ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「王様とあたしたち その1」で検索した結果

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  • 王様とあたしたち その1
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  • 王様とあたしたち その2
    王様とあたしたち その1から Act-9  「あら、ハル、どうしたの?」 「母さん。……ううん、どうもしないわ」 「キョン君は?」 「なんかパーティに出るよ用だって、タキシードの採寸で行っちゃったわ。近衛長さんがいっしょ。あたしも後で測るらしいけど」 「……ハル」 「は、はい」 「スポーツでも他のものでも、ディフェンスはね、相手のいて欲しくない場所に居て、して欲しくないことをすることが基本なの。相手がやりたいようにやるのを、止められないまでも、遅らせることもそうね。具体的には、お父さんの言動が参考になると思うわ」 「参考にしたくない。……でも、相手って?」 「まだ誰がそうなのか、わからないけれどね。たとえば、私が王子様なら、ハルと二人っきりで合う機会をつくるために、まずキョン君をハルから引き離すわ。なるべく抵抗されないような、納得できる理由と穏便なやり方...
  • 王様とあたしたち その3
    王様とあたしたち その2から ACT-20  「彼女は、この国の女性ジャーナリストの草分けで、民主派のリーダーの一人でした。スズミヤ氏が象に乗ってこの国を救ってくれたあの事件の際、夫を亡くし、その後、乳飲み子を連れて大学へ通い学位をとったのです。議会政治の腐敗と軍事クーデターが繰り返されるこの国の政治の在り方に強い疑問を持つ女性でした。また、なんとか事態を収拾し、玉虫色の均衡と和平を目指した私の最大の批判者でもありました。彼女からすれば、私はあまりにも現実におもねりすぎているように見えたのでしょう。逆に私は、彼女の清廉な理想主義と人柄に惹かれました。私達は何度も公衆の面前で批判し合い罵り合いました。大勢の人間が、私達に相手のことをもっと大事にするようにと忠告してくれました。私達は選んだ手段こそ違いましたが、同じ理想を追求しているのだと、説明してくれる人たちが大勢いました。...
  • 閲覧回数上位SS
    ...の後 (8703) 王様とあたしたち その1 (8676) 白みかける空 (8620) 親父書きがSSを読む (8387) 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その3 (8377) 掲示板/足跡帳バックナンバー4 (8335) ハルヒと親父2その後 一周年 その後ー腕の腫れ、氷の癒し (8333) 家族旅行で見る夢は (8258) ハルヒ先輩8 (8254) 司書は休日、魔女になる (8240) できちゃった 外伝ーミッドナイト・ミルク (8184) 明日のお弁当 (8092) 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その4 (8071) For piano four hands (8013) 涼宮ハルヒのリフォーム その6 (7990) キョンが泊まった翌朝の涼宮家 (7987) マジで恋する5秒前 (7977) 字マンガぬこハルにゃん (7952) 青少年...
  • SS(二次創作)「ハルヒと親父」シリーズの物置
    ...の格闘 オヤジ狩り 王様とあたしたち その1 +小さいハルヒと親父 小さいハルヒと親父 ファーストキス・ショット 生まれた理由 涼宮ハルヒの特訓 キスキス 夏休みの工作 しふぉん 捨て猫と会った日のこと High Moon:真夜中の親父 +親父さんと谷口くん 親父さんと谷口くん  その1 その2 その3 その4 その5(最終回)  エピローグ +ハルヒと親父(小品) ハルヒと親父(小品) とある七夕の前日 なれそめ チョコレート・パニック ハルヒとその母:共に居る理由 What s Love? 子犬の恋 或る日の出来事 親父の一番長い日 恋文たち 天抜きの日 父の日のこと 愛と運命についての対話 嫁いだ日 二人でベンチに キョンが泊まった翌朝の涼宮家 二人でドライブ 同じ夢の中 6月の桜 デカンショ ハルヒのピアノ 7月30日プロレス記念...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その2
    その1から ハルヒ 今日からやっと夏休みよ。これで思う存分いちゃラブできわね! キョン なんだ、その、いたラブって?イタ車みたいなものか? ハルヒ そう、アニメ・キャラをでっかくプリントした続き柄のおそろいを着て、って何でやねん! キョン おお、乗りツッコミ。しかも関西弁だ。 ハルヒ 確かにあれは痛いカップルだったわ。 キョン !実在するのか? ハルヒ あの世界は深いわ、キョン。まだまだこんなもんじゃないわよ。 キョン いや、その話題はストーリーとも関係ないし、なんだか帰って来れない気がするから、やめとけ。 ハルヒ そうね。話を戻すと、夏休みよ!学校に行かなくて済むし、寝る以外のすべての時間を、強い意味でのイチャイチャにつぎこむつもりでいくから覚悟しなさい! キョン なんだ、その「強い意味」って? ハルヒ ハードな内容になるってことだけは言えるわね。 キョン 具体的には? ハルヒ...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その1
     夕食後のコーヒーを楽しみながら、いつものように、どうでもいいことを話していると、ハルヒがふと、思い出した、といった顔をしてみせた。 「そういえば、こないだは花火見にでかけちゃて、あんたの怪談を聞かずじまいだったわね」 「別におれの方は、聞かせたくなるような怖い話はないぞ。だいたいおまえを怖がらすメリットがない」  むしろデメリットの方が激しくあるんじゃないだろうか。怖がっておれに抱きついてくるタイプじゃないし(ああ、そんなゆるいツンデレなら、世界は幾度も危機に陥ったりせん)、むしろパニックに陥って手当たり次第(おれを含めた)周囲のものに攻撃をし出すことの方を危惧するぞ。 「このあたしを震えあがらせるようなやつを希望するわ」 「だからおれの話を聞けって!」 「団長に二言なし!どっからでもかかってらっしゃい!」 「聞く耳なしだろ!……やれやれ。その言葉、後悔するなよ」 ...
