自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

004 第3話 接触せよ

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匿名ユーザー

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第3話 接触せよ

1941年 10月19日 午前8時 カナダ
オンタリオの名物と言えば?と言われれば、現地の人はこう口ずさんだ。

「ナイアガラの滝さ。見てないのなら一度見てきたらいいよ。」

ナイアガラの滝、それは世界でも有数の滝である。
有数の滝といっても、それを構成しているのは、カナダ滝、アメリカ滝、ブライダルベール滝の3つである。
どれもこれも、一見の価値がある滝だが、見物人が行くのは、やはり一番規模の大きいカナダ滝であろう。

観光で見に来たチャック・ルイスは、目の前の光景が信じられなかった。

「一度見てきたらいいよ。」

と言われて、ナイアガラの滝がどんなものか見てやると、張り切ってトロントからここまでやってきたのだ。
確かに、眼前の光景は一見の価値はあるかもしれない。しかし、そこには、本来のナイアガラとは、違う光景があった。

「ゴート島はどこに行った?アメリカ滝は・・・・・・・いったい。」

彼が立っているのは、カナダ領から正面にゴート島が見える位置に、彼は立っていた。
そのゴート島や、アメリカ滝が消えているのだ。
変わりに、アメリカ領の向こうは、漠然とした海が続いていた。
対岸は、アメリカ合衆国であったが、その国は、綺麗さっぱり無くなっていた。

「俺の目がおかしくなったのかな?」

彼はそう言って、目を何度も擦り、目の前の光景を眺める。
目の前には、相変わらず、海が広がっていた。残っていたカナダ滝が出す音は、どこか悲しげに聞こえるようだった。

1481年 10月19日 午前8時 ワシントンDC

国務長官のコーデル・ハルは、車でホワイトハウスに向かっていた。
電話があったのは6時を過ぎてからである。
電話の相手によると、今日未明、原因不明の異変が起き、それが原因で合衆国以外の国から
全く連絡が取れなくなったと言う。
それを聞いたハルは、最初、磁気嵐で電波の状態が悪くなり、電報や各外国放送の送受信が
出来なくなったのかと考えた。
だが、それはあり得ない。
いくら磁気嵐だとしても、合衆国本土のみは、通信が満足に出来るとは考えられない。
普通ならば、合衆国内の通信も満足に出来ないはず。
それに、外国からの電報や放送が、ぱったりと止んだと言うのも、磁気嵐では到底考えられない。

「細かい事は、ホワイトハウスで考えるとしようか。」

そうしないと、頭が混乱する。そう思ったハルは、この事件に関しての思考を止めた。
ホワイトハウスに付くと、陸軍参謀総長のジョージ・マーシャル将軍とぱったり出会った。

「おはようマーシャル将軍。」
「おはようハル長官。」

マーシャル将軍はぶっきらぼうな口調で答えた。
いささか機嫌が悪いようだ。
(朝の乗馬が取り消しになったので、機嫌を悪くしているんだな)
とハルは思った。
マーシャル将軍は、日曜の朝には、いつも数時間ほど馬に跨って、参謀総長官邸の周囲を走り回っている。
この時も、マーシャルはいつもの乗馬を楽しもうとしていたが、そこにホワイトハウスから電話が入ってきた。

「大統領は、なんで急に私達を呼んだのだろうね。」
「なんでも、未明に起きた異変について、色々話し合いをするようだな。」
「異変か。まあ、ある程度は予想出来ていたが。」

マーシャルはそう言う。彼は、腕に何か四角いものを持っている。
それが何であるか聞こうとしたが、その間に会議室の前に来ていた。
会議室のドアを開けると、そこにはルーズベルト大統領と、フランク・ノックス海軍長官、
それに、最近海軍作戦部長に任命された、アーネスト・キング大将が話し合っていた。

「おはようございます、大統領閣下」
「おはよう。寝覚めの気分はどうかね?」
「いたって快調ですよ。」

マーシャルがそう言うと、ルーズベルトは鷹揚に頷いた。

「そうか。まあ、席に座ってくれたまえ。」

2人は、失礼しますと言って席に座った。
その後、5分ほどで、陸軍長官のスチムソン、司法長官のフランシス・ビドルなどの各省庁の
トップが、次々に入って来た。
最後に入ってきたのは、農務長官のクロード・ウィッカードであった。

