」  自分の「行く末」の方は無視して、おれは今聞いておかないと、この先きっと質問する機会が永遠に失われるであろう事項について尋ねた。 「このトナカイとそり、宙に浮いてるように見えるんですが?」 「だからサンタだ。原理はいまいち分からん...
  • ファーストキス・ショット
    ハルヒ母 お父さん、こんなのが出てきました。 オヤジ 写真か。あんまり得意じゃないから、何枚も残ってないんだが。ほう、ちっこいハルヒだ。 ハルヒ母 ビデオは、たくさんあるんですけどね。 オヤジ 俺もあいつも、じっとしてられないタイプだからな。 ハルヒ母 そうですねえ。 オヤジ だが、こいつはよく撮れてる。 ハルヒ母 そうなんです。 オヤジ 何故だろう? ハルヒ母 ふふ、何故でしょう? オヤジ 降参だ。母さん、おしえてくれ。 ハルヒ母 見て分からない? この写真のハル。 オヤジ うん。 ハルヒ母 目をつぶっているわ。 オヤジ そうだな。 ハルヒ母 で、口を閉じてるでしょ。 オヤジ 珍しいこともあるもんだ。 ハルヒ母 ちょっと唇を突き出して、ね。 オヤジ !なるほど。ヤフオクに出したら30万は下らないな。 ハルヒ母 お父...
  • What's Love?
    ハルヒ ねえ、親父? オヤジ なんだ、娘? ハルヒ 人を好きになったことある? オヤジ 誰に聞いてるんだ、というより、誰が聞いてるんだ、って感じの質問だな。 ハルヒ 答えて。 オヤジ おまえ、自分が何で生まれたのか、わかってないのか。 ハルヒ 知らないわけじゃないけど、信じられないだけよ。 オヤジ おれと母さんが愛し合ったからだ。そして今も愛し合ってるし、この先もずっと愛し合ってるだろう。どうだ、まいったか。 ハルヒ ……。 オヤジ では、若輩者に恋とは何か、教えてやろう。 オヤジ 眺めている間は、世界の端ばしまでが見渡せるように思える。何もかもわかったような気になれる。だが一歩前に出て相手に触れたら最後、一瞬にして全てを見失う。音は耳鳴りのように自分の内側だけから聞こえる。手はしびれ、感触らしきものも確かでない。そして目に見えるのはもう、そいつだけだ。だが、世界は色を、においを、温度を、...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その9)?
     「ハルヒと親父」以外の話を、《バカ順》に整理してみたのだけれど、改めて「とてもバカ」な話が多いように思う。要するに好きなのだ。「ハルヒと親父」は、「ちょっといい話」の流れにバンバン「バカなやりとり」を入れられるので、一番のお気に入りなのだろう。  しかし好事魔多し。最近、キョンも言うようになって来ているので、さっきキョンが親父にバックドロップを習う話を書いてみたら、あまりにカオスなことになってしまった。三沢(プロレスラー)が試合中のバックドロップで亡くなっちゃうし(合掌)、立ち直せて公開可能となるかは結構微妙。バックドロップの考案者、「鉄人」ルー・テーズは、相手の実力に応じて投げる(落とす)角度をかなり変えてたんですが。合掌。 閑話休題。 みぞのの鏡 辞書シリーズ/英和辞典:I love you.  この辺りは、スレに投下した際に「キザキョンだ」「キザキョンだ」と言われ...
  • 親父の英会話 Lesson 1
    オヤジ 英会話だあ、キョン? お前も特訓でそこそこ読み書きできるようになったろ。あとはカンとフィーリングと根性だ。あと、ハルヒにまかせとけば、ずっと喋ってるぞ。 キョン いや、向こうへ行くのに、それじゃあんまりかと思って。 極小の英会話 オヤジ まあ、あんまりだけどな。うーん、いいか、キョン。極端な話、無人島では言葉はいらん。逆に言えば、どうしても言葉が必要になるのは、つまるところ自分一人ではダメで、誰か(がちゃんと存在して、そいつ)に何か頼みたいときだ。だから、英語圏のガキはまず最初に「Please」と「Thank you」を学ぶ。 何か欲しい時は、指差して「This one, please.(これ、ほしい)」だ。これさえ知っときゃ、最低限なんとかなる。現にパック旅行できてる連中なんか、プリーズとハウマッチしか言わん。あとは金にモノをいわせるんだ。 キョン 極論ですが、なるほど。 ...
