kairakunoza @ ウィキ

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匿名ユーザー

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 受験目前にせまった季節に髪の長い少女と髪の短い少女が二人で外を歩いていた。

「こなちゃんの家に行くのも久しぶりだね」
「最近は忙しかったからね」
「ゆきちゃんもこれればよかったのに…」
「仕方ないわよ…みゆきは医学部目指してるから勉強しないと」

 かがみとつかさ、似ているようで似ていない双子の二人は
 現在泉こなたの家へ向かっているようだった。

「こなたもなんで急に遊ぶとか言い出すのかしら。こんな忙しいときに」
「まぁまぁ、息抜きにはとてもピッタリじゃん」
「別にいいんだけどさ…つかさものんびりしてられないわよ」
「私は大丈夫だよ」
 余裕がある顔でつかさは答えた。
「つかさが大丈夫ならいいけど…」

「こなちゃん、どんな所行くのかな?」
「あの様子じゃあいつはしばらくこのままよ」
「ん~、でもこなちゃんはやればできるタイプだから大丈夫だよ」
「そうだろうけどさ、やらなかったらどうなるのよ?」
「どうだろ?…多分心配要らないと思うよ。ちゃんとアルバイトやってるからね」
「でもあいつは生活のためじゃなくてアニメや漫画のために始めたんだから…」
「そのためにちゃんと仕事するんじゃない?」
「あ…そうね」
 つかさにそう言われて納得するかがみだった。

「…なんで急にこんな話になったんだっけ?」
「進路がどうとか…で、こんな話になったんじゃない?」
「そっか…そうだね」

「でも、さっきつかさは大丈夫って言ってたけどいちばん心配なのはつかさの方ね」
「えっ、なんで?」
「ふふっ、なんでもないわよ。大丈夫よね」
「…?」
 はてな顔の妹を尻目に姉は友人の家へと足を進めていく。



「さてと、もうそろそろ着くわよ」
 かがみはそう言いながら突然走りだす。

「あっ、待って」
 かがみに続きワンテンポ遅れてつかさも走りだす。

「待てないわよ」
「え~ん…待ってよ~…」
 今にも泣きそうな顔でつかさはかがみに訴えかけるも届かない。

「少しぐらい私に追いついてみなさい」
「私じゃ無理だよぉ~…」
 つかさはかがみに追いつこうと頑張っているが、みるみるうちに二人の間が離れて行くのが分かる。


 かがみがこなたの家の前に着いて数十秒後につかさも遅れて歩いてきていた。
「やっと来たわね」
「酷いよぉ…お姉ちゃん…」
「今みたいに歩いてきてもよかったのよ?」
「お姉ちゃんがいないと…怖いから…」
「いつまでも一緒にいれる訳じゃないのよ。少しぐらい自分ひとりで…」
「だからって置いていかないでよぉ…」
「ごめんごめん、少しいじわるしてみたくなっちゃっただけよ」
「うぅ…」
 走ってきたからか、二人の肩は上下していた。
 が、かがみは方はすぐに息を整えていたが、
 つかさの方はまだ少し息が荒かった。

「じゃ、呼ぶわよ」
 そう言ってかがみは息を整えていないつかさの答えを待たずして
 泉家のチャイムベルを鳴らした。

 鳴らした瞬間、泉家の玄関の戸が開いた。
「やぁ、ようこそ泉ハウスへ」
「びっくりするからすぐ開くのはやめなさいよ!」
「いやぁ、ちょうどこのくらいに来ると思って十秒ぐらい前から待ってたって訳なんだよ。
 で、それですぐ来たからビンゴ!と思ってね」
「ついさっきじゃない」


「それで、つかさはなんで息が荒いの?」
「えっとね…」
「あ、もしかして二人で…」
「あんたが考えているような事はないわよ?」
「少し走ってきたから…それでね」
「へぇ…まぁいいや。あがってあがって」
「お邪魔しま~す」
 二人の声が重なった。

「おじさんとゆたかちゃんはいないの?」
「今は出かけてるから好き放題出来るよ」
「好き放題って…そんな事やるわけないでしょ」
「遠慮しないでいいから…」
「だからやらないわよ」
「…?」
「え~、残念だなぁ…誰もいない家で……激しく…」
「だ・か・ら!」
「はい…わかったよ」
 二人の会話の意味がわかってなく、終始首をかしげていたつかさがいた。