  • ハルヒと親父2 ー おとまり
    「あのね、母さん。明日、映画見に行ってくるから」 「そうなの。じゃあ、シャンペン抜きましょう」 「な、なに言ってんの!?」 「あら、和風がよかった?お赤飯にする?」 「そんなんじゃないわよ!」 「そんなのじゃないって何が?」 「あう」 「ただ映画行くだけなら、わざわざ前日に言って行かないでしょ」 「それはその、5本立てオールナイトだから、帰るの次の日の朝になるし……」 「ゆっくりでいいわよ。朝帰りはかえって『お泊りしてきました』って言ってるようなものだし」 「……////」 「合宿のときは、平気で泊まってきたじゃない」 「あの時とは、ちょっと、事情が違うというか……」 「それだけ聞けば十分。あまり聞いても話したくなるだけだから聞かないわ」 「……うん。そ、それとね」 「お父さんでしょ? 明日、明後日と珍しく家にいるから」 「う、うん」 「心配いらないわ。母...
  • 彼と彼女と彼女のメール
    To:キョン  4月に入って1週間も経ったわ。なのにキョン、あんたから一通もメールがないって、どういうこと!?   あたしだって入学式だの単位登録だの、その他で忙しいかったわよ!  このアホキョン、なんとか言いなさい!! To:ハルヒ  すまん  大学が始まって早々事故っちまった。  相手も俺も大した怪我じゃないから心配すんな。 To:キョン  ちょっと事故ってどう言うこと?相手って、誰かに怪我させたの?人身事故じゃないの?なんで、そんな大事なことを。 To:ハルヒ  相手は同じ大学の学生だ。怪我も、もう大丈夫だから。 To:キョン  そう。無事なら無事で、それでいいわ。  それより、G.W.には帰ってくるんでしょうね? To:ハルヒ  ああ。 To:キョン  わかったわ。詳しくはその...
  • 親父さんと谷口くん2
    親父さんと谷口くんから 「えーと、前にも尋ねた覚えがあるんだが、誰だっけ?」 「このあいだ、親父さんの教えを受けた谷口です」 「おー、そうだった。その後、どうだ? もてたか?」 「おばあさん相手に100人切りを完遂しました。どっちかというと、返り討ちにされた気がしますが、勉強になりました」 「で、今はどうしてる?」 「はい、それが高じて、介護施設にボランティアへ」 「そうか。人生何が幸いするかわからんな」 「親父さん、もう一度、チャンスをください!」 「ん?何の?」 「大変充実した日々を送りましたが、本来のナンパ道から遠ざかっている気が。それに、おれ、正直言って、若い女が好きなんです!」 「それで、なんか、アドバイスすればいいんだな?」 「ぜひともお願いします!」 「アーリー・ラーニング・セットって知ってるか?」 「いや、いいえ」 「20世紀最大の催眠...
  • 掲示板/足跡帳
    ...もんじゃないですが、王様とあたしたち その1、投下しました。本当につづくのか、これ? -- 親父書き (2009-12-03 21 10 35) 親父のコミカライズ化を企み、某所でつぶやいてみる。「描ける人いますよ。でも画がアメコミなんですよ」「なんで?」「さあ、アメコミにあこがれてるんですかね」「って、まんまスパイダーマンとか、かいてあるけど?」「今からだとOTAKONに間に合いますかね」「なに、それ」「アメリカのコミケですよ。2010年はバルチモアのコンベンション・センターで開催です」「どこなんだよ、それ?」(後書:シェラトンのインナーハーバーホテルと 空中通路でつながっているのだそうだ……。) -- 親父書き (2009-12-03 23 35 47) やっと書けた、司書魔女3。夢魔が降る夜は、夢で見て(笑)、あんまりな話だと思ったけど、朝起きて覚えていたら書...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その1
    ハルヒ なにベンツのマーク(スリーポインテッドスター)描いて欲情してるの? キョン してない。これは俺たちの生活時間を示した円グラフだ。 ハルヒ ふんふん。こっちが睡眠ね。たっぷり8時間、ちょうど一日の三分の一眠っている訳ね。 キョン 生活習慣を改めた結果だ。ちょっと眠りすぎてる気もするがな。 ハルヒ 睡眠は大事だわ。睡眠時間が7時間を切ると・・・ キョン そのネタは前にやった。で、こっちが学校へ行ったり、買い物に出たり、外に出かけてる社会生活の時間だ。これも合わせると、全部でおよそ8時間になる。 ハルヒ 残りの三分の一は何? キョン あー、うっほん。ハルヒ、こっちへ来い。 ハルヒ 何よ?別にいいけど。……えへへへ。 キョン 何故しがみつく? ハルヒ だきついてんのよ! キョン そうか。で、俺に触るとデレ・スイッチが入るんだな。ツン回路が切れるというか。 ハルヒ 条件反射みたいなものね。く...
  • 彼を知る彼女達の対話
     「あんたは、ぜんぜん変わらないわね、有希」 「あなたも、それほど変わらない」 「変わるわよ。もう80超えたんだもの。あいつを看取って、もう2年よ。ようやくなれてきたわ。あんたにも、いろいろ心配かけたわね」 「かまわない。……あなたは変わった。しかし、少しずつだが、以前のあなたに戻ってきている」 「そうかもね。あたしたち15の時に会ったのよ。あいつとも65年よ! まさか、こんなに長く一緒に居るとは思わなかったわ。……ずっと、一緒に居られる、ってどこかで信じてた。ううん、無理だと分かっていても、でもそう願ってた。……そういう意味じゃ、ほんと変わらないわね。夢は夢でしかないと知ってるのに、夢みたいなことばかり追いかけてた。あんたたちにも、いろいろ付き合わせたわね」 「付き合ったのではない。私は私の理由でそこにいた。そして……楽しかった」 「あ、ありがと、有希。……もう、いやね、なに...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-二人はひきこもりました その3
    その2から  バカップル的ひきこもり生活も10日を越えると、さながらル・マン24時間耐久レース(あるいは1万円で1ヶ月生活)の様相を呈してきた。  本家のバイオスフィア実験−水も空気も出入りしない人工閉鎖系で、植物や家畜を持ちこみ、究極のショート・レンジリサイクルを行いつつ人がどこまで生きていけるかという過酷な実験も、予想外の、しかしシステム的な要因による慢性的な酸素不足、収穫不足、家畜の全滅に加えて、実験期間後半には、メンバー間のいさかいが耐えなかったという。  おれたち二人の間でも、いつものように、いさかいは耐えなかったが、これもおそらく谷口あたりに言わせれば、痴話ケンカの域にも達しない「いちゃつき」と判定されるレベルであり、ここに国木田、阪中を加えても、満場一致にして判定は覆らなかったであろう。  おっとハルヒが呼んでいる。後世に書き残し、何かの教訓にしてもらおうとい...