  • ロール・プレイング その7
    ロール・プレイング その6から 老人 なんじゃ、もうギャーギャー騒がんのか? つまらん。 オヤジ 勢いに任せてオトコマエなことを言っちまったら、へんに腹がすわったらしくてな。 老人 便利な腹じゃ。 オヤジ 残る恐怖は、怒った女房だけだが、こいつは克服したくない。 老人 そしてよく回る口じゃ。 オヤジ このまま王宮まで飛ぶのか? 老人 降りると余計に時間がかかる。王都は人が多すぎる。都を抜けようとすると丸1日はかかるわい。 オヤジ 都市計画がなってないな。公衆衛生の観念もないだろ? 向こうに戻ったら、ヨハン・ピーター・フランクの10巻本を届けてやる。 老人 王都は確かに死亡率が高いが、それでも人が押し寄せるよう来る。それで釣り合いがとれておるのじゃ。 オヤジ マルサスの罠にどっぷりかよ。東の巫女が戦を避けたがってたのも、その口か? まあ、この世界の戦で、それほど人が死ぬかは疑問だが。...
  • ちかんにあった
    オヤジ どうしたバカ娘? 頭から湯気が出てるぞ。 ハルヒ マンガか! 親父、なんで、こんな時間に帰ってんのよ? オヤジ 新鮮な牡蛎(カキ)を手に入れた。食わない手はないし、独り占めするほどガキじゃない。なんだ、食わないのか? ハルヒ 食べるわよ! ……母さんは? オヤジ 病院だ。向かいの娘が急に産気づいてな、付き添いだ。そのうち帰って来るだろう。何を怒ってるのかしらんが、食卓に無粋なものを持ち込むなよ。キョンが死にそうなくらいくだらない駄洒落でも言ったか? ハルヒ 家に怒りを持ち帰るほどくだらない駄洒落ってどういうのよ? 待った! 言わなくていいから! オヤジ それは残念。 ハルヒ ……電車でたちの悪い痴漢に遭ってね。 オヤジ ほう。 ハルヒ 変に押し込んで来る二人組がいて、気付いたら6人に取り囲まれてたわ。 オヤジ 愚か者。 ハルヒ もう、母さんに使っちゃいけないって言われてた技、使いま...
  • 天抜きの日
    ハルヒ なによ、また蕎麦屋? もっと若い娘の食欲を考慮に入れなさいよ! オヤジ うるさい。おごりだ。だまって食え。 ハルヒ 娘が親と食事するのに、なにが「おごり」よ。まあ、ここのお蕎麦はおいしいから、我慢してあげるけど。 オヤジ お前の食欲は「若い娘」の範疇を超えてる。キョンのサイフも、よく自然発火しないもんだ。こないだなんか、うつむいてやがるから、思わず小遣いをやっちまった。 ハルヒ そんなお金があるなら直接あたしに渡しなさいよ。 オヤジ いや、お米券だけどな。 ハルヒ そういう回りくどい冗談、いい加減にやめとかないと、老後はひとりぼっちよ。 オヤジ そしたらキョンの奴、今度は自分のつま先を見つめ出してな。 ハルヒ いじめたら承知しないっていつも言ってるでしょ! オヤジ 何度も言うが愛情表現なんだ。 ハルヒ 何度も言わなきゃいけないような愛情表現...
  • 冷蔵庫のあかり
    ハルヒ こんな時間になんでキッチンにいんのよ? オヤジ そういうおまえは? ハルヒ 夕食のパエリアが味が濃すぎて、喉がかわいて目が覚めたの。 オヤジ 母さんはすやすや寝てるぞ。 ハルヒ 一度眠ったら、地震でもないかぎり、母さんは起きないわよ。 オヤジ 人のつくったものに文句を言うなら、自分で作れ。 ハルヒ 別に文句じゃないわよ。ちゃんと食べれたし。 オヤジ じゃあ、さっさと水でも飲んで寝ちまえ。 ハルヒ ……こんな時間に、キッチンでなにやってんのよ? オヤジ 夜の静寂を堪能してる。 ハルヒ そういう訳の分からないことは自分の部屋でやりなさい。 オヤジ 部屋には母さんが居るし、押しつぶされるような孤独を感じるには不向きだ。耳が痛くなるような完全な無音状態より、冷蔵庫のモーターがかすかに唸ってる方が、それっぽい感じがする。冷凍室内から漏れる光だけで自分の顔を見たことがあるか?この世のものとは思...
  • 家族旅行で見る夢は
     充電中の携帯が、けたたましい音を立てた。おいおい、まだ7時半だぞ。待ち合わせは10時のはずだろ。どうしたんだ、ハルヒ? 「キョン? 今そっちに親父が行ったから、早く逃げなさい! いいから、とにかく逃げて! あーもう、今からあたしもそっちに行くから!」  何あせってんだ、ハルヒの奴? そういや今、下で『あらあら、ハルヒちゃんのお父さん』っておふくろの声がしたが。誰か階段を上がってくる。って、ハルヒの親父さん、もとい、お父さん? 「ハロー、キョン君。いい朝だ。俺のことは涼宮親父と呼んでくれ」 それ、ものすごく呼びにくいです。 「パパでもいいぞ」 勘弁してください。 「いま電話があったみたいだが、ハルヒがこっちへ向かってるんだ。急いで出るぞ。逃げるんだよ、地の果てまでも。ちなみに君は人質だ。あ、ご両親には今話をしておいたから」 ほとんど数分もかかってないぞ。それと『話しておいた...
