東名首都圏電気鉄道2700系電車
2700系電車(2700けいでんしゃ)は、東名首都圏電気鉄道の近郊形直流電車。
主要諸元
基本情報 | |
製造メーカー | 川崎重工業車両カンパニー 近畿車輛 |
製造年 | 2014年 - |
製造数 | 158両 |
主要諸元 | |
編成 | 2・3両 (全車両0.5M方式の電動車) |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V |
運転最高速度 | 130km/h |
設計最高速度 | 160km/h |
起動加速度 | 3.1km/h/s |
減速度(常用) | 4.6km/h/s |
減速度(非常) | 5.2km/h/s |
編成定員 | 408名(3両編成) 259名(2両編成) |
車両定員 | 133名(クモハ2700形) 126名(クモハ2600形) 149名(モハ2600形) |
車両重量 | 40.2t(クモハ2700形) 40.5t(クモハ2600形) 37.1t(モハ2600形) |
編成重量 | 117.8t(3両編成) 80.7t(2両編成) |
全長 | 20,000mm |
車体長 | 先頭車:19,570mm 中間車:19,500mm |
全幅 | 3003.2mm |
車体幅 | 2,950mm |
全高 | 4,090mm |
車体高 | 先頭車:3,680mm 中間車:3,630mm |
床面高 | 1,120mm |
車体材質 | ステンレス |
台車 | 軽量ボルスタレス軸梁式台車(ヨーダンパ付) 動力台車:M-DT63B 付随台車:M-TR246F・M-TR246G |
固定軸距 | 2,100mm |
車輪径 | 860mm |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 (M-MT106A-G2) |
主電動機出力 | 270kW |
駆動装置 | WNドライブ |
歯車比 | 1:6.53 |
編成出力 | 3両編成:270kW×2×3=1,620kW 2両編成:270kW×2×2=1,080kW |
制御装置 | 2レベルIGBT素子VVVFインバータ (静止型インバータ一体型) M-PC15A(1C2M) |
ブレーキ方式 | 電気指令式 (回生〔純電気式〕、抑速、耐雪、直通予備、救援、駐車ブレーキ付き) |
保安装置 | ATS-SW2・ATS-DW・ATC-IM 列車防護無線装置 EB・TE装置 車両異常挙動検知システム |
概要
老朽化の進んでいる静岡地区300・700系の置き換えによるサービスレベルの向上、列車のスピードアップを図るために開発された。2500系ローカル線対応車としての側面を持ち、基本的な設計は2500系と共通化されている。その一方で、1300・2500系では準備工事のみであった伝送方式のフルデジタル化とそれに伴う種別・行先表示器へのフルカラーLED採用など、2500系から更なる進化を遂げている。
2両編成と3両編成が存在し、2~8両編成の間で編成を組成することが可能である。これにより、旅客の需要に柔軟に対応することが可能となっている。
構造
車体
車体は2300系を踏襲したステンレス鋼(SUS301,SUS304)製で、先頭車の運転台部分のみ普通鋼製となっている。溶接部分には3500系・1300系で採用されたレーザー溶接が引き続き採用され、車体の美しさ向上に寄与している。車両構体は全車両を共通設計とし、コスト削減が図られている。
主要機器
1300系や2500系で採用された、1車両中に動力台車と付随台車を1台づつ配置し、運転に必要な機器類を1両にまとめて搭載した車両を複数連結して編成を構成する0.5Mシステムを引き続き採用し、冗長性の向上と製造・整備の容易化によるコストダウンを図っている。そのため、全車両に主回路用インバータと補助電源用インバータを一体化した車両制御装置を搭載し、更に形式番号に2700が付与されている車両は集電装置と空気圧縮機を搭載する。
2000系以降の設計思想を引き継ぎ、1 - 3位側(海側)に空制部品関係を、2 - 4位側(山側)に電気部品関係を集中配置し、メンテナンス性に配慮しつつ整備員の安全性を確保している。
電源・制御装置
車両制御装置は2500系と同一のM-PC15Aを採用している。前述の通り主電動機を制御する主回路部と補機類の電源となる補助電源部が一体となっており、IGBT素子を使用した2レベル電圧形PWMインバータである。主回路部は制御装置1つで2個の主電動機を制御する1C2M方式のVVVFインバータとなっている。静岡地区では平行ダイヤを組んでいる関係上、300・700系と本形式との運転取り扱いを統一する目的で性能切替スイッチを装備しており、主回路部の制御ソフトが2500系と異なっている。補助電源部は三相交流440V・75kVAの容量を有し、2レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御している。また、他車の車両制御装置の補助電源部と並列運転を行って故障時の編成全体での冗長性を確保している。
空気圧縮機は除湿装置と一体化した低騒音スクリュー式のM-MH3098-M-RC1600をクモハ2700形に搭載している。2500系の先代である2300系2000番代から引き続き採用されており、東名首都圏電気鉄道の標準となっている。
集電装置はシングルアーム型パンタグラフM-PS28E形を採用し、クモハ2700形後位寄りに搭載する。上昇・下降方式は一般的なバネ上昇・空気下降式を採用しており、2500系と同様の上昇検知装置と電磁カギ外し装置を搭載するほか、架線への追従性向上を狙って分割すり板を採用している。