  • 二人は暮らし始めました-外伝-ハルキョン温泉旅行 その1
    「あー、やっとあんたも、ゼリーとプリンの日々にお別れできるわね」  とはいうものの、おれはゼリー生活に少しだけ未練があった。ゼリーだけであれだけの種類のものが作れるのも驚異だが、そのすべてが極ウマだったのだ。栄養なんかのことは、味付け以上に考えてあったんだろう。それ以外のものを口にしてないのに、2キロ太ったぐらいだからな。 「あんたのおなかの具合もよくなったことだし、買い出しに行くわよ!」  買い出し、は少々大げさでも、ハルヒはずっと付き添っていたせいで、おれが熱を出してからの買い物はすべてネットスーパーで済ませていた。数日ぶりに買い物に《出かける》ことになるな。 「おれも行こう。その勢いだと、おまえだけだと持ちきれんほど買っちまうだろう」 「あんたは病み上がりなんだし、……うーん、まあ、そこまでいうなら、お供に連れて行かないこともないわ」  いや、単なる買い物だ。それ以上のご...
  • ラブひげ危機一髪(二人は暮らし始めました)
    「なんだ、また古泉から小荷物か。今度はどこの強壮剤だ?……『ラブひげ危機一発』?」 「あんた、なにしてんの?」 「ハルヒ、いや、古泉からまた怪しげな小荷物がとどいてな。中身をたしかめようと開けたところだ」 「今度はどこの精力剤?」 「いや、どうも、そうじゃないらしい。『ラブひげ危機一発』ってなんだ?」 「あんた、「黒ひげ危機一発」も知らないの?」 「それは知ってる。ナイフを順番に刺していって、『当たり』の場所に刺すと黒ひげが飛びだすゲームだろ」 「黒ひげがが飛びだしたら、そいつの負けだから、むしろ『はずれ』ね」 「こいつは、そのアレンジ版か?」 「そうね。簡単に言うと、『黒ひげ危機一発』に『王様ゲーム』を足しこんだみたいなものね。まあ、試しにやれば、どういうものか、察しの悪いあんたにも分かるでしょ」 「おう、やってみるか。……ハルヒ、突き刺すナイフになんか書いてあるぞ」...
  • 二人は暮らし始めました 10日目
    ハルヒ うちは女二人に男一人よ。 キョン 俺のところは、男女二人づつだな。 ハルヒ うちではトイレの便座は、普通降ろしてあるわ。 キョン おれのところは、上げてある。 ハルヒ あんたん家は、なんで便座を上げてるの? キョン 知らん。父親に対する、わずかばかりの敬意の表現じゃないか。 ハルヒ 妹ちゃんは、あんたと結構歳が離れてるわよね。上げたままだと、小さい頃危なくなかったの? キョン ああ、トイレトレーニング用の奴があるだろ。あれ取り付けるには、便座を上げとかないといけなかった。その名残かもしれんな。……しかし、これは今決めなきゃならない問題なのか? ハルヒ 甘いわね、キョン。新婚、同棲に関わらず、男と女が暮らし始めたとき、もめごとの種になる第3位が、この「トイレの便座は上げたまま(男性優位)それとも降ろしたまま(女性優位)」問題よ。事は生物の根幹に関わること、しかもはっきり口するのが憚ら...
  • 一人旅に必要な事 エピローグ1
    アキとハルヒ  「ねえ、ハルヒー。赤ちゃんって、いつ来るの?」 アキはハルヒの隣に座りながら、足をぱたぱたと上下に動かしてる。 「半年は先ね。それと来るんじゃなくて、生まれるの。そしてあたしが生むの」 「えー、コウノトリとか、そういうのは?」 「関与せず」 「死んでもお花畑に行く訳じゃないんだ」 「最終的には水と二酸化炭素に分解されるわね。魂はこの際、置いとくにしても」 「えーっ、アキの死生観、根底から崩壊だよ」 「大丈夫。あんたはまだ若いから、十分建て直せるわ」 「ママって随分とあたしにウソ教えたんだね。パパなんか優柔不断の二股掛け男だって教わったし、ハルヒなんかすごいヤリマン女扱いだったよ」 「ヤリマンとコウノトリね。確かにバランス悪いわね。でもウソっていうのとは、ちょっと違うのよ。アキ、蜘蛛って嫌い?」 「んー、人気無いけど、あたしは結構好き。蜘蛛の巣ってよ...
  • 一人旅に必要な事 エピソード3
    アキとキョン アキ ねえ、パパ。聞いていい? キョン ああ、いいぞ。 アキ パパはハルヒのこと、ずっと好きだったの? キョン ああ、そうだな。 アキ じゃあなんでママと結婚したの? キョン アキ……。 アキ やっぱ、ごめん。そんなの、答えられないよね。 ハルヒ 興味深い話ね。ぜひ聞きたいわ。 キョン ハルヒ……。 アキ (ひゃー、パパごめんよー)。 キョン うまく話せるかわからないけどな……その頃、パパは大失恋してな。本当は、ずっと好きだった人とそのままの関係がずっと続けていけると勝手に信じていて、その人がどんなに不安で苦しんでいたか、ずっと気付かないでいて、そういうこと全部をいっぺんに思い知らされたんだ。パパは罪と後悔の意識に一杯になって、とにかく身を引こうという気持ちに取り付かれた。今思うと逃げたんだな。いろんな人が気持ちを聞いてくれよう...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その3
    親父が来る その2から   ……この親父、家族愛に訴えてまで、娘を怖がらせようとしている。しかし怖がらせたところで、この親父に何の見返りがあるというのか。ある意味なけなしの父娘の絆をまた損なうだけじゃないのか。  それにしても、こいつもまたダブル・バインドだ。まともに受け取れば冗談にして茶化すことができるし、相手にしなければ親の死に冷淡な態度を非難できる。いずれを選んでも、向こうに負ける余地はない。  おれはハルヒの反応を見ようと後ろを振り返った。 「ふう。で、その不幸の手紙は何人に出せばいいの?」 おい、ハルヒ。いきなり《肝心なことは聞いてない》攻撃か? 「バカ娘、そうじゃない。死を回避する方法はないんだ」 そうだ、そういう設定だろ。 「人間いつかは死ぬわよ!」 一般論!! 「だからいつ死んでもいいように、今日の今この時を一生懸命生きるの! キョン、あたし何か...