 こなた率いる三人組は二階へあがり、ある部屋の前まで移動した。
 そして、こなたによりドアが開かれた。
「やぁ、ようこそこなたルームへ」
「同じネタはもういいっつの」
「というか今ちらかってるから見ないで…」
「もう遅いわよ。見ちゃったわよ」
「なんでちらかってるの?」
「漫画とかいろいろ整理して入れ替えてる所だったから…」
「片付けるの手伝おうか?こなちゃん」
「よろしくお願いします…」
「なんで人の家にまで来て片付けしないといけないのよ」
「そんな事言わずに……かがみ様…」
「お姉ちゃん、一緒にやろうよ。三人でやった方が早く終わるでしょ?」
「…」
 つかさにも言われて引くに引けなくなったかがみ。

「…分かったわよ。やればいいんでしょ、やれば」
「この御恩はいつか必ず…」
「つかさ、」
「何?お姉ちゃん」
「ごめん、紛らわしかったわね」
「…?」

「なんだっけ…えっと…」
「どうかされましたか?かがみ様」
「というかさ、その喋り方やめなさいよ。と言おうとしただけ。」
「なんだぁ…呼ばれてるのかと思っちゃった」
「うんうん、予想通りの反応だ」
「どういう事?」
「前からね、こんなやりとり見たかったんだよね」
「あっそ…」

「あの……えっと…」
「何?」
 二人の声が重なって一瞬ビクッとしたつかさだがその後すぐに声を続けて出した。
「片付けしないの?」
「あ、えっと、うん、今からやるとこだと思うよ」
「あんた、本来の目的忘れてたでしょ?」
「いやぁ…なんていうかね…うん、まぁそういう事かな?
 でも、大丈夫だよ。ほんの数分で終わるはずだから」

 こうしてやっと三人はこなたの部屋の片付けに入った。

「こなちゃん、この漫画どこに入れればいい?」
「同じシリーズの奴がどっかに入ってるはずだから探して」
「うん、わかった」

「こなた、これらは?」
「えっと、そのシリーズの漫画はね、いちばん右の上から二番目の所に全部入れといて」
「分かったわ」

「こなちゃん、これは?」
「えっと…そこ」
「うん、ありがと」

「多いね…」
「一人でやるよりは全然楽だよ」
「一人でこんな事はやりたくないわね…」

 三人で片付けしたり、整理したりして忙しく動き回ってたが、
 つかさの手の上にある物が乗った時、つかさは疑問に思ってこなたに聞いた。
「こなちゃん、こんなの見つけたんだけど…」
「おぉ、それは!やっと見つかったか!」
「え?」
「うん、前からずっと探してたんだけど見つからなかったんだよ~…。
 それで今日ここを探そうと思って」
「こなちゃん、よかったね」
「最初っからちゃんと整理しときなさいよ…」


「ふぅ…終わったね」
「終わったぁ…」
「やっと片付いたわね。数分どころか20分もかかってるじゃない。」
「…めんごめんご。三人もいるからすぐ終わると思って…」
「でもさ、無事に終わったからよかったね。こなちゃんの探し物も見つかったみたいだし。」

「二人ともありがと。前から探しててね…やっと出来るよ…」
 その瞬間かがみはある事を思った。
 ただこなたに利用されたのではないか。と…。
 そして、つかさは利用された事に気付いていないようだった。



「こなた、私達を利用したでしょ?」
「そだよ~」
「即答すなっ!」
「だけどこれが見つかったからよかったよ~。
「…知ってたら最初からやってなかったわ…。ただゲームソフトを見つけるだけって…。」
「でも、こなちゃんの役にたてて嬉しかったな」
「こなた、最初っからやる気なかったでしょ?
 いちばん頑張ってたのがつかさって…。普通あんたが頑張る所でしょ?」
「うん、ここ探してもどうせ見つからないと思ってたから…。
 えーっと、じゃあ二人とも、終わったから好きな漫画読んでてもいいよ。
 私は飲み物を持って来るよ。休んでてもいいからね。」