主電動機は2500系と同じかご形三相誘導電動機M-MT106を引き続き採用している。センサレスベクトル制御によって速度センサを廃しており、連続定格出力は270kWである。主電動機内部への雪の侵入を防ぐために排風覆いが設けられており、これも2500系と同様である。
空調装置は新鮮外気導入機能を備えた集約分散式であるM-AU708Bを屋根上に1両あたり2基搭載している。容量は1基あたり20,000kcal/h以上である。
台車
台車はメンテナンス性の向上と部品の共通化を狙い、1300系や2500系で実績のある軸梁式ボルスタレス台車とし、軸箱と台車枠の間に軸ダンパが装備されている。車体のロール剛性向上のため、2300系のM-DT59から空気バネ間隔を2,000mmに拡大し、空気バネ高さを925mmに低減させた設計は1300・2500系と同様である。空気バネの自動高さ調整装置の高さ調整棒には、異物との接触時の誤動作を防止するために保護ガードを設け、信頼性の向上を図っている。2500系とは異なりヨーダンパは装備されているが、セミアクティブ制振装置は最高速度が130km/hと低いため省略されている。
電動台車はM-DT63Bと呼称され、基礎ブレーキは踏面ユニットブレーキである。付随台車は先頭車がM-TR246G、中間車がM-TR246Fと呼称され、基礎ブレーキは踏面ユニットブレーキ+1軸2枚のディスクブレーキである。加えて、M-TR246Gにはバネ式駐車ブレーキが備えられているほか、M-DT63Bには160km/h運転準備工事として踏面キャリパ式ディスクブレーキの取り付けが可能となっている。
その他装備
保安装置はATS-SW2形とATC-IMを搭載する。また、列車防護無線、EB・TE装置といった標準的な安全装置に加え、本形式では新たに前後・上下・左右のいずれかへの異常な車両加速度を検知した場合にシステムが動作し、TE装置を自動的に作動させ、非常ブレーキの動作、半径1km以内にいる列車に対する防護無線の発報、パンタグラフ降下、警笛吹鳴、信号炎管点火を同時に行う車両異常挙動検知システムが搭載され、車両制御装置脇にその表示灯箱を装備している。また、先頭車の運転台寄り(クモハ2700形前位寄りおよびクモハ2600形後位寄り)下部にホーム検知センサーを装備し、乗務員の誤ドア扱いを防止している。
警笛は空気笛のAW-2とAW-5に加え、電子笛を先頭車両床下に搭載している。電子笛は東名首都圏電気鉄道では標準的なミュージックホーンとなっている。
車内
座席はドア付近が固定式クロスシート、ドア間が転換式クロスシート、車端部がロングシートである。
形式
- クモハ2700形 (Mc)
熱海方に連結される制御電動車。運転台・車椅子スペースを備える。車両制御装置、蓄電池、空気圧縮機、集電装置を搭載する。空車重量40.2t。
- クモハ2600形 (M'c)
豊橋方に連結される制御電動車。運転台・身障者対応トイレ・車椅子スペースを備える。車両制御装置、蓄電池を搭載する。空車重量40.5t。
- モハ2600形 (M')
中間電動車。車両制御装置、蓄電池を搭載する。空車重量37.1t
編成表
左側が熱海方、右側が豊橋方である。
編成番号 | 静岡総合車両所所属車 | |||
A編成 | 形式 | > クモハ2700 -0 (Mc) |
モハ2600 -0 (M') |
クモハ2600 -0 (M'c) |
搭載機器 | Cont,CP | Cont | Cont | |
車両重量(t) | 40.2 | 37.1 | 40.5 | |
S編成 | 形式 | > クモハ2700 -0 (Mc) |
クモハ2600 -0 (M'c) |
|
搭載機器 | Cont,CP | Cont | ||
車両重量(t) | 40.2 | 40.5 |
運用
東名首都圏電気鉄道の鉄道車両 | |||
電車 | 近距離用 | 200系 - 600系 - 800系 - 1000系 - 1300系 - 1500系? | |
中距離用 | 直流用 | 300系 - 700系 - 2000系 - 2300系 - 2500系 - 2700系 - 3000系 - 3300系 | |
交直両用 | 3500系 | ||
遠距離用 | 直流用 | 400系(運用終了) - 500系(運用終了) - 20000系 - 21000系 - 22000系 - 23000系 - 24000系 - 25000系 - 26000系? - 27000系 | |
交直両用 | 10000系 - 12000系 - 13000系 | ||
事業用 | MR3000系(運用終了) - MR5300系 - MR7150系 - MR9000系 | ||
展示用 | 名鉄1600系 - 名鉄7000系 | ||
気動車 | キハ100系(運用終了) - キハ150系(運用終了) - キハ1000系(運用終了) - キハ1500系(運用終了) - キハ10000系 | ||
客車 | M10系(運用終了) - M15系(運用終了) - M20系(運用終了) - 20系(展示用) | ||
貨車 | チキ5200M形 - チキ5500M形 - チキ6000M形 - チキ7000M形 - ホキ800M形 | ||
蒸気機関車 | C62形(展示用) | ||
電気機関車 | EF100形(運用終了) - EF150形(運用終了) - EF200形(運用終了) - EF250形(運用終了) - EF20000形 | ||
ディーゼル機関車 | DE10M形 - DD51M形 - DF200M形 |