  • 電波の日 Nowhere
    「おかけになった電話は、電波の届かないところにおられるか、電源が入っていないため、かかりません」 「南極だって、月面だってケータイが使える時代に、『電波の届かない』ところって、いったいどこよ!?」  あたしの怒声が、電話が壁にぶつかる音より、長く響いた気がした。  あたしは、さっきの問いの答えを知っている。Nowhere。どこでもない場所。  あたしたちの時間で2年前、乗客を乗せた商用TPDD(Time Plane Destroyed Device)では世界で初めての事故に、あいつは巻き込まれた。  結果は、怪我や命を失うことよりも残酷だった。めちゃくちゃになったのはあいつの身体ではなく、あいつが存在する時間平面の方だった。  以来、あいつは、ひとつの時間平面の上に安定して存在する事ができず、数えきれないほど多くの時間平面の上にばらまかれることになった。どの時簡平面にどれ...
  • 二人は暮らし始めましたー場外ー親父が来る その2
    親父が来る その1から  計画なき逃亡をぶち上げたハルヒに、おれは首を振った。  「ハルヒ、ダメだ。前にも言ったろ。恐怖と不安は逃げれば逃げるほど、大きく強くなるって」 「じゃあ、どうすんのよ」 「馴化だ、簡単に言えば、馴れるんだ。詳しいやり方は、今教えてやる。使えるものは3つあるんだが、まずは……ハルヒ、拳をつくってみろ」 「こ、こう」 「シャドウ(・ボクシング)まではいらん。今、鼻をかすめたぞ」 「ごめん」 「ぐっと握って、腕に、二の腕に、肩にありったけの力を入れてみろ。ぶるぶる震えるくらい。……そしたら、ぱっと一度に力を抜く」 「ふう」 「これを全部の手足、胴体でやる。筋弛緩法って奴だ。恐怖や不安と両立しない感情や生理状態があるって話も、前にしたな。怒りや食欲や性欲の満足もそうだが、リラックスってのも恐怖や不安と両立しない。怖がってるときは、体もこわばって...
  • 涼宮ハルヒの禁欲
    団長 決めたわ。明日から『キョン断ち』するわよ! 団員1 なんなんだ、その『キョン断ち』ってのは? 団長 決まってるじゃない!キョンを絶つのよ。このままじゃ、あたしたち、単なるバカップルになっちゃうわ。だからキョン断ちするの。今は毎日会ってるし、おはようからおやすみまでほとんど一緒にいるけど、しばらくあんたには会わないわ。電話もしない。メールも打たない。机の上と枕の下と本棚と押し入れにあるキョン写真もすべて片付けるわ。そうね、有希に預かってもらいましょう。これで完璧ね。 団員1 なにが完璧だ? それだと俺もおまえに会えないじゃないか。第一、俺とおまえは同じ部活で同じクラス、席も前と後なんだぞ。 団長 問題はそこね。いいわ。あたし、しばらく学校に来ないから。 団員1 はあ?いいわけないだろ。 団長 成績の悪いあんたが休むと学業に差し支えがあるだろうから、あたしが休む...
  • 二人は暮らし始めました 9日目
    「39.2度……。キョン、ごめん」 「熱は出た方がかえって気分はマシなんだ。中途半端なときがいちばんしんどい。だから気にするな」 「ごめん」 「あと人肌で暖めるのがいいのは、雪山で遭難したときだ。俺の方が熱が高いから温まらないし、お前にも風邪がうつるから、もうするな」 「うん、ごめん」 「ネットスーパーで、スポーツドリンクと桃缶とプリンとゼリーの栄養補助食と氷枕と遠赤外線を反射する保温シートを注文してあって午後には届くけど、他に欲しいものない? あと、いつでもおかゆは作る用意はしてあるわ」 「ああ、いまは食べ物は体が受けつけんと思う。ちょっと、眠るから」 「うん」 「熱があるから、何かうわごとを言うかもしれんが気にするな」 「うん。……タオルしぼる水とりかえてくる。ゆっくり寝てて」  二人が付き合い出してない頃、あたしが風邪を引いて、キョンがお見舞いにきて...
  • ハルキョン家を探す その3
     次の日の放課後、俺とハルヒは、約束の通り、あの不動産屋を訪れた。  「そうか、君たちの部屋を探してたのかい。それでいいのは見つかったかい?」 「それが、どれもいまいちピンと来ないのよねえ」  かいつまんで話した「事の顛末」をニコニコ顔で聞いてくれる店主と、そんなのはそっちのけで物件リストの中にサイコ・ダイビングしてしまうハルヒ。 「すいません。目標を追い出すと周りが見えなくなる肉食獣な奴で」 「いいよいいよ、気にしないで。住むことは生きることなり、だ。真剣に探すのは当然だよ」 「住むことは生きることなり、ですか」 「実感が湧かないかな。若いうちは元気で外を飛び回っていて、家なんか帰って寝るだけ、ということも多いからね」  ハルヒが部屋探しに打込む様子を目の前にしても、どこか違和感を感じるのは、「外を飛び回ってる」ハルヒのイメージがどうしたって強烈すぎて、「帰って寝るだけ」...