「私メロンソーダ!」
「うちにないメニューには興味ありません」
「ふぇ?」

「つかさ、ここはファミレスでもメイド喫茶でもないからないわよ?」
「え?あ、あ…そっか…」

「えーと、とりあえず私は下から持ってくるね」
「…お菓子も持ってきなさい」
「…太るよ?」
「いいから持ってきなさいよ!」
 こなたは妙なニヤニヤ顔をしながら下へお菓子と飲み物を取りに向かっていった。

「多かったね…。」
「そうね…。頑張ってたから疲れたでしょ?」
 つかさとかがみは向かい合って座って話していた。
「まぁ…一応かな?」

「つかさもあんなにやる気になるなら勉強もやる気出しなさいよ」
「え~…っと…なんか…力が入らないんだよね」

 かがみは今思っているだろう。
 小学校の頃から自分でやらせておけば…こんな子にならなかったはず…。と。
 なぜ、変な所で真面目なんだろうとも…。

「お姉ちゃん、なに考えてるの?」
「つかさはなんで変な所で真面目なんだろうかな~って」
「自分が出来なかったとこの最後の解決策はお姉ちゃんに頼るだから…かな?」
「へぇ…。じゃあいつも頼ってくると言う事はその最後の解決策って言う所へすぐ行くのね」
「え…えへへ…」
「別に…いつでも頼ってきていいんだけどね…」
 声が小さかったのか、かがみが言った言葉はつかさには聞こえていないようだった。

「…?」
「まぁ…いいけど。私は漫画読むわね」
「あ、私も読む~」
 二人がその場から立ち上がった…が、立ち上がる時にかがみは何かに足を引っ掛けた。
「あっ…お姉ちゃ…っ!」
 つかさのビックリした声と共にかがみは一緒に立ち上がったつかさの方へ倒れてしまう。
 彼女の手はつかさの肩に置かれ、力のない彼女は姉の腰を掴むが、支えられる訳も無く床へ一緒に倒れてしまった。

 しかし、倒れたせいなのか、二人の口に柔らかいものがあたっていた。 

「んむっ……ぅ…」
「ん…っ……!」
「うぃ~っす。お菓子と飲み…」
 そんな状況の中、ドアが開く音と共にこなたの声が一緒に聞こえた。
 しかし、二人はまだこなたが来ている事に気付いていないようだった。

 しばらくして二人の口はやっと離れた。
「ふ…ふぅ…お姉ちゃん…」
「…えっと…つっ…つかさ、大丈夫?ごめんね…。怪我はない?」
「少し痛いけど…大丈夫。けど、お姉ちゃんの方も大丈夫…?急に倒れるから…」
「…何かに足引っ掛けたみたいだから大丈夫よ」
「そっか…」

 状況を説明したらこうだ。
 片方の手にお菓子と飲み物、コップを置いてあるおぼんを持っていて、もう片方の手でドアをあけてニヤニヤ顔したこなた。
 そのこなたの視線の先にいる仰向けに倒れている状態で顔が赤くなっているつかさ。
 そして、つかさに覆いかぶさっている状態になっで顔が赤くなっているかがみ。


「へぇ…やっぱかがみとつかさって人の家でまでやるほど…。
 久しぶりにいいもの見せてもらったよ」
「ちょっ、こなた…」
「こなちゃん…いつのまに…」
「誤解よ!誤解!」
「ひよりん連れてくるから待ってて!」
「連れてこなくていいわよ!人の話聞きなさいよ!」
「と…とりあえず、お姉ちゃん少し落ち着いて…」

 つかさに言われ、かがみはすぐに落ち着きを取り戻した。
「そうね…。こなた、とりあえずこっちきなさい。」
 つかさの言葉で落ち着きを取り戻したかがみはそう言った後
 こなたはかがみとつかさの傍に近寄った。

「にしても…いい光景だったなぁ…。まるでエロゲの主人公になった気分だったよ」
「一応聞くけどどこから見てたのよ?」
「柊さんちの双子が人の部屋であっつ~いキスを交わして、そこから甘い絡みを見せようとしてたと所から」
「勘違いよ!か・ん・ち・が・い!」
「じゃあ説明して」
「分かってるわよ。
 私とつかさが漫画を読もうと一緒に立ち上がったとき、私の足に何かが引っかかって、
 つかさの方に倒れてね、そしてああなって、そこにあんたがやってきたってわけよ」
「つまんないね…かがみがほんとにつかさを押し倒していたらなぁ…」
「はい、もうその話は終わり。」