「さて、話を始めるとしよう。」

ルーズベルトが口を開いた。

「諸君の中には、聞いている者も、聞いていない者もいるかもしれないが。
本日未明、わが合衆国は、外部からの連絡が全く入らなくなった。」

ルーズベルトはそこで区切り、周りを見渡す。誰も驚いている様子は無い。
いや、内心では驚いている者もいるかも知れないが、いまいち現実味が沸かないのだろう。

「報告を聞いたのは、午前5時を回ってからだ。既に、太平洋艦隊、大西洋艦隊では周囲の捜索に
策敵機を飛ばしておるようだ。そうだな?」

ルーズベルトは、禿頭の男に顔を向けた。

「そうであります、閣下。サンディエゴの太平洋艦隊司令部では、現地時間の午前6時に、
カタリナ飛行艇を使って、周辺海域の捜索に当たっております。」
「うむ。」

ルーズベルトは頷いた。そこで、会議室の一同がざわつき始めた。

「コーデル、国務省は今どのような状態だね?」
「国務省は、現在、各国大使から面会の要請が次々と来ております。
また、外国の我が国の大使館からも連絡は今だ出に取れぬ状況が続いています。」
「まあそうであろう。」

ルーズベルトは、誰かに視線を送った。それはマーシャル将軍であった。

「マーシャル君、既に写真は拡大してあるね?」
「はっ。ここに写真を準備してあります。」

そう言うと、マーシャルは、先ほど持っていた、梱包された四角いものを引っ張り出した。

「最初、私も夢であってくれと祈ったものだよ。皆に見せてやってくれ。」

マーシャルが頷いて、包みを開いた。
「本日午前6時に捉えられた、ナイアガラの滝周辺の写真です。
もう1つは、カナダ国境沿い、いえ、元カナダ国境沿いの“海”です。」

その2枚の写真が、皆の前にさらけ出された時、





物語は始まった。



1481年 10月19日 午後2時 カリフォルニア州サンディエゴ

「メキシコ見当たらず。」
「南アメリカ大陸はどこにも見当たらず、依然南下中」
「ハワイ、ウェークからの通信不能」
「アラスカより入電、対岸にユーラシア大陸は見えず、対岸は海のみしかあらず」

サンディエゴの太平洋艦隊司令部には、このような報告が続々と入って来た。
午前6時には、サンディゴから12機のカタリナ飛行艇が飛び立ち、アラスカでも7機のカタリナが発進した。
西、南、北の方角を捜索したが、カタリナ飛行艇のパイロットは、自分達の目が信じられなかった。
いつもはそこにあったはずの大陸や島などが、綺麗さっぱり無くなっているのだ。

「ミスタースミス、君はこの報告を、どう解釈する?」


キンメルは、隣の参謀長、ウィリアム・スミス少将に声をかける。

「いささか、馬鹿げているような考えですが、よろしいでしょうか?」
「構わん、言ってくれ。」

キンメルは言い放った。

「H・G・ウェルズの作った世界に放り込まれたと言っても驚かんよ。」
「では、自分の考えをいいます。」

そう言って、彼は机に広げられている世界地図を、指示棒で指した。

「ここが、わが合衆国です。現在、合衆国本土以外で、通信が取れるのは、ここアラスカのみ。
他は軒並み通信が途絶えています。そして、カタリナからの報告。」

スミスは、地図の適当な場所トントンと叩いた。

「長官。はっきり申しまして、この地球では、わが合衆国本土と、アラスカのみが残り、他は海の底に沈んだか、あるいは」

スミス少将は人差し指を上に向けた。

「どこぞに飛ばされてしまった、かでしょう。ここから先は、科学者しか詳しい事は分からんでしょうが、
恐らく、何かの原因で、他の国が消滅したか、我々合衆国とアラスカのみが飛ばされたしか・・・・・・
馬鹿げた事ですが、それしか考えが浮かびません。」

スミス少将は頭を掻いた。

自分でも、このような事を言うのは恥ずかしいと言わんばかりの表情である。
キンメルは腕を組んで、じっとスミスの説明に聞き入っていたが、キンメル自身も頭が混乱しっぱなしである。

「・・・・・どうもさっぱりしないな。」
「カタリナからは、特に変わった内容の報告は送られておりません。」

主任参謀のチャールズ・マックモリス大佐も言う。
「カタリナは、500マイル索敵したら引き返すように命じているため、現在の時刻では、ここに到達している頃です。」

マックモリス大佐は、ペンで、地図に点を書き入れていく。カタリナ飛行艇は最低でも3000キロ以上の航続力を
持っており、最大では4000キロの彼方まで飛んでいく事が出来る。
今回は、近辺の他の大陸や、島を探すだけで、索敵線を500マイル(800キロ)に設定している。
しかし、すぐに見つかるはずの島や、大陸も、一向に見つからない。
現在、カタリナ飛行艇は120マイルのスピードで飛行しているから、今は基地に戻っている最中である。