  • できちゃった エピローグ
    できちゃった その6(最終回)から  墜落事故から1年後、キョンに双子の娘、母さん、それにあたしは、カルフォルニア州バークレー市の地を踏んでいた。親父は仕事が忙しくて(ざまあみろ)日本に置いていかれることになった。 「なんて逆=単身赴任だ!」 「キョンをこき使って、サボってるから、こういう目に合うのよ」 「おまえなあ、どの口でいうんだ?」 「この口よ」 「アヒル口かよ。だいたいサボってないだろ。入院してただろ」 「その間もキョンはバイトしてたじゃないの!」 「そのかわりTOEFL&SAT対策にエッセイの添削、留学向け受験勉強をキョンとお前の二人分、見てやっただろ!」 「最後の方は、マサカドさんとアカザキさんに押しつけてたじゃない」 「直前には経験者の方がいいだろうと思ったんだ」 「お父さん、いい考えがあるわ」 「なんだ、母さん?」 「会社をやめて、アメリカ...
  • 二人でドライブ
     居間でごろごろしながら携帯でネットを見ていると、母さんが声をかけて来た。 「ハル、午後、3時間くらい時間ある?」 「いいわよ。車でしょ? 買い出し?」 「悪いわね。キョン君はいいの?」 「それくらい離れて暮らした方が愛も深まるってもんよ!」 「あの……3時間だけでいいのよ」  最近、車の免許を取った。キョンと一緒にだけどね。  母さんも免許は持っているけれど、運転は得意でないらしい(大抵の事は何でもこなすのに、めずらしいこともあるもんだ)。  親父は、居れば居るでうっとうしいくらい構ってくるけど、普段は滅多に家にいることがないから、あたしが小さい頃を除けば、うちには車は無い期間が長かった。  で、免許取得と同時に、新車がやってきた訳。 「どうせ3分も経たないうちに、ぶつけてぺしゃんこになるんだから、紙製でいいぞ、紙で」 と親父はまた馬鹿な事を言ってたけれど、も...
  • オヤジラジオ その1
    (ある日の涼宮家) ハルヒ ミニFM局?だれがすんのよ、そんなもの? オヤジ おれがDJ、そのほかのめんどいことはすべて長門のサポートだ。 ハルヒ こら、前途ある女子高生を悪の道に誘いこむんじゃない! だいたい、あんた、娘の友人を呼び捨てにするって、えらく不評なんだからね。 オヤジ 言いたい奴には言わせておけ。「ちゃん付け」「さん付け」が入り用なら、のび太のオヤジでも連れて来い。それとも何か? いまさら「キョン君」なんて呼んで欲しいのか? ハルヒ うぐ、き、キョンは別腹よ。 オヤジ 食うのか? ハルヒ 食わない! オヤジ ああ、もう食ったのか。 ハルヒ 話が進まないでしょ! オヤジ 悪の道うんぬんは濡れ衣だ。そもそも今回の話は長門からだ。ほれ、これが企画書。 ハルヒ あいかわらず印刷したみたいな明朝体ね。有希の字だわ。 オヤジ 昔作った鉱石ラジオの話をしたらな、興味が湧いたそうだ。...
  • 二人は暮らし始めました−--わるいゆめ
    「あいつについてあたしが話せる2、3の事項」のきっかけになった、ポクロウタさんの1枚絵http //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-219.htmlから連作の4コママンガhttp //pokurouta.blog99.fc2.com/blog-entry-223.htmlが生まれていたので、それに更にインスパイアーされて、このSSはできました。ポクロウタさんに多謝。  夜の最中、名前を呼ばれて、目が覚めた。  何か大切なものでも失ったみたいな悲しい声で。  あたしは確認する。ここはどこ?今は何時で、何をしているの?  安らぎを与えてくれるぬくもりの中に、あたしはいた。  大丈夫、何があったって、そう言える力を与えてくれるもの。  問題は、その熱源と、今の声の発生源が、同じだってこと!  ちょっと、何、寝ぼ...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その18)?
    ヰタ・セクスアリス/雨宿り及びつづきについて  ハルヒが言っていた「雨の日にしたくなるのは何故か?」という疑問は、以前にある人から投げかけられて、しばらく持っていたものです。その時、たどり着いた答えは、「背中あわせでいいから、くっついていたい」「誰かに(とくにあなたに)いっしょにいて欲しい」というものでした。男(キョン)の立場だと、これはかなり拷問に近いものがありますが(笑)。まあ、彼なら我慢できてしまうかもしれない。  この線で書けば、もう少しきれいなお話になって、 「ハルヒ、……また『雨宿り』していくか?」 「うん」  こうしてわたしたちは、いつか『大人』になる日が来て、それぞれの『相手』を探しに出かける時が来るまで、大きな木のつくる洞の中で、同じ雨に濡れ、手をつなぎ背中を合わせながら、雨宿りをしている。 ……みたいなラストになっていたかもしれません(ハルヒV...
  • 明日のお弁当
    明日のお弁当 ーーー重要なのは、何を食べるかではなく、誰と食べるかである (セネカ) 「ハルヒ、明日は弁当作って来なくていいぞ」  え、今日の、何か失敗してた? キョンの嫌いなものでも入ってた? おいしそうに食べてるように見えたんだけど。 「そうじゃない。おまえの分も必要ないって言ったんだ。ちょっと食べさせたいものがあってな」 って、あんたがお弁当作ってくるってこと? 大丈夫なの? 「ああ。何度か挑戦してたんだが、夕べようやく成功したんだ。ちょっと期待していいぞ」 というか、あんたそんなに朝早くに起きられるの? 「そっちかよ。まあ、大丈夫だと思うが、心配ならモーニング・コールでもしてくれ」 んー、そうね。もっと確実な方法があるわ。 「いや、待て。言うな」 なによ、言わせなさい! 「言ったら最後、その通りにしちまうだろうが!」 言わなくても、いつでもあたし...
  • ハルキョン家を探す その4
     父親が帰宅し両親が揃ってから話をした方がいいだろうと、俺とハルヒはファミレスで時間をつぶし、それから俺の家へと向かった。  予想していたことではあったが、うちの家の反応は、鷹揚にして寛容な涼宮家のそれにほど遠く、当惑と難詰とからなる、よくもわるくも、ごく常識的のものだった。 「仲がいいのは結構な話だが、正面切って『同棲』したいんだと言われても、反対だとしか言えないな」  俺の父親がついたため息を引きとって、今度は母親が口を開く。 「ふたりはまだ高校生なんだし、その歳にふさわしいお付きあいの仕方があるとおもうわ。それにハルヒちゃんのご両親だって心配なさると思うし」  ハルヒは顔を上げて、いつもの二割増で目に力をこめて言う。 「あの、うちの両親には話しました、ふたりで」 「そう、どうおっしゃっていらしたの?」 「するなら自分たちの甲斐性と責任で、と言われました」 「そ...