「ああそうだ、これ、お菓子と飲み物ね」
「あ、これ…」
「つかさ、どうしたの?」
「このお菓子…私の好きな奴だ。食べていい?」
「メロンソーダはなかったけど遠慮せずにどぞー。そのために持ってきたからね」
「うん、ありがと」
 つかさは一言こなたに礼を言ってから小動物の様にお菓子を食べ始めた。
 その様子のつかさにかがみは優しい目を向けている。
 そしてそのかがみの顔を見てこなたはニヤニヤしている。


「ふっふっふ…かがみの狙いはこれでしょ?」
「ど…どういう意味よ?」
「かがみは私の家につかさが好きなお菓子があるのを知っていた。
 そして、頑張ったつかさへのご褒美として私にこれを持ってこさせた。って事でしょ?あたり?」
「…んなわけ…」
「あたりだね」
「…」
「かがみはそう言う反応見せるとすぐわかっちゃうんだよなぁ…」
「…言っておくけどこの家にそのお菓子あるって知らなかったわよ?」
「まぁ、かがみがそのつもりじゃなくても持ってくるつもりだったんだけどね」


「…というか、なんであんたがつかさの好きなお菓子知ってるのよ?」
「ん~…ちょっとね」
「はいはい、聞いたってわけね」
「お見通しだねぇ」
「大体の反応はもう分かってるわ」

「今思ったけど、お互い分かりやすい反応するね」
「…あんたと同じにされたくはないっ…」

「こなちゃん、お姉ちゃん、食べないの?」
「うん、もちろん食べるよ~」
「私は…今ちょっとね」
「ダイエット中…」
「うるさい!」
 ボソッと言うこなたに対し、
 怒号が混じった声で言うかがみ。

「じゃあかがみの分まで食べてあげるよ」
「なんであんたが食べるのよ!せめてつかさに…」
「つかさ、優しいお姉ちゃんだね」
「あー、もう茶化すなー!」
「うん…お姉ちゃんが私のお姉ちゃんで良かったなぁって思ってるよ」
「つかさもつかさでこなたの話聞かないでいいわよ…」

「まぁ、かがみんさ、そんな熱くならないでゆっくりしようよ。はい、ジュース」
「さんきゅ。
 ゆっくり出来るものならゆっくりしたいわよ…」
「あ、そうだ。新作のゲームあるんだけどさ、みんなでやる?」
「ゲームかぁ…見てるだけで私はいいや。」
「つかさ、大丈夫だよ。これ新しいのだし、私達も始めてだよ」
「そうよ、つかさ。一緒にやりましょうよ」
「あ、かがみごめん。このゲーム4人用なんだ」
「なら問題ないじゃない」
「いや~…ちょっとあるアニメのセリフを引用してみただけ。一応かがみもつかさも知ってる有名なアニメだけど…」
「どうでもいいわよ」
 こなたのボケや説明の一言もかがみの言葉により一蹴されてしまった。
 しかし、相変わらずつかさはやろうかと迷っていた。


「う~ん…」
「ほら、つかさ」
「じゃあちょっとだけ…」
「うんうん、きっと楽しいよ」
 二人に言われて弱く了解するつかさ。
 それにしても押しに弱い彼女だった。

 こなたは素早くゲームソフトをセットし…
「じゃ…スイッチオン!」
 と、電源を入れた。
 こなたたち三人はわくわくしながらテレビの画面に注目をし続けている。

「こなた、説明書は見ないの?」
「かがみって説明書見るタイプ?」
「そうだけど…」
「私はめんどいから読まないなぁ。
 百聞は一見にしかずとか言うよね?百回説明書見るより実際にやった方がいいって。」
「なんか少し変だけど…まぁいいわ。いちいち気にしてたらキリがないし」
「それに最近のゲームは最初の方とかほら、ちゃんと説明する事とか多いからね。」