「私が思うには、参謀長のおっしゃるとおりだと思います。
まあ、私としても頭が混乱していないと言えば嘘ですが、先ほど言われた、世界がアメリカのみを残して海に没した
と言うのは考えられません。そのような地殻変動は、その前に必ず兆候が現れます。
私が思うには、もう1つの仮定です。」
マックモリス大佐の顔がより険しくなる。
オペラ座の怪人と噂された怪異な面構えが、その怪人と比べても、遜色ないほど変わっていた。

「仮に合衆国本土や、アラスカが他の、例えば、訳の分からぬ異世界などに飛ばされたとします
そうなれば、いきなり途絶えた、ハワイやウェーク、ミッドウェー、そしてフィリピンからの通信。
そして、各国の電報や外国向けの放送、それらの原因が説明できるのです」

キンメルは頭を振った。

「くそ、どうかしてる。君達は、私も含めてみんな気が狂ってるいるんだ。    

と、言えばすぐに解決できるだろうが・・・・・・」

キンメルは、ため息をつきながら、溜まった紙を取り、改めて一枚一枚めくっていく。

「ガラパゴス諸島を発見できず・・・・・・ハワイの陸軍守備隊との通信途絶・・・・・・
プリンスオブウェールズ岬沖(ベーリング海峡の最狭部のアメリカ側の岬)に対岸なし・・・・・・
これだけの証拠が揃っている以上、気が狂っているとは言えないな。」

むしろ狂った方がマシな状況だな、という最後の一言は口に出さなかった。
彼は紙の束を机に置いた。

「500マイルの索敵線では何も見つからないでしょう。」

マックモリスはそう言うと、作戦地図に何かを書き始めた。彼は、索敵線を書いている。

「索敵線を延ばしましょう。1000マイルほどに。」
「1000マイルか。カタリナの航続力なら、それは可能であろうが、パイロットに負担を一層強いる事になるぞ?」

スミス少将が警鐘を鳴らした。

「疲労が溜まってしまったら、それを回復するのに時間が掛かる。1000マイルでは長すぎるだろう。」
「参謀長、何もカタリナのみに索敵を任せようと言っているのではありません。」
「何?」

スミスは首を捻ったが、マックモリスが言わんとしている事はすぐに分かった。

「空母を使うのだな?」
「その通りです。」

マックモリスは、サンディエゴを指差した。

「現在、サンディエゴには、レキシントン、サラトガ、エンタープライズの3空母がおります。
この3空母は、それぞれ独立した艦隊を編成しています。書類上では、エンタープライズ隊は第8任務部隊、
サラトガは第6任務部隊、レキシントンは第10任務部隊となっています。この艦隊を、洋上に出港させ、
艦載機で索敵させるのです。艦載機の中で、新鋭艦爆のドーントレスはドロップタンク無しでも、
最大770マイルは飛行でき、最低でも、各任務部隊の周囲300マイルは常時索敵できます。」
「なるほど。」

キンメルは納得したように頷いた。

「カタリナと含めて索敵させれば、索敵の密度も上がるな。いい案だ。」

キンメルは、地図に向けていた視線をスミスに向けた。

「スミス、TF10、8、6に出港命令を出せ。大至急だ。」

すかさず命令を下す。
5分ほどして、各任務部隊に命令電が届いた。

10月30日 午前9時40分 ニューヨーク東方600マイル沖

この日、ノーフォーク海軍基地を離水したカタリナ飛行艇、ネルファ7は単調な飛行を続けていた。

「機長、600マイル線に到達しました。」

航法士のエルビス・クラウンティー兵曹は、機長のアッシュ中尉に報告した。
アッシュ中尉は、前方を見据えながら了解と返事した。

「1000マイル線まではまだまだ遠いな。おい、エルビス。他の奴らは起きているか?」
「起きてますよ。」

返事を聞くと、アッシュ中尉は軽く頷いただけで、再び操縦に専念する。
クラウンティー兵曹は、機体の後部に向けて歩いていく。
後部側には、右、左側に張り出した風防ガラスがあり、そこに7.62ミリ機銃が据え付けられている。

