第七十四話

248 :ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 03:28:00 ID:Kciij6DJO
【指】1/2

指が落ちてた。細くて色白の、指が道端に落ちていた。

拾って、ポケットに閉まった。

家に帰って引き出しに入れた。飯を食って、風呂に入って、ベッドに入って、考えた。

あれはどんな人の指なんだろうか。

男だろうか?いや違う、あの細さと肌の色は女のものだ。美人だろうか。多分、美人だろう。

爪にマニキュアは塗って無かったから、きっと化粧っ気の無い人なんだろう。素朴な感じの着物が似合う大和撫子だろうか。

そう考えたら、頬がにやついてきた。

それと同時に、なんだか虚しくなった。
だって、あの指、どう見てもプラスチックだったんだもの。

いや、待て、別にオレはネクロフィリアでもないし無論吉良でも無い。ちゃんと死体以外の穴に突っ込んで童貞は捨てた。クイーンはマジでリスペクトしてるけどね。

明日同僚を脅かしてやろうと思って、拾っただけだよ。

まぁ、そんな計画も同僚の気のない返事でおしゃかよおしゃか。

ふーん。いい大人がどこのデパートのマネキンをぶっかいてきたのかな?だってさ。

うっせーマジで拾ったんだよバーカ。もうお前には見せてやんねー。見たいっつっても見せてやんねー。


249 :ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 03:29:06 ID:Kciij6DJO
2/2

そんな出来事があったのが一年前。

こないだ、郵便受けを見たら妙なチラシが入ってた。

ゆびをはやくかえしてくださいはやくゆびかえしてゆびかえしてはやくゆび

全部ひらがな。ミミズののたくったような字。デパートのチラシの裏に書き殴られた差出人不明のメッセージ。

最近、ドアチェーンに鋸かなんかでつけられたっぽい傷があるのを見つけた。

もうちょっとで、千切れそう。

早いとこ新しいのに変えないと、なんかマズそうな気がするんだが。大丈夫だよな。

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最終更新:2008年08月29日 20:01