「こなちゃん…これって操作方法複雑?」
「ん~、これは比較的簡単に操作出来るから大丈夫だよ」
「じゃあ私でも大丈夫かな…?」
「うん」

「なんで簡単って分かるのよ」
「それはね、発売前の情報とかで大体分かるよ」
「ほんとあんたはいろいろ調べてるわね」
「こうでもしないとわくわくが抑えられないのだよ」
「発売前から楽しむって凄いわね」
「それが普通だと思うよ~。かがみもそういう経験ない?」
「お姉ちゃん、たまに早く発売しないかな…って言ってるよね」
「ばっ…つかさまたあんたは…」
「へぇ…やっぱねぇ…」
「もう…」
 こなたとつかさ、この二人のコンビだけでラスボス柊かがみを倒せそうな勢いがあった。

「…ほら、さっさと始めるわよ。…でもこれ、最近のにしては説明がないわね」
「操作が簡単だからね。説明する必要がないとスタッフさんたちは判断したんじゃない?
 というか、これ一応格ゲー?だからね」
「こういう細かい所心配するのがお姉ちゃんらしいね」
「…前まではあった物が急になくなると寂しくなるのと…同じ…」
 なぜだかかがみは言葉を途中で止めて悲しそうな顔をした。

「お姉ちゃん…どうしたの?」
「おやおや…どうしたのかな」
 かがみを心配する二人。
 しかし、片方は心配すると言うより茶化す目的と言った方が正しいか。
「なんでもないわよ。それより早く…」
「じゃ、ちょっと私がかがみの気持ちを代弁すると…、
 きっと、かがみは来年からつkむぐっ…」
 何かを言おうとした所でかがみはこなたの口を慌てて塞いだ。

「もう、あんたら二人はいつも余計なのよ…」
「えっ…私まで?」
「そうよ」
 かがみはこなたの口から手を離した。
「じゃあ、考えてることは当たってるんだね」
「くやしいけどね…」
「…?」
 またもや、こなたとかがみの会話の意味を理解出来ないつかさは一人残されていた。

「そ、それよりさ、早くゲームを…」
「ったく…いつになったら始められるのよ…。それにさっきと同じ様な展開だし…。」
「多分大体はかがみの責任…」
「まともに始めなさいよ!!」

「やっぱりこなちゃん上手いね~」
「凄いだろ…?初めてなんだぜ…これで…」
「また何かのアニメネタか?」
「つかさもかがみも知ってるはずなんだけどなぁ…。やっぱ年代が違いすぎるか」
「あんたは今歳いくつだ」
「お二人さんと同じ、18歳のピチピチ女子高生ザマスよ」
「あっそ…」
「でも、つかさも普段ゲームしないわりには上手いじゃん」
「え?そうかな?」
「そうだと思うよ~」
「でもお姉ちゃんにも敵わないけどね…えへへ…」

「つかさ、楽しい?」
「うん、みんなで出来るからとっても楽しいよ!」
「ああ…私、こう…つかさみたいに純粋にゲームを楽しめる人が羨ましいわね」
「なんで?」
「ううん、やっぱなんでもないわ。気にしないで」
「つかさが楽しいんならそれでいいよね。それじゃ、続きをやろ~」
 こなたはなぜかいつもみたいにかがみをからかわないですぐゲームの方に気を集中させていた。
 その理由は一秒でも長くゲームが楽しめなくなるだからだろうか…それとも…

「そろそろ疲れてきちゃった…」
「私もちょっとだけ休憩しようかしら…」
「じゃあ休憩しようか」
「あ、そうだ。こなちゃん、漫画読んでいい?」
「何でも読んでいいよ~」
「えっと、後布団の上で読んでいい?」
「ごゆっくりどうぞ~」
「じゃあ…ありがと」


「にしても大丈夫かしら…」
「え?何が?」
「きっと寝ちゃうわよ。あの子」
「大丈夫。私は気にしないよ」
「あんたは気にしなくてもいいけど…寝たら帰れないじゃない」
「寝ても起こせばいいと思うけど…」
「そんなことしたら寝顔が…」
「ん?」
「なんでもないわ…気にしないで」
「ふ~ん…」
「何よ?」
「別に」
「漫画読むわ…」
 その後しばらくこなたの怪しいニヤニヤ顔はずっとかがみの方を見ていたが、
 反応しないかがみに飽きたのかパソコンを触り始めたり、ジュースの補給も持ってきたりした。
 つかさは、体勢を変えながらもこなたの布団の上でゆっくりと漫画を読み続けていた。