「あっ、クラウンティー兵曹。」
「よう、お2人さん。調子はどうだい?」

彼は、2人の機銃手に声をかけた。いずれも1等水兵であり、彼よりも若い。

「自分は大丈夫ですが、ルイスのほうが少し調子がおかしいようで。」
「おい!やめろって!」

ルイスと呼ばれた水兵が、慌ててもう1人のほうの口を塞いだ。
ルイスはどこか眠たそうな顔をしている。クラウンティー兵曹は一目で分かった。

「ルイス君、居眠りしていたな?」
「え?い、いや。」
「隠さないでも、目を見れば分かる。お前の目は、今ものすげー眠ぃ!って顔をしとる。」

ばれていた。実は、5分前までルイスは居眠りをしていたのである。
10分少々だったが、同僚のアレックスが叩き起こしてくれた。

「まあ、こんな長距離洋上偵察では仕方ないだろう。ホレ、これでも食って眠気を紛らわせろ。」

クラウンティー兵曹は、懐から2枚のチューインガムを差し出して、1枚ずつくれてやった。

「ありがとうございます。」
2人は声をそろえて、彼に礼を言った。
「眠くなるのは仕方ないが、交代まであと30分ちょいだ。それまでに我慢しろ」

クラウンティー兵曹はガムをあげると、自分の座っていた席に戻った。
海図が書かれたチャートに、10分おきに印しを付けて、コースが間違っていないかも確認する。
コースが間違うと、その分、余計な飛行をする事になり、最悪、洋上で燃料切れになってしまう。
そのため、航法士は常に位置を確認する必要がある。

「機長、右に2度ズレています。」
「2度だな、了解」

アッシュ中尉はそう答えると、操縦桿を左に回して、コースを元に戻していく。
空は晴れており、雲量も多くない。海上は遠くまで見渡せた。

「定時連絡だ。こちらネルファ7、ニューヨーク沖東北東600マイル沖を現在高度3000メートル、
時速120ノットで飛行中、異常なし。送れ」

そう言って、彼は無線士に定時連絡の電文を送らせた。

「どこまで行っても海だねえ。
こっから先は永遠に海が続いていると思うと、どうもやる気が萎えて来る。」
「どうして、合衆国以外の国が消えちまったんですかねぇ。」
「H・Gウェルズが呪いをかけたんじゃないのか?それなら納得できるぜ。」

そう言ってアッシュ中尉と副操縦士は笑った。
そこに航法士のクラウンティー兵曹が操縦席に顔を出した。

「話が弾んでおりますな。」
「どうした航法士。何か見つけたのか?」
「いえ。ただ、お土産を持ってきましたよ。」

そう言って、兵曹は2枚のガムを差し出した。

「いつもの奴ですが。」
「サンキュー。いい眠気覚ましになるよ。」
2人は1枚ずつとって、兵曹に礼を言った。
アッシュ中尉はガムの包みを取って、それを口に放り込んだ。
その時であった。

「機長!」
唐突に、マイクから興奮したような声が飛び込んできた。

「どうした?」
「左前方に何かあります!」
「左前方だとぉ?おい、何かあるか?」

アッシュ中尉は右席の副操縦士にも左側海面を見せた。
肉眼では分かりにくいため、アッシュ中尉は双眼鏡を引っ張り出し、それで海上を眺めた。
しばらくして、水平線上に何かが見えた。

「左前方に船らしきものを発見した。距離は15~20マイルほどだ。近付くぞ。」

アッシュ中尉はそう言うと、機首を船らしきものの方向に向けた。

高速輸送船のレゲイ号は、ひたすら東に向かって、時速10リンル(20ノット)のスピードで航行していた。
レゲイ号は巡洋艦ほどの大きさであり、横幅が広く、高速で航行しても安定性がある。
この船には、国外相の担当大臣であるフレルらが乗っていた。
彼らは、西のレーフェイル大陸の覇者、マオンド共和国に軍の参加を頼み込み、それの了解を得てきた。
それと同時に、マオンドとシホールアンルの同盟関係もより強固な物にできた。
長距離魔法通信で結果報告を送った4時間後には、オールフェス直々に成果を称える返事が返されてきた。
そして、マオンド参戦の立役者となった、フレルは、甲板で船長と話をしていた。