  • 8月2日 パンツの日
    ○8月2日 パンツの日  奈良の下着メーカー磯貝布帛工業(イソカイ)が自社ブランド「シルビー802」の商品名にちなんで制定しました。  後に、大坂の下着メーカー、オグランも「パン(8)ツ(2)」の語呂合わせから、この日を記念日にしました。 オヤジ 今日はパンツの日だな。 キョン そうですか。知りませんでした。 オヤジ かといって、どうしようもないがな。 キョン そうですね。贈るとか飾るとか、なんかそういうのでもないと。 オヤジ キョン、お前はパンツを贈る癖とか飾る癖があるのか? キョン いや、ないです。 オヤジ なんだ、つまらん。行動を喚起しない記念日なんぞ、なんのネタにもなりゃしないな。 キョン ちなみに、「パンツを贈る癖」から、どういう展開があったんですか? オヤジ 知りたいか? キョン そう聞かれて、知りたかったことも、断れたことも、ない気がするんですが。 オヤジ そう...
  • ロール・プレイング その1
    人生の98%はゴミみたいなもんだ。だが最悪なのはそこじゃない。残りの2%があることに気付かないまま、そして、あきらめたまま死んでいく。これこそ最悪だ。 おい、目を覚ませ。立って支度しろ。人生の2%がはじまるぞ。 キョン わっ、なんですか、親父さん、その格好? オヤジ 確かに異常事態だが、人のことばかり言えんぞ、キョン。自分の格好を見ろ。 キョン ……何かの罰ゲームですか? オヤジ 心当たりがあるのか? この場合の第一声は「ゲームではよくあることですよ」だろ? ゲームちがいだ。 キョン いや、そっちでも「現実(リアル)なんてクソ・ゲーだ」でもなくて、「勇者よ、死んでしまうとはなさけない」とか、そういう奴では? オヤジ 根がネガティブにできてるのか? 「テーブル」の付かない方のRPGな。どうせ夢オチだろうと二度寝してみたが、効果なしだ。こっちの「勝利条件」を満たさんといかんの...
  • ロール・プレイング その4
    ロール・プレイング その3から オヤジ じいさん、天下の往来で、幾何学の証明なんてするな。流行ったら、どうする気だ? 古代アテネを襲った、プラトンの幾何学公害を知らねえのか? 暇にあかして自由民がこぞって砂浜に出かけて図形を描きまくったから、アテネ市街じゃ砂ぼこりで目を開けたれなかったんだぞ。 老人 言ってる事の半分は分からぬが、これを証明だと一見して見抜きおった。どこから来た? オヤジ ぶっちゃけ、こことは別の世界からだ。 老人 なるほど。 オヤジ いや、そこはつっこめ。話が続かん。 老人 ご客人、茶などどうかね? いろいろ話をしたいが、老人の相手は嫌かね? オヤジ 好きか嫌かでいえば、嫌だ。だが、今は選択肢を選んでる場合じゃなさそうだな。 老人 急いでいるのかの? オヤジ おれが、じゃなく、世界がな。 老人 さて、息災にみえるがの。 オヤジ おれには、あんたがそう思っているよ...
  • 朝食の情景
    オヤジ よう、キョン。早いな。 キョン あ、親父さん。おはようございます。 オヤジ なんか、おまえがうちで朝飯食ってても、不思議ともなんとも思わなくなったな。 ハルヒ 何がどう不思議なのよ? オヤジ おまえには父親の気持ちなんぞ一生分からん。 ハルヒ 当たり前でしょ! って、キョン、あんた何、胸に手をあてて考えてんの? オヤジ 朝食後のスピーチか? どうせなら聖書に手を置いてやれ。 ハルヒ つっこみどころが多過ぎて、一行に収まんないでしょ! 母さん ハル、ご飯食べて行くんでしょ。すわったら? ハルヒ ……はーい。……親父、覚えてなさい! オヤジ おれが何かしたか? ……キョン、真剣に答えなくていいぞ。 ハルヒ 母さん、おかわり! オヤジ おまえは芸人か!? もっと味わって食え。 ハルヒ 事は一刻を争うの! 一秒一秒を真剣に生きてたら、そんな悠長なこと言ってられないわ! オヤジ ずーっと、ふ...
  • @wiki全体から「オヤジのバスケ」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

記事メニュー
目安箱バナー