 こなたはふと、思い出したように席を立ってかがみの方へ近づいて、話かけた。
 かがみもそれに気付いて漫画を読むのを中断する。
「でさぁ、かがみどうすんの?」
「どうすんのってなにがよ?」
「さっきの話」
「それだけじゃわからん」
「えっとね、来年からつかさと一緒に登校とか出来なくなる件について」


「それは…言わないで…考えたくもない…」
「でもいずれは来る事だよ?」
「今はそっとして置いて…」
「うん、わかった。それで、つかさの顔見てどう思う?」
「あら…いつのまにか寝てたのね」
「さっきからずっと寝てたよ」
「さっきってどのくらいよ?」
「5分前ぐらい」
「…」
「で、どう思う?」
 いつまでも守りたくなってしまう幸せそうな寝顔…それがつかさの寝顔にあり、かがみはそう思っていた。
「こなたには話したくないわ」

「ん~…まあいいや」
「案外、引きが早いわね」

「えっと…突然だけどさ、私がいいよって合図するまで少し目を瞑ってて」
「なによ急に…で、なにするのよ?」
「ちょっといい事。大丈夫、かがみには関係ないから」

 かがみは怪しく思いながらも目を軽く閉じた。
 こなたはかがみが目を閉じた事を確認してからその場を立ち、寝ているつかさの方へ素早く移動した。
 そしてこなたは顔を無抵抗のつかさの顔へ近づけて唇を……あわせた。

 こなたは五秒程度で離れ、すぐにかがみの傍に近寄った。
「いいよ~」
 こなたの声を聞いてかがみはゆっくりと目を開いた。
 こなたはあくまでも平常を装ってる様に見えるが、いまはとても心が震えているだろう。

「なにしたのよ?」
「だからちょっといい事を」

「…深呼吸してみて」
「なんで?」
「いいから」
 かがみにそう言われてこなたは何の疑いも無く素直に深呼吸をする。
 こなたが息を吐いた瞬間、かがみの鼻がなにかを感じ取ったようだ。
「…何?」
「別に…」

「けど、私は悔しかったんだ」
「なにがよ?」
「かがみとつかさがキスしている事が…」

「…さっきの一回だけよ」
「嘘。なんで私が一回息をはいただけですぐそう分かるの?」
「…こなたにしては察しがいいわね」
「わかりやすいからね」


「…まぁいい。そんなことよりつかさはいつまで寝てる気かしら?そろそろ帰らなきゃいけない時間なのに…」
「なんならずっとうちにいてもいいよ~」
「遠慮するわ」
「起きなかったら私がつかさをお姫様抱っこで送ってあげるよ」
「…こなただけにはさせない」
「え~…かがみじゃ無理だと思うよ~。私は体鍛えてたから大丈夫だし。
 それにとても昔にあるゲームをやって、そしてそのゲームをプレイした後の感想で
 誰かをお姫様抱っこしてみたいなぁって思って…今ならチャンス…ってわけ」
「あんたの話はどうでもいい」
「なので私が…」
「却下」
「ねんがんの…」
「ィァ ころしてでも やめさせる」

「もう…起こしちゃおうかしら…」
「だから私が…」
 かがみは困惑、こなたは必死、つかさは昼寝。

「じゃあさ、起きるまでずっと寝顔眺めていようよ」
「…そうね」
 こなたの一言で二人は意気投合したようだ。
 かがみは既に帰りの時間なんてのは気にしていなかった。

 二人がつかさの寝顔を黙って眺め始めてからしばらく時間が経った…
「そろそろ起きるわね」
「なんで分かるの?」
「昼寝の時間なら大体分かるわ」
「へぇ…今度教…」
「無理」
 即答されて少し凹むこなた。