「ようやく、3分の1を過ぎた所でしょうか。」

船長のリィルガ中佐が言ってくる。

「3分の1か。行く時はもっと早い時間で行けたのだが」
「行く時は、かなり急いでいましたからね。通常なら、10リンルで約3000ゼルドの距離を
10~12日ほどで行くんですが。今回は急ぎの用件だったので、最高速度に近い17リンルで
ぶっ飛ばしましたからね。お陰で、最短記録を樹立できましたよ。」
「6日で着くとは私も思わなかったよ。せめて、9日は掛かるであろうと思っていたが。魔法石は大丈夫かな?」
「これぐらい無理をしたって、あの魔法石はなんともなりませんよ。」

リィルガ中佐は満面の笑みを浮かべて答えた。

「ポスレンド産の魔法石は頑丈ですから。」
「船長の言うとおりだ。」

フレルも頷く。
ちなみに、ポスレンドとは、北大陸の南東部にあるポスレンドと呼ばれる町にある、魔法石の採掘場である。

「船長―!」

突然、マストの見張り台にいた船員がリィルガ中佐を呼びかけた。

「どうした!?」
「左側方から何か来ます!」
「何かとはなんだ!?」
「わかりません!」

何かを見つけたらしい。しかし、その何かが分からないと言う。

「いったいどうしたのやら。」

リィルガ中佐は懐から伸縮式の携帯望遠鏡を取り出した。
望遠鏡で左側海面を見ようとした時、耳に聞き慣れない、いや、ずっと前に聞いた事があるが、
聞かなくなって久しいような音が聞こえてくる。

「この音は?」

左隣のフレルが聞いてくるが、

「分かりません」

と答えて、リィルガ中佐は望遠鏡を覗く。よく晴れ渡った青空が見え、所々に雲がある。
船員が見つけたものは、すぐに視界に移った。
船の左舷後方。その方向から、何かが向かって来る。
その何かは、海上ではなく、空を飛んでいた。

「あれは・・・・・一体?」

最初、小粒が空に浮かんでいる、と言った感じであったが、時間が経つにつれて、その不審な飛行物体は姿を現し始めた。
10分ほど経つ頃には、その飛行物体は、レゲイ号まで8ゼルドの距離に迫っていた。

「あれは飛空挺だ!」

フレルが思わず叫んだ。

「ええ、確かに飛空挺の類です。しかし、味方の竜母は飛空挺は積んでいない筈ですが。」
「前線にも配備していない。」

フレルも言う。

「2年前に実戦投入して、全滅させられた時以来、ずっと開発中のままだ。
試作機が何機か、国内にあるが・・・・・・」

フレルは、目の前にいる飛空挺が、どこの国のものであるか考えた。しかし、その考えはすぐに消えた。

「ここは海のど真ん中。最短距離のクロレンベ岬までまだ2000ゼルドもあります。
現在、飛空挺を開発しているのはわがシホールアンルのみ。他はワイバーンか、その亜種ぐらいです。」
「そのワイバーンも航続距離はあまり長くない。」
「と、なると・・・・・」

会話をやり取りしている間に、その飛空挺は至近に迫っていた。
かなりの高度を下げているのか、その機体の特徴までも分かった。
木製の手漕ぎボートのような胴体に、やっつけで取り付けましたと言わんばかりの翼、その翼に配置された2基の回転装置。

「あれはなんだ!?」

始めてみる飛空挺に、誰もが仰天していた。
グォオオオオーーン!という、まるで威嚇するような爆音が響き、それはレゲイ号の右舷側に飛び抜けていった。
胴体には、これまた見た事のない、星のマークが描かれていた。
彼らが始めて目にしたアメリカの飛空挺。
その飛空挺こそ、アッシュ中尉らが乗るネルファ7。PBYカタリナであった。

この日、アメリカは、未知の世界と、初めての出会いを交わした。
出会いは、ニューヨーク沖のみならず、太平洋地域でも交わされていた。

1481年10月現在の世界地図

       /丶ゝ
      ゝ   ゞ                          
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(                ソ                        / ____ ___/
 ヽ     北大陸     (                             )/
  ヘ             /                           //
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地図その2

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     \   レーフェイル大陸 ヽ
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          ヽ丶         /
            ゝミ       丿  
             ノ__      ミ
               \ 彡_ミ〆



南北大陸全体図
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北大陸地図
ttp://cv-79yorktown.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2007/10/30/photo_4.jpg
南大陸地図
ttp://cv-79yorktown.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2007/11/22/photo.jpg
レーフェイル大陸地図
ttp://cv-79yorktown.cocolog-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2007/10/30/photo_5.jpg
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