  • 一人旅に必要な事 elself
     あいつとケンカした。  大きなケンカは、はじめてじゃない。  お互い謝るのに半年かかった事だってある。  どこかであたしは、あたしたちは、高をくくっていた。  小さなケンカはしない日がなかった。悪く言えば「ケンカ馴れ」していた。  そのせいで「第一歩」が遅れた。  気付いたら、手遅れになっていた。  部屋の隅で過ごす日が多くなった。  少しの間だったけど、あいつと暮らした部屋だった。  いつの間にか、季節が幾つも流れて行った。  「ここを開けろ、バカ娘」 「な、なんの用よ!」 「笑いに来た」 「か、帰りなさい!!」 「あいつ、結婚するらしいな」 「……」 「出欠の確認ハガキが届かないんで、うちに問い合わせがあった」 「……あ、あのバカ」 「バカはおまえだ。なんで黙ってた?」 「絶対、余計なこと、するから!」 「そこ...
  • 長門有希の満腹
    長門有希の空腹から  「長門、立ち入ったことを聞くようで悪いが、こづかいというか仕送りみたいなものは、どういうことになってるんだ?こないだ、その、生活費が足りないとか言ってただろ?」 「必要な生活資金が定期的に銀行口座等に振り込まれる訳ではない。それでは継続的な経済システムへの介入となり、際限のない支出が行われれば広範囲に影響を及ぼす恐れがある」 確かに額にもよるだろうが、偽札を刷り続けるよりは、まずいことが起こりそうだ。 「私がつくられた際に、設けられた基金からの利子及び配当収入で必要な資金はまかなわれている。しかし、2007年 8月17日 サブプライムローン問題を発端とした株価急落以降、生じた世界的な信用収縮(クレジット・クランチ)の影響を受け、収入は激減した。基金は分散されていたが、世界規模のシステミック・リスクには対応できなかった」  まさか、こんな身近に、そんな...
  • 一人旅に必要な事 エピソード2
    幸せと笑顔 アキ ねえ、ナツキは、ハルヒに似てるよね。 ハルヒ そうね。キョンにも似てるけどね。 アキ 惜しいね。すごい美人になれたかもしれないのに。普通の美人どまりかも。 ハルヒ それはキョンを愛するあたしへの挑戦と受け取っていいわね、アキ。キョンはああ見えても、もてるのよ。 アキ 知ってる。素で親切で、自分の行為を親切ともなんとも思ってないから、相手が感謝して好意を持ったとしても気付かないんでしょ。フラクラっていうんだよね。 ハルヒ その下らない豆知識の発信源は、親父ね。 アキ うん、親父ちゃんって、ほんと物知りだね。何、尋ねても答えちゃうから、アキ、びっくりだよ。いーーっぱい説明してくれるから、ときどき自分が何を質問したから忘れちゃうけど。 ハルヒ だいたい親父は、いつも百言くらい多いのよ! オヤジ 人間は知りたがりの動物だと、アリストテレスも言っている。あきらめろ。 ハルヒ ア...
  • I wish you were here.(アナタガココニイテホシイ)
    「ねえ、こなたが言ってたんだけど」 「『こなた』って、『らき☆すた』のか?」 「うん。ギャルゲーの主人公って何の取り柄もないのに、出てくる女の子という女の子がみんな、なんでそんなのに惚れるわけ?」 「じゃないとギャルゲーにならんだろ。『何の取り柄もないから、まったくもてません』では、現実と区別がつかん」 「あんた、区別ついてる?」 「どういう意味だ?」 「あんたも、無意味に全方位的にもててるじゃない」 「自慢じゃないが、俺はもてた試しなど一度もないぞ」 「……自覚ないんだ。どうりで」 「どうりで、何だ?」 「……なんでもない」 「いいか、ハルヒ。『外の人』にとってはラノベかもしれんが、俺たちにとっては、いや少なくとも俺にとっては、これが不二にして唯一の現実だ」 「あんたさ、夢見たことある?」 「夢って、どんな夢だ?」 「質問に質問で返さない! 夢っていったら、夜...
  • 司書は休日、魔女になる
     「有希だわ」  ある晴れた日曜日、おれたちは市立図書館の前を通りかかった。  おれたち? ああ、ハルヒとおれだ。  何故、おれとハルヒなのかといえば、 「あんまり天気が良いんで、どうせ休みだからって昼過ぎまで寝てるにちがいないあんたを、団長自らがわざわざ出向いて起こしに来てあげたわ」 と、朝っぱらから失礼なことをわざわざ言いに来た誰かさんに、何故だか『罰ゲーム』を課せられたからだ。とても気持ちがいい日曜の街を、こいつと歩き回るのがどのような罰ゲームになるのかといえば……察してくれ。  「おかしいな。月末は蔵書の整理をするとかで、図書館は休みのはずだ」 「どうして、あんた、そんなこと知ってるの?」  じと目でにらむな。 「図書館を利用したことのある市民なら誰だって知ってるだろ。……多分」 「あ、そ」  ハルヒは目をそらし、顔を長門がいた方に向けた。 ...
  • ハルヒ先輩9(最終回)
    ハルヒ先輩8から  「じゃあ、おねがいします」 「はい、確かに。いってらっしゃい」 「……母さん、いまのキョン?」 「ええ。毎朝、けなげにお弁当を届けに来る子なんて他にいないわ」 「もう、自宅にいるんだから、必要ないのに……」 「とは言うものの、毎日しっかり食べるのね」 「だって……残したりしたら、あいつ、悲しそうな顔するもの」 「はいはい。ごちそうさま」 「……母さん、あたしって、わがままかな?」 「どういう意味で言ってるのか分からないけど……そうね、多分」 「キョンは何であたしみたいなのと、付き合ってくれてるの?」 「さあ、そればっかりは。……わたしも、お父さんがどうしていっしょにいてくれるんだろうって、ときどき思うわ」 「あたしは母さんが、あの親父といっしょにいるのが、いまだに理解できない」 「そう? 前にお父さんが言ってたわ。『好きってやつだけは...