「つかさ、授業中に全然寝ないから寝顔に遭遇出来ないんだよねぇ…
 私からしたらとてもレアだなぁ…」
「はい、そこ。ゲームと一緒にするな」

 それまでずっと時がとまったかの様に眠っていたつかさだが、少しモゾモゾとし始めた。

 そして、ゆっくりとつかさの目が開かれた。
「お姉ちゃん?こなちゃん?」
「おはよ~」
「やっと起きたわね」
「えっと…私はずっと寝てたんだ…」
「つかさ、こんな時間よ」
「えっ…あっ…ごめん…お姉ちゃん…」
「別に気にしてないけど…」
「じゃあ…お姉ちゃん、すぐ支度するから下で待ってて」
「分かった、早くきなさいよ」
 つかさにそう言われてかがみはこなたの部屋から出て行く。


 帰る準備をするつかさにこなたは話かける。
「…ねえつかさ…」
「何?こなちゃん」
「突然だけどさ…かがみと私…どっちが好き?」
「いきなりそんな事…ちょっと待って…」
「正直に言って」
 つかさの手の動きが少し遅くなっていた。
「ん~…とね、どうだろ?」

 10秒程つかさは考えたのだろうか。
 間が開いてつかさはこなたの質問に答え初めてた。
「…こなちゃんはこなちゃんだし、お姉ちゃんはお姉ちゃんだから…どっちがいいかなんて決められない…」
「そっか…。そうだよね。ううん、ありがと」
「お姉ちゃんが待ってるから急がないと…」

「つかさ」
「…?」
「今日は楽しかった?」
 つかさはもう既に準備が終わったようで、動かしていた手は止まっていた。
「…うん、私も久しぶりに遊べて良かったなって思うよ」
「…じゃあ下に行こうか」

 二人はかがみが待つ玄関へと足を運ぶ。

「お姉ちゃんごめんね」
「いや、別に大丈夫よ」
「んじゃ、二人ともばいに~」
「こなちゃん、またね」
「じゃあね」
 二人と一人はお互いに帰りの挨拶をして泉家の玄関で別れる。
 一人の方の表情はなんだか満足が行かないとでも言いたそうな顔をしていた。

「にしてもほんと、つかさってよく寝るわね」
「なんていうか…えへへ…」
「何よ?」
「ううん、なんでもない」

「それより、今日楽しかった?」
「こなちゃんにもさっき同じ事聞かれたよ」
「へぇ…。で、どうだった?」
「うん、楽しかったよ。こなちゃんもお姉ちゃんもいたし…。
 けど…ゆきちゃんとも一緒に遊びたかったかな」
「そう。良かった。みゆきも来れればよかったのにね」
「でも、ゆきちゃん頑張ってるから仕方がないかなって思ってる」

 街全体を明るく照らす夕日はいつしか沈み、代わりに月が顔を出していた。
「たまにはこう…こんな時間を過ごすのもいいわね」
「そうだね…」
「それにしても少し冷えるわね…」
「遅くなっちゃったからね」
「もう少し上に着てくれば良かったわ」
「だよね…」

「ねぇつかさ。突然だけどさ…手、繋がない?」
 今まではつかさがかがみに手を繋ごうとお願いをしても、
 恥ずかしがって拒否をしていたが、今日は何故かかがみから言い出してきた。
「お姉ちゃんから言い出すなんて珍しいね」
「なんとなくよっ!ただ…なんとなく…」
「私はあまり気にしないよ~。
 それじゃお姉ちゃん、繋ごうよ。きっと暖かくなるよ」
「いや、やっぱやめとくわ」
「なんで?」
「だって…急に恥ずかしくなってきたから…」
「…まぁいいや。繋ぎたかったけど…」
 つかさは声を小さくして願望を言ってみたがかがみには聞こえていないようだった。

「つかさ、悪いけど…急いで帰るわよ」
 と言い昼間のようにまた急に走り出すかがみ。つかさにとっては悪夢の再来か。
「あっ、お姉ちゃん待ってよ~」
 昼間みたいにつかさはまたかがみに離されて行った…。

 その様子を建物と建物の間から顔を出した月は走っていく二人の少女の後ろ姿を優しく見守っていた。










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  • なんだろう、このほのぼのとした感じは。 -- 名無しさん (2009-07-21 05:38:17)

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