  • キス銀行
    ハルヒ 今日(5月23日)はキスの日よ! キョン ああ、そうらしいな。 ハルヒ そういう訳で、キス銀行ってのを始めることにしたわ。キョン、さっそく口座を開きなさい。 キョン キスなら、いつもしてるだろ。ほら。……。。 ハルヒ ん……。じゃ、なくて! ぎ・ん・こ・う! キス銀行と言ったでしょ? キョン 名前だけだと、なにするところかわからんぞ。 ハルヒ わかりが悪いわね。つまりキスを預けたり引き出したりできる銀行よ。 キョン おれはまた、休日や夜間だと手数料をとりあげるところかと思ったぞ。 ハルヒ あんた、ATMとキスして、どうしようっての? キョン いや、どうもしないが。……口座を開くって、なにをどうするんだ? ハルヒ 簡単よ。ナニをこうするのよ! キョン 〜んんん。……って、これだと、ただのキスだろ? ハルヒ ただのじゃないわ。ディープ・...
  • 一人旅に必要な事 その後の後
     その女の子は10mくらい前でキョンの手をふりほどくと、と・と・と、とあたしの前まで来て、ちっちゃな指を突きつけてきた。 「おばさん、だあれ?」  おっと、そう来たか。でも、あたしだって、だてに場数は踏んでないのよ。 「あたしはハルヒ。あんたのお名前は?」 「あたしアキ。はる、なつ、あき、ふゆ、のアキ」 「んー、おりこうさんだね。自分の名前の意味まで言えるんだ」 「あたし、ハルヒって知ってるよ」 「へー、聞こうじゃないの」 「パパの初恋の人!」 思わず手がこぶしになるわ! 覚えてなさい、キョン! 「そんで、最愛の人! でも、初恋って実らないんだって!」 アキちゃん、それ、何回くらい練習したのかしら?  「初恋」あたりで固まったキョンは、ようやく「解凍」できたらしく、自分の娘に追いついて来る。 「アキ、『はじめまして』と『こんにちは』だろ、最初は」 「ごめーん。ア...
  • キョンの禁欲
    団員1 ハルヒ、俺も明日から『ハルヒ断ち』させてもらうぞ。 団長 なんですって!? あんた、それをいいことに有希やみくるちゃんで『補給』するつもりなんじゃないでしょうね? 団員1 なんだ、その『補給』ってのは? 何を?どうやって? 団長 う、そんなことあたしの口から言えないわよ! 団員1 俺はおまえだけだって、いつも言ってるだろ? 団長 あんたはそればっかり。 団員1 そればっかりで悪かったな。 団長 べ、別に悪くはないわよ。それに、その、口ばっかり、じゃないし。 団員1 ……////。 団長 ……////。 団員1 ……で、『ハルヒ断ち』の件なんだがな。 団長 そう、それよ! あんた、あたしを『兵糧攻め』にする気? 団員1 なんだ、その『兵糧攻め』ってのは? 団長 う、うっさい!そんなことあたしの口から言える訳ないでしょ! 団員1 ...
  • ハルヒ先輩
     「キョン、あんた、ちゃんと弁当つくってきたんでしょうね?」  デカイ声でいうなよ。まったく、ちょっとは気を使って欲しいぞ。 「ふふん、相変わらずうまそうね。あんたに先に料理を仕込んだのは大正解だったわ! ほら、あんたの分もあるんだから、しっかり食べなさい!」 「『あんたの分』じゃなくて、どっちも俺が作ったんだ! あと、俺たちはまだ4限目、授業があるんだよ」 「却下。アホ教師の授業なんて聞く意味なし。遅れないように、後でしっかり教えてあげるから、とにかく座りなさい」 「授業に遅れなくても、出席日数に響くんだよ」 「そんなもの、なんとかなる。いざとなったら、なんとかし・て・あ・げ・る」 「それが怖いんだよ」 「まだ、何か?」 「わかったよ、食べる、食べるから」 「待った、あんたの席は、ここ」  うわ、この人、自分の太もも叩いてますよ。おれたち、どこのバカップルですか? ...
  • 長門有希の空腹
    ハルヒ 親父! 味付けはともかく、あんたはいつになったら量の調整ができるようになるのよ!? オヤジ 母さんが精魂込めて育てたゴーヤだ。大事に使おうと思ってたら、他の食材が増えた。 ハルヒ 意味がわかんない! このゴーヤチャンプルー、5人前はあるわよ! まあ、とりあえずキョンを呼ぶとして……。あ、キョン?あんた暇でしょ、今すぐうちに……。 オヤジ おい、ハルヒ、ちょっと玄関先を見て来い。誰か倒れた音がした。 ハルヒ 何を言って……。 オヤジ 親父イヤーは、地獄耳だ。いいから見てこい。 ハルヒ まったく、なんだって……。ち、ちょっと! 有希? なに、どうしたの!? 長門 おなか……すいた。 オヤジ ほう、いい食いっぷりだ。長門、もっと食っていいぞ。 ハルヒ 親父、おかわり! オヤジ おまえは単なる食い過ぎだ。自重しろ。 ピンポーン ハルヒ 誰か、来たわよ。 オヤジ 来たわよ、...
  • 資本戦隊キャピタル・ファイブ
    オヤジ 娘。 ハルヒ 何よ、オヤジ。 オヤジ シナリオだ。 ハルヒ シナリオって何の? オヤジ 映画だ。また撮るんだろ? ハルヒ はあ? オヤジ おまえら5人だから、とりあえず戦隊ものにしといた。 ハルヒ しといたって、こら、こんなもの押し付けんな!! 資本戦隊キャピタル・ファイブ キャピタル・レッド……リーダー、でもスパイ キャピタル・ブルー……クールな一匹狼 キャピタル・イエロー……調子がよい太鼓持ち、二重スパイ キャピタル・ブラック……「イエス、ユー・キャン」が口癖 キャピタル・グリーン……葉緑素を体内に持ち、菜食主義を地でいく半植物人間、エコロジスト、青臭い言動が持ち味 ゴールド司令官……戦隊をあずかる。必殺技ゴールド・ラッシュ。 カツマー長官……キャピタリズムを体現した初の女性長官。爆弾発言が得意。愛読書はミルトン・フリードマン『資本主義と自由』。 カツマー長官 ...
  • 青少年愛護条例
     さて、俺たちが住む某県には、青少年愛護条例(他の県だと「保護条例」とか「健全育成条例」とかいう名前らしいが大抵の県にある)なる条例があり、たとえば第21条の2には、「何人も、青少年から使用済み下着などを買い受けてはならない」なんていう条文がマジにある。他にも「保護者は特別の事情がある場合を除いて、深夜(午後11時から翌日午前5時)に青少年を外出させないようにしなければならない」だとか、エロいサイトを青少年が見ることがないように、ネットカフェはフェルタリング・ソフトを導入しなきゃならないし、親は携帯にそういうサイトを閲覧できないようにしなきゃならない。 「問題はそこじゃないでしょ、キョン!」  なんか無駄に憤ってる奴がいるが、面倒だからコピペするぞ。  (みだらな性行為等の禁止) 第21条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。 2 何人も、青少...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6から  真夜中にはまだ間がある時間にコテージを飛び出し、結局、空の一角が明るくなるまで、ハルヒと俺は、東を向いて歩いた。  俺には自分たちがどこに向かっているのか、それにどれだけ進んだのかさえ、見当もつかなかったが、俺の手を引くハルヒの手は、大丈夫こっちで間違いない、とずっと言い張っていた。   あとで知ったことだが、俺たちが歩いていたのは、この島の一番長い道だった。  元はレールが敷いてあったらしい砂利道で、今はなくなった鉄道は、最初の夜に食事をした繁華街の外れにあるセントラル・ステーションを発着駅にしていたそうだ。 「キョン、お腹がすいたわ。しかも小腹ってレベルじゃなくて」 「俺も腹ぺこだ、ハルヒ。ここで『だから、おまえの太ももをよこせ』といえないのが全年齢対応のつらいところだ」 「言えたら、それはそれで、別の意味でつ...
  • 親父抜きの大晦日その後^3
    親父抜きの大晦日その後^2から  おれとハルヒは、日付と年が変わるのを待つというより、むしろ迎え撃つように、お重に入り切らなかった和洋中のおせちを、互いに競い合って腹に詰め込んだ。  箸と箸でつばぜり合いを演じているうちに、どこかこの近くの寺の鐘が108つをとっくに越えて突かれまくり、ようやく最後の鐘となったところで、主のいない涼宮家の電話が音をたてた。 「誰よ、こんな時間に?」 「当然、親父さんだろ?」 「あー、あいつなら、やりかねないわ」  となおも箸を止めないおれたちのかわりに、ハルヒのお母さんが受話器を取った。もとい、スピーカーのスイッチを入れた。 「皆の衆、ハッピィ・ニュー・イヤー。なんだ、キョン、まだいるのか?」 「いちゃいけないっていうの? 話によっては相手になるわよ!」 「年越しだ。過去の遺恨は水に流せ」 「正月早々、下水が詰まりまくりよ」 ...
  • ミルク搾りの女の子
     むかしむかし、あるところに、とてもかわいい女の子が暮らしていました。  女の子は空想することが大好きで、その日も楽しいことを空想しながら、牛からしぼったばかりのミルクの入った桶を、頭に乗せて運んでいました。 「そうね。このミルクを売ったお金で、少なくとも300個の卵が買えるわ。 そして、どんなに悪くても、卵からは200羽のヒナが生まれるわ。 そして、そのうちの50羽は、親鳥に成長するわ。 そう、ちょうどその頃はクリスマス前で、トリ肉が一番高く売れる時期だわ。 高く売れると、そのお金で新しいドレスが買えるわね。 真っ赤なドレス、とってもすてきな真っ赤なドレスよ。 当然、クツもおそろいでね。 そしてそのドレスを着て、クリスマスパーティーに出かけるのよ。 すてきなドレスを着た美人のあたしが登場すれば、みんな、あたしにプロポーズしてくるわね。 でも、すぐに受けてはダメ。 ...
  • ハルキョン家を探す その1
     駅前の不動産屋の前で、掲示されている物件情報を親の敵のように睨みつけている奴に出会った。  誰であろう、涼宮ハルヒである。  ハルヒは自分の行為によほど集中していたのか、俺が声をかけられるほど近づいても、まるでこちらに気付かないでいた。  やれやれ、今度は何を考えついたんだ? 大方、SOS団の駅前屯所を作るのよ!これから地の利ってのがものをいうんだからね、といったようなことだろう。  悪の芽は早めに摘むに限るな。といっても大げさなものじゃない、ちょっとばかり小言を言うだけさ。だいたい、こいつは物わかりが悪い奴じゃない(逆に物わかりが激しすぎるきらいはあるが)。ただ正面から否定すると意地になって、自分でもわかっちゃいるくせに上げた手が下ろせなくなるだけの話だ。  周りの迷惑を少々過小評価するきらいはなくはないが、こいつはこいつなりに自分を含めた「みんな」のためを...
  • 新落語シリーズ「三年目」
    (1)落語「三年目」をみくるルートで  相思相愛の若夫婦が、あまりに仲が良すぎたせいか、姉さん女房の方が、どうにも具合が悪いといって寝込むようになった(意味の分からないよい子は大人に尋ねるといい)。  亭主の方はというと、昼も夜も枕元を離れずの看病。  ほうぼうの医者にも見せたが、病いは悪くなるばかりで、もう起き上がる事もできないという大病になった。 「みくるさん、加減はどうですか? 薬を持ってきました」 「あ、はい、ありがとうございますー」 「薬を飲んで、早くよくなってください」 「おそれいりますー。あとでいただきますー」 「後でと言わないで,今飲んでください。いつも俺が見てないうちに、飲んだ振りをして捨てているでしょ。それじゃあ、よくなるものもよくなりませんよ」 「お薬をいただいてもよくなりませんからー。なんだか、申し訳なくて。すみません」 「そんなヤケにな...
  • @wiki全体から「王様とあたしたち その1」で